JPH071825A - 成形性転写箔 - Google Patents

成形性転写箔

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JPH071825A
JPH071825A JP30314792A JP30314792A JPH071825A JP H071825 A JPH071825 A JP H071825A JP 30314792 A JP30314792 A JP 30314792A JP 30314792 A JP30314792 A JP 30314792A JP H071825 A JPH071825 A JP H071825A
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JP
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transfer
transfer foil
resin
layer
film
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Withdrawn
Application number
JP30314792A
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English (en)
Inventor
Takashi Taruya
隆至 樽谷
Kazushi Miyazawa
一志 宮澤
Kazuhisa Kobayashi
和久 小林
Hirohisa Yoshikawa
浩久 吉川
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Publication date
Application filed by Dai Nippon Printing Co Ltd filed Critical Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 転写箔の成形性を良くし、かつ成形を安定化
する。これにより、複雑立体的な被転写体への絵柄転写
を可能にし、価値ある化粧部材が製造できる。 【構成】 転写箔の基材シートとして、転写箔が成形さ
れる温度近辺で、200%モジュラス強度が5〜15Kg
/cm2の範囲となる温度領域が30℃以上あり、しかも厚
みが80μm以下のポリ塩化ビニルフィルムを用い、そ
の上に絵柄層などからなる転写層を形成して、転写箔と
する。また、電離放射線硬化性樹脂の離型層を転写層と
接する側に形成した基材シートとして耐熱性などがより
優れた転写箔とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、成形性のある転写箔に
関する。特に、深絞り性能が良く、しかも安定的に転写
箔の成形ができ、複雑な立体的な被転写体表面に絵柄な
どを転写するに適した転写箔である。
【0002】
【従来の技術】従来、転写箔を用いて被転写体表面に絵
柄などを転写する方法としては、形を成した被転写体に
転写する方法と、被転写体が形を成す過程で転写する方
法とがある。前者の方法としては、例えば木質の立体部
材に対して真空ラミネーション法を利用して、成形性の
転写箔から転写する方法などがある。一方、後者の方法
としては、例えばプラスチックの成形品に利用する射出
成形同時絵付転写法がよく知られている。すなわち、プ
ラスチックの成形品を製造する際に、射出成形と同時に
絵柄を転写する方法であり、転写箔を射出成形金型の中
に配置して、次いで溶融樹脂を金型内に射出し、射出時
の熱圧を利用して転写箔から所望の絵柄などを射出樹脂
の成形品表面に、成形と同時に転写する方法である。こ
の場合、転写箔の支持体である基材シートとしては、従
来はポリエステルフィルムを使用するのが殆どであっ
た。また、特開昭57−47632号公報によれば、立
ち上がりが高く複雑な立体曲面を有するプラスチック成
形品に対する成形同時転写絵付において、基材シートと
して、ナイロン、ポリプロピレン、ポリエチレン、フッ
ソ系樹脂などのフィルム等の延伸性に優れた無延伸フィ
ルムが好適であるとされた。一方、実公平4−5358
号公報に開示した技術によれば、射出成形同時絵付にお
いて、真空成形等の成形性が優れた転写箔用の基材シー
トとして、それぞれ物性の異なる2種の合成樹脂フィル
ムの積層によって、最終的に必要な所要物性をもたせる
ことができる。すなわち、寸法安定性、耐熱性、成形性
の3つの要求物性を具備するために、寸法安定性と成形
性を有した第1の合成樹脂フィルムと、耐熱性と成形性
を有した第2の合成樹脂フィルムを積層して、基材シー
トとする方法である。この場合、第1の合成樹脂フィル
ムとしては、ポリ塩化ビニル樹脂フィルム(特に無可塑
〜5PHRの硬質のもの)、ポリメチルメタクリレート
樹脂フィルム等のアクリル樹脂フィルムなどか挙げられ
ている。一方、第2の合成樹脂フィルムとしては、6−
ナイロン、66−ナイロン等のポリアミド樹脂フィル
ム、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂フィル
ムなどが挙げられいる。また、一般的な延伸ポリエステ
ルフィルムではなく、無延伸のポリエステルフィルムを
用いれば、耐熱性は延伸処理物に比較して劣るが、成形
性が得られる。耐熱性が弱くなる点に関しては、フィル
ム製膜時あるいは製膜後に熱硬化性樹脂からなる離型層
を施した成形性転写箔基材シートもあった。
【0003】ここで、前記した寸法安定性、耐熱性、成
形性の3物性の必要性について射出成形同時絵付転写の
場合を例に説明する。寸法安定性とは支持体であるフィ
ルムに絵柄などを印刷形成する際に、フィルムの伸縮が
少ないことを意味する。なぜなら、印刷した絵柄等のイ
ンキの乾燥温度としては通常で最高70℃程度の温度条
件下にフィルムがおかれ、伸縮が大きいと多色印刷の場
合に見当ズレが起きるためである。特に長尺連続状の転
写箔を印刷作成する場合には、基材シートの長手方向に
通常は張力が加えられてるために、乾燥加熱下では伸び
やすくなっている。ちなみに見当ズレは通常0.1mm以
下が望まれる。また、耐熱性とは、上記乾燥温度に耐え
うる寸法安定性を確保する意味もあるが、ここでは特に
転写箔を転写する条件での熱圧に耐えうる耐熱性も意味
する。すなわち、射出成形においては転写箔表面は射出
樹脂の熱を受け、通常100℃以上の温度下におかれ
る。この熱によって、転写箔の基材シートに変形や、ふ
くれなどが発生すると、絵柄層が溶融したり、あるいは
成形体上の模様が歪んだり、皺が入ったりするためであ
る。さらに、成形性とは、射出成形に先立つ転写箔の真
空成形等による予備成形において、目的とする金型形状
に充分に成形されうる性能を意味する。通常、前記予備
成形の成形温度は100℃以上である。しかし、本発明
の趣旨から、この成形性の意味は、射出成形時の樹脂の
熱圧を利用して、転写箔を加熱、金型面に押し当てて樹
脂流入と同時に成形する方法に於ける成形性であっても
かまわない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】以上のような従来の方
法では、次のような欠点があった。まず、一般的なポリ
エステルフィルムを基材シートとする転写箔では、該基
材シートが、寸法安定性及び耐熱性には優れているのだ
が、成形性が劣るために、転写される被転写面の形状が
複雑な立ち入った形状には不向きであった。すなわち、
成形が充分に出来ずに、基材シートの破れなどが発生し
た。ポリエステルフィルムを使用する最も単純な方法
は、金型内に転写箔を配置して、射出樹脂が金型内に圧
入される時の熱圧を利用して、転写箔を金型表面に沿わ
せて転写する方法である。しかし、当方法では圧入樹脂
の熱圧を利用して、転写箔が金型面に沿うように成形さ
れるがゆえに、樹脂温度は樹脂成形に適した温度条件を
満足することが必要で、転写箔の成形条件に最適な温度
条件を転写箔に与えているとはいえず、適応できる被転
写面の形状にはかなり厳しい限界があった。そこで、上
記方法による成形の限界を上げるべく、樹脂が圧入され
る前に予め、転写箔を加熱して成形し易い状態にして、
金型自身あるいは金型以外の別の型により、真空あるい
は圧空の単独又は双方を用いるなどした適宜な方法で成
形した後に、樹脂を圧入することによって、より複雑な
形状まで適用できるような方法があった。しかし、当方
法でもってしても、成形シートの成形性能の限界のため
に、やはり複雑な立ち入った形状までは適応できなかっ
た。さらに、無延伸の成形性のあるポリエステルフィル
ムの場合でも、成形性はある程度向上するも耐熱性が低
下し、また、実用的に成形できる温度範囲が狭く、安定
的な成形は難しく満足いくものではなかった。以上のご
とく、いずれにしてもポリエステルフィルムを基材シー
トとして使用する限り、基材シート自身に起因する成形
の難しさのために、被転写面形状に限界があり、適応で
きる被転写体は限られていた。この点で、ポリエステル
フィルム以外の基材シートも提案されてきた。しかし、
例えば、特開昭57−47632号公報で開示されてい
る幾つかのフィルムでも、実公平4−5358号公報で
も述べられているとおり、複雑な形状に対しては満足す
べき性能を備えたものはなかった。すなわち、ナイロン
フィルムは成形性、耐熱性はよいのだが、寸法安定性は
劣った。また、ポリプロピレンフィルムは、成形性が不
十分で、耐熱性に劣った。一方、ポリエチレンフィルム
は耐熱性、寸法安定性に劣り、フッ素系フィルムは成形
性に劣っている。以上のように、一種のフィルムによる
基材シートでは、複雑な形状に対しては不可能であり、
それがために、実公平4−5358号公報で開示されて
いるような二種からなる基材シートが提案されてきた。
しかし、上記発明による二種からなる基材シートをもっ
てしても、未だに対象とする被転写体の形状には多くの
制約があった。それは、非転写体として形状を自由に設
計できるプラスチックの成形品が広く使われるようにな
り、なおかつ、最近はデザイン上の趨勢として成形品形
状に曲面を多用したものが多くなったからでもある。ま
た、例えばエアコンの室内機などに見られるようなスリ
ット状や格子状の孔や溝を有する、従来の方法では不可
能な程に複雑な外形形状の物品への表面化粧化のニーズ
も高まってきていた。これらは、単なる成形品の素地を
生かした表面には飽き足らずに、より差別化した商品と
すべく表面の化粧化により製品の価値を高めようとする
要求のためである。このような時代的背景に鑑み、今ま
でにない、より優れた成形性を有する転写箔が切望され
ていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明は、上記課
題を解決し目的を達成するために、転写箔が成形される
温度周辺にて、200%モジュラス強度が5〜15Kg/c
m2の範囲となる温度領域が30℃以上あり、且つ厚みが
80μm以下のポリ塩化ビニルフィルムからなる基材シ
ート上に、転写層が積層された構成とした成形性転写箔
とした。また、上記基材シートであるポリ塩化ビニルフ
ィルムが転写層と接する面側には、電離放射線硬化性樹
脂からなる離型層が形成されていてもよい。
【0006】従来、ポリ塩化ビニルフィルムは既に実公
平4−5358号公報でも述べられているように、成形
性と寸法安定性は充分だが、耐熱性に劣るとされてい
た。それは、成形性と耐熱性は一般には相反する関係に
あるからである。すなわち、転写箔を例えば真圧空成形
する場合に、箔が成形温度であまりに伸びやすいと成形
性は充分であるが部分的に溶融し、逆に箔があまりに伸
びにくいと充分に成形できないからである。したがっ
て、少なくとも両者の性能が両立する材質でなくては、
成形性転写箔の基材シートとしての条件は満足しない。
ところが、確かにポリ塩化ビニルフィルムは一般には耐
熱性が劣るのではあるが、各種ポリ塩化ビニルフィルム
の性能を確認していくと、ある種の物性を持たせたもの
は使用に耐えうる耐熱性があることを見いだした。
【0007】すなわち、ポリ塩化ビニルフィルムの中で
も、200%モジュラス強度が5〜15Kg/cm2の範囲と
なる温度領域が30℃以上あり、且つ厚みが80μm以
下のポリ塩化ビニルフィルムが基材シートの材料として
適性がある。200%モジュラス強度が5〜15Kg/cm2
とは伸び適性の目安であるが、真圧空成形においては、
前記範囲を越える強度では絞りきれず、前記範囲未満の
強度では局所的に溶融してしまう。200%とは、従来
不可能であった被転写体の複雑な形状まで、際立って出
来る程度に必要な転写箔の伸びを意味する。また、この
強度が発現する温度領域が30℃以下では、均一で安定
的な成形が出来ない。なぜなら、真空成形などで転写箔
を絞りやすくする為に加熱するが、転写箔が実際に加熱
される温度は部分部分でムラができ、その結果、局所的
に伸ばされやすい所と伸ばされにくい所ができるからで
ある。また、一回毎あるいは成形する日が異なると、微
妙に成形条件は変化するもので、これらの変化によって
安定的な成形が出来ないからである。したがって、前記
強度発現の温度領域はこれらバラツキを吸収し許容すべ
く、広い程良く好ましくは50℃以上あることが望まし
い。また、ポリ塩化ビニルフィルムの厚みは、80μm
を越えると転写箔を射出成形金型内に配置する場合に、
金型に溶融樹脂が流入してくるゲート部近傍の転写層が
流動変形してしまう。なぜなら、金型内に流入する溶融
樹脂と当該溶融樹脂を冷却固化させて一定の形として具
現化するための金型との間に転写箔を介在させるため
に、転写箔は断熱性層として作用し、転写箔の厚みが厚
い程その断熱作用は大きくなるからである。このため、
転写箔の転写層側の温度は溶融樹脂温度に、より接近す
る。特に、ゲート部近傍は溶融樹脂温度が高い。そこ
で、転写層や下地の基材シートの耐熱性が不充分である
とそれらが溶けだすからである。80μm以下の厚みに
することで、射出成形同時転写絵付の場合、金型温度は
40〜80℃でも良好に成形できる。このため、転写箔
の耐熱性を補うべく金型温度を低めに設定する必要性が
ない。したがって、射出樹脂の固化時間が長ることによ
るサイクルタイム増大のための生産性低下への影響も少
ない。
【0008】基材シートはポリ塩化ビニルフィルム単体
であってもよく、あるいは離型層を形成させてもよい。
これは転写層と基材シートとの密着性、離型性、あるい
は転写箔の成形条件による基材シートに要求される耐熱
性などの要素を考慮して適宜選定する。離型層は設けた
方が、離型性の制御が行いやすい点で好ましい。また、
表面に凹凸が賦形された離型層とすることで、転写絵柄
表面にマット感などの凹凸を形成し、絵柄模様とは別の
意味での質感などを表現できる目的でも離型層は使われ
る。本発明で用いる離型層としては、特に限定されない
が硬化性樹脂が好ましい。それは、ゲート部近傍での転
写層の流動現象の原因ともなるポリ塩化ビニルフィルム
の耐熱性の限界を補う効果があるからである。なぜな
ら、硬化性樹脂層が非流動性であることによる。このよ
うな硬化性の離型層としては、伸度200%以上の伸び
適性がある熱硬化性、あるいは紫外線または電子線によ
って硬化しうる電離放射線硬化性の樹脂が使える。とく
に後者としては、例えば、ウレタンアクリレート、エポ
キシアクリレートなどの多官能アクリレート類のプレポ
リマーまたはオリゴマーを主体とするもの、アクリル変
性アルキッド、アクリル変性ポリエステルなどが使用で
きる。なかでも好ましい伸び適性のあるウレタンアクリ
レートのプレポリマーまたはオリゴマーとしては、例え
ば、ジイソシアネートと、両末端に水酸基を有し重量平
均分子量が200〜5000のジオールと、末端に水酸
基を有するとともにラジカル重合性不飽和基を有するア
クリレート系化合物とが結合してなるウレタンアクリレ
ートオリゴマーまたはプレポリマーの単一系あるいは他
の樹脂との混合系が使用できる。
【0009】表面賦形された離型層の形成方法の第1の
方法としては、特開平2−131175号公報に開示さ
れる凹凸表面を有した円筒ドラムに電離放射線硬化性樹
脂を与えて、これにフィルムを巻き付け走行させながら
電離放射線を照射して樹脂を硬化させ、電離放射線硬化
性樹脂をフィルム上に転移させると同時に該円筒ドラム
の凹凸を該樹脂上に反転形成する方法(以下、ドラムプ
リンティングシステムと呼ぶ)がある。また、第2の方
法としては、マット状などに表面が賦形されたフィルム
を密着させた状態で樹脂を硬化させた後、該フィルムを
剥がす方法もある。さらに、第3の方法としては、マッ
ト材を含んだ塗布液をフィルムに直接、公知のロールコ
ートなどの塗布方法あるいはグラビア印刷などの印刷方
法で形成する方法がある。本発明の目的とする転写箔に
成形性を備えるためには、表面賦形用の離型層にも考慮
が必要である。すなわち、成形性を問われない通常の場
合には、転写層を印刷形成する際に柄印刷と同時に行え
る上記第3の方法で、マット材含有の樹脂層を形成する
のが一般的である。しかし、この第3の方法によれば離
型層にマット材が含有するために、離型層の伸び適性を
悪くする。そこで、上記第1の方法あるいは第2の方法
によればマット材が不要となり、伸び適性が損なわれ
ず、成形性が阻害されることなく成形性転写箔として好
ましい離型層を形成できる。なお、表面賦形が不要の場
合は第3の方法で充分である。また、離型層を形成する
際に、下地のポリ塩化ビニルフィルムとの密着を良くす
る目的で公知のプライマーコートを施してもよい。
【0010】また、別の離型層の材料としては低温養生
型ウレタンが使用できる。例えば、アクリルポリオール
とイソシアネートとを混合した樹脂と錫系触媒とからな
る系などが使える。これらの形成方法は、前記第3の方
法、あるいは触媒を予め塗布しておき、次いでウレタン
を塗布する方法などが使える。さらに、別の離型層の材
料としてはポリアミド系樹脂が使える。塗布方法として
は、公知の塗布方法、印刷方法又は転写層の形成と同時
にインラインで行う方法で行えばよい。
【0011】離型層は、上記以外にも離型性と耐熱性そ
してある程度の成形性を満たせば、別の方法で形成した
ものでも使える。すなわち、成形性ポリエステルの3〜
25μm程度の厚みの薄膜フィルムを適宜な接着剤によ
りポリ塩化ビニルフィルムに積層して基材シートとする
ものである。ただし、この方法では、2種のフィルムを
使うことになり、要求性能の設計自由度は増すが、基材
シートの製造が複雑、コスト高となるので、用途により
使い分ける。また、別の方法として、ポリエステルフィ
ルムをキャリヤーフィルムとして用い、該キャリヤーフ
ィルム上に熱硬化性樹脂を塗布した後、半硬化させ、次
いでポリ塩化ビニル樹脂をキャストコートし、最後に前
記熱硬化性樹脂を完全硬化させた後、キャリヤーフィル
ムを剥がし、ポリ塩化ビニルフィルム上に熱硬化性樹脂
層からなる離型層を形成した基材シートとするものであ
る。あるいは、ポリ塩化ビニル樹脂と、アクリル樹脂と
2〜3フッ化ビニリデン樹脂とを共押し出により、2〜
3μmのフッ素樹脂の離型層を有した基材シートとする
ものである。
【0012】次に、転写層であるが、転写層は少なくと
も絵柄層からなり、必要に応じて基材シート側には剥離
層が、一方、被転写体に接する側には感熱接着剤層が積
層されたものからなる。なお、ここで言うところの離型
層、剥離層の意味を定義しておく。離型層とは、転写後
も基材シート側に残留し、転写層との剥離を容易ならし
める層を意味する。一方、剥離層とは転写後は被転写体
へ転移し、絵柄層の表面保護層となる層を意味する。し
たがって、剥離層と離型層が両方ある場合の剥離は、離
型層と剥離層との間で行われる。
【0013】剥離層としてポリ塩化ビニルフィルムとの
離型性がよい剥離層であれば、基材シートには離型層が
なくてもよい。このような場合の剥離層としては、例え
ば、公知の硝酸セルロース、三酢酸セルロースなどのセ
ルロース樹脂、ポリビニルブチラールなどのビニル樹
脂、あるいはアクリル樹脂などが使用できる。これらの
剥離層が転写されて被転写体表面となった際に耐溶剤性
が不足する場合には、剥離層と絵柄層との間にアクリル
樹脂などからなる補強層を設けることで補うことができ
る。また、基材シート側に離型層が施されている場合に
用いる剥離層としては、例えば、アクリル樹脂、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合体、ウレタン樹脂などを使用で
きる。
【0014】絵柄層は、公知のインキ及び印刷方法によ
って形成すればよい。例えば、インキのビヒクルとして
は、塩素化ポリプロピレン樹脂、エチレン−酢酸ビニル
樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体などのビニル樹
脂、あるいはアクリル樹脂などが使用できる。
【0015】接着剤層は、公知のインキ及び印刷方法に
よって形成すればよい。例えば、セルロース樹脂、スチ
レン樹脂、ビニル樹脂、アクリル樹脂などの熱可塑性樹
脂が使用できる。以上転写層の各層の形成は、公知の印
刷方法によればよく、例えば、グラビア印刷、グラビア
オフセット印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、シル
クスクリーン印刷などか使用できる。
【0016】以上説明した、本発明の成形性転写箔を用
いて、化粧部材を製造する方法としては、その性能が優
れていることから各種方法に使用できる。すなわち、転
写方法としては2種に大別でき、被転写体がすでに形を
成しているもの、および転写と同時に被転写体が形を成
すものの両方に使用できる。前者の方法としては、例え
ば木質の家具、扉、枠剤、家電製品キャビネットなどに
対する、真空プレス成形、真空ラミネーション成形など
による転写、あるいは、スタンピング転写などである。
これらの場合には、転写箔は適宜な加熱手段によって加
熱しておき、真空、圧空、あるいは機械的圧力によっ
て、被転写体表面に圧接して転写を行う。後者の方法と
しては、プラスチック成形品の成形と同時に転写する方
法であり、射出成形、反応射出成形、低圧射出成形、コ
ンプレッション成形、トランスファー成形などの際に使
用する。これらの場合には、成形型内に転写箔を配置し
て、適宜な事前加熱あるいは成形時の熱量を利用して加
熱し、樹脂が型内に充満する圧力を利用して被転写体に
圧接し転写を行う。これら方法の中でも、射出成形法へ
の利用は射出成形同時絵付転写としてよく知られている
が、局所的なゲート部付近での樹脂温度、圧力及び樹脂
流動速度などの点で、転写箔に要求される耐熱性は過酷
であり、この点で本発明に係わる成形性転写箔は、この
ような過酷な射出成形法を充分に考慮した性能を備える
ものである。
【0017】
【作用】以下、本発明による構成によって、成形性が優
れた転写箔となることを説明する。特定の物性のポリ塩
化ビニルフィルムからなる基材シートを使用すること
で、寸法安定性及び耐熱性と、成形性とを両立させるこ
とができる。それは、一定のモジュラス強度を示す温度
領域とその範囲に注目して基材シートを選定すれば、成
形性を重視するあまり伸ばされやすくなりすぎて基材シ
ートが破れ易くなることなどが起こらない、成形性が良
好な条件があることが見いだされたためである。また、
基材シートとして、ポリ塩化ビニルフィルム単体でな
く、一定の離型層を形成することで、基材シートの離型
適性を向上させるばかりでなく、耐熱性を補強すること
ができる。それは、離型層が硬化性樹脂からなり、高温
下でも非流動性を維持するからである。いってみれば、
離型層は熱可塑性たるポリ塩化ビニルフィルムに対して
薄皮の如く作用して、たとえ基材シートが耐熱限界付近
にさらされて流動化が起こりそうになっても、基材シー
ト上の転写層の変形を阻止する機能を果たすのである。
このようにして、成形性その他の性能をバランス良く備
えた成形性に優れた実用的な転写箔が得られる。
【0018】
【実施例】
《実施例1》ポリ塩化ビニルフィルム(三菱樹脂製 ヒ
シレックス、80μm厚)に紫外線硬化性樹脂(大日本
インキ化学工業製 C2−222)を3本グラビアリバ
ースコーターにて塗布した。塗布する樹脂は、粘度を1
5秒/ザーンカップ#3にすべく酢酸エチルにて希釈
し、塗布厚をドライで20μmとした。次いで、塗布し
た樹脂を風乾にて乾燥させ、ポリプロピレンフィルム
(東レ製YM−17、25μm厚)を紫外線硬化性樹脂
の塗布側にドライラミネートし、80Wの紫外線ランプ
4ユニットを照射した。その後、ポリプロピレンフィル
ムを剥がし、紫外線硬化性樹脂が離型層として形成され
た基材シートを巻き取った。上記基材シートの離型層面
にグラビア印刷にて、剥離層、絵柄層、感熱接着剤層
を、順次印刷形成し、図1に示す成形性転写箔を得た。
なお、剥離層、絵柄層、感熱接着剤層は、全て昭和イン
ク工業所製で、それぞれ、ハクリ46−7、BC−7
2、HS−32マットを用い、粘度は15秒/ザーンカ
ップ#4、風乾乾燥である。希釈溶剤はBC−72はM
EK:トルエン=1:1、HS−32マットは酢酸エチ
ル:トルエン=1:1である。また、ヘリオ製版条件は
54線/cm、角度条件0である。
【0019】《実施例2》ポリ塩化ビニルフィルム(三
菱樹脂製 ヒシレックス、80μm厚)に紫外線硬化性
樹脂(大日本インキ化学工業製 C2−222)をマッ
ト版を使用し、ドラムプリンティングシステムにて塗布
した。紫外線照射は80Wの紫外線ランプ2ユニットで
行い、塗布厚はドライで10μmとした。このようにし
て、紫外線硬化性樹脂がマット状離型層として形成され
た基材シートを巻き取った。以下、実施例1と同様にし
て剥離層、絵柄層、感熱接着剤層を形成し、図1に示す
成形性転写箔を得た。
【0020】《実施例3》ポリ塩化ビニルフィルム(理
研ビニル工業製 Rタイプ、80μm厚)にブチラール
系インキ(ザ・インクテック製 TJ−No5) をグラ
ビアコートにより塗布して剥離層を形成した。次いで、
インラインにて絵柄層、感熱接着剤層をグラビア印刷に
より形成し、図2に示す成形性転写箔を得た。これら
は、実施例1に使用したものと同一条件にて形成した。
なお、TJ−No5の希釈溶剤は酢酸エチル:トルエ
ン:IPA=4:4:2として、粘度は15秒/ザーン
カップ#4、ヘリオ製版条件は実施例1と同一である。
【0021】《実施例4》ポリ塩化ビニルフィルム(バ
ンドー化学製 BHSタイプ、80μm厚)にポリアミ
ド系インキ(ザ・インクテック製 TJ−No2) をグ
ラビアコートにより塗布して離型層を形成した。なお、
TJ−No2の希釈溶剤、粘度は実施例3のTJ−No
5と同一である。次いで、インラインにて剥離層、絵柄
層、感熱接着剤層をグラビア印刷により形成し、図1に
示す成形性転写箔を得た。なお、これらは、実施例1に
使用したものと同一条件にて形成した。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係わる成
形性転写箔によれば次に示す効果が得られる。寸法安定
性、耐熱性があって、しかも相反する成形性がすぐれ深
絞りができる転写箔が得られる。このため、従来は不可
能であった、格子、スリット形状など複雑で絞り比が大
きく、曲率半径の小さい部分を有する形状の被転写体に
も、転写箔が破れたりすることなく転写できる。同時
に、寸法安定性が良いので、印刷工程で多色刷りを行っ
ても見当ズレが目立たない。また、耐熱性が良いので、
射出成形に用いても射出樹脂の熱により模様の歪み、流
動、皺、などが発生しにくい。強度もあるため、転写後
に基材シートを剥離する際に、基材シートが途中で破れ
たりはしない。さらに、転写箔の成形温度に多少のバラ
ツキがあっても、転写箔の成形を安定的に行うことがで
きる。よって、製品歩留りが向上し、生産性が向上す
る。くわえて、2種のフィルムによらない基材シートと
する場合には、基材シートの製造が容易となり、製造コ
ストも安価となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】成形性転写箔の一実施例の縦断面図
【図2】成形性転写箔の他の実施例の縦断面図
【符号の説明】
1 ポリ塩化ビニルフィルム 2 離型層 3 基材シート 4 剥離層 5 絵柄層 6 感熱接着剤層 7 転写層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉川 浩久 東京都新宿区市谷加賀町一丁目1番1号 大日本印刷株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材シート上に転写層が積層された構成
    の転写箔に於いて、該転写箔が成形される温度周辺に
    て、200%モジュラス強度が5〜15Kg/cm2の範囲と
    なる温度領域が30℃以上あり、且つ厚みが80μm以
    下のポリ塩化ビニルフィルムからなる基材シートを用い
    たことを特徴とする成形性転写箔。
  2. 【請求項2】 電離放射線硬化性樹脂からなる離型層が
    転写層と接する側に形成された基材シートであることを
    特徴とする請求項1記載の成形性転写箔。
JP30314792A 1992-10-16 1992-10-16 成形性転写箔 Withdrawn JPH071825A (ja)

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Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH11327389A (ja) * 1998-05-11 1999-11-26 Ricoh Co Ltd 記録媒体、中間記録媒体、画像形成物質除去装置、画像形成物質除去方法及び転写装置
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