JPH07170683A - 励磁コイルの直接冷却を行うターボゼネレータのロータ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】 励磁コイルの直接ガス冷却を行うターボゼネ
レータのロータにおいて、スロット底部とその上方に位
置する励磁コイル１ｄとの間に絶縁ストリップ６が設け
られる。この絶縁ストリップと励磁コイルとの間に、励
磁コイルの沈降現象を補償するためにばね弾性的な波板
形状の中間層として波板ばね８が配置されている。この
波板ばねはロータ胴の端部から出発してロータ胴の中央
へ延びている。サブスロット９の横断面を狭めることな
く波板ばねを軸方向で固定するために、波板ばねは下向
きの１対の突出部を備えており、この突出部が絶縁スト
リップ６の側方の切欠内に係合している。 【効果】 簡単な手段でばね弾性的な中間層の軸方向の
固定が達成され、しかもこの中間層が運転のすべての要
求に耐え、経済的に製作され、かつ冷却ガス通路を損な
うことがない。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は励磁コイルの直接冷却を
行うターボゼネレータのロータであって、励磁コイルが
ロータのロータ胴に設けた縦スロット内に配置されてお
り、この縦スロットがスロットウエッジにより閉鎖され
ており、スロット底部とその上に位置する励磁コイルと
の間に絶縁ストリップが設けられている形式のものに関
する。

【０００２】この種のロータは例えばＵＳ−Ａ−４１５
２６１０号特許明細書に開示されている。

【０００３】

【従来の技術】時の経過とともに励磁コイルの直接冷却
のために種々の方法が開発されてきている。

【０００４】ａ） ロータコイルのコイルヘッドの下方
に冷却ガスが流入し、ロータ胴の前端部のところで２つ
の方向に分かれる。冷却ガスの一部はコイルヘッド導体
を貫流してコイルヘッド室から特別な開口を通って流出
する。この開口はロータ胴の極帯域内に配置されてい
る。しかし、空気流の主要部分はロータ胴の周囲から、
中空導体として形成された励磁コイル内へ流入して、ロ
ータ胴の中央部内へ流出する。（ＵＳ−Ａ−４６３４９
１０号特許明細書）。

【０００５】ｂ） 冷却ガスが励磁コイルの下方でスロ
ット内の特別な通路（底スロット又はサブスロット）に
沿って導体へ案内される。冷却ガスは軸方向で見て種々
の箇所から流出する（ＵＳ−Ａ−３１１９０３３号又は
ＵＳ−Ａ−４１５２６１０号特許明細書）。

【０００６】ｃ） 方法ａ）とｂ）との組み合わせ。そ
の場合、励磁コイル部分のための冷却ガスの供給がロー
タ中央において底スロット又はサブスロットを介して行
われ、他面において、端部側の部分には直接的にコイル
ヘッド室から冷却ガスが供給される。

【０００７】すべての公知例においては、ロータに設け
たスロット内での励磁コイルの確実な固定が不可欠であ
り、この固定は一般にはスロットウエッジにより行われ
る。運転中に励磁コイルが遠心力の作用によりスロット
ウエッジに圧着され、これにより著しく軸方向で確実に
固定される。しかし、運転中の遠心力による沈降現象が
導体の結束を緩める。このことにより、機械の運転中断
後の例えば軸回転又は再始動時に励磁コイルとスロット
若しくはスロットウエッジとの相対運動が生じる。この
理由により、スロットウエッジと励磁コイルとの間にば
ね弾性的な中間層が予負荷下で組み込まれる。サブスロ
ットを備えないロータでも、ばね弾性的な中間層、多く
の場合いわゆる波板ばねがスロット底部内に挿入され
る。この中間層はスロット長手方向の少なくとも１箇所
で−多くの場合ロータ胴の端部−で固定される。スロッ
トウエッジの下方でのばね弾性的な中間層の軸方向の固
定になんら問題がないにしても、サブスロットを備えた
ロータでは、前述の中間層をスロット底部に固定するこ
とは困難であり、適当なエレメントを設ける場合にはそ
れがサブスロットの横断面を狭めてはならない。製作及
び又は強度の理由から、スロット内に孔などを設けるこ
とは禁物である。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題とすると
ころは、ロータの励磁コイルを簡単な手段で軸方向の相
対運動から保護し、このことのために使用される安全手
段がロータの強度を損なうことなく、かつ冷却ガスの貫
流を妨げることのないような、冒頭に記載した形式のロ
ータを提供することにある。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明の構成は、絶縁ストリップと前記励磁コイルとの間
に、平行なストリップの形状のばね弾性的な中間層が設
けられており、この中間層がロータ胴の端部から出発し
てロータ胴の中央へ向かって延びており、かつ、前記中
間層が下向きの１対の突出部を備えており、この突出部
が、前記絶縁ストリップに設けた切欠内に係合している
ことにある。

【００１０】

【発明の効果】本発明の利点とするところは特に、簡単
な手段でばね弾性的な中間層の軸方向の固定が達成さ
れ、しかもこの中間層が運転のすべての要求に耐え、経
済的に製作され、かつ冷却ガス通路を損なうことがない
ことにある。本発明は極めて種々異なる冷却法により冷
却されるロータに使用されるが、特にサブスロットを備
えたロータに適している。

【００１１】

【実施例】次に図面について本発明の実施例及びこれに
より得られる利点を説明する。

【００１２】ターボゼネレータのロータの中央部分を部
分的に縦断面した図１及び横断面した図２から判るよう
に、中空導体１ａ，１ｂ，１ｃ，１ｄから形成された励
磁コイルがロータ胴３のスロット２内に配置されてい
る。図面簡単のため、例として半径方向で互いに上下に
位置する４つの中空導体１ａ，１ｂ，１ｃ，１ｄだけが
図示されている。スロット２はスロットウエッジ４によ
り閉鎖されている。最上位の中空導体１ａとスロットウ
エッジ４との間には、絶縁材料から成るウエッジ下敷５
が配置されている。このウエッジ下敷はそれ自体ばね弾
性的である。このウエッジ下敷５は絶縁材料から成るス
トリップと、別体のばね弾性的なストリップ、例えば波
板ばねとから成っていてもよい。

【００１３】スロット底部内には絶縁ストリップ６が配
置されている。この絶縁ストリップ６はその下側でスロ
ット形状に適合している。絶縁ストリップ６と最下位の
中空導体１ｄとの間には充填ストリップ７が位置してお
り、この充填ストリップの機能については後で詳しく説
明する。

【００１４】端部側のロータ部分を断面した図３から判
るように、充填ストリップ７の代わりに波板ばね８が配
置されている。この端部側のロータ部分ではスロット２
が通路状の凹所として底スロット又はサブスロット９を
有している。このサブスロット９は周方向でみて、中空
導体を収容したスロット２に比して狭く形成されてい
る。サブスロット９はロータ胴の（図１には示されてい
ない）端部から、ロータ胴全長のほぼ４分の１ないし３
分の１のところまで延びていてそこで終わっている。明
確を期するために、図１、図２及び図３では絶縁ストリ
ップ６、充填ストリップ７及び波板ばね８が誇張して厚
く図示されている。

【００１５】ロータ中央部にはすべての中空導体、スロ
ットウエッジ及び中間層を貫通する絶縁材料から成るピ
ン１０が配置されている。このピンはその内端部でロー
タ胴２内に差し込まれている。このピン１０は導体結束
の軸方向の位置固定に役立っている。

【００１６】励磁コイルの冷却は、冒頭に掲げた方法
ｃ）に記載の冷却ガス案内により行われる。

【００１７】第１の冷却ガス流１１が（図示されていな
い）ロータコイルヘッドから（同様に図示されていな
い）側方のスリットを通って中空導体１ａ，１ｂ，１
ｃ，１ｄ内に達して、ここからある程度の軸方向の長さ
にわたり分配されて、ウエッジ下敷５及びスロットウエ
ッジ４をも貫通して半径方向に延びる第１の通路１２
ａ，１２ｂ，１２ｃ，１２ｄを介して外部へ流出する。
この第１の半径方向の通路は中空導体１ａ，１ｂ，１
ｃ，１ｄに設けられた貫通孔により形成されている。そ
の場合、通路１２ａは中空導体１ａ、通路１２ｂは中空
導体１ｂ、通路１２ｃは中空導体１ｃ、通路１２ｄは中
空導体１ｄに対応して配置されている。

【００１８】冷却ガスの流れ方向でみて第１の半径方向
の各通路１２ａ，１２ｂ，１２ｃ，１２ｄの後方にはそ
れぞれ第１の遮断部１３ａ，１３ｂ，１３ｃ，１３ｄが
設けられており、この遮断部は中空導体を圧潰すること
により形成されている。冷却ガスの流れ方向でみて半径
方向の通路１２ｄの後方には第２の遮断部１４ａ，１４
ｂ，１４ｃが中空導体１ａ，１ｂ，若しくは１ｃ内に設
けられている。この第２の遮断部は中空導体１ｄ内の第
１の遮断部１３ｄと協働して、第１の冷却ガス流１１を
ロータの端部側の部分でロータから流出せしめると共
に、サブスロット９を介して中央のロータ部分に供給さ
れる第２の冷却ガス流１１´と第１の冷却ガス流１１と
の混合を阻止している。

【００１９】第２の冷却ガス流１１´はサブスロット９
から、絶縁ストリップ６、充填ストリップ７及び中空導
体１ａ，１ｂ，１ｃ，１ｄに設けた孔によって形成され
た第２の半径方向の各通路１５ａ，１５ｂ，１５ｃ，１
５ｄを介してそれぞれの中空導体内へ流入する。その場
合、通路１５ａは中空導体１ａまで、通路１５ｂは中空
導体１ｂまで、通路１５ｃは中空導体１ｃまで及び通路
１５ｄは中空導体１ｄまで達している。各中空導体１
ｂ，１ｃ，１ｄ，内にはそれぞれ第３の遮断部１６ｂ，
１６ｃ，１６ｄが設けられており、これにより各部分冷
却ガス流の混合が回避される。

【００２０】各中空導体内の部分冷却ガス流はロータ胴
の中央（ピン１０のところ）の近くで第３の半径方向の
各通路１７ａ，１７ｂ，１７ｃ，１７ｄにより外部へ排
出される。この第３の半径方向の通路も中空導体、ウエ
ッジ下敷５及びスロットウエッジ４に設けられた半径方
向の孔によって形成されている。その場合、ロータ胴の
中央での冷却ガス流の整然とした流出のために、第４の
遮断部１８ａ，１８ｂ，１８ｃ及びピン１０が役立てら
れる。図３から図７までにはサブスロット９の上方に位
置するスロット底部内での波板ばね８の固定の仕方が示
されている。この目的のために、絶縁ストリップ６がロ
ータ胴の端部（図１の右側の縁）の近くに、ロータ胴の
縦軸線に関して対称的に２つの側方の切欠１９を備えて
おり、この切欠の深さは絶縁ストリップ６の厚さにほぼ
対応している。切欠１９の代わりに、相応の長さを有す
るスリットが設けられてもよい。波板ばね８はばね鋼か
ら製作されており、波形状の平行なストリップから成
り、その場合、波形はストリップ長手方向に続いてい
る。波板ばね８は絶縁ストリップ６に設けた切欠１９の
領域内で両側に下向きに曲げられたタブ２０を備えてお
り、その曲げ縁が図６に符号２１で示されている。この
タブは絶縁ストリップ６の厚さとほぼ同じ幅を有してお
り、従ってこのタブは下向きに絶縁ストリップを越えて
突出しない。

【００２１】組み立てを簡単にするために、図７で破線
で示したように、切欠１９のところに樹脂を含浸した薄
い帯条片２２が波板ばね８及び絶縁ストリップの周りに
巻付けられている。波板ばね８と最下方の中空導体１ｄ
との間の下敷２３が中空導体絶縁体２４の損傷を阻止し
ている。

【００２２】絶縁ストリップ６をその下側がスロット底
部のジオメトリに適合するように形成したことにより、
ピン１０との組み合わせで絶縁ストリップは軸方向で位
置固定される。切欠１９内に係合する、波板ばね８のタ
ブ２０は同様に絶縁ストリップ６に対する波板ばね８の
軸方向の位置を、ひいてはスロット及び励磁コイルに対
する波板ばね８の位置をも固定する。この固定はロータ
胴の端部で行われるだけでよい。必要ならば、切欠１９
とこれに付属するタブを２対以上設けることもできる。
その場合、これらのタブは、波板ばね８が伸びることが
できるように、スロット長手方向でみて互いに著しく密
に位置しなければならない。

【００２３】ロータ胴の両端で図１に示すように、ロー
タ胴の端部と第２の遮断部１４ａ，１４ｂ，１４ｃとの
間にのみ波板ばね８を配置するだけで充分である。この
領域内では半径方向の通路が波板ばね８を貫通しておら
ず、波板ばね８はその機能を損なわれることがない。

【００２４】本発明は図１に示すような、ほぼ長手方向
に貫流される中空導体から成る励磁コイルと冷却機構と
を備えたロータに限定されないのは勿論である。本発明
はサブスロットを備えない、要するにＥＰ−Ｂ−０ １
７３８７７号特許明細書に開示されたロータにも適用さ
れる。さらに、ばね弾性的な中間層が波板ばね以外のも
のから成っていてもよい。

【００２５】冒頭に記載したＵＳ−Ａ−４１５２６１０
号特許明細書の第１図を一瞥すると、この場合もスロッ
ト底部絶縁体として絶縁ストリップが使用されている。
この公知励磁コイルでは最下位の励磁コイルと絶縁スト
リップとの間にばね弾性的な部材が設けられておらず、
直接ガス冷却も別の形式と仕方で実施されているが、し
かし、絶縁ストリップへの波板ばね８の本発明による固
定は本発明の枠を越えることなくこの種の装置にも適用
される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による冷却ガス案内を明確にするために
ターボゼネレータのロータを部分的に縦断面して示す図
である。

【図２】図１のＡ−Ａ線に沿ってロータを断面した図で
ある。

【図３】図１のＢ−Ｂ線に沿ってロータを断面した図で
ある。

【図４】図１のＣ−Ｃ線に沿ってロータを断面した図で
ある。

【図５】図４の部分拡大断面図である。

【図６】励磁コイルを取り除いてスロット底部に位置す
る絶縁ストリップおよび波板ばねを上方から見た図であ
る。

【図７】絶縁ストリップ及び波板ばねの側面図である。

【符号の説明】

１ａ，１ｂ，１ｃ，１ｄ 中空導体、 ２ スロット、
３ ロータ胴、 ４スロットウエッジ、 ５ ウエッ
ジ下敷、 ６ 絶縁ストリップ、 ７ 充填ストリッ
プ、 ８ 波板ばね、 ９ サブスロット、 １０ ピ
ン、 １１，１１´ 冷却ガス流、 １２ａ，１２ｂ，
１２ｃ，１２ｄ 第１の半径方向の通路、 １３ａ，１
３ｂ，１３ｃ，１３ｄ 第１の遮断部、 １４ａ，１４
ｂ，１４ｃ 第２の遮断部、 １５ａ，１５ｂ，１５
ｃ，１５ｄ 第２の半径方向の通路、 １６ｂ，１６
ｃ，１６ｄ 第３の遮断部、 １７ａ，１７ｂ，１７
ｃ，１７ｄ 第３の半径方向の通路、 １８ａ，１８
ｂ，１８ｃ 第４の遮断部、 １９切欠、 ２０ タ
ブ、 ２１ 曲げ縁、 ２２ 帯条片、 ２３ 下敷、
２４ 中空導体絶縁体

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 励磁コイルの直接冷却を行うターボゼネ
   レータのロータであって、励磁コイルがロータのロータ
   胴（３）に設けた縦方向のスロット（２）内に配置され
   ており、この縦方向のスロットがウエッジ（４）により
   閉鎖されており、スロット底部とその上に位置する励磁
   コイル（１ｄ）との間に絶縁ストリップ（６）が設けら
   れている形式のものにおいて、前記絶縁ストリップ
   （６）と前記励磁コイルの中空導体（１ｄ）との間に、
   平行なストリップの形状のばね弾性的な中間層（８）が
   設けられており、この中間層がロータ胴の端部から出発
   してロータ胴の中央へ向かって延びており、かつ、前記
   中間層（８）が下向きの１対の突出部（２０）を備えて
   おり、この突出部が、前記絶縁ストリップ（６）に設け
   た切欠（１９）内に係合していることを特徴とする、励
   磁コイルの直接冷却を行うターボゼネレータのロータ。
2. 【請求項２】 前記突出部（２０）がばね弾性的な中間
   層の全長に比して短い縁部を曲げることにより形成され
   ている、請求項１記載のロータ。
3. 【請求項３】 下向きの突出部（２０）の半径方向の高
   さが絶縁ストリップ（６）の厚さにほぼ相応している、
   請求項１又は２記載のロータ。
4. 【請求項４】 サブスロット（９）を備えたロータでは
   切欠（１９）の領域内での絶縁ストリップ（６）の幅
   が、サブスロット（９）のスロット幅にほぼ相応してい
   る、請求項１から３までのいずれか１項記載のロータ。
5. 【請求項５】 切欠（１９）の領域内に帯条片（２２）
   が設けられており、この帯条片が絶縁ストリップ（６）
   及びばね弾性的な中間層（８）の周りに巻掛けられてい
   る、請求項１から４までのいずれか１項記載のロータ。