JPH07181700A - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電子写真感光体の製造方法

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Publication number
JPH07181700A
JPH07181700A JP32515593A JP32515593A JPH07181700A JP H07181700 A JPH07181700 A JP H07181700A JP 32515593 A JP32515593 A JP 32515593A JP 32515593 A JP32515593 A JP 32515593A JP H07181700 A JPH07181700 A JP H07181700A
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JP
Japan
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substrate
photosensitive member
electrophotographic photosensitive
water
less
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Application number
JP32515593A
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English (en)
Inventor
Hiroyuki Katagiri
宏之 片桐
Toshiyasu Shirasago
寿康 白砂
Yoshio Seki
好雄 瀬木
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 画像欠陥及び画像濃度むらの無い均一で高品
位の画像を得ることができる電子写真感光体の製造方法
を提供する。 【構成】 アルミニウム基体を基体ホルダーに装着させ
減圧気相成長法により、該基体の表面にシリコン原子を
母材とする非晶質材料からなる機能性膜を形成させる電
子写真感光体の製造方法において、前記基体は、表面を
二酸化炭素を溶解した水により洗浄され、かつ前記基体
ホルダーの母材は、(a)熱伝導度の大きな材料と、
(b)熱膨張係数および熱伝導度が小さい材料からな
り、少なくとも該基体と相対する部分は(a)の材料で
構成され、該基体ホルダーの上部または/及び下部は
(b)の材料で構成されていることを特徴とする電子写
真感光体の製造方法。 【効果】 本発明によれば微少な画像欠陥を防ぎ且つ電
子写真特性の向上を図り更に均一な高品位の画像を与え
る電子写真感光体を安価に安定して得ることが可能にな
った。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム基体上に
機能性膜を形成した電子写真感光体の製造方法に関す
る。
【0002】本発明は、特に珪素元素を含有したアルミ
ニウム基体上にプラズマCVD法により珪素原子と水素
原子を含む非単結晶堆積膜を機能性膜として形成した電
子写真感光体の製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】電子写真感光体の堆積膜を形成するため
の基体としては、ガラス、耐熱性合成樹脂、ステンレ
ス、アルミニウムなどが提案されている。しかし、実用
的には帯電、露光、現像、転写、クリーニングといった
電子写真プロセスに耐え、また画質を落とさないために
常に位置精度を高く保つため、金属を使用する場合が多
い。中でもアルミニウムは加工性が良好で、コストが低
く、重量が軽い点から電子写真感光体の基体として最適
な材料の1つである。
【0004】電子写真感光体の基体の材質に関する技術
が、特開昭59−193463号公報、特開昭60−2
62936号公報に記載されている。特開昭59−19
3463号公報には、支持体をFe含有率が2000p
pm以下のアルミニウム合金にすることにより、良好な
画質のアモルファスシリコン電子写真感光体を得る技術
が開示されている。更に、該公報中では円筒状(シリン
ダー状)基体を旋盤により切削を行い鏡面加工した後、
グロー放電によりアモルファスシリコンを形成するまで
の手順が開示されている。特開昭60−262936号
公報には、Mgを3.0〜6.0wt%を含有し、不純
物として、Mnをい0.3wt%以下、Crを0.01
wt%未満、Feを0.15wt%以下、Siを0.1
2wt%以下に抑制し、残部Alからなるアモルファス
シリコンの蒸着性に優れた押し出しアルミニウム合金が
開示されている。しかし、これらの公報には特定の成分
を含む水による洗浄方法についての記載はない。
【0005】電子写真感光体の基体の加工方法に関する
技術が、特開昭61−171798号公報に記載されて
いる。該公報には、特定に成分による切削油を使用し、
基体を切削する事により良好な品質のアモルファスシリ
コン等の電子写真感光体を得る技術が開示されている。
また該公報中に切削後、基体をトリエタン(トリクロル
エタン:C23 Cl3 )で洗浄することが記載されて
いる。
【0006】電子写真感光体の基体の表面処理に関する
技術として、特開昭58−014841号公報、特開昭
61−273551号公報、特開昭63−264764
号公報、特開平1−130159号公報が提案されてい
る。
【0007】特開昭58−014841号公報には、ア
ルミニウム支持体表面の自然酸化物皮膜を除去した後、
温度60℃以上の水中に浸漬して均一な酸化物皮膜を得
る技術が開示されている。
【0008】特開昭61−273551号公報には、S
e等をアルミニウム基体上に蒸着して電子写真感光体を
作る際に、基体の前処理として、アルカリ洗浄、トリク
レン洗浄、水銀ランプによる紫外線照射洗浄の技術が挙
げられ、また、紫外線照射洗浄の前処理として円筒状ア
ルミニウム基体の表面に付着した油脂除去のため液体脱
脂洗浄、蒸気脱脂洗浄及び純水洗浄を行なうことが記載
されている。
【0009】特開昭63−264764号公報には、水
ジェットにより基体表面を粗面化する技術が開示されて
いる。
【0010】特開平1−130159号公報には、水ジ
ェットにより電子写真感光体支持体を洗浄する技術が開
示されている。該公報には感光体の例として、Se、有
機光導電体と同時にアモルファス珪素が挙げられている
が、プラズマCVD法特有の問題点については全く触れ
られていない。
【0011】一方、電子写真感光体以外の基体の前処理
方法として、特開昭60−876号公報には、ウエーハ
面上に静電気による放電破壊が生じないように、超純水
に炭酸ガスを吹き込む技術が開示されている。しかし、
この技術はウエーハの様に高抵抗な基体に発生する静電
気に対する対策であり、アルミニウムのような導電性の
基体については全く触れられていない。
【0012】電子写真感光体に用いる素子部材の技術と
しては、セレン、硫化カドミニウム、酸化亜鉛、アモル
ファスシリコン、フタロシアニン等の有機物など各種の
材料が提案されている。中でも、アモルファスシリコン
に代表される珪素原子を主成分として含む非単結晶堆積
膜、例えば水素及び(または)ハロゲン(例えば弗素、
塩素等)で補償させたアモルファスシリコン等のアモル
ファス堆積膜は高性能、高耐久性、無公害の感光体とし
て提案され、その幾つかは実用に付されている。特開昭
54−86341号公報には、光導電層を主としてアモ
ルファスシリコンで形成した電子写真感光体の技術が開
示されている。
【0013】こうした珪素原子を主成分として含む非単
結晶堆積膜の形成方法として従来、スパッタリング法、
熱により原料ガスを分解する方法(熱CVD法)、光に
より原料ガスを分解する方法(光CVD法)、プラズマ
により原料ガスを分解する方法(プラズマCVD法)
等、多数の方法が知られている。
【0014】プラズマCVD法、すなわち、原料ガスを
直流、高周波またはマイクロ波グロー放電等によって分
解し、基体上に薄膜状の堆積膜を形成する方法は、電子
写真用アモルファスシリコン堆積膜の形成方法に最適で
あり、現在実用化が非常に進んでいる。中でも、近年堆
積膜形成方法としてマイクロ波グロー放電分解を用いた
プラズマCVD法すなわちマイクロ波プラズマCVD法
が工業的にも注目されている。
【0015】マイクロ波プラズマCVD法は、他の方法
に比べ高いデポジション速度と高い原料ガス利用効率と
いう利点を有している。こうした利点を生かしたマイク
ロ波プラズマCVD技術の1つの例が、米国特許4,5
04,518号に記載されている。該特許に記載の技術
は、0.1Torr以下の低圧によりマイクロ波プラズ
マCVD法により高速の堆積速度で良質の堆積膜を得る
というものである。
【0016】更に、マイクロ波プラズマCVD法により
原料ガスの利用効率を改善するための技術が特開昭60
−186849号公報に記載されている。該公報に記載
の技術は、概要、マイクロ波エネルギーの導入手段を取
り囲むように基体を配置して内部チャンバー(すなわち
放電空間)を形成するようにして、原料ガス利用効率を
非常に高めるようにしたものである。
【0017】また、特開昭61−283116号公報に
は、半導体部材製造用の改良形マイクロ波技術が開示さ
れている。すなわち、当該公報は、放電空間中にプラズ
マ電位制御として電極(バイアス電極)を設け、このバ
イアス電極に所望の電圧(バイアス電圧)を印加して堆
積膜へのイオン衝撃を制御しながら膜堆積を行なうよう
にして堆積膜の特性を向上させる技術を開示している。
【0018】基体としてアルミニウム合金製シリンダー
を用いた場合、これらの従来の技術による電子写真感光
体製造方法は具体的には以下のように実施される。
【0019】精密切削用のエアダイパー付旋盤(PNE
UMO PRECLSION INC.製)に、ダイヤ
モンドバイト(商品名:ミラクルバイト、東京ダイヤモ
ンド製)を、シリンダー中心角に対して5°の角のすく
い角を得るようにセットする。次にこの旋盤の回転フラ
ンジに、基体を真空チャックし、付設したノズルから白
燈油噴霧、同じく付設した真空ノズルから切り粉の吸引
を併用しつつ、周速1000m/min、送り速度0.
01mm/Rの条件で外形が108mmとなるように鏡
面切削を施す。
【0020】次に、この切削した基体をトリクロルエタ
ンにより洗浄を行い、表面に付着している切削油及び切
り粉の洗浄を行う。
【0021】次にこれらの鏡面加工し、洗浄した基体上
に図7に示すグロー放電分解法による光導電部材の堆積
膜形成装置により、アモルファスシリコンを主体とした
堆積を形成する。
【0022】図7は、典型的なプラズマCVD装置に断
面略図である。図中、(701)は真空反応容器全体を
示し、(702)は真空反応容器の側壁を兼ねたカソー
ド電極であり、(703)は真空反応容器の上壁となる
ゲート、(704)は真空反応容器の底壁である。前記
カソード電極(702)と、上壁(703)及び底壁
(704)とは、夫々、碍子(705)で絶縁されてい
る。
【0023】(706)はアルミニウム等の単一材料か
らなる金属製の基体ホルダー(707)に装着され真空
反応容器内に設置された基体であり、該基体(706)
は接地されてアノード電極となるものである。基体(7
06)の中には、基体加熱用ヒーター(708)が設置
されており、成膜前に基体を所定の温度に加熱したり、
成膜中に基体を所定の温度に維持したり、あるいは成膜
後基体をアニール処理したりするのに用いる。(70
9)は堆積膜形成用原料ガス導入管であって、真空反応
空間内に該原料ガスを放出するためのガス放出孔(71
0)が多数設けられており、該原料ガス導入管(70
9)の他端は、バルブ(711)を介して堆積膜形成用
原料ガス供給系(712)に連通している。(713)
は、真空反応容器内を真空排気するための排気管であ
り、排気バルブ(714)を介して真空排気装置(71
5)に連通している。(716)は、カソード電極(7
02)への電圧印加手段である。
【0024】こうしたプラズマCVD法による堆積膜形
成装置の操作方法は次のようにして行なわれる。即ち、
真空反応容器内のガスを、排気管(713)を介して真
空排気すると共に、加熱用ヒーター(708)により基
体(706)を所定温度に加熱、保持する。次に原料ガ
ス導入管(709)を介して、例えばa−SiH堆積膜
を形成する場合であれば、シラン等の原料ガスを真空反
応容器内に導入し、該原料ガスは、ガス導入管の原料ガ
ス放出孔(710)から真空反応容器内に放出される。
これと同時併行的に、電圧印加手段(716)から、例
えば高周波をカソード電極(702)と基体(アノード
電極)(706)間に印加しプラズマ放電を発生せしめ
る。かくして、真空反応容器内の原料ガスは励起され励
起種化し、Si* ,SiH* 等(* は励起状態を表わ
す。)のラジカル粒子、電子、イオン粒子等が生成さ
れ、これらの粒子間または、これらの粒子と基体表面と
の化学的相互作用により、基体表面上に堆積膜を形成す
る。
【0025】このような、例えばa−Siからなる電子
写真感光体を形成する場合、円筒状基体を真空反応容器
内に運搬ならびに保持する必要があることから、円筒状
基体内部に基体ホルダーを挿入することが行われる。ま
た例えば特開昭60−86276号公報などに開示され
ているように、その特性を均一なものにする目的で、基
体上下に補助基体を設ける必要があること等の理由から
も円筒状基体内部に基体ホルダーを挿入することが、一
般に行われている。
【0026】
【発明が解決しようとしている課題】しかし、これら従
来の電子写真感光体製造方法では、均一膜質で光学的及
び電気的諸特性の要求を満足し、かつ電子写真プロセス
により画像形成時に画像品質の高い堆積膜を定常的に安
定して高収率(高歩留まり)で得るのは難しいという解
決すべき問題点が残存している。
【0027】即ち、現在電子写真装置はさらに高画質、
高速、高耐久性が望まれている。その結果、電子写真感
光体においては、光学的特性や電気的特性の更なる向上
および均一性の向上と共に、高帯電能、高感度を維持し
つつあらゆる環境下で耐久性を延ばすことが求められて
いる。また、近年、電子写真装置の画像特性向上のため
に電子写真装置内の光学露光系、現像装置、転写装置等
の改良がなされた結果、電子写真感光体においても、従
来以上の画像特性の向上が求められるようになった。
【0028】その結果、電子写真感光体の特性の場所的
バラツキといった問題点は、従来のスピードおよび解像
力の複写システムにあっては必ずしも痛切ではなく場合
によっては無視することもできたが、レーザー等の可干
渉光光源を使用する高速の複写システム、ファクシミリ
システム、プリンターシステム等の高速連続画像形成シ
ステムにおいては、大きな問題となり、特に、近来普及
してきたカラー複写機に於いては、より視覚的に明らか
なものとなるため、大きな問題となってきた。
【0029】更に、画像の解像力が向上した結果、俗に
「ポチ」と呼ばれる。白点状または黒点状の画像欠陥の
減少、特に従来はあまり問題にされなかった微小な大き
さの「ポチ」の減少が求められるようになってきた。特
に、「ポチ」に関しては、その原因のほとんどが球状突
起と呼ばれる膜の異常成長であり、その発生数を減らす
ことが非常に重要である。
【0030】また、従来のコピーの用途としては、活字
だけの原稿(いわゆるラインコピー)が中心であった
が、近来複写機の画質が上がるにつれて、写真などのハ
ーフトーンを含む原稿が多くコピーされるようになり、
これら問題点は重大な問題であり、解決の要求されると
ころのものである。
【0031】したがって、電子写真感光体そのものの特
性改良が図られる一方で、上記のような問題が解決され
るように、層構成、各層の科学的組成および作製法など
総合的な観点からの改良を図ることが必要とされてい
る。本発明の目的は、上述のごとき従来の電子写真感光
体の製造方法における諸問題を克服して、安価に安定し
て歩留まり良く高速形成し得る、使いやすい電子写真感
光体の製造方法を提供することにある。
【0032】また、本発明の他の目的は、プラズマCV
D法で特に顕著な画像欠陥の発生という問題点を解決し
て、均一な高品位の画像を得ることが出来る電子写真感
光体の製造方法を提供することにある。
【0033】
【課題を解決するための手段】本発明は前記の課題を解
決しようとするもので、その要旨は、アルミニウム基体
を基体ホルダーに装着させ減圧気相成長法により、該基
体の表面にシリコン原子を母材とする非晶質材料からな
る機能性膜を形成させる電子写真感光体の製造方法にお
いて、前記基体は、表面を二酸化炭素を溶解した水によ
り洗浄され、かつ前記基体ホルダーの母材は、(a)熱
伝導度の大きな材料と、(b)熱膨張係数および熱伝導
度が小さい材料からなり、少なくとも該基体と相対する
部分は(a)の材料で構成され、該基体ホルダーの上部
または/及び下部は(b)の材料で構成されていること
を特徴とする電子写真感光体の製造方法にある。
【0034】ここで、前記二酸化炭素を溶解した水の導
電率が2μS/cm以上、40μS/cm以下でもよ
い。
【0035】また、前記二酸化炭素を溶解した水のpH
が3.8以上、6.0以下でもよい。
【0036】また、前記二酸化炭素を溶解した水が、抵
抗率1MΩ・cm以上の純水に二酸化炭素を溶解した水
でもよい。
【0037】また、前記アルミニウム基体が、少なくと
も珪素原子を微量に含有したアルミニウム基体でもよ
い。
【0038】また、前記アルミニウム基体が、少なくと
も珪素原子を1ppmから1wt%含有したアルミニウ
ム基体でもよい。
【0039】また、前記(a)の熱伝導率が200(W
/m・K)以上であり、前記(b)の熱伝導率が50
(W/m・K)以下、熱膨張係数が20(10-6-1
以下でもよい。
【0040】また、前記(a)および(b)の材料が金
属材料でもよい。
【0041】また、前記(a)の材料で構成される部分
の基体側の表面が十点平均粗さで10μm以上70μm
以下でもよい。
【0042】また、前記(a)の材料で構成される部分
と基体との距離が3mm以下でもよい。
【0043】また、加熱専用の真空容器内で基体を加熱
後、真空中で反応容器に基体を移動し該基体の表面にシ
リコン原子を母材とする非晶質材料からなる光受容層を
形成する堆積膜形成装置を用いてもよい。
【0044】また、前記減圧気相成長法が、実質的に密
封し得る反応容器内に放電空間を取り囲むように、基体
ホルダーに装着された円筒状の基体を配置し、マイクロ
波導入手段を設け、原料ガスに由来する成膜に寄与する
反応物質を含むマイクロ波放電プラズマを形成し、放電
空間中に設けた電極にバイアス電圧を印加して、該基体
の表面を放電空間内と非放電空間とを交互に通過するよ
うに該基体を運動させながら基体表面にシリコン原子を
母材とする非晶質材料からなる光受容層を形成させる方
法でもよい。
【0045】
【作用】本発明の電子写真感光体の製造方法は、表面を
二酸化炭素を溶解した水により洗浄された基体を用い、
該基体を、母材が(a)熱伝導度の大きな材料と、
(b)熱膨張係数および熱伝導度が小さい材料からな
り、少なくとも該基体と相対する部分は(a)の材料で
構成され、上部または/及び下部は(b)の材料で構成
されている基体ホルダーに装着させ、減圧気相成長法に
より、該基体の表面にシリコン原子を母材とする非晶質
材料からなる堆積膜を形成することにより、堆積膜の特
性の場所的バラツキを減少し、画像濃度ムラを大幅に減
少させることができる。
【0046】本発明者らは、画像濃度ムラの低減に関
し、鋭意検討を行ったところ、画像濃度ムラが、堆積膜
形成後の基体内面の表面の変色と相関があることが解っ
た。つまり、基体内面の表面が変色していない部分と変
色している部分、及び、変色の程度におおじて、画像濃
度に差が生じるのである。この基体内面の変色の程度
は、面内において不均一であり、さらに、堆積膜形成毎
(ロット毎)で、発生場所および変色の程度が異なって
いる。
【0047】基体内面の変色により、画像濃度ムラが発
生するメカニズムに関しては、本発明者らは以下のよう
に考えている。
【0048】プラズマCVD法により例えばアモルファ
スシリコン堆積膜を基体上に形成する場合、反応は気相
に於ける原料ガスの分解過程、放電空間から基体表面ま
での活性種の輸送過程、基体表面での表面反応過程の3
つに分けて考えることができる。中でも、表面反応過程
は完成した堆積膜の構造の決定に非常に大きな役割を果
たしている。そして、これらの表面反応は、基体表面の
温度、材質、形状、吸着物質などの大きな影響を受ける
のである。この基体上での成長過程を水素を含むアモル
ファスシリコンを例にしてもう少し詳細に説明すると以
下のようになる。プラズマ中で分解して輸送されてきた
分解種は基体上に付着してアモルファスシリコン膜のネ
ットワークを形成するが、まだ3次元的にネットワーク
が完成されていないアモルファスシリコンの成長面では
水素原子の脱離、ダングリングボンドへの水素原子や珪
素原子の結合、エネルギー的に高い結合を持つ原子の再
配置などにより、構造欠陥の少なく、エネルギー的に安
定な方向への化学的反応(緩和過程)が起こる。これら
の結果、堆積膜としてはダングリングボンドの減少、ギ
ャップ準位密度の低下、Si−H2 結合が減少してSi
−H結合が主となる等の減少が観察される。これらの反
応は基体の熱エネルギーにより制御されるため、基体温
度に場所的ムラが生じた場合、ダイレクトに堆積膜の特
性により影響を与え、その結果、電荷(フォトキャリ
ア)の走行性に場所的な不均一性が発生したり、堆積膜
の基体との界面の組成及び構造が変化し、電子写真プロ
セスの工程中に基体からの電荷の注入性の場所的な不均
一性が発生したりして、画像濃度を変えるに充分な表面
電位の差が現われ、得られた画像上に画像濃度のムラが
発生する。
【0049】この様に、a−Siからなる光受容部材
を、プラズマCVD法等の気相成長法より形成する場合
には、基板温度の均一化、安定化を同時に満足する必要
があり、例えば電子写真用光受容部材のように比較的厚
い堆積膜を形成する場合には、特に重要である。
【0050】該基体の加熱方法は、赤外線などを用いて
気相成長面を直接加熱する手段もあるが、気相成長側に
加熱手段を設けることが実装上困難であるため、通常
は、基体ホルダーの内側に加熱手段が設けられる。
【0051】従って基体を所定の温度に加熱するために
は、基体ホルダーの内面で受けた熱を間接的に基体に伝
達するようにする。そして、特に連続製造においては、
基体と基体ホルダーからなる基体部材は、運搬工程を経
て固定部材である加熱手段とドッキングさせる必要があ
ること、またさらに、特性の均一化を図るために該基体
部材を回転させる等の理由から、基体部材と加熱手段は
非接触状態にすることが望ましい。その場合、熱の伝達
は主として加熱手段から基体ホルダー内面への熱輻射に
より行われ、最後に、基体ホルダーから基体の内面への
熱輻射により行われる。そのため、基体内面に色ムラが
生じた場合には、色により熱輻射率が変化するため、色
ムラに対応して基体表面に温度ムラが生じ、画像濃度ム
ラが発生すると考えられる。
【0052】本発明によれば、基体内面の変色を大幅に
抑制し、さらに、変色ムラをなくすことにより、画像濃
度ムラを大幅に改善することができる。このメカニズム
に関しては、まだ解明されていないが、本発明者らは現
在以下のように考えている。
【0053】内面の変色は、基体の温度を下げることに
より低減され、基体の温度を上げることにより顕著とな
ることから、温度により誘発される。よって、昇温され
ることにより内面の表面に存在する物質が変質し、その
結果が内面の変色として現れると考えられる。また、面
内において、変色にムラが生じるのは、内面の表面に存
在する物質の不均一性によるか、あるいは昇温のされか
たの不均一性によるものと考えられる。
【0054】本発明によれば、水に二酸化炭素を溶解さ
せているため、水中には炭酸イオンが存在する。この炭
酸イオンが前述の基体内面の表面上に存在する物質に何
らかの変質をさせる。この場合の炭酸イオンによる変質
は昇温による変質とはメカニズムが異なるため基体の内
面は何等変色してはいない。さらに、このように炭酸イ
オンにより変質させられた物質は、昇温された場合でも
変色が大幅に低減されている。
【0055】さらに、基体と相対する部分は熱伝導度が
大きな材料で構成されかつ、基体ホルダーの上部または
/及び下部が熱膨張率および熱伝導率の小さい材料で構
成された基体ホルダーを用いることにより、基体内面を
均一に昇温することができ、変色の面内のムラ及び、ロ
ット毎のムラをなくすことができる。
【0056】基体の加熱は、まず基体を基体ホルダーに
セットし、次に基体ホルダーを、真空容器内の例えば置
き台または、該基体部材を回転させるための回転機構等
に設置し、加熱手段によって基体表面が所定の温度にな
るよう加熱される。
【0057】該基体の加熱方法は、赤外線などを用いて
気相成長面を直接加熱する手段もあるが、気相成長側に
加熱手段を設けることが実装上困難であるため、通常
は、基体ホルダーの内側に加熱手段が設けられる。
【0058】従って基体を所定の温度に加熱するために
は、基体ホルダーの内面で受けた熱を間接的に基体に伝
達するようにする。そして、特に連続製造においては、
基体と基体ホルダーからなる基体部材は、運搬工程を経
て固定部材である加熱手段とドッキングさせる必要があ
ること、またさらに、該基体部材を回転させる等の理由
から、基体部材と加熱手段は非接触状態にすることが望
ましい。その場合、熱の伝達は主として加熱手段から基
体ホルダー内面への熱輻射により行われる。受けられた
輻射熱は基体ホルダー内部を熱伝達で伝わり、さらに
は、基体ホルダーの表面に装着された基体に伝えられ
る。基体は基体ホルダーと密接しているため、基体温度
は、主に基体ホルダーの温度分布の影響を直接受けるこ
とになる。さらにプラズマCVD法の場合、堆積膜の膜
質向上のために、堆積膜形成中の内圧を低圧側にする手
法がとられる場合がある。これは、原料ガスを充分に分
解し、活性度を高めた活性種が気相中で重合反応を起こ
すことによりエネルギーを失うことを防ぎ、基体表面の
表面反応を促進しかつ、活性化された水素を気相反応な
しに基体表面に到達させ、緩和過程をより促進するため
である。ところが圧力と基体温度の関係を考える場合、
圧力が低くなるほど基体ホルダーの影響を受け易くな
る。これは、低圧になると基体からの熱の移動は、空間
からの輻射(あるいは、空間への輻射)より、基体と密
接する基体ホルダーからの熱伝導(あるいは、基体ホル
ダーへの熱伝導)が主となるからである。
【0059】本発明のように、基体ホルダーを基体と相
対する部分は熱伝導度が大きな材料で構成し、かつ基体
ホルダーの上部または/及び下部は熱膨張係数および熱
伝導度が小さい材料で構成することで、例えば基体ホル
ダーと加熱手段との位置関係がズレた場合、あるいは堆
積膜形成時のように、条件(内圧、ガス種等)が時々刻
々と変化するような温度の不均一が生じるような場合で
も、基体と相対する基体ホルダーの熱伝導が良いため速
やかに基体ホルダー内を熱が移動し基体ホルダー自体で
温度差が生じるのが抑制される。しかし前記作用は、従
来のように例えばアルミニウム等の単一材料からなる基
体ホルダーでは得られず、同時に本発明のように基体ホ
ルダーの上部または/及び下部は熱膨張係数および熱伝
導度が小さい材料で構成されなくてはならない。基体ホ
ルダーは、図2(A)(B)に示されているように、例
えば回転軸と、あるいは受け台、接地面と接触する。こ
れら接触部分は一般的に基体ホルダーの上部および/ま
たは下部となる。基体ホルダーからの熱の逃げも前述の
ように空間への輻射より、前記接触部分からの熱伝導が
主となってしまう。そのためアルミニウムのような熱伝
導の大きな材料では接触部からの熱の逃げが多量とな
り、むしろ基体ホルダー内の温度の均一性が乱れ、その
ため基体温度の均一性が損なわれてしまう。
【0060】このように、二酸化炭素を溶解した水によ
り洗浄された基体と、基体と相対する部分は熱伝導度が
大きな材料で構成されかつ、基体ホルダーの上部または
/及び下部が熱膨張率および熱伝導率の小さい材料で構
成された基体ホルダーを同時に用いることにより、その
相乗効果により堆積膜の均一性が向上し、ハーフトーン
での画像濃度ムラが大幅に改善された。
【0061】さらに、本発明により堆積膜形成中の放電
の均一化および安定化がなされるため、一層画像濃度ム
ラが改善され、さらに前述の基体温度の均一化と相乗効
果により、堆積膜の膜質を向上させることができる。
【0062】前述のように、プラズマCVD法による堆
積膜の成長機構を考えるとき、放電状態は、原料ガスの
分解過程、分解種の基体までの輸送過程と密接に関係し
ている。
【0063】堆積膜形成時に、放電状態が不安定な場合
は、前述のプラズマ中で生成されるラジカル粒子、電
子、イオン粒子等の種類、量さらにこれら活性種の持つ
エネルギー等が変動してしまう。そのため、堆積膜の緩
和過程にも変化が生じ、堆積膜の膜質に影響を及ぼして
しまう。そのため特に電子写真用光受容部材のように比
較的厚い堆積膜を形成する場合には、特に基板温度およ
び放電状態の均一化、安定化を同時に達成する必要があ
る。
【0064】放電の安定性に関し、放電状態を左右する
パラメーターとして、原料ガスの流量、放電パワーおよ
び内圧等が挙げられこれらは一般に原料ガスの流量の場
合、例えばマスフローコントローラーまたは内圧の場
合、真空計等により厳密に制御されている。一方放電状
態を左右するパラメーターの一つとして放電空間のディ
メンジョンが挙げられる。特に前述の図7のような装置
においては、電極間距離(基体とカソード電極間距離)
は、放電状態を大きく左右するパラメーターとなる。そ
してこの電極間距離は、基体ホルダーの設置状態に依存
される。ところがこの基体ホルダーの設置状態は、加熱
工程により影響を受ける。例えば従来のようにアルミニ
ウム単一材料からなる基体ホルダーの場合、基体表面温
度を200〜400℃に加熱すると、基体ホルダー自身
(形状や長さにも依存するが)、数mm以上熱膨張が生
じる。そのため室温で精度よく設置されても、加熱終了
時に回転軸や、置き台等の接触部分で位置ズレまたは傾
きが生じてくる。特に電子写真用光受容部材の場合、母
線方向(上下方向)にある程度長さがあるため、接触部
での僅かな位置ズレも他端においては、大きなズレとな
ってしまう。その結果上下方向あるいは周方向において
放電状態に不均一が生じてしまう。
【0065】本発明は上部または/及び下部(回転軸等
と接触部)が、熱伝導及び熱膨張の小さい材料で構成さ
れた基体ホルダーを用い堆積膜を形成するため、前述の
位置ズレや、傾きを低減することができ、その結果放電
状態を安定化することができる。
【0066】この様に減圧気相成長法で基体表面にシリ
コン原子を母材とする非晶質材料からなる光受容層を形
成させる光受容部材の形成方法においては、特に本発明
のような、堆積膜形成方法は、非常に効果的である。つ
まり、1)基体温度の均一性、および2)放電状況の安
定性に効果的で、前記効果を同時に達成することで、光
受容層での特性の場所的バラツキ、または製造ロット毎
の特性上のバラツキを極端に減少することができる。さ
らに、1)及び2)の複合効果により光受容部材の膜質
が向上し、特性の中で特に帯電特性を向上することがで
きる。
【0067】また、このような効果は、例えば図4に示
すような、実質的に密封し得る反応容器内に放電空間を
取り囲むように、基体ホルダーに装着された円筒状の基
体を配置し、マイクロ波導入手段を設け、原料ガスに由
来する成膜に寄与する反応物質を含むマイクロ波放電プ
ラズマを形成し、放電空間中に設けた電極バイアス電圧
を印加して、該基体の表面を放電空間内と非放電空間と
を交互に通過するように該基体を運動させながら基体表
面にシリコン原子を母材とする非晶質材料からなる光受
容層を形成させる光受容部材の形成方法においては特に
効果的である。
【0068】前述の構成をとるマイクロ波プラズマCV
D法では、放電空間のディメンジョンは完全に基体の位
置関係により、決定される。そのため、例えば基体設置
時に位置ズレが生じた場合には、位置ズレがダイレクト
に放電状態に影響を及ぼしてしまう。さらに基体は回転
するため、回転により位置ズレが増長され、いわゆる回
転ブレ(偏芯)が生じ、そのため、放電状態が大きく変
化、変動してしまう。さらに放電状態が変動することに
より放電空間内で生成されるイオンの種類、量さらにイ
オンの持つエネルギー等が変動してしまい、堆積膜への
イオン衝撃にバラツキが生じ堆積膜の膜質が不均一にな
ってしまう。そして時には、堆積膜の膜質を大幅に悪化
させる状況も生じてくる。
【0069】さらに、堆積膜形成面は必然的にプラズマ
が生起している放電空間と、プラズマが生起していない
非放電空間とを交互に通過するようになる。マイクロ波
プラズマCVD法の場合、高周波プラズマCVD法に比
べプラズマ温度が非常に高い。よって、堆積膜形成開始
直後(非放電空間から放電空間に向いた直後)から堆積
膜形成面は、プラズマから熱エネルギーを得続け、堆積
膜形成終了直後(放電空間から非放電空間に向いた直
後)からは、逆に熱エネルギーを放出する事になる。こ
の結果、堆積膜形成開始直後に形成される堆積膜と、堆
積膜形成終了直後(放電空間から非放電空間に向く直
後)に形成される堆積膜とでは、堆積膜形成時の温度が
異なってしまう。また、マイクロ波プラズマCVD法の
場合堆積膜形成中の内圧は高周波プラズマCVD法と比
較して低圧(0.1Torr以下)で行われる。このよ
うな低圧において基体からの熱の移動は、空間への輻射
より、基体と密接する基体ホルダーへの熱伝導がさらに
メインとなる。よって前述のように回転軸等との接触部
での熱の移動がより顕著となってくる。
【0070】このように、放電空間を取り囲むように、
基体ホルダーに装着された円筒状の基体を配置し、マイ
クロ波放電プラズマと外部電気バイアス電圧を併用し、
基体の表面を放電空間内と非放電空間とを交互に通過す
るように該基体を運動させながら基体表面にシリコン原
子を母材とする非晶質材料からなる光受容層を形成させ
る光受容部材の形成方法においては、他の構成の装置に
比べ、基板温度および放電状態は、さらに重要なものと
なってくるため、本発明の形成方法が特に効果的とな
る。
【0071】また、本発明は、球状突起の発生数を減少
させ、その結果、俗に「ポチ」と呼ばれる白点状また
は、黒点状の画像欠陥を大幅に減少させることができ
る。
【0072】本発明者らの検討では、アルミニウム基体
を用いたとき発生する画像欠陥の原因は、 (A)基体上塵等が付着してそれが核となる。 (B)基体の表面欠陥が核となる。 とに大別できる。(A)の塵等の付着は切削、洗浄など
基体を取り扱う場所のクリーン化を図る及び成膜炉内の
清掃を厳密に行うことと共に堆積膜形成の直前に基体表
面を洗浄することにより有る程度防止することが可能で
あった。従来はトリクロルエタン等の塩素系溶剤で洗浄
することによりこの目的を達成していた。しかし、近年
オゾン層の破壊等の理由でこうした塩素系の溶剤の使用
が制限されるようになってきたため、この問題点につい
て新たに検討をする必要が生じた。また前述のように、
画像欠陥をさらに減少させる必要がある。
【0073】一方、(B)の欠陥を減少させることは従
来より非常に困難であった。
【0074】本発明者の検討により、アルミニウム中の
局所的に高硬度の部分があり、堆積膜形成に先立つ前加
工として、切削等の表面加工の際に加工機の刃にこれら
の高硬度の部分がえぐられアルミニウム基体上に表面欠
陥ができることが(B)の原因であることが明かとなっ
た。
【0075】更に、これらの現象を防ぐためには、通常
アルミニウムに含有される不純物は少ない方がよい、し
かし、非常に高純度のアルミニウムは基体の形状に原材
料のアルミニウムを加工するための溶解の際に必然的に
は発生する酸化物が成長し、前述の欠陥発生の原因とな
る。これを防ぐためには、珪素原子を含有させることが
効果的であることが明かとなった。
【0076】基体表面の機械加工後、トリクロルエタン
等の塩素系の溶剤を用い洗浄を行う場合は、以上のこと
だけで基体の表面性による画像欠陥の発生は充分防止す
ることが可能である。
【0077】しかし、近年ではさらに環境問題のために
これらの塩素系溶剤を容易には使うことができないた
め、本発明者は洗浄に付いても検討を行った。その結
果、アルミニウムは水により腐食が発生する、特にこれ
ら珪素原子を含むアルミニウムは、洗浄の際に水に付け
ると珪素原子が局所的に多い部分を中心に水による腐食
が顕著になることを発見した。
【0078】この現象は水の温度が高いほど顕著であり
また、アルミニウム中に珪素原子と共に切削性を向上す
る目的でマグネシウムを含む場合更に顕著となった。ア
ルミニウムの腐食を防ぐためには、各種の腐食防止剤が
提案されているが、本発明のように、珪素を含んだアル
ミニウム基体を電子写真感光体の基体に用いる場合は大
面積の基体上に僅かに発生した欠陥でも問題となるた
め、効果が不十分であり、さらに、これらの腐食防止剤
が洗浄後微量基体表面に残るため堆積膜形成後電子写真
特性に悪影響が発生するのである。即ち、アルミニウム
基体表面上に水と同時に速やかに揮発する成分以外の成
分が付着していると電子写真感光体を作製した場合、画
像上のしみ等の悪影響が発生するため従来の腐食防止剤
の使用は制限されるのである。
【0079】本発明者らは堆積膜形成に先立ち塵の付着
を除去するために行う洗浄の際用いる水に何らかの処理
を行うことで上記のような欠陥の発生を抑えることがで
きないかという点に着目して鋭意研究した結果、本発明
を完成させるに至った。
【0080】本発明のメカニズムについては未だ解明さ
れていない点が多いが、本発明者は現在、次にように考
えている。
【0081】アルミニウム表面に部分的に露出した珪素
原子が多い部分は周囲の通常のアルミニウムの部分と局
所的な電池を形成して腐食を促進する。
【0082】一方、水に溶解した二酸化炭素は水中で炭
酸イオンとなり、これらの局部電池の部分に引き寄せら
れ周囲を覆うことにより水中の酸素等の接近を防ぎ効果
的に腐食を防止する。更に、炭酸イオンは珪素原子の多
い部分表面に何らかの変質をさせることにより、堆積膜
形成時にこの部分からの異常成長が発生することを防止
する。
【0083】さらに、本発明の電子写真感光体の製造方
法は、球状突起の発生数が減少し、その結果、俗に「ポ
チ」と呼ばれる、白点状または黒点状の画像欠陥が減少
する効果が得られた。
【0084】この結果の原因に関しては、定かではない
が以下のように推測される。
【0085】球状突起に関してはその発生原因として
は、基体表面に付着したチリ、ほこりあるいは金属片と
いったダストがきっかけとなって堆積膜が以上成長を始
めることが確認されている。
【0086】そのため、成膜前の基体は精密に洗浄さ
れ、クリーンルーム等のダスト管理された環境で基体ホ
ルダーに装着され、真空反応容器内に運搬することによ
り、基体にダストが付着することを極力避けるようにし
てきた。このように清浄な状態で真空反応容器内に運搬
された基体であるが、真空反応容器内においてもダスト
が付着する原因が存在する。その一つに、基本ホルダー
からの発塵によるダストの付着がある。
【0087】通常の環境においては基体ホルダーからの
発塵はあまり問題ではないが、光受容部材形成のために
基体を加熱する工程において発塵が問題となってくる。
【0088】つまり、基体ホルダーは、基体の加熱の際
に、熱膨張が生じる。この時基体ホルダー内側に付着し
ていたダストは、表面の形状変化により離脱し、真空容
器内に滞留または、堆積する。そのため真空反応容器内
がダストにより汚染され、基体表面にダストが付着し、
球状突起が発生してしまう。特に、基体ホルダーの上部
または/及び下部においては、前述のように回転軸等と
接触するため、支持体ホルダーの表面に存在するあるい
は表面から発生するダストが他の部分に比べ多いと考え
られる。
【0089】本発明の形成方法によれば、上部または/
及び下部に熱膨張率の小さい材料で構成された支持体ホ
ルダー用いているため、前述の熱膨張による表面の形状
変化によるダストの脱離が減少するからと考えられる。
【0090】また、この様な効果は、例えば図6に示す
ような、各処理毎に専用の真空容器を備えた光受容部材
の形成装置において特に効果的である。
【0091】図6の装置について説明すると、図6は堆
積膜形成装置全体の配置図であり、(601)は清浄な
雰囲気で基体を基体ホルダー装着し、真空にするための
真空投入容器である。(602)は基体を所定の温度に
加熱、保持するための真空加熱容器、(603)は堆積
膜を形成するための真空反応容器、(604)は堆積膜
形成後の基体等を冷却し、取り出すための真空冷却容器
である。(605)は基体ホルダーを各処理容器(60
1),(602),(603),(604)の各位値に
移動するための真空搬送容器である。
【0092】(611),(612),(613),
(614)は各処理容器を真空にするための排気装置、
(621),(622),(623),(624)は真
空搬送容器(605)が各真空処理容器(601),
(602),(603),(604)に接続されたとき
ゲートバルブ(635)とゲートバルブ(631),
(632),(633),(634)の空間を真空にす
るための排気装置である。即ち、例えば真空反応容器
(603)への基体ホルダーの出し入れは、真空搬送容
器(605)のゲートバルブ(635)を真空加熱容器
(602)のゲートバルブ(632)上に密着させ、ゲ
ートバルブ(635)とゲートバルブ(632)の空間
を排気装置(622)により真空にする。次いでゲート
バルブ(632),(622)を開き、真空搬送容器
(605)内に設けられた上下移動機構(図示せず)に
より真空加熱容器(602)内より加熱された基体ホル
ダーを搬出し、同様の操作で次に真空反応容器(60
3)内に基体ホルダーを搬入する。
【0093】その後は、前述のように真空反応容器(6
03)内で、基体上に堆積膜を形成する。
【0094】そして最後に真空冷却容器(604)へ基
体ホルダーを搬入し、真空冷却容器(604)内で基体
は冷却された後、真空冷却容器(604)内を大気圧に
し、基体を取り出す。
【0095】このような各処理毎に専用の真空容器を備
えた光受容部材の形成装置において特に効果的である理
由は、真空加熱容器(602)で加熱された基体ホルダ
ー等は、前述のようにダストの発生し易い状態にある。
この様な状況下で基体及び基体ホルダーの移動を行うた
め、基体ホルダーからの発塵の影響を受け易いためと考
えられる。
【0096】さらに、本発明の形成方法により、優れた
電気特性および画像特性を維持したまま、耐久性を飛躍
的に向上させることができる。
【0097】すなわち、前述のように球状突起が減少す
るため、連続して大量に画像形成を行ってもクリーニン
グブレードや分離爪へのダメージが少なく、クリーニン
グ性および転写紙の分離性も良好になる。従って、画像
形成装置としての耐久性を飛躍的に向上する事ができ
る。さらに、球状突起の数が減少するため、転写紙やク
リーニングブレードと光受容部材が摺擦することにより
発生する球状突起の欠落が大幅に減少され、長期間の使
用による「ポチ」の増加を低減することができる。
【0098】更に、本発明の予期せぬ効果として、電子
写真特性の向上がみられた。
【0099】これは、炭酸イオンは、アルミニウム表面
全体を均一に僅かに溶解することにより表面の活性度を
上げ、堆積膜を形成する際良好な電荷のやりとりができ
る界面を形成することができる。このため、帯電の向
上、残留電位の低減等電子写真特性の向上を果たすこと
が可能となったと考える。
【0100】更に本発明では切削工程後、二酸化炭素を
溶解した水の洗浄工程の前に前洗浄工程を設けることに
より本発明の効果を妨げる油脂及びハロゲン系の残留物
の除去を完全に行うことにより前述の効果を高めてい
る。特に、前洗浄工程は水または界面活性剤を加えた水
中で超音波洗浄を行うことにより、本発明の効果を最高
に高めることを可能にしている。
【0101】以下、本発明を更に詳細に説明する。
【0102】アルミニウム合金製シリンダーを基体とし
て、本発明の電子写真感光体製造方法により電子写真感
光体を実際に形成する手順の一例を、図1に示す本発明
による基体前処理装置、図2に示す、本発明の製造方法
を説明するための基体部材の典型的な例を模式的に示し
た構成図及び、図3〜図5に示す堆積膜形成装置を用い
て以下に説明する。
【0103】精密切削用のエアダンパー付旋盤(PNE
UMO PRECLSION INC.製)に、ダイヤ
モンドバイト(商品名:ミラクルバイト、東京ダイヤモ
ンド製)を、シリンダー中心角に対して5°の角のすく
い角を得るようにセットする。次に、この旋盤の回転フ
ランジに、基体を真空チャックし、付設したノズルから
白燈油噴霧、同じく付設した真空ノズルから切り粉の吸
引を併用しつつ、周速1000m/min、送り速度
0.01mm/Rの条件で外形が108mmとなるよう
に鏡面切削を施す。
【0104】切削が終了した基体は、基体前処理装置に
より基体表面の処理を行う。図1に示す基体前処理装置
は、処理部(102)と基体搬送機構(103)よりな
っている。処理部(102)は、基体投入台(11
1)、基体前洗浄槽(121)、二酸化炭素を溶解した
水による洗浄槽(131)、乾燥槽(141)、基体搬
出台(151)よりなっている。前洗浄槽(121)、
二酸化炭素を溶解した水による洗浄槽(131)とも液
の温度を一定に保つための温度調節装置(図示せず)が
付いている。搬送機構(103)は、搬送レール(16
5)と搬送アーム(161)よりなり、搬送アーム(1
61)は、レール(165)上を移動する移動機構(1
62)、基体(101)を保持するチャッキング機構
(163)及びチャッキング機構(163)を上下させ
るためのエアーシリンダー(164)よりなっている。
【0105】切削後、投入台(111)に置かれた基体
(101)は、搬送機構(103)により洗浄槽(12
1)に搬送される。前洗浄槽(121)中の界面活性剤
水溶液(122)中で超音波処理されることにより表面
に付着している切削油及び切り粉の洗浄が行なわれる。
【0106】次に基体(101)は、搬送機構(10
3)により二酸化炭素を溶解した水による洗浄槽(13
1)へ運ばれ、25℃の温度に保たれ二酸化炭素を溶解
した水により更に洗浄が行われる。二酸化炭素を溶解し
た水は工業用導電率計(商品名:α900R/C、堀場
製作所製)により随時導電率を測定し、必要に応じて二
酸化炭素を溶解することにより導電率がほぼ10μS/
cmに維持するように制御される。二酸化炭素を溶解し
た水による洗浄の終わった基体(101)は搬送機構
(103)により乾燥槽(141)へ移動され、ノズル
(142)から高温の高圧空気を吹き付けられ乾燥され
る。
【0107】乾燥工程の終了した基体(101)は、搬
送機構(103)により搬出台(151)に運ばれる。
【0108】次にこれらの切削加工及び前処理の終了し
た基体を、図2(A),(B)に示すように基体ホルダ
ーに装着し、基体上に図3〜図5に示すプラズマCVD
法による堆積膜の形成装置により、アモルファスシリコ
ンを主体とした堆積膜を形成する。
【0109】図2(A),(B)において、(200)
が基体ホルダーであり、該基体ホルダー(200)は、
熱伝導度が大きな材料で構成される部分(200
(a))と、熱膨張率と熱伝導率が小さい材料で構成さ
れる部分(200(b))からなる。(200(a))
は、基体(201)と相対するように位置している。
(200(b))は図2(A)では、基体ホルダー(2
00)の上部に位置し内面で回転軸(205)と接触
し、また運搬用の取っ手部分(206)も形成してい
る。図2(B)では、基体ホルダー(200)の上部お
よび下部に位置し、下部は置き台(207)と接し、上
部は運搬用の取っ手部分(206)も形成している。
【0110】基体ホルダー(200)は、加熱手段(2
04)からの輻射熱を内面で直接受ける。内面で受けら
れた熱は基体ホルダー(200)の特に(200
(a))内部を熱伝導で伝わり、さらには、基体ホルダ
ー(200)の表面に接着された基体(201)に伝え
られる。
【0111】図2は、代表的な構成例であり、図示の補
助基体部分(203)は必要に応じて省略しても良い。
【0112】以下、高周波プラズマCVD法およびマイ
クロ波プラズマCVD法によって堆積膜を形成するため
の装置及び形成方法について詳述する。
【0113】図3は高周波プラズマCVD法(以下「R
F−PCVD」と表記する)法による電子写真感光体の
製造装置の一例を示す模式的な構成図である。
【0114】図3に示すRF−PCVD法による堆積膜
の製造装置の構成は以下の通りである。この装置は大別
すると、堆積装置(300)、原料ガスの供給装置(3
30)、反応容器(301)内を減圧にするための排気
装置(図示せず)から構成されている。堆積装置(30
0)中の反応容器(301)内には、熱伝導率の大きな
材料からなる(303(a))と、熱膨張率および熱伝
導率の小さな材料からなる(303(b))からなる基
体ホルダー(303)に装着された導電性円筒状基体
(302)、基体加熱用ヒーター(304)、原料ガス
導入管(305)が設置され、更に高周波マッチングボ
ックス(306)が接続されている。
【0115】原料ガス供給装置(330)は、SiH
4 ,H2 ,CH4 ,NO,B26 ,GeH4 等の原料
ガスのボンベ(331〜336)とバルブ(341〜3
46,351〜356,361〜366)およびマスフ
ローコントローラー(371〜376)から構成され、
各原料ガスのボンベはバルブ(380)を介して反応容
器(301)内のガス導入管(305)に接続されてい
る。
【0116】この装置を用いた堆積膜の形成は、例えば
以下のように行なうことができる。
【0117】まず、反応容器(301)内に熱伝導率の
大きな材料からなる(303(a))と、熱膨張率およ
び熱伝導率の小さな材料からなる(303(b))から
なり基体ホルダー(303)に装着された円筒状基体
(302)を設置し、不図示の排気装置(例えば真空ポ
ンプ)により反応容器(301)内を排気する。
【0118】続いて、基体加熱用ヒーター(304)を
ONする。すると、基体ホルダー(302)の内面が基
体加熱用ヒーター(304)からの輻射熱を直接受け
る。内面で受けられた熱は基体ホルダー(303)の主
に(303(a))の内部を熱伝導で伝わり、さらに
は、基体ホルダー(303)の表面に接着された円筒状
基体(302)の内面に伝えられ最終的には円筒状基体
(302)の温度を50℃〜500℃の所定の温度に制
御する。
【0119】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器(30
1)に流入させるには、ガスボンベのバルブ(341〜
346)、反応容器のリークバルブ(308)が閉じら
れていることを確認し、また、流入バルブ(351〜3
56)、流出バルブ(361〜366)、補助バルブ
(380)が開かれていることを確認して、まずメイン
バルブ(309)を開いて反応容器(301)およびガ
ス配管内(307)を排気する。
【0120】次に真空計(310)の読みが約5×10
-6Torrになった時点で補助バルブ(380)、流出
バルブ(361〜366)を閉じる。
【0121】その後、ガスボンベ(331〜396)に
より各ガスをバルブ(341〜346)を開いて導入
し、圧力調整器(391〜396)により各ガス圧を
(例えば2Kg/cm2 )調整する。次に、流入バルブ
(351〜356)を徐々に開けて、各ガスをマスフロ
ーコントローラー(371〜376)内に導入する。
【0122】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、円筒状基体(302)上に例えば電荷注入阻止層、
感光層、表面層等の各層の形成を行う。
【0123】円筒状基体(302)が所定の温度になっ
たところで流出バルブ(361〜366)のうちの必要
なものおよび補助バルブ(380)を徐々に開き、ガス
ボンベ(331〜336)から所定のガスをガス導入管
(305)を介して反応容器(301)内に導入する。
次にマスフローコントローラー(371〜376)によ
って各原料ガスが所定の流量になるように調整する。そ
の際、反応容器(301)内の圧力が1Torr以下の
所定の圧力になるように真空計(310)を見ながらメ
インバルブ(309)の開口を調整する。内圧が安定し
たところで、RF電源(不図示)を所望の電力に設定し
て、高周波マッチングボックス(306)を通じて反応
容器(301)内にRF電力を導入し、RFグロー放電
を生起させる。この放電エネルギーによって反応容器内
に導入された原料ガスが分解され、円筒状基体(30
2)上に所定のシリコンを主成分とする堆積膜が形成さ
れるところとなる。所望の膜厚の形成が行われた後、R
F電力の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器への
ガスの流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0124】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0125】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うま
でもなく、また、それぞれのガスが反応容器(301)
内、流出バルブ(361〜366)から反応容器(30
1)に至る配管内に残留することを避けるために、流出
バルブ(361〜366)を閉じ、補助バルブ(38
0)の開き、さらにメインバルブ(309)を全開にし
て系内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行
う。
【0126】また、膜形成の均一化を図る場合は、膜形
成を行なっている間は、円筒状基体(302)を駆動装
置(不図示)によって所定の速度で回転させる。
【0127】上述のガス種およびバルブ操作は各々の層
の作成条件にしたがって変更が加えられることは言うま
でもない。
【0128】円筒状基体(302)の加熱方法は、真空
仕様である発熱体であればよく、より具体的にはシース
状ヒーターの巻き付けヒーター、板状ヒーター、セラミ
ックヒーター等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤
外線ランプ等の熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温
媒とし熱交換手段による発熱体等が挙げられる。加熱手
段の表面材質は、ステンレス、ニッケル、アルミニウ
ム、銅等の金属類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等
を使用することができる。また、それ以外にも、反応容
器(301)以外に加熱専用の容器を設け、円筒状基体
(302)を加熱した後、反応容器(301)内に真空
中で円筒状基体(302)を搬送する等の方法が用いら
れる。
【0129】次に、μW−PCVD法によって形成され
る電子写真感光体の製造方法について説明する。
【0130】図4(A)および(B)はマイクロ波プラ
ズマCVD(以下「μW−PCVD」と表記する)法に
よって電子写真感光体の堆積膜を形成するための堆積膜
形成装置の一例を示す模式的な構成図、図5は図4の堆
積膜形成装置に原料ガスの配管を接続した状態の説明図
である。
【0131】この装置は、真空気密化構造を成した減圧
にし得る反応容器(401)、原料ガスの供給装置(3
30)、および反応容器内を減圧にするための排気装置
(不図示)から構成されている。反応容器(401)内
にはマイクロ波電力を反応容器内に効率よく透過し、か
つ、真空気密を保持し得るような材料(例えば石英ガラ
ス、アルミナセラミックス等)で形成されたマイクロ波
導入窓(402)、スタブチューナー(図示せず)およ
びアイソレーター(図示せず)を介してマイクロ波電源
(図示せず)に接続されているマイクロ波の導波管(4
03)、熱伝導率の大きな材料からなる(404
(a))と、熱膨張率および熱伝導率の小さな材料から
なる(404(b))からなる基体ホルダー(404)
に装着された堆積膜を形成すべき円筒状基体(40
5)、基体加熱用ヒーター(406)、原料ガス導入管
(407)、プラズマ電位を制御するための外部電気バ
イアスを与えるための電極(408)が設置されてお
り、反応容器(401)内は排気管(411)を通じて
不図示の拡散ポンプに接続されている。
【0132】原料ガス供給装置(330)は、SiH
4 ,H2 ,CH4 ,NO,B26 ,SiF4 等の原料
ガスのボンベ(331〜336)とバルブ(341〜3
46,351〜356,361〜366)およびマスフ
ローコントローラー(371〜376)から構成され、
各原料ガスのボンベはバルブ(380)を介して反応容
器内のガス導入管(407)に接続されている。また、
円筒状基体(405)によって取り囲まれた空間(42
0)が放電空間を形成している。
【0133】μW−PCVD法によるこの装置での堆積
膜の形成は、以下のように行なうことができる。
【0134】まず、反応容器(401)内に、熱伝導率
の大きな材料からなる(404(a))と、熱膨張率お
よび熱伝導率の小さな材料からなる(404(b))か
らなる基体ホルダー(404)に装着された円筒状基体
(405)を設置し、駆動装置(410)によって基体
(405)を回転し、不図示の排気装置(例えば真空ポ
ンプ)により反応容器(401)内を排気管(411)
を介して排気し、反応容器(401)内の圧力を1×1
-6Torr以下に調整する。続いて、基体加熱用ヒー
ター(406)をONする。すると、基体ホルダー(4
04)の内面が基体加熱用ヒーター(406)からの輻
射熱を直接受ける。内面で受けられた熱は基体ホルダー
(404)の主に(404(a))の内部を熱伝導で伝
わり、さらには、基体ホルダー(404)の表面に接着
された円筒状基体(405)の内面に伝えられ最終的に
は円筒状基体(405)の温度を50℃〜500℃の所
定の温度に制御する。
【0135】堆積膜形成用の原料ガスを反応容器(40
1)に流入させるには、ガスボンベのバルブ(341〜
346)、反応容器のリークバルブ(不図示)が閉じら
れていることを確認し、また、流入バルブ(351〜3
56)、流出バルブ(361〜366)、補助バルブ
(380)が開かれていることを確認して、まずメイン
バルブ(不図示)を開いて反応容器(401)およびガ
ス配管(307)内を排気する。
【0136】次に真空計(不図示)の読みが約5×10
-6Torrになった時点で補助バルブ(380)、流出
バルブ(361〜366)を閉じる。
【0137】その後、ガスボンベ(331〜336)に
より各ガスをバルブ(341−346)を開いて導入
し、圧力調整器(391〜396)により各ガス圧(例
えば2Kg/cm2 )調整する。次に、流入バルブ(3
51〜356)を徐々に開けて、各ガスをマスフローコ
ントローラー(371〜376)内に導入する。
【0138】以上のようにして成膜の準備が完了した
後、円筒状基体(405)上に電荷注入阻止層、感光
層、表面層等の各層の形成を行う。
【0139】円筒状基体(405)が所定の温度になっ
たところで流出バルブ(361〜366)のうちの必要
なものおよび補助バルブ(380)を徐々に開き、ガス
ボンベ(331〜336)から所定のガスをガス導入管
(407)を介して反応容器(401)内の放電空間
(420)に導入する。次にマスフローコントローラー
(371〜376)によって各原料ガスが所定の流量に
なるように調整する。その際、放電空間(420)内の
圧力が1Torr以下の所定の圧力になるように真空計
(不図示)を見ながらメインバルブ(不図示)の開口を
調整する。圧力が安定した後、マイクロ波電源(不図
示)により周波数500MHz以上の、好ましくは2.
45GHzのマイクロ波を発生させ、マイクロ波電源
(不図示)を所望の電力に設定し、導波管(403)、
マイクロ波導入窓(402)を介して放電空間(42
0)にμWエネルギーを導入して、μWグロー放電を生
起させる。それと同時併行的に、電源(409)から電
極(408)に例えば直流等の電気バイアスを印加す
る。かくして基体(405)により取り囲まれた放電空
間(420)において、導入された原料ガスは、マイク
ロ波のエネルギーにより励起されて解離し、円筒状基体
(405)上に所定の堆積膜が形成される。この時、層
形成の均一化を図るため基体回転用モーター(410)
によって、所望の回転速度で回転させる。
【0140】所望の膜厚の形成が行われた後、μW電力
の供給を止め、流出バルブを閉じて反応容器へのガスの
流入を止め、堆積膜の形成を終える。
【0141】同様の操作を複数回繰り返すことによっ
て、所望の多層構造の光受容層が形成される。
【0142】それぞれの層を形成する際には必要なガス
以外の流出バルブはすべて閉じられていることは言うま
でもなく、また、それぞれのガスが反応容器(401)
内、流出バルブ(361〜366)から反応容器(40
1)に至る配管内に残留することを避けるために、流出
バルブ(361〜366)を閉じ、補助バルブ(38
0)を開き、さらにメインバルブ(不図示)を全開にし
て系内を一旦高真空に排気する操作を必要に応じて行
う。
【0143】上述のガス種およびバルブ操作は各々の層
の作成条件にしたがって変更が加えられることは言うま
でもない。
【0144】円筒状基体(405)の加熱方法は、真空
仕様である発熱体であればよく、より具体的にはシース
状ヒーターの巻き付けヒーター、板状ヒーター、セラミ
ックヒーター等の電気抵抗発熱体、ハロゲンランプ、赤
外線ランプ等の熱放射ランプ発熱体、液体、気体等を温
媒とし熱交換手段による発熱体等が挙げられる。加熱手
段の表面材質は、ステンレス、ニッケル、アルミニウ
ム、銅等の金属類、セラミックス、耐熱性高分子樹脂等
を使用することができる。また、それ以外にも、反応容
器(401)以外に加熱専用の容器を設け、円筒状基体
(405)を加熱した後、反応容器(401)内に真空
中で円筒状基体(405)を搬送する等の方法が用いら
れる。
【0145】μW−PCVD法においては、放電空間内
の圧力としては、好ましくは1×10-3Torr以上1
×10-1Torr以下、より好ましくは3×10-3To
rr以上5×10-2Torr以下、最も好ましくは5×
10-3Torr以上3×10 -2Torr以下に設定する
ことが望ましい。
【0146】放電空間外の圧力は、放電空間内の圧力よ
りも低ければよいが、放電空間内の圧力が1×10-1
orr以下では、又、特に顕著には5×10-2Torr
以下では、放電空間内の圧力が放電空間外の圧力の3倍
以上の時、特に堆積膜特性向上の効果が大きい。
【0147】マイクロ波の反応炉までの導入方法として
は導波管による方法が挙げられ、反応炉内への導入は、
1つまたは複数の誘電体窓から導入する方法が挙げられ
る。この時、炉内へのマイクロ波の導入窓の材質として
はアルミナ(Al23 ),窒化アルミニウム(Al
N),窒化ボロン(BN),窒化珪素(SiN),炭化
珪素(SiC),酸化珪素(SiO2 ),酸化ベリリウ
ム(BeO),テフロン、ポリスチレン等マイクロ波の
損失の少ない材料が通常使用される。
【0148】電極(408)と円筒状基体(405)間
に発生させる電界は直流電界が好ましく、又電界の向き
は電極(408)から円筒状基体(405)に向けるの
がより好ましい。電界を発生させるために電極(40
8)に印加する直流電圧の平均の大きさは、15V以上
300V以下、好ましくは30V以上200V以下が適
する。直流電圧波形としては、特に制限はなく、種々の
波形のものが本発明では有効である。つまり、時間によ
って電圧の向きが変化しなければいずれの場合でもよ
く、例えば、時間に対して大きさの変化しない定電圧は
もちろん、パルス状の電圧、及び整流機により整流され
た時間によって大きさが変化する脈動電圧でも有効であ
る。
【0149】また、交流電圧を印加することも有効であ
る。交流の周波数は、いずれの周波数でも問題はなく、
実用的には低周波では50Hzまたは60Hz、高周波
では13.56MHzが適する。交流の波形としてはサ
イン波でも矩形波でも、他のいずれの波形でもよいが、
実用的には、サイン波が適する。但し、この時電圧はい
ずれの場合も実効値を言う。
【0150】電極(408)の大きさ及び形状は、放電
を乱さないならばいずれのものでも良いが,実用上は直
径0.1cm以上5cm以下の円筒状の形状が好まし
い。この時、電極(408)の長さも、基体に電界が均
一にかかる長さであれば任意に設定できる。
【0151】電極(408)の材質としては、表面が導
電性となるものならばいずれのものでも良く、例えば、
ステンレス,Al,Cr,Mo,Au,In,Nb,T
e,V,Ti,Pt,Pd,Fe等の金属、これらの合
金または表面を導電処理したガラス,セラミック,プラ
スチック等が通常使用される。
【0152】本発明に於て、前洗浄を行なう場合は特に
界面活性剤等を含有した水系の洗浄が望ましい。水系の
洗浄を行う場合、界面活性剤を溶解する前の水の水質
は、いずれでも可能であるが、特に半導体グレードの純
水、特に超LSIグレードの超純水が望ましい。具体的
には、水温25℃の時の抵抗率として、下限値は1MΩ
−cm以上、好ましくは3MΩ−cm以上、最適には5
MΩ−cm以上が本発明には適している。上限値は理論
抵抗値(18.25MΩ−cm)までの何れの値でも可
能であるが、コスト、生産性の面から17MΩ−cm以
下、好ましくは15MΩ−cm以下、最適には13MΩ
−cm以下が本発明には適している。微粒子量として
は、0.2μm以上が1ミリリットル中に10000個
以下、好ましくは1000個以下、最適には100個以
下で本発明には適している。微生物量としては、総生菌
数が1ミリリットル中に100個以下、好ましくは10
個以下、最適には1個以下が本発明には適している。有
機物量(TOC)は、1リットル中に10mg以下、好
ましくは1mg以下、最適には0.2mg以下が本発明
には適している。
【0153】上記の水質の水を得る方法としては、活性
炭法、蒸留法、イオン交換法、フィルター濾過法、逆浸
透法、紫外線殺菌法等があるが、これらの方法を複数組
み合わせて用い、要求される水質まで高めることが望ま
しい。
【0154】水の温度は、高すぎると基体上に酸化膜が
発生してしまい、堆積膜の剥れ等の原因となる。また、
低すぎると洗浄効果が小さく、さらに本発明の効果が充
分得られない。この為、水の温度としては、10℃以
上、90℃以下、好ましくは20℃以上、75℃以下、
最適には30℃以上、55℃以下が本発明には適してい
る。
【0155】本発明において前洗浄工程で用いられる界
面活性剤は、陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活
性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、または
それらの混合したもの等いずれのものでも可能である。
中でも、カルボン酸塩、スルホン酸塩、硫酸エステル
塩、燐酸エステル塩等の陰イオン性界面活性剤または、
脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤は特に本発明
では効果的である。ビルダーとしては、燐酸塩、炭酸
塩、珪酸塩、ほう酸塩等を用いることが有効である。キ
レート剤としては、グルコン酸塩、EDTA、NTA、
燐酸塩等を用いることが有効である。
【0156】本発明に於いて前洗浄工程に超音波を用い
ることは本発明の効果を出す上で有効である。超音波の
周波数は、好ましくは100Hz以上、10MHz以
下、更に好ましくは1kHz以上、5MHz以下、最適
には10kHz以上100kHz以下が効果的である。
超音波の出力は、好ましくは0.1W/リットル以上、
1kW/リットル以下、更に好ましくは1W/リットル
以上、100W/リットル以下が効果的である。
【0157】本発明に於て、二酸化炭素を溶解した水に
よる洗浄工程に使用される水の水質は、非常に重要であ
り二酸化炭素溶解前の状態では半導体グレードの純水、
特に超LSIグレードの超純水が望ましい。具体的に
は、水温25℃の時の抵抗率として、下限値は1MΩ−
cm以上、好ましくは3MΩ−cm以上、最適には5M
Ω−cm以上が本発明には適している。抵抗値の上限は
理論抵抗値(18.25MΩ−cm)までの何れの値で
も可能であるが、コスト、生産性の面から17MΩ−c
m以下、好ましくは15MΩ−cm以下、最適には13
MΩ−cm以下が本発明には適している。微粒子量とし
ては、0.2μm以上が1ミリリットル中に10000
個以下、好ましくは1000個以下、最適には100個
以下が本発明には適している。微生物量としては、総生
菌数が1ミリリットル中に100個以下、好ましくは1
0個以下、最適には1個以下が本発明には適している。
有機物量(TOC)は、1リットル中に10mg以下、
好ましくは1mg以下、最適には0.2mg以下が本発
明には適している。
【0158】上記の水質の水を得る方法としては、活性
炭法、蒸留法、イオン交換法、フィルター濾過法、逆浸
透法、紫外線殺菌法等があるが、これらの方法を複数組
み合わせて用い、要求される水質まで高めることが望ま
しい。
【0159】これらの水に溶解する二酸化炭素の量は飽
和溶解度までのいずれの量でも本発明は可能だが、多す
ぎると水温が変動したときに泡が発生し基体表面に付着
することによりスポット上のシミが発生する場合があ
る。更に、溶解した二酸化炭素の量が多いとpHが小さ
くなるため基体にダメージを与える場合がある。一方、
溶解した二酸化炭素の量が少なすぎると本発明の効果を
得ることができない。
【0160】基体に要求される品質等を考慮しながら、
状況に合わせて二酸化炭素の溶解量を最適化する必要が
ある。
【0161】一般的に本発明による好ましい二酸化炭素
の溶解量は飽和溶解度の60%以下、更に好ましくは4
0%の条件である。
【0162】本発明において二酸化炭素の溶解量は水の
導電率またはpHで管理することが実用的であるが、導
電率で管理した場合、好ましい範囲は2μS/cm以
上、40μS/cm以下、更に好ましくは4μS/cm
以上、35μS/cm以下、6μS/cm以上、30μ
S/cm以下、pHで管理した場合、好ましい範囲は
3.8以上、6.0以下、更に好ましくは4.0以上、
5.0以下で本発明は効果が顕著である。導電率の測定
は導電率計等により行い、値としては温度補正により2
5℃に換算した値を用いる。
【0163】水の温度は、高すぎると基体上に酸化膜が
発生してしまい、堆積膜の剥れ等の原因となる。また、
低すぎると洗浄効果が小さく、さらに本発明の効果が充
分得られない。この為、水の温度としては、10℃以
上、90℃以下、好ましくは20℃以上、75℃以下、
最適には30℃以上、55℃以下が本発明には適してい
る。
【0164】二酸化炭素を水に溶解する方法はバブリン
グによる方法、隔膜を用いる方法等いずれでも良い。本
発明においては、二酸化炭素を溶解した水を用いること
が重要であり、炭酸イオンを得るために炭酸ナトリウム
等の炭酸塩を用いた場合、ナトリウムイオン等の陽イオ
ンが本発明の効果を阻害してしまう。
【0165】このようにして得られた二酸化炭素を溶解
した水により基体表面を洗浄するときは、ディッピング
により洗浄する方法、水圧を掛けて吹き付ける方法等が
ある。
【0166】ディッピングにより洗浄する場合、二酸化
炭素を溶解した水を導入した水槽に基体を浸積する事が
基本であるが、その際に超音波を印加する、水流を与え
る、空気等を導入することによりバブリングを行う等を
併用すると本発明は更に効果的なものとなる。
【0167】吹き付ける場合、水の圧力は、弱すぎると
本発明の効果が小さいものとなり、強すぎると得られた
電子写真感光体の画像上、特にハーフトーンの画像上で
梨肌状の模様が発生してしまう。この為、水の圧力とし
ては、2kg・f/cm2 以上、300kg・f/cm
2 以下、好ましくは10kg・f/cm2 以上、200
kg・f/cm2 以下、最適には20kg・f/cm2
以上、150kg・f/cm2 以下が本発明には適して
いる。但し、本発明に於ける圧力単位kg・f/cm2
は、重力キロブラム毎平方センチメートルを意味し、1
kg・f/cm 2 は98066.5Paと等しい。
【0168】水を吹き付ける方法には、ポンプにより高
圧化した水をノズルから吹き付ける方法、または、ポン
プで汲み上げた水を高圧空気とノズルの手前で混合し
て、空気の圧力により吹き付ける方法等がある。
【0169】水の流量としては、発明の効果と、経済性
から、基体1本当り1リットル/min以上、200リ
ットル/min以下、好ましくは2リットル/min以
上、100リットル/min以下、最適には5リットル
/min以上、50リットル/min以下が本発明には
適している。
【0170】水の温度は、高すぎると基体上に酸化膜が
発生してしまい堆積膜の剥れ等の原因となる、さらに本
発明の効果が充分に得られない。また、安定して二酸化
炭素を水中に溶解しておくことが困難である。反対に、
低すぎてもやはり本発明の効果が充分得ることはできな
い。この為、水の温度としては、5℃以上、90℃以
下、好ましくは10℃以上、55℃以下、最適には15
℃以上、40℃以下が本発明には適している。
【0171】二酸化炭素を溶解した水による洗浄処理の
処理時間は、長すぎると基体上に酸化膜が発生してしま
い、短すぎると本発明の効果が小さいため、10秒以
上、30分以下、好ましくは20秒以上、20分以下、
最適には30秒以上、10分以下が本発明には適してい
る。
【0172】本発明に於いて、堆積膜形成時の基体表面
の酸化皮膜等の影響を取り除くために、堆積膜形成の直
前に基体表面の切削を行なうことは重要なことである。
【0173】切削から二酸化炭素を溶解した水による洗
浄処理までの時間は、長すぎると基体表面に再び酸化膜
が発生してしまい、短すぎると工程が安定しないため、
1分以上、16時間以下、好ましくは2分以上、8時間
以下、最適には3分以上、4時間以下が本発明には適し
ている。
【0174】二酸化炭素を溶解した水による洗浄処理か
ら堆積膜形成装置へ投入までの時間は、長すぎると本発
明の効果が小さくなってしまい、短すぎると工程が安定
しないため、1分以上、8時間以下、好ましくは2分以
上、4時間以下、最適には3分以上、2時間以下が本発
明には適している。
【0175】乾燥工程は、温風乾燥、真空乾燥、温水乾
燥等いずれの乾燥方法も有効である。特に二酸化炭素を
溶解した温水による乾燥が本発明の効果を高めるために
好ましい。
【0176】本発明に於て、二酸化炭素を溶解した水に
温水乾燥を行う場合、使用される水の水質は、非常に重
要であり二酸化炭素溶解前の状態では半導体グレードの
純水、特に超LSIグレードの超純水が望ましい。具体
的には、水温25℃の時の抵抗率として、下限値は1M
Ω−cm以上、好ましくは3MΩ−cm以上、最適には
5MΩ−cm以上が本発明には適している。抵抗値の上
限は理論抵抗値(18.25MΩ−cm)までの何れの
値でも可能であるが、コスト、生産性の面から17MΩ
−cm以下、好ましくは15MΩ−cm以下、最適には
13MΩ−cm以下が本発明には適している。微粒子量
としては、0.2μm以上が1ミリリットル中に100
00個以下、好ましくは1000個以下、最適には10
0個以下が本発明には適している。微生物量としては、
総生菌数が1ミリリットル中に100個以下、好ましく
は10個以下、最適には1個以下が本発明には適してい
る。有機物量(TOC)は、1リットル中に10mg以
下、好ましくは1mg以下、最適には、0.2mg以下
が本発明には適している。
【0177】上記の水質の水を得る方法としては、活性
炭法、蒸留法、イオン交換法、フィルター濾過法、逆浸
透法、紫外線殺菌法等があるが、これらの方法を複数組
み合わせて用い、要求される水質まで高めることが望ま
しい。
【0178】これらの水に溶解する二酸化炭素の量は飽
和溶解度までのいずれの量でも本発明は可能だが、多す
ぎると水温が変動したときに泡が発生し基体表面に付着
することによりスポット上のシミが発生する場合があ
る。更に、溶解した二酸化炭素の量が多いとpHが小さ
くなるため基体にダメージを与える場合がある。一方、
溶解した二酸化炭素の量が少なすぎると本発明の効果を
得ることができない。
【0179】基体に要求される品質等を考慮しながら、
状況に合わせて二酸化炭素の溶解量を最適化する必要が
ある。
【0180】一般的に本発明による好ましい二酸化炭素
の溶解量は飽和溶解度の60%以下、更に好ましくは4
0%の条件である。
【0181】本発明において二酸化炭素の溶解量は水の
導電率またはpHで管理することが実用的であるが、導
電率で管理した場合、好ましい範囲は2μS/cm以
上、40μS/cm以下、更に好ましくは4μS/cm
以上、35μS/cm以下、6μS/cm以上、30μ
S/cm以下、pHで管理した場合、好ましい範囲は
3.8以上、6.0以下、更に好ましくは4.0以上、
5.0以下で本発明は効果が顕著である。導電率の測定
は導電率計等により行い、値としては温度補正により2
5℃に換算した値を用いる。
【0182】二酸化炭素を水に溶解する方法はバブリン
グによる方法、隔膜を用いる方法等いずれでも良い。本
発明においては、二酸化炭素を溶解した水を用いること
が重要であり、炭酸イオンを得るために炭酸ナトリウム
等の炭酸塩を用いた場合、ナトリウムイオン等の陽イオ
ンが本発明の効果を阻害してしまう。
【0183】水の温度は、高すぎると基体上に酸化膜が
発生してしまい、堆積膜の剥れ等の原因となる。また、
低すぎると乾燥が不十分となり、さらに本発明の効果が
充分得られない。この為、水の温度としては、30℃以
上、90℃以下、好ましくは35℃以上、80℃以下、
最適には40℃以上、70℃以下が本発明には適してい
る。
【0184】基体ホルダー(200(a))を構成する
材料としては、熱伝導率が150(W/m・K)以上で
あればよく、200(W/m・K)以上がより好まし
い。具体的には、例えばW,Au,Ag,Al,Cu等
が挙げられるが、コスト、重量および安定性の面から実
用上はAlが好ましい。
【0185】基体ホルダー(200(b))を構成する
材料としては、熱伝導率が80(W/m・K)以下であ
ればよく、50(W/m・K)以下が好ましい。また、
熱膨張率が20(10-6-1)以下が好ましい。具体的
にはTi,Cr,Fe,ステンレス等の金属、およびA
23 ,MgO・Al23 等のセラミックおよび、
ガラス等が挙げられるが、コストおよび耐久性の面か
ら、Ti,ステンレスが好ましい。また、ガラス、セラ
ミック等の電気絶縁性材料に関しては、基体および基体
ホルダーの接地のために表面等一部導電処理したものを
用いることができる。
【0186】基体ホルダー(200(a))の表面性に
関しては、基体との接触面積を増しあるいは表面積を増
し熱輻射を効率的にするためには、表面は粗い方がよ
い。一方であまり表面性を粗くし表面積を増加させる
と、ダストが増加し、また発塵しやすくなる。よって、
表面性は十点平均粗さ(Rz)で、5〜90μmが好ま
しく、10〜70μmがより好ましい。また、表面性
は、内面全面において均一であることが好ましいが、面
内における最大値と最小値の差が70μm以内であれば
実用上問題ない。
【0187】基体ホルダー(200(b))の表面性に
関しては、表面積を減少させ熱輻射を低減させるために
は、表面は滑らかな方がよい。よって表面性は十点平均
粗さ(Rz)で60μm以下が好ましく50μm以下が
より好ましい。
【0188】(200(a))と(200(b))の接
合部は、電気的な導通を得るためには表面積を増すほう
が好ましいが、(200(a))から(200(b))
への熱伝導を抑制するためには、表面積を減少するほう
が好ましい。よって、接続部の表面性は十点粗さ(R
z)で1μm以上、100μm以下が好ましい。
【0189】基体ホルダー(200)の形成する手段と
しては特に制限はないが、(200(a))と(200
(b))をそれぞれ形成後、溶接、ネジ止めあるいは冷
やしばね等で形成する方法が挙げられる。またそれらを
併用してもよい。
【0190】基体ホルダー(200(a))は、少なく
とも基体と相対する部分に形成されていればよいが、さ
らに上下方向に基体よりも長く形成されている方が更に
均一性の面から好ましい。よって(200(a))の長
さとしては、基体の長さを100としたとき、100〜
150が好ましく、コストの面から100〜120が好
ましい。
【0191】基体ホルダー(200(b))は、基体ホ
ルダー(200)の上部および/または下部において、
回転軸(205)等と接触する部分が形成されていれば
特に制限はなく、(200(a))の体積を100とし
たとき、80〜100が好ましく、コスト、重量および
耐久性の面から20〜40がさらに好ましい。また、さ
らに基体ホルダーを運搬するために、基体ホルダーの上
部において基体ホルダーをチャッキングするための例え
ば凸形状、凹形状、または図1(A),(B)の(10
6)の様な形状等の取っ手部分が形成されているほう
が、例えば図5の様な加熱専用の容器を設け、基体を加
熱した後、反応容器内に真空中で基体を搬送する方法を
用いる場合、移動機構と取っ手部との接触による、熱の
逃げを抑制するために、また熱膨張による発塵を抑制す
るためにも好ましい。
【0192】基体ホルダー(200(a))の肉厚とし
ては特に制限はないが、コスト、取扱い性、強度および
加熱時間の面から0.5〜30mmが好ましく、1〜2
0mmがより好ましい。
【0193】基体ホルダー(200(b))の肉厚とし
ては特に制限はないが、コスト、取扱い性、強度の面か
ら0.5〜30mmが好ましく、1〜20mmがより好
ましい。
【0194】基体(201)と基体ホルダー(200
(a))との間隔は、熱伝導を良くするために接触させ
るのが望ましいが、許容し得る程度の間隔があってもよ
い。この場合基体(201)と基体ホルダー(200
(a))との間隔が5mm以下が好ましく、特性の均一
性の面から3mm以下がより好ましい。
【0195】本発明において基体の材質はアルミニウム
を母体とするもので有ればいずれでも可能であるが、特
に珪素原子を含有したものを用いた場合本発明の効果が
顕著である。本発明において好ましい珪素原子の含有量
としては1ppm以上、1wt%以下、更に好ましくは
10ppm以上、0.1wt%以下の範囲である。
【0196】本発明において基体の加工性を向上させる
ためにマグネシウムを含有させる事は有効である。好ま
しいマグネシウムの含有量としては、0.1wt%以
上、10wt%以下、更に好ましくは0.2wt%以
上、5wt%以下の範囲である。
【0197】更に本発明では、H,Li,Na,K,B
e,Ca,Ti,Cr,Mn,Fe,Co,Ni,C
u,Ag,Zn,Cd,Hg,B,Ca,In,C,S
i,Ge,Sn,N,P,As,O,S,Se,F,C
l,Br,I等如何なる物質をアルミニウム中に含有さ
せても有効である。また、基体ホルダー(200
(a))と同種類の材料を含有したほうが、熱膨張によ
る体積変化が等しくなり、基体との密着性あるいは基体
と間隔が安定して保たれるため、均一性の面から好まし
い。
【0198】本発明において基体の形状は任意の形状を
有し得るが、特に円筒形のものが本発明に最適である。
基体の大きさには特に制限はないが、実用的には直径2
0mm以上、500mm以下、長さ10mm以上、10
00mm以下が好ましい。
【0199】珪素含む非単結晶感光体の場合、堆積膜形
成時に使用される原料ガスとしては、シラン(SiH
4 ),ジシラン(Si26 ),四弗化珪素(SiF
4 ),六弗化二珪素(Si26 )等のアモルファスシ
リコン形成原料ガス又はそれらの混合ガスが挙げられ
る。
【0200】希釈ガスとしては水素(H2 ),アルゴン
(Ar),ヘリウム(He)等が挙げられる。
【0201】又、堆積膜のバンドギャップ幅を変化させ
る等の特性改善ガスとして、窒素(N2 ),アンモニア
(NH3 )等の窒素原子を含む元素、酸素(O2 ),一
酸化窒素(NO),二酸化窒素(NO2 ),酸化二窒素
(N2 O),一酸化炭素(CO),二酸化炭素(CO
2 )等酸素原子を含む元素、メタン(CH4 ),エタン
(C26 ),エチレン(C24 ),アセチレン(C
22 ),プロパン(C 38 )等の単価水素、四弗化
ゲルマニウム(GeF4 ),弗化窒素(NF3 )等の弗
素化合物またはこれらの混合ガスが挙げられる。
【0202】また、本発明に於ては、ドーピングを目的
としてジボラン(B26 ),フッ化ほう素(BF
3 ),ホスフィン(PH3 )等のドーパントガスを同時
に放電空間に導入しても本発明は同様に有効である。
【0203】本発明の電子写真感光体では、基体上に堆
積した堆積膜の総膜厚はいずれでも良いが、5μm以
上、100μm以下、更に好ましくは10μm以上、7
0μm以下、最適には15μm以上、50μm以下に於
て、電子写真感光体として特に良好な画像を得る事がで
きた。
【0204】本発明において、堆積膜の堆積時の基体温
度は、100℃以上、500℃以下の範囲で有効である
が、特に150℃以上、450℃以下、好ましくは20
0℃以上、400℃以下、最適には250℃以上、35
0℃以下に於て著しい効果が確認された。
【0205】本発明において、プラズマを発生させるエ
ネルギーは、DC,RF,マイクロ波等いずれでも可能
であるが、特に、プラズマの発生のエネルギーにマイク
ロ波を用いた場合、基体の表面欠陥による異常成長が顕
著に現れ且つ、吸着した水分にマイクロ波が吸収され、
界面の変化がより顕著なものとなるため、本発明の効果
がより顕著なものとなる。
【0206】本発明の方法で製造された電子写真感光体
は、電子写真複写機に利用するのみならず、レーザービ
ームプリンター、CRTプリンター、LEDプリンタ
ー、液晶プリンター、レーザー製版機などの電子写真応
用分野にも広く用いることができる。
【0207】以下、本発明の効果を、実験例を用いて具
体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定され
るものではない。
【0208】
【実験例】
実験例1 図3に示す堆積膜形成装置を用い、表1の条件で、基体
上に、アモルファスシリコン堆積膜の形成を行い、図8
(A)に示す層構成の阻止型電子写真感光体を作製し
た。
【0209】図8(A)に於て、(801),(80
2),(803),及び(804)は、それぞれアルミ
ニウム基体、電荷注入阻止層、光導電層及び表面層を示
している。基体には、珪素原子の含有量が100ppm
のアルミニウムよりなる直径108mm、長さ358m
m、肉厚5mmの円筒状基体を、前述の本発明による電
子写真感光体の製造方法の手順の一例と同様の手順で表
面の切削を行ったものを用いた。
【0210】本実験においては、以下に示す6種類の条
件により電子写真感光体を作製した。条件1 切削工程終了15分後に図1に示す表面処理装置によ
り、表2に示す条件により洗剤(非イオン性界面活性
剤)による洗浄及び二酸化炭素を溶解した水による洗浄
を行った。但しこの時二酸化炭素を溶解した水としては
抵抗率10MΩ・cmの純水中に二酸化炭素を溶解する
ことにより導電率を20μS/cm、pHをほぼ4.2
にした水を用いた。更にその後、表3Aの寸法形状の基
体ホルダーに円筒状基体をセットし、電子写真感光体を
作製した。条件2 切削工程終了15分後に表4に示す条件により洗剤(非
イオン性界面活性剤)による洗浄及び純水による洗浄を
行った。表面処理装置としては図1のものを用い、但
し、洗浄槽(131)中には二酸化炭素を溶解しない純
水を導入した。更にその後、表3Aの寸法形状の基体ホ
ルダーに円筒状基体をセットし、電子写真感光体を作製
した。条件3 切削工程終了15分後に、図9に示す従来の基体表面洗
浄装置により表5の条件で基体表面の処理を行った。図
9に示す基体洗浄装置は、処理槽(902)と基体搬送
機構(903)よりなっている。処理槽(902)は、
基体投入台(911)、基体洗浄槽(921)、基体搬
出台(951)よりなっている。洗浄槽(921)は液
の温度を一定に保つための温度調節装置(図示せず)が
付いている。搬送機構(903)は、搬送レール(96
5)と搬送アーム(961)よりなり、搬送アーム(9
61)は、レール(965)上を移動する移動機構(9
62)、基体(901)を保持するチャッキング機構
(963)、及びこのチャッキング機構(963)を上
下させるためのエアーシリンダー(964)よりなって
いる。
【0211】切削後、投入台上(911)に置かれた基
体(901)は、搬送機構(903)により洗浄槽(9
21)に搬送される。洗浄槽(921)中のトリクロル
エタン(商品名:エターナVG 旭化成工業社製)(9
22)により表面に付着している切削油及び切り粉を除
去するための洗浄が行なわれる。
【0212】洗浄後、基体(901)は、搬送機構(9
03)により搬出台(951)に運ばれる。
【0213】更にその後、表3Aの寸法形状の基体ホル
ダーに円筒状基体をセットし、電子写真感光体を作製し
た。条件4 切削工程終了15分後に図1に示す表面処理装置によ
り、表2に示す条件により洗剤(非イオン性界面活性
剤)による洗浄及び二酸化炭素を溶解した水による洗浄
を行った。但しこの時二酸化炭素を溶解した水としては
抵抗率10MΩ・cmの純水中に二酸化炭素を溶解する
ことにより導電率を20μS/cm、pHをほぼ4.2
にした水を用いた。更にその後、表3Bの寸法形状の基
体ホルダーに円筒状基体をセットし、電子写真感光体を
作製した。条件5 切削工程終了15分後に表4に示す条件により洗剤(非
イオン性界面活性剤)による洗浄及び純水による洗浄を
行った。表面処理装置としては図1のものを用い、但
し、洗浄槽(131)中には二酸化炭素を溶解しない純
水を導入した。更にその後、表3Bの寸法形状の基体ホ
ルダーに円筒状基体をセットし、電子写真感光体を作製
した。
【0214】作製した電子写真感光体をキャノン製複写
機NP−6060を高速実験用に改造した電子写真装置
に設置し、帯電能・帯電能ムラ、感度・感度ムラ、画像
濃度むら、白ポチ等の電子写真特性について評価を行な
った。また感光体表面の球状突起の発生数および環境
性、基体内面の表面状態について評価を行なった。
【0215】各項目は、以下の方法で評価を行った。 帯電能・帯電能ムラ 電子写真感光体を実験装置に設置し、帯電器に+6KV
の高電圧を印加し、コロナ帯電を行い、表面電位計によ
り電子写真感光体の暗部表面電位を測定する。電子写真
感光体の一方の端部から他方の端部にかけて3cmおき
に暗部表面電位を測定する。同様の測定を周方向に45
°ずつ計8箇所行う。そして得られた暗部表面電位の平
均をもって帯電能とし、バラツキ(標準偏差)をもっ
て、帯電能ムラとする。 感度・感度ムラ 電子写真感光体を、420Vの暗部表面電位に帯電させ
る。そして直ちに一定光量を照射する。光像はキセノン
ランプ光源を用い、フィルターを用いて550nm以下
の波長域の光を除いた光を照射した。この時表面電位計
により電子写真感光体の明部表面電位を測定する。電子
写真感光体の一方の端部から他方の端部にかけて3cm
おきに明部表面電位を測定する。同様の測定を周方向に
45°ずつ計8箇所行う。そして得られた明部表面電位
の平均をもって感度とし、バラツキ(標準偏差)をもっ
て、感度ムラとする。
【0216】この時一定光量は、0.35lx・sec
とした。 画像濃度むら キャノン製中間調チャート(部品番号:FY9−904
2)を原稿台に置きコピーしたときに得られたコピー画
像上で直径0.05mmの円形の領域を1単位として2
00点の画像濃度を測定し、その画像濃度のばらつきを
評価した。
【0217】◎は「特に良好」 ○は「良好」 △は「実用上問題無し」 ×は「実用上問題有り」 白ポチ キャノン製全面黒チャート(部品番号:FY9−907
3)を原稿台に置きコピーしたときに得られたコピー画
像の同一面積内にある直径0.2mm以下の白ポチにつ
いて、評価した。
【0218】◎は「特に良好」 ○は「良好」 △は「実用上問題無し」 ×は「実用上問題有り」 球状突起の発生数 電子写真感光体の表面全域を光学顕微鏡で観察し、10
0cm2 の面積内での直径15μm以上の球状突起の個
数を調べた。 環境性の評価 ○…前処理工程にオゾン層の破壊に係わる物質を用いな
い。
【0219】×…前処理工程にオゾン層の破壊に係わる
物質を用いている。 基体内面状態 基体の内面を目視で観察し、堆積膜形成前の内面状態と
比較して以下の基準で評価を行った。
【0220】◎は、変化なし。
【0221】○は、わずかに変色が認められる。
【0222】△は、所々に変色が認められる。
【0223】×は、大きな変色がある。
【0224】このようにして得られた結果を表6に示
す。表6において、帯電能・帯電能ムラ、感度・感度ム
ラおよび球状突起の発生数は、条件5で得られた結果を
100とした相対評価を行っている。
【0225】表6により明らかなように、二酸化炭素を
溶解した水により基体の洗浄をおこない、かつ母材が、
(a)熱伝導度の大きな材料と、(b)熱膨張係数およ
び熱伝導度が小さい材料からなり、少なくとも該基体と
相対する部分は(a)の材料で構成され、かつ上部また
は/及び下部は(b)の材料で構成されている基体ホル
ダーを用いることにより、画像欠陥、および画像濃度む
らが大幅に向上した電子写真用感光体を作製することが
できるようになった。
【0226】
【表1】
【0227】
【表2】
【0228】
【表3】
【0229】
【表4】
【0230】
【表5】
【0231】
【表6】 実験例2 水中に溶解する二酸化炭素の量を変化させて画像欠陥の
発生と相関を調べた。珪素原子の含有量が100ppm
のアルミニウムよりなる直径108mm、長さ538m
m、肉厚5mmの円筒状基体を、前述の本発明による電
子写真感光体の製造方法の手順の一例と同様の手順で表
面の切削を行った。
【0232】切削工程終了15分後に図1に示す表面処
理装置により、表2に示す条件により洗剤(非イオン性
界面活性剤)による洗浄及び二酸化炭素を溶解した水に
よる洗浄を行った。但しこの時二酸化炭素を溶解した水
としては抵抗率10MΩ・cmの純水中に二酸化炭素を
溶解することにより導電率を0.1μS/cmから50
μS/cmにした水を用いた。
【0233】更にその後、表3Aの寸法形状の基体ホル
ダーに円筒状基体をセットし、図3に示す堆積膜形成装
置を用い、表3の条件で、基体上に、アモルファスシリ
コン堆積膜の形成を行い、図8(A)に示す層構成の阻
止型電子写真感光体を作製した。
【0234】この様にして作成した電子写真感光体を実
験例1と同様の方法で評価した結果を表7に示す。表7
において、帯電能・帯電能ムラ、球状突起の発生数は、
導電率を0.1μS/cm(純水のみ、CO2 溶解せ
ず)を100としたときの、相対評価で示す。
【0235】表7により明らかなように、本発明による
電子写真感光体製造方法で作製した電子写真感光体は、
二酸化炭素を溶解した水溶液の導電率が2μS/cmか
ら40μS/cmの範囲で画像欠陥等について非常に良
好な効果が得られた。
【0236】
【表7】 実験例3 珪素原子の含有量を変化させたアルミニウム基体を実験
例1と同様の手順で切削後、切削工程終了後15分後に
図1に示す表面処理装置を用い、表2に示す条件により
二酸化炭素を溶解する水による洗浄を行った。但しこの
時水としては抵抗率10MΩ・cmの純水中に二酸化炭
素を溶解することにより導電率を20μS/cm、pH
をほぼ4.2にした水を用いた。
【0237】更にその後、表3Aの寸法形状の基体ホル
ダーに円筒状基体をセットし、図3に示す堆積膜形成装
置を用い、表1の条件で、基体上に、アモルファスシリ
コン堆積膜の形成を行い、図8(A)に示す層構成の阻
止型電子写真感光体を作製した。
【0238】この様にして作成した電子写真感光体を実
験例1と同様の方法で評価した結果を表8に示す。表8
において明らかなように、本発明による電子写真感光体
製造方法で作製した電子写真感光体は基体のアルミニウ
ム中に珪素原子を1ppmから1wt%含有した範囲で
画像欠陥について非常に良好な効果が得られた。
【0239】
【表8】 実験例4 実験例1と同様の基体を同様の手順で切削後、切削工程
終了後15分後に図1に示す表面処理装置により、表2
に示す条件により基体表面の前処理を行った。
【0240】更にその後、表3Aの寸法形状の基体ホル
ダーに円筒状基体をセットし、図3に示す堆積膜形成装
置を用い、表1の条件で、基体上に、アモルファスシリ
コン堆積膜の形成を行い、図8(A)に示す層構成の阻
止型電子写真感光体を作製した。
【0241】本実験例では、二酸化炭素を溶解した水に
よる洗浄工程時に使用する純水の水質(抵抗率)を変化
させ電子写真感光体を作製した。このようにして得られ
た電子写真感光体を、実験例1と同様の手順で同様の評
価を行った。評価としては同一の作製条件で作製した電
子写真感光体を各10本づつ評価し、得られた評価結果
を表9に示した。但し、表中黒シミ、コストについては
以下の基準で評価を行った。黒しみの評価 プロセススピードを変え全面ハーフトーン原稿を原稿台
に置いて得られた画像の平均濃度が0.4±0.1にな
るように画像を出力した。このようにして得られた画像
サンプル中で一番しみの目立つものを選び評価を行っ
た。評価の方法としてはこれらの画像を目より40cm
離れたところで観察して、黒しみが認められるか調べ、
以下の基準で評価を行った。
【0242】◎…いずれのコピー上にも黒しみは認めら
れない。
【0243】○…わずかに黒しみが認められるものがあ
った。
【0244】しかし軽微であり全く問題無し。
【0245】△…いずれのコピー上にも黒しみが認めら
れる。
【0246】しかし軽微であり実用上支障ない。
【0247】×…全数のコピー上に大きな黒しみが認め
られる。コストの評価 必要な洗浄液を必要量得る場合 ◎…非常に安価に手にはいる。
【0248】○…安価に手にはいる。
【0249】△…やや高価である。
【0250】×…高価である。
【0251】表9より明らかなように、二酸化炭素を溶
解した水による洗浄工程で使用する純水の抵抗率が二酸
化炭素を溶解前に1MΩ−cm以上のとき本発明の電子
写真感光体製造方法により作製した電子写真感光体は画
像性について非常に良好な結果が得られた。
【0252】
【表9】 実験例5 珪素原子の含有量が100ppmのアルミニウムよりな
る直径108mm、長さ358mm、肉厚5mmの円筒
状基体を、前述の本発明による電子写真感光体の製造方
法の手順の一例と同様の手順で表面の切削を行った。
【0253】切削工程終了15分後に図1に示す表面処
理装置により、表2に示す条件により洗剤(非イオン性
界面活性剤)による洗浄及び二酸化炭素を溶解した水に
よる洗浄を行った。但しこの時二酸化炭素を溶解した水
としては抵抗率10MΩ・cmの純水中に二酸化炭素を
溶解することにより導電率を20μS/cm、pHをほ
ぼ4.2にした水を用いた。
【0254】その後、図4に示す電子写真用光受容部材
の製造装置を用い、上記洗浄後の円筒状基体上に、さき
に詳述した手順にしたがって、マイクロ波グロー放電法
により表10に示す作製条件で電子写真用光受容部材を
作製した。
【0255】この時、基体ホルダーは表3C示す形状の
ものを用いて行った。 (I)そして表3Cにおいて、200(a)部には、熱
伝導率約240(W/m・K)のアルミニウムを使用
し、200(b)部の熱伝導率および、線膨張係数を変
化させた。 (II)表3Cにおいて、200(b)部には、熱伝導率
約16(W/m・K)、線膨張係数約19(10
-6-1)のSUSを使用し、200(a)部の熱伝導率
を変化させた。
【0256】作製した電子写真用光受容部材をキャノン
製複写機NP−6650を高速対応に改造した電子写真
装置に設置し、帯電能、感度ムラ、等の電子写真特性に
ついて評価を行なった。また受容部材表面の球状突起の
発生数について評価を行なった。
【0257】各項目は、以下の方法で評価を行った。 帯電能 帯電能に1000μAの電流を印加し、コロナ帯電を行
い、表面電位計により電子写真用光受容部材の暗部表面
電位を測定する。 感度ムラ 電子写真用光受容部材を、420Vの暗部表面電位に帯
電させる。そして直ちに一定光量を照射する。光像はキ
セノンランプ光源を用い、フィルターを用いて550n
m以下の波長域の光を除いた光を照射した。この時表面
電位計により電子写真用光受容部材の明部表面電位を測
定する。電子写真用光受容部材の一方の端部から他方の
端部にかけて3cmおきに明部表面電位を測定する。同
様の測定を周方向に45°ずつ計8箇所行う。そして得
られた明部表面電位のバラツキ(標準偏差)をもって、
感度ムラとする。
【0258】この時一定光量は、0.4lx・secと
した。 球状突起の発生数 電子写真用光受容部材の表面全域を光学顕微鏡で観察
し、100cm2 の面積内での直径15μm以上の球状
突起の個数を調べた。
【0259】このようにして、得られた結果を、(I)
は表11に、(II)は表12に示す。表11,表12に
おいては、各評価項目とも、200(a)及び200
(b)に熱伝導率約240(W/m・K)、線膨張係数
約25(10-6-1)のアルミニウムを使用したときを
100とした、相対評価を行い、その結果を以下のよう
に分類した。
【0260】 表11,表12の結果から明らかなように、200
(a)部において、熱伝導率が150(W/m・K)以
上で、さらに200(b)部において、熱伝導率が10
0(W/m・K)以下で、かつ線膨張係数が20(10
-6-1)以下の基体ホルダーを用いて、光受容部材を形
成することにより、帯電能が向上し、感度ムラ及び球状
突起の発生数が減少することがわかった。また、200
(b)部においては、熱伝導率が50(W/m・K)以
下が更に良好であり、200(a)部において、熱伝導
率が200(W/m・K)以上が更に良好であることが
わかった。
【0261】さらに、上記で用いた基体ホルダー中、N
o1,2,3について、30回連続して電子写真用光受
容部材を作製した。この時、毎回成膜終了後にガラスビ
ーズを用いた液体ホーニングにより、基体ホルダーの一
部に付着した堆積膜を除去し、基体ホルダー表面を更新
して使用した。その結果、いずれも表2同様良好な結果
が得られた。但し、No1は28回目に、No2は26
回目に基体ホルダーと回転軸との抵抗が上昇したため、
再度導電処理を行っており、耐久性の面で金属を使用す
る方がより好ましいことがわかった。
【0262】
【表10】
【0263】
【表11】
【0264】
【表12】
【0265】
【実施例】以上の実験例により本発明の構成が決定され
た。次に、本発明の実施例及び比較例により更に具体的
に説明する。 実施例1 珪素原子の含有量が100ppmのアルミニウムよりな
る直径108mm、長さ358mm、肉厚5mmの円筒
状基体を、前述の本発明による電子写真感光体の製造方
法の手順の一例と同様の手順で表面の切削を行った。
【0266】切削工程終了15分後に図1に示す表面処
理装置により、表13に示す条件により基体の洗浄を行
った。洗剤としては、非イオン性界面活性剤と陰イオン
性界面活性剤の混合した物を用いた。
【0267】更にその後、基体ホルダーに円筒状基体を
セットし、図4に示す堆積膜形成装置を用い、表14の
条件で、基体上に、アモルファスシリコン堆積膜の形成
を行い、図8(B)に示す層構成の電子写真感光体を作
製した。図8(B)において(801),(803),
(804)はそれぞれアルミニウム基体、光導電層、表
面層を示している。
【0268】また、基体ホルダーは、表15の(1)を
用いた。作製した電子写真用感光体をキャノン製複写機
NP−6060を実験用に改造した電子写真装置に設置
し、帯電能・帯電能ムラ、感度・感度ムラ、画像濃度む
ら、白ポチ等の電子写真特性について評価を行なった。
【0269】各項目は、以下の方法で評価を行った。 帯電能・帯電能ムラ 実験例1と同様な評価を行った。 感度・感度ムラ 実験例1と同様な評価を行った。 画像濃度ムラ 実験例1と同様な評価を行った。 白ポチ 実験例1と同様な評価を行った。
【0270】これらの評価結果を表16に示す。表中、
帯電能・帯電能ムラ、感度・感度ムラは、以下に示す比
較例1の結果を100とした相対評価で示してある。 [比較例1]珪素原子の含有量が100ppmのアルミ
ニウムよりなる直径108mm、長さ358mm、肉厚
5mmの円筒状基体を、前述の本発明による電子写真感
光体の製造方法の手順の一例と同様の手順で表面の切削
を行った。
【0271】切削工程終了15分後に図8に示す表面処
理装置により、表5に示す条件により基体のトリエタン
洗浄を行った。
【0272】更にその後、基体ホルダーに円筒状基体を
セットし、図4に示す堆積膜形成装置を用い、表14の
条件で、基体上に、アモルファスシリコン堆積膜の形成
を行い、図8(B)に示す層構成の電子写真感光体を作
製した。
【0273】また、基体ホルダーは、表15の(4)を
用いた。
【0274】作製した電子写真感光体を実施例1と同様
な手段で同様の評価を行った。
【0275】これらの評価結果を実施例1と共に表16
に示す。
【0276】本発明の電子写真感光体の製造方法により
製造した電子写真感光体は、従来の方法により製造した
電子写真感光体に比べいずれの項目においても非常に良
好な結果が得られた。
【0277】
【表13】
【0278】
【表14】
【0279】
【表15】
【0280】
【表16】 実施例2 珪素原子の含有量が300ppm、マグネシウム原子の
含有率が2wt%のアルミニウムよりなる直径80m
m、長さ358mm、肉厚5mmの円筒状基体を、前述
の本発明による電子写真感光体の製造方法の手順の一例
と同様の手順で表面の切削を行った。
【0281】切削工程終了15分後に図1に示す表面処
理装置により、表13に示す条件により基体の洗浄を行
った。洗剤としては、非イオン性界面活性剤を用いた。
【0282】更にその後、基体ホルダーに円筒状基体を
セットし、図3に示す堆積膜形成装置を用い、表17の
条件で、基体上に、アモルファスシリコン堆積膜の形成
を行い、図8(C)に示す層構成の電子写真感光体を作
製した。図8(C)において(801),(802),
(803),(804),(805)はそれぞれアルミ
ニウム基体、赤外線吸収層、電荷注入阻止層、光導電
層、表面層を示している。
【0283】また、基体ホルダーは、表15の(2)お
よび(3)を用いた。作製した電子写真用感光体をキャ
ノン製複写機NP−9330を高速実験用に改造した電
子写真装置に設置し、帯電能・帯電能ムラ、感度・感度
ムラ、画像濃度むら、黒ポチ等の電子写真特性について
評価を行なった。
【0284】各項目は、以下の方法で評価を行った。 帯電能・帯電能ムラ 実験例1と同様な評価を行った。 感度・感度ムラ 電子写真用感光体を、410Vの暗部表面電位に帯電さ
せる。そして直ちに一定光量(1.4μJ/cm2 )を
照射する。光源にはスポット系80μmの半導体レーザ
ー(波長780nm)を使用した。この時表面電位計に
より電子写真用感光体の明部表面電位を測定する。電子
写真用感光体の一方の端部から他方の端部にかけて3c
mおきに明部表面電位を測定する。同様の測定を周方向
に45°ずつ計8箇所行う。そして得られた明部表面電
位の平均をもって感度とし、バラツキ(標準偏差)をも
って、感度ムラとする。 画像濃度ムラ 実験例1と同様な評価を行った。 黒ポチ 白紙を原稿台に置きコピーしたときに得られたコピー画
像の同一面積内にある直径0.2mm以下の黒ポチにつ
いて、評価した。
【0285】◎は「特に良好」 ○は「良好」 △は「実用上問題無し」 ×は「実用上問題有り」 この様に評価したところ、実施例1と同様にいずれの項
目も非常に良好な結果が得られた。
【0286】
【表17】 実施例3 珪素原子の含有量が100ppmのアルミニウムよりな
る直径108mm、長さ358mm、肉厚5mmの円筒
状基体を、前述の本発明による電子写真感光体の製造方
法の手順の一例と同様の手順で表面の切削を行った。
【0287】切削工程終了15分後に図1に示す表面処
理装置により、表13に示す条件により基体の洗浄を行
った。洗剤としては、非イオン性界面活性剤と陰イオン
性界面活性剤の混合した物を用いた。その後、基体ホル
ダーは、本発明の実施例1と同様の物を、また従来の比
較例1と同様の物を使用し、図4に示す電子写真用光受
容部材の製造装置を用い、先の円筒状基体上に、さきに
詳述した手順にしたがって、マイクロ波グロー放電法に
より表14に示す作製条件で電子写真用光受容部材を作
製した。この時、基体と基体ホルダーとの距離を変化さ
せて作製した。作製した電子写真用光受容部材の帯電
能、感度ムラについて、実施例1と同様の評価を行った
ところ、図10,図11の結果を得た。
【0288】図10において、横軸は基体と基体ホルダ
ーとの距離、縦軸は帯電能を示す。この時、縦軸の10
0%は、比較例1と同様の基体ホルダー使用時に同一の
基体と基体ホルダーとの距離で作製した電子写真用光受
容部材の帯電能を示す。
【0289】図11において、横軸は基体と基体ホルダ
ーとの距離、縦軸は感度ムラを示す。この時、縦軸の1
00%は、比較例1と同様の基体ホルダー使用時に同一
の基体と基体ホルダーとの距離で作製した電子写真用光
受容部材の感度ムラを示す。これらの結果より、本発明
の形成方法は、基体と基体ホルダーとの距離が5mm以
下で効果が顕著であり、特に3mm以下では、より顕著
となりそれ以下距離でも、そのまま一定の効果が認めら
れた。 実施例4 珪素原子の含有量が300ppm、マグネシウム原子の
含有率が2wt%のアルミニウムよりなる直径80m
m、長さ358mm、肉厚5mmの円筒状基体を、前述
の本発明による電子写真感光体の製造方法の手順の一例
と同様の手順で表面の切削を行った。
【0290】切削工程終了15分後に図1に示す表面処
理装置により、表13に示す条件により基体の洗浄を行
った。洗剤としては、非イオン性界面活性剤を用いた。
その後、基体ホルダーは、本発明の実施例2と同様の物
を使用し、図3に示す電子写真用光受容部材の製造装置
を用い、円筒状基体上に、さきに詳述した手順にしたが
って、高周波グロー放電法により表17に示す作製条件
で電子写真用光受容部材を作製した。この時、基体と基
体ホルダーとの距離を変化させて作製した。作製した電
子写真用光受容部材の帯電能、感度ムラについて評価を
行ったところ、実施例3と同様な結果が得られた。 実施例5 珪素原子の含有量が100ppmのアルミニウムよりな
る直径108mm、長さ358mm、肉厚5mmの円筒
状基体を、前述の本発明による電子写真感光体の製造方
法の手順の一例と同様の手順で表面の切削を行った。
【0291】切削工程終了15分後に図1に示す表面処
理装置により、表13に示す条件により基体の洗浄を行
った。洗剤としては、非イオン性界面活性剤と陰イオン
性界面活性剤の混合した物を用いた。その後、基体ホル
ダーは、本発明の実施例1と同様の物を、また従来の比
較例1と同様の物を使用し、図4に示す電子写真用光受
容部材の製造装置を用い、先の円筒状基体上に、さきに
詳述した手順にしたがって、マイクロ波グロー放電法に
より、表14に示す作製条件で電子写真用光受容部材を
作製した。この時、基体ホルダー(200(a))部の
表面性(十点平均粗さ)を変化させて作製した。作製し
た電子写真用光受容部材の帯電能、感度ムラおよび球状
突起の発生数について、実施例1と同様の評価を行った
ところ、図12,図13,図14の結果を得た。
【0292】図12において、横軸は(200(a))
部の表面性、縦軸は帯電能を示す。この時、縦軸の10
0%は、比較例1と同様の基体ホルダー使用時に同一の
(200(a))部の表面性で作製した電子写真用光受
容部材の帯電能を示す。
【0293】図13において、横軸は(200(a))
部の表面性、縦軸は感度ムラを示す。この時、縦軸の1
00%は、比較例1と同様の基体ホルダー使用時に同一
の(200(a))部の表面性で作製した電子写真用光
受容部材の感度ムラを示す。
【0294】図14において、横軸は(200(a))
部の表面性、縦軸は球状突起の発生数を示す。この時、
縦軸の100%は、比較例1と同様の基体ホルダー使用
時に同一の(200(a))部の表面性で作製した電子
写真用光受容部材の球状突起の発生数を示す。
【0295】これらの結果より、本発明の形成方法は、
(200(a))部の表面性が5〜90μmが顕著であ
り、特に10μm〜70μmでは、より顕著な効果が認
められた。 実施例6 珪素原子の含有量が300ppm、マグネシウム原子の
含有率が2wt%のアルミニウムよりなる直径80m
m、長さ358mm、肉厚5mmの円筒状基体を、前述
の本発明による電子写真感光体の製造方法の手順の一例
と同様の手順で表面の切削を行った。
【0296】切削工程終了15分後に図1に示す表面処
理装置により、表13に示す条件により基体の洗浄を行
った。洗剤としては、非イオン性界面活性剤を用いた。
その後、基体ホルダーは、本発明の実施例2同様の物を
使用し、図3に示す電子写真用光受容部材の製造装置を
用い、円筒状基体上に、さきに詳述した手順にしたがっ
て、高周波グロー放電法により、表17に示す作製条件
で電子写真用光受容部材を作製した。この時、基体ホル
ダー(200(a))部の表面性(十点平均粗さ)を変
化させて作製した。作製した電子写真用光受容部材の帯
電能、感度ムラについて評価を行ったところ、実施例5
と同様の結果が得られた。 実施例7 珪素原子の含有量が100ppmのアルミニウムよりな
る直径108mm、長さ358mm、肉厚5mmの円筒
状基体を、前述の本発明による電子写真感光体の製造方
法の手順の一例と同様の手順で表面の切削を行った。
【0297】切削工程終了15分後に図1に示す表面処
理装置により、表13に示す条件により基体の洗浄を行
った。洗剤としては、非イオン性界面活性剤と陰イオン
性界面活性剤の混合した物を用いた。その後、基体ホル
ダーは、本発明の実施例1と同様の物を、また従来の比
較例1と同様の物を使用し、図4に示す電子写真用光受
容部材の製造装置を用い、円筒状基体上に、さきに詳述
した手順にしたがって、マイクロ波グロー放電法により
表14に示す作製条件で電子写真用光受容部材を作製し
た。この時、光導電層の内圧を変化させて作製した。作
製した電子写真用光受容部材の帯電能、感度ムラについ
て、実施例1と同様の評価を行ったところ、図15,図
16の結果を得た。
【0298】図15において、横軸は光導電層作製時の
内圧、縦軸は帯電能を示す。この時、縦軸の100%
は、比較例1と同様の基体ホルダー使用時に同一の内圧
で作製した電子写真用光受容部材の帯電能を示す。
【0299】図16において、横軸は光導電層作製時の
内圧、縦軸は感度ムラを示す。この時、縦軸の100%
は、比較例1と同様の基体ホルダー使用時に同一の内圧
で作製した電子写真用光受容部材の感度ムラを示す。
【0300】これらの結果より、本発明の形成方法は、
内圧が低いほど従来の形成法に比べ効果が顕著であり、
特に40mTorr以下では、より顕著となりそれ以下
の圧力でも、そのまま一定の効果が認められた。 実施例8 珪素原子の含有量が100ppmのアルミニウムよりな
る直径108mm、長さ358mm、肉厚5mmの円筒
状基体を、前述の本発明による電子写真感光体の製造方
法の手順の一例と同様の手順で表面の切削を行った。
【0301】切削工程終了15分後に図1に示す表面処
理装置により、表13に示す条件により基体の洗浄を行
った。洗剤としては、非イオン性界面活性剤と陰イオン
性界面活性剤の混合した物を用いた。その後、基体ホル
ダーは、本発明の実施例1と同様の物を、また従来の比
較例1と同様の物を使用し、図4に示す電子写真用光受
容部材の製造装置を用い、円筒状基体上に、さきに詳述
した手順にしたがって、マイクロ波グロー放電法により
表14に示す作製条件で電子写真用光受容部材を作製し
た。この時、光導電層のバイアス電圧を変化させて作製
した。作製した電子写真用光受容部材の帯電能、感度ム
ラについて、実施例1と同様の評価を行ったところ、図
17,図18の結果を得た。
【0302】図17において、横軸は光導電層作製時の
バイアス電圧、縦軸は帯電能を示す。この時、縦軸の1
00%は、比較例1と同様の基体ホルダー使用時に同一
のバイアス電圧で作製した電子写真用光受容部材の帯電
能を示す。
【0303】図18において、横軸は光導電層作製時の
バイアス電圧、縦軸は感度ムラを示す。この時、縦軸の
100%は、比較例1と同様の基体ホルダー使用時に同
一のバイアス電圧で作製した電子写真用光受容部材の感
度ムラを示す。
【0304】これらの結果より、本発明の形成方法は、
バイアス電圧が20(V)以上110(V)以下で、従
来の形成法に比べ顕著な効果がみられる。
【0305】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
アルミニウム基体上に機能性膜を形成する工程を含む電
子写真感光体製造方法に於いて、特にアルミニウム基体
上に水素原子及び弗素原子のいずれか一方または両方と
珪素原子とを含む非単結晶堆積膜をプラズマCVD法に
より形成する工程を含む電子写真感光体製造方法に於い
て、表面を二酸化炭素を溶解した水により洗浄された基
体と、母材は、(a)熱伝導度の大きな材料と、(b)
熱膨張係数および熱伝導度が小さい材料からなり、少な
くとも該基体と相対する部分は(a)の材料で構成さ
れ、該基体ホルダーの上部または/下部は(b)の材料
で構成されている基体ホルダーを用いることで、均一な
高品位の画像を与える電子写真感光体を安価に安定して
製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体製造方法を実施するた
めに使用される前処理装置の概略縦断面図。
【図2】本発明による感光体の形成方法の好適な実施態
様例の構成を説明するための模式的構成図。
【図3】本発明における電子写真用感光体を形成するた
めの装置の一例を示すもので、RFグロー放電法による
電子写真用感光体の製造装置の模式的説明図。
【図4】本発明における電子写真用感光体を形成するた
めの装置の一例を示すものであり、μWグロー放電法に
よる電子写真用感光体の製造装置の模式的説明図であ
り、(A)は、装置の側断面図であり、(B)は、X−
X’における横断面図。
【図5】本発明における電子写真用感光体を形成するた
めの装置の一例を示すものであり、図3のRFグロー放
電法による電子写真用感光体の製造装置を図4の堆積装
置に代えた模式的説明図。
【図6】電子写真用感光体を形成するための装置の一例
を示す図。
【図7】電子写真用感光体を形成するための装置の一例
を示す図。
【図8】電子写真感光体の層構成を示す図。
【図9】従来の方法において堆積膜形成の前処理として
基体の洗浄を行うための洗浄装置の概略的縦断面図。
【図10】実施例3における基体と基体ホルダーとの距
離と、光受容部材の帯電能との関係を示すグラフ。
【図11】実施例3における基体と基体ホルダーとの距
離と、光受容部材の感度ムラとの関係を示すグラフ。
【図12】実施例5における200(a)の表面性と、
光受容部材の帯電能との関係を示すグラフ。
【図13】実施例5における200(a)の表面性と、
光受容部材の感度ムラとの関係を示すグラフ。
【図14】実施例5における200(a)の表面性と、
光受容部材の球状突起の発生数との関係を示すグラフ。
【図15】実施例7における堆積膜形成時の内圧と、光
受容部材の帯電能との関係を示すグラフ。
【図16】実施例7における堆積膜形成時の内圧と、光
受容部材の感度ムラとの関係を示すグラフ。
【図17】実施例8におけるバイアス電圧と、光受容部
材の帯電能との関係を示すグラフ。
【図18】実施例8におけるバイアス電圧と、光受容部
材の感度ムラとの関係を示すグラフ。
【符号の説明】
101 基体 102 処理部 103 基体搬送機構 111 基体投入台 121 基体前洗浄槽 122 前洗浄液 131 二酸化炭素を溶解した水による洗浄槽 132 二酸化炭素を溶解した水 141 乾燥槽 142 ノズル 151 基体搬出台 161 搬送アーム 162 移動機構 163 チャッキング機構 164 エアーシリンダー 165 レール 201 基体 202 基体ホルダー 203 基体ホルダー内面 204 補助基体 205 加熱手段 206 置き台 207 運搬用取っ手 208 基体表面 300 RFグロー放電法による堆積膜形成装置 301 反応容器 302 円筒状基体 303 基体ホルダー 304 基体加熱用ヒーター 305 原料ガス導入管 306 マッチングボックス 307 原料ガス配管 308 反応容器リークバルブ 309 メイン排気バルブ 310 真空計 330 原料ガス供給装置 331〜336 原料ガスボンベ 351〜356 ガス流入バルブ 361〜366 ガス流出バルブ 371〜376 マスフローコントローラー 391〜396 圧力調整器 400 μWグロー放電法による堆積形成装置 401 反応容器 402 マイクロ波導入窓 403 導波管 404 基体ホルダー 405 円筒状基体 406 基体加熱用ヒーター 407 原料ガス導入管 408 バイアス電極 409 バイアス電源 410 基体回転用モーター 411 排気管 420 放電空間 601 真空反応容器 602 カソード電極 603 ゲート 604 底壁 605 碍子 606 基体 607 基体ホルダー 608 ヒーター 609 ガス導入管 610 ガス放出孔 611 ガスバルブ 612 ガス供給装置 613 排気管 614 排気バルブ 615 排気装置 616 電源 801 基体 802 処理部 803 基体搬送機構 811 基体投入台 821 基体洗浄槽 822 洗浄液 851 基体搬出台 861 搬送アーム 862 移動機構 863 チャッキング機構 864 エアーシリンダー 865 レール

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム基体を基体ホルダーに装着
    させ減圧気相成長法により、該基体の表面にシリコン原
    子を母材とする非晶質材料からなる機能性膜を形成させ
    る電子写真感光体の製造方法において、前記基体は、表
    面を二酸化炭素を溶解した水により洗浄され、かつ前記
    基体ホルダーの母材は、(a)熱伝導度の大きな材料
    と、(b)熱膨張係数および熱伝導度が小さい材料から
    なり、少なくとも該基体と相対する部分は(a)の材料
    で構成され、該基体ホルダーの上部または/及び下部は
    (b)の材料で構成されていることを特徴とする電子写
    真感光体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記二酸化炭素を溶解した水の導電率が
    2μS/cm以上、40μS/cm以下であることを特
    徴とする請求項1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記二酸化炭素を溶解した水のpHが
    3.8以上、6.0以下であることを特徴とする請求項
    1に記載の電子写真感光体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記二酸化炭素を溶解した水が、抵抗率
    1MΩ・cm以上の純水に二酸化炭素を溶解した水であ
    ることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項
    に記載の電子写真感光体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記アルミニウム基体が、少なくとも珪
    素原子を微量に含有したアルミニウム基体であることを
    特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の
    電子写真感光体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記アルミニウム基体が、少なくとも珪
    素原子を1ppmから1wt%含有したアルミニウム基
    体であることを特徴とする請求項5に記載の電子写真感
    光体の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記(a)の熱伝導率が200(W/m
    ・K)以上であり、前記(b)の熱伝導率が50(W/
    m・K)以下、熱膨張係数が20(10-6 -1)以下で
    ある請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の電子写
    真感光体の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記(a)および(b)の材料が金属材
    料である請求項7に記載の電子写真感光体の製造方法。
  9. 【請求項9】 前記(a)の材料で構成される部分の基
    体側の表面が十点平均粗さで10μm以上70μm以下
    である請求項7又は8に記載の電子写真感光体の製造方
    法。
  10. 【請求項10】 前記(a)の材料で構成される部分と
    基体との距離が3mm以下である請求項7乃至9のうち
    いずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  11. 【請求項11】 加熱専用の真空容器内で基体を加熱
    後、真空中で反応容器に基体を移動し該基体の表面にシ
    リコン原子を母材とする非晶質材料からなる光受容層を
    形成する堆積膜形成装置を用いる請求項7乃至10のう
    ちいずれか1項に記載の電子写真感光体の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記減圧気相成長法が、実質的に密封
    し得る反応容器内に放電空間を取り囲むように、基体ホ
    ルダーに装着された円筒状の基体を配置し、マイクロ波
    導入手段を設け、原料ガスに由来する成膜に寄与する反
    応物質を含むマイクロ波放電プラズマを形成し、放電空
    間中に設けた電極にバイアス電圧を印加して、該基体の
    表面を放電空間内と非放電空間とを交互に通過するよう
    に該基体を運動させながら基体表面にシリコン原子を母
    材とする非晶質材料からなる光受容層を形成させる方法
    である請求項7乃至11のうちいずれか1項に記載の電
    子写真感光体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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