JPH07155194A - タンパク質の精製法 - Google Patents

タンパク質の精製法

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JPH07155194A
JPH07155194A JP31025393A JP31025393A JPH07155194A JP H07155194 A JPH07155194 A JP H07155194A JP 31025393 A JP31025393 A JP 31025393A JP 31025393 A JP31025393 A JP 31025393A JP H07155194 A JPH07155194 A JP H07155194A
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JP
Japan
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column
protein
target protein
solution
buffer
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JP31025393A
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English (en)
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Kenji Nagura
賢治 名倉
Masamichi Motoki
政道 元木
Toshihide Nakamura
壽秀 中村
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 特定の物性値を有する蛋白質に対して特に有
効な、蛋白質の精製法 【構成】 (a)目的蛋白質の等電点より低いpHで平衡
化した陽イオン交換カラム、(b)アフィニティークロ
マトフラフィーカラム、(c)目的蛋白質の等電点より
低いpHで平衡化した陰イオン交換カラム、を用いること
を特徴とする、蛋白質の精製法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はタンパク質の精製法に関
する。より詳しくは特定の物理化学的性質を有するタン
パク質の精製法に関する。
【0002】
【先行技術】バイオテクノロジーの発達にともない、種
々のタンパク質を生体試料から分離することや細胞培養
技術により生産することが盛んに実施されており、その
目的タンパク質を精製する技術も種々知られている。
【0003】例えば、2価陽イオン結合性タンパク質の
精製法(特開平2-200180)がある。この精製法では、カ
ルシウムイオンのような2価陽イオン濃度を増減するこ
とにより強陰イオン交換体をアフィニティー担体のごと
く使用し、イオン交換クロマトグラフィー2段と疎水性
クロマトグラフィー1段の合計3段のクロマトグラフィ
ーによってタンパク質の純度を98%以上に上げている。
しかし、対象とするタンパク質は、(活性化)ヒトプロ
テインCのような2価陽イオン結合性タンパク質に限ら
れる。
【0004】モノクローナル抗体も巨大タンパク質分子
であるが、これについてもマウス腹水から抗PCI モノク
ローナル抗体を精製した例(特開昭63-123395 )などが
ある。この場合は、マウス腹腔から採取した腹水をアフ
ィニティー担体であるプロテインAカラム1段で精製し
ている。しかし、精製工程は1段のクロマトグラフィー
だけであるため得られたモノクローナル抗体の純度が低
く、実験動物等に用いるのに問題は無くとも医薬として
人間に投与するのには問題があった。
【0005】一方、タンパク質と一口に言っても、分子
量、イオン的挙動や各種溶媒への溶解度など物理化学的
性質もいろいろである。一般にタンパク質は水溶液のpH
によってその電気的な特性を変える。酸性領域では正に
帯電し、アルカリ性領域では負に帯電している。正負の
帯電の境目となるpHは等電点と呼ばれ、タンパク質によ
って固有の値をもっている。例えば、卵白アルブミンは
pH4.7 、ウシリボヌクレアーゼはpH8.9 である。
【0006】本発明者らは、等電点がpH8 〜10である幾
つかのタンパク質の精製に前記種々の精製法を適用して
みたが、満足される精製度は得られなかった。特に、医
薬として注射用タンパク製剤のDNA 混入量100pg/doseの
基準を満足させることはできなかった。また、目的タン
パク質以外の混入タンパク質に起因する抗原性も回避す
ることもできなかった。
【0007】
【発明が解決すべき課題】そこで上記特性を有するタン
パク質の精製法について不純物の除去方法を種々検討し
た結果、本発明に到達した。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、実質的に細胞
や組織が含有されない細胞培養液あるいは組織抽出液な
どの目的タンパク質含有液を、下記工程(a),(b) 及び
(c) をこの順序で含んでなる精製工程に賦することを特
徴とするタンパク質の精製法である。 (a) 目的タンパク質の等電点より低いpHに調節した緩衝
液で平衡化した陽イオン交換カラムに該目的タンパク質
含有液を供給して、液中の目的タンパク質をカラムに吸
着させ、次いで非吸着物を洗浄除去後、陽イオン濃度0.
05〜0.5mol/Lの緩衝液を用いて前記カラムに吸着された
目的タンパク質を溶出せしめる工程: (b) アフィニティークロマトグラフィーカラムに前工程
で得られた目的タンパク質溶出液を供給し、該溶出液中
の目的タンパク質をカラムに吸着させ、次いで非吸着物
を洗浄除去後、pHが7以下で陽イオン濃度が少なくとも
0.2mol/Lの無機塩類水溶液を用いカラムに吸着した目的
タンパク質を溶出せしめる工程: (c) 目的タンパク質の等電点より低いpHに調節した緩衝
液で平衡化した陰イオン交換カラムに前工程で得られた
目的タンパク質溶出液を供給し、該溶出液中のタンパク
質を素通り画分として回収する工程: 本発明は基本的には上記(a),(b) 及び(c) の工程をこの
順序で含んでなることを特徴とする精製法であるが、各
工程の前後には公知の濾過工程,濃縮工程や工程間の液
の性質を調和させるための緩衝液交換工程を設けてもよ
い。
【0009】本発明の精製法に賦されるタンパク質につ
いては特に制限はないが、本発明の特徴が最も良く発揮
されるタンパク質は、等電点がpH8 〜10であるタンパク
質、就中モノクローナル抗体である。
【0010】例えば、モノクローナル抗体を実験質的規
模で精製するには、当該モノクローナル抗体が特異的に
認識する抗原を用いたアフィニティークロマトグラフィ
ーによれば簡単であるが、工業的規模で安価に精製する
には不適切である。また、抗PCI モノクローナル抗体を
精製した例(特開昭63-123395 )のようなプロテインA
カラムのみの精製では、医薬として満足できる精製度を
得ることはできなかった。
【0011】本発明を用いれば比較的安価な精製プロセ
スを構築できるが、本発明を適用するためには目的タン
パク質の等電点を知る必要がある。目的タンパク質がど
のような等電点を有するかを検討するには、実験室的規
模で精製したものを用いて予め調べることができる。
【0012】等電点は、等電点電気泳動法によって測定
可能である。等電点電気泳動法の原理は幾つかの専門書
(例えば、新生化学実験講座1 タンパク質 日本生化学
会編東京化学同人 1990年2 月26日発行, p335)に示さ
れ、機器はファルマシア社などから購入することができ
る。
【0013】以下、本発明の工程(a),(b) 及び(c) につ
いて更に詳細に説明する。 工程(a) 本工程は陽イオン交換カラムを用いてタンパク質を吸着
せしめ、主として目的タンパク質より低い等電点をもつ
混入タンパク質, 脂質および炭水化物などの夾雑物を除
去することを目的とする工程である。
【0014】陽イオン交換体としては、スルホプロピル
基をもつ強陽イオン交換体が推奨される。例えば、アガ
ロース系の強陽イオン交換体であるファルマシア社製の
S-SepharoseFF または S-SepharoseHP、シグマ社製のS-
SepharoseFF らが挙げられるが、ファルマシア社製のS-
SepharoseFF が特に推奨される。
【0015】本工程においては、先ずカラムを目的タン
パク質の等電点より低いpH、好ましくは目的タンパク質
の等電点より1〜3低いpHに調節した0.001 〜0.05mol/
L の緩衝液で平衡化する。緩衝液としてはリン酸緩衝液
やTris緩衝液などが挙げられる。平衡化に要する緩衝液
量はカラム容積によって変化するが、例えば10cmφ、1L
のカラムでは約2Lの緩衝液を流すことにより平衡化でき
る。
【0016】平衡化されたカラムに培養液または組織抽
出液などの目的タンパク質含有液を供給するには、もち
ろんそのまま供給してもよいが、例えば培養液に適当な
清澄濾過膜などで濾過処理を施して、細胞等が除去され
た培養上清を取得し、それを限外濾過処理して約10倍〜
100 倍まで濃縮したものを用いるのが好ましいことが多
い。該濾過処理には、0.2 〜100 μm 、好ましくは、0.
2 〜5 μm の細孔径を有する清澄濾過膜(例えば、ミリ
ポア社 ペリコンカセット HVLP000C5或はフジフィルタ
ー社 FILTRON SIGMA-SERIES 0.3 μm)を用いることが
できる。限外濾過処理には、目的タンパク質の分子量よ
り小さな細孔径を有するタンジェンシャルフロー形式の
膜(例えば、ミリポア社 ペリコンカセット PTTK00005
或はフジフィルター社 FILTRON SIGMA-SERIES 1K〜1M)
を用いることができる。
【0017】本工程の収率を高く保つには、カラムに負
荷する培養液や組織抽出液の無機イオン濃度を生理食塩
水の半分以下に減少させると良い。即ち、透析や水で希
釈するなどの操作によって無機イオン濃度を下げること
により、目的タンパク質のイオン交換担体への吸着度を
高めることができる。
【0018】カラムへ培養液や組織抽出液を負荷した
後、目的タンパク質の等電点より若干低いpH、好ましく
は目的タンパクの等電点より0.1 〜1.5 低いpHの緩衝液
でカラム内を洗浄する。緩衝液としては、0.001 〜0.05
mol/L のリン酸緩衝液やTris緩衝液などが挙げられる。
洗浄液のpHを目的タンパク質の等電点より若干低く調整
するのは、等電点が目的タンパク質より低い混入タンパ
ク質をできる限り除去するためである。洗浄に要する緩
衝液量はカラム容積によって変化するが、例えば10cm
φ、1Lのカラムでは約2.5Lの緩衝液を流すことにより充
分な洗浄が得られる。
【0019】次いで、目的タンパク質の等電点より低い
pH、好ましくは目的タンパクの等電点より0.5 〜1.5 低
いpHに調節した0.001 〜0.05mol/L の緩衝液で、無機イ
オン濃度を中性の無機塩類(例えばNaClやKCl )で増加
させたものを用い、吸着物を溶出する。無機イオン濃度
は0.05〜0.5mol/L、好ましくは0.20mol/L である。緩衝
液としては、平衡化や洗浄のときと同様にリン酸緩衝液
やTris緩衝液などが挙げられる。目的タンパク質の脱着
の様子は、280nm における吸光度でモニターすることが
できる。
【0020】目的タンパク質がカラム出口から溶出する
様子は、カラム容積や目的タンパク質の担体へ吸着性な
どによって変化する。例えば10cmφ、1Lのカラムでモノ
クローナル抗体を精製する場合は、約1Lの溶出廃液が流
出後モノクローナル抗体水溶液約1Lが得られる。 工程(b) 本工程はアフィニティークロマトグラフィーカラムを用
いてタンパク質を吸着せしめ、主として工程(a) で除去
されなかった混入タンパク質、脂質および炭水化物など
の夾雑物を除去することを目的とする工程である。工程
(a) と(b) を組み合せることにより、目的タンパク質以
外の混入タンパク質を注射用タンパク製剤に使用可能な
レベルまで除去できる。
【0021】アフィニティー担体としては、目的タンパ
ク質に特異的に結合する物質を用いる。モノクローナル
抗体の場合は、特異的吸着担体であるProtein-A アフィ
ニティークロマトゲル( 例えば、Repligen社製のIPA-40
0 または IPA-300) を使用する。一般に広く使用され実
績のあるProtein-A 低漏出製のゲルを使用すべきである
( 例えば、ファルマシア社製Sepharose4-FF または BIO
PROCESSING社製のPROSEP-A) 。
【0022】本工程においては、先ずカラムを平衡化す
る。緩衝液としてはリン酸緩衝液やTris緩衝液などが挙
げられるが、無機塩類(NaCl やKCl)などを含んでいても
良い。工程(a) で溶出に使用した緩衝液と同じものを使
用すると便利である。平衡化に要する緩衝液量はカラム
容積によって変化するが、例えば10cmφ、1Lのカラム
では約2Lの緩衝液を流すことにより平衡化できる。
【0023】カラムへの負荷は、工程(a) からの溶出液
をそのまま用いることができる。
【0024】次いで、平衡化に用いたのと同様の緩衝液
でカラム内を洗浄する。洗浄に要する緩衝液量はカラム
容積によって変化するが、例えば10cmφ、1Lのカラムで
は約3Lの緩衝液を流すことにより充分な洗浄が得られ
る。
【0025】次に、pHが7以下、好ましくはpH3.5 程度
で0.5mol/L以上の無機イオン濃度である水溶液を用いカ
ラムに吸着したタンパク質を溶出せしめる。この水溶液
としては、0.05〜0.5mol/Lの弱酸に0.5mol/L以上の無機
塩類を加えたものを用いる。好ましくは、0.1mol/Lの酢
酸に0.5mol/LのN aCl を加えたものを用いる。目的タン
パク質の脱着の様子は、280nm における吸光度からモニ
ターすることができる。
【0026】目的タンパク質がカラム出口から溶出する
様子は、カラム容積や目的タンパク質の担体への吸着性
などによって変化する。例えば10cmφ、1Lのカラムでモ
ノクローナル抗体を精製する場合は、約1Lの溶出廃液が
流出後モノクローナル抗体水溶液約1Lが得られる。
【0027】得られた水溶液のpHは溶出に使用した水溶
液によってpHが低いままである。目的タンパク質が酸性
条件で安定である場合は放置しておいても構わないが、
分解や変性の恐れがある場合は直ちにpHを中性付近まで
上昇させた方が良い。pHを上昇させるためには、pH7 以
上に調整した0.5 〜1.0mol/Lのリン酸緩衝液やTris緩衝
液で1.5 〜5 倍の希釈を行うなどの方法がある。 工程(c) 本工程では陰イオン交換カラムへ前工程で得られた溶出
液を供給し、該溶出液中の目的タンパク質を素通り画分
として回収する。主として、工程(b) で混入した微量の
アフィニティー物質, 目的タンパク質とアフィニティー
物質の複合体、細胞や組織由来のDNA 、およびパイロジ
ェン(主にリポポリサッカライド)を除去することを目
的とする。医薬用として生理活性タンパク質を供給する
には、これらの混入物を高度に除去し、基準値未満の濃
度まで低下させる必要がある。これらの混入物は、陰イ
オン交換クロマトグラフィーで適当な条件を設定するこ
とにより除去可能である。
【0028】陰イオン交換体としては、ジアミノエチル
(DEAE)基をもつ弱陰イオン交換体が推奨される。例え
ば、ファルマシア社製のセルロース系陰イオン交換体DE
AE-Sephacel やアガロース系陰イオン交換体DEAE-Sepha
roseFF、或はセルロース系陰イオン交換体であるシグマ
社製のDEAE-Sephar oseFF やDEAE-SepharoseCL-6B が挙
げられるが、ファルマシア社製のDEAE-Sephacel が特に
推奨される。
【0029】本工程においては、先ずカラムを目的タン
パク質の等電点より低いpH、好ましくは目的タンパク質
の等電点より0.1 〜1.0 低いpHに調節した0.001 〜0.10
mol/L の緩衝液で平衡化する。緩衝液としてはリン酸緩
衝液やTris緩衝液などが挙げられる。平衡化に要する緩
衝液量はカラム容積によって変化するが、例えば10cm
φ、1Lのカラムでは約2Lの緩衝液を流すことにより平衡
化できる。
【0030】平衡化された前工程で得られた目的タンパ
ク質水溶液を供給するには、もちろんそのまま供給して
もよいが、陰イオン交換クロマトグラフィーによる不純
物除去を充分に行うためには水溶液の無機イオン濃度を
低下させることが好ましいことが多い。ゲル濾過担体を
用い緩衝液交換を行えば、無機イオン濃度の低下ととも
に不純物の混入量も低下させることができる。緩衝液交
換処理には、分画分子量1万以下(好ましくは、5000以
下)のゲル濾過担体(例えば、ファルマシア社製のSeph
adexG-25或は-15 )を用いると良い。前工程で得られた
目的タンパク質溶液を目的タンパク質の等電点、好まし
くは目的タンパク質の等電点より0.1 〜1.0 低いpHより
低いpHに調節した0.001 〜0.10mol/L の緩衝液(例え
ば、リン酸緩衝液やTris緩衝液)で平衡化したゲル濾過
カラムに供給し、次いで同様の緩衝液で流出させること
により無機イオン濃度を減少させることができる。ま
た、このゲル濾過処理を行う際には、サンプル負荷など
に要する時間を短縮するため、限外濾過処理などにより
目的タンパク質水溶液を濃縮することができる。限外濾
過処理には、目的タンパク質の分子量より小さな細孔径
を有するタンジェンシャルフロー形式の膜(例えば、ミ
リポア社 ペリコンカセット PTTK00005或はフジフィル
ター社 FILTRON SIGMA-SERIES 1K〜1M)を用いると良
い。
【0031】前工程で得られた目的タンパク質水溶液を
陰イオン交換カラムに負荷した後、平衡化に使用したの
と同様の緩衝液で目的タンパク質を流出させる。流出の
様子は、280nm における吸光度からモニターすることが
できる。流出の様子はカラム容積によって変化するが、
例えば10cmφ、1Lのカラム場合は、約0.5Lの流出廃液が
出た後、目的タンパク質水溶液約1Lが得られる。陰イオ
ン交換体をもう1度同様の目的で使用するには、吸着し
た不純物を取り除く必要がある。そのためには、pHが7
未満で0.1 〜0.5mol/Lの緩衝液に0.5mol/L以上の無機塩
類を加えたもの、好ましくは、0.17mol/L の酢酸緩衝液
に0.5mol/LのNaClを加えたものを、カラム容積の2 倍以
上流すと良い。
【0032】一方タンパク質を医薬として製剤化する場
合、特に凍結乾燥製剤とする場合には、生理食塩水溶液
とすることが好ましい場合が多い。目的タンパク質が溶
解している緩衝液を生理食塩水に置換するには、ゲル濾
過操作を用いることができる。これには、分画分子量1
万以下、好ましくは、5000以下のゲル濾過担体(例え
ば、ファルマシア社製のSephadexG-25或はG-15)を用い
ると良い。陰イオン交換クロマトグラフィーで得られた
目的タンパク質溶液を、生理食塩水で平衡化したゲル濾
過カラムに供給し、次いで生理食塩水で流出させること
により、緩衝液を生理食塩水に置換することができる。
また、このゲル濾過処理を行う際には、サンプル負荷な
どに要する時間を短縮するため、限外濾過処理などによ
り目的タンパク質水溶液を濃縮することができる。限外
濾過処理には、目的タンパク質の分子量より小さな細孔
径を有するタンジェンシャルフロー形式の膜(例えば、
ミリポア社 ペリコンカセット PTTK00005或はフジフィ
ルター社 FILTRON SIGMA-SERIES 1K〜1M)を用いると良
い。
【0033】以下に実施例を挙げ、本発明を更に詳細に
説明する。
【0034】
【実施例】
1)ハイブリドーマの大量培養によるモノクロ−ナル抗体
の製造 モノクローナル抗体産生細胞であるハイブリドーマとし
ては、V3β1F4 株( 微工研寄託番号:FERM BP-2765)を用
いた。培地は以下の通りである。 物質: 基礎培地: eRDF( 極東製薬) 微量成分: 2mg/L-インシュリン 2mg/L-トランスフェリン 10mg/L- エタノールアミン 10-8mol/L 亜セレン酸 血清代替物: 1g/L- ポリビニルピロリドン pH調節: 0 〜4.2g/L炭酸水素ナトリウム 培養槽は撹拌羽根付きの20L タンクを用い、かつ遠心分
離沈降型の細胞分離機(特公平4-25796 、図3 )を用い
た潅流培養を行った。
【0035】ハイブリドーマV3β1F4 株の抗体生産能は
培養液のpHとグルコース濃度に大きく依存することがわ
かった。すなわちpHを7.2 とし、グルコース濃度を1mmo
l/L以下に保つことによって最大の生産性が得られる。
ここでpHは、培養槽に供給する新鮮培地中の炭酸水素ナ
トリウム濃度を加減することによって所定の値に制御し
た。グルコース濃度は潅流培養における培養液置換率、
すなわち新鮮培地供給速度( =培養上清の抜取速度) に
よって制御した。
【0036】以上の培養によってモノクローナル抗体を
含む培養上清を1 日当たり20〜40L採取した。
【0037】2)清澄濾過による培養上清からの不溶タン
パク質の除去 本操作の目的は、3)以降の限外濾過膜処理およびカラム
クロマトグラフィーを円滑に行うための前処理である。
すなわち培養上清中の不溶タンパク質を清澄濾過膜で除
去し、限外濾過膜やカラムの閉塞を防止することが目的
である。
【0038】清澄濾過膜としては、細孔径が0.45μm の
清澄濾過膜(ミリポア社、ペリコンカセット HVLP000C
5)を用いた。循環ポンプにはマグネットギアポンプ(I
WAKI,MDG-L15KA100)、濾液抜取ポンプにはペリスタポ
ンプ(COLE PARMER, MASTERFLEX 7553-20 )を用いた。 物質: アルカリ液: 0.5N- NaOH 中和緩衝液: 16.2g/L-酢酸ナトリウム (3水和物) 30.5mL/L- 酢酸 濾過膜を一晩アルカリ液に浸すことにより、滅菌および
パイロジェンを分解した。循環ポンプおよび濾液抜取ポ
ンプで中和緩衝液を濾過膜に送液して、アルカリ液を中
和した。
【0039】製造業者の指示に従い培養上清を濾過膜に
循環させ、流出する濾液を濾液抜取ポンプによって回収
した。この場合、循環ポンプの流速を調節して濾過膜入
口の液圧力を1.0Kg/cm2 程度に保てば、濾過膜の閉塞が
起こりにくくかつ発泡が問題とならない。
【0040】8時間の運転によって約200Lの培養上清を
濾過できるが、培養上清中に細胞破砕物などが多量に含
まれる場合には濾過膜が閉塞して濾過流速が著しく低下
することがある。その場合には培養上清の濾過を一時中
止し濾過膜内にアルカリ液を送り込んで30分程度循環す
ることにより、閉塞の原因である濾過膜内の不溶タンパ
ク質を可溶化できる。再び中和緩衝液でアルカリ液を中
和した後に、培養上清の濾過を再開する。
【0041】約20mg/Lのモノクローナル抗体を含む240L
の培養上清を濾過し、3)以降の操作に供給した。培養上
清中のモノクロ−ナル抗体濃度は、ファルマシア社のア
フィニティーカラム(ProteinA-Superose,FPLC,HR16/5
)を用いたHPLC(LKB社,2152,2150) で280nm 吸光度に
より測定した。
【0042】3)限外濾過による培養上清中のモノクロ−
ナル抗体の濃縮 本操作の目的は、4)の陽イオン交換クロマトグラフィー
操作におけるサンプル負荷量を減少させ、精製に要する
時間を短縮することにある。
【0043】限外濾過膜としては、分子量カットオフが
30,000である濾過膜(ミリポア社、ペリコンカセット P
TTK00005)を用いた。循環ポンプにはマグネットギアポ
ンプ(IWAKI,MDG-L15KA100)を使用し、濾液抜取ポンプ
は使用せず濾液は自然流出とした。 物質: アルカリ液: 0.5N- NaOH 中和緩衝液: 16.2g/L-酢酸ナトリウム (3水和物) 30.5mL/L- 酢酸 洗浄液 : 生理食塩水 2)と同様に、濾過膜を一晩アルカリ液に浸すことによ
り、滅菌およびパイロジェンを分解した。循環ポンプで
中和緩衝液を濾過膜に送液して、アルカリ液を中和し
た。
【0044】製造業者の指示に従い、2)で得られた濾過
済培養上清を濾過膜に循環させた。この場合も、循環ポ
ンプの流速を調節して濾過膜入口の液圧力を1.0Kg/cm2
程度に保てば、濾過膜の閉塞が起こりにくくかつ発泡が
問題とならない。
【0045】目的とするモノクローナル抗体の分子量は
150,000 程度で限外濾過膜のカットオフ分子量は30,000
なので、低分子成分のみが濾過膜を通過しモノクローナ
ル抗体は濃縮される。2)で得られた240Lの濾液を約2Lま
で濃縮した後、洗浄液で限外濾過膜内に残留するモノク
ローナル抗体を洗い出して全量を6Lとした。6L中に含ま
れるモノクローナル抗体は、HPLCにより4.72g と定量さ
れた。
【0046】4)陽イオン交換クロマトグラフィ−による
モノクロ−ナル抗体の分離 V3β1F4 株によって生産されるモノクローナル抗体の等
電点はpH8.80〜9.05程度であるため、pH8.80未満の水溶
液では正に帯電している。よって、pH8.80未満の緩衝液
を使用したとき、陽イオン交換体に吸着する。 物質: カラム: ファルマシア・BPG 100/500 イオン交換体: ファルマシア・S-SepharoseFF 1L 緩衝液A: 0.02mol/L-リン酸緩衝液(pH7.0) 緩衝液B: 0.02mol/L-リン酸緩衝液(pH8.5) 緩衝液C: 0.02mol/L-リン酸緩衝液(pH8.0) 0.20mol/L-NaCl 流速: 60mL/min 製造業者の指示に従い、カラムを条件設定した。次い
で、緩衝液A(カラム容積の約2 倍量、約2L) でカラムを
平衡化した。流出液のpHが7.0 となることを、平衡化終
了の目安とした。3)で得られた培養上清濃縮液6LをMill
iQ水(ミリポア社製装置による超純水)で2倍に希釈
後、カラムに負荷した。
【0047】その後、緩衝液B でカラムからの流出液の
pHが8.0 となるまでカラム内を洗浄した(カラム容積の
約2.5 倍量、約2.5L)。モノクローナル抗体のプロテア
ーゼ分解物(不純物)を除去するため、緩衝液B のpHは
等電点より若干低い8.5 とすることが最適である。
【0048】洗浄後、緩衝液C で吸着物を溶出した。28
0nm における吸光度からモノクローナル抗体溶出の様子
をモニターした。約1Lの溶出廃液が流出後モノクローナ
ル抗体が溶出し、粗モノクローナル抗体水溶液約1Lが得
られた。1L中に含まれるモノクローナル抗体は、HPLCに
より4.63g と定量された
【0049】5)アフィニティークロマトグラフィ−によ
るモノクロ−ナル抗体の分離 物質: カラム: ファルマシア・BPG 100/500 アフィニティー担体: Repligen IPA-400 1L 緩衝液A: 0.02mol/L-リン酸緩衝液 0.20mol/L-NaCl(pH8.0) 緩衝液B: 0.10mol/L-酢酸 0.50mol/L-NaCl(pH3.5) 緩衝液C: 0.50mol/L-Tris緩衝液(pH7.5) 流速: 60〜70mL/min 製造業者の指示に従い、カラムを条件設定した。次い
で、緩衝液A(カラム容積の約2倍量、約2L) でカラムを
平衡化した。流出液のpHが8.0 となることを、平衡化終
了の目安とした。4)で得られた粗モノクローナル抗体水
溶液約1Lをカラムに負荷した。
【0050】その後、緩衝液A でカラムからの流出液の
pHが8.0 となるまでカラム内を洗浄した(カラム容積の
約3 倍量、約3L)。
【0051】洗浄後、緩衝液B で吸着物を溶出した。28
0nm における吸光度からモノクローナル抗体溶出の様子
をモニターした。約1Lの溶出廃液が流出後モノクローナ
ル抗体が溶出し、粗モノクローナル抗体水溶液約1Lが得
られた。得られた水溶液のpHを中性付近まで上昇させる
ため、直ちに緩衝液C で2Lまで希釈した。2L中に含まれ
るモノクローナル抗体は、HPLCにより4.31g と定量され
た。
【0052】6)限外濾過によるモノクロ−ナル抗体の濃
縮 本操作の目的は、5)の緩衝液交換操作におけるサンプル
負荷量を減少させ、精製に要する時間を短縮することに
ある。
【0053】限外濾過膜としては、分子量カットオフが
10,000である濾過膜(フジフィルター社、フィルトロン
ミニセットFS002K01)を用いた。循環ポンプにはペリス
タポンプ(Cole-Parmer 社、Masterflex PA25A)を使用
し、濾液抜取ポンプ使用せず濾液は自然流出とした。
【0054】製造業者の指示に従い、5)で得られた粗モ
ノクローナル抗体水溶液を濾過膜に循環させた。循環ポ
ンプの流速を調節して濾過膜入口の液圧力を1.0Kg/cm2
程度に保てば、発泡が問題とならず効率良く濾過でき
る。
【0055】目的とするモノクローナル抗体の分子量は
150,000 程度で限外濾過膜のカットオフ分子量は10,000
なので、低分子成分のみが濾過膜を通過しモノクローナ
ル抗体は濃縮される。5)で得られた2Lの濾液を約0.1Lま
で濃縮した後、洗浄液で限外濾過膜内に残留するモノク
ローナル抗体を洗い出して全量を0.5Lとした。
【0056】7)ゲル濾過担体による緩衝液交換 以下の試験のために標準的なゲル濾過担体(即ち、Seph
adexG-25のCoarseまたはMediumまたはFineまたはSuperf
ine、ファルマシア社製)を使用する。一般に広く使用
され実績のある標準的なゲル瀘過担体を使用すべきであ
る(例えば、SephadexG-25のCoarseまたはMediumまたは
FineまたはSuperfine 、シグマ社製)。
【0057】6)で得られた濃縮液には、0.05mol/L 程度
の酢酸、0.25mol/L 程度のNaCl、および0.25mol/L 程度
のTris緩衝液が含まれる。そのため、無機イオン濃度が
高く、そのままでは次工程の陰イオン交換クロマトグラ
フィーにおける不純物除去が不充分となる。本操作の目
的は、陰イオン交換クロマトグラフィー操作に支障が出
ないよう無機イオン濃度を低下させることにある。ゲル
濾過担体を用い緩衝液交換を行えば、無機イオン濃度の
低下とともに不純物の混入量も低下させることができ
る。 物質: カラム: ファルマシア・BPG 100/500 イオン交換体: ファルマシア SephadexG-25,Medium 2
L 緩衝液A: 0.17mol/L-酢酸緩衝液(pH5.0) 緩衝液B: 0.05mol/L-Tris(pH8.3) 流速: 60〜70mL/min 製造業者の指示に従い、カラムを条件設定した。カラム
内のイオン交換体は予め0.2N-NaOH で滅菌されているの
で、緩衝液A (カラム容積の約2 倍量、約4L)でカラム
を中和した。流出液のpHが5.0 となることを、中和終了
の目安とした。次いで、緩衝液B (カラム容積の約2 倍
量、約4L)でカラムを平衡化した。流出液のpHが8.3 と
なることを、平衡化終了の目安とした。6)で得られた粗
モノクローナル抗体濃縮液約0.5Lをカラムに負荷した。
【0058】次いで、緩衝液B でモノクローナル抗体を
流出させた。280nm における吸光度からモノクローナル
抗体流出の様子をモニターした。約1Lの廃液が流出後モ
ノクローナル抗体が流出し、粗モノクローナル抗体水溶
液約1Lが得られた。
【0059】8)陰イオン交換クロマトグラフィ−による
不純物の除去 7)で得られた粗モノクローナル抗体水溶液には、微量の
ProteinA、モノクローナル抗体-ProteinA 複合体、ハイ
ブリドーマ細胞由来のDNA 、およびパイロジェン(主に
リポポリサッカライド)が混入している。これらの混入
物は、陰イオン交換クロマトグラフィーで適当な条件を
設定することにより除去可能である。
【0060】V3β1F4 株によって生産されるモノクロー
ナル抗体の等電点はpH8.80〜9.05程度であるため、pH8.
80未満の水溶液では正に帯電している。よって、pH8.80
未満の緩衝液を使用したとき、陰イオン交換体には吸着
しない。
【0061】一方、ProteinAおよびモノクローナル抗体
-ProteinA 複合体の等電点は、等電点電気泳動によって
それぞれ4.85〜5.1 、7.1 〜8.2 であることがわかっ
た。したがって、pH8.3 以上の水溶液でProteinAおよび
モノクローナル抗体-ProteinA複合体は負に帯電してい
る。
【0062】また、DNA やパイロジェンは、水溶液中で
は負に帯電している。以上の事実から、pHを8.3 〜8.7
として陰イオン交換クロマトグラフィーを行えば、目的
のモノクローナル抗体のみカラムを素通りさせ不純物を
イオン交換体に吸着させることが可能である。 物質: カラム: ファルマシア・BPG 100/500 イオン交換体: ファルマシア DEAE-Sephacel 1L 緩衝液A: 0.17mol/L-酢酸緩衝液(pH5.0) 緩衝液B: 0.05mol/L-Tris(pH8.3) 緩衝液C: 0.17mol/L-酢酸緩衝液 0.50mol/L-NaCl 流速: 60mL/min 製造業者の指示に従い、カラムを条件設定した。カラム
内のイオン交換体は予め0.2N-NaOH で滅菌されているの
で、緩衝液A(カラム容積の約2 倍量, 約2L) でカラムを
中和した。流出液のpHが5.0 となることを、中和終了の
目安とした。次いで、緩衝液B (カラム容積の約2 倍
量、約2L)でカラムを平衡化した。流出液のpHが8.3 と
なることを、平衡化終了の目安とした。7)で得られた粗
モノクローナル抗体濃縮液約1Lをカラムに負荷した。
【0063】次いで、緩衝液B でモノクローナル抗体を
流出させた。280nm における吸光度からモノクローナル
抗体流出の様子をモニターした。約0.5Lの廃液が流出後
モノクローナル抗体が流出し、モノクローナル抗体水溶
液約1Lが得られた。イオン交換体に吸着した不純物脱着
のため、緩衝液C 約2Lでカラム内を洗浄した。1L中に含
まれるモノクローナル抗体は、HPLCにより4.31g と定量
された。
【0064】9)限外濾過によるモノクロ−ナル抗体の濃
縮 本操作の目的は、10) の緩衝液交換操作におけるサンプ
ル負荷量を減少させ、精製に要する時間を短縮すること
にある。限外濾過の装置および条件は、6)に準ずる。8)
で得られた約1Lの濾液を約0.1Lまで濃縮後、洗浄液で限
外濾過膜内に残留するモノクローナル抗体を洗い出して
全量を0.25L とした。
【0065】10) ゲル濾過担体による緩衝液交換 モノクローナル抗体を製剤化する場合、特に凍結乾燥製
剤とする場合には、生理食塩水溶液とすることが望まし
い。本操作の目的は、9)で得られたモノクローナル抗体
のTris緩衝液溶液を生理食塩水溶液とすることにある。
【0066】緩衝液交換の装置および条件は、7)に準ず
る。 物質: カラム: ファルマシア・BPG 100/500 イオン交換体: ファルマシア SephadexG-25,Medium 2
L 緩衝液A: 0.17mol/L-酢酸緩衝液(pH5.0) 生理食塩水: 扶桑薬品, 注射用( 日本薬局方) 流速: 60mL/min カラム内のイオン交換体は予め0.2N-NaOH で滅菌されて
いるので、緩衝液A (カラム容積の約2 倍量、約4L)で
カラムを中和した。流出液のpHが5.0 となることを、中
和終了の目安とした。次いで、生理食塩水(カラム容積
の約3 倍量、約6L)でカラムを平衡化した。平衡化後、
9)で得られた粗モノクローナル抗体濃縮液約0.25L をカ
ラムに負荷した。
【0067】生理食塩水でモノクローナル抗体を流出さ
せた。280nm における吸光度からモノクローナル抗体流
出の様子をモニターした。約1Lの廃液が流出後モノクロ
ーナル抗体が流出し、最終精製モノクローナル抗体水溶
液約1Lが得られた。
【0068】11) モノクローナル抗体の純度 10) で得られた精製モノクローナル抗体水溶液のDNA
混入量をラジオアイソートープ標識によるDNAプロー
ブ法(原理は幾つかの専門書に示されている。例えば
「プロのためのハイテク情報 バイオテクノロジーシリ
ーズ DNAプローブ 技術と応用」高橋豊三著 シー
エムシー 1988年2月5日発行 p5〜)で測定したとこ
ろ、ハイブリドーマβ1F4 株由来の混入DNAは抗体1m
g 当り0.025pg であった。医薬としてモノクローナル抗
体を用いる場合、この値は殆ど問題にならない低レベル
の混入量である。
【0069】また、5)の操作で混入するプロテインAを
ELISA法で測定したところ、抗体1mg 当り0.03ng未
満(検出限界以下)であった。これも、殆ど問題になら
ない低レベルの混入量である。
【0070】以上、本発明をモノクローナル抗体を代表
例として説明したが、本発明はモノクローナル抗体に限
定されず種々のタンパク質に利用することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に細胞や組織が含有されない細胞
    培養液あるいは組織抽出液などからなる目的タンパク質
    含有液を、下記工程(a),(b) 及び(c) をこの順序で含ん
    でなる精製工程に賦することを特徴とするタンパク質の
    精製法。 (a) 目的タンパク質の等電点より低いpHに調節した緩衝
    液で平衡化した陽イオン交換カラムに該目的タンパク質
    含有液を供給して、液中の目的タンパク質をカラムに吸
    着させ、次いで非吸着物を洗浄除去後、陽イオン濃度0.
    05〜0.5mol/Lの緩衝液を用いて前記カラムに吸着された
    目的タンパク質を溶出せしめる工程: (b) アフィニティークロマトグラフィーカラムに前工程
    で得られた目的タンパク質溶出液を供給し、該溶出液中
    の目的タンパク質をカラムに吸着させ、次いで非吸着物
    を洗浄除去後、pHが7以下で陽イオン濃度が少なくとも
    0.2mol/Lの無機塩類水溶液を用いカラムに吸着した目的
    タンパク質を溶出せしめる工程: (c) 目的タンパク質の等電点より低いpHに調節した緩衝
    液で平衡化した陰イオン交換カラムに前工程で得られた
    目的タンパク質溶出液を供給し、該溶出液中の目的タン
    パク質を素通り画分として回収する工程:
  2. 【請求項2】 工程(a) に供給される目的タンパク質含
    有液が、細胞培養液あるいは組織抽出液を清澄濾過膜で
    濾過後、限外濾過処理により濃縮したものである請求項
    1記載のタンパク質の精製法。
  3. 【請求項3】 工程(c) に供給されるタンパク質溶出液
    が、工程(b) から得られたタンパク質溶出液をpH7 以上
    の緩衝液で希釈してpHを上昇せしめた後、ゲル濾過処理
    により無機イオン濃度を減少せしめたものである、請求
    項1または2記載のタンパク質の精製法。
  4. 【請求項4】 工程(c) で得られたタンパク質含有液
    を、生理食塩水で平衡化したゲル濾過カラムに供給し、
    次いで生理食塩水で流出させることを特徴とする請求項
    1〜3記載のいずれかのタンパク質の精製法。
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