JPH0720434A - 液晶性高分子フィルムの製造方法 - Google Patents

液晶性高分子フィルムの製造方法

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JPH0720434A
JPH0720434A JP5209844A JP20984493A JPH0720434A JP H0720434 A JPH0720434 A JP H0720434A JP 5209844 A JP5209844 A JP 5209844A JP 20984493 A JP20984493 A JP 20984493A JP H0720434 A JPH0720434 A JP H0720434A
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JP
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liquid crystal
film
polymer
substrate
alignment
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JP5209844A
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English (en)
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Hitoshi Mazaki
仁詩 真崎
Iwane Shiozaki
岩根 塩▲崎▼
Takuya Matsumoto
卓也 松本
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Eneos Corp
Original Assignee
Nippon Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 フィルムを構成する液晶分子の平均配向方向
が基板に対して傾いた配向構造をもつ液晶性高分子フィ
ルムの製造方法を提供する。 【構成】 基板上に液晶性高分子を配向固定化させたフ
ィルムを得る方法において、液晶転移点以下の温度では
ガラス状態となる液晶性高分子を、基板上で液晶転移点
より上の温度において、液晶性高分子の平均配向方向が
基板平面に対して5°から85°傾いた状態で配向さ
せ、次いで液晶転移点以下の温度に冷却し、液晶性高分
子の配向方向が基板平面に対して傾いた液晶状態を固定
化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は高機能光学素子として有
用な液晶性高分子フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】複屈折性の高分子フィルムは屈折率異方
性をもち光に対し位相、偏光状態を制御する光学素子と
して機能する。工業的には液晶ディスプレーの画質向上
用の位相差フィルム、1/2波長板、1/4波長板など
をはじめとする様々な用途がある。
【0003】従来の複屈折性の高分子フィルムはポリカ
ーボネート等のフィルムの延伸操作によって得られるも
のが主流であった。これらは屈折率あるいは複屈折など
の物性制御の手段が、実質的に加工技術である延伸操作
のみであるため、性能の向上には限界があった。特に最
近要求の強くなっている三次元屈折率構造の制御には限
界があった。
【0004】これに対して液晶性高分子を用いた光学材
料は、延伸フィルムに比べ大きな複屈折性を有し、また
液晶性高分子の配向挙動も多様性に富むため屈折率ある
いは複屈折などの光学的性質を自在に制御できるという
大きな特徴がある。液晶性高分子としてはネマチック配
向をとるものが代表的である。これらを基板上で配向さ
せた場合、液晶分子の配向方向が基板に略平行に配向し
たホモジニアス配向あるいは略垂直に配向したホメオト
ロピック配向が得られる。
【0005】本発明者らはこのような液晶性高分子のも
つ特性を利用して、新規な光学材料を作り出すべく検討
を重ねた結果、液晶ディスプレー用色補償板としての開
発に成功し先に提案した(特開平3−291601、特
開平3−291620)。
【0006】これらの光学材料は各種光学特性において
延伸高分子フィルムからなる従来の位相差フィルムに比
べて優れたものであったが、3次元方向にわたる屈折率
制御にはいまだ限界があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】高分子液晶の平均配向
方向が基板平面から傾いた配向状態(チルト配向)が実
現できれば、従来のホモジニアス配向を固定化して製造
した高分子液晶フィルムを用いた光学材料に比べて屈折
率制御の自在性が増す。本発明者らは高分子液晶フィル
ムからなる光学材料の性能の向上あるいは新規特性の発
現を目的として、このチルト配向に着目し、液晶性高分
子の種類、配向方法およびその固定化方法について鋭意
検討した結果ついに本発明に到達した。本発明はフィル
ムを構成する液晶分子の平均配向方向が基板に対して傾
いた配向構造をもつ液晶性高分子フィルムの製造方法を
提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、基板上の液晶
性高分子を配向固定化させたフィルムを得る方法におい
て、液晶転移点以下の温度ではガラス状態となる液晶性
高分子を、基板上で、液晶転移点より上の温度におい
て、液晶性高分子の平均配向方向が基板平面に対して5
°から85°傾いた状態で配向させ、次いで液晶転移点
以下の温度に冷却し、液晶性高分子の配向方向が基板平
面に対して傾いた液晶状態を固定化することを特徴とす
る液晶性高分子フィルムの製造方法である。
【0009】本発明の好ましい態様の一つは、基板が優
先プレチルト方向を有することを特徴とする上記液晶性
高分子フィルムの製造方法であり、さらに別の好ましい
態様は液晶性高分子が、主鎖に炭素数3以上のアルキル
基よりなる置換基を有する芳香族単位を含むポリエステ
ル、主鎖に炭素数3以上の脂肪族単位を含むポリエステ
ル、および主鎖にフッ素または含フッ素置換基を有する
芳香族単位を含むポリエステルからなる群から選ばれた
少なくとも1種のポリエステルを必須とするものである
上記液晶性高分子フィルムの製造方法である。
【0010】以下に本発明について詳しく説明する。本
発明でいう液晶性高分子の平均配向方向が基板平面に対
して傾いた配向状態とは、基板界面とその反対側の界面
の間に存在する液晶層内の液晶分子の平均配向方向が、
一様に基板に略平行、もしくは一様に基板に略垂直な配
向状態をとらないような状態を指す。基板平面と液晶分
子の平均配向方向との間の角度をチルト角と定義すれ
ば、前者がチルト角0°に相当し、後者が90°に相当
する。
【0011】本発明の製造方法で採用される好適なチル
ト角は5°から85°の範囲であり、好ましくは8°か
ら80°の範囲であり、さらに好ましくは10°から7
0°の範囲である。このような配向状態をチルト配向と
呼ぶ。チルト角が5°より小さい場合、あるいは85°
より大きい場合は、それぞれホモジニアス配向、ホメオ
トロピック配向と実質的に変わらなくなり、目的とする
3次元的な光学特性の自由な制御ができなくなる。
【0012】チルト配向にはいくつかの種類がある。例
えば液晶層内の液晶分子の配向方向と基板平面のなす角
度が、膜厚方向のどの場所においても常にほぼ一定であ
るようなチルト配向が代表的な例である。また基板界面
付近では液晶分子がホモジニアス配向かそれに近い配向
をしており、基板とは反対側の界面に近づくほど液晶分
子が段々立ち上がりホメオトロピック配向かそれに近い
配向状態となるようなチルト配向、あるいはこの逆の場
合、すなわち基板界面付近では液晶分子はホメオトロピ
ック配向かそれに近い配向をしており、基板の反対側の
界面に近づくにしたがって液晶分子が段々とホモジニア
ス配向に近づくようなチルト配向もある。液晶分子と基
板平面のなす角度が膜厚方向のどの点においても一定で
あるようなチルト配向、およびこの角度が膜厚方向に連
続的に変化するようなチルト配向(ハイブリッド配向)
のいずれも本発明でいうチルト配向の範囲に包含され
る。後者の場合は膜厚方向に連続的に変化する角度の平
均値が本発明でいうチルト角となる。
【0013】本発明で用いられる液晶性高分子は、液晶
相としてネマチック相を持つものである。すなわち個々
の液晶分子は基板平面に対してある角度をもって配向し
ているが、その基板への投影成分は常に一定の方向を向
いているような配向構造をとっている。
【0014】本発明で用いられる液晶性高分子は、液晶
転移点より上の温度においてチルト配向構造をとり、ま
たその構造を損なうことなくガラス状態で固定化できる
もの(ガラス固定化能)であればすべて使用できる。こ
れらの性質を有する液晶性高分子には次のようなものが
ある。
【0015】 チルト配向能およびガラス固定化能を
有する液晶性高分子、 チルト配向能およびガラス固定化能を有する液晶性
高分子と、ガラス固定化能を有する液晶性高分子との組
成物、 チルト配向能およびガラス固定化能を有する液晶性
高分子と、他の液晶性高分子との組成物、 チルト配向能を有する液晶性高分子と、ガラス固定
化能を有する液晶性高分子との組成物。
【0016】用いられる液晶性高分子としては、ポリエ
ステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステル
イミドなどの主鎖型液晶ポリマー、またはポリアクリレ
ート、ポリメタクリレート、ポリマロネート、ポリシロ
キサンなどの側鎖型液晶ポリマーなどを例示することが
できる。なかでも合成の容易さ、配向性、ガラス転移点
などからポリエステルが好ましい。
【0017】チルト配向能をもつ液晶性ポリエステルと
しては、主鎖中に炭素数3以上のアルキル基よりなる置
換基を有する芳香族単位、炭素数3以上のアルキル骨格
をもつ単位、もしくはフッ素または含フッ素置換基を有
する芳香族単位を構成成分として含むポリエステルを挙
げることができる。これらの構造単位を以下に例示す
る。
【0018】
【化1】
【0019】(ここでA、Bはそれぞれ炭素数3から1
2の直鎖または分枝のアルキル基、−OR、−COO
R、−OCOR(Rは炭素数3から12の直鎖または分
枝のアルキル基)、−O(CHCHO)R’、−
COO(CHCHO)R’、−OCO(CH
O)R’(R’はメチル基またはエチル基を示
す)から選ばれる基を示す。)
【0020】
【化2】
【0021】(ここでR”は炭素数が3から12の直鎖
または分枝のアルキル基を示す)
【0022】
【化3】
【0023】これらの中でも特に次のような単位が好ま
しい。
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】など。
【0028】ポリエステルの構成単位としては、(a)
ジカルボン酸類より誘導される単位(以下、ジカルボン
酸単位とよぶ)、(b)ジオール類より誘導される単位
(以下ジオール単位とよぶ)、(c)一つの単位中にカ
ルボキシル基と水酸基を同時にもつオキシカルボン酸類
より誘導される単位(以下オキシカルボン酸単位とよ
ぶ)が挙げられる。ポリエステルはこれらの単位から適
宜選択されて構成される。構造としては、(a)+
(b)型、(a)+(b)+(c)型、(c)単独型が
ある。上記した構造単位(a)、(b)および(c)単
位の少なくとも一つを含むポリエステルがチルト配向性
高分子として有効に作用する。これらの単位のポリエス
テル中に占める割合は、1から50モル%の範囲にあ
り、なかでも3から40モル%の範囲が好ましく、さら
に好ましくは5から30モル%である。これらチルト配
向性を発現さすために必要な単位の量が1モル%より少
ない場合は、目的のチルト配向が得られず好ましくな
い。また50モル%より多い場合は液晶配向性の低下や
フィルムの柔軟性の低下などの悪影響が出るため好まし
くない。
【0029】これらの高分子はほとんどがかさ高い置換
基、フッ素系置換基などを持っているか、あるいは主鎖
をなす結合がメタまたはオルソ位にあるような芳香族単
位を含んでいるため、おおむねガラス固定化能をもつ。
ガラス固定化が可能なチルト配向性高分子に関しては、
単独でまたは他の液晶性高分子と組合せた組成物の形で
本発明に用いることができる(上記、、の場
合)。これらの高分子の具体的な例を次に示す。
【0030】
【化7】
【0031】の構成単位から構成されるポリマー
【0032】
【化8】
【0033】の構成単位から構成されるポリマー
【0034】
【化9】
【0035】の構成単位から構成されるポリマー
【0036】
【化10】
【0037】の構成単位から構成されるポリマー
【0038】
【化11】
【0039】の構成単位から構成されるポリマー
【0040】
【化12】
【0041】の構成単位から構成されるポリマー
【0042】
【化13】
【0043】の構成単位から構成されるポリマー
【0044】
【化14】
【0045】の構成単位から構成されるポリマー
【0046】
【化15】
【0047】の構成単位から構成されるポリマー
【0048】
【化16】
【0049】の構成単位から構成されるポリマー
【0050】
【化17】
【0051】の構成単位から構成されるポリマーなど
【0052】またチルト配向能はもつがガラス固定化能
を持たないポリマーでも、他のガラス固定化できる液晶
性高分子との組合せによりガラス固定化が可能であり、
本発明に使用できる(上記の場合)。
【0053】ガラス固定化できる液晶性高分子の例を次
に示す。これらは液晶相より低温部でガラス状態をとり
得る液晶性高分子であり、主鎖をなす結合を互いにオル
ソ位とするオルソ置換芳香族単位を構成成分として含む
ポリマーが特に好適に用いられる。具体的には次に示す
ようなカテコール単位、サリチル酸単位、フタル酸単
位、2,3−ナフタレンジオール単位、2,3−ナフタ
レンジカルボン酸単位およびこれらのベンゼン環に置換
基を有するものなどを挙げることができる。
【0054】
【化18】
【0055】など
【0056】(Xは水素、Cl、Brなどのハロゲン、
メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エ
トキシ基などのアルコキシ基またはフェニル基などのア
リール基を示す。またkは0〜2である)。
【0057】これらのなかでも特に好ましい例として次
のようなものを例示することができる。
【0058】
【化19】
【0059】
【化20】
【0060】用いられるガラス固定化できる液晶性高分
子はまずこのようなオルソ置換芳香族単位を含むが、ポ
リエステルを構成する他の単位、(a)ジカルボン酸単
位、(b)ジオール単位および(c)オキシカルボン酸
単位の例を以下に示す。
【0061】(a)のジカルボン酸単位としては以下の
ものを例示することができる。
【0062】
【化21】
【0063】(Yは水素、Cl、Brなどのハロゲン、
メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エ
トキシ基などのアルコキシ基またはフェニル基などのア
リール基を示す。またlは0〜2である)、
【0064】
【化22】
【0065】
【化23】
【0066】など。
【0067】(b)のジオール単位としては以下のもの
を例示することができる。
【0068】
【化24】
【0069】(Zは水素、Cl、Brなどのハロゲン、
メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エ
トキシ基などのアルコキシ基またはフェニル基などのア
リール基を示す。またmは0〜2である)、
【0070】
【化25】
【0071】
【化26】
【0072】など。
【0073】(c)のオキシカルボン酸単位としては以
下のものを例示することができる。
【0074】
【化27】
【0075】など。
【0076】(Wは水素、Cl、Brなどのハロゲン、
メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エ
トキシ基などのアルコキシ基またはフェニル基などのア
リール基を示す。またpは0〜2である)。
【0077】これらの高分子の分子量は、各種溶媒中た
とえばフェノール/テトラクロロエタン(60/40)
混合溶媒中、30℃で測定した対数粘度が0.05から
3.0が好ましく、さらに好ましくは0.07から2.
0の範囲である。対数粘度が0.05より小さい場合、
得られた高分子液晶の強度が弱くなり好ましくない。ま
た3.0より大きい場合、液晶形成時の粘性が高すぎ
て、配向性の低下や配向に要する時間の増加など問題点
が生じる。またこれらポリエステルのガラス転移点も重
要であり、配向固定化した後の配向の安定性に影響を及
ぼす。用途にもよるが、一般的には室温付近で使用する
と考えれば、ガラス転移点が30℃以上であることが望
ましく、特に50℃以上であることが望ましい。ガラス
転移点が30℃よりも低い場合、室温付近で使用すると
一度固定化した液晶構造が変化する場合があり、液晶構
造に由来する機能が低下してしまい好ましくない。
【0078】これらポリマーの合成法は特に制限される
ものではなく、当該分野で公知の重合法、例えば溶融重
合法あるいは対応するジカルボン酸の酸クロライドを用
いる酸クロライド法で合成される。溶融重合法で合成す
る場合、例えば対応するジカルボン酸と対応するジオー
ルのアセチル化物を、高温、高真空下で重合させること
によって製造でき、分子量は重合時間のコントロールあ
るいは仕込組成のコントロールによって容易に行える。
重合反応を促進させるためには、従来から公知の酢酸ナ
トリウムなどの金属塩を使用することもできる。また溶
液重合法を用いる場合は、所定量のジカルボン酸ジクロ
ライドとジオールとを溶媒に溶解し、ピリジンなどの酸
受容体の存在下に加熱することにより、容易に目的のポ
リエステルを得ることができる。
【0079】液晶性高分子として組成物(即ち混合物)
を使用する場合(前記、、の場合)、チルト配向
能をもつ液晶性高分子の組成物中に占める割合は、目的
とするチルト角によって様々に変化するため一概に規定
できないが、一般的には1から95重量%の範囲にあ
り、好ましくは5から90重量%の範囲である。
【0080】次に本発明で使用される配向用の基板につ
いて説明する。基板としては通常のホモジニアス配向用
基板と同様に基板表面に沿った異方性を有するという性
質がまず必要であるが、さらに優先プレチルト方向を規
定するための異方性を有していることが好ましい。ここ
でいうプレチルトとは基板界面近傍で液晶分子が、基板
平面と0°でないある角度を有して配向している状態を
指す。プレチルト方向とは、分子がある角度をもって立
ち上がっている場合、分子の基板により近い末端から基
板により遠い末端に向かう基板平面に平行な方向を指
す。したがって優先プレチルト方向があるということ
は、ここで定義したプレチルト方向がほぼ一定の方向を
向いていることを示す。もし優先プレチルト方向がな
く、プレチルト方向が定まらないような基板を用いた場
合、主たるチルト方向に対して反対向きにチルトした領
域が発生する場合があり、液晶層のモノドメイン化を妨
げる恐れがある。優先プレチルト方向をほとんど持たな
い基板でも、電場、磁場、ずり等の外力を加えることに
より、液晶の優先プレチルト方向を規定することができ
るが、製造の容易さの面で優先プレチルト方向を有する
基板を用いた方が好ましい。
【0081】本発明で用いることのできる基板の例とし
ては、ラビング処理を施したポリイミド膜、ポリビニル
アルコール膜などを有する基板、ラビング処理または延
伸処理をしたプラスチックのフィルムまたはシート、二
酸化珪素の斜め蒸着膜などが挙げられる。ラビング処理
を行う場合、表面を布等でこする方向を一方向に限定し
往復操作は行わない方が、プレチルト方向を明確に規定
してやるために好ましい。プラスチックフィルムまたは
シートとしては以下のようなものを挙げることができ
る。例えばポリメチルメタクリレート等のアクリル樹
脂、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカーボ
ネート、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサル
ファイド、ポリオレフイン、ポリイミド、ポリアミドイ
ミド、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリエーテル
ケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリケトンサル
ファイド、ポリスルフォン、ポリフェニレンオキサイ
ド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリアセタール、エポキシ樹脂、フェノール
樹脂などが代表的なものである。
【0082】本発明のチルト配向構造を固定化したフィ
ルムの製造は、上述した液晶性高分子またはそれらを含
有する組成物および基板を用いて行われる。すなわち、
ポリマーをまず基板の上に均一に塗布し、次いでポリマ
ーの液晶温度において熱処理してチルト配向させた後、
冷却してチルト配向状態を固定化する。ポリマーの基板
への塗布は通常溶液状態もしくは溶融状態で行われる。
溶液を調製する場合、用いることのできる溶媒はポリマ
ーの種類によって異なるが、通常はクロロホルム、ジク
ロロエタン、テトラクロロエタン、トリクロロエチレ
ン、テトラクロロエチレン、オルソジクロロベンゼンな
どのハロゲン化炭化水素、これらとフェノールとの混合
溶媒、テトラフルオロフラン、ジメチルホルムアミド、
ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−メ
チルピロリドンなどである。溶液の濃度はポリマーと溶
媒の組合せにより異なるが、通常は5から50重量%の
範囲で使用され、好ましくは10から30重量%の範囲
である。塗布には、スピンコート法、ロールコート法、
プリント法、浸漬引き上げ法、カーテンコート法などを
採用でき、塗布後は溶媒を乾燥により除去する。次いで
熱処理操作によりモノドメインなチルト配向構造を完成
させる。界面効果による配向を助ける意味でポリマーの
粘性は低い方がよく、従って熱処理温度は高い方が好ま
しいが、ポリマーは液晶相より高温部に等方相を有する
ため、熱処理温度は等方相転移温度よりは低い温度で行
わなければならない。また、ポリマーによっては得られ
るチルト角が熱処理温度により異なることがあり、その
場合は目的に応じたチルト角を得るための熱処理温度を
設定する必要がある。例えば、あるチルト構造を得るた
めに比較的低い温度で熱処理を行う必要が生じた場合、
低い温度ではポリマーの粘性が高く、配向に要する時間
が長くなるので、そのような場合には一旦高温で処理し
てモノドメインな配向を得た後に、段階的、もしくは徐
々に熱処理の温度を目的とする温度まで下げる方法が有
効となる。いずれにせよ、そのポリマーの特性に従い、
ガラス転移点以上等方相転移温度以下の温度で熱処理す
ることが好ましく、一般的には50℃から300℃の範
囲が好適で、特に100℃から260℃の範囲が好適で
ある。基板上で液晶状態において充分な配向を得るため
に必要な熱処理時間は、ポリマーの組成、熱処理温度に
より異なり一概にはいえないが、10秒から120分の
範囲が好ましく、特に30秒から60分の範囲が好まし
い。10秒より短い場合は配向が不十分となる場合があ
り、また120分より長い場合は生産性が低下する場合
がある。このようにして、まず液晶状態で配向基板上全
面にわたって均一なチルトしたネマチック配向を得るこ
とができる。
【0083】こうして得られた配向状態を、次に該高分
子液晶のガラス転移点以下の温度に冷却することによ
り、配向の均一性を全く損なわずに固定化できる。一般
的に液晶相より低温部に結晶相を持っているポリマーを
用いた場合、液晶状態における配向は冷却することによ
って壊れてしまう恐れがある。本発明においては、液晶
相を示す温度領域より下の温度においてガラス相を有す
るポリマー系を使用するためにそのような現象が生じる
ことがなく、完全にモノドメインなチルトした状態を固
定化できる。冷却する速度は特に制限はなく、加熱雰囲
気中からガラス転移点以下の雰囲気中に出すだけで固定
化される。また、生産の効率を高めるために、空冷、水
冷などの強制冷却を行ってもよい。ただし、ポリマーに
よっては冷却速度によって得られるチルト角が若干異な
ることがある。このようなポリマーを使用する場合、厳
密にチルト角を制御する必要がある場合は、冷却操作も
制御された条件下で行われることが好ましい。
【0084】こうして得られた基板上の液晶性高分子フ
ィルムは、基板が透明であればそのままで透過型として
使用できるし、例えばポリイミド基板のように透過率の
低い基板を用いている場合でも、反射特性を利用する用
途に使用できる。本発明のもう一つのフィルム製造法と
して、一旦これらの基板上で液晶性高分子を配向固定化
した後、液晶層を基板から剥離して光学用途により適し
た別の基板に移しかえることもできる。例えば使用する
配向基板が、チルト配向状態を得るために必要なもので
あるが、光学素子として使用する場合の性質に好ましく
ない影響を与えるような場合、その基板を配向固定化後
の液晶層から除去して用いることができる。その際、液
晶層自身は膜厚によっては自己支持性のないことがある
が、他の光学性質上好ましい基板上に接着剤等を介して
固定するなどの方法をとることができる。
【0085】なお、フィルムの厚さは特に限定されない
が、通常固定化後の厚さが0.1〜50μm、好ましく
は0.5〜30μm程度が望ましい。
【0086】このようにして得られたチルト配向状態を
固定化した高分子液晶のフィルムはそのままで使用して
もよいし、表面保護のために透明プラスチックの保護層
を設けてもよい。偏光板などの他の光学素子と組み合わ
せてもよい。
【0087】以上説明してきたように、本発明は従来技
術では得られなかった、フィルムを構成する高分子液晶
分子がチルト配向した高分子液晶フィルムの製造法を提
供するものであり、これらフィルムは新規な配向構造に
より全く新しい光学性能を有するため、液晶表示素子等
への応用をはじめとして種々の光学用途に利用でき、き
わめて工業的な価値が大きい。
【0088】(実施例)以下に実施例を述べるが、本発
明はこれらに制限されるものではない。なお実施例で用
いた各分析法は以下の通りである。
【0089】(1)ポリマーの組成の決定 ポリマーを重水素化クロロホルムまたは重水素化トリフ
ルオロ酢酸に溶解し、400MHzの−NMR(日本
電子製JNM−GX400)で測定し決定した。
【0090】(2)対数粘度の測定 ウベローデ型粘度計を用い、フェノール/テトラクロロ
エタン(60/40重量比)混合溶媒中、30℃で測定
した。
【0091】(3)液晶相系列の決定 DSC(DuPont 990 Thermal An
alizer)測定および光学顕微鏡(オリンパス光学
(株)製BH2偏光顕微鏡)観察により決定した。
【0092】(4)屈折率の測定 アッベ屈折計(アタゴ(株)製Type−4)により屈
折率を測定した。
【0093】実施例1 テレフタル酸80mmol、ピメリン酸20mmol、
ヒドロキノンジアセテート50mmol、イソプロピル
カテコールジアセテート50mmolおよび触媒として
酢酸ナトリウムを用いて窒素雰囲気下で、280℃で2
時間、300℃で2時間重合を行い式(1)のポリマー
を合成した。次に得られたポリマーをテトラクロロエタ
ンに溶解したのち、メタノールで再沈殿を行って精製ポ
リマー27gを得た。このポリマーの対数粘度は0.3
0であり、DSC測定および偏光顕微鏡観察の結果液晶
相はネマチックであり、液晶相より低温部に結晶相をも
たずガラス相を有しTgは118℃であった。
【0094】このポリエステルを用い10wt%のテト
ラクロロエタン溶液を調製した。この溶液を、ラビング
方向を一定にして優先プレチルト方向を定めたラビング
ポリイミド配向膜付きガラス基板上に、スピンコート法
により塗布したのち乾燥し、220℃×30分熱処理後
冷却して、膜厚5μmの均一に配向した透明な液晶フイ
ルムを得た。
【0095】
【化28】
【0096】実施例2 図1および図2に示した光学測定系を用い、実施例1で
作製した液晶フィルムを基板のラビング方向にそって傾
けていき、リターデーション値(複屈折Δnと膜厚dの
積)を測定した。得られたリターデーション値は傾き角
θが24°のとき最大になり、このフィルムはチルト角
が24°のネマチック配向すなわちチルト配向が固定化
されたフィルムであることが分かった。
【0097】比較例1 イソプロピルカテコールジアセテートに変えてカテコー
ルジアセテートを用いたほかは実施例1と同様にして式
(2)のポリマーを合成した。このポリマーの対数粘度
は0.27であり、DSC測定および偏光顕微鏡観察の
結果液晶相はネマチックであり、液晶相より低温部に結
晶相をもたずガラス相を有しTgは115℃であった。
実施例1と同様にして液晶フィルムを作製し、実施例2
の方法でリターデーション値を測定した。リターデーシ
ョン値はθ=1.8°で最大となり、チルト角は1.8
°であった。したがって本比較例のフィルムは実施例1
と異なりほとんどチルト配向はしておらず、ホモジニア
ス配向が固定化された通常のネマチックフィルムである
ことが分かった。
【0098】
【化29】
【0099】実施例3 実施例1と同様の手法で式(3)のポリマーおよび式
(4)のポリマーを合成した。このポリマーのηinh
はそれぞれ0.22、0.25であり、ともに液晶相よ
り低温部にガラス相をもち、Tgはそれぞれ110℃、
115℃であった。
【0100】次に式(3)のポリマーを20wt%、式
(4)のポリマーを80wt%の割合で含むポリマー混
合物を用いて、濃度10wt%のテトラクロロエタン溶
液を調製した。この溶液を、ラビング方向を一定にして
優先プレチルト方向を定めたラビングポリイミド配向膜
付きの厚さ100μmのポリアリレートフィルム上に、
印刷法により塗布したのち乾燥し、250℃×30分熱
処理後、その後220℃まで30分かけて徐冷して、膜
厚5.9μmの均一に配向した透明な液晶フィルムを得
た。
【0101】このフィルムを用いて実施例2の方法で、
フィルムを傾けていきながらリターデーション値を測定
したところθ=30°で最大値が得られた。したがって
このフィルムはチルト角が30°のネマチック配向すな
わちチルト配向が固定化されたフィルムであることが分
かった。
【0102】
【化30】
【0103】比較例2 式(3)のポリマーのt−ブチルカテコール単位をメチ
ルカテコール単位に変えた式(5)のポリマーを合成し
た。式(3)のポリマーに変えて式(5)のポリマーを
用いた以外は実施例3と同様にして液晶フィルムを作製
した。このフィルムのリターデーション値を実施例2の
方法で測定したところθ=1.5°で最大値が得られ
た。したがってこのフィルムは実施例3と異なりほとん
どチルト配向はしておらず、ダイレクターが基板平面に
略平行な通常のネマチックフィルムであった。
【0104】
【化31】
【0105】実施例4 実施例1と同様の方法で式(6)のポリマーを合成し
た。ηinhは0.20で、液晶相より低温部で結晶相
はもたずガラス相をもつTgが107℃のポリマーであ
った。次に同様にして式(7)のポリマーを合成した。
このポリマーはηinhは0.20で、液晶相の下にガ
ラス相を持たない結晶性のポリマーであった。
【0106】次に式(6)のポリマーを70wt%、式
(7)のポリマーを30wt%の割合で含むポリマー混
合物を用いて、濃度15wt%のジメチルホルムアミド
溶液を調製した。この溶液を、ラビングポリイミド配向
膜付きの厚さ100μmのポリアリレートフィルム上
に、印刷法により塗布したのち乾燥し、250℃×30
分熱処理後、その後220℃まで30分かけて徐冷し
て、膜厚3.5μmの均一に配向した透明な液晶フィル
ムを得た。
【0107】このフィルムを用いて実施例2の方法で、
フィルムを傾けていきながらリターデーション値を測定
したところθ=24°で最大値が得られた。したがって
このフィルムはチルト角が24°のネマチック配向すな
わちチルト配向が固定化されたフィルムであることが分
かった。
【0108】
【化32】
【0109】実施例5 実施例1と同様の方法で式(8)のポリマーを合成し
た。ηinhは0.15で、液晶相より低温部で結晶相
はもたずガラス相をもつTgが89℃のポリマーであっ
た。次に同様にして式(9)のポリマーを合成した。こ
のポリマーはηinhは0.17で液晶相は持つが液晶
相より低温部ではガラス相を持たず結晶相を有するポリ
マーであった。
【0110】次に式(8)のポリマーを80wt%、式
(9)のポリマーを20wt%の割合で含むポリマー混
合物を用いて、濃度15wt%のN−メチルピロリドン
溶液を調製した。この溶液を、ラビングポリイミド配向
膜付きの厚さ75μmのポリエーテルスルフォンフィル
ム上に、印刷法により塗布したのち乾燥し、250℃×
30分熱処理後、その後220℃まで急冷しさらに22
0℃まで30分熱処理し、膜厚5.2μmの均一に配向
した透明な液晶フィルムを得た。
【0111】このフィルムを用いて実施例2の方法で、
フィルムを傾けていきながらリターデーション値を測定
したところθ=18°で最大値が得られた。したがって
このフィルムはチルト角が18°のネマチック配向すな
わちチルト配向が固定化されたフィルムであることが分
かった。
【0112】
【化33】
【0113】実施例6 実施例1と同様の方法で式(10)のポリマーを合成し
た。ηinhは0.18で、液晶相より低温部で結晶相
はもたずガラス相をもつTgが109℃のポリマーであ
った。次に同様にして式(11)のポリマーを合成し
た。このポリマーはηinhは0.12で液晶相より低
温部では結晶相をもたずガラス相をもつTgが68℃の
ポリマーであった。
【0114】次に式(10)のポリマーを10wt%、
式(11)のポリマーを90wt%の割合で含むポリマ
ー混合物を用いて、濃度15wt%のフェノール/テト
ラクロロエタン混合溶媒(重量比6/4)溶液を調製し
た。この溶液を、ラビングポリイミド配向膜付きの厚さ
75μmのポリエーテルスルフォンフィルム上に、印刷
法により塗布したのち乾燥し、250℃×30分熱処理
後、その後220℃まで急冷しさらに220℃で30分
熱処理し、膜厚4.8μmの均一に配向した透明な液晶
フィルムを得た。
【0115】このフィルムを用いて実施例2の方法で、
フィルムを傾けていきながらリターデーション値を測定
したところθ=40°で最大値が得られた。したがって
このフイルムはチルト角が40°のネマチック配向すな
わちチルト配向が固定化されたフィルムであることが分
かった。
【0116】
【化34】
【0117】実施例7 実施例6とまったく同様にして熱処理条件のみを変えて
液晶フィルムを作製した。すなわちポリエーテルスルフ
ォンフィルム上に、印刷法により塗布したのち乾燥し、
240℃×30分熱処理後室温まで急冷し、膜厚4.9
μmの均一に配向した透明な液晶フィルムを得た。この
フィルムはチルト角が26°のチルト配向が固定化され
たフィルムであった。
【0118】実施例8 酸クロライド法により式(12)および(13)のポリ
マーを合成した。式(12)のポリマーは、ηinhが
0.29でネマチック液晶性を示したが、液晶相より低
温部では結晶相を有していた。式(13)のポリマーは
ηinhが0.21であり、Tgが106℃のガラス化
するポリマーであった。
【0119】次に式(12)のポリマーを5wt%、式
(13)のポリマーを95wt%の割合で含むポリマー
混合物を用いて、濃度10wt%のフェノール/テトラ
クロロエタン混合溶媒(重量比6/4)溶液を調製し
た。この溶液を、ラビング方向を一定にして優先プレチ
ルト方向を定めたラビングした厚さ75μmのポリエー
テルエーテルケトンフィルム上に、スピンコート法によ
り塗布したのち乾燥し、260℃×60分熱処理後18
0℃まで急冷しさらに180℃で60分熱処理し、膜厚
7.2μmの均一に配向した透明な液晶フィルムを得
た。
【0120】次にこのフィルムの液晶層側に接着剤を用
いて厚さ50μmのポリエーテルスルフォンフィルムを
貼り合わせ、接着剤を硬化させたのち、ポリエーテルエ
ーテルケトンフィルムだけを静かに剥し、液晶層をポリ
エーテルスルフォンフィルム上に写した。
【0121】こうして作製したフィルムを用いて実施例
2の方法で、フィルムを傾けていきながらリターデーシ
ョン値を測定したところθ=19°で最大値が得られ
た。したがってこのフィルムはチルト角が19°のネマ
チック配向すなわちチルト配向が固定化されたフィルム
であった。
【0122】
【化35】
【0123】実施例9 酸クロライド法により式(14)および(15)のポリ
マーを合成した。式(14)のポリマーはηinhが
0.12でネマチック液晶性を示し、液晶相より低温部
ではガラス相を有し、Tgは88℃であった。式(1
5)のポリマーはηinhが0.13であり、Tgが8
4℃のガラス化するネマチック液晶性ポリマーであっ
た。
【0124】次に式(14)のポリマーを50wt%、
式(15)のポリマーを50wt%の割合で含むポリマ
ー混合物を用いて、濃度20wt%のテトラクロロエタ
ン溶液を調製した。この溶液を、ラビングした厚さ50
μmのポリフェニレンサルファイドフィルム上に、スピ
ンコート法により塗布したのち乾燥し、210℃×30
分熱処理後170℃まで急冷しさらに170℃で30分
熱処理し、膜厚5.9μmの均一に配向した透明な液晶
フィルムを得た。
【0125】次にこのフィルムの液晶層側に接着剤を用
いて厚さ50μmのトリアセチルセルロースフィルムを
貼り合わせ、接着剤を硬化させたのち、ポリフェニレン
サルファイドフィルムを静かに剥し、液晶層をトリアセ
チルセルロースフィルム上に写した。
【0126】こうして作製したフィルムを用いて実施例
2の方法で、フィルムを傾けていきながらリターデーシ
ョン値を測定したところθ=26°で最大値が得られ
た。したがってこのフィルムはチルト角が26°のネマ
チック配向すなわちチルト配向が固定化されたフィルム
であった。
【0127】
【化36】
【0128】実施例10 式(16)のηinhが0.31、Tgが96℃のガラ
ス化するネマチック液晶性ポリマーを合成した。また別
途式(17)のηinhが0.18の、液晶温度ではネ
マチック液晶性を示すが、ガラス相はもたない結晶性ポ
リマーを合成した。前者を70wt%、後者を30wt
%含むポリマー混合物を用いて、濃度15wt%のテト
ラクロロエタン溶液を調製した。この溶液を用いてラビ
ングポリイミドフィルム上に印刷法により塗布した。乾
燥後230℃で20分熱処理したのち、室温まで急冷し
た。
【0129】次にこのフィルムの液晶層側に接着剤を用
いて厚さ50μmのトリアセチルセルロースフィルムを
貼り合わせ、接着剤を硬化させたのち、ポリイミドフィ
ルムを静かに剥し、液晶層をトリアセチルセルロースフ
ィルム上に写した。
【0030】こうして作製したフィルムを用いて実施例
2の方法で、フィルムを傾けていきながらリターデーシ
ョン値を測定したところθ=24°で最大値が得られ
た。したがってこのフィルムはチルト角が24°のネマ
チック配向すなわちチルト配向が固定化されたフィルム
であった。
【0131】
【化37】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶性高分子フィルムのチルト角測定
に用いた光学測定系の配置図を示す。
【図2】本発明の液晶性高分子フィルムのチルト角測定
に用いた光学測定系の試料および偏光板の軸方位の関係
を示す。
【符号の説明】
1 入射光 2 上偏光板 3 液晶性高分子フィルム 4 下偏光板 5 出射光 6 分光器(リターデーション測定装置) 7 上偏光板透過軸 8 液晶性高分子フィルムの基板のラビング軸方向 9 下偏光板透過軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02F 1/1335 510 7408−2K 1/1347 9017−2K

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に液晶性高分子を配向固定化させ
    たフィルムを製造する方法において、液晶転移点以下の
    温度ではガラス状態となる液晶性高分子を、基板上で、
    液晶転移点を越える温度において、液晶性高分子の平均
    配向方向が基板平面に対して5°から85°傾いた状態
    で配向させ、次いで液晶転移点以下の温度に冷却し、液
    晶性高分子の配向方向が基板平面に対して傾いた液晶状
    態を固定化することを特徴とする液晶性高分子フィルム
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 基板が優先プレチルト方向を有する請求
    項1記載の液晶性高分子フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 液晶性高分子が、主鎖に炭素数3以上の
    アルキル基よりなる置換基を有する芳香族単位を含むポ
    リエステル、主鎖に炭素数3以上の脂肪族単位を含むポ
    リエステル、および主鎖にフッ素または含フッ素置換基
    を有する芳香族単位を含むポリエステルからなる群から
    選ばれた少なくとも1種のポリエステルを必須成分とす
    るものである請求項1記載の液晶性高分子フィルムの製
    造方法。
JP5209844A 1993-06-02 1993-06-30 液晶性高分子フィルムの製造方法 Pending JPH0720434A (ja)

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KR1019940012329A KR100326615B1 (ko) 1993-06-02 1994-06-02 액정성고분자필름,그의제조방법및이용
DE69413746T DE69413746T2 (de) 1993-06-02 1994-06-02 Flüssigkristallpolymerfilm, Verfahren zu dessen Herstellung und dessen Verwendung
US08/252,922 US5460748A (en) 1993-06-02 1994-06-02 Liquid crystalline polymer film, process for producing same, and utilization thereof
EP94303956A EP0628847B1 (en) 1993-06-02 1994-06-02 Liquid crystalline polymer film, process for producing same, and utilization thereof
US08/488,262 US5578243A (en) 1993-06-02 1995-06-07 Liquid crystalline polymer film, process for producing same, and utilization thereof

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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