JPH07128394A - 電気機器の絶縁劣化監視診断システム - Google Patents

電気機器の絶縁劣化監視診断システム

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JPH07128394A
JPH07128394A JP27373893A JP27373893A JPH07128394A JP H07128394 A JPH07128394 A JP H07128394A JP 27373893 A JP27373893 A JP 27373893A JP 27373893 A JP27373893 A JP 27373893A JP H07128394 A JPH07128394 A JP H07128394A
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temperature
insulating layer
conductor
electric device
difference
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JP27373893A
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English (en)
Inventor
Mitsuru Onoda
満 小野田
Takashi Haruta
孝 春田
Hiroyuki Kamiya
宏之 神谷
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Hitachi Ltd
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Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】運転中の電気機器のコイルの絶縁層の状態が常
時監視でき、絶縁劣化状態を容易に診断することができ
る電気機器の絶縁劣化監視診断システムを提供。 【構成】電機子コイル1の絶縁層3内でのボイドの発生
は、その劣化と相関があり、他方、ボイドの個数と大き
さが増加するに従って絶縁層3の熱伝達抵抗が増加す
る。そこで、電機子コイル1の導体2の内部に埋設した
感温素子12Aと、絶縁層3の内部に埋設した感温素子
12Bとを用い、絶縁層3の内部に発生するボイドによ
る絶縁層3の熱伝達抵抗の変化(増加)を、これら感温素
子12A、12Bによる検出温度の差により検出し、絶
縁劣化を判定するようにしたもの。 【効果】絶縁層3の熱伝達抵抗の測定は、電気機器が運
転中でも任意に、しかも容易に実行できるから、電気機
器運転中でのコイル絶縁層の劣化状態の監視が常時可能
になり、絶縁劣化の的確な診断による適切な時期での電
機子コイルの更新や補修が可能で、絶縁破壊を未然に防
止し得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気機器の巻線部分で
の絶縁劣化を監視し、診断するシステムに係り、特に、
高電圧の発電機など回転電機の電機子コイルの絶縁劣化
診断に好適な電気機器の絶縁劣化監視診断システムに関
する。
【0002】
【従来の技術】高電圧で使用される電気機器では、ひと
たび絶縁破壊が発生すると、重大な結果をもたらす。そ
こで、この絶縁破壊を未然に防止するには、絶縁診断に
より絶縁層の劣化状態を把握して寿命期を推定し、適切
な時期にコイルの更新や補修を行う必要がある。
【0003】ところで、現在、高電圧の電気機器、例え
ば定格電圧3kV以上の交流発電機の電機子コイルでの
絶縁構造は、例えば図10のようになっている。
【0004】この図10の例において、電機子コイル1
は、絶縁層3を施された上で電機子鉄心のスロット5内
に、層間詰物4を介在させて挿入巻装されるようになっ
ているが、このとき、絶縁層3としては、マイカ等の基
材にエポキシ樹脂等の樹脂を含浸させて半硬化状に硬化
したマイカテープが用いられており、これをコイル形状
に形成した導体2に巻回し、加熱加圧成型することによ
り、図9(a)に示すように、絶縁層3のマイカ9が含浸
レジン8により均一化された状態で、導体2と一体化さ
れて作られている。
【0005】ところで、この絶縁層3は、運転開始時
は、この図9(a)の初期状態に示されているように、均
一に一体化されているが、以後は、運転時間の経過に伴
い、電気的劣化、熱的劣化、ヒートサイクル劣化、機械
的劣化、環境劣化といった種々の劣化を受け、この結
果、運転時間の経過につれて、図9(b)に示すように、
絶縁層3の含浸レジン8内全体に多数の小さなボイド
(空所)が現われ、局部的に大きなボイド10が発生し始
める。さらに、運転時間が長くなり劣化が進行して、図
9(c)に示す寿命末期になると、ボイドの量はさらに増
加し、数多くのボイド同士がつながってしまうようもな
る。
【0006】こうして、ボイド10が存在する状態で高
電圧が印加されると、このボイド部分は、他の部分より
も誘電率が低いので電界が集中し、放電して導電体化し
てしまう。そして、この結果、絶縁パスが短くなり、絶
縁層3の耐電圧特性が低下してしまう。
【0007】従って、平均的にボイドの数が多くなるに
伴い、また局部的に大きなボイドが存在するに伴い絶縁
層3の耐電圧特性が低下し、絶縁破壊に至る虞れが大に
なるので、絶縁劣化とは、絶縁層3内にボイドが発生し
た状態を意味し、劣化の程度は、発生したボイドの個数
の増加と、各ボイドの大きさにより判定できることにな
る。
【0008】ところで、この絶縁層の劣化状態を診断す
るための従来技術としては、絶縁層の誘電正接(tanδ)
試験、交流電流試験、部分放電試験などの非破壊試験が
一般に実施されている。
【0009】一方、絶縁層の劣化状態の診断とは直接関
連はないが、運転中の電機子コイル3の温度状態を測定
する方法として、従来から、図10に示すように、電機
子コイル3をスロット5内に挿入するとき、図11に示
すように、コイル間に介在させた層間詰物4内に温度検
出用の測温抵抗体6を設けておき、これからのリード線
7を外部に引出し、運転中でも任意にコイルの温度が測
定できるようにした技術が知られている。
【0010】なお、この種の技術として、関連するもの
としては、例えば特開昭61−145123号、特開平
2−294003号の各公報の開示を挙げることができ
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術は、電気
機器が運転中での絶縁層の劣化診断について配慮がされ
ておらず、誘電正接試験などに際して機器を停止させ、
且つ、コイル間の接続部を外し、試験終了後、再接続す
るなどの労力と時間が掛かり、短い周期で定期的に絶縁
診断を行うことが困難であるという問題がある。
【0012】他方、温度の測定なら、上記した従来技術
でも、運転中に実行できるが、しかし、単に温度を測定
しただけでは、絶縁層の劣化状態を判定するのは不可能
である。
【0013】本発明の目的は、コイルの絶縁層内で発生
するボイドの状態を電気機器が運転中でも常時監視で
き、絶縁劣化状態を容易に診断することができるように
した電気機器の絶縁劣化監視診断システムを提供するこ
とにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的は、絶縁層を備
えたコイルを有する電気機器において、そのコイルを構
成する導体の温度と、この導体を覆う絶縁層の温度とを
独立に検出する第1と第2の感温手段を設け、運転時で
の導体の温度と絶縁層の温度の差、及び温度変化が発生
したときでの導体の温度と絶縁層の温度の反応時間(変
化時間)の差の少なくとも一方を測定し、これらを正常
時でのデータと比較することにより達成される。
【0015】
【作用】電気機器運転時での導体の温度と絶縁層の温度
の差、又は温度変化が発生したときでの導体の温度と絶
縁層の温度の反応時間の差は、絶縁層の熱伝導率により
変化する。ところで、電気機器運転中はコイル導体に電
流が流れるので発熱する。この熱は絶縁層の内側から外
側へと伝達し、主として鉄心へ放熱されるが、このとき
の熱伝導率は絶縁層の材料構成や密度になどにより定ま
る定数である。
【0016】しかるに、ボイドは気体からなるので熱伝
達抵抗が大きく、このため、絶縁層の内部にボイドが発
生すると、絶縁層の見かけ上の熱伝導率は、最初の値か
ら低下し、その増加の割合は、ボイドの数や大きさに依
存する。一方、上記したように、このボイドの数や大き
さは、絶縁層の劣化を表わす。
【0017】従って、導体の温度と絶縁層の温度を比較
し、又は温度変化が発生したときでの導体の温度と絶縁
層の温度との反応時間を比較することにより、絶縁層の
見かけ上の熱伝導率(熱伝達抵抗の逆数)の変化を検出す
ることができ、これから絶縁層の劣化状況を判定し、絶
縁劣化状態を診断することができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明による電気機器の絶縁劣化監視
診断システムについて、図示の実施例により詳細に説明
する。図1は、回転電機、例えば交流発電機の電機子コ
イル1に本発明を適用した場合の一実施例で、温度検出
部12と、絶縁劣化判定部13と、記憶部14とで構成
されている。
【0019】まず温度検出部12は、電機子コイル1の
導体2の温度に反応する感温素子12A(第1の感温手
段)と、電機子コイル1の絶縁層3の温度に反応する感
温素子12B(第2の感温手段)と、これらの感温素子1
2A、12Bの信号から導体2の温度T1 と、絶縁層3
の温度T2 とをそれぞれ独立に検出する温度検出手段1
2Cとで構成されている。なお、回転電機には、電機子
コイル1が複数個設けられているので、この温度検出部
12も、電機子コイル1の個数分全部、或いはその内の
いくつかのものに設けられており、検出結果を切り替え
て取り出すようになっている。
【0020】次に絶縁劣化判定部13は、温度検出部1
2の温度検出手段12Cから導体2の温度T1 と絶縁層
3の温度T2 とを取り込み、これらの温度差ΔTを分析
する温度差分析手段13Aと、同じく温度T1 と温度T
2 とを取り込み、温度T1 が変化したときでの温度T2
の変化遅れ、すなわち温度T1 の変化に対する温度T2
の反応時間差Δtをそれぞれ分析する反応時間差分析手
段13Bと、これら温度差ΔTと反応時間差Δtの分析
により得られるボイドの発生状態から絶縁層3の絶縁性
能を求める絶縁性能判定手段13Cと、この判定結果か
ら絶縁劣化状態を評価する評価手段13Dとで構成され
ている。
【0021】そして記憶部14は、この評価結果を格納
記憶するメモリ14Aと、このメモリに格納された評価
結果を出力する出力手段とで構成されている。図2は、
電機子コイル1内での感温素子12A、12Bの設置状
態を示したもので、感温素子12Aは導体2の中心部に
配置し、これにより導体2の温度T1が重点的に効率よ
く検出できるようにしてあり、感温素子12Bは絶縁層
3の中に埋没させて設置し、これにより絶縁層3の温度
2 が重点的に効率よく検出できるようにしてある。な
お、感温素子の設置位置としては、例えば12B’で示
す位置でもよい。
【0022】次に、この図1の実施例の動作について説
明する。まず、温度検出部12は、回転電機(交流発電
機)の運転が開始されたときから停止されるまで導体2
と絶縁層3の温度T1 と温度T2 とを測定し、その測定
結果を絶縁劣化判定部13に伝える。これにより、絶縁
劣化判定部13の中で、まず温度差分析手段13Aは、
回転電機運転時の温度変化による導体2と絶縁層3の温
度差ΔTを取り出し、他方、反応時間差分析手段13B
は、運転時の温度変化による導体2と絶縁層3の反応時
間差Δtを取り出し、それぞれを絶縁性能判定手段13
Cに伝える。
【0023】そこで、絶縁性能判定手段13Cは、これ
らのデータを分析し、ボイド発生による温度変化反応速
度の低下を求め、結果を評価手段13Dに送る。評価手
段13Dは、この絶縁性能判定手段13Cから与えられ
た結果に基づいて絶縁劣化状態を評価し、評価結果を記
憶部14のメモリ14Aに記憶するのである。
【0024】そこで、メモリ14Aは、運転時間と温度
変化の反応速度、及び評価を、それぞれの電機子コイル
1毎に対応して整理し、必要に応じて、それらを出力手
段14Bにより表示、またはプリントアウトさせるよう
にするのである。
【0025】ここで、温度変化による電機子コイル1の
導体2と絶縁層3の温度反応時間差とボイド発生量の関
係について説明する。まず図3は、回転電機の起動時で
の導体2と絶縁層3の温度変化を示したものであり、次
に、図4は、運転中での負荷変動により出力が変化した
ときでの導体2と絶縁層3の温度変化を示したものであ
る。
【0026】図3の起動時においては、導体2に通電さ
れ始めた結果、まず、この導体2の温度が上昇し始める
が、このとき導体2と絶縁層3の熱伝導率の違いから、
また導体2の温度上昇に対して絶縁層3の温度上昇が遅
れるので、温度変化に対する反応時間に差Δtが現わ
れ、平衡状態では、導体2と絶縁層3に温度差ΔTが現
われる。また、図4の出力が変化したときでも同様で、
やはり反応時間差Δtと、温度差ΔTが現われる。
【0027】ところで、電機機器を設置し、まだ運転を
開始していない時点では、当然のこととして、絶縁層3
は、図9(a)に示すように、均一に一体化された初期状
態にある。そして、このときには、まだ絶縁層3には、
劣化は現われていない筈である。そこで、この初期の時
点で或る所定の値を示している絶縁層3の反応時間差Δ
tと温度差ΔTを測定し、それぞれを反応時間差初期値
Δt0、温度差初期値ΔT0とする。
【0028】しかして、運転時間が進むにつれ、絶縁層
3全体に、図9(b)に示すように、多数の小さなボイド
10や局部的に大きなボイド10が発生すると、これら
のボイド部により熱伝導率が低下(熱伝達抵抗が増加)し
てゆくので、反応時間差Δtと温度差ΔTは、初期値Δ
0、ΔT0よりも大きな値に変化してゆく。そして、図
9(c)に示すように、ボイド10の発生量が増大し、絶
縁層3が寿命期(寿命末期)に達すると、反応時間差Δt
と、温度差ΔTの値は共に大きく増大し、初期値との差
が顕著に表われるようになる。
【0029】これら反応時間差Δtと温度差ΔTは絶縁
性能判定手段13Cに取り込まれるが、この絶縁性能判
定手段13Cには適当な記憶手段が設けてあり、これに
上記した反応時間差初期値Δt0と温度差初期値ΔT0
が格納してある。そこで、絶縁性能判定手段13Cは、
これらの初期値Δt0、ΔT0と、取り込んだ反応時間差
Δtと温度差ΔTとの比δt、δTを求める。 δt=Δt0/Δt×100〔%〕 δT=ΔT0/ΔT×100〔%〕 そして、これらの比δt、δTに基づいて分析を行な
い、初期状態からの低下率から、図5に示すように、予
め想定してある標準の劣化曲線を用い、これにより推定
運転時間nを算定するのである。
【0030】次に、こうして求められた推定運転時間n
は評価手段13Dに取り込まれ、ここで、この電機子コ
イル1を備えた交流発電機の実際の運転時間Nとの比R
(=n/N)により、図6(a)に示すようにして、絶縁劣
化状態を、○、□、△、×の各適合度にランク分けし、
これらのランクに基づいて、図6(b)に示すように、そ
れぞれ「○:優」、「□:良」、「△:可」、「×:不
可」の各評価を下すののである。
【0031】周知のように、この実施例における交流発
電機など電気機器の運転形態としては、起動停止が比較
的頻繁に行われるDSS(daily-start-stop)運転や、そ
れほど頻繁には起動停止を行なわないWSS(weekly-st
art-stop)運転などがあり、さらに連続運転中でも負荷
変動に対応した出力変化運転などがあるが、いずれにし
ても、かなりの頻度で運転状態が変化する。
【0032】そこで、上記した一連の処理は、交流発電
機の起動時や、負荷変動時などに所定の頻度で実行さ
れ、これにより評価手段13Dから評価結果が与えら
れ、その都度、順次、メモリ手段14Aに評価結果が格
納されて行く。
【0033】そこで、必要に応じて、このメモリ手段1
4Aに格納してある評価結果を出力手段14Bにより表
示させることにより、常時、容易に、対象としている交
流発電機の絶縁劣化の状態を知ることができる。
【0034】従って、この実施例によれば、運転中に常
時絶縁劣化状態が監視できるから、従来技術のように、
絶縁劣化状態を診断するために機器を停止し、労力と時
間をかける必要がなく、容易に絶縁劣化の程度を診断す
ることができる。
【0035】なお、絶縁性能判定手段13Cとして、フ
ァジー推論により分析を行なう手段を採用してもよく、
これによれば、運転状態(起動停止、負荷変動等)による
データのばらつきが補正でき、より一層、客観的な評価
を得ることができ、さらに正確に絶縁劣化の程度を診断
することができる。
【0036】ところで、感温素子12A、12B(12
B’)については、特に詳しく説明しなかったが、これ
らについては、どのような感温素子を用いても良く、例
えば、図11で説明した温度抵抗体6とリード線7から
なるものを用いてもよいが、電機子コイル1は、かなり
の高電圧になっており、従って、検出信号の取り出しに
は絶縁の問題があるので、光ファイバを用いた感温素子
の適用が望ましい。
【0037】光ファイバは絶縁体で電磁誘導の影響を受
ける虞れもないから、検出精度もよく、且つ、細いワイ
ヤ状なので、導体2内や、絶縁層3内への設置も容易で
あるという利点がある。なお、このような光ファイバを
用いた温度測定装置については、例えば、社団法人 電
気学会 発行 “電気学会雑誌”Vol.112、No.10、199
2’832ページなどにより周知であるので、詳しい説明に
ついては割愛する。
【0038】また、この感温素子12A、12B(12
B’)については、電機子鉄心のスロットに組み込む電
機子コイル1の全てに設けるのが最良の実施例であると
いえるが、費用削減の見地からすれば、比較による評価
が可能なように、最小限2組設けるようにしても良い。
そして、このときでも、図7に示すように、巻線のライ
ン側(高電圧端)とニュートラル側(接地端)にそれぞれ設
けるようにするのが望ましい。
【0039】ところで、既に説明したように、電気機器
運転中、導体2に発生した熱は絶縁層3の内部から外部
へと伝達し、主として鉄心へ放熱される。従って、鉄心
のスロット内でのコイルの密着状態によっても、上記し
た反応時間差Δtと温度差ΔTは変化する。
【0040】これを図8により説明すると、スロット5
内での電機子コイル1は、この電気機器が運転開始する
前には、図8(a)に示すように、スロット5内に充分に
密着した状態で電機子コイル1が挿入されている。な
お、この図において、11は導電材料からなるライナ
(かいざい物)で、電機子コイル1とスロット5内に隙間
が残らないようにする働きをするものである。
【0041】しかして、電気機器が運転を開始した後
は、時間の経過と運転による振動や層間詰物4の枯れな
どから、電機子コイル1とスロット5の間に隙間がで
き、図8(b)に示すように、密着が悪い状態になってゆ
く。このため、絶縁層3の表面からの放熱が悪くなり、
導体2の温度T1 と絶縁層3の温度T2 との差、すなわ
ち、温度差ΔTが低下する。
【0042】これを、図8(c)に示すように、導体2か
ら絶縁層3までの温度T1 と温度T2の勾配θとして表
わすと、この勾配θが異なり、図8(a)の場合を勾配θ1
とすると、図8(b)の場合は勾配θ2 となる。
【0043】すなわち、図8(a)の場合は、密着が良い
ことから絶縁層3の熱放散が良く、温度T1 と温度T2
の差が多くあり、勾配θ1 も大きい。他方、図8(b)の
場合は、密着が悪いことから絶縁層3の熱放散が悪く、
温度T1 と温度T2 の差が少なく、勾配θ2 は小さい。
【0044】従って、これらの間には、勾配θ1 >勾配
θ2 の関係があり、この関係は、運転時間が長くなるに
つれて顕著になる。
【0045】そこで、これを温度差分析手段13Aで解
析し、この解析結果により、反応時間差分析手段13B
による解析結果を補正してやることにより、さらに絶縁
劣化診断値の信頼性を向上させることができる。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、運転中の電気機器のコ
イル導体と絶縁層の温度差及び温度変化による導体と絶
縁層の温度変化反応時間差を常時測定し、前記絶縁層内
でボイドが発生した時の前記温度差及び、反応時間差の
変化を検出し、ボイド発生による温度変化反応速度の低
下から絶縁劣化状態を判定するようにしたので、従来の
方法では不可能であった、コイルの絶縁層の劣化状態を
電気機器運転中に常時監視することができ、絶縁劣化状
態を容易に診断し、適切な時期にコイルの更新又は補修
を行うことができるようになり、この結果、絶縁破壊が
未然に防止できるので、信頼性を充分に向上させること
ができる。
【0047】また、本発明によれば、電気機器の運転を
停止させることなく絶縁劣化の診断が可能になるので、
診断の頻度を容易に高めることができ、常に精度の良い
診断を行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電気機器の絶縁劣化監視診断シス
テムの一実施例を示すブロック構成図である。
【図2】本発明における感温素子の埋設方法の一例を示
す説明図である。
【図3】本発明による検出動作の一実施例を示す特性図
である。
【図4】本発明による検出動作の他の一実施例を示す特
性図である。
【図5】本発明の一実施例において絶縁劣化の評価に採
用されている推定運転時間を説明するための特性図であ
る。
【図6】本発明の一実施例における絶縁劣化の評価方法
を説明するための特性図である。
【図7】本発明における電機子コイルに対する感温素子
の設置位置の一例を示す説明図である。
【図8】鉄心のスロット内でのコイルの密着状態による
反応時間差と温度差の変化を示す説明図である。
【図9】絶縁層内でのボイド発生メカニズムの説明図で
ある。
【図10】回転電機のスロット内での一般的なコイル構
造の一例を示す説明図である。
【図11】回転電機のスロット内測温方法の従来例を示
す説明図である。
【符号の説明】
1 電機子コイル 2 導体 3 絶縁層 4 層間詰物 5 スロット 6 測温抵抗体 7 リード線 8 含浸レジン 9 マイカ 10 ボイド 12 温度検出部 12A 感温素子(導体内用) 12B 感温素子(絶縁層内用) 12C 温度検出手段 13 絶縁劣化判定部 13A 導体と絶縁層の温度差分析手段 13B 導体と絶縁層の温度変化による反応時間差の分
析手段 13C 絶縁性能判定手段 13D 評価手段 14 記憶部 14A メモリ 14B 出力手段

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁層を備えたコイルを有する電気機器
    において、そのコイルを構成する導体の温度と、この導
    体を覆う絶縁層の温度とを独立に検出する第1と第2の
    感温手段を設け、上記電気機器運転時での導体の温度と
    絶縁層の温度の差、及び温度変化が発生したときでの導
    体の温度と絶縁層の温度の反応時間の差の少なくとも一
    方の評価により絶縁劣化状態を判定するように構成した
    ことを特徴とする電気機器の絶縁劣化監視診断システ
    ム。
  2. 【請求項2】 請求項1の発明において、上記評価が、
    電気機器設置時での運転開始時での導体の温度と絶縁層
    の温度の差、及び温度変化が発生したときでの導体の温
    度と絶縁層の温度の反応時間の差の少なくとも一方との
    比較により与えられるように構成されていることを特徴
    とする電気機器の絶縁劣化監視診断システム。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2の発明において、上記評
    価が、上記電気機器運転時での温度変化が発生したとき
    での導体の温度と絶縁層の温度の反応時間の差による判
    定結果を、上記電気機器運転時での導体の温度と絶縁層
    の温度の差による判定結果によって補正することにより
    与えられるように構成されていることを特徴とする電気
    機器の絶縁劣化監視診断システム。
  4. 【請求項4】 請求項1の発明において、上記第1と第
    2の感温素子が、光ファイバを用いた感温素子で構成さ
    れていることを特徴とする電気機器の絶縁劣化監視診断
    システム。
  5. 【請求項5】 請求項1の発明において、上記第1と第
    2の感温素子は、上記電気機器のコイルの異なった場所
    に少なくとも2組設置されていることを特徴とする電気
    機器の絶縁劣化監視診断システム。
  6. 【請求項6】 請求項5の発明において、上記2組の感
    温素子は、上記電気機器のコイルのライン側とニュート
    ラル側に1組以上設置されていることを特徴とする電気
    機器の絶縁劣化監視診断システム。
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