JPH07237907A - 不燃性ガス製造方法及び不燃性ガス製造組成物並びに不燃性ガス製造装置及び消火装置 - Google Patents

不燃性ガス製造方法及び不燃性ガス製造組成物並びに不燃性ガス製造装置及び消火装置

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JPH07237907A
JPH07237907A JP4976894A JP4976894A JPH07237907A JP H07237907 A JPH07237907 A JP H07237907A JP 4976894 A JP4976894 A JP 4976894A JP 4976894 A JP4976894 A JP 4976894A JP H07237907 A JPH07237907 A JP H07237907A
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gas
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Kaoru Asada
芳 浅田
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  • Feeding, Discharge, Calcimining, Fusing, And Gas-Generation Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 公害性の少ない不燃性ガスを連続的に製造す
る方法と、これを利用した安価消火設備を提供する。 【構成】 空気を連続的に供給し、物質の酸化反応を利
用して該空気中の酸素濃度を15%以下に低下させるこ
とにより、不燃性ガスを連続的に製造した。また、空気
中の酸素濃度を低下させることのできる組成物として、
金属と、金属硫酸塩と、多孔質物質と、水とを混合した
不燃性ガス製造組成物を得た。酸素濃度を15%以下し
た空気を不燃性ガスとして火災部に放出して消火する消
火設備と、該製造装置を介して室内の空気を循環させる
ことにより火災場所の酸素濃度を低下させて消火する消
火設備を構成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は不燃性ガス製造方法及び
不燃性ガス製造組成物並びに不燃性ガス製造装置及び消
火設備に関し、更に詳しくは空気中の酸素濃度を15%
以下に低下させた公害性の少ない不燃性ガスを連続的に
製造する不燃性ガス製造方法と、空気中の酸素濃度を化
学反応的に低下させる不燃性ガス製造組成物と、かかる
不燃性ガスを製造する不燃性ガス製造装置と、それを利
用した消火設備に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に火とは空気中で物体がある温度に
熱せられ、それが空気中の酸素と化合して熱と光を出し
ているものをいい、出火するためには燃えるための物体
があること、その物体がある温度以上に熱せられるこ
と、その物体の回りに空気(酸素)があることの3つの
条件をすべて満たしている必要がある。これらの条件の
いずれか1つでも欠けると物体は燃えることができず、
例えばある物体が燃えている場合に、その物体が燃え尽
きて燃えるものがなくなると火は消えてしまう。また、
密閉容器中である物体を燃やしたとき、その容器内の酸
素がなくなると火が消えてしまうことも周知である。こ
のように物体の回りの空気(酸素)がなくなるとその物
体は燃えることができなくなり火は消えるが、このとき
の酸素濃度は0%である必要はなく、一般に空気中の酸
素濃度が18%以下になると物体は燃えなくなると言わ
れている。
【0003】これを利用して、水、その他の消火剤を圧
力によって放出し、出火した対象物を冷却したりその対
象物から空気を遮断したりして火災が消火されている。
ところで、水による消火ができない場合は、不燃性ガス
を放出することにより火災部分の酸素濃度を低下させて
消火する方法が行われているが、そのための設備とし
て、例えば二酸化炭素消火設備がある。これは、不燃性
ガスとして二酸化炭素を使用し、二酸化炭素の比重が空
気より大きいことから窒息効果による消火をせんとする
ものであり、消火後の汚損もなく、電気的絶縁性にも優
れており、消火剤の貯蔵においても安全性が高い等の特
長を有している。その他、同タイプの消火設備として、
ハロゲン化物消火設備、粉末消火設備があるが、いずれ
も火災部分の酸素濃度を低下させるのが目的である。な
お、このような消火設備は大きく分けて(1)一定の防
護区画内の全域に二酸化炭素を放出する全域放出方式、
(2)防護対象物に直接二酸化炭素を放出する局所放出
方式、(3)ホース接続口のある二酸化炭素貯蔵容器を
各所に設け、そこからホースを伸ばして消火する移動式
の3タイプに分類され、消防法により設置等の基準が設
けられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの消火
設備を用いた場合、炭酸ガス、フロンガス、ハロンガス
等が空気中に拡散されることとなり、これらのガスは公
害性が高く、現在問題となっているオゾン層の破壊や地
球の温暖化を招来するものであった。
【0005】また、不燃性ガスによる消火設備の1例で
ある二酸化炭素消火設備においては、大量の二酸化炭素
を貯蔵しておく必要があるが、貯蔵する容量には限界が
あるので、使用に際して長時間に渡って放出できないと
いう問題があった。また、大量に使用するには二酸化炭
素が高価であるという問題があった。特に、消防法の基
準により全域放出方式としなければならない場合もあ
り、この場合は更に大量の二酸化炭素を要することにな
るので安価な不燃性ガスが望まれていた。その他、二酸
化炭素の貯蔵において、配管部分等は耐高圧にしなけれ
ばならず設備費も高価になるという問題もあった。ま
た、移動式の場合は固定式のものと比べて設備費は安く
つくとはいえ、二酸化炭素が高価である点は同様であ
り、またその毒性の拡散には更に充分に注意する必要が
あった。これは、不燃性ガスによる消火設備一般に言え
る問題点である。
【0006】そこで、本発明者は火災部分の空気中の酸
素濃度を低下させることによって消火できることに着目
し、上記問題点を解決するために、酸素濃度を15%以
下にした空気を不燃性ガスとして消火設備に利用し得る
ことを見いだし、かかる不燃性ガスを有効に製造すべく
鋭意研究を重ねた結果、本発明に至ったのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る不燃性ガス
製造方法の要旨とするところは、空気を連続的に供給
し、物質の酸化反応を利用することにより該空気中の酸
素濃度を15%以下にした不燃性ガスを連続的に製造す
ることにある。
【0008】次に、本発明に係る不燃性ガス製造組成物
の要旨とするところは、金属と、金属硫酸塩と、多孔質
物質と、水とを混合して成ることにある。
【0009】また、かかる不燃性ガス製造組成物におい
て、反応助剤を混合させることにある。
【0010】更に、本発明に係る不燃性ガス製造装置の
要旨とするところは、前記不燃性ガス製造組成物を充填
した1又は複数本の筒状容器を接続して構成された不燃
性ガス製造部と、該不燃性ガス製造部に空気を通過させ
るためのポンプとを備えてなることにある。
【0011】また、かかる不燃性ガス製造装置におい
て、前記不燃性ガス製造部の端部に不燃性ガス製造部を
密閉し得る弁を設け、空気吹出し口側にフィルターを設
けたことにある。
【0012】また、かかる不燃性ガス製造装置におい
て、前記不燃性ガス製造部の空気吹出し口側に酸素濃度
センサを配設し、充填した不燃性ガス製造組成物の取替
時期を知らせる報知手段を備えたことにある。
【0013】また、かかる不燃性ガス製造装置におい
て、製造した不燃性ガスを一定圧力で封入し得るタンク
を備えたことにある。
【0014】また、かかる不燃性ガス製造装置におい
て、前記タンク内に圧力センサを配設し、タンク内のガ
スが減少して圧力が下がると前記ポンプを作動させてガ
スを補給する制御手段を備えたことにある。
【0015】次に、本発明の消火設備の要旨とするとこ
ろは、前記不燃性ガス製造装置と、該装置により製造さ
れる酸素濃度を15%以下にした空気を不燃性ガスとし
て火災対象物に放出する放出ノズルを備え、該放出ノズ
ルから該不燃性ガスを放出することにより火災部分の酸
素濃度を低下させて消火することにある。
【0016】また、本発明の消火設備の他の要旨とする
ところは、前記不燃性ガス製造装置を備えるとともに、
該装置の吹出し口及び吸引口を室内に備え、火災時に該
不燃性ガス製造装置を介して室内の空気を循環させるこ
とにより火災場所の酸素濃度を低下させて消火すること
にある。
【0017】
【作用】本発明に係る不燃性ガス製造方法は、空気を連
続的に供給し、物質の酸化反応によって該空気中の酸素
濃度を15%以下に低下させるものであり、物質が酸化
される際に空気中の酸素を消費することを利用して空気
中の酸素濃度の低下を実現したものである。空気中の酸
素濃度を15%以下とすることにより空気を不燃性ガス
に変えているため、かかる不燃性ガス製造方法は公害性
の少ない不燃性ガスを安価に製造することができる。ま
た、空気を連続的に供給することにより、かかる不燃性
ガスを連続的に製造できる。
【0018】次に、本発明に係る不燃性ガス製造組成物
は、金属と、金属硫酸塩と、多孔質物質と、水とを混合
して作製されており、必要に応じて反応助剤が混合さ
れ、金属の酸化反応が起こり易いように構成されてい
る。かかる不燃性ガス製造組成物の構成成分において、
金属硫酸塩及び反応助剤の組合せにより金属の酸化反応
が促進又は抑制されるので、その種類や添加量を調整す
ることによって酸化反応速度をコントロールすることが
できる。酸化反応速度をコントロールすることにより、
例えば、速度を早くすることにより、より早く空気中の
酸素濃度を15%以下に低下させることができる。ま
た、速度を遅くすることにより金属の酸化反応に伴って
起こる発熱を小さくし、かかる不燃性ガス製造組成物の
温度上昇をコントロールすることができる。
【0019】また、多孔質物質を混合することにより、
添加する水や反応過程で生成する水(水蒸気)による該
不燃性ガス製造組成物のベタツキを防ぐことができる。
すなわち、かかる多孔質物質は水分を吸着することがで
きるので成分内の保水剤として作用し、水等を添加する
際に多孔質物質に吸着させて添加することや、反応時に
発生する水蒸気を吸着することができ、その結果、かか
る不燃性ガス製造組成物のベタツキを防止することがで
きるのである。また、多孔質物質は酸化反応に伴って発
生する臭気、有害ガス(水素ガス等)を吸着することが
できるので、本発明の不燃性ガス製造組成物によって製
造した不燃性ガスの安全性を高めることができる。更
に、かかる多孔質物質は空気中の酸素も吸着するので金
属周辺の酸素濃度を高め、酸化反応を促進するという役
割も果たす。
【0020】また、水を混合しておくことにより、かか
る不燃性ガス製造組成物を、空気(酸素)と接触すると
酸化反応が開始するようにできる。なお、酸化反応が開
始されると反応によって水が生じるので、多量の水は必
要としない。
【0021】本発明に係る不燃性ガス製造装置は、前記
不燃性ガス製造組成物を充填した1又は複数本の筒状容
器を接続して構成された不燃性ガス製造部と、該不燃性
ガス製造部に空気を引き込むためのポンプとからなり、
ポンプで吸引することにより不燃性ガス製造部に空気を
取り込み、該不燃性ガス製造部を空気が通過することに
より不燃性ガスを得ることができる。また、前記不燃性
ガス製造部を、前記不燃性ガス製造組成物を充填した1
又は複数本の筒状容器を接続して構成することにより、
空気吸引口から空気吹出し口までの距離を調整して空気
が不燃性ガス製造部を通過する時間を調整することがで
きる。すなわち、不燃性ガス製造組成物の酸素濃度低下
速度が比較的遅い場合は、接続する容器の数を多くして
空気が不燃性ガス製造組成物に接している時間を長くす
るようにできるのである。そのため、本発明の装置は、
空気が不燃性ガス製造部を通過中にその酸素濃度を15
%以下まで低下させることができ、連続的に新しい空気
を取り込んで継続して不燃性ガスを製造することができ
る。また、不燃性ガス製造部を複数本の筒状容器を接続
して構成することにより、一部の不燃性ガス製造組成物
のみを取り替えることもできる。
【0022】また、かかる不燃性ガス製造装置におい
て、不燃性ガス製造部の端部に不燃性ガス製造部を密閉
し得る弁を設けることにより、不使用時には不燃性ガス
製造部を密閉することができ、不燃性ガス製造組成物が
保存中に劣化することを防ぐことができる。また、不燃
性ガス製造部の空気吹出し口側にフィルターを設けるこ
とにより、ポンプで吸引した際に空気とともに充填した
不燃性ガス製造組成物がポンプに吸い込まれるのを防ぐ
ことができる。
【0023】また、かかる不燃性ガス製造装置におい
て、前記不燃性ガス製造部の空気吹出し口側に酸素濃度
センサを配設し、充填した不燃性ガス製造組成物の取替
時期を知らせるので、劣化により酸素濃度を15%以下
にすることができなくなった不燃性ガス製造組成物を取
替えて常に酸素濃度が15%以下の不燃性ガスを得るこ
とができる。
【0024】また、かかる不燃性ガス製造装置に製造し
た不燃性ガスを一定圧力で圧入できるタンクを備えるこ
とにより、得られた不燃性ガスをタンク内に貯蔵するこ
とができる。このようにタンク内に不燃性ガスを一定圧
力で溜めておくことにより必要時に直ちに利用できる。
【0025】更に、かかる不燃性ガス製造装置は、前記
タンクに圧力センサを有し、タンク内のガスが減少して
圧力が下がると前記ポンプが作動してガスを補給するよ
うにも構成できる。それにより、常にタンク内に一定量
のガスがありタンク内のガスを使いきるまえに新しくガ
スを補給することができ、必要時にガスが足りなくなる
ことはほとんどなく連続して大量の不燃性ガスを使用す
ることができる。
【0026】次に、本発明に係る消火設備は、前記不燃
性ガス製造装置により酸素濃度を15%以下にした空気
を製造し、該空気を不燃性ガスとして該ノズルから火災
対象物に放出して消火するものであり、空気の酸素濃度
を低下させることにより窒素、二酸化炭素の占める割合
が大きくなるので、かかる不燃性ガスは普通の空気より
比重が大きく、該不燃性ガスを火災部に放出すると火災
部の回りに沈降して該不燃性ガスが火災部を覆うことに
なり消火できる。また、不燃性ガスとして酸素濃度を1
5%以下にした空気を用いているので、従来の不燃性ガ
スによる消火設備のように有害なガスが空気中に拡散さ
れることがない。また、原料は空気であるので大量に使
用しても無料である。更に、上記装置により連続して不
燃性ガスを製造できるので、長時間の使用も可能であ
る。
【0027】また、かかる消火設備を、前記不燃性ガス
製造装置の吹出し口及び吸引口を室内に配設し、火災時
に該不燃性ガス製造装置を介して室内の空気を循環させ
ることにより火災場所の酸素濃度を低下させて消火する
ように構成することによって、不燃性ガスを貯蔵してお
く必要がなくなり、従来のように配管部分等を耐高圧に
する必要がないので設備費も安くできる。
【0028】
【実施例】以下、本発明に係る不燃性ガス製造方法及び
不燃性ガス製造組成物並びに不燃性ガス製造装置及び消
火設備の実施例を説明する。
【0029】本発明の不燃性ガス製造組成物は、窒素ガ
ス等の不活性ガス気流中で金属と、金属硫酸塩と、多孔
質物質と、水とを混合して得られる。また、必要に応じ
て反応助剤を混合してもよい。なお、水を混合する際
は、予め水と多孔質物質を混合して水を多孔質物質に吸
着させてから他成分と混合するのが好ましい。
【0030】ここで各構成成分について更に詳しく説明
すると、金属としては空気中の酸素と反応して酸化され
るものであればあらゆる種類の金属を用いることがで
き、例えば鉄、亜鉛、アルミニウム、銅等を挙げること
ができる。また、かかる金属の形態は特に限定されるも
のではなく、粉粒体であっても、金属箔、フィラメント
状のものであってもよいが、他成分との混合性や反応
性、容器への充填性等を考慮すると粉粒体の金属を用い
るのが好ましい。特には、価格、反応性等よりかかる金
属として鉄粉が好ましく用いられる。
【0031】また、金属硫酸塩としては例えば、硫酸第
二鉄、硫酸マグネシウム、亜ジチオン酸ナトリウム(ハ
イドロサルファイト)、硫酸ナトリウム等を用いること
ができ、単独あるいは2種以上混合して用いられる。
【0032】反応助剤としては、塩化ナトリウム、塩化
カリウム、塩化カルシウム、塩化第一鉄、塩化第二鉄、
臭化第一鉄、臭化第二鉄、臭化第一銅、臭化第二銅など
の金属ハロゲン化物や、水酸化カルシウム、水酸化ナト
リウムなどのアルカリ剤を用いることができる。これら
は必要に応じて単独あるいは2種以上混合して用いられ
る。
【0033】多孔質物質は、表面にミクロポアーと呼ば
れる細孔を多数有し、かかる細孔に臭気、有害ガス等の
微粒子や水分を物理的に吸着し、主に組成物中の保水剤
として働くものである。かかる多孔質物質としては、例
えば、活性炭、カーボン繊維、多孔質セラミック、植物
繊維質又はそれを炭化処理したもの等を用いることがで
きる。
【0034】また、水は金属の酸化反応が開始するため
に必要であり、水は予め多孔質物質に吸着させて添加し
ているが、酸化反応が起こると反応により水が生じるの
で、多量の水を添加する必要はない。水を添加する際
に、多孔質物質と混合して該多孔質物質中に水を吸着さ
せて添加するのは、得られる不燃性ガス製造組成物のベ
タツキを防止するためである。また、かかる不燃性ガス
製造組成物の使用形態によっては、水を添加しなくても
良い場合がある。空気中の水蒸気量が多い場合は、本発
明の不燃性ガス製造組成物中をその空気が通過すると、
空気中の水蒸気が前記多孔質物質に吸着して水を添加し
た場合と同様の状態になるからである。
【0035】また、金属が酸化される反応速度を遅くす
るために、必要に応じて水と併用して又は水に代えてア
ルコール類化合物を添加してもよい。酸化反応速度を遅
くすると酸素濃度低下速度が遅くなることになるが、反
応時の発熱が抑えられるので不燃性ガス製造組成物の温
度上昇を抑えることができ、これらのかねあいより、適
宜アルコール類化合物を添加して適当な酸化反応速度に
するのである。なお、不燃性ガス製造組成物の温度上昇
は物理的に、例えば冷却水等によって不燃性ガス製造組
成物の回りを冷却することによって抑えることができる
ので、特には反応速度を遅くすることにより不燃性ガス
製造組成物の温度上昇を抑える必要はない。
【0036】かかるアルコール類化合物は、遊離のアル
コール性水酸基を有するものであって、アルコール類及
びその誘導体を含むものである。通常アルコール類化合
物は水酸基及びその残基の数、脂肪族と芳香族の別、飽
和と不飽和の別などによって分類される。かかるアルコ
ール類化合物を用いた場合、1価のアルコールよりも多
価のアルコールの方が揮発性が低く金属の酸化反応速度
を遅くさせる。また、芳香族アルコールよりも脂肪族ア
ルコールの方が、不飽和アルコールよりも飽和アルコー
ルの方が揮発性が低く金属の酸化反応速度を遅くさせ
る。かかる反応速度、揮発性等を考慮して、次に挙げる
ようなアルコール類化合物を適宜用いれば良い。
【0037】本発明に用いられるアルコール類化合物を
具体的に例示すると、例えば、メチルアルコール、エチ
ルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコー
ル、アミルアルコール、ヘキシルアルコール、ヘプチル
アルコール、シクロヘキサノール等の1価の脂肪族飽和
アルコール類、アリルアルコール等の1価の脂肪族不飽
和アルコール類、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、メチルセロソルブ、ブチ
ルセロソルブ等の2価の脂肪族飽和アルコール類、グリ
セリン等の3価以上の脂肪族飽和アルコール類、ベンジ
ルアルコール等の芳香族アルコール類、モノエタノール
アミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等
のアルコール類の各種誘導体などを挙げることができ
る。これらのアルコール類化合物は単独でも2種以上併
用しても良い。
【0038】なお、上記構成成分を混合する際は、空気
中で行うと混合中に酸化反応が進行してしまうので、窒
素ガス等の化学的に不活性なガス気流中で、あるいは密
閉されて外気の流通のない容器内で混合するのが好まし
い。
【0039】こうして得られた不燃性ガス製造組成物は
空気中の酸素と反応し、化学反応によって水蒸気のみの
発生で空気中に存在する酸素割合のみを低下させること
ができる。すなわち、かかる不燃性ガス製造組成物と空
気とを一定時間以上接触させることにより空気中の酸素
濃度を低下させることができる。
【0040】酸素濃度が低下した空気中では物質は燃え
ることができないので、前述のようにして酸素濃度を低
下させた空気は不燃性ガスとなり、しかもこの不燃性ガ
スは空気より比重が大きいので、火災部に放出すること
により消火することができる。このときの酸素濃度は1
5%以下とするのが好ましく、更には10%以下とする
ことがより好ましい。密閉容器中で紙等を燃やして実験
してみたところ、通常の空気中(酸素濃度は約20%)
ではいきおいよく燃えたが、酸素濃度を18%まで低下
させた空気中では火力が弱まり、更に、酸素濃度を15
%にした空気中では火は直ぐに消え、酸素濃度が10%
の空気中では全く燃えなかった。
【0041】本発明の不燃性ガス製造組成物は、空気を
一定時間以上接触させることにより空気中の酸素の割合
を15%以下とすることができるものであり、公害性の
少ない自然のままの不燃性ガスを製造することができ
る。かかる不燃性ガス製造組成物の酸素濃度低下速度が
早すぎると酸化に伴う発熱によって不燃性ガス製造組成
物の温度が上昇することになるが、外側から冷却する等
の工夫により温度上昇を抑えることができる。なお、ア
ルコール類化合物の種類、添加量を変えることにより、
あるいは金属硫酸塩、反応助剤の量及び組合せを変える
ことにより反応速度を調節することができ、発熱による
温度上昇をコントロールすることもできるが、酸素濃度
低下速度が遅くなりすぎないように注意すべきである。
【0042】かかる不燃性ガス製造組成物を保管するに
は、空気遮断性を有するチューブや樹脂フィルム(例え
ば、ポリエチレンフィルムとナイロンフィルムをラミネ
ートしたフィルム、又はポリエチレンフィルムとアルミ
箔をラミネートした2層フィルム等)などに入れて保管
すると、効果は長時間にわたって期待できる。
【0043】次に、本発明に係る不燃性ガス製造装置に
ついて説明する。図1は、本発明に係る不燃性ガス製造
装置の1例を示したものであり、不燃性ガス製造装置1
0は不燃性ガス製造組成物を充填した不燃性ガス製造部
12と、モーター14によって可動するポンプ16と、
タンク18とを接続して構成されている。
【0044】各構成部をより詳しく説明すると、タンク
18には圧力センサ20を設置し、タンク18内の圧力
が減少すると圧力センサ20よりモーター14へ信号が
発せられモーター14が作動するよう構成する。更に、
タンク18内には一定圧力で不燃性ガスが圧入されるた
め、その両側にバルブ22を設け、装置10をガス圧の
負荷から保護するように構成する。また、タンク18か
ら各使用場所へ配管を伸ばし、各使用場所ごとにバルブ
24を設け、バルブ24を開けると連動してバルブ22
が開き、同時にモーター14が作動するように構成して
もよい。
【0045】また、不燃性ガス製造部12は複数本の筒
状容器を接続し、各容器には本発明の不燃性ガス製造組
成物を充填してあり、ポンプ16を可動させて空気を吸
引し、空気吸引口26から空気吹出し口28へ不燃性ガ
ス製造組成物の中を空気が通過するように構成されてい
る。なお、空気吸引口26にはバルブ30を設け、装置
10を使用しないときはバルブ30を閉めて不燃性ガス
製造部12を密閉できるように構成する。尚、バルブ3
0はモーター14の作動により開閉し得るように構成し
てもよい。
【0046】また、空気吹出し口28側には、図2に示
すように容器にフィルタ32を付けてポンプ16を可動
させて空気を吸引したときに充填した不燃性ガス製造組
成物が空気とともにポンプに吸い込まれるのを防ぐよう
に構成する。不燃性ガス製造組成物が細かい粒子である
ため、このように吹出し口28にフィルタ32をつけ、
吹出し口28から不燃性ガス製造組成物が飛び出してポ
ンプ16に吸い込まれてポンプ16が故障するのを防ぐ
のである。また、各容器ごとにフィルタを設けて容器間
の接続部が詰まるのを防ぐようにしてもよい。
【0047】更に、空気吹出し口28とタンク18との
間に酸素濃度センサ34を設置し、不燃性ガス製造組成
物の劣化等により不燃性ガス製造部12を通過してきた
空気の酸素濃度が15%以下になっていないときには報
知手段であるランプが点滅したり、ブザーを発したりす
るよう構成してもよい。また、予備の不燃性ガス製造部
12を設けておき、空気の酸素濃度が15%以下になっ
ていないときには、その予備の不燃性ガス製造部12に
自動的に切り替わるように構成することも可能である。
【0048】ここで、不燃性ガス製造部12を構成する
筒状容器の本数は、不燃性ガス製造組成物の酸素濃度低
下速度を考慮して、空気流量との関係で空気が空気吸引
口26から空気吹出し口28に達するまでに空気中の酸
素濃度が15%以下となるように調整する。なお、不燃
性ガス製造部12の回りに、例えば冷却水を流せるよう
に構成すると、この部分の温度上昇を抑えることができ
る。
【0049】このように構成された不燃性ガス製造部1
2を通過してきた空気の酸素濃度は15%以下となって
おり、空気を本発明の不燃性ガス製造装置10に送り込
み、不燃性ガス製造部12を通過させることにより不燃
性ガスを得ることができる。得られた不燃性ガスはタン
ク18内に溜められるので必要時に直ちに使用でき、本
発明の不燃性ガス製造装置10によって連続的に不燃性
ガスを生成できるので継続的にかつ長時間にわたって消
火活動に使用することが可能である。
【0050】また、本発明に係る不燃性ガス製造装置の
他の実施例として、図3に示すように空気吸引口26側
の容器を大きくし以下順に容器を小さくしたような筒状
容器の大きさが異なる不燃性ガス製造部27を構成して
もよい。例えば、容器の断面積を4倍にしたとすれば、
空気吹出し口28の空気流量が一定である場合、流速は
1/4になり通過に4倍の時間がかかる。酸素濃度は、
空気吸引口26側の方が空気吹出し口28側よりも高い
ので、このように構成することによって効率良く酸素濃
度を低下させることができる。
【0051】また、かかる不燃性ガス製造装置の更に他
の実施例として、図4に示すように不燃性ガス製造部1
2と燃焼容器36を接続し、燃焼容器36内で物質を燃
やして酸素濃度を低下させた空気を不燃性ガス製造部1
2へ送り込むように構成してもよい。ここで不燃性ガス
製造部12へ送り込まれる空気は、酸素濃度が低下して
おり、また物質を燃やしたときに発生する水蒸気を多く
含んでいる。そのため、このように構成することにより
不燃性ガス製造組成物の劣化を遅くすることが可能であ
り、また、不燃性ガス製造組成物に予め水を添加してお
かなくても空気中の水蒸気が充分に利用できる。
【0052】また、かかる不燃性ガス製造装置の更に他
の実施例として、不燃性ガス製造部12を構成する不燃
性ガス製造組成物を充填した容器自体をガス保存容器と
して利用することもできるので、図5に示すようなタン
クを備えない不燃性ガス製造装置13を構成してもい。
この場合は、バルブ24を開けることにより、モーター
14が作動しバルブ30が開くように構成するのが好ま
しい。
【0053】その他、かかる不燃性ガス製造装置におい
てポンプの位置を空気吹出し口側ではなく、空気吸引口
側に設置して空気を送り込むように構成してもよい。或
いは、かかる不燃性ガス製造装置においてタンクに2本
以上の接続管を配し、各接続管にポンプと不燃性ガス製
造部を接続し、タンクとの接続部を切り換えることによ
って、2以上の不燃性ガス製造部を同時に可動させた
り、1の不燃性ガス製造部のみを可動させたり任意に選
択できるように構成し、、ガスの使用量が多いときには
同時に可動させて大量の不燃性ガスを供給できるように
してもよい。また、通常は1の不燃性ガス製造部のみを
可動させて使用し、他の部分は予備として密封状態で保
存して使用中の不燃性ガス製造組成物が劣化したときに
予備の不燃性ガス製造部に切り換えて使用できるように
してもよい。
【0054】次に、本発明の不燃性ガス製造装置を利用
した消火設備について説明すると、例えば図1に示すよ
うな不燃性ガス製造装置を設置し、火災時にバルブ24
を開けて、本発明で製造した不燃性ガス(酸素濃度が1
5%以下の空気)を放出ノズルから火災部に直接放出し
て消火できる設備とすることができる。バルブ24は、
バルブ22と連動するように構成されているので、バル
ブ24を開けることにより、バルブ22が開いてタンク
18内に貯蔵された不燃性ガスが放出できるのである。
更に、不燃性ガスを放出してタンク18内の不燃性ガス
が減少すると圧力センサ20により、モーター14が作
動しバルブ30が開いて不燃性ガスが製造され、新たな
不燃性ガスが供給されるため、長時間の放出が可能であ
る。
【0055】また、他の利用法としては、図6に示すよ
うに室内38に不燃性ガス製造装置39の空気吸引口2
6及び空気吹出し口28を配設し、該室内又は室外に該
不燃性ガス製造装置39のモーター14の可動操作やバ
ルブ24、30の開閉操作を行うスイッチを備えた消火
設備として利用することもできる。かかる消火設備は火
災の発生した室内をほぼ密閉した状態で使用し、火災時
にスイッチを入れるとモーター14によりポンプ16が
可動するとともにバルブ24、30が開いて、室内38
の空気が空気吸引口26から吸い込まれ、不燃性ガス製
造装置39を通過して空気吹出し口28から室内38に
吹き出し、再度空気吸引口26から吸い込まれるという
ことを繰り返し、ほぼ密閉された室内38の空気を不燃
性ガス製造装置39を介して矢印40のように循環させ
るものである。このようにして密閉された室内38の空
気を不燃性ガス製造装置39を介して循環させると、室
内38の空気の酸素濃度は徐々に低下して消火できる。
なお、スイッチにより防火シャッター等が閉まり小スペ
ースで密閉できるようにしておくと消火に要する時間を
短くすることができる。
【0056】また、スイッチによらず煙や熱等を感知す
る火災感知器等により自動的に作動するように構成して
もよい。この場合は、誤作動した場合等にその室内に人
が要ると危険であるので、常時人のいない場所で利用す
る、警報装置を備える等の対策をとるようにするのが好
ましい。また、かかる消火設備は、図6に示すように不
燃性ガス製造装置を屋外に設置してもよく、室内に壁等
に沿わせた形態で設置してもよく、又建物の一部として
壁等に組込んだ形態にしてもよい。
【0057】なお、この消火設備においては、前述のよ
うに直ちに不燃性ガスが放出される必要がなく、徐々に
室内の酸素濃度が低下されればよいので、不燃性ガスを
貯蔵しておくタンクは必要としない。また、この設備に
用いる不燃性ガス製造組成物はできるだけ短時間で酸素
濃度を低下させるものであることが好ましい。また、火
災時には、物体が燃えることにより空気中に多量の水蒸
気が発生するので、この消火設備においては水蒸気を多
く含んだ空気が不燃性ガス製造組成物中を循環すること
になり、空気中の水蒸気を充分に利用できるので、この
ようにして利用する場合は不燃性ガス製造組成物に水を
添加しておかなくてもよい。
【0058】以上、本発明に係る不燃性ガス製造方法及
び不燃性ガス製造組成物並びに不燃性ガス製造装置及び
消火設備の実施例を説明したが、本発明はこれらの実施
例のみに限定されるものではなく、本発明はその趣旨を
逸脱しない範囲内で当業者の知識に基づき、種々なる改
良、変更、修正を加えた態様で実施しうるものである。
【0059】以下に実施例により本発明をより具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例によって限定される
ものではない。
【0060】実施例 1 窒素気流中で、金属粉として鉄粉1.0g、金属硫酸塩
としてハイドロサルファイト12.5g、反応助剤とし
て水酸化カルシウム50.0gを混合し、更に、水1.
2gとアルコール類化合物(エチレングリコール、メチ
ルアルコール、エチルアルコール、アリルアルコール、
シクロヘキサノール)各1.0gを混合した5種類の水
/アルコール類化合物の混合液を活性炭3.5gに吸着
させたものを加えて混合し、5種類の不燃性ガス製造組
成物を作製した。
【0061】得られた各不燃性ガス製造組成物を1リッ
トルのガラスビンに入れ、水銀マノメーターと接続した
ゴム栓にて密封し、ガラスビン内の減圧状態を経時的に
測定して50%酸素を除去する時間を求めた。その結果
を組成物の成分とともに表1に示した。
【0062】
【表1】
【0063】実施例 2 アルコール類化合物を添加せずに、水の添加量を1.2
g、0.6g、0.0gとし、以下実施例1と同様にし
て3種類の不燃性ガス製造組成物を作製した。得られた
各不燃性ガス製造組成物について、実施例1と同様にし
て50%酸素を除去する時間を求め、その結果を組成物
の成分とともに表2に示した。
【0064】
【表2】
【0065】表1及び表2より、アルコール類化合物を
添加することにより酸素低下速度が非常に遅くなり、そ
の程度はアルコール類化合物の種類によって異なること
ががわかる。また、酸化反応が開始するためには水の存
在が必要であることがわかる。
【0066】実施例 3 窒素気流中で、金属粉として鉄粉30.0g、金属硫酸
塩としてハイドロサルファイト1.0g、反応助剤とし
て塩化ナトリウム1.5gを用いて混合し、更に、水2
5.0gを活性炭3.5gに吸着させたものを加えて混
合し、不燃性ガス製造組成物を作製した。得られた不燃
性ガス製造組成物について、実施例1と同様にして50
%酸素を除去する時間を求め、その結果を組成物の成分
とともに表3に示した。
【0067】
【表3】
【0068】実施例 4 金属硫酸塩であるハイドロサルファイトの添加量を2.
0gとした以外は実施例3と同様にして不燃性ガス製造
組成物を作製し、得られた不燃性ガス製造組成物につい
て、実施例1と同様にして50%酸素を除去する時間を
求め、その結果を組成物の成分とともに表3に示した。
【0069】実施例 5 反応助剤として塩化ナトリウム1.5g及び水酸化カル
シウム50.0gを用いた以外は実施例3と同様にして
不燃性ガス製造組成物を作製し、得られた不燃性ガス製
造組成物について、実施例1と同様にして50%酸素を
除去する時間を求め、その結果を組成物の成分とともに
表3に示した。
【0070】実施例 6 水の添加量を1.2gとし、金属硫酸塩であるハイドロ
サルファイトの添加量を各12.5g、6.3g、3.
0gとし、反応助剤として塩化ナトリウムは添加せずに
水酸化カルシウムを50.0g添加した以外は実施例5
と同様にして3種類の不燃性ガス製造組成物を作製し
た。得られた各不燃性ガス製造組成物について、実施例
1と同様にして50%酸素を除去する時間を求め、その
結果を組成物の成分とともに表4に示した。
【0071】
【表4】
【0072】表2、表3、表4より、金属硫酸塩である
ハイドロサルファイトの添加量を減らすと酸素低下速度
が遅くなることがわかる。また、反応助剤として水酸化
カルシウムを添加することによって酸素低下速度が早く
なるが、ハイドロサルファイトの量が一定量以下の場
合、水酸化カルシウムを添加しても50%酸素を除去す
るのに長時間要することがわかる。更に、酸素低下速度
は金属硫酸塩や反応助剤の量に依存し水の量とは無関係
であることがわかる。すなわち、鉄粉に対して添加する
金属硫酸塩、反応助剤の種類及び添加量を変更すること
によって、酸素低下速度を調整することができることが
わかる。また、酸化反応が開始するためには水の存在が
必要であるが、水の添加量は酸素低下速度には無関係で
あることがわかる。
【0073】
【発明の効果】本発明の不燃性ガス製造方法は、空気を
連続的に供給し、物質の酸化反応によって該空気中の酸
素濃度を15%以下に低下させるものであり、空気中の
酸素濃度を15%以下に低下させて空気を不燃性ガスに
変えた公害性の少ない自然のままの不燃性ガスを連続的
に製造することができる。また、空気を不燃性ガスに変
えているので比較的安価に不燃性ガスを製造することが
できる。更に、酸素濃度を低下させることにより窒素、
二酸化炭素の占める割合が大きくなるので、この不燃性
ガスは普通の空気よりも比重が大きく、火災部分に放出
すると火災部を覆うように沈降するので、該不燃性ガス
は消火に利用することができる。
【0074】また、本発明に係る不燃性ガス製造組成物
は、金属と、金属硫酸塩と、多孔質物質と、水とから構
成され、適宜反応助剤を加えたものであり、その組成に
よって酸化反応速度をコントロールすることができる。
すなわち、例えば金属硫酸塩の添加量を減少することに
よって酸化反応速度が遅くなるが、金属硫酸塩の添加量
を増加したり数種を組合せたり反応助剤を併用したりす
ることによって酸化反応速度を早くすることができる。
また、アルコール類化合物の添加によっても反応速度は
遅くなり、これらの組合せによって酸化反応速度、すな
わち酸素濃度低下速度をコントロールすることができ
る。なお、酸化反応速度を遅くすると反応時の発熱を抑
えることができるので、酸化反応速度をコントロールす
ることによりかかる不燃性ガス製造組成物の温度上昇を
コントロールすることも可能である。
【0075】更に、かかる不燃性ガス製造組成物は多孔
質物質を1成分とし、かかる多孔質物質は水分を吸着す
ることができるので成分内の保水剤として作用し、水等
を添加する際に多孔質物質に吸着させて添加することが
できる。また、反応時に発生する水蒸気を吸着すること
もでき、かかる不燃性ガス製造組成物のベタツキを防ぐ
ことができる。また、酸化反応に伴って発生する臭気、
有害ガス(水素ガス等)を吸着させることもできる。
【0076】次に、本発明に係る不燃性ガス製造装置
は、不燃性ガス製造組成物を有効に利用して連続的に不
燃性ガスを製造できるものであり、圧力センサや酸素濃
度センサによって安定した不燃性ガスの供給ができる。
また、バルブを設けて不燃性ガス製造部を密閉系にし得
るように構成することにより、不使用時の不燃性ガス製
造組成物の劣化を防ぐことができる。
【0077】具体的には、不燃性ガス製造部が不燃性ガ
ス製造組成物を充填した1又は複数本の筒状容器を接続
しているので、かかる部分を空気を通過する時間を任意
に設定することができる。そのため、連続的に新しい空
気を送り、継続して不燃性ガスを得ることができる。ま
た、容器を複数本に分けることにより、不燃性ガス製造
組成物を交換する際は一部だけを交換することもでき経
済的である。また、不燃性ガス製造部の空気吸引口に不
燃性ガス製造部を密閉するための弁を有するので、装置
不使用時には不燃性ガス製造組成物を劣化することなく
長期保存することができる。
【0078】また、得られた不燃性ガスを保存するため
のタンクを備え、更に、装置内に空気を吸引するための
ポンプがタンクに設置した圧力センサによって可動する
ように構成することにより、常にタンク内のガス圧力を
一定にしておくことができ、常に一定量の不燃性ガスを
タンク内に保存しておけるので、必要時に直ちに使用す
ることができる。
【0079】更に、かかる不燃性ガス製造装置を利用し
て消火設備とすることができ、かかる消火設備は不燃性
ガスとして酸素濃度を15%以下にした空気を用いるも
のであり、環境汚染の原因となる炭酸ガス、フロンガ
ス、ハロンガス等の拡散がなく安全性に優れ、かつ安価
な設備費で設置でき、更に長時間に渡って不燃性ガスを
大量に使用することが可能である。また、消火に使用す
る不燃性ガスは、原料が空気であるので大量に使用して
も非常に安価である。また、全域放出方式の消火設備と
して循環形式に構成することにより、不燃性ガスを貯蔵
する必要がなくなり、更に安価な消火設備を提供するこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る不燃性ガス製造装置を示す概略図
である。
【図2】本発明に係る不燃性ガス製造装置の空気吹出し
部を示す要部概略断面説明図である。
【図3】本発明に係る他の不燃性ガス製造装置の不燃性
ガス製造部を示す概略図である。
【図4】本発明に係る更に他の不燃性ガス製造装置の一
部を示す概略図である。
【図5】本発明に係る更に他の不燃性ガス製造装置を示
す概略図である。
【図6】本発明に係る消火設備の1例を示す概略説明図
である。
【符号の説明】
10,13,39; 不燃性ガス製造装置 12,27; 不燃性ガス製造部 14; モーター 16; ポンプ 18; タンク 20; 圧力センサ 22,24,30; バルブ 26; 空気吸引口 28; 空気吹出し口 32; フィルタ 34; 酸素濃度センサ 36; 燃焼容器 40; 空気流路を示す矢印

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 空気を連続的に供給し、物質の酸化反応
    を利用することにより該空気中の酸素濃度を15%以下
    にした不燃性ガスを連続的に製造することを特徴とする
    不燃性ガス製造方法。
  2. 【請求項2】 金属と、金属硫酸塩と、多孔質物質と、
    水とを混合して成ることを特徴とする不燃性ガス製造組
    成物。
  3. 【請求項3】 反応助剤を混合させることを特徴とする
    請求項2に記載する不燃性ガス製造組成物。
  4. 【請求項4】 前記請求項2又は請求項3に記載する不
    燃性ガス製造組成物を充填した1又は複数本の筒状容器
    を接続して構成された不燃性ガス製造部と、該不燃性ガ
    ス製造部に空気を通過させるためのポンプとを備えてな
    ることを特徴とする不燃性ガス製造装置。
  5. 【請求項5】 前記不燃性ガス製造部の空気吹出し口側
    に酸素濃度センサを配設し、充填した不燃性ガス製造組
    成物の取替時期を知らせる報知手段を備えたことを特徴
    とする請求項4に記載する不燃性ガス製造装置。
  6. 【請求項6】 製造した不燃性ガスを一定圧力で封入し
    得るタンクを備えたことを特徴とする請求項4又は請求
    項5に記載する不燃性ガス製造装置。
  7. 【請求項7】 前記タンク内に圧力センサを配設し、タ
    ンク内のガスが減少して圧力が下がると前記ポンプを作
    動させてガスを補給する制御手段を備えたことを特徴と
    する請求項6に記載する不燃性ガス製造装置。
  8. 【請求項8】 前記請求項4乃至請求項7のいずれかに
    記載する不燃性ガス製造装置と、該装置により製造され
    る酸素濃度を15%以下にした空気を不燃性ガスとして
    火災対象物に放出する放出ノズルとを備え、該放出ノズ
    ルから該不燃性ガスを放出することにより火災部分の酸
    素濃度を低下させて消火することを特徴とする消火設
    備。
  9. 【請求項9】 前記請求項4乃至請求項7のいずれかに
    記載する不燃性ガス製造装置を備えるとともに、該装置
    の吹出し口及び吸引口を室内に備え、火災時に該不燃性
    ガス製造装置を介して室内の空気を循環させることによ
    り火災場所の酸素濃度を低下させて消火することを特徴
    とする消火設備。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10263109A (ja) * 1997-03-27 1998-10-06 Nohmi Bosai Ltd 消火方法および消火装置
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JP2009505360A (ja) * 2005-08-18 2009-02-05 フォルシュングスツェントルム・ユーリッヒ・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング アノードの再酸化に対するアノード支持型高温燃料電池の保護

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