JPH0720567Y2 - マーキングロツド - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この考案は壁面など垂直面の一定高さ位置にマーキング
をする際使用するマーキングロッドに関する。

〔従来の技術〕

従来、壁面などの垂直面の一定高さ位置にマーキングを
する場合、先ず第10図に示すように水準測定機１に対向
して壁面に垂直に置かれたスケール２の目盛を読みとり
レベルl₁を知る。今、仮りに、床面からl₂の高さの壁面
にマーキングしたい場合、作業員は第11図に示す所謂バ
カ棒３を別途用意する。即ち該バカ棒３は適宜角材片４
を用意し角材片４の一端部５からl₁−l₂＝l₃の位置にマ
ーク６をつけると共に該マーク６が水準測定機１を通し
て良く観取できるよう必要に応じて該マーク６の左右か
らマーク６方向に向って矢視マーク７を付したものであ
る。

次いで第12図に示すように作業員中の一名は壁面に前記
バカ棒３の一端部５を下にして垂直に当接し、他の一名
は水準測定機１を通してバカ棒３上のマーク６を観取し
該マーク６と水準測定機１のレベルが一致するまでバカ
棒３を上下して位置決めを行なった後、該バカ棒３の一
端部５の位置に墨さし８を用いてマーキングすることに
より床面からl₂の高さ位置に目的とするマークを付して
いた。

然しながら、水準測定機１によるレベルは水準測定機１
の三脚の伸長度，開度等により常に一定レベルに位置す
るものではなく、又、必要とするマーキングの位置もま
ちまちであるから、マーキングを行なう都度バカ棒を作
成する必要があり、然もバカ棒を上下させてのレベルの
位置合せに必要以上の労力と時間を要し、極めて煩雑か
つ非能率であった。

そこで出願人はさきにレベル合せの必要のない、容易に
マーキング位置を決定することのできるマーキングロッ
ドを得ることを目的として、レベルセッターに一端が固
着され、かつレベルセッターから垂直方向に延びる固定
ロッド、及びレベルセッターに設けられたスリットに摺
動自在に固定ロッドと平行して配置されたスライドロッ
ドを備え、前記レベルセッターの正面側基準線上にはス
ライドロッド上の目盛を読みとるための窓、及び目盛指
示器を、更に、レベルセッターの適所にはスライドロッ
ドのストッパーネジをそれぞれ設け、前記固定ロッドの
正面側にはレベルセッターの基準線を起点とする適宜単
位の目盛が、また、スライドロッドの正面側にも固定ロ
ッドと同単位の目盛がそれぞれ付され、背面側には、前
記レベルセッターのスリットを通してスライドロッドを
固定ロッドの反対側に摺動したときに、レベルセッター
側と反対側の固定ロッド先端部を起点とし、固定ロッド
からスライドロッドに及ぶ適宜単位の目盛によって連続
したスケールを形成したマーキングロッドを考案し、マ
ーキングロッドの背面側で固定ロッドとスライドロッド
によりスケールを形成し、水準測定機によりスライドロ
ッドの背面側の目盛を読取り、実際にマーキングすべき
レベルの高さとの差を求め、前記差に相当するスライド
ロッドの正面側の目盛を目盛指示器と一致せしめ、次い
で前記水準測定機によりスライドロッド正面側の任意の
目盛を読取り、該目盛に相当する固定ロッド正面側の目
盛位置にマーキングを行うことによって、マーキングす
べきレベルの高さ位置を決定することができた。

然しながら前記マーキングロッドにおいては、固定ロッ
ドとスライドロッドが平行状態に配置されているため、
レベルセッターをはじめとするマーキングロッド全体が
大型化し、形状も複雑で取扱いに不便な点が認められ、
然もマーキング時におけるスライドロッドの目盛位置の
調整はレベルセッター正面側に設けた窓及び目盛指示器
を通して行われるため、目盛部分の明暗などにより誤差
を生じ易く、スライドロッドの固定もレベルセッター上
のストッパーネジを回転することにより直接スライドロ
ッドを押圧するものであるために、ネジ先端の接触，回
転によりスライドロッドが微動するなどの問題点が指摘
された。

〔考案が解決しようとする課題〕

この考案は、固定ロッドとスライドロッドを重ね合せて
マーキングロッド全体を単純化，小型化し、誰でも容易
に取扱うことができ、然もストッパーにより固定ロッド
を介してスライドロッドを押圧固定して、正確なマーキ
ングを行うことのできる実用に適したマーキングロッド
を得ることを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

レベルセッターの上部端面に一端が固着され、かつレベ
ルセッターに設けられたスリットを貫通して垂直方向に
延びる固定ロッド、及び該レベルセッターの前記スリッ
トに摺動自在に、かつ固定ロッドの裏面側に重なり合っ
て配置されたスライドロッドを備え、前記レベルセッタ
ーの正面側には固定ロッドを介してスライドロッドを押
圧固定するスライドロッドのストッパーを設け、前記固
定ロッドの正面側にはレベルセッターの上部端面を起点
とする適宜単位の目盛が、また、スライドロッドの正面
側にも固定ロッドと同単位の目盛がそれぞれ付され、背
面側には、前記レベルセッターのスリットを通してスラ
イドロッドを固定ロッドの反対側に摺動したときに、レ
ベルセッター側と反対側の固定ロッド先端部を起点と
し、固定ロッドからスライドロッドに及ぶ適宜単位の目
盛によって連続したスケールを形成し、更にはレベルセ
ッターの上部端面に段差を設け、段差面を固定ロッドの
起点とし最上端面をスライドロッド端部の係止面とし
た。

〔作用〕

マーキングロッドの背面側で固定ロッドとスライドロッ
ドによりスケールを形成し、水準測定機によりスライド
ロッドの裏面側の目盛を読取り、実際にマーキングすべ
きレベルの高さとの差を求め、前記差に相当するスライ
ドロッドの正面側の目盛を段差面と一致せしめ、次いで
前記水準測定機によりスライドロッド正面側の任意の目
盛を読取り、該目盛に相当する固定ロッド正面側の目盛
位置にマークを施すことにより、誤差のない極めて正確
なマーキングが可能である。

〔実施例〕

以下図面と共に本考案の実施例を説明する。

第１図乃至第３図に示すように、この考案のマーキング
ロッド10は、上端に段差を設けたレベルセッター11と、
レベルセッター11の前記段差の段差面12を起点として一
端が固着され、かつレベルセッター11のスリット13を貫
通して垂直方向に延びる長さL₁の固定ロッド14、及び該
固定ロッド14の裏面側に重なり合って配置され該レベル
セッター11の前記スリット13を貫通して摺動する長さL₂
のスライドロッド15を備え、該スライドロッド15の上端
部は前記レベルセッター11の段差部の最上面16に係止し
ている。そしてレベルセッター11の正面側にはスライド
ロッド15をレベルセッター11に固定するストッパー17が
設けられている。18は本考案マーキングロッド10を把持
するための握り部である。

然して該レベルセッター11は第４図，第５図に断面図で
示すように、前記したレベルセッター11の段差面12を起
点とする固定ロッド14が、鋲，その他適宜係止具19によ
りスリット13内に固定され、固定ロッド14の裏面側には
スライドロッド15が重なり合った状態でスリット13内を
摺動自在に貫通配置されている。レベルセッター11の正
面側の窓20内には、底面21を固定ロッド14の表面に接触
し固定ロッド14の長さ方向に前後進するＬ型のシュー22
からなるストッパー17が設けられている。そして該シュ
ー22を前進させたときはシュー22は第４図に示すように
スリット13内の斜面23に沿って前進下降し、底面21で固
定ロッド14を押圧し、その結果、固定ロッド14とスライ
ドロッド15が面接触し、スライドロッド15に圧力が加え
られスライドロッド15が固定される。

更に前記固定ロッド14の正面側には、第１図に示すよう
にレベルセッター11の段差面12を起点０とし適宜単位の
目盛（図においては100mm毎の目盛のみをcm単位で表示
し、かつ1000mm迄示した）が付されており、又、スライ
ドロッド15の正面側にも前記固定ロッド14と同単位の目
盛が付されている。なお、固定ロッド14は10mm毎にｌ〜
９の繰返し表示で、又、スライドロッド15は水準測定機
での測定を容易にするため縦数字で連続数値を表示する
と好適である。

前記マーキングロッド10の背面側には、第６図，第７図
に示すように、前記レベルセッター11のスリットを通し
てスライドロッド15を固定ロッド14と反対側に摺動した
ときに、レベルセッター11側と反対側の固定ロッド12の
先端部24を起点とし、固定ロッド14からスライドロッド
15に及ぶ適宜単位の目盛（図においては先端部24から10
0mm毎の目盛をcm単位で表示した）が付されており、第
７図に示すように固定ロッド14とスライドロッド15の目
盛は連続した一つのスケールを形成する。

なお前記実施例において、レベルセッター11の上部端面
に段差を設け、段差面12を固定ロッド14の起点とし、最
上面16をスライドロッド15端部の係止面とするものとし
て図示し且つ説明したが、必ずしも段差を設ける必要は
なく、レベルセッター11の上部端面を固定ロッド14の起
点及びスライドロッド15端部の係止面としても差支えな
い。然し段差部を設けることによりスライドロッド15を
引出す際に端部の把持が容易となって便利である。

又、レベルセッター11のストッパー17は、固定ロッド14
上をストッパー17のＬ型シュー22が前後進することによ
り固定ロッド14を介してスライドロッド15を押圧固定す
るものとして述べたが、要はスライドロッド15の固定時
にスライドロッド15に対しその摺動方向に働く力が直接
作用せず、スライドロッド15のセット位置を変えること
のない構成のストッパーであるならば、必ずしも前記構
成からなるストッパーに限定されるものではない。更に
又、レベルセッター11の裏面には磁石25を設けるとマー
キングロッド10を鋼鉄製の壁面等に吸着使用することが
できて好適である。

次に上記構成からなる本考案のマーキングロッドによる
マーキングの方法について説明する。

先ず、第７図に示すようにスライドロッド15を摺動し、
レベルセッター11のストッパー17により固定し、マーキ
ングロッド10の背面側で固定ロッド14とスライドロッド
15によりスケールを形成する。

次に該背面側の目盛が読取れるように固定ロッド14の端
部24を床面26に接して壁面に垂直に立て、図示を省略し
た水準測定機によりスライドロッド15の背面側の目盛Ａ
を読取り、実際にマーキングをすべきレベルの高さＢと
の差Ａ−Ｂ＝Ｃを計算により求める。

次いで、第８図に示すようにマーキングロッド10を反転
して正面側を向け、レベルセッター11のストッパーを緩
め、スライドロッド15を摺動してスライドロッド15の正
面側の目盛Ｃを段差面12と一致し、再びストッパー17で
スライドロッド15を固定して固定ロッド14とスライドロ
ッド15の目盛差をＣにセットする。

その後、第８図に示すように前記した水準測定機により
スライドロッド15の正面側の任意の目盛Ｄを読取り、第
９図に示すように、固定ロッド14の正面側の目盛Ｄ位置
にマークを施せば、この位置が実際にマーキングをすべ
きレベルの高さＢと一致する。

即ち、今レベルの高さＢが100cmの位置にマーキングを
求められ、水準測定機により読取られたスライドロッド
15上の背面側の目盛Ａが143cmであったときはＣ＝143−
100＝43であるから、スライドロッド15の正面側の目盛4
3を段差面12と一致せしめ、次いで第８図に示すように
前記水準測定機によりスライドロッド15正面側の任意目
盛を読取り、その目盛Ｄが図に示したように30であった
ときは、第９図に示す固定ロッド14の正面側の目盛30の
位置にマーキングを行なえば良く、これによりレベルの
高さが100cmの位置にマークが付されるのである。

〔考案の効果〕

以上詳細に述べた通りこの考案のマーキングロッドは、
レベルセッターの上部端面に一端が固着され、かつレベ
ルセッターに設けられたスリットを貫通して垂直方向に
延びる固定ロッド、及び該レベルセッターの前記スリッ
トに摺動自在に、かつ固定ロッドの裏面側に重なり合っ
て配置されたスライドロッドと備え、前記レベルセッタ
ーの正面側には固定ロッドを介してスライドロッドを押
圧固定するスライドロッドのストッパーを設けたから、
従来のように固定ロッドとスライドロッドが平行して配
置されたものと異なり、両者を互いに重ね合せた状態と
することによって、レベルセッターをはじめとするマー
キングロッド全体を小型化し、又、レベルセッターの上
部端面乃至はレベルセッターの上部端面に設けられた段
差面を基準としてスライドロッドの目盛位置の調整を行
うようにし、然も固定ロッドを介してスライドロッドに
押圧力を加えてスライドロッドは固定するようにしたか
ら、その押圧力は固定されている固定ロッドに先ず作用
し、スライドロッドにはその摺動方向に働く力が作用せ
ず、その結果、スライドロッド固定時にスライドロッド
が移動してセット位置が変化するようなことを完全に防
止することができ、取扱いが容易となった。

そしてマーキングに当っては、マーキングロッドの背面
側で固定ロッドとスライドロッドによりスケールを形成
し、水準測定機によりスライドロッドの裏面側の目盛を
読取り、実際にマーキングすべきレベルの高さとの差を
求め、前記差に相当するスライドロッドの正面側の目盛
を段差面と一致せしめ、次いで前記水準測定機によりス
ライドロッド正面側の任意の目盛を読取り、該目盛に相
当する固定ロッド正面側の目盛位置にマークを施せばよ
く、従来のようにマーキングの都度バカ棒を作成した
り、バカ棒を上下させてレベル位置合せを行なったりす
る必要が全くなくなり、迅速な然も正確なマーキングが
可能となって、省力化と作業時間の短縮に大きく寄与す
ることができた。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案マーキングロッドの正面図、第２図は同
上右側面図、第３図は同上平面図、第４図は第１図III-
III線断面図、第５図は第４図に示すスライドロッドを
固定した時の状態を示す断面図、第６図は本考案マーキ
ングロッドの背面図、第７図はスケールを形成した状態
を示す本考案マーキングロッドの背面図、第８図はスラ
イドロッドをセットした状態を示す本考案マーキングロ
ッドの正面図、第９図はマーキング位置決定時における
本考案マーキングロッドの正面図、第10図は従来の方法
によりレベルの高さを得る説明図、第11図は従来の方法
に使用するバカ棒の斜視図、第12図は従来の方法による
レベル合せの説明図である。 10……マーキングロッド,11……レベルセッター,13……
スリット,14……固定ロッド,15……スライドロッド,17
……ストッパー,22……シュー

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】レベルセッターの上部端面に一端が固着さ
   れ、かつレベルセッターに設けられたスリットを貫通し
   て垂直方向に延びる固定ロッド、及び該レベルセッター
   の前記スリットに摺動自在に、かつ固定ロッドの裏面側
   に重なり合って配置されたスライドロッドを備え、前記
   レベルセッターの正面側には固定ロッドを介してスライ
   ドロッドを押圧固定するスライドロッドのストッパーを
   設け、前記固定ロッドの正面側にはレベルセッターの上
   部端面を起点とする適宜単位の目盛が、また、スライド
   ロッドの正面側にも固定ロッドと同単位の目盛がそれぞ
   れ付され、背面側には、前記レベルセッターのスリット
   を通してスライドロッドを固定ロッドの反対側に摺動し
   たときに、レベルセッター側と反対側の固定ロッド先端
   部を起点とし、固定ロッドからスライドロッドに及ぶ適
   宜単位の目盛によって連続したスケールを形成したマー
   キングロッド。
2. 【請求項２】レベルセッターの上部端面に段差を設け、
   段差面を固定ロッドの起点とし最上端面をスライドロッ
   ド端部の係止面とした請求項１記載のマーキングロッ
   ド。