JPH07189938A

JPH07189938A - スクロール圧縮機

Info

Publication number: JPH07189938A
Application number: JP33339593A
Authority: JP
Inventors: Shozo Hase; 昭三長谷; Shuichi Yamamoto; 修一山本; Taisei Kobayakawa; 大成小早川; Sadao Kawahara; 定夫河原; Teruyuki Akazawa; 輝行赤澤; Kiyoshi Sano; 潔佐野; Takashi Morimoto; 敬森本
Original assignee: Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Current assignee: Panasonic Holdings Corp
Priority date: 1993-12-27
Filing date: 1993-12-27
Publication date: 1995-07-28

Abstract

(57)【要約】【目的】本発明は、スクロール圧縮機において吐出弁
を配設し、不足圧縮時の吐出流体の逆流現象を解消する
と同時に吐出弁の閉弁時に発生する衝撃音を低減しかつ
吐出損失を抑え、高効率かつ低騒音のスクロール圧縮機
を提供することを目的とするものである。【構成】スクロール圧縮機において吐出部分に吐出口
１１２を開閉するように吐出弁２２１の長手方向の一端
を固定スクロール１１に固定した弾性板からなる吐出弁
２２１と吐出弁２２１の開弁高さを規制するための弁押
さえ２２２を配置し、吐出弁２２１が予め吐出口１１２
付近で固定スクロール１１の吐出弁２２１を固定してい
る面から間隙を有す形状としたものである。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はスクロール圧縮機に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】スクロール圧縮機は、渦巻羽根を有する
固定スクロールと、前記固定スクロールの渦巻羽根とほ
ぼ対称な渦巻羽根を有する旋回スクロールとを互いに１
８０度ずらせた状態で噛み合わせることにより、径方向
に左右対称な複数個の圧縮作業空間を同時に形成してい
る。ここで、旋回スクロールは自転拘束部品により自転
を拘束されているため、固定スクロールに対して旋回ス
クロールを旋回半径ｒで旋回運動させると、渦巻羽根径
方向外周部分で取り込まれた流体が、前記圧縮作業空間
の体積が連続的に減少するのに伴って中心部に向かって
圧縮される。さらに旋回運動が続くと、中心部付近まで
圧縮された左右対称の圧縮作業空間が連通し、固定スク
ロールの中心部付近に設けられた吐出口から圧縮された
流体が吐出される。

【０００３】スクロール圧縮機は上記のような原理によ
り圧縮作業を行う容積形圧縮機の一種であり、吐出され
る流体の圧力は、渦巻羽根径方向外周部で取り込まれる
流体の圧力と渦巻羽根の巻数及び比熱比とで決まる。

【０００４】ところで、このような原理によるスクロー
ル圧縮機においては、中心部付近まで圧縮された左右対
称の圧縮作業空間が、固定スクロールの中心部付近に設
けられた吐出口に連通する瞬間に、吐出圧力よりも前記
圧縮作業空間の圧力が低い場合がある。すなわち、不足
圧縮の状態になる場合がある。そのために、吐出口を通
して、連通した圧縮作業空間に流体が吐出空間から逆流
する現象が発生する。このような現象が生じると圧力損
失やエネルギ損失が生じ、さらに吐出圧力の変動が増大
する課題があった。

【０００５】特に、径方向の大きさが制限される比較的
小型のスクロール圧縮機においては一般に渦巻羽根の巻
数を多くすることが難しく、中・大型のスクロール圧縮
機に比べて渦巻羽根の巻数をできるだけ少なく設計する
必要が生じる。それゆえ、圧力の条件によっては、上記
のような不足圧縮の状態が生じやすく、効率の低下を招
いていた。

【０００６】そこで、上記の課題を解決するために、例
えば特開昭第５５−３５１５１号公報などに示されてい
るように、固定スクロールの吐出口部分に吐出弁を設け
るという手段がある。この手段の一例の断面図を図４に
示す。これにより、上記のような不足圧縮時において
も、吐出口１１２に連通した後の左右対称の圧縮作業空
間の圧力が吐出圧力以下では吐出弁２２１が閉弁してお
り、前記吐出圧力より大きくなったときに吐出弁が開弁
するので、連通した圧縮作業空間に流体が逆流するよう
な現象が発生せず、圧力損失やエネルギ損失といった課
題は生じない。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記のよ
うな従来の吐出弁では、吐出弁の剛性が弱い場合には、
圧縮された流体が吐出空間に放出されるとき突出弁が大
きく持ち上がり、閉弁する瞬間に吐出弁が固定スクロー
ルの吐出空間側の面に強く衝突し、この瞬間に大きな衝
撃音が発生してスクロール圧縮機が本来有する静粛性と
いう長所を損なうという課題を有していた。

【０００８】また、逆に吐出弁の剛性が強い場合には、
吐出弁がほとんど持ち上がらないため吐出の行程がスム
ーズに行われず、圧縮作業空間の圧力が吐出空間の圧力
よりもかなり高くまで上昇してしまうという現象が起き
る。これにより、余計な圧縮動力が必要となり、大きな
吐出損失が生じるという課題を有していた。

【０００９】本発明は、上記従来の課題を解決するもの
で、スクロール圧縮機において吐出弁を配設し、不足圧
縮現象を解消すると同時に吐出弁の閉弁時に発生する衝
撃音を低減しかつ吐出損失を抑え、高効率かつ低騒音の
スクロール圧縮機を提供することを目的とするものであ
る。

【００１０】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、吐出弁を予め吐出口付近で前記固定スクロ
ールの吐出弁を固定している面から間隙を有する形状に
したものである。

【００１１】また、先端が予め吐出弁の先端付近に接触
するような断面形状を有する弁押さえを配設したもので
ある。

【００１２】

【作用】本発明は、吐出弁が予め吐出口付近で固定スク
ロールの吐出弁を固定している面から間隙を有する形状
であるため、吐出弁の閉弁時に吐出弁のバネ定数が掛か
ってくるため吐出弁が閉まる速度が減速される。この作
用により、吐出弁が閉弁するときに固定スクロールの接
触面を強く加振することがなくなり、衝撃音はほとんど
発生しない。また、吐出弁が固定スクロールとの接触面
に対して凹面形状であるときは、吐出弁が閉まる際に固
定スクロールとの接触面に弁全体で一気に接触するので
はなく、固定されている部分から徐々に固定スクロール
に接触していくことになり、上記の効果がさらによく現
れる。また、吐出弁が固定スクロールとの接触面に対し
て凸面形状であるときには、吐出弁の閉弁時に先ず吐出
弁の先端のみが固定スクロールと接触することになり、
この時に吐出弁が閉じる勢いが弱まる。次に吐出弁の反
り形状により、これ以降吐出弁が閉じるときには吐出弁
のバネ定数が効いてゆっくり閉じることになる。

【００１３】また、先端が予め吐出弁の先端付近に接触
するような断面形状を有する弁押さえを配設すること
で、吐出弁の開弁量を規制して閉弁時の衝撃力を弱くす
ることができ、また同時に吐出弁の信頼性を増大させる
ことができる。

【００１４】

【実施例】以下本発明の一実施例におけるスクロール圧
縮機について図面とともに説明する。

【００１５】図１において、圧縮機構は、渦巻羽根１１
１を有する固定スクロール１１、渦巻羽根１０１を旋回
鏡板１０２上に形成した旋回スクロール１０および自転
拘束部品１２とから構成されており、前記固定スクロー
ル１１は軸受け部材１３とともに密閉容器１７に固定さ
れている。前記旋回スクロール１０の旋回鏡板１０２の
渦巻羽根１０１と反対側には軸１０３が設けてあり、こ
の軸１０３は、軸受け部材１３の軸受部１３１とボール
ベアリング軸受部１５によって回転自在に支承された主
軸１４の一端に形成された偏心穴部１４１で支承されて
いる。主軸１４の両軸受部１３１，１５の間には密閉容
器１７に固定された固定子１６１と、主軸１４に固定さ
れ主軸とともに回転可能な回転子１６２とからなる電動
機１６が配置されている。

【００１６】従って、電動機１６を駆動させることによ
り、主軸１４が回転し、主軸１４の偏心穴部１４１が偏
心回転運動を行う。これにより、旋回スクロール１０が
自転運動を行おうとするが、自転拘束部品１２によって
自転を拘束されているので主軸１４と旋回スクロール１
０の軸部１０３との軸間距離を半径とする旋回運動を行
う。その結果、固定スクロール１１の渦巻羽根１１１と
旋回スクロール１０の渦巻羽根１０１を互いに１８０度
ずらせた状態で噛み合わせることによって形成された左
右対称な複数個の圧縮作業空間１９が、吸入管１８から
吸入した流体を吸入口１１３を経て流体を取り込み、前
記圧縮作業空間１９の体積が減少するのに伴って連続的
に圧縮作業を行う。そして、中心付近まで圧縮されると
左右対称の圧縮作業空間１９が吐出口１１２と連通す
る。この連通した瞬間の圧縮作業空間１９の圧力が吐出
空間２０の圧力に比べて高い場合は、弾性板からなる吐
出弁２２１が吐出空間２０側に開弁して吐出口１１２と
吐出空間２０が連通し、圧縮された流体が吐出される。
もし、連通した瞬間の圧縮作業空間１９の圧力が吐出空
間２０の圧力以下の場合には吐出弁２２１はまだ開弁せ
ず、さらに旋回スクロール１０が旋回して流体を圧縮
し、前記圧縮作業空間１９の圧力が吐出空間２０の圧力
より高くなって初めて吐出弁２２１が開弁する。吐出さ
れた圧縮流体は連通口１３１を通って密閉容器内に流入
し、吐出管２１から密閉容器１７の外部に放出される。

【００１７】弁装置２２に含まれる弁押さえ２２２は、
吐出弁２２１の開弁高さを規制するものである。また、
液圧縮時などに前記圧縮作業空間１９内の圧力が異常に
高くなった場合には、軸方向コンプライアンス機構２３
が作動し、旋回スクロール１０が軸受け部材１３側に移
動することにより、固定スクロール１１の渦巻羽根１１
１先端に適当な隙間を形成して、そこから液を逃がして
圧力の異常上昇を回避する。

【００１８】なお、軸受け部材の旋回スクロール１０側
には背圧仕切帯２４が設置してあり、旋回鏡板１０２の
該背圧仕切帯２４中心側には吐出圧力が、また外側には
吸入圧力が作用し、通常運転中は適度なスラスト力が作
用するようになっている。

【００１９】また、本発明の別の実施例として図２に示
すように、吐出弁２２１の形状を固定スクロールの吐出
弁を固定している面に対して凹面または凸面形状にして
も良い。

【００２０】さらに上述の構成に加えて、図３に示すよ
うに吐出弁押さえ２２２の形状を先端が吐出弁２２１の
先端付近に接触するような断面形状のものとしても良
い。

【００２１】

【発明の効果】本発明は上記説明から明らかなように、
不足圧縮が生じても吐出弁によって逆流が阻止され、エ
ネルギ損失などは生じない。また、吐出弁が予め吐出口
付近で固定スクロールの吐出弁を固定している面から間
隙を有する形状であるため、吐出弁の閉弁時に吐出弁の
バネ定数が掛かってくるため吐出弁が閉まる速度が減速
される。この作用により、吐出弁が閉弁するときに固定
スクロールの接触面を強く加振することがなくなり、衝
撃音はほとんど発生せず、また吐出口付近で吐出弁が浮
いているため、吐出弁による吐出抵抗はまったく発生し
ない。また、吐出弁が固定スクロールとの接触面に対し
て凹面形状であるときは、吐出弁が閉まる際に固定スク
ロールとの接触面に弁全体で一気に接触するのではな
く、固定されている部分から徐々に固定スクロールに接
触していくことになり、上記の効果がさらによく現れ
る。また、吐出弁が固定スクロールとの接触面に対して
凸面形状であるときは、吐出弁の閉弁時に先ず吐出弁の
先端のみが固定スクロールと接触することになり、この
時に吐出弁が閉じる勢いが弱まる。次に吐出弁の反り形
状により、これ以降吐出弁が閉じるときには吐出弁のバ
ネ定数が効いてゆっくり閉じることになる。この作用に
より、吐出弁が閉弁するときに固定スクロールの接触面
を強く加振することがなくなり、衝撃音はほとんど発生
しない。

【００２２】また、弁押さえの先端が予め吐出弁の先端
付近に接触するような断面形状を有する弁押さえを配設
することで、吐出弁の開弁量を規制して閉弁時の衝撃力
を弱くすることができ、また同時に吐出弁の信頼性を増
大させることができる。

【００２３】以上述べたように、本発明により、吐出流
体の逆流を防止し、なおかつ吐出弁で発生する騒音を小
さく抑え、吐出抵抗の小さい高効率、低騒音なスクロー
ル圧縮機を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例におけるスクロール圧縮機の
断面図

【図２】同弁装置部の拡大断面図

【図３】（ａ）本発明の別の実施例における固定スクロ
ールに対して凹面形状の吐出弁を使用した場合のスクロ
ール圧縮機の吐出弁の断面図（ｂ）本発明の別の実施例における固定スクロールに対
して凸面形状の吐出弁を使用した場合のスクロール圧縮
機の吐出弁の断面図（ｃ）本発明の別の実施例における吐出弁押さえにより
吐出弁の先端を押さえた場合のスクロール圧縮機の吐出
弁の断面図

【図４】（ａ）従来のスクロール圧縮機における弁装置
の断面図（ｂ）同弁の平面図

【符号の説明】

１０旋回スクロール１１固定スクロール１３軸受け部材１４主軸１９圧縮作業空間２０吐出空間２２弁装置１０１旋回スクロールの渦巻羽根１０２旋回鏡板１１１固定スクロールの渦巻羽根２２１吐出弁２２２弁押さえ２２３弁装置固定用ボルト

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者河原定夫大阪府門真市大字門真1006番地松下電器産業株式会社内 (72)発明者赤澤輝行大阪府門真市大字門真1006番地松下電器産業株式会社内 (72)発明者佐野潔大阪府門真市大字門真1006番地松下電器産業株式会社内 (72)発明者森本敬大阪府門真市大字門真1006番地松下電器産業株式会社内

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】圧縮機構は渦巻羽根を有する固定スクロ
ールと、前記固定スクロールと噛み合わせて複数個の圧
縮作業空間を形成するように配置した渦巻羽根を旋回鏡
板上に形成した旋回スクロールと、前記旋回スクロール
の自転を拘束して旋回運動を行わせるための自転拘束部
品からなり、前記渦巻羽根の径方向外周部分で取り込ま
れた流体を前記圧縮作業空間で連続的に中心方向に圧縮
し、前記固定スクロールの中心部付近に設けられた吐出
口から圧縮された流体を吐出するとともに、前記吐出部
分に吐出口を開閉するように該吐出弁長手方向の一端を
前記固定スクロールに固定した弾性板からなる吐出弁と
吐出弁の開弁高さを規制するための弁押さえを配置し、
該吐出弁が予め吐出口付近で前記固定スクロールの吐出
弁の固定面から間隙を有した形状をしてなるスクロール
圧縮機。
【請求項２】先端が予め吐出弁の先端付近に接触する
断面形状を有する弁押さえを配設してなる請求項１記載
のスクロール圧縮機。