JPH0719189A - 冷凍機用圧縮機 - Google Patents

冷凍機用圧縮機

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JPH0719189A
JPH0719189A JP5164396A JP16439693A JPH0719189A JP H0719189 A JPH0719189 A JP H0719189A JP 5164396 A JP5164396 A JP 5164396A JP 16439693 A JP16439693 A JP 16439693A JP H0719189 A JPH0719189 A JP H0719189A
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JP
Japan
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bearing
refrigerant
compressor
oil
lubricating oil
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Application number
JP5164396A
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English (en)
Inventor
Kenichi Kawashima
憲一 川島
Akira Ota
亮 太田
Kenji Tojo
健司 東條
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • FMECHANICAL ENGINEERING; LIGHTING; HEATING; WEAPONS; BLASTING
    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16CSHAFTS; FLEXIBLE SHAFTS; ELEMENTS OR CRANKSHAFT MECHANISMS; ROTARY BODIES OTHER THAN GEARING ELEMENTS; BEARINGS
    • F16C2360/00Engines or pumps
    • F16C2360/42Pumps with cylinders or pistons

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  • Compressor (AREA)
  • Applications Or Details Of Rotary Compressors (AREA)
  • Rolling Contact Bearings (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】冷媒や潤滑油の分解や酸化等によって有機酸や
無機酸が発生するような特殊な雰囲気下で使用される回
転機械に於いて、転がり軸受の疲労寿命を向上させる。 【構成】転がり軸受の転動体及び/又は軌道輪にクロム
を3.5 重量%以上含有するマルテンサイト系の鋼を使
用する。 【効果】軸受の粒界腐食を抑制してミクロクラック発生
を回避し、且つ水素脆化に起因する転動体表面の剥離現
象をなくす。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ジフルオロメタン単体
或いは弗化炭化水素系冷媒群のうち複数種の弗化炭化水
素を混合してなる冷媒と合成冷凍機油を用いたルームエ
アコンやパッケージエアコンなどの冷凍装置用圧縮機に
係り、特に、転がり軸受の剥離現象を抑制するのに好適
な材料に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、冷凍圧縮機に用いられていた転が
り軸受の軌道輪及び転動体材料は、JIS G 4805
(1970)に示される軸受鋼として一般的な高炭素クロ
ム鋼,JIS G 4401(1972)に示される炭素工
具鋼、JIS G 4105(1979)に示されるクロ
ムモリブデン鋼等であった。
【0003】また、従来この種の冷凍サイクルでは冷媒
に塩素を有するHCFC22を使用していたため、冷凍
機油には主に鉱油やアルキルベンゼンが用いられてい
た。ところが、昨今の環境問題により、HCFC22は
ジフルオロエタン(HFC32)単体、或いは、これと弗
化炭化水素(HFC)系冷媒群のうち少なくとも1種の
弗化炭化水素を混合してなる冷媒に置き換えられること
になった。ところが、この冷媒は一般の鉱油系潤滑油と
の相溶性が極めて悪いという欠点がある[冷凍60巻
816(1985)]。この理由は、これらの冷媒は何
れもHCFC22のように分子中に塩素を持っていない
ためと考えられる[アシュレ ガイド アンドデータ
ブック(ASHRAE Guide and Data Book) 307p(1
969)]。このため圧縮機の信頼性(潤滑)の面から
鉱油は使用できない。従って、冷媒との相溶性を確保す
るために極性基を有するエステル系等の合成冷凍機油が
用いられる。ところがエステル油は極性基を有するがゆ
えに吸湿性が高く、このため、加水分解して脂肪酸を生
成し、軸受の疲労寿命を低下させる懸念があった。そこ
で、塩素を含まない冷媒とエステル系合成油を用い、冷
媒及び潤滑油が夫々れ飽和水分量になるように、故意に
水を加えて圧縮機の苛酷試験を実施した。この結果、H
CFC22/鉱油系での寿命の18〜35%といった短
時間で軸受の転動体に剥離現象が生じた。このように、
HFC/合成油系では圧縮機の軸受寿命を減少させると
いった欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、作動
冷媒に弗化炭化水素を用い、冷凍機油にエステルのよう
に加水分解によって有機酸を生成する様な潤滑油を用い
た冷凍サイクルに於いて、圧縮機転がり軸受の疲労寿命
を向上させることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明では上記の
冷凍機用圧縮機の転がり軸受の材質にクロムを3.5重
量%以上含有するマルテンサイト系の鋼を用いるもので
ある。
【0006】
【作用】このような材質を用いることによって、軸受材
質の耐腐食性を向上させ、疲労強度を向上できるので、
この結果、軸受寿命を向上できる。
【0007】
【実施例】以下、本発明を図面を用いて説明する。
【0008】ルームエアコンやパッケージエアコンでは
省エネルギ,低騒音,最適冷暖房が志向され、圧縮機の
高効率化,低トルク変動化,インバータによる回転速度
制御のし易さ等の面から、図1に示すスクロール圧縮機
が主流になりつつある。この圧縮機は実質的に同一形状
の二つの渦巻状のラップを向い合わせにして噛み合わ
せ、一方のラップに対して他方のラップを旋回運動させ
ることに依って、冷媒を吸入圧縮する。
【0009】現在、ルームエアコン及びパッケージエア
コン等の冷凍機の冷媒は、ハロゲン化炭化水素の一種で
あるモノクロロジフルオロメタン(CHClF2;HCFC22)が
用いられている。また、潤滑油は、冷媒との相溶性が良
いことから、ナフテン系やパラフィン系鉱油が広く用い
られている。
【0010】しかし、HCFC22は地球のオゾン層を
破壊するという環境問題から、その使用が規制されるこ
とになり、これらに代わる冷媒が要求されている。
【0011】こうした冷媒として考えられるものはHC
FC22に近い沸点を持つハイドロフルオロカーボン又
はフルオロカーボン等である。現在、HCFC22の代
替冷媒候補は、(a)(A)ジフルオロメタン(CH22
HFC32)単体、又は(b)(B)1,1,1,2−テト
ラフルオロエタン(CF3CH2F;HFC134a)、ト
リフルオロメタン(CHF3;HFC23)、ペンタフル
オロエタン(CHF2CF3;HFC125)、1,1,2,2
−テトラフルオロエタン(CHF2CHF2;HFC13
4)、1,1,1−トリフルオロエタン(CF3CH3;H
FC143a)、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタ
フルオロプロパン(CF3CHFCF3;HFC227e
a)等次式(1)で示される弗化炭化水素系冷媒群のう
ち少なくとも一種類と(A)を混合した混合冷媒、又は
(c)(B)の複数種類を混合した混合冷媒が挙げられ
ている。
【0012】
【化1】 CXYZ …(化1) ここに、X=1〜2,Y=1〜5,Z=1〜5の整数 これらの弗化炭化水素系冷媒に溶解する潤滑油として、
ポリアルキレングリコール(米国特許4755316 号)、脂
肪酸エステル,炭酸エステル,シリコーンオイル等が提
案されている。このうち、ポリアルキレングリコールは
電気絶縁抵抗が低いため電動モータを内蔵する冷凍圧縮
機には使用できないといわれている。炭酸エステルとシ
リコーンオイルは若干潤滑性が劣るが極圧剤を添加する
ことによって使用可能である。一方、脂肪酸エステルは
アルコールと脂肪酸から水を除去することによって合成
するため、安価であると共に潤滑性にも優れており、ル
ームエアコンやパッケージエアコン用潤滑油として最も
有望視されている。
【0013】図1は、ルームエアコンやパッケージエア
コンに広く採用されているスクロール圧縮機の断面図で
ある。この圧縮機は固定スクロール部材1の端板3に直
立する渦巻状ラップ5と、この固定スクロール部材1と
実質的に同一形状の端板4,ラップ6からなる旋回スク
ロール部材2とをお互いにラップ5とラップ6とを向い
合わせにして噛み合わせて圧縮機構部を形成し、旋回ス
クロール部材2を回転軸に結合された動作変換機構であ
るクランクシャフト7によって旋回運動させる。固定ス
クロール部材1及び旋回スクロール部材2によって形成
される圧縮室8(8a,8b……)のうち、最も外側に
位置している圧縮室は、旋回運動にともなって容積が次
第に縮小しながら、両スクロール部材1,2の中心に向
かって移動して行く。
【0014】両圧縮室8a,8bが両スクロール部材
1,2の中心近傍に達したとき、両圧縮室8a,8bが
吐出口9と連通して、両圧縮室内の圧縮ガスが吐出さ
れ、固定スクロール部材1及びフレーム10に設けられ
たガス通路(図示せず)を通ってフレーム下部の圧力容
器11内に至り、圧力容器11の側壁に設けられた吐出
パイプ12から圧縮機外に吐き出される。
【0015】本圧縮機では、圧力容器11内に電動モー
タ13が内蔵されており、圧縮機外部の図示しないイン
バータによって制御された電圧に応じた回転速度でクラ
ンクシャフト7が回転し、圧縮動作を行う。
【0016】この圧縮機は、冷媒ガスを圧縮する際に発
生するトルクの反力を担うために、フレーム10とクラ
ンクシャフト7との間にラジアル円筒ころ軸受16が設
置されている。また、モータ13の下部に油溜め部が設
けられており、この油はクランクシャフトに設けられた
油孔14を通って、旋回スクロールの自転防止機構(オ
ルダムリング)15,旋回スクロール部材2とクランク
シャフト7との摺動部,ラジアル円筒ころ軸受16など
の潤滑に供される。
【0017】ラジアル円筒ころ軸受の構造は図2に示す
ように、内輪17と外輪18との間に円筒ころ19が設
置され、ころは互いに接触したり、ころの進行方向に対
して一定の値以上に角度を持たないように保持器20に
保持されている。
【0018】本圧縮機を用いた冷凍サイクルに冷媒とし
てHFC32が30重量%HFC134aが70重量%の混合
冷媒,潤滑油として、40℃で動粘度が約32cStの
ネオペンチルグリコールとn−ノナン酸及びアジピン酸
とから合成されたポリオールエステルを封入し、且つ室
温で冷媒及び冷凍機油が飽和水分量となるように水を添
加して、過負荷条件で100日間運転したところ、転が
り軸受の転動体(ころ)表面に剥離現象が生じた。この理
由は、(a)ころところ保持器との間の摩擦或いは
(b)エステル油が加水分解して生成した脂肪酸による
粒堺腐食、等によってころ表面に活性なミクロクラック
が発生し、ここに(c)潤滑油中に存在する水分子が侵
入して分解,発生した水素によってクラックが拡大し
(いわゆる、水素脆性)、剥離に至ったものと推定され
る。
【0019】本発明では、上記(b)によるミクロクラ
ックの発生を抑制し、しかも(c)による水素脆性に耐
力がある材料を軸受に使用することによって、剥離を回
避しようとするものであり、その材質としてクロムを
3.5 重量%以上含むマルテンサイト系ステンレス鋼を
使用したものである。以下に実施例を述べる。
【0020】本圧縮機に用いられているラジアル円筒こ
ろ軸受には内径が25〜35mmのものが使用されている
が、ここでは内径が25mmのものを用いて実験を行っ
た。軸受の基本諸元は内径が25mm,外径が47mm,幅
が12mm,動定格荷重が1320kgである。実験では、まず
軸受寿命におよぼすクロムの影響をみるために、表1の
実験1に示すように、軌道輪(内輪及び外輪)及びころ
が従来材質の高炭素クロム鋼(2種)(JIS G 480
5(1970)以下、SUJ2と称する)、ころを放射状
に配置するための保持器が高力黄銅鋳物(JIS H 5
102(1979)以下、HBsCと称する)の軸受の
外、実験2〜4に示すような材質の軸受を用いた。な
お、材質の化学成分についてのJIS規格を表2に示
す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】冷媒及び潤滑油は前記のように、HFC3
2が30重量%,HCF134aが70重量%の混合冷
媒と、40℃で動粘度が約32cStのネオペンチルグ
リコールとn−ノナン酸及びアジピン酸とから合成され
たポリオールエステルを封入し、且つ室温で冷媒及び冷
凍機油が飽和水分量となるように水を添加し(1500pp
m)、供試した軸受が完全に潤滑油に浸漬する状態で、
油温が130℃,回転速度が6000rpm,軸受荷重を
1000kg 一定で運転した。運転中は供試軸受を内蔵
した容器の側面に振動加速度検出のために振動加速度ピ
ックアップを設置して、これをベアリングモニタ(NS
K社製)で監視し、振動加速度が一定値を超えた時点で
運転を中断した。運転時間tと数1,数2,数3によっ
て計算される供試軸受の定格疲れ寿命Lとの比kを求め
て軸受寿命比とし、表1に記載した。
【0024】
【数1】
【0025】
【数2】 fh=fn・Ca/P …(数2)
【0026】
【数3】
【0027】この結果、従来材質のSUJ2は軸受寿命
比k=0.53 であるのに対してSKH2(クロム含有
量の実測値は3.5重量%)ではk=0.86であり、鋼
中のクロムの量が3.5 重量%以上の材質を用いた軸受
では軸受寿命が大幅に増大することがわかる。
【0028】また、実験終了後の潤滑油の全酸価を測定
した結果を表1に併記した。実験は、試験終了直後にサ
ンプリングした所定量の潤滑油を水酸化カリウム溶液で
中和し、潤滑油単位重量当たりの水酸化カリウムの重量
を以って全酸価とした。これによると、材質によって大
きな差は認められないが、実験前に比べて全酸価が僅か
に上昇しており、k値が大きい軸受ほど全酸価上昇が大
きい傾向にある。
【0029】これらの結果を総合すると、クロムの含有
量が少ないSUJ2では、運転時間が短くしたがって、
エステル油の加水分解による脂肪酸生成量が少ないにも
係わらず軸受が短時間で損傷する。これに対して、クロ
ムの含有量が多いSUS440C では、運転時間が長いため、
脂肪酸生成量が多く全酸価が増加しているにも係わら
ず、軸受寿命が伸びている。これは明らかにクロムが存
在することによる効果である。すなわち、鋼中のクロム
が粒界割れの発生を防止してミクロクラックの発生を阻
止し、且つ、ミクロクラックに潤滑油中の水が侵入して
分解,発生した水素による水素脆性を抑制しているため
と推察される。
【0030】つぎに、ころと内外輪の材質を異にした軸
受の疲労寿命を測定した。表3の実験5及び実験6とし
て軸受の材質と疲労寿命比K、実験後の潤滑油の全酸価
を併記した。
【0031】
【表3】
【0032】この結果、内外輪の材質をSKH2(クロ
ム含有量3.5重量%)とした軸受よりころをSKH2
にした軸受の方が寿命が長いことがわかる。この理由
は、内外輪に比べて、ころは保持器との間で滑りがある
ことを含めて、ころの方が条件が厳しいことを示してい
る。しかし、ころ軸受の内外輪、ころの全て或いは内外
輪、ころの何れかをSKH2とする、すなわち、クロム
を3.5 重量%以上含む鋼とすることによって軸受寿命
を伸ばすことができることが分かった。なお、ステンレ
ス鋼にはマルテンサイト系とオーステナイト系がある
が、マルテンサイト系は硬度が低い(マルテンサイト系
の約1/4)ため、軸受には使用できない。
【0033】このように、転がり軸受のころ或いは軌道
輪にクロムが3.5 重量%以上含有するマルテンサイト
系の鋼を用いることによって、特に、分子中にカルボニ
ル基を有する潤滑油を用い、しかも油中水分量が多い場
合においても軸受寿命を向上させることができる。
【0034】なお、本実施例ではラジアル円筒ころ軸受
の場合ついてのみ説明したが、本発明で述べた軸受寿命
向上の理由から考えると、転がり軸受全般なかでも転動
体と金属製の保持器が直接接触するような構造の転がり
軸受、例えば、ラジアル玉軸受,スラスト針状ころ軸
受,スラスト玉軸受,スラスト円筒ころ軸受,円錐ころ
軸受などでもその効果に程度の差はあれ、軸受寿命は向
上する。この意味で、環境の悪い状態で使用される軸受
では転動体にクロムを3.5 重量%以上含むマルテンサ
イト系の鋼を用いることに依って、軸受寿命を向上出来
る。
【0035】また、本実施例では冷媒にHFC32とH
FC134aの混合冷媒についてのみ説明したが、HC
FC22に替えて塩素を含まない冷媒を使用する限り、
HFC系単独であるかこれらの混合であるかに係わらず、
潤滑油には従来使用されていた鉱油に比較して飽和水分
量が大きい合成油を使用せざるを得ない。混合する冷媒
の種類或いは組成が変わると、冷媒との相溶性の観点か
ら、潤滑油の分子構造を変える必要が生じる。例えば、
HFC32,HFC125,HFC134a,HFC1
43a単体と一般的なポリオールエステルとの相溶性は
HFC125とHFC134aが略同等で最も優れてお
り、次いでHFC32、HFC143aの順に悪化す
る。従って、例えば、HFC125用として選択された
エステル油をそのままHFC32用には転用できず、
(1)アルコールの分子構造を変更しない場合には脂肪
酸の炭素数を少なくしたり、分岐鎖を有する脂肪酸を用
いる、(2)−OH数が多いアルコールを用いるなど、
エステルの分子構造を変更する必要がある。しかし、エ
ステルである以上、飽和水分量は鉱油に比べて約40倍
に達し、加水分解を回避できないため、このような雰囲
気で使用される軸受に前記のマルテンサイト系ステンレ
ス鋼を使用することによって、冷媒の種類や組成に係わ
らず軸受寿命を改善できる。但し、クロム鋼は炭素鋼に
比べて本質的に疲労強度が低いので、例えば(1)ラジ
アル円筒ころ軸受や円錘軸受の材質を従来のSUJ2に
替えてSUS440Cを使用する場合には、半径方向
寸法に制約があるときにはころの軸方向長さを長くす
る、軸方向寸法に制約があるときにはころの直径を細
くして、ころの本数を増やしたり、また(2)ラジアル
玉軸受やスラスト玉軸受の場合には玉の直径を小さくし
て玉の数を増やす等の対応が必要である。また、(3)
針状スラストころ軸受の場合には、ころの内径側と外径
側では軌道輪にたいしてのすべり速度が違うため、ころ
と軌道輪との間の摩耗やころと保持器との間の摩擦を抑
制する観点からころの長さを一定値以上長くすることは
できない。したがって、ころの直径を細径化してころの
数を増やすだけでは所望の疲労寿命を満足できないこと
がある。この場合には、軸受材質の変更に加えて、保
持器の材質を樹脂とする、ころの端部に十分なクラウ
ニング処理をする(端面に微小なテーパ加工を施す)、
ころの表面にディンプル処理をする(微小な凹凸を設
ける)、潤滑油に錆止め剤を添加する等の対応を必要
に応じて講じるのが望ましい。
【0036】なお、混合冷媒は(A)単体、或いは
(B)群の冷媒同志の混合冷媒であっても良く、また、
冷媒と合成油の相溶性を向上させるために例えばメタ
ン,エタン,プロパン,ブタン,ジメチルエーテルなど
の炭化水素をこれらの混合冷媒に混合しても、同様に軸
受寿命を向上することができる。
【0037】また、必要に応じて、潤滑油の発泡を抑え
るための消泡剤,潤滑性を向上させるための極圧剤,粘
度指数を調節するための粘度指数向上剤,酸化劣化を防
止するための酸化防止剤,加水分解を抑制するための酸
捕捉剤等を添加しても同様に軸受寿命が向上する。
【0038】
【発明の効果】環境の悪い状態で使用される転がり軸受
にクロムを3.5 重量%以上含有するマルテンサイト系
の鋼を使用することによって、軸受寿命を向上すること
が出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す図で、ルームエアコン或
いはパッケージエアコンに使用されるスクロール形圧縮
機の断面図。
【図2】本発明の対象となったラジアル円筒ころ軸受の
断面図。
【符号の説明】
1…固定スクロール部材、2…旋回スクロール部材、
3,4…端板、5,6…ラップ、7…クランクシャフ
ト、8…圧縮室、9…吐出口、10…フレーム、11…
圧力容器、12…吐出パイプ、13…電動モータ、14
…油孔、15…オルダムリング、16…ラジアル円筒こ
ろ軸受。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】冷媒として、 (A):ジフルオロメタン単体又は (B):(A)以外の弗化炭化水素系冷媒群のうち少な
    くとも一種類と(A)との混合冷媒又は(B)の冷媒群
    のうち二種類以上を混合した混合冷媒 の何れかの冷媒と、潤滑油として、合成油を作動媒体と
    し、駆動軸,前記駆動軸に連結され前記駆動軸の回転運
    動を偏心運動、或いは、往復運動に変換する動作変換機
    構,前記動作変換機構によって冷媒を吸入圧縮する圧縮
    機構,前記圧縮機構で冷媒を圧縮する際に前記駆動軸に
    発生する力を支持する転がり軸受を有する冷凍機用圧縮
    機に於いて、前記転がり軸受を構成する転動体と軌道輪
    のうちの両方或いは一方の材質に少なくともクロムを
    3.5 重量%以上含有する耐食性材料を用いたことを特
    徴とする冷凍機用圧縮機。
  2. 【請求項2】請求項1において、前記耐食性材料はマル
    テンサイト系ステンレス鋼である冷凍機用圧縮機。
JP5164396A 1993-07-02 1993-07-02 冷凍機用圧縮機 Pending JPH0719189A (ja)

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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6763915B2 (en) 2000-10-16 2004-07-20 Seiko Epson Corporation Mainspring mechanism and device having the same
JP2007282429A (ja) * 2006-04-10 2007-10-25 Toyota Industries Corp 電動ポンプ

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