JPH07145246A - 紫外線吸収剤含有樹脂成形品及びその製造方法 - Google Patents

紫外線吸収剤含有樹脂成形品及びその製造方法

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JPH07145246A
JPH07145246A JP32099393A JP32099393A JPH07145246A JP H07145246 A JPH07145246 A JP H07145246A JP 32099393 A JP32099393 A JP 32099393A JP 32099393 A JP32099393 A JP 32099393A JP H07145246 A JPH07145246 A JP H07145246A
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absorber
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 紫外線吸収剤の揮散、消失が少なく、長期間
にわたって紫外線吸収能を維持できる耐候性の極めて良
好な紫外線吸収剤含有樹脂成形品と、その製造方法を提
供する。 【構成】 ポリエステル系樹脂を加熱溶融して所定の形
状に成形する前に、ベンゾトリアゾール系又はベンゾフ
ェノン系の紫外線吸収剤と、エステル交換用触媒として
アミン系化合物又は遷移金属のハロゲン化物を加え、紫
外線吸収剤を加熱溶融状態のポリエステル系樹脂のポリ
マー分子とエステル交換反応させることによって、紫外
線吸収剤がポリマー分子にエステル結合している紫外線
吸収剤含有樹脂成形品を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ベンゾトリアゾール系
又はベンゾフェノン系の紫外線吸収剤を揮散、消失しな
いように含有せしめて耐候性を大幅に向上させたポリエ
ステル系樹脂よりなる成形品と、その製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル系樹脂は強度等に優れる反
面、耐候性に劣るという欠点がある。そのため、ポリカ
ーボネート等のポリエステル系樹脂を溶融、成形して屋
根材その他の外装用建材等を製造するときには、樹脂中
に紫外線吸収剤を混入し、紫外線による樹脂の劣化を抑
制して耐候性の向上を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来か
ら使用されている紫外線吸収剤をポリエステル系樹脂に
物理的に混入しても、紫外線吸収剤が該樹脂のポリマー
分子と化学的に結合しないため、該樹脂の溶融、成形時
に紫外線吸収剤が揮散、消失しやすく、成形後も徐々に
揮散、消失するという問題があった。このため、従来の
紫外線吸収剤を含んだポリエステル系樹脂成形品は、耐
候性を長期間持続させる点でまだ不満足なものであっ
た。
【0004】かかる事情から、最近では、揮散しにくい
高分子量の紫外線吸収剤の研究が行われ、例えばベンゾ
フェノン系化合物とアクリルモノマーとの共重合体より
なる紫外線吸収剤などが開発されている。けれども、こ
のように高分子量化した紫外線吸収剤はポリエステル系
樹脂との相溶性に劣る場合があり、また、透明性の良好
なポリカーボネート樹脂等に添加すると、透明性の低下
や着色の問題を生じる場合があった。
【0005】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とするところは、紫外線吸収剤の揮散、消
失が少なく、長期間にわたって紫外線吸収能を維持でき
る耐候性の極めて良好な紫外線吸収剤含有ポリエステル
系樹脂成形品と、その製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の紫外線吸収剤含有樹脂成形品は、ベンゾト
リアゾール系又はベンゾフェノン系の紫外線吸収剤と、
エステル交換用触媒としてアミン系化合物又は遷移金属
のハロゲン化物がポリエステル系樹脂よりなる成形品に
含有され、上記の紫外線吸収剤がポリエステル系樹脂の
ポリマー分子とエステル交換反応してエステル結合して
いることを特徴とするものであり、また、本発明の製造
方法は、ポリエステル系樹脂を加熱溶融して所定の形状
に成形する前に上記の紫外線吸収剤とエステル交換用触
媒を加え、上記の紫外線吸収剤を加熱溶融状態のポリエ
ステル系樹脂のポリマー分子とエステル交換反応させる
ことを特徴とするものである。
【0007】そして、望ましくは紫外線吸収剤として、
2−(2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール
誘導体のうち、ヒドロキシフェニル基の3′、4′、
5′、6′の水素もしくはベンゾトリアゾール基のベン
ゼン環の3、4、5、6の水素のいずれかを水酸基を有
する官能基で置換した誘導体を使用するか、又は、2−
ヒドロキシベンゾフェノン誘導体のうち、ベンゼン環の
3、4、5、6の水素もしくは2′、3′、4′、
5′、6′の水素のいずれかを水酸基を有する官能基で
置換した誘導体を使用するものである。
【0008】
【作用】ベンゾトリアゾール系又はベンゾフェノン系の
紫外線吸収剤は、それ単独で成形前の加熱溶融状態のポ
リエステル系樹脂に混合してもエステル交換反応を実質
的に起こさないが、エステル交換用触媒を加えると、ベ
ンゾトリアゾール系紫外線吸収剤がポリエステル系樹脂
のポリマー分子のエステル結合部分でエステル交換反応
を起こし、エステル結合して固定化される。このエステ
ル交換反応は、特に紫外線吸収剤として、2−(2′−
ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導体のう
ち、ヒドロキシフェニル基の3′、4′、5′、6′の
水素もしくはベンゾトリアゾール基のベンゼン環の3、
4、5、6の水素のいずれかを水酸基を有する官能基で
置換した誘導体を使用した場合、又は、2−ヒドロキシ
ベンゾフェノン誘導体のうち、ベンゼン環の3、4、
5、6の水素もしくは2′、3′、4′、5′、6′の
水素のいずれかを水酸基を有する官能基で置換した誘導
体を使用した場合に、反応率が高くなる。そして、未反
応の紫外線吸収剤は、ポリマー分子間に分散状態で混在
することになる。
【0009】上記のようにベンゾトリアゾール系又はベ
ンゾフェノン系の紫外線吸収剤がポリエステル系樹脂の
ポリマー分子にエステル結合した状態で樹脂成形品中に
含有されると、紫外線吸収剤が樹脂成形品から揮散、消
失することはなくなるが、エステル交換用触媒がアミン
系化合物又は遷移金属ハロゲン化物以外のものである
と、反応が著しく低下するか、或は、反応しても黄変す
ることがある。例えばエステル交換用触媒としてナトリ
ウムメトキシドのようなアルカリ金属塩を用いると、反
応率は高いものの、紫外線吸収剤がアルカリ金属の影響
を受けるため、紫外線吸収剤の含有量が多くても紫外線
照射によってポリエステル系樹脂成形品が黄変する。し
かし、本発明のようにエステル交換用触媒としてアミン
系化合物又は遷移金属のハロゲン化物を使用すると、上
記のような不都合を全く生じることなく、長期間にわた
って優れた紫外線吸収能を発揮し、黄変を抑制して耐候
性を大幅に向上させることが可能となる。
【0010】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。
【0011】図1は本発明の製造方法の一実施例を示す
概略説明図であって、ポリエステル系樹脂を溶融押出成
形して板状成形品(樹脂板)を製造する場合を例示した
ものである。
【0012】図1において、1は溶融押出成形機、1a
は成形機の後部に設けた樹脂投入用ホッパー、1bは成
形機の途中に設けたホッパー、1cは成形機に内蔵した
スクリュー、1dは成形機の先端に設けた成形用の金
型、2は上下一対の冷却ロール、3は搬送用ベルト、4
は切断機である。
【0013】この実施例によれば、予備加熱で乾燥させ
た原料のポリエステル系樹脂5を成形機後部のホッパー
1aから成形機1内へ投入し、ポリエステル系樹脂5を
溶融温度以上(但し分解温度以下)に加熱して溶融させ
ながらスクリュー1cで混練する。そして、ベンゾトリ
アゾール系又はベンゾフェノン系の紫外線吸収剤とエス
テル交換用触媒との混合物6を成形機途中のホッパー1
bから投入し、スクリュー1cで加熱溶融状態のポリエ
ステル系樹脂5と均一に混練して金型1dから板状に押
出成形する。
【0014】このようにベンゾトリアゾール系又はベン
ゾフェノン系の紫外線吸収剤とエステル交換用触媒を混
練すると、紫外線吸収剤がポリエステル系樹脂5のポリ
マー分子中のエステル結合部分でエステル交換反応を起
こし、分子末端に紫外線吸収剤がエステル結合したポリ
マー分子を生じる。このエステル交換反応は、ポリエス
テル系樹脂5が溶融した状態で行われる。
【0015】そして、金型1dから板状に押出成形され
たポリエステル系樹脂の成形品50は、上下一対の冷却
ロール2,2で冷却されながら引き取られ、搬送用ベル
ト3で切断機4へ搬送されて所定の長さに切断される。
【0016】上記の方法で製造された紫外線吸収剤含有
ポリエステル系樹脂板(成形品)は、ベンゾトリアゾー
ル系又はベンゾフェノン系の紫外線吸収剤がポリエステ
ル系樹脂のポリマー分子の末端にエステル結合して固定
化されているため、経時的に樹脂板から揮散、消失する
ことはない。
【0017】原料のポリエステル系樹脂5は、溶融温度
が比較的高くエステル交換反応を起こしやすいものが適
しており、例えばポリカーボネート、ポリエチレンテレ
フタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレ
ート、ポリカプロラクトン等の熱可塑性のポリエステル
系樹脂が使用される。
【0018】また、紫外線吸収剤としては、分子末端に
カルボキシル基、水酸基、アミノ基のいずれかを有する
ものが使用されるが、特に、下記の[化1]に示すよう
な分子構造のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、又
は、下記[化2]に示すように分子構造のベンゾフェノ
ン系紫外線吸収剤が好適に使用される。
【化1】
【化2】
【0019】即ち、[化1]の紫外線吸収剤は、2−
(2′−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール誘導
体のうち、ヒドロキシフェニル基の3′、4′、5′、
6′の水素もしくはベンゾトリアゾール基のベンゼン環
の3、4、5、6の水素のいずれかを、水酸基を有する
官能基−ROHで置換したものであり、[化2]の紫外
線吸収剤は、2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体のう
ち、ベンゼン環の3、4、5、6の水素もしくは2′、
3′、4′、5′、6′の水素のいずれかを、水酸基を
有する官能基−ROHで置換したものである。このよう
な分子構造のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤やベン
ゾフェノン系紫外線吸収剤は、他の分子構造の紫外線吸
収剤に比べると、高い反応率でポリエステル系樹脂のポ
リマーとエステル交換反応を生じる。
【0020】特に、官能基のRが[化1][化2]に例
示したようなアルキレン鎖、アルキレンオキシド鎖、ポ
リアルキレンオキシド鎖であって、且つ、官能基−RO
Hがヒドロキシフェニル基の4位の炭素についたベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤や、官能基−ROHがベン
ゼン環の4位の炭素についたベンゾフェノン系紫外線吸
収剤は、極めて好適に使用される。そのようなベンゾト
リアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、2−
(2′−ヒドロキシ−4′−ヒドロキシエトキシフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−
4′−ヒドロキシメトキシフェニル)ベンゾトリアゾー
ル等が、また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例
としては、2−ヒドロキシ−4−ヒドロキシエトキシベ
ンゾフェノン等が挙げられる。
【0021】尚、本発明においては、上記以外に、官能
基が単に水酸基であるベンゾトリアゾール系又はベンゾ
フェノン系の紫外線吸収剤を使用することもできる。
【0022】以上のようなベンゾトリアゾール系又はベ
ンゾフェノン系の紫外線吸収剤は、単独で又は適宜混合
してポリエステル系樹脂に加えられるが、その添加量は
ポリエステル系樹脂100重量部に対して0.01〜1
0.0重量部の割合とすることが望ましい。紫外線吸収
剤の添加量が0.01重量部未満の場合は、得られる樹
脂成形品中に含有保持される紫外線吸収剤が僅かである
ため、優れた紫外線吸収能を付与することが困難とな
り、逆に10.0重量部より多い場合は、ポリマーの分
子量低下が著しくなるため商品価値が低下する。
【0023】一方、エステル交換用触媒としては、アミ
ン系化合物又は遷移金属のハロゲン化物を使用する必要
があり、これ以外の触媒は本発明には不適当である。本
発明のようにアミン系化合物や遷移金属のハロゲン化物
を使用すると、後述の実験データに示すようにエステル
交換反応率が80%以上と高くなるため、エステル結合
するベンゾトリアゾール系又はベンゾフェノン系の紫外
線吸収剤が多くなり、しかも、これらの触媒は紫外線吸
収剤に悪影響を及ぼさないので、長期間にわたって優れ
た紫外線吸収能を維持し、黄変を抑制して耐候性を大幅
に向上させることが可能となる。これに対し、他の触
媒、例えばナトリウムメトキシド等のアルカリ金属塩を
使用すれば、エステル交換反応率は高いけれども、紫外
線吸収剤がアルカリ金属の影響を受けて十分な紫外線吸
収能を発揮し難くなるため、ポリエステル系樹脂成形品
が黄変するといった不都合を生じ、あまり好ましくな
い。
【0024】遷移金属のハロゲン化物としては、例えば
塩化錫、塩化亜鉛、塩化第二鉄、塩化鉛等が使用され、
その中でもエステル交換反応率の最も高い塩化第二鉄が
特に好適に使用される。また、アミン系化合物として
は、例えばトリエチルアミン、トリメチルアミン等の3
級アミンや、ジメチルアミン等の2級アミンなどが好適
に使用される。これらのエステル交換用触媒は、ポリエ
ステル系樹脂100重量部に対して0.0005〜0.
5重量部の割合で添加するのが適当である。
【0025】ポリエステル系樹脂とベンゾトリアゾール
系又はベンゾフェノン系の紫外線吸収剤とのエステル交
換反応は、前記のようにポリエステル系樹脂を溶融温度
以上、分解温度以下の温度に加熱して溶融状態にすると
起こる。従って、ポリエステル系樹脂として例えばポリ
カーボネート樹脂を使用する場合は、成形機1内で約2
30〜330℃の温度に加熱して溶融させればよい。エ
ステル交換反応に要する時間は、紫外線吸収剤の種類や
ポリエステル系樹脂の種類等によって多少異なるが、お
よそ1〜15分程度で反応がほぼ終了する。従って、前
記実施例のように樹脂板を押出成形する場合は、成形機
1内部の溶融ポリエステル系樹脂5に紫外線吸収剤とエ
ステル交換用触媒との混合物6を投入して1〜15分程
度混練してから該樹脂を先端の金型1dより押出すよう
に、中間のホッパー1bの位置やスクリュー設計及びそ
の他の押出条件を設定し、エステル交換反応を充分に行
わせることが必要である。その場合、二軸の押出機又は
混練機が好適に使用される。
【0026】前記実施例では、ホッパー1aからポリエ
ステル系樹脂5を、ホッパー1bから紫外線吸収剤とエ
ステル交換用触媒との混合物6を成形機1内に投入して
いるが、いずれか一方のホッパーからポリエステル系樹
脂5と混合物6を一緒に投入してもよく、また、紫外線
吸収剤と触媒を個別に投入してもよい。
【0027】更に、前記実施例では、紫外線吸収剤とエ
ステル交換反応させた溶融ポリエステル系樹脂を金型1
dから単層で押出成形して樹脂板を製造しているが、金
型1d等を変更してシート、フィルム、異形品等、種々
の形状の押出成形品を製造できることは勿論であり、ま
た、共押出成形機等を用いて、紫外線吸収剤をエステル
結合させた溶融ポリエステル系樹脂を上層とし、該上層
より紫外線吸収剤が少ないか又は全く含まない溶融ポリ
エステル系樹脂又は他の樹脂を上下二層もしくは三層に
共押出成形して、紫外線吸収剤を含むポリエステル系樹
脂層を表面に積層した二層ないし三層構造の樹脂板を製
造することも勿論可能である。
【0028】また、射出成形する場合でも、溶融ポリエ
ステル系樹脂を射出成形機の金型内部へ射出する前に、
ベンゾトリアゾール系又はベンゾフェノン系の紫外線吸
収剤とエステル交換用触媒を入れてエステル交換反応さ
せれば、同様に紫外線吸収剤の揮散が少ない樹脂成形品
を得ることができる。
【0029】次に、本発明の更に具体的な実施例を挙げ
る。
【0030】[実施例1]ポリエステル系樹脂としてポ
リカーボネート、紫外線吸収剤として2−(2′−ヒド
ロキシ−4′−ヒドロキシエトキシフェニル)ベンゾト
リアゾールをポリカーボネート100重量部に対して
1.0重量部、エステル交換用触媒としてトリエチルア
ミンを0.001重量部の配合比率で予めドライブレン
ドを行った。このブレンド物を押出成形機に投入し27
0℃で加熱して溶融混練を行い、約3分間のエステル交
換反応をさせて成形機の金型から押出成形することによ
り、厚さ0.1mmのフィルムを得た。そして、このフ
ィルムで試験片(1)を作成した。
【0031】この試験片(1)について、エステル結合
している紫外線吸収剤と未反応のまま混在している紫外
線吸収剤との量的割合(反応率)を以下に述べる試験方
法で調べたところ、約80%の反応率で紫外線吸収剤が
エステル交換反応していることが判明した。
【0032】更に、この試験片(1)について促進耐候
性試験を行い、照射時間と紫外線吸収剤の残存率及び黄
変度(ΔYI)との関係を調べた。その結果を後記の表
1に示す。なお、促進耐候性試験は、キセノンウェザオ
メーター(アトラス社製)を用いて100hr,500
hr,1000hr照射による促進試験を行い、ΔYI
はΣ90カラーメジャーリングシステム(日本電色株式
会社製)で測定して求めたものである。また、紫外線吸
収剤の残存率は、可視紫外分光光度計UV−3100
(株式会社島津製作所製)を用いて、それぞれの照射時
間における試験片の紫外線吸光度を測定し、紫外線吸収
剤の最大吸収波長の吸光度変化を照射時間0hrの時の
残存率を100として計算した値である。
【0033】(反応率の試験方法)反応率の確認はGP
C(ゲルパーミネーションクロマトグラフィー)装置を
用いて行う。実施例1で用いた紫外線吸収剤2−(2′
−ヒドロキシ−4′−ヒドロキシエトキシフェニル)ベ
ンゾトリアゾールの最大紫外線吸収波長(λmax )は、
325nmである。そこで紫外線吸収剤と共にブレンド
を行ったポリカーボネート及び触媒は測定サンプル濃度
では検出されない325nmにGPCの紫外線検出器の
検出波長を合わせる。実施例1と比較するために、後述
の比較例1に示すように触媒を入れないで実施例1の紫
外線吸収剤を同じ配合比でポリカーボネートと溶融混練
して押出成形したエステル交換反応していないフィルム
を比較用の試験片(1′)とする。この試験片(1′)
のGPCの分子量分布曲線は図2に示す通りであり、低
分子側(横軸右側)に紫外線吸収剤のピーク(a)が現
れる。これに対し、実施例1で作成した試験片(1)の
GPCの分子量分布曲線は図3に示す通りであって、ピ
ーク(b)はエステル交換反応していないときに見られ
る紫外線吸収剤のピーク(a)と同じ溶出時間に現れる
が、検出強度が低くなり、その減衰したピーク(b)が
高分子側(横軸左側)のピーク(c)にシフトして現れ
る。即ち、紫外線吸収剤とポリカーボネートの末端が反
応することにより紫外線吸収剤が高分子量化してピーク
がシフトする。(c)は反応部分、(b)は未反応部分
のピークを示す。反応率は分子量分布曲線のピーク
(c)の面積に対するピーク(b)とピーク(c)の面
積の和の比より求める。次いで、未反応の紫外線吸収剤
を除去するために実施例1で作成した試験片(1)を精
製し、FT−IR、 1H−NMR、13C−NMRにより
末端に紫外線吸収剤がエステル結合していることを確認
する。これよりピーク(c)が紫外線吸収剤のみの単独
重合でないことを確認できる。
【0034】[実施例2]ポリエステル系樹脂としてポ
リカーボネート、紫外線吸収剤として2−(2′−ヒド
ロキシ−4′−ヒドロキシエトキシフェニル)ベンゾト
リアゾールをポリカーボネート100重量部に対して
1.0重量部、触媒として塩化第二鉄を0.001重量
部の配合比率で予めドライブレンドを行った以外は、実
施例1と同様にして試験片(2)を作成した。
【0035】この試験片(2)について、紫外線吸収剤
の反応率を前記の試験方法で求めたところ、約90%の
反応率で紫外線吸収剤がエステル交換反応していること
が判明した。更に、この試験片(2)について実施例1
と同様に促進耐候性試験を行い、照射時間と紫外線吸収
剤の残存率及び黄変度(ΔYI)との関係を調べた。そ
の結果を後記の表1に示す。
【0036】[実施例3]ポリエステル系樹脂としてポ
リカーボネート、紫外線吸収剤として2−ヒドロキシ−
4−ヒドロキシエトキシベンゾフェノンをポリカーボネ
ート100重量部に対して1.0重量部、触媒として塩
化第二鉄を0.001重量部の配合比率で予めドライブ
レンドを行った以外は、実施例1と同様にして試験片
(3)を作成した。
【0037】この試験片(3)について、紫外線吸収剤
の反応率を前記の試験方法で求めたところ、約90%の
反応率で紫外線吸収剤がエステル交換反応していること
が判明した。更に、この試験片(3)について実施例1
と同様に促進耐候性試験を行い、照射時間と紫外線吸収
剤の残存率及び黄変度(ΔYI)との関係を調べた。そ
の結果を後記の表1に示す。
【0038】[比較例1]紫外線吸収剤2−(2′−ヒ
ドロキシ−4′−ヒドロキシエトキシフェニル)ベンゾ
トリアゾールをポリカーボネート100重量部に対し
1.0重量部混入し、エステル交換用触媒を混入しない
で押出成形した厚さ0.1mmのフィルムで比較用の試
験片(1′)を作成した。そして、この試験片(1′)
について、実施例1と同様に促進耐候性試験を行い、照
射時間と紫外線吸収剤の残存率及び黄変度(ΔYI)と
の関係を調べた。その結果を後記の表1に示す。
【0039】[比較例2]ポリカーボネート100重量
部に対し紫外線吸収剤2−ヒドロキシ−4ヒドロキシエ
トキシベンゾフェノンを1.0重量部混入して押出成形
した厚さ0.1mmのフィルムで比較用の試験片
(2′)を作成した。
【0040】そして、この試験片(2′)について実施
例1と同様に促進耐候性試験を行い、照射時間と紫外線
吸収剤の残存率及び黄変度(ΔYI)との関係を調べ
た。その結果を後記の表1に示す。
【0041】[比較例3]ポリカーボネート100重量
部に対し紫外線吸収剤2−ヒドロキシ−4ヒドロキシエ
トキシベンゾフェノンを1.0重量部、紫外線吸収剤と
してナトリウムメトキシドを0.001重量部混入して
押出成形した厚さ0.1mmのフィルムで比較用の試験
片(3′)を作成した。
【0042】この試験片(3′)について、紫外線吸収
剤の反応率を前記の試験方法で求めたところ、約80%
の反応率で紫外線吸収剤がエステル交換反応しているこ
とが判明した。更に、この試験片(3′)について実施
例1と同様に促進耐候性試験を行い、照射時間と紫外線
吸収剤の残存率及び黄変度(ΔYI)との関係を調べ
た。その結果を後記の表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】この表1を見ると、エステル交換用触媒を
使用しないでベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤のみを
混入した比較用の試験片(1′)や、ベンゾフェノン系
紫外線吸収剤のみを混入した比較用の試験片(2′)
は、紫外線吸収剤がポリカーボネートのポリマー分子と
殆どエステル結合しないため経時的に揮散しやすく、1
000時間照射後の紫外線吸収剤の残存率が69%以下
に低下し、試験片の劣化が進行して黄変度が3.9以上
に増大することが判る。これに対し、ベンゾトリアゾー
ル系紫外線吸収剤とエステル交換用触媒(トリエチルア
ミン、塩化第二鉄)を混入した本発明の試験片(1)及
び(2)や、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤とエステル
交換用触媒(塩化第二鉄)を混入した本発明の試験片
(3)は、紫外線吸収剤の大部分がポリカーボネートの
ポリマー分子とエステル結合して固定され、未反応の紫
外線吸収剤が経時的に揮散するだけであるから、100
0時間照射後の紫外線吸収剤の残存率が93%以上と高
く、黄変度も2.1以下と低い値であり、優れた耐候性
を維持することが判る。
【0045】また、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤と、
エステル交換用触媒としてあまり好ましくないナトリウ
ムメトキシドを混入して、紫外線吸収剤をエステル結合
させた比較用の試験片(3′)は、反応率が80%と高
く、1000時間照射後の紫外線吸収剤の残存率も92
%と高いが、紫外線吸収剤がナトリウムメトキシドの影
響を受けて十分な紫外線吸収能を発揮し難くなるため、
1000時間照射後の黄変度が2.9と比較的高くな
り、試験片(3′)の劣化がある程度進行することが判
る。
【0046】
【発明の効果】以上の説明及び試験結果から明らかなよ
うに、本発明の紫外線吸収剤含有樹脂成形品は、エステ
ル交換用触媒として加えるアミン系化合物又は遷移金属
のハロゲン化物の触媒作用により、ベンゾトリアゾール
系又はベンゾフェノン系の紫外線吸収剤が高い反応率で
ポリエステル系樹脂のポリマー分子とエステル結合して
固定化されるため、紫外線吸収剤の経時的な揮散が少な
くなり、しかも上記の触媒は紫外線吸収剤に悪影響を与
えて紫外線吸収能を低下させることがないので、長期間
に亘って優れた紫外線吸収能を維持し、耐候性が大幅に
向上するといった顕著な効果を奏する。
【0047】また、本発明の製造方法は従来汎用の各種
成形機を使用し、成形前にベンゾトリアゾール系又はベ
ンゾフェノン系の紫外線吸収剤と特定のエステル交換用
触媒を加えて加熱溶融状態のポリエステル系樹脂のポリ
マー分子とエステル交換反応させる工程を付加するだけ
で実施できるから、特別な成形機や装置等を新たに設置
する必要がなく経済的であり、耐候性に優れた成形品を
効率よく量産できるといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法の一実施例を示す概略説明図
である。
【図2】GPCによる比較用の試験片(1′)の分子量
分布曲線である。
【図3】GPCによる試験片(1)の分子量分布曲線で
ある。
【符号の説明】
1 押出成形機 5 ポリエステル系樹脂 6 ベンゾトリアゾール系又はベンゾフェノン系の紫外
線吸収剤とエステル交換用触媒の混合物 50 樹脂成形品
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 67/02 KJT // C08L 67:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ベンゾトリアゾール系又はベンゾフェノン
    系の紫外線吸収剤と、エステル交換用触媒としてアミン
    系化合物又は遷移金属のハロゲン化物がポリエステル系
    樹脂よりなる成形品に含有され、上記の紫外線吸収剤が
    ポリエステル系樹脂のポリマー分子とエステル交換反応
    してエステル結合していることを特徴とする紫外線吸収
    剤含有樹脂成形品。
  2. 【請求項2】紫外線吸収剤が、2−(2′−ヒドロキシ
    フェニル)ベンゾトリアゾール誘導体のうちヒドロキシ
    フェニル基の3′、4′、5′、6′の水素もしくはベ
    ンゾトリアゾール基のベンゼン環の3、4、5、6の水
    素のいずれかを水酸基を有する官能基で置換した誘導体
    であるか、又は、2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体
    のうち、ベンゼン環の3、4、5、6の水素もしくは
    2′、3′、4′、5′、6′の水素のいずれかを水酸
    基を有する官能基で置換した誘導体である、請求項1に
    記載の紫外線吸収剤含有樹脂成形品。
  3. 【請求項3】ポリエステル系樹脂を加熱溶融して所定の
    形状に成形する前に、ベンゾトリアゾール系又はベンゾ
    フェノン系の紫外線吸収剤と、エステル交換用触媒とし
    てアミン系化合物又は遷移金属のハロゲン化物を加え、
    上記の紫外線吸収剤を加熱溶融状態のポリエステル系樹
    脂のポリマー分子とエステル交換反応させることを特徴
    とする紫外線吸収剤含有樹脂成形品の製造方法。
  4. 【請求項4】紫外線吸収剤が、2−(2′−ヒドロキシ
    フェニル)ベンゾトリアゾール誘導体のうちヒドロキシ
    フェニル基の3′、4′、5′、6′の水素もしくはベ
    ンゾトリアゾール基のベンゼン環の3、4、5、6の水
    素のいずれかを水酸基を有する官能基で置換した誘導体
    であるか、又は、2−ヒドロキシベンゾフェノン誘導体
    のうち、ベンゼン環の3、4、5、6の水素もしくは
    2′、3′、4′、5′、6′の水素のいずれかを水酸
    基を有する官能基で置換した誘導体である、請求項3に
    記載の紫外線吸収剤含有樹脂成形品の製造方法。
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EP0703263A1 (de) * 1994-08-22 1996-03-27 Bayer Ag Verfahren zur Herstellung von UV-stabilen Polycarbonaten
JPH10265556A (ja) * 1997-03-26 1998-10-06 Daicel Chem Ind Ltd 紫外線吸収剤とその製造方法および合成樹脂組成物

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US5712362A (en) * 1994-08-22 1998-01-27 Bayer Ag Process for the production of UV-stable polycarbonates
JPH10265556A (ja) * 1997-03-26 1998-10-06 Daicel Chem Ind Ltd 紫外線吸収剤とその製造方法および合成樹脂組成物

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