JPH0723160B2 - ネッキング成形性・フランジ成形性に優れたアルミニウム合金製di缶胴 - Google Patents

ネッキング成形性・フランジ成形性に優れたアルミニウム合金製di缶胴

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JPH0723160B2 JP2187612A JP18761290A JPH0723160B2 JP H0723160 B2 JPH0723160 B2 JP H0723160B2 JP 2187612 A JP2187612 A JP 2187612A JP 18761290 A JP18761290 A JP 18761290A JP H0723160 B2 JPH0723160 B2 JP H0723160B2
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伸二 照田
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明は、DI加工(絞り−しごき加工)による2ピー
スアルミニウム缶用の缶胴、すなわちアルミニウム合金
製DI缶胴に関し、特にDI加工および塗装焼付け処理の後
に缶胴縁部に施されるネッキング成形およびフランジ成
形における成形性が良好なアルミニウム合金製DI缶胴に
関するものである。
従来の技術 成形加工用アルミニウム合金板、特にDI缶の缶胴材とし
て使用されるアルミニウム合金板については、より強度
の高い薄板を使用することによる経済的硬化を期待する
べく、近年は薄肉・高強度化が進められている。
このようなDI缶の缶胴材としては従来から種々のアルミ
ニウム合金が用いられているが、特にAl−Mg−Mn系合金
であるJIS3004合金が使用されることが多い。
ところでアルミニウム合金は一般に加工により硬化する
ことが知られており、前述のような3004合金を用いた缶
胴材の製造にあたっても、材料強度を高めるために冷間
圧延においてこの加工硬化現象を積極的に利用してい
る。
発明が解決しようとする課題 一般にDI缶の製造においては、DI加工によって缶胴を成
形した後、塗装焼付け処理を行ない、さらに缶胴の縁部
に対してネッキング成形(口絞り加工)およびフランジ
成形(つば出し加工)を行ない、その後缶蓋とともにシ
ーミング成形(縁部巻締め加工)を行なうのが通常であ
る。このように缶胴の縁部には、DI加工後に塗装焼付け
処理を施してからさらに成形加工(ネッキング成形、フ
ランジ成形、シーミング成形)が施されることになる
が、従来の缶胴材は一般にこれらの塗装焼付け処理後の
縁部の成形加工時にその縁部で加工硬化が生じやすく、
そのためこれらの成形加工において加工荷重を大きくせ
ざるを得ず、そのため装置の大型化が必要となったり、
成形加工部位で割れが生じたり、さらには成形加工部位
以外の部分の座屈が生じたりする問題があった。特に最
近のDI缶では薄肉化に伴なって胴部缶壁の肉厚が薄くな
る傾向が強まっており、そのため縁部の加工硬化を見込
んでその縁部の成形加工時の加工荷重を大きくすれば、
胴部で座屈が生じる危険性が高い。したがってDI缶の缶
胴材としては、強度が高いとともにDI加工時の成形性が
優れるのみならず、塗装焼付け処理後のネッキング成形
時およびフランジ成形時において加工硬化が生じないこ
と、すなわちネッキング成形性、フランジ成形性が優れ
ていることが望まれる。
この発明は以上の事情を背景としてなされたもので、単
に缶胴素材としての強度、DI成形性が優れるばかりでな
く、特にDI缶胴としてそのネッキング成形性、フランジ
成形性が優れていて、ネッキング成形時、フランジ成形
時における加工硬化が生じにくく、これらの成形のため
の荷重を小さくし得るアルミニウム合金製DI缶胴を提供
することを目的とするものである。
課題を解決するための手段 本発明者等は前述の課題を解決する手段について種々実
験・検討を繰返した結果、アルミニウム合金の成分組成
を適切に設定すると同時に、ネッキング成形、フランジ
成形に供される段階、すなわちDI加工および塗装焼付け
処理が既に施された段階でのDI缶胴の缶胴縁部の引張特
性のうち、0.1%耐力と0.2%耐力との比の値、および30
%伸びから70%伸びまでの間の加工硬化指数(N値)を
適切に調整しておくことによって、ネッキング成形、フ
ランジ成形における加工硬化が少なく、ネッキング成形
性、フランジ成形性が優れたアルミニウム合金製DI缶胴
が得られることを見出し、この発明をなすに至った。
具体的には、この発明の缶胴用アルミニウム硬質板は、
Si0.1〜0.5wt%、Fe0.2〜1.0wt%、Mn1.8wt%以下を含
有し、かつFe量とMn量との合計量が0.8〜2.0wt%の範囲
内にあり、さらにCu0.5wt%以下とMg1.8wt%以下のうち
1種または2種を含有し、残部がAlおよび不可避的不純
物よりなり、しかもDI加工および塗装焼付け処理が施さ
れた缶胴として、その缶胴の縁部の0.1%耐力
(σB0.1)と0.2%耐力(σB0.2)の比σB0.1/σB0.2
が0.90〜0.95の範囲内にあり、かつ30%伸びから70%伸
びまでの間の加工硬化指数(N値)が0.045以下である
ことを特徴とするものである。
作用 先ずこの発明のアルミニウム合金製DI缶胴における合金
成分の限定理由を検討する。
以下に示す各合金成分は、アルミニウムの成形時におけ
る加工硬化を抑えるとともに、強度、成形性の制御を目
的として添加されるものである。
Mn: Mnは強度向上に寄与するとともに成形性向上に有効な元
素である。特にこの発明で対象とするDI缶胴において
は、苛酷なしごき成形が施され、しかも塗装焼付け処理
後にも縁部に成形加工が施されるから、これらの成形時
における加工硬化を抑制するためにMnの添加は重要であ
る。通常数μm程度の金属間化合物は加工硬化を抑制す
ることは良く知られており、特にAl基地中に適切に分散
したMnとFeの化合物は、しごき成形のような高度の加工
を施した場合にはその後の成形では加工硬化を生じにく
くする作用を果たし、成形性の向上に寄与する。また一
方、通常アルミニウム合金板のしごき成形においてはエ
マルジョンタイプの潤滑剤が使用されているが、Mn系晶
出物が少ない場合には、同程度の強度を有していてもエ
マルジョンタイプの潤滑剤では潤滑能が不足し、ゴーリ
ングと称される擦り疵や焼付き等の外観不良が生じるお
それがある。Mn系晶出物はしごき成形時において固体潤
滑的な効果をもたらして、しごき成形後の外観不良の発
生を防止するに有効であるが、その効果は晶出物の大き
さ、量、種類に影響される。連続鋳造法を用いた冷却速
度の速い鋳造を行なう場合には、Mnが1.8wt%を越えて
添加されても特に支障なく鋳造できるばかりでなく、晶
出物サイズもその後の熱処理で調整可能であるが、現在
主流を占めているDC鋳造法では、Mnが1.8wt%を越えて
添加されれば、MnAl6の初晶巨大金属間化合物が生じ、
逆に著しく成形性を損なうおそれがある。そこでMnの添
加量の上限は1.8wt%とした。また前述のようにMnとFe
の化合物をAl基地中に適度に分散させて加工硬化の抑制
作用を得るためには、Mn量とFe量との合計量が0.8wt%
以上である必要があり、したがってMn量の下限はFe量と
のバランスにおいてその合計量を0.8wt%以上とした。
なおMn自体についての絶対量の下限は特に定めないが、
通常は0.2wt%以上が好ましい。
Fe: FeはSiとともにMnの晶出や析出を促進し、アルミニウム
基地中の固溶量やMn系不溶性化合物の分散状態を制御す
るために必要な元素であり、そのためにはMn添加量に応
じた適切なFe量、Si量とする必要がある。Fe量が0.2wt
%未満では、適正な化合物分散状態を得ることが困難と
なり、一方Fe量が1.0wt%を越えれば、Mn添加と相俟っ
て初晶巨大金属間化合物が発生して成形性を著しく損な
うおそれがある。そこでFe量は0.2〜1.0wt%の範囲内と
した。
Si: Siが添加されている場合、Mg2Si系化合物の析出過程で
も時効硬化が期待できることは良く知られているが、こ
の発明におけるSiの役割は、強度向上よりもむしろMnお
よびFeの析出を促進して金属間化合物の適切な分散状態
を得る点にある。Siの量が0.1wt%未満では適切な化合
物分散状態を得ることが難しく、一方0.5wt%を越えれ
ばMnおよびFeの析出を促進させる効果が飽和し、しかも
Mg2Siによる時効硬化が進んだり、それ自体の固溶によ
る加工性が増して、成形性、特に塗装焼付け処理後のDI
缶胴に対するネッキング成形性、フランジ成形性が悪く
なる。したがってSi量は0.1〜0.5wt%の範囲内とした。
Mg: MgはCu,Siとの共存によりG.P.ゾーン→β′Mg2Si→βMg
2Si、あるいはG.P.ゾーン→S′Al2CuMg→SAl2CuMgのよ
うな析出過程をたどり、中間相の析出段階で強度向上に
寄与する。またMgは単独でも固溶強化に寄与する元素で
ある。このようにMgは強度向上に不可欠な元素である
が、Mg添加による効果が大き過ぎれば加工硬化が生じや
すくなる。特にMg量が1.8wt%を越えれば、加工硬化し
やすくなって成形性、特に再絞り性やしごき加工性、DI
缶胴における塗装焼付け後の縁部の成形性、すなわちネ
ッキング成形性およびフランジ成形性を悪化させる。し
たがってMg量は1.8wt%以下とする必要がある。なおMg
量の下限は特に定めないが、Mg添加による強度向上を期
待する場合、0.3wt%以上添加することが好ましい。
Cu: CuはMgと同様にそれ自体の固溶により強度向上に寄与す
るとともに、Al−Cu−Mg系析出物の析出過程での時効硬
化を利用して強度向上に寄与する。但し0.5wt%を越え
てCuを添加した場合、時効硬化は容易に得られるもの
の、成形加工中に加工硬化が生じやすくなって成形性を
損なうから、Cuの添加量上限は0.5wt%とした。なおCu
量の下限は特に定めないが、Cu量が0.1wt%未満では上
述の効果がほとんど期待できないから、0.1wt%以上添
加することが好ましい。
以上の各成分の残部は、基本的にはAlおよび不可避的不
純物とすれば良い。なお通常のアルミニウム合金におい
ては鋳塊結晶粒微細化のために、Ti、あるいはTiおよび
Bを微量添加することがあり、この発明の場合において
も微量のTi、あるいはTiおよびBを含有していても良
い。但し、Tiを添加する場合、0.01wt%未満ではTi添加
の効果が得られず、一方0.2wt%を越えれば初晶TiAl3
晶出して成形性を害するから、Tiは0.01〜0.2wt%の範
囲内とすることが好ましい。またTiとともにBを添加す
る場合、Bが1ppm未満ではB添加の効果が得られず、一
方Bが500ppmを越えればTiB2の粗大粒子が混入して成形
性を害するから、Bは1〜500ppmの範囲内とすることが
好ましい。そのほか、鋳造時の溶湯酸化防止のためにBe
を0.02wt%以下の範囲で添加しても良い。さらに不純物
としてCr,Zn,V,Zr等の元素が微量含有されていても良
く、Cr0.3wt%以下、Zn0.1wt%以下、V0.3wt%以下、Zr
0.3wt%以下であれば特にこの発明の効果が損なわれる
ことはない。
この発明のアルミニウム合金製DI缶胴においては、優れ
たネッキング成形性、フランジ成形性を与えるために
は、前述のような成分組成を有するほか、さらにDI加工
および塗装焼付け処理後の缶胴の縁部の引張り特性とし
て、0.1%耐力(σB0.1)と0.2%耐力(σB0.2)との比
σB0.1/σB0.2を0.90〜0.95の範囲内とし、しかも30%
伸びから70%伸びまでの間における加工硬化指数(N
値)を0.045以下とする必要がある。このように引張り
特性を定めた理由は次の通りである。
一般に成形加工用アルミニウム合金硬質板の強度をあら
わす指標としては0.2%耐力が用いられており、実際缶
胴材の薄肉化を図るための高強度化のためには0.2%耐
力を高めることが有効である。一方本発明者等の研究に
よれば、缶胴の縁部に対するネッキング成形の如き低加
工度成形の場合、0.1%耐力が成形荷重に関係し、その
0.1%耐力を小さくすることが成形荷重の低減に有効で
あることを見出した。すなわち、強度を確保しかつ缶胴
の縁部に対するネッキング成形における成形荷重を小さ
くするためには、0.1%耐力と0.2%耐力との比σB0.1
σB0.2を小さくすることが有効である。従来の一般的な
成形加工用アルミニウム合金硬質板からなるDI缶胴では
σB0.1/σB0.2の値が0.95よりも大きいのが通常であっ
たが、この発明のアルミニウム合金製DI缶胴では縁部の
σB0.1/σB0.2の値を0.95以下とすることによって、前
述のようなネッキング成形における成形荷重を小さくす
ることが可能となった。ここで第1図に、アルミニウム
合金製DI缶胴の縁部の引張り特性としてその応力−歪曲
線(S−Sカーブ)を示す。第1図の実線がこの発明の
アルミニウム合金製DI缶胴縁部(σB0.1/σB0.2≦0.9
5)のS−Sカーブを示し、破線が従来のσB0.1/σ
B0.2>0.95のアルミニウム合金製DI缶胴縁部のS−Sカ
ーブを示す。第1図から理解できるように、σB0.1/σ
B0.2の値が小さいことは、弾性変形域から塑性変形域に
入った初期のS−Sカーブの曲がりが緩やかであること
を意味し、このことは、成形加工における塑性変形開始
時において応力と歪の関係が急激に変化せず、塑性変形
が滑らかに行なわれることを意味する。このようにσ
B0.1/σB0.2の値を0.95以下と小さくすることにより、
強度は確保しつつも、ネッキング成形における成形荷重
を小さくし、かつネッキング成形を円滑に行なうこと、
したがってネッキング成形性を向上させることができ
る。なおσB0.1/σB0.2の比の値を0.90よりもさらに小
さくすることは一般に困難であり、またその必要もない
から、σB0.1/σB0.2の値は0.90〜0.95の範囲内とし
た。
一方、30%伸びから70%伸びに至るまでの間のN値と
は、荷重最大点の伸び(破断伸び)の30%、70%間の加
工硬化指数を意味する。具体的には、第2図の荷重−伸
び曲線について示しているように、荷重最大点に相当す
る伸びすなわち最大荷重点伸びをeとし、その最大荷重
点伸びeの30%に相当する伸びを30%伸びe1(=0.3
e)、最大荷重点伸びeの70%に相当する伸びを70%伸
びe2(=0.7e)とし、e1,e2に対応する荷重をP1,P2とす
れば、N値は次式で与えられる。
(但し、e1,e2はいずれも%とする) このようなN値は、30%伸びから70%伸びに至るまでの
間のS−Sカーブの傾きに相関し、N値が小さいほど30
%伸びから70%伸びまでの間の傾きが小さくなる。従来
の一般的な成形加工用アルミニウム合金製DI缶胴縁部で
はこのN値が0.045よりも大きく、第1図の破線で示す
ように30%伸びから70%伸びまでのS−Sカーブの傾き
も大きかったが、この発明のアルミニウム合金製DI缶胴
縁部ではN値が0.045以下で、第1図の実線で示すよう
に30%伸びから70%伸びまでのS−Sカーブの傾きが小
さい。この傾きは、見掛けの加工硬化に相当し、フラン
ジ成形の如き強加工の場合には上気のN値を0.045以下
として30%から70%までの間のS−Sカーブの傾きを小
さくすることが、成形荷重を小さくして、フランジ成形
性を向上させるに有効であることを見出した。
以上のように、σB0.1/σB0.2の値を0.90〜0.95の範囲
内としかつ30%伸びから70%伸びまでの間のN値を0.04
5以下とすることによって従来一般のアルミニウム合金
製DI缶胴縁部と比較して、同一の0.2%耐力を有してい
てもネッキング成形時およびフランジ成形時の成形荷重
を小さくして、ネッキング成形性、フランジ成形性を向
上させることができる。
次にこの発明のアルミニウム合金製DI缶胴の製造方法に
ついて説明する。
先ず前述のような成分組成を有する合金の溶湯を常法に
従って溶製し、さらに常法に従って鋳造する。この鋳造
法としては、DC鋳造法(半連続鋳造法)を適用すること
が好ましく、DC鋳造により得られた鋳塊を用いた場合に
は、後述する再結晶焼鈍の後に強加工を施せば、加工硬
化を抑制するに最適な晶出物の分散状態が得られる。
次いで鋳塊に対して、均質化熱処理を施した後に熱間圧
延前予備加熱を行なうか、または均質化熱処理を兼ねた
熱間圧延前予備加熱を施し、引続き熱間圧延を行なう。
均質化熱処理の条件は特に限定しないが、通常は500〜6
20℃×2〜20時間とすれば良く、また熱間圧延は常法に
従って行なえば良い。
熱間圧延後には、冷却してから再結晶焼鈍(中間焼鈍)
を行なうかまたは冷却せずにそのまま再結晶焼鈍を行な
い、その後冷間圧延を行なう。あるいは熱間圧延後に再
結晶焼鈍を行なわずにただちに冷間圧延を行なう。また
これらのいずれの場合も冷間圧延の中途で中間焼鈍を挟
んでも良い。
上述のようにして冷間圧延により所要の板厚とした硬質
板については、DI加工(絞り−しごき加工)を施して缶
胴とし、さらに塗装焼付け処理を行なう。このようにし
て得られた塗装焼付け処理後の缶胴を実際に缶に用いる
にあたっては、缶胴の縁部に対し、ネッキング成形、フ
ランジ成形、シーミング成形を行なう。なおこの過程に
おいて、塗装焼付け処理はその後の成形性を良好に維持
するため、再結晶させないような条件とすることが必要
である。またDI加工時の成形性、特に深絞り性を重視す
る場合は、冷間圧延により得られた所要の板厚の板に対
して、さらに90〜300℃程度の温度で最終焼鈍を行なっ
てから、DI加工等を行なっても良い。但し、このように
冷間圧延後の板に対してDI加工前に最終焼鈍を施す場合
も、その最終焼鈍では再結晶しないようにする必要があ
る。
上宛のところにおいて、DI加工・塗装焼付け処理後の缶
胴の縁部に対するネッキング成形、フランジ成形におけ
る成形荷重を小さくするべく、缶胴縁部が前述のような
耐力比σB0.1/σB0.2およびN値の規定を満たす缶胴を
得るためには、再結晶が生じるような最終の処理の後、
缶胴縁部に対する成形の前までの冷間加工(冷間圧延と
DI加工を含む)の加工度を、冷間圧下率相当で80%以上
とすれば良い。すなわち、再結晶が生じるような処理後
の板厚をt1とし、その後冷間圧延およびDI加工を経た後
の缶胴の縁部の肉厚をt2とすれば、 (t1−t2)/t1×100(%) を冷間圧延相当圧下率とし、その値が80%以上となるよ
うに冷間圧延およびDI加工の加工度を定めれば良い。
具体的には、熱間圧延後に再結晶焼鈍および中間焼鈍の
いずれも行なわずに冷間圧延し、その後DI加工を施す場
合、熱間圧延上りの板厚を前記のt1とし、DI加工後の縁
部の厚みをt2とし、前記式の冷間圧延相当圧下率が80%
以上となるように定めれば良い。また熱間圧延後に再結
晶焼鈍、もしくは冷間圧延中途での中間焼鈍、またはそ
の両者を行なう場合には、再結晶焼鈍と中間焼鈍のうち
いずれか遅い方の焼鈍の後の板厚をt1とし、その後冷間
圧延およびDI加工を行なった後の缶胴の縁部厚みをt2
して、前記式の冷間圧延相当圧下率が80%以上となるよ
うに定めれば良い。
なお前述の再結晶焼鈍、中間焼鈍後の条件は特に限定し
ないが、通常は、箱型焼鈍炉を用いたバッチ式の焼鈍の
場合は、300〜400℃×0.5〜10時間保持とし、連続炉を
用いた連続焼鈍の場合は380〜600℃に加熱して保持なし
もしくは10分以下の保持とすれば良い。
以上のような工程を経て、この発明で目的とするネッキ
ング成形性、フランジ成形性の優れたアルミニウム合金
製DI缶胴を得ることができる。
実 施 例 第1表に示すような本発明成分組成範囲内の合金につい
て、常法に従ってDC鋳造し、得られた鋳塊に対して600
℃×6時間の均質化熱処理を行なった後、熱間圧延を行
ない、第2表に示すように板厚4.4mmもしくは2.0mmの熱
延板を得た。次いで一部のものは冷間圧延を行なって板
厚0.62mmとして、また他のものは冷間圧延を行なわずに
熱延上りのままで、第2表中に示すような条件で再結晶
焼鈍(中間焼鈍)を行ない、その後最終冷間圧延を行な
って最終板厚0.28mmの圧延板を得た。
以上のようにして得られた各板について、2ピース缶胴
とするためのDI加工を行ない、さらに塗装焼付け処理に
相当する200℃×20分のベーキングを行なった。DI加工
後の缶胴の縁部の板厚と、再結晶焼鈍(中間焼鈍)を行
なってからDI加工後までの缶胴縁部の加工率と、ベーキ
ング後の缶胴縁部の耐力(0.2%耐力)、同じくベーキ
ング後の缶胴縁部の30%伸びから70%伸びまでの間のN
値、0.1%耐力と0.2%耐力との比の値を第3表中に示
す。
さらにその缶胴の縁部に対してネッキング成形を施し、
そのネッキング成形における成形性の評価として、ネッ
キング成形荷重と、シワの発生程度を調べた。その結果
を第3表中に併せて示す。なおここでネッキング成形は
絞り率4%、クリアランス30%の条件で行なった。また
ネッキグのシワ発生程度は、従来の一般的なプロセスで
あるNo.1のプロセスによる場合を基準として良(○印)
とし、それよりも良好な場合に◎印を付した。
さらにネッキング成形後のフランジ成形における成形荷
重を調べたので、その結果を第3表中に示す。なおここ
で、フランジ成形荷重は、第3図に示すように、DI缶胴
1の縁部2に対してフランジ部曲率Rが17mmの押し込み
金具3を押し込み、フランジ相当長さlが4mmとなると
きの荷重を調べた。
第3表に示すように、製造プロセス番号No.2の場合に
は、30%伸びから70%伸びまでの間のN値が0.045以下
となりかつ0.1%耐力と0.2%耐力との比が0.90〜0.95の
範囲内となり、この場合には上記各値が各範囲を外れた
比較例(製造プロセス番号No.1)と比べて、0.2%耐力
は同程度でも0.1%耐力が低くかつN値も低いため、ネ
ッキング成形荷重、フランジ成形荷重がともに低くて済
み、またネッキング成形におけるシワの発生も少ないこ
とが判る。
発明の効果 この発明のアルミニウム合金製DI缶胴は、成分組成を適
切に設定すると同時に、ネッキング成形、フランジ成形
に供される状態すなわちDI加工および塗装焼付け処理後
の状態における缶胴の縁部の引張り特性として。0.1%
耐力と0.2%耐力との比、および30%伸びから70%伸び
までの間のN値を適切な範囲に定めることによって、従
来のアルミニウム合金製缶胴と比較して同程度の高強度
を有していても、縁部に対するネッキング成形時、フラ
ンジ成形時の加工硬化が少ないため、ネッキング成形
性、フランジ成形性が優れている。したがってこの発明
のアルミニウム合金製缶胴によれば、ネッキング成形、
フランジ成形における加工硬化による成形不良の発生を
防止できるとともに、ネッキング成形時、フランジ成形
時の加工荷重を小さくして、これらの成形時に缶胴に座
屈が生じることを防止でき、かつ成形のための設備のコ
スト低減を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
第1図はアルミニウム合金製缶胴の縁部の応力−歪曲線
を示す線図、第2図は同じくアルミニウム合金製缶胴の
縁部の荷重−伸び曲線を示す線図、第3図は実施例にお
いてフランジ成形を行なっている状態を模式的に示す略
解図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−258454(JP,A) 特開 昭64−52042(JP,A) 特開 昭57−185962(JP,A) 特開 昭59−76864(JP,A) 特公 昭54−8328(JP,B1)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Si0.1〜0.5wt%、Fe0.2〜1.0wt%、Mn1.8w
    t%以下を含有し、かつFe量とMn量との合計量が0.8〜2.
    0wt%の範囲内にあり、さらにCu0.5wt%以下とMg1.8wt
    %以下のうち1種または2種を含有し、残部がAlおよび
    不可避的不純物よりなり、しかもDI加工および塗装焼付
    け処理が施された缶胴として、その缶胴の縁部の0.1%
    耐力(σB0.1)と0.2%耐力(σB0.2)の比σB0.1/σ
    B0.2が0.90〜0.95の範囲内にあり、かつ30%伸びから70
    %伸びまでの間の加工硬化指数(N値)が0.045以下で
    あることを特徴とするネッキング成形性・フランジ成形
    性に優れたアルミニウム合金製DI缶胴。
JP2187612A 1990-07-16 1990-07-16 ネッキング成形性・フランジ成形性に優れたアルミニウム合金製di缶胴 Expired - Fee Related JPH0723160B2 (ja)

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