JPH07177858A - 水中油型乳化物の製造方法 - Google Patents

水中油型乳化物の製造方法

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JPH07177858A
JPH07177858A JP5346361A JP34636193A JPH07177858A JP H07177858 A JPH07177858 A JP H07177858A JP 5346361 A JP5346361 A JP 5346361A JP 34636193 A JP34636193 A JP 34636193A JP H07177858 A JPH07177858 A JP H07177858A
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JP
Japan
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oil
emulsion
water
pressure
cream
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Withdrawn
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JP5346361A
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English (en)
Inventor
Masakatsu Sugiura
将勝 杉浦
Masami Shimizu
雅美 清水
Toshihide Oda
敏秀 織田
Naoaki Hayakawa
直明 早川
Shigeru Kawamura
成 川村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 天然の乳風味、コク感、濃厚感などを更に高
め、良好な風味のホイップクリーム(ホイッピングクリ
ーム)やアイスクリーム用の起泡性クリーム、あるいは
コーヒー用クリームなどとして用いることができる水中
油型乳化物の製造方法を提供する。 【構成】 天然乳脂肪を主成分とする乳化物を200K
g/cm2 以上で高圧乳化処理することからなる水中油
型乳化物の製造方法。上記高圧乳化処理で得られた乳化
物に、更に水、蛋白質、食用油脂、リン脂質及び乳化剤
のうちの少なくとも一成分を添加した後、混合及び/又
は予備乳化を行うことからなる水中油型乳化物の製造方
法。上記高圧乳化処理で得られた乳化物と、水、蛋白
質、食用油脂、リン脂質及び乳化剤のうちの少なくとも
二成分からなる乳化物とを混合することからなる水中油
型乳化物の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ケーキ等のトッピング
などに用いられるホイップクリーム(ホイッピングクリ
ーム)やアイスクリーム用の起泡性クリーム、あるいは
コーヒー用クリームなどとして用いられる水中油型乳化
物の製造方法に関する。特に本発明は、乳風味、コク
感、濃厚感の改良されたクリームを得ることができる水
中油型乳化物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポイップクリームやアイスクリームなど
の起泡性クリーム、あるいはコーヒー用クリームなどの
水中油型(O/W型)乳化物は、油脂原料として植物脂
肪を用いた植物脂系、天然の生クリームからなるフレッ
シュ系、そして植物脂系とフレッシュ系とを調合したコ
ンパウンド系の3種類に大別されている。通常いずれも
基本的に水40〜90%、乳蛋白質を含んだ無脂乳固形
分1〜10%、及び食用油脂6〜50%からなる水中油
型の乳化物である。植物脂系の水中油型乳化物は、通常
乳蛋白と親水性に富んだ乳化剤、安定化剤及びフレーバ
ーを水に分散、溶解した水相と、植物脂と親油性に富ん
だ乳化剤及びフレーバーを添加した油相とからなる原料
を混合、予備乳化した後、均質化、殺菌、均質化(再均
質化)、冷却、そしてエージングの各工程を経て、製品
とされている。また、コンパウンド系の水中油型乳化物
は、通常生クリームや乳蛋白と親水性に富んだ乳化剤、
安定化剤及びフレーバーを水に分散、溶解した水相と、
バター脂、植物脂、親油性に富んだ乳化剤及びフレーバ
ーを添加した油相とからなる原料を混合、予備乳化した
後、上記の均質化等、同様な各工程を経て製品とされて
いる。上記製造工程中均質化処理は、通常ホモゲナイザ
ーなどの乳化機を用い、比較的低圧(100kg/cm
2 以下)で行われている。
【0003】ところで、従来より水中油型乳化物に関し
ては、様々な提案が為されているが、ポイップクリーム
を例にとると、ホイップ機能の向上、作業性の向上に関
するものが多く(例えば、特開平4−135450号公
報参照)、得られるホイップドクリームの風味の改良、
向上に関するものは少ない。風味の改良、向上に関する
提案としては、特開昭61−224958号公報に開示
されているように、特定の乳化剤を使用するなど配合上
の変更による改良が主であり、製造方法による改良方法
は殆ど提案されてない。上記のような配合の変更による
風味の改良では、天然の乳風味が薄れ、人工的な風味と
なり易く、風味としては充分満足の行くものではなく、
その改良が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、天然
の乳風味、コク感、濃厚感などを更に高め、良好な風味
のクリームとすることができる水中油型乳化物の製造方
法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記のよう
な良好な風味を持つ水中油型乳化物を得るべく鋭意検討
を行った。その結果、天然乳脂肪を主成分とする乳化物
を用い、これを従来より遥かに高い特定の圧力で高圧乳
化処理することにより、従来の方法で得た水中油型乳化
物に比べ更に乳風味、コク感などが更に高められた水中
油型乳化物が得られることを見出し、本発明を完成した
ものである。
【0006】本発明は、天然乳脂肪を主成分とする乳化
物を200kg/cm2 以上で高圧乳化処理することか
らなる水中油型の水中油型乳化物の製造方法にある。
【0007】また本発明は、上記高圧乳化処理により得
られた乳化物に、更に水、蛋白質、食用油脂、リン脂質
及び乳化剤のうちの少なくとも一成分を添加した後、混
合及び/又は予備乳化を行うことからなる水中油型乳化
物の製造方法にある。
【0008】更に本発明は、上記高圧乳化処理により得
られた乳化物と、水、蛋白質、食用油脂、リン脂質及び
乳化剤のうちの少なくとも二成分からなる乳化物とを混
合することからなる水中油型乳化物の製造方法にある。
【0009】本発明の好ましい態様は、以下の通りであ
る。 (1)上記高圧乳化処理を500〜3000kg/cm
2 (更に好ましくは、700〜2000kg/cm2
で行う。 (2)上記高圧乳化処理後の水中油型の乳化物の油滴の
体積平均粒子径が、0.1〜2.0μmである。 (3)上記高圧乳化処理により得られた乳化物に、更に
水、蛋白質、食用油脂、リン脂質及び乳化剤のうちの少
なくとも一成分を添加した後、混合及び/又は予備乳化
を行う際の前記高圧処理により得られた乳化物を連続相
(水相)として用いる。
【0010】以下に、本発明の水中油型乳化物の製造方
法について説明する。まず、本発明の水中油型乳化物の
調製に使用される原料について説明する。本発明の水中
油型乳化物の調製では、天然乳脂肪を主成分とする乳化
物が使用されるが、この他に通常の水中油型乳化物の調
製に使用される各種の原料が使用できる。すなわち、食
用油脂、水、蛋白質、リン脂質、乳化剤、安定化剤、フ
レーバー、エッセンス類、増粘剤、糖類等が使用でき
る。以下、これらの原料について説明する。
【0011】本発明で使用される天然乳脂肪を主成分と
する乳化物は、乳脂肪以外の他の成分として、蛋白質、
水、そしてリン脂質のそれぞれを含んだもので、例え
ば、生乳、牛乳、生クリームなどのクリーム、濃縮乳、
無糖れん乳、加糖練乳、全粉乳の水溶液、及び醗酵乳を
挙げることができる。これらのうちでは、生クリームが
特に好ましい。
【0012】本発明で使用できる食用油脂としては、植
物脂、乳脂などの食用に適するものであれば特に種類は
問わない。例えば、植物脂としては、大豆油、ナタネ
油、コーン油、綿実油、パーム油、ヤシ油、ひまわり
油、サフラワー油、オリーブ油、パーム核油などの植物
脂を挙げることができる。また、乳脂としては、バター
オイル、調整脂を挙げることができる。更に、これらの
油脂に硬化、分別、エステル交換などの処理を施した油
脂でも良い。
【0013】本発明で使用できる蛋白質は、親水性乳蛋
白質であることが好ましい。例えば、脱脂粉乳、バター
ミルクパウダー、ホエー蛋白、カゼイン、全脂粉乳、更
にカゼインナトリウム等の乳蛋白質の塩類も使用でき
る。また、バターミルク、脱脂乳、牛乳、生乳等の液状
の蛋白質水溶液も使用できる。
【0014】本発明で使用できるリン脂質は、大豆、卵
黄、牛脂、なたね、ひまわり、サフラワー、綿実、とう
もろこし、アマニ、ゴム、オリーブ、米、きり、グレー
プ、アボガド、ヤシ、パーム等から得られるリン脂質を
いい、特定のリン脂質に限られるものではない。またこ
れらのリン脂質を水素添加により硬化させたものや、酵
素処理したものなども使用できる。これらのリン脂質の
形態としては、ほとんどのものが粘調な液体であるが、
精製された粉末状のものもあり、本発明では何れの形態
のものでも使用可能である。但し、価格、風味などの点
から大豆リン脂質(大豆レシチン)が好ましい。
【0015】乳化剤としては、ショ糖脂肪酸エステル
類、ソルビタン脂肪酸エステル類、グリセリン脂肪酸エ
ステル、レシチン類、ポリグリセロール脂肪酸エステル
類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類を挙げるこ
とができる。これらの乳化剤は、1種類以上を適宜組み
合わせて使用できる。
【0016】所望により添加する安定剤としては、例え
ば、リン酸(ヘキサメタリン酸、第二リン酸)やクエン
酸のアルカリ金属塩(カリウム、ナトリウムなど)が挙
げられる。また、フレーバー、エッセンス類としては、
例えば、ミルクフレーバー、バニラフレーバー、バニラ
エッセンス等を挙げることができ、天然由来のもので
も、人工的に合成したものでも良く、用途に応じて一種
以上を適宜選択して使用できる。
【0017】次に、本発明の水中油型乳化物の製造方法
について説明する。本発明の水中油型乳化物の製造方法
は、上記の天然乳脂肪を主成分とする乳化物に高圧乳化
処理を施すことからなる。以下に、高圧乳化処理による
本発明の水中油型の乳化物の調製方法を更に詳細に説明
する。 (I)本発明で使用する天然乳脂肪を主成分とする乳化
物は、風味がよく、そして均一のものを安定して製造す
るために、その成分として水100重量部、蛋白質0.
1〜20重量部(好ましくは、1〜20重量部)、油脂
(乳脂)1〜100重量部(好ましくは3〜97重量
部)、及びリン脂質0.01〜4重量部(好ましくは、
0.02〜2重量部)を含むように調整されていること
が好ましい。ここでの蛋白質量は、原料として用いる天
然乳脂肪を主成分とする乳化物中の蛋白質量と調整のた
めに添加した原料(例えば脱脂粉乳など)に含まれる蛋
白質量との合計量であり、またリン脂質量は、原料とし
て用いる天然乳脂肪を主成分とする乳化物中のリン脂質
量と調整のために添加した原料(例えば大豆レシチンな
ど)に含まれるリン脂質量との合計量である。なお、通
常市販の生クリームには、上記の各成分が上記の範囲で
含まれるように調整されている場合が多く、従って、こ
のような生クリームを使用する場合には、蛋白質、リン
脂質などを調整のために別に添加する必要はない。
【0018】天然乳脂肪を主成分とする乳化物中の蛋白
質含有量が、上記の範囲以下の場合は風味の向上効果が
発現しにくくなり、一方上記の範囲以上の場合は後述す
る高圧乳化処理時にボテが発生しやすく、最終製品の品
質が低下し易くなる。また天然乳脂肪を主成分とする乳
化物中の油脂含有量が、上記の範囲以下の場合は、天然
乳脂肪を主成分とする乳化物中のリン脂質含有量が不足
する場合もあり、これを補うために後に添加する際など
リン脂質の分散が難しく、一方油脂含有量が、上記の範
囲以上の場合は後述する高圧乳化処理時にボテが発生し
すく、最終製品の品質が低下し易くなる。更に天然乳脂
肪を主成分とする乳化物中のリン脂質含有量が、上記の
範囲以下の場合は風味の向上効果が発現しにくくなり、
一方リン脂質含有量が、上記の範囲以上の場合は、最終
製品にリン脂質由来の味が出てしまい、品質が低下し易
くなる。
【0019】天然乳脂肪を主成分とする乳化物に高圧乳
化処理を施す際には、まず上記天然乳脂肪を主成分とす
る乳化物を加温する。温度は50〜70℃、好ましく
は、60〜65℃とする。天然乳脂肪を主成分とする乳
化物に更に水、蛋白質、リン脂質を添加する場合は予め
これらの成分も上記温度と同じ温度に設定しておくこと
が好ましい。そして天然乳脂肪を主成分とする乳化物に
これらの成分を添加し、混合物とするか、あるいは必要
により予備乳化物とする。なお、混合物、あるいは予備
乳化物の調製に際し、前述した乳化剤、安定剤等を添加
しても良い。またフレーバー、エッセンスを使用する場
合はこの段階で添加することが好ましい。これ以前に添
加すると、加温の最中に蒸発する恐れがある。予備乳化
は、通常の攪拌槽、ホモミキサー、連続流通式剪断装置
等を用いて行うことができる。予備乳化は、油滴の体積
平均粒子径が10μm以下になるまで行うことが好まし
い。この粒子径より大きいと高圧乳化時に粒子径が大き
くなり風味向上効果が得にくくなる。予備乳化は、蛋白
質の変性が進行しないように短時間で行うことが望まし
い。
【0020】(II)加温された天然乳脂肪を主成分とす
る乳化物、あるいは混合物(又は予備乳化物)に次に高
圧乳化処理を施す。高圧乳化処理は、上記(I)で得ら
れた乳化物等の温度を維持したまま、200kg/cm
2 以上(好ましくは、500〜3000kg/cm2
更に好ましくは、700〜2000kg/cm2 )の条
件で行う。高圧乳化処理は、上記のような高圧の駆動力
による高剪断力で乳化させる処理を言い、(I)で得ら
れた乳化物等を更に微粒子の油滴に揃えるために行う工
程である。このような高圧乳化処理を実施するには、例
えば、マントンゴーリン、マイクロフルイダイザー、ナ
ノマイザー等の市販の乳化装置が使用できる。高圧乳化
処理は、更に均一な粒子径の油滴とする目的で複数回行
っても良い。このようにして得られる高圧乳化処理後の
乳化物(高圧乳化処理物)中の油滴の体積平均粒子径は
0.1〜2μm(好ましくは、0.1〜1.5μm)で
あることが好ましい。高圧乳化処理物を次いで速やかに
冷却する。冷却は、10℃以下になるまで行うことが望
ましい。冷却を行わないか、冷却温度が10℃より高い
場合は、高圧乳化処理物はボテ易くなる。
【0021】(III)上記のようにして高圧乳化処理を施
すことにより得られた乳化物は、その後、均質化(10
0kg/cm2 以下の低圧力下での乳化処理)、殺菌、
均質化(再均質化)、冷却、そしてエージングの従来か
ら通常行われる各処理が為される。なお、この場合、高
圧乳化処理後の均質化処理、あるいは再均質化処理は任
意であり、必要により行うことができる。また再均質化
処理を導入する場合は、この処理の変わりに高圧乳化処
理を行っても良い。最終的に得られた乳化物の油滴の体
積平均粒子径は、0.5〜2.5μmの範囲にあるよう
に調整することが好ましい。
【0022】本発明の水中油型乳化物の製造を実施する
場合には、上記のように得られた乳化物(高圧乳化処理
物)に、更に水、蛋白質、食用油脂、リン脂質、及び乳
化剤のうちの少なくとも一成分を添加した後、混合及び
/又は予備乳化処理を行う方法を利用することが好まし
い。即ち、高圧乳化処理物を、後に加える原料に対して
連続相(水相)として用いる方法を利用することが好ま
しい。添付の図1は、上記製造方法のフローチャートの
一例を示すもので、図1に示されるように、この方法
は、高圧乳化処理物(A)に、水、蛋白質、食用油脂、
リン脂質及び乳化剤のうちの少なくとも一成分からなる
原料(B)を添加し、混合及び/又は予備乳化を行った
後、通常の工程に従い製造する方法である。なお、この
場合、混合及び/又は予備乳化後の均質化処理、あるい
は再均質化処理は任意であり、必要により行うことがで
きる。また再均質化処理を導入する場合は、この処理の
変わりに高圧乳化処理を行っても良い。
【0023】上記原料(B)の添加成分、添加量は、高
圧乳化処理物を構成する成分や、その配合量により調整
される。本発明において、原料(B)の成分としては、
食用油脂及び乳化剤を用い、これらの成分を高圧乳化処
理物(A)中の油脂(乳脂)100重量部に対して、食
用油脂10〜300重量部及び乳化剤0.1〜10重量
部となるように添加することが好ましい。また、高圧乳
化処理物(A)と原料(B)との混合は、高圧乳化処理
物(A)中の油脂量が、混合後の均質化物の全量に対し
て、0.5重量%以上(更に好ましくは、2重量%以
上)含まれるように調整することが好ましい。
【0024】また本発明の水中油型乳化物の製造におい
ては、上記の原料(B)の変わりに、水、蛋白質、食用
油脂、リン脂質及び乳化剤のうちの少なくとも二成分か
らなる乳化物(C)を用いることも好ましい。添付の図
2は、この乳化物(C)を高圧乳化処理物(A)に加え
る工程を含む本発明の水中油型乳化物の製造工程のフロ
ーチャートを示すものである。図2に示されるように、
この方法は、高圧乳化処理物(A)に乳化物(C)を加
え、混合した後、通常の処理工程に従い製造する方法で
ある。なお、図1の場合と同様に、この場合も、混合後
の均質化処理、あるいは再均質化処理は任意であり、必
要により行うことができる。また再均質化処理を導入す
る場合は、この処理の変わりに高圧乳化処理を行っても
良い。
【0025】上記乳化物(C)は、上記のような通常行
う低圧力下(100kg/cm2 以下)での均質化処理
で調製した乳化物(低圧乳化処理物)(C−1)でも、
本発明のように高圧下で調製した乳化物(高圧乳化処理
物)(C−2)でも良い。高圧乳化処理物(A)と乳化
物(C)とを混合する場合には、前述した高圧乳化処理
物(A)に原料(B)を加える場合と同様に、高圧乳化
処理物(A)中の油脂量が、混合後の均質化物の全量に
対して、0.5重量%以上(更に好ましくは、2重量%
以上)含まれるように調整することが好ましい。また高
圧乳化処理物(A)には、これと乳化物(低圧乳化処理
物)(C−1)、あるいは乳化物(高圧乳化処理物)
(C−2)とを混合する前に、上記で説明したように原
料(B)を加えても良いし、乳化物(高圧乳化処理物)
(C−2)にも高圧乳化処理物(A)と乳化物(高圧乳
化処理物)(C−2)とを混合する前に、上記で説明し
たように原料(B)を加えても良い。
【0026】なお、乳化物(C)として乳化物(高圧乳
化処理物)(C−2)を使用する場合は、天然乳脂肪を
主成分とする乳化物を用いて調製した高圧乳化処理物で
あっても良いし、天然乳脂肪を主成分とする乳化物以外
の原料を用いて調製した高圧乳化処理物であっても良
い。即ち、乳化物(C)は、天然乳脂肪を主成分とする
乳化物を用いて調製した高圧乳化処理物(A)と同様な
配合で、かつ同じような方法で調製した高圧乳化処理物
でも良いし、あるいは原料として、水、食用油脂(植物
脂及び/又は乳脂)、蛋白質、及びリン脂質を用いて調
製した高圧乳化処理物であってもよい。
【0027】以上のようにして得られた水中油型の乳化
物を用いて例えば、起泡させてホイップドクリームとし
た場合には、得られたクリームは、従来の方法で得たホ
イップドクリームに比べて乳風味、コク感、濃厚感に優
れている。このような乳風味などが向上する理由は明ら
かではないが、同一配合で従来の方法により調製した水
中油型の乳化物と、本発明の高圧乳化処理により調製し
た水中油型の乳化物とのそれぞれの界面蛋白質量や界面
リン脂質量を比較すると、本発明の方法により調製した
水中油型の乳化物は界面蛋白質量で約20倍、界面リン
脂質量で約4倍に増えており、脂肪球界面が強化され、
脂肪球皮膜の改質が起きたためと考えられる。
【0028】
【実施例】以下に、実施例および比較例を挙げて本発明
を更に具体的に説明する。尚、下記の実施例および比較
例において、乳化物の水相中に分散する油滴平均粒子径
は、凝集物を分散させるために0.5重量%ドデシル硫
酸ナトリウム水溶液に乳化物を分散させた後レーザー回
折式粒度分布測定装置(SALD−1100型、島津製
作所(株)製)を用い、得られた測定値をコンピュータ
ーで処理し、体積基準の粒度分布として表した。以下に
示す「%」は、重量%である。
【0029】[実施例1] ──────────────────────────────────── ホイップクリーム1の配合 重量部 ──────────────────────────────────── 下記組成の生クリーム(よつば乳業(株)製) 乳脂肪分 46.46 (この内のリン脂質含量:0.24) 水分 48.27 無脂乳固形分 5.27 (この内の蛋白質含量:2.04) ────────────────────────────────────
【0030】(ホイップクリーム1の調製)上記天然乳
脂肪を主成分とする乳化物(生クリーム)を65℃に加
温し、この温度を保持したまま高圧微細乳化機を用いて
1000Kg/cm2 の圧力下で高圧乳化処理を行い、
その後約10℃まで冷却し、高圧乳化処理物を得た。得
られた高圧乳化処理物の体積平均粒子径は、1.32μ
mであった。上記得られた高圧乳化処理物をHTST式
殺菌機を用いて殺菌を行った。次いでホモゲナイザーに
よって40(一次圧)/0(二次圧)Kg/cm2 で均
質化し、5℃まで冷却し、この温度で15時間以上エー
ジングを行い、本発明に従うホイップクリーム1を調製
した。得られた製品の体積平均粒子径は、1.28μm
であった。
【0031】[実施例2] ──────────────────────────────────── ホイップクリーム2の配合 重量部 ──────────────────────────────────── (水相) 下記組成の生クリーム(よつば乳業(株)製) 30.0 脱脂粉乳(この内の蛋白質含量:34.8%) 3.5 (この内の蛋白質含量:1.22) 安定化剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム) 0.1 ショ糖脂肪酸エステル(HLB:11) 0.1 水 44.9 (生クリームの組成:重量%) 乳脂肪分 46.46(この内のリン脂質含量:0.24%) 水分 48.27 無脂乳固形分 5.27(この内の蛋白質含量:2.04%) (油相) 大豆硬化油(融点32℃) 9.0 ヤシ硬化油(融点34℃) 3.0 ナタネ硬化油(融点32℃) 9.0 大豆レシチン(この内のリン脂質含量:36%) 0.3 (この内のリン脂質含量:0.108) ステアリン酸モノグリセライド 0.1 ────────────────────────────────────
【0032】(ホイップクリーム2の調製)上記配合
中、天然乳脂肪を主成分とする乳化物(生クリーム)を
65℃に加温し、これに同温度に加温した水、そして脱
脂粉乳、安定化剤及び乳化剤を添加し、混合した。得ら
れた混合物をこの温度を保持したまま高圧微細乳化機を
用いて1000Kg/cm2 の圧力下で高圧乳化処理を
行い、その後約10℃まで冷却し、高圧乳化処理物を得
た。得られた高圧乳化処理物の体積平均粒子径は、0.
65μmであった。次に、この高圧乳化処理物を65℃
に維持したまま、これを上記予備乳化槽へ仕込み、そこ
へ油相を65℃に加温した後、これを上記高圧乳化処理
物に、攪拌を行いながら少量ずつ添加、混合し、900
0rpmで10分間予備乳化した。この予備乳化物を6
5℃に保持したままホモゲナイザーで60(一次圧)/
20(二次圧)Kg/cm2 で均質化した後、5℃まで
冷却し、乳化物(均質化物)を得た。得られた均質化物
の体積平均粒子径は、2.05μmであった。この均質
化物をHTST式殺菌機により殺菌を行った後、再びホ
モゲナイザーによって40(一次圧)/(二次圧)0K
g/cm2 下で均質化し、5℃まで冷却し、この温度で
15時間以上エージングを行い、本発明に従うホイップ
クリーム2を得た。得られた製品の体積平均粒子径は、
1.83μmであった。
【0033】[比較例2] (ホイップクリーム2−Cの調製)上記配合中、水相及
び油相をそれぞれ65℃に加温し、水相を予備乳化槽へ
仕込み、ホモミキサーで攪拌しながら油相を少量ずつ添
加し、9000rpmで10分間予備乳化した。この予
備乳化物を65℃に保持したままホモゲナイザーで60
(一次圧)/20(二次圧)Kg/cm2 で均質化した
後、5℃まで冷却し、乳化物(均質化物)を得た。得ら
れた均質化物をHTST式殺菌機により殺菌を行った
後、再びホモゲナイザーによって40(一次圧)/0
(二次圧)Kg/cm2 で均質化し、5℃まで冷却して
この温度で15時間以上エージングを行い、比較用のホ
イップクリーム2−Cを調製した。得られた製品の体積
平均粒子径は1.96μmであった。
【0034】[実施例3] ──────────────────────────────────── ホイップクリーム3の配合 重量部 ──────────────────────────────────── (水相A) 下記組成の生クリーム(よつば乳業(株)製) 30 脱脂粉乳(この内の蛋白質含量:34.8%) 0.5 (この内の蛋白質含量:0.174) 水 9.5 (生クリームの組成:重量%) 乳脂肪分 46.46(この内のリン脂質含量:0.24%) 水分 48.27 無脂乳固形分 5.27(この内の蛋白質含量:2.04%) (油相B) 大豆硬化油(融点32℃) 9 ヤシ硬化油(融点34℃) 3 ナタネ硬化油(融点32℃) 9 ステアリン酸モノグリセライド 0.1 大豆レシチン(この内のリン脂質含量:36%) 0.3 (この内のリン脂質含量:0.108) (水相B) 脱脂粉乳(この内の蛋白質含量:34.8%) 3 (この内の蛋白質含量:1.04) ショ糖脂肪酸エステル(HLB:11) 0.1 安定化剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム) 0.1 水 35.4 ────────────────────────────────────
【0035】(ホイップクリーム3の調製)上記配合
中、水相Aの天然乳脂肪を主成分とする乳化物(生クリ
ーム)を65℃に加温し、これに同温度に加温した水、
そして脱脂粉乳を添加し、混合した。得られた混合物を
この温度を保持したまま高圧微細乳化機を用いて100
0Kg/cm2 の圧力下で高圧乳化処理を行い、その後
約10℃まで冷却し、高圧乳化処理物を得た。得られた
高圧乳化処理物の体積平均粒子径は、0.70μmであ
った。一方、上記配合中、水相B及び油相Bをそれぞれ
65℃に加温し、水相Bを予備乳化槽へ仕込み、ホモミ
キサーで攪拌しながら油相Bを少量ずつ添加し、900
0rpmで10分間予備乳化した。この予備乳化物を6
5℃に保持したままホモゲナイザーで60(一次圧)/
20(二次圧)Kg/cm2 で均質化した後、5℃まで
冷却し、乳化物(均質化物)を得た。得られた均質化物
の体積平均粒子径は、2.11μmであった。上記得ら
れた乳化物と前記の高圧乳化処理物とを混合し、HTS
T式殺菌機により殺菌を行った後、ホモゲナイザーによ
って40(一次圧)/0(二次圧)Kg/cm2 で均質
化し、5℃まで冷却し、この温度で15時間以上エージ
ングを行い、本発明に従うホイップクリーム3を調製し
た。得られた製品の体積平均粒子径は、1.64μmで
あった。
【0036】[比較例3] (ホイップクリーム3−Cの調製)上記配合中、水相A
の天然乳脂肪乳化物(生クリーム)を65℃に加温し、
これに同温度に加温した水、そして脱脂粉乳、安定化剤
及び乳化剤を添加し、混合した。得られた混合物をこの
温度を保持したままホモゲナザーを用いて40(一次
圧)/20(二次圧)Kg/cm2 で均質化した後、5
℃まで冷却し、乳化物(均質化物)を得た。得られた均
質化物の体積平均粒子径は、2.54μmであった。更
に上記配合中、水相B及び油相Bをそれぞれ65℃に加
温し、水相Bを予備乳化槽へ仕込み、ホモミキサーで攪
拌しながら油相Bを少量ずつ添加し、9000rpmで
10分間予備乳化した。この予備乳化物を65℃に保持
したままホモゲナイザーで60(一次圧)/20(二次
圧)Kg/cm2 で均質化した後、5℃まで冷却し、乳
化物(均質化物)を得た。得られた均質化物の体積平均
粒子径は、1.98μmであった。上記得られた乳化物
と前記の乳化物を混合し、HTST式殺菌機により殺菌
を行った後、ホモゲナイザーによって40(一次圧)/
0(二次圧)Kg/cm2で均質化し、5℃まで冷却
し、この温度で15時間以上エージングを行い、比較用
のホイップクリーム3−Cを調製した。得られた製品の
体積平均粒子径は、1.92μmであった。
【0037】[実施例4] ──────────────────────────────────── ホイップクリーム4の配合 重量部 ──────────────────────────────────── (水相A) 下記組成の生クリーム(よつば乳業(株)製) 30.0 脱脂粉乳(この内の蛋白質含量:34.8%) 0.5 (この内の蛋白質含量:0.174) 水 9.0 大豆レシチン(この内のリン脂質含量:36%) 0.5 (このうちリン脂質含量:0.18) (生クリームの組成:重量%) 乳脂肪分 46.46(この内のリン脂質含量:0.24%) 水分 48.27 無脂乳固形分 5.27(この内の蛋白質含量:2.04%) (油相B) 大豆硬化油(融点32℃) 9.0 ヤシ硬化油(融点34℃) 3.0 ナタネ硬化油(融点32℃) 9.0 大豆レシチン(この内のリン脂質含量:36%) 0.3 (この内のリン脂質含量:0.108) ステアリン酸モノグリセライド 0.1 (水相B) 脱脂粉乳(この内の蛋白質含量:34.8%) 3.0 (この内の蛋白質含量:1.04) 安定化剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム) 0.1 ショ糖脂肪酸エステル(HLB:11) 0.1 水 35.4 ────────────────────────────────────
【0038】(ホイップクリーム4の調製)上記ホイッ
プクリーム4の配合は、ホイップクリーム3の配合にお
いて、水相(A)に更にレシチンを加え、その増量分
(0.5重量部)を水相Aの水量で調整した配合であ
る。上記実施例3において、水相(A)の混合物を高圧
乳化処理する際にレシチンを生クリーム及び水に分散さ
せるため予備乳化処理(ホモミキサーで、9000rp
m、10分間)を施した以外は、上記実施例3の調製法
と同様にして本発明に従うホイップクリーム4を製造し
た。なお、各工程における乳化物の体積平均粒子径は、
以下の通りである。 高圧乳化処理物の体積平均粒子径:0.37μm 均質化物の体積平均粒子径: 1.89μm 得られた製品の体積平均粒子径: 1.63μm
【0039】[ホイップクリームとしての評価]以上に
ようにして得られたホイップクリームをワイヤー付きの
プラネタリーミキサー(ホバート社製)を用いて適度の
固さになるまでホイップし、ホイップドクリームを得
た。このようにして得た各ポイップドクリームについ
て、専門のパネラーにより風味評価を行った。評価基準
は、ホイップクリームとしての一般的な配合で、従来か
ら行っている方法(比較例2)で得られたときのポイッ
プドクリームの乳風味、濃厚感、コク感を基準(±)
に、これより優れている場合を+、++、・・・と表示
し、これより低下している場合を−、−−、・・・で表
した。結果を下記の表1に示す。なお、実施例1で得ら
れたポイップクリーム1の評価は、実施例1で用いた生
クリーム(よつば乳業(株)製)(比較例1:比較品1
−C)を上記と同様にホイップし、これと比較すること
により行った。
【0040】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── 高圧乳化処理時の水100重量部 ホイップ に対する各成分の含有量(重量部) 評価結果 クリーム 蛋白質 油脂 リン脂質 乳風味 濃厚感 コク感 ──────────────────────────────────── 1(実施例1) 4.2 96 0.50 ++ + ± ──────────────────────────────────── 1−C(比較例1)− − − ± ± ± ──────────────────────────────────── 2(実施例2) 3.1 23 0.12 ++ + + ──────────────────────────────────── 2−C(比較例2)− − − ± ± ± ──────────────────────────────────── 3(実施例3) 3.3 58 0.30 ++ + + ──────────────────────────────────── 3−C(比較例3)− − − ± ± ± ──────────────────────────────────── 4(実施例4) 3.4 59 1.1 ± + ++ ────────────────────────────────────
【0041】上記表1に示された結果から明らかなよう
に、生クリームに本発明の方法に従う高圧乳化処理を導
入すると、得られたホイップクリーム1(実施例1)
は、生クリーム(比較例1:比較品1−C)に比べ、乳
風味、濃厚感の増大したホイップドクリームを得ること
ができる。また、本発明の方法に従う高圧乳化処理を導
入して調製したホイップクリーム2〜4(実施例2〜
4)においても、高圧乳化処理を導入しないで、従来の
均質化処理方法で調製したホイップクリーム2−C、3
−C(比較例2〜3)に比べ、乳風味、コク感、濃厚感
の増大したホイップドクリームを得ることができる。
【0042】[実施例5] ──────────────────────────────────── ホイップクリーム5の配合 重量部 ──────────────────────────────────── (油相A) バター脂 7 大豆レシチン(この内のリン脂質含量:36%) 0.5 (このうちリン脂質含量:0.18) (水相A) 脱脂粉乳(この内の蛋白質含量:34.8%) 4.0 (この内の蛋白質含量:1.39) 水 46.9 安定化剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム) 0.1 ショ糖脂肪酸エステル(HLB:11) 0.1 (油相B) 大豆硬化油(融点32℃) 9 ヤシ硬化油(融点34℃) 3 ナタネ硬化油(融点32℃) 9 ステアリン酸モノグリセライド 0.1 大豆レシチン(この内のリン脂質含量:36%) 0.3 (このうちリン脂質含量:0.108) (水相C) 下記組成の生クリーム(よつば乳業(株)製) 15 脱脂粉乳(この内の蛋白質含量:34.8%) 0.3 (この内の蛋白質含量:0.104) 水 4.7 (生クリームの組成:重量%) 乳脂肪分 46.46(この内のリン脂質含量:0.24%) 水分 48.27 無脂乳固形分 5.27(この内の蛋白質含量:2.04%) ────────────────────────────────────
【0043】(ホイップクリーム5の調製)上記配合
中、水相Aを混合し、65℃に加温し、予備乳化槽に仕
込んだ。更に油相Aを65℃に加温した後、水相Aを攪
拌しながらこれに油相Aを少量ずつ添加し、ホモミキサ
ー(特殊機化(株)製)により攪拌回転数9000rp
mで10分間予備乳化した。この予備乳化物を65℃に
保持したまま高圧微細乳化機(ナノマイザーLA11
型、ナノマイザー(株)製)を用いて、1000Kg/
cm2 圧力下で高圧乳化処理を行った。得られた高圧乳
化処理物を約10℃まで冷却した。高圧乳化処理後の乳
化物の体積平均粒子径は、0.26μmであった。次
に、上記冷却した高圧乳化処理物を再び65℃に加温
に、上記予備乳化槽へ仕込み、攪拌しながらそこへ65
℃に加温した油相Bを少量ずつ添加し、9000rpm
で10分間予備乳化した。この予備乳化物を65℃に保
持したままホモゲナイザーで60/20Kg/cm2
均質化した後、5℃まで冷却した。得られた均質化物の
体積平均粒子径は、1.99μmであった。一方、上記
配合中、水相Cを混合し、65℃に加温した。この温度
を保持したまま高圧微細乳化機(ナノマイザーLA11
型、ナノマイザー(株)製)を用いて、1000Kg/
cm2 圧力下で高圧乳化処理を行った。得られた高圧乳
化処理物を約10℃まで冷却した。上記均質化物と、生
クリームを用いて調製した高圧乳化処理物とを混合した
後、HTST式殺菌機により殺菌を行った。次いで、ホ
モゲナイザーによって40(一次圧)/0(二次圧)K
g/cm2 で均質化し、5℃まで冷却し、この温度で1
5時間以上エージングを行い、本発明に従うホイップク
リーム5を調製した。得られた製品の体積平均粒子径
は、1.76μmであった。
【0044】[比較例4] ──────────────────────────────────── ホイップクリーム5−Cの配合 重量部 ──────────────────────────────────── (油相A) バター脂 7 大豆硬化油(融点32℃) 9 ヤシ硬化油(融点34℃) 3 ナタネ硬化油(融点32℃) 9 大豆レシチン(この内のリン脂質含量:36%) 0.3 (このうちリン脂質含量:0.108) ステアリン酸モノグリセライド 0.1 (水相A) 下記組成の生クリーム(よつば乳業(株)製) 15 脱脂粉乳(この内の蛋白質含量:34.8%) 4.3 (この内の蛋白質含量:1.5) 安定化剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム) 0.1 ショ糖脂肪酸エステル(HLB:11) 0.1 水 52.1 (生クリームの組成:重量%) 乳脂肪分 46.46(この内のリン脂質含量:0.24%) 水分 48.27 無脂乳固形分 5.27(この内の蛋白質含量:2.04%) ────────────────────────────────────
【0045】(ホイップクリーム5−Cの調製)上記配
合中、水相Aを混合し、65℃に加温し、予備乳化槽に
仕込んだ。更に油相Aを65℃に加温した後、水相Aを
攪拌しながらこれに油相Aを少量ずつ添加し、ホモミキ
サー(特殊機化(株)製)により攪拌回転数9000r
pmで10分間予備乳化した。この予備乳化物を65℃
に保持したままホモゲナイザーを用いて60/20Kg
/cm2 圧力下で均質化を行い、5℃まで冷却した。得
られた均質化物の体積平均粒子径は、2.31μmであ
った。次いで上記均質化物をHTST式殺菌機を用いて
殺菌を行った。殺菌後、更にホモゲナイザーによって4
0(一次圧)/0(二次圧)Kg/cm2 で均質化し、
5℃まで冷却し、この温度で15時間以上エージングを
行い、比較用のホイップクリーム5−Cを調製した。得
られた製品の体積平均粒子径は、1.95μmであっ
た。
【0046】[ホイップクリームとしての評価]以上に
ようにして得られたホイップクリームを上記と同様な方
法で評価した。なお、評価基準は、高圧乳化処理を導入
しないで、従来の均質化処理により調製したホイップド
クリーム(比較例4)の乳風味、コク感、濃厚感を基準
(±)に、これより優れている場合を+、++、・・・
と表示し、これより低下している場合を−、−−、・・
・で表した。結果を下記の表2に示す。
【0047】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── 高圧乳化処理時の水100重量部 ホイップ に対する各成分の含有量(重量部) 評価結果 クリーム 蛋白質 油脂 リン脂質 乳風味 濃厚感 コク感 ──────────────────────────────────── 5(実施例5) 3.4 58 0.30 + + + ──────────────────────────────────── 5−C(比較例4)− − − ± ± ± ────────────────────────────────────
【0048】上記表2に示された結果から明らかなよう
に、本発明の方法に従う高圧乳化処理を導入して調製し
たホイップクリーム5(実施例5)は、高圧乳化処理を
導入しないで、従来の均質化処理方法で調製したホイッ
プクリーム5〜C(比較例4)に比べ、乳風味、コク
感、濃厚感の増大したホイップドクリームを得ることが
できる。
【0049】[実施例6] ──────────────────────────────────── コーヒー用クリームの配合 重量部 ──────────────────────────────────── (水相A) 下記組成の生クリーム(よつば乳業(株)製) 26.9 脱脂粉乳(この内の蛋白質含量:34.8%) 0.6 (この内の蛋白質含量:0.21) 水 22.5 (生クリームの組成:重量%) 乳脂肪分 46.46(この内のリン脂質含量:0.24%) 水分 48.27 無脂乳固形分 5.27(この内の蛋白質含量:2.04%) (油相B) 大豆硬化油(融点32℃) 12.5 ステアリン酸モノグリセライド 0.05 (水相B) 脱脂粉乳(この内の蛋白質含量:34.8%) 2.0 (この内の蛋白質含量:0.7) ショ糖脂肪酸エステル(HLB:14) 0.2 安定化剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム) 0.05 水 35.2 ────────────────────────────────────
【0050】(コーヒー用クリーム1の調製)上記配合
中、水相Aの天然乳脂肪を主成分とする乳化物(生クリ
ーム)を65℃に加温し、これに同温度に加温した水、
そして脱脂粉乳を添加し、混合した。得られた混合物を
この温度を保持したまま高圧微細乳化機を用いて100
0Kg/cm2 の圧力下で高圧乳化処理を行い、その後
約10℃まで冷却し、高圧乳化処理物を得た。得られた
高圧乳化処理物の体積平均粒子径は、0.50μmであ
った。一方、上記配合中、水相B及び油相Bをそれぞれ
65℃に加温し、水相Bを予備乳化槽へ仕込み、ホモミ
キサーで攪拌しながら油相Bを少量ずつ添加し、900
0rpmで10分間予備乳化した。この予備乳化物を6
5℃に保持したままホモゲナイザーで60(一次圧)/
20(二次圧)Kg/cm2 で均質化した後、5℃まで
冷却し、乳化物(均質化物)を得た。得られた均質化物
の体積平均粒子径は、1.96μmであった。上記得ら
れた乳化物と前記の高圧乳化処理物とを混合し、HTS
T式殺菌機により殺菌を行った後、ホモゲナイザーによ
って40(一次圧)/0(二次圧)Kg/cm2 で均質
化し、5℃まで冷却し、この温度で15時間以上エージ
ングを行い、本発明に従うコーヒー用クリーム1を調製
した。得られた製品の体積平均粒子径は、1.53μm
であった。
【0051】[比較例5] ──────────────────────────────────── コーヒー用クリーム2の配合 重量部 ──────────────────────────────────── (水相A) 下記組成の生クリーム(よつば乳業(株)製) 26.9 脱脂粉乳(この内の蛋白質含量:34.8%) 2.6 (この内の蛋白質含量:0.905) ショ糖脂肪酸エステル(HLB:14) 0.2 水 35.2 (生クリームの組成:重量%) 乳脂肪分 46.46(この内のリン脂質含量:0.24%) 水分 48.27 無脂乳固形分 5.27(この内の蛋白質含量:2.04%) (油相B) 大豆硬化油(融点32℃) 12.5 ステアリン酸モノグリセライド 0.05 ────────────────────────────────────
【0052】(コーヒー用クリーム1−Cの調製)上記
配合中、水相及び油相をそれぞれ65℃に加温し、水相
を予備乳化槽へ仕込み、ホモミキサーで攪拌しながら油
相を少量ずつ添加し、9000rpmで10分間予備乳
化した。この予備乳化物を65℃に保持したままホモゲ
ナイザーで60(一次圧)/20(二次圧)Kg/cm
2 で均質化した後、5℃まで冷却し、乳化物(均質化
物)を得た。得られた乳化物(均質化物)の体積平均粒
子径は2.13μmであった。次いで得られた均質化物
をHTST式殺菌機により殺菌を行った後、再びホモゲ
ナイザーによって40(一次圧)/0(二次圧)Kg/
cm2 にて均質化し、5℃まで冷却し、この温度で15
時間以上エージングを行い、比較用のコーヒー用クリー
ム1−Cを調製した。得られた製品の体積平均粒子径は
1.76μmであった。
【0053】[コーヒー用クリームとしての評価]この
ようにして得た各コーヒー用クリームについて、専門の
パネラーにより乳風味、濃厚感、及びコク感について官
能評価を行った。評価は、80℃に加温した水100m
lにインスタントコーヒー(ネッスル(株)製)2gを
溶解し、その中にコーヒー用クリームを10ml入れ、
比較例5のコーヒー用クリーム1−Cでコーヒーを入れ
たときを基準(±)にして行った。この基準より総合的
に見て優れている場合を+、++、・・・と表示し、こ
れより総合的に見て低下している場合を−、−−、・・
・で表した。結果を下記の表3に示す。
【0054】
【表3】 表3 ──────────────────────────────────── コーヒー 高圧乳化処理時の水100重量部 用クリー に対する各成分の含有量(重量部) 評価結果 ム 蛋白質 油脂 リン脂質 乳風味 濃厚感 コク感 ──────────────────────────────────── 1 2.1 35 0.18 + ± + (実施例6) ──────────────────────────────────── 1−C −− −− −− ± ± ± (比較例5) ────────────────────────────────────
【0055】上記表3で示される結果から明らかなよう
に、高圧乳化処理を導入する本発明の方法に従って調製
したコーヒー用クリーム1(実施例6)は、高圧乳化処
理を行わないで、従来の均質化処理方法のみで調製した
コーヒー用クリーム1−C(比較例5)に比べ、乳風
味、コク感が増大したコーヒー用クリームを得ることが
できる。
【0056】
【発明の効果】特定の高圧乳化処理が導入された本発明
の水中油型乳化物の製造方法に従うと、従来の方法で調
製したものに比べ、乳風味、コク感、そして濃厚感が更
に高められた水中油型乳化物が製造できる。このこと
は、生クリーム等が高価であることを考慮すると、本発
明の製造方法を導入することにより、生クリーム等の配
合量を低減してもこれに替わる成分を使用して、生クリ
ーム等の本来持つ優れた乳味感等と同等な乳味感等が得
られることを意味し、生クリーム等の配合量の低減化に
伴う原材料コストの削減が可能となる。本発明の方法
は、特にホイップクリーム、コーヒー用のクリームを調
製する場合に有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水中油型乳化物の製造方法を実施する
際のフローチャートの好ましい例である。
【図2】本発明の水中油型乳化物の製造方法を実施する
際のフローチャートの好ましい別の例である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 天然乳脂肪を主成分とする乳化物を20
    0kg/cm2 以上で高圧乳化処理することからなる水
    中油型乳化物の製造方法。
  2. 【請求項2】 上記天然乳脂肪を主成分とする乳化物
    が、水100重量部、蛋白質0.1〜20重量部、油脂
    1〜100重量部、及びリン脂質0.01〜4重量部を
    含む請求項1に記載の水中油型乳化物の製造方法。
  3. 【請求項3】 上記天然乳脂肪を主成分とする乳化物が
    生クリームである請求項1に記載の水中油型乳化物の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1の高圧乳化処理により得られた
    乳化物に、更に水、蛋白質、食用油脂、リン脂質及び乳
    化剤のうちの少なくとも一成分を添加した後、混合及び
    /又は予備乳化を行うことからなる水中油型乳化物の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1の高圧乳化処理により得られた
    乳化物と、水、蛋白質、食用油脂、リン脂質及び乳化剤
    のうちの少なくとも二成分からなる乳化物とを混合する
    ことからなる水中油型乳化物の製造方法。
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