JPH0722133U - 等速自在継手 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 グリース潤滑によらず、長期にわたり潤滑作
用のある等速自在継手を提供する。 【構成】 軸付きの内輪２１、外輪２２、両者の間に介
在された転動体２３とその保持器２４とからなる等速自
在継手において、上記各部材相互間の摺接する二面のう
ちのいずれか一方の面に溝を形成し、その溝に固形潤滑
剤を充填した構成とした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、自動車用エアコンプレッサ等に用いられる等速自在継手に関する ものである。

【０００２】

【従来の技術】

自動車用の斜板式エアコンプレッサにおけるプラネットプレート回止め機構の 振動、騒音の低減を図るため、従来の傘歯車機構に替えて、等速自在継手を用い ることが知られている。図８はその一例であり、駆動軸１に固定された斜板２に スラスト軸受３を介してプラネットプレート４を取付け、そのプラネットプレー ト４に球面結合されたピストンロッド５がシリンダーブロック６の中を往復運動 する。このとき、斜板２の回転に伴ないプラネットプレート４が回転することな く、みそすり運動のみを行うように、等速自在継手７が用いられる。

【０００３】 上記の等速自在継手７は、プラネットプレート４に固定された外輪８、軸９と 一体の内輪１０、外輪８と内輪９の間に介在された複数の鋼球１１及びその鋼球 １１の保持器１２とから成る。内輪１０の軸９はシリンダブロック６にキー１３ で回り止めされ、かつその軸９内に収納した予圧ばね１４をケース１５に押し当 て、内輪１０と外輪８相互間に予圧を与える。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

上記の等速自在継手は、自動車用エアコンプレッサにおける低振動、低騒音対 策として有効であるが、潤滑不足になる問題がある。即ち、車両の駆動系に使用 される等速自在継手の場合は、潤滑剤としてグリースが充填され、そのグリース の漏れ防止のためにゴムブーツが被せられるが、自動車用エアコンプレッサの場 合は、その容積上の制限からゴムブーツを被せることができない。このため、駆 動系の等速自在継手のごときグリース潤滑を採用することができない問題がある 。

【０００５】 そこで、この考案はグリース潤滑によることなく等速自在継手の十分な潤滑が 出来るようにし、自動車用エアコンプレッサのように、容積上の制限のある部分 にも等速自在継手を用いることができるようにすることを課題とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

上記の課題を解決するために、この考案は軸付きの内輪、外輪、両者の間に介 在された転動体とその保持器とからなる等速自在継手において、上記各部材相互 間の摺接する二面のうちのいずれか一方の面に溝を形成し、その溝に固形潤滑剤 を充填した構成としたものである。

【０００７】

【作用】

上記構成の等速自在継手は、構成部材の摺接面の全部又は一部が固形潤滑剤に より潤滑される。

【０００８】

【実施例】

図１に示した実施例の等速自在継手は、軸２０を有する内輪２１、外輪２２、 両者の間に介在された鋼球２３及びその保持器２４とからなり、外輪２２から軸 ２０へ、又はこの反対に等速性を保持してトルクを伝達する。

【０００９】 上記の内輪２１は、図２及び図３に示すように、その外周面に軸方向の数本の ボール溝２５が等配位置に形成され、そのボール溝２５に鋼球２３が転動自在に 嵌められる。

【００１０】 上記のボール溝２５の相互間の外周面に軸方向の溝２６が形成され、その溝２ ６に固形潤滑剤２７が充填される。この固形潤滑剤２７は、超高分量ポリオレフ ィンと潤滑グリースの混合物からなる固形潤滑組成物であり、更に詳しくは、「 プラスチックグリース」「ポリルーブ」の商品名で知られているものであり、平 均分子量約１×１０⁶ 〜５×１０⁶ の超高分子量ポリエチレン９５〜１ｗｔ％と 、その超高分子量ポリエチレンのゲル化温度より高い滴点を有する潤滑グリース ５〜９９ｗｔ％とからなる混合物を上記所定の空所に充填したのち、上記超高分 子量ポリエチレンのゲル化温度以上に加熱し、その後冷却固化せしめたものであ る（特公昭６３−２３２３９号公報参照）。

【００１１】 その他の例として、平均分子量約１×１０⁶ 〜５×１０⁶ の超高分子量ポリオ レフィンのゲル化点より高い滴点を有する潤滑グリース５〜９９ｗｔ％に粒径１ 〜１００μｍの前記超高分子量ポリオレフィン粉末９５〜１ｗｔ％を混合して前 記ゲル化点以上の温度で分散保持させたものでもよい。

【００１２】 上記いずれの場合も、固体ワックス等の油の滲み出し抑制添加物を加えること がある。

【００１３】 なお、図２において２８はバネ収納穴である。

【００１４】 保持器２４は図４及び図５に示すように周方向の等配位置にボール窓２９が形 成される。その保持器２４の外周面において、上記ボール窓２９相互間の柱部分 に軸方向の溝３１が形成され、その溝３１に前記と同様の固形潤滑剤２７が充填 される。

【００１５】 外輪２２は、図６及び図７に示すように、その内周面に軸方向のボール溝３２ が周方向に等配間隔で形成される。

【００１６】 上記の内輪２１、外輪２２、鋼球２３及び保持器２４を組立てた図１の状態で 内輪２１と保持器２４との間の摺接面は、内輪２１の外周面の溝２６に充填され た固形潤滑剤２７により潤滑される。また、外輪２２と保持器２４の間の摺接面 は、保持器２４の外周に形成された溝３１に充填された固形潤滑剤２７により潤 滑される。鋼球２３の転動面は、上記の固形潤滑剤２７から滲出する油分により 潤滑される。

【００１７】 なお、内輪２１と保持器２４との間の摺接面は、保持器２４の内周面に前記と 同様の溝２６’を形成し（図４の一点鎖線参照）、その溝２６’に充填した固形 潤滑剤により潤滑するようにしてもよい。

【００１８】 また、外輪２２と保持器２４との摺接面は、外輪２２の内周面に前記と同様の 溝３１’を形成し（図６、図７の一点鎖線参照）、その溝３１’に充填した固形 潤滑剤により潤滑するようにしてもよい。

【００１９】 以上述べた等速自在継手は、例えば図８に示すごとく、自動車用エアコンプレ ッサにおけるプラネットプレートの回止め機構に用いられ、長期にわたり無給脂 で運転することができる。

【００２０】

【考案の効果】

この考案の等速自在継手は固形潤滑剤により潤滑されるので、その漏れ防止対 策としてのブーツを被せる必要がない。従って、容積上の制限を受ける自動車用 エアコンプレッサ等に使用するのに便利であり、しかも長期にわたり無給脂運転 ができる効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例の断面図

【図２】同上の内輪の断面図

【図３】同上の内輪の端面図

【図４】同上の保持器の拡大断面図

【図５】同上の保持器の端面図

【図６】同上の外輪の断面図

【図７】同上の外輪の端面図

【図８】従来例のエアコンプレッサの断面図

【符号の説明】

１ 駆動軸 ２ 斜板 ３ スラスト軸受 ４ プラネットプレート ５ ピストンロッド ６ シリンダブロック ７ 等速自在継手 ８ 外輪 ９ 軸 １０ 内輪 １１ 鋼球 １２ 保持器 １３ キー １４ バネ １５ ケース ２０ 軸 ２１ 内輪 ２２ 外輪 ２３ 鋼球 ２４ 保持器 ２５ ボール溝 ２６、２６’ 溝 ２７ 固形潤滑剤 ２８ バネ収納穴 ２９ ボール窓 ３１、３１’ 溝 ３２ ボール溝

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 軸付きの内輪、外輪、両者の間に介在さ
   れた転動体とその保持器とからなる等速自在継手におい
   て、上記各部材相互間の摺接する二面のうちのいずれか
   一方の面に溝を形成し、その溝に固形潤滑剤を充填した
   ことを特徴とする等速自在継手。