JPH07143697A

JPH07143697A - 三相電機子巻線

Info

Publication number: JPH07143697A
Application number: JP28714393A
Authority: JP
Inventors: Takashi Hanai; 隆花井
Original assignee: Toshiba Corp
Current assignee: Toshiba Corp
Priority date: 1993-11-17
Filing date: 1993-11-17
Publication date: 1995-06-02

Abstract

(57)【要約】【構成】単層同心巻と同等のコイル挿入性で生産性
に優れ、しかも重ね巻と同等の優れた電気的諸特性をも
つ三相電機子巻線を提供する。【効果】各極各相の巻線はスロット内のコイル配置
が８０％前後の重ね巻と同じになり、漏れリアクタンス
が低下する。また、８０％前後の％ピッチでは空隙磁束
の高調波成分が最も小さくなり、高調波磁束によるトル
ク特性の悪化がなく、電気的諸特性が大幅に改善され
る。同心巻であるからコイルの挿入作業も簡単に自動化
でき、一部が二層同心巻化されているため、コイルが集
中しておらずコイル周長が短くなるとともにコイルエン
ド成形も容易となる。また、挿入回数が相数の３回で済
み製作に要する時間も短くなる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、整数スロット巻の三相
電機子巻線に関する。

【０００２】

【従来の技術】三相電機子巻線の巻装方式の一つに同心
巻がある。この方式は、各相各極の巻線が互いにコイル
ピッチが相違する複数個の同心巻コイルから構成され、
これらが極中心に対し同心状に配置される。この方式は
自動挿入機を使用したコイル挿入が容易で生産性に優れ
るため広く利用されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、次のよ
うな問題がある。（１）コイルピッチが大きいため、短節巻の重ね巻と比
べ漏れリアクタンスが大きくなる。また、コイルエンド
長さが重ね巻に比べ長くなるため巻線抵抗やコイルエン
ド漏れリアクタンスが大きくなり、重ね巻に比べトルク
特性が低下し、損失も増加する。（２）１スロットに１個のコイルが収納される単層巻で
あるため、コイル体積の大きな機種ではコイル挿入性が
悪くなり、また、コイルエンドの成形が困難になり軸方
向寸法が長くなったりコイル表面を損傷する要因にな
る。従って、コイルエンドの成形工程に十分耐えること
ができるように絶縁物を十分に厚くする必要がある。本
発明の目的は単層同心巻と同等のコイル挿入性で生産性
に優れ、しかも重ね巻と同等の優れた電気的諸特性をも
つ三相電機子巻線を提供することである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明の電機子巻線は、
各極各相の巻線が単層コイルと二層コイルの組合わせか
らなる最大のコイルピッチが１００％以下の同心巻コイ
ルで、単層コイルはピッチが大きい方に配置され、二層
コイルがコイルピッチの小さい方に配置される構成とす
る。又は、コイルピッチが最大のコイルを二層のコイル
とし、その内側に単層コイル，二層コイルの順で配置さ
れる構成として、相毎に３回に分けてスロットに挿入す
ることを特徴とする。

【０００５】

【作用】上記構成とすることにより、各極各相の巻線は
スロット内のコイル配置が８０％前後の重ね巻と同じに
なり、漏れリアクタンスが低下する。また、８０％前後
の％ピッチでは空隙磁束の高調波成分が最も小さくな
り、高調波磁束によるトルク特性の悪化がなく、電気的
諸特性が大幅に改善される。

【０００６】同心巻であるからコイルの挿入作業も簡単
に自動化でき、一部が二層同心巻化されているため、コ
イルが集中しておらずコイル周長が短くなるとともにコ
イルエンド成形も容易となる。また、挿入回数が相数の
３回で済み製作に要する時間も短くなる。

【０００７】

【実施例】４極４８スロットの場合を例に図１〜図２を
使用して説明する。図１はコイル展開図、図２はスロッ
ト内のコイル配置を示す。図の番号１〜４８はスロット
番号、Ｕ１〜Ｕ４はＵ相の第１〜第４の各極巻線、Ｖ１
〜Ｖ４はＶ相の第１〜第４の各極巻線、Ｗ１〜Ｗ４はＷ
相の第１〜第４の各極巻線を示す。

【０００８】各極各相の巻線は各々３個のコイル（Ｕ１
の場合はＵ１１〜Ｕ１３）から構成されている。このＵ
１１はスロット１からスロット１２にわたるコイルピッ
チ１１のコイルで、スロット内に単相で納められる。Ｕ
１２はスロット２からスロット１０にわたるコイルピッ
チ９のコイル、Ｕ１３はスロット３からスロット９にわ
たるコイルピッチ７のコイルであり、スロットには異相
のコイルと二層に納められる。他の極、他の相について
も同様であり、説明は省略する。

【０００９】これらのコイルはＵ相の４コイル（Ｕ１〜
Ｕ４）が電機子鉄心の最外周に位置するように配置さ
れ、次にＶ１〜Ｖ４、最後にＷ１〜Ｗ４が納められる。
この結果、スロット内のコイル配置は図２に示すよう
に、同心巻の巻線ピッチが最も大きいコイルがスロット
に単層で納められ（Ｕ相で示せばＵ１１コイル）、他の
コイル（Ｕ相で示せばＵ１２，Ｕ１３コイル）は異相の
コイルと二層で納められる。このコイルの配置はスロッ
ト内の上下の位置を除けば８３．３％ピッチの重ね巻と
同一となる。

【００１０】スロット内のコイル配置は８３．３％ピッ
チの重ね巻とスロット内のコイルの上下を除いて同じ配
置となり、漏れリアクタンスが低減しトルク特性のほか
効率や力率も大幅に改善されることになる。また５次や
７次の空隙磁束高調波起磁力成分が２〜３割低減され、
漂遊トルクや漂遊損が低下する。

【００１１】コイルの挿入性については、コイルピッチ
が最も大きいものでも１００％ピッチ以下であり、同相
のコイルを一度に全て挿入可能で、３回の挿入により全
コイルが納められる。また、従来の同心巻では一極分の
コイルが単層２コイルであった為、コイルエンド部で塊
りコイル周長を重ね巻より長くする必要があったが、本
方式では３コイルに分割されるため、単層同心巻に比べ
てコイルエンドの集中が少なく、コイル周長を短くでき
る。その結果、コイル抵抗，コイルエンド漏れリアクタ
ンスが低減でき、トルク特性，効率を改善できる。

【００１２】本実施例では、漏れリアクタンスや抵抗の
低下，空隙高調波磁束の低下により、効率，力率が改善
される。また、漂遊トルク低下や漏れリアクタンスの低
下により最大トルクやプルアップトルクが改善され、モ
ータの加速特性が向上する。さらに、空隙高調波磁束の
低下により回転子表面の漂遊損も低下する。

【００１３】コイル挿入の面から考えると、コイルエン
ドの銅量の低減によりコイルエンド成形が容易になる。（他の実施例）上記実施例は４極で説明したが、６極７
２スロットも全く同一である。

【００１４】また、４極６０スロット，６極９０スロッ
トは、１極対分を図３に示すように各極各相のコイルの
最外周のみ単層で納められるコイルとし、他の３個は二
層で納められる同心コイルとすることにより上記実施例
と同一の効果が得られる。

【００１５】更に、４極７２スロット，６極１０８スロ
ットの場合について、図４，図５にて説明する。図４は
１極分のコイル展開図、図５は１極分のスロット内のコ
イル配置図を示す。図４に示すように１極１相のコイル
はピッチの小さい３コイルは異相とともに二層で納めら
れるコイルであり、その外側に単層で納められるコイ
ル、更にその外側に同相のコイルと二層で納められるコ
イルが配置される。この場合、スロット内のコイル配置
は図５に示すように８３．３％ピッチの重ね巻と同じと
なり、特性が単層同心巻と比べ大幅に改善される。コイ
ル挿入も第一実施例と同じく、コイルエンド周長が短く
銅量が低減できることから成形なども容易になる。

【００１６】また、４極７２スロット，６極１０８スロ
ットの場合には、前実施例の最外周のコイルを同相のコ
イルが納まる二層同心巻とするのではなく、図７のスロ
ット番号１，７，１３，１９などのように単層のコイル
とし、図６に示すようにコイルを一極に集中することも
できる。即ち、２個の単層コイルの内側に３個の二層コ
イルが配置される極と、１個の単層コイルの内側に３個
の二層コイルが配置される極を交互に設けることによっ
ても、実現可能である。

【００１７】

【発明の効果】以上述べたように、本発明の電機子巻線
はスロット内のコイル配置が８０％程度の重ね巻と同じ
になるため、トルクや効率などの特性が単層同心巻に比
べて大幅に改善される。また、二層巻であることから、
１スロット当たりの１コイルの量が減少でき、コイル挿
入性が改善されコイル成形も容易になり、コイル表面の
絶縁不良も生じにくい。さらに、１相分のコイルを同時
挿入できるので挿入回数は３回のみで良いなど優れた効
果を持つものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の実施例の巻線展開図、

【図２】スロット内の巻線配置図、

【図３】本発明の他の実施例の巻線展開図、

【図４】本発明の他の実施例の巻線展開図、

【図５】図４のスロット内の巻線配置図、

【図６】本発明の他の実施例の巻線展開図、

【図７】図６のスロット内の巻線配置図。

【符号の説明】

１〜４８：スロット番号、Ｕ１〜Ｕ４：Ｕ相コイル、Ｖ１〜Ｖ４：Ｖ相コイル、Ｗ１〜Ｗ４：Ｗ相コイル、Ｕ１１〜Ｕ１３：Ｕ１を構成するコイル。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】整数スロット巻の三相電機子巻線におい
て、各極各相の巻線が単層コイルと二層コイルの組み合
わせからなる最大のコイルピッチが１００％以下の同心
巻コイルで、コイルピッチが大きい方に配置された単層
コイルと、コイルピッチの小さい方に配置された二層コ
イルとを備え、これらのコイルを相毎に３回に分けてス
ロットに挿入し、二層と単層を組合わせた同心巻コイル
とすることを特徴とする三相電機子巻線。
【請求項２】請求項１の三相電機子巻線で、隣合う極
のコイル数の差が１である三相電機子巻線。
【請求項３】整数スロット巻の三相電機子巻線におい
て、各極各相の巻線が単層コイルと二層コイルの組合わ
せからなる最大のコイルピッチが１００％以下の同心巻
コイルで、コイルピッチが最大のコイルを二層コイルと
し、その内側に単層コイル，二層コイルの順で配置され
る構成とし、これらのコイルを相毎に３回に分けてスロ
ットに挿入し、二層と単層を組合わせた同心巻コイルと
することを特徴とする三相電機子巻線。