JPH0717231B2

JPH0717231B2 - サーフイン用ブーム

Info

Publication number: JPH0717231B2
Application number: JP63190855A
Authority: JP
Inventors: 敏幸有里
Original assignee: Somar Corp
Current assignee: Somar Corp
Priority date: 1988-07-30
Filing date: 1988-07-30
Publication date: 1995-03-01
Anticipated expiration: 2010-03-01
Also published as: AU3907589A; AU618709B2; US4972790A; JPH0241997A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）この発明は、サーフィン用ブームに関するものである。

（従来の技術）サーフィンは、周知のようにサーフボードにユニバーサ
ルジョイントを介して取付けたマストにセイルを張り、
マストの中間に取りつけたブームによりセイルを拡がっ
た状態に保持するとともにセイルを操作するものであっ
て、このブームは、外方に湾曲する２本のブーム主体の
両端を接続して無端状に形成され、かつ風の強弱に応じ
て交換するセイルの寸法に合わせて長さが伸縮できるよ
うに、各ブーム主体の一端が入れ子になっており、ピン
を縦列された数個の孔の１つに選択的に係合して相互に
ロックできる構造となっている。

このサーフィン用ブームはセイルを張り、かつセイルを
操作する必要上、従来アルミニウム合金で作られていた
が、さらに軽量でしかも強度を目的として近年、アルミ
ニウム管の内外面を炭素繊維強化樹脂で補強したものが
開発され（実開昭59−13396号公報）、最近ではその操
舵性を向上するためにより軽量のものが要求されてい
る。

（発明が解決しようとする問題点）このためにはブームの主要部であるブーム主体を、アル
ミニウム管などを芯管として用いることなく全体を炭素
繊維強化樹脂などで構成すればよいわけであるが、これ
らブーム主体の両端には先端にピン止孔又はリベット止
孔、後端には前記伸縮用のピン挿入孔が各設けられ、か
つこれら孔は中心を通る直径両端位置に対称的に配設す
る必要から、この部分においてはブーム主体の強度がい
ちじるしく低下するという不利がある。

（問題点を解決するための手段）これに対し、この発明はブーム主体およびブーム主体に
連なるジョイントパイプなどを炭素繊維層やガラス繊維
層、あるいは炭素繊維層と合成樹脂層等の繊維層で強化
した合成樹脂管として形成するとともに、前記ピン止孔
やリベット止孔の部分ならびにピン挿入用の複数個の孔
にわたる部分の内面には、補強用の合成樹脂層を積層し
て、その部分の強度を保持したものであって、全体とし
てアルミニウム管等の金属物を用いずに、十分な機械的
強を持つサーフィン用ブームを構成するものである。

（発明の実施例）この発明のサーフィン用ブームの実施例を図面について
説明すると、全体は第１図に示すように外方に弯曲する
弓状部材である７本のブーム主体1,1の前後端をＶ状部
材であるジョー２およびコネクター３にそれぞれ接続し
て１つの無端枠状に形成され、この場合ジョー２との接
続はリベット（又はピン）４により一体に固定されてい
るが、コネクター３とは接続長さを加減できるように係
合ピンと複数個の孔による結合となっている。すなわち
第２図に明らかなように、コネクター３はその二又部分
にブーム主体１と等径のエンド管5,5がリベット６によ
り固定して付設され、エンド管５先端とブーム主体１後
端とにわたってジョイント管７を貫挿するとともに、こ
のジョイント管７の両端近くに設けられたそれぞれバネ
８を介して直径方向に出没する係合用のピン9,9を、ブ
ーム主体１に設けた数個の孔10…ならびにエンド管５に
設けた数個の孔11…の任意の一組に係止して相互に固定
されるようになっている。

上記のブーム主体1,1の管部分はすべて合成繊維層14を
表裏から炭素繊維層12,13で挟んだ三層の繊維層により
強化された一体の合成樹脂管として形成されており、さ
らに接続用の孔を透設された部分は最内層として所要厚
さの補強用繊維層15によって強化された補強合成樹脂層
が一体に積層されている。また、ジョイント管7,7及び
エンド管5,5は、合成繊維層14の上面に炭素繊維層12及
び炭素繊維層13を重ねて形成された繊維層により強化さ
れた一体の合成樹脂管として形成されており、さらに、
少なくとも接続用の孔を透設された部分は最内層とし
て、所要厚さの補強用繊維層15によって強化された補強
合成樹脂層が一体に積層されている。

第３図、第４図はそれぞれブーム主体１およびジョイン
ト管７の断面図であって、合成樹脂強化用繊維層におい
て、炭素繊維層12は、その炭素繊維方向の管が軸方向に
対して60〜90゜、通常、90゜近くの角度で配向されたコ
イル状の巻成体であり、その厚さは、通常、0.12〜0.18
mm、好ましくは0.14〜0.16mmである。また炭素繊維層13
は、管の軸方向に対して30゜以内、通常20゜以内の角度
で配向された編組物であり、その厚さは、通常、0.70〜
1.10mm、好ましくは0.80〜0.95mmである。合成繊維層14
は、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、アラミド繊維、
ビニロン繊維などの合成繊維で形成され、介在体として
柔軟性にすぐれている。この合成繊維層は、好ましく
は、繊維を管の軸方向に対し30゜以内の角度で配向させ
て形成されている。この合成繊維層は合成繊維編物で形
成してもよく、その合成繊維層の厚さは、通常、0.25〜
0.38mm、好ましくは0.29〜0.32mmである。この合成繊維
層は、炭素繊維層に比べ、柔軟性及び伸びに著しくすぐ
れ、ブームの急激な破壊を防止し、安全性の高められた
ブーム構造を与える。また、この合成繊維層14は、第３
図のように中間層として形成し得る他、内層又は外層と
して形成することもできる。さらに必要に応じ、他の繊
維層、例えば、ガラス繊維層を前記炭素繊維層と併用す
ることもできる。

さらに接続用の孔、すなわちブーム主体１においてはリ
ベット４を通すための孔４′および孔10…、ジョイント
管７においてはピン9,9用の孔９′,9′、またエンド管
５においては孔11…がそれぞれ加工されている部分は最
内層として、補強繊維層15で強化された補強合成樹脂層
が形成されている。この補強繊維層15は、相互に少なく
とも２つの異った方向に配向し、フィラメント直径が20
μｍ以下の微細繊維によって構成される。

補強繊維層15は、フィラメントワイデングによる巻回体
や、繊維編織物等として構成されるが、この場合、その
繊維層を形成する繊維は、相互に少なくとも２つの異な
る方向に配向させる。例えば、２つの方向に配向した繊
維を用いて繊維層を形成する場合、第１の繊維の方向
を、軸方向に対して０゜±20゜の範囲に配向させ、第２
の繊維の方向を、第１の繊維の方向に対して90゜±20゜
の範囲に配向させるのがよい。また、３つの方向に配向
した繊維を用いて繊維層を形成する場合、第１の繊維の
方向を軸方向に対して０゜±20゜、第２の繊維の方向を
その第１の繊維の方向に対して60゜±10゜、第３の繊維
の方向を第２の繊維の方向に対して60゜±20゜の各範囲
に配向させるのがよい。

また、本発明では、補強合成樹脂層15は、フィラメント
直径が20μｍ以下の微細繊維を用いて構成する。フィラ
メント直径が20μｍより大きくなると、そのような繊維
層で強化された補強合成樹脂層は、機械的強度が不十分
になる。

補強繊維層15に用いる繊維としては、炭素繊維や、ガラ
ス繊維、炭素繊維とガラス繊維との混合繊維、アラミド
繊維等が挙げられる。このような微細繊維は、多数本を
束ねたヤーンの形で、編織物等として使用される他、ス
パンデックスの如き不織布状で使用される。

本発明で用いる補強繊維層15は、平織やあるいは多軸織
物等の織布で形成するのが好ましい。

前記サーフィンブームにおいては、ピンにより係止した
孔部に軸方向に強い力が加わるので、使用に際し、この
孔部の寸法が拡大変形しやすいという問題がある。この
ような問題を解消するには、前記したように、２方向以
上に配向した微細繊維を用いるとともに、１つの方向に
配向した繊維量を基準として、他の方向に配向した繊維
量が±30体積％以内、好ましくはほぼ同量になるように
規定するのがよい。このような繊維層を用いることによ
り、ブーム主体及びジョイント管の孔部を含む面におい
て、縦方向及び横方向に加わる力に対して同等の強度を
持つ孔部を得ることができる。また、孔部の拡大変形を
効果的に防止するには、補強繊維層15の繊維は、繊維相
互が動きにくいように、高密度に配設されていることが
重要である。

本発明者らの研究によれば、日付重量がＷ（g/m²）で、
繊維配向数がｎ、繊維の比重がｄである繊維層（例えば
織布）に、合成繊維を、単位体積中に占める繊維の容積
割合がVfになるように含浸させてシート状に成形した時
に、その合成樹脂シートの厚さｔ（mm）と繊維配向数ｎ
との比（t/n）が0.12以下になるように規定することに
より、使用に際しての孔部の拡大変形を効果的に防止し
得ることが見出された。このことを式で表示すると次の
通りである。

t/n≦0.12 （Ｉ）一方、厚さｔは、次式で表わされる。

ｔ＝w/（1000×ｄ×Vf）（II）従って、前記式（Ｉ）は次のように記載することができ
る。

なお、繊維強化合成樹脂シートの単位体積中に占める繊
維の容積割合Vfは、一般には、0.4〜0.7、好ましくは0.
5〜0.6の範囲である。

本発明では、前記式（Ｉ）を満足するような織布を２〜
４枚重ねて補強繊維層15を形成するのが好ましい。補強
繊維層15の厚さは、0.3〜0.9mm、好ましくは0.5〜0.7mm
である。

本発明のブーム主体を好ましく作製するには、表面布滑
で柔軟性のある芯材上に、第３図に示した断面図に対応
するように、先ず、補強繊維層15を形成した後、繊維層
12、14及び13を形成し、次いで、このようにして形成さ
れた繊維積層体に液状熱硬化性樹脂を含浸させ、その上
から離型性の良いフィルムで全体を締付け、これをブー
ムの形状に応じて弯曲させ、硬化炉中で加熱硬化させ
る。加熱硬化後、その芯材及び表面のフィルムを除去し
て、所望の繊維強化合成樹脂製パイプからなるブーム主
体を得る。このブーム主体を作製する場合、種々の変更
が可能であり、例えば、各繊維はいずれもあらかじめ熱
硬化性樹脂を含浸させたプリプレグとして用いることが
できる。また、繊維に合成樹脂を含浸させながら巻回す
るフィラメントワインディングによる巻回体として用い
ることができ、この場合には、前記熱硬化性樹脂の含浸
工程は省略される。

また、第３図に示した本発明のブーム主体においては、
各繊維層の積層順序は第３図のものに限定されるもので
なく種々の変更が可能であり、例えば、合成繊維層14は
必ずしも必要とされず、これを省略することができる
他、炭素繊維層13の上に合成繊維層を介してさらに炭素
繊維層を積層させることもできる。

また、ジョイント管７を製造するには、前記ブーム主体
の場合と同様に、芯材上に第４図に示した断面図に対応
するように、先ず、補強繊維層15を形成した後、合成繊
維層14及び炭素繊維層13を形成し、次いで、このように
して形成された繊維層積層体に液状熱硬化性樹脂を含浸
させ、その上から離型性の良いフィルムで全体を締付
け、硬化炉中で加熱硬化させる。加熱硬化後、その芯材
及び表面のフィルムを除去して所望の繊維強化合成樹脂
製パイプからなるジョイント管７を得る。

エンド管５の製造は、微細繊維ジョイント管７の場合と
同様にして行うことができる。

本発明において、補強繊維層15で強化された補強合成樹
脂層の部分は、前記のようにして形成される他、あらか
じめ、補強繊維層15で強化された補強用合成樹脂パイプ
として形成しておき、これをあらかじめ芯材に挿入し、
その上に前記のようにして繊維強化合成樹脂層を形成し
て、全体として一体の管体を得ることができる。

ブーム主体、ジョイント管及びエンド管において、その
補強繊維層15で強化された合成樹脂層を有する部分に透
孔を形成する場合、その孔の寸法は、通常、直径６〜7m
m程度であり、列設した相互の穿孔間の距離は25〜50mm
程度である。また、ジョイント管に設ける各孔は、貫通
して設ける必要はなく、その中間位置まであけ、係止ピ
ンを埋設することもできる。

次に、本発明のブーム主体、ジョイント管及びエトンド
管における補強繊維により強化された補強合成樹脂層を
含む合成樹脂管（エポキシ樹脂管）部分の具体的断面構
成例を示す。

（１）ブーム主体（比重:1.4〜1.6）（ｉ）最内層（15）平織ガラス繊維布（樹脂未含浸の厚さ:0.18mm、目付け
重量W:205g/m²、配向数n:2、第１繊維と第２繊維の角
度:90゜、繊維比重d:2.54、フィラメント直径:9μｍ、
単位体積中の繊維容積割合Vf:0.55、t/n＝0.0734）の４
枚重ね。

（ii）第１炭素繊維層（12）フィラメントワインディンクによる90゜角のコイル状巻
成体（厚さ:0.15mm、フィラメント直径:7μｍ、フィラ
メント本数/m:約240万本）（iii）合成繊維層（14）アラミド繊維布（厚さ:0.31mm、フィラメント直径:12μ
ｍ）が１枚。

（iv）第２炭素繊維（13）炭素繊維布（厚さ:0.31mm、フィラメント直径:7μｍ）
の３枚重ね。

（２）ジョイント管及びエンド管（比重1.4〜1.6）（ｉ）最内層（15）前記ブーム主体の最内層（15）と同じ構成（ii）合成繊維層（14）微細繊維ブーム主体の合成繊維層（14）と同じ構成（iii）炭素繊維層（13）前記ブーム主体の第２炭素繊維層（13）と同じ構成（作用、効果）この発明は上記の構成であって、前記したようにブーム
の接続用の孔が加工されている部分には補強繊維層15に
よって強化された合成繊維層が一体に付成されているか
ら孔のない部分と同様に極めて強靭であり、また孔を有
する部分以外は合成繊維強化樹脂層14を挟んで内外を互
に繊維方向が異なる炭素繊維強化樹脂層12,13とする合
成樹脂パイプ（密度:1.4〜1.6g/cm³）に形成されてお
り、従来のアルミニウム合金製パイプに比べて強度的に
曲げにおいて1.5倍、圧縮において1.1倍とすぐれ、さら
に重量において約1/2であり、こうしてブーム主体は強
靭、かかつ軽量である。さらに、アルミニウム等の金属
物を用いないので金属の電気腐食の問題は生じない。

本発明において、ブーム主体１、ジョイント管７等を構
成するマトリックス合成樹脂は、エポキシ樹脂や不飽和
ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化体からなるも
のである。

【図面の簡単な説明】

図面はこの発明の実施例を示し、第１図は平面図、第２
図は第１図の伸縮部分を分解的に示した平面断面図、第
３図、第４図はそれぞれブーム主体、およびジョイント
管の多重構造を示す平面断面図である。１……ブーム主体、２……ジョー、３……コネクター、
4,6……リベット、５……エンド管、７……ジョイント
管、８……バネ、９……ピン、４′,10,11……孔、12,1
3……炭素繊維層、14……合成繊維層、15……補強繊維
層。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】外方に弯曲する２本のブーム主体を、各前
端をジョーにリベット止又はピン止により接続し、各後
端をコネクターに連なるエンド管との間にジョイント管
を介挿し、かつブーム主体、ジョイント管をその直径方
向に設けた孔ならびに該孔に係止するピンを介して接続
して形成したブームにおいて、これらブーム主体、エン
ド管及びジョイント管は、繊維層で強化された合成樹脂
管として形成され、さらに上記接続用の孔を有する部分
の内面には、フィラメント直径が20μｍ以下で、少なく
とも２つの異った方向に配向した微細繊維を含む補強繊
維層によって強化された補強合成樹脂層が積層されてい
ることを特徴とするサーフィン用ブーム。
【請求項２】該補強合成樹脂層に用いられる繊維が、ガ
ラス繊維、炭素繊維又はガラス繊維と炭素繊維の混合繊
維である請求項１のサーフィン用ブーム。
【請求項３】外方に湾曲する繊維層で強化された合成樹
脂管からなり、該合成樹脂管の両端部にはその直径方向
に設けた接続用の孔を有し、かつ上記接続用の孔を有す
る部分の内面には、フィラメント直径が20μｍ以下で、
少なくとも２つの異なった方向に配向した微細繊維を含
む補強繊維層によって強化された補強合成樹脂層が積層
されていることを特徴とするサーフィン用ブーム主体。
【請求項４】繊維層で強化された真直な合成樹脂管から
なり、該合成樹脂管の両端部にはその直径方向に設けた
接続用の孔を有し、かつ上記接続用の孔を有する部分の
内面には、フィラメント直径が20μｍ以下で、少なくと
も２つの異った方向に配向し微細繊維を含む補強繊維層
によって強化された補強合成樹脂層が積層されているこ
とを特徴とするサーフィン用ブームエンド管及びジョイ
ント管。