JPH07125511A - タイヤ空気圧警報装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 タイヤ空気圧を比較的安価な装置構成で、振
動があっても安定して、かつ高い精度で検出できるよう
にする。 【構成】 各車輪の支持機構に衝撃を緩和する流体圧力
手段の流体圧力をそれぞれ電気信号として検出する圧力
センサを備え、この圧力センサの各出力をあらかじめ定
めされた閾値と比較し、特異な変化を示す車輪について
タイヤ空気圧の異常を警報する。 【効果】 走行時においても常時タイヤ空気圧を検出す
ることができるので、異常発生に直ちに対応することが
でき、走行安定性を向上させることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は自動車に利用する。本発
明は空気圧タイヤを装備した車両に利用する。本発明
は、タイヤの空気圧が異常になっているときに運転席に
警報を発生する装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】タイヤの空気圧は車両が停車していると
きに、タイヤの空気注入バルブに圧力計を接続して検査
する方法が一般的であり、走行時にはタイヤ空気圧の異
常を適切に警報する装置はいくつかの方式が知られてい
るものの普及していない。走行中にタイヤ空気圧が大き
く低下すると走行抵抗が増大する。タイヤ空気圧の低下
はその初期段階で運転者が気付くことが望ましい。しか
し現状では運転者がハンドルが重くなったりしたことを
感じてタイヤ空気圧がかなり低下して気付くことが多
い。

【０００３】車両走行時にその車両のタイヤ空気圧を監
視し、その空気圧に異常があるときに警報する第一の装
置として、実開平１−１４７７０６号公報に記載の技術
が知られている。これは、タイヤの空気注入バルブに電
気信号を出力する圧力センサを設け、この圧力センサの
出力信号により変調された微弱な電磁波を発生し、車体
側でその電磁波を受信復調してそのタイヤの空気圧を伝
達するものである。その空気圧が異常値を示したときに
運転席に警報を発生して運転者にチエックを促す。

【０００４】また、別の原理を用いた第二の装置として
特開平４−２１２６０９号公報に開示された技術があ
る。これは、各車輪に回転センサを備え、この回転セン
サの出力に相対的なズレがあると、平均的に回転数の大
きい車輪は空気圧が低下して実質的に車輪の直径が小さ
くなっているものとして、その車輪についてタイヤ空気
圧の異常を警報するものである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】第一の装置では、タイ
ヤに空気圧を検知するセンサおよびそのセンサ出力に応
じて電磁波を変調する電気回路を搭載することが必要で
あり、さらにタイヤ空気圧を示す信号は電磁波に変調さ
れて伝達されることから、微弱な電磁波信号についての
受信復調装置やセンサ側に電気エネルギを送信する装置
などを車両側に設置しなければならない。これらは、ど
うしても高価になるとともに、振動の大きい自動車に実
装して安定に動作させるにはいまなお必ずしも十分では
ない。

【０００６】第二の装置では、自動制動システムを装備
している車両以外には利用することができない。自動制
動システムを装備していない車両で各車輪の回転状態を
きわめて正確に検出する装置を設けることは、それがタ
イヤ空気圧警報のためにのみ使用される装置としてはあ
まりに高価になる。

【０００７】本発明はこのような背景のもとに行われた
ものであって、比較的安価であって、振動があっても安
定であり、検出精度が高いタイヤ空気圧警報装置を提供
することを目的とする。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の装置は、車輪の
支持機構、具体的には、ショックアブソーバ、サスペン
ションスプリング、その他に流体圧（空気圧または油
圧）を利用している場合に、その流体圧またはその変動
を各車輪について検出し、各車輪間でその流体圧を比較
し、一つだけ特異な車輪についてタイヤ空気圧の異常と
して警報するものである。

【０００９】すなわち、本発明は、各車輪の支持機構に
設けられ衝撃を緩和する流体圧力手段の流体圧力をそれ
ぞれ電気信号として検出する複数の圧力センサと、この
複数の圧力センサの各出力を比較し特異な変化を示す車
輪についてタイヤ空気圧異常を警報する演算手段とを備
えたことを特徴とする。

【００１０】前記演算手段は、各圧力センサの出力値も
しくは出力値の変化値について閾値が設定され、一定走
行距離毎にその閾値を越えた回数が一つの車輪だけ所定
割合を越えて頻度が低いときに、その車輪について警報
を発生する手段を備え、前記圧力センサは、流体圧力を
制御する装置の入力信号用のセンサと共用されることが
望ましい。

【００１１】この流体圧力手段は、ショックアブソーバ
の動作条件を電気的に制御する装置がすでに搭載されて
いる車両については、この既存の装置のショック検出信
号を流用することができる。

【００１２】

【作用】各車輪の支持機構に設けられた圧力センサが衝
撃を緩和する流体圧力手段の流体圧力の変化を検出し電
気信号として送出する。プログラム制御回路がこの電気
信号を取り込み、あらかじめ定められた閾値と比較して
特異な変化を示す車輪がある場合に、警報手段に警報信
号を送出して警報を発生させる。異常であるか否かの判
定は、空気圧の低い車輪は路面凹凸による衝撃を吸収す
る性質を利用して行われる。例えば、一定走行距離毎に
定められた閾値以下になる回数が一輪だけ特異であると
きに異常があるものとする。

【００１３】この装置は比較的安価に構成することがで
き、また、流体圧力が検出対象となるので振動があって
も安定した状態で検出され、精度の高い検出が行われ
る。また、走行中でも検出が可能であり、したがって、
異常発生に対し直ちに対応することができるので走行安
定性を向上させることができる。さらに、空気圧が常時
正常に維持されるので燃費を少なくするとともにタイヤ
寿命を伸ばすことができる。

【００１４】

【実施例】次に、本発明実施例を図面に基づいて説明す
る。図１は本発明実施例の要部の構成を示す図、図２は
本発明実施例における圧力センサが備えられた流体圧力
手段の構成を示す断面図である。

【００１５】本発明実施例は、各車輪１の支持機構に設
けられ衝撃を緩和する流体圧力手段２の流体圧力をそれ
ぞれ電気信号として検出する複数の圧力センサ３と、こ
の複数の圧力センサ３の各出力を比較し特異な変化を示
す車輪１についてタイヤ空気圧異常を警報する演算手段
４ａを含むプログラム制御回路４とを備え、さらに、演
算手段４ａは、各圧力センサ３の出力値もしくは出力値
の変化値について閾値が設定され、一定走行距離毎にそ
の閾値を越えた回数が一つの車輪１だけ所定割合を越え
て頻度が低いときに、その車輪１について警報を発生す
る警報手段５を備え、圧力センサ３は、流体圧力を制御
する装置の入力信号用のセンサと共用される。

【００１６】流体圧力手段２は、図２に示すように、下
端部にワンウエイバルブ２１が固定された内筒２２が外
筒２３内に挿通され、内筒２２内には、上下に移動可能
なメインバルブ２４と、このメインバルブ２４に取り付
けられた第一ピストンロッド２５と、この第一ピストン
ロッド２５にその短径部が上下移動可能な状態で挿通さ
れその長径部の先端に圧力センサ３が固定されたプラン
ジャ２６と、第一ピストンロッドに連結固定された第二
ピストンロッド２７とが配置される。

【００１７】内筒２２内部はメインバルブ２４によって
区分された完全密閉状態の流体室ＡおよびＢが形成され
る。圧力センサ３はリード線６を介してプログラム制御
回路４に接続される。

【００１８】次に、このように構成された本発明実施例
の動作について説明する。

【００１９】まず、流体圧力手段２の通常の動作につい
て説明する。流体圧力手段２は上端部がボデイ側に固定
され、下端部が車軸側に固定されているので、路面の変
化によって車軸側が上下動した場合に、内筒２２内のメ
インバルブ２４の位置が相対的に上下に移動して流体室
Ａおよび流体室Ｂの空間体積が変化する。このときの流
体が室Ａから室Ｂへあるいは室Ｂから室Ａへ移動すると
きの抵抗によって衝撃が吸収される。

【００２０】例えば、車軸側から図２の実線矢印で示す
方向への力を受けると、内筒２２は流体室Ｂ内の流体を
加圧して第二バルブ２４ｄを押し上げ第二オリフィス２
４ｂを閉鎖する。一方、加圧された流体室Ｂ内の流体は
第一オリフィス２４ａを通り第一バルブ２４ｃを押し上
げて流体室Ａ内に流入し、流体室ＡおよびＢ内の圧力が
同じ値になったときに流体の移動は停止する。

【００２１】また、ボディ側が持ち上がり破線矢印で示
す方向への力を受けると、メインバルブ２４は流体室Ａ
内の流体を加圧して第一バルブ２４ｃを押し下げ第一オ
リフィス２４ａを閉鎖する。一方、加圧された流体室Ａ
内の流体は第二オリフィス２４ｂを通り第二バルブ２４
ｄを押し下げて流体室Ｂ内に流入し、同様に、流体室Ａ
およびＢ内の圧力が同じ値になったときに流体の移動は
停止する。

【００２２】このような動作により、車軸側またはボデ
ィ側からの衝撃は吸収される。なお、ワンウエイバルブ
２１は時間の経過に伴って内筒２２の内部から漏洩した
流体を戻すために設けられたものである。

【００２３】ここで、本発明実施例における圧力センサ
３の検出動作について説明する。

【００２４】本発明実施例は、図２に示すように、プラ
ンジャ２６の長径部の先端に圧力センサ３が取り付けら
れ、第一ピストンロッド２５には挿通したプランジャ２
６の短径部の端面に流体室Ｂ内の流体圧力が加えられる
流体通路２５ａが設けられているので、図２に示す実線
矢印方向に力が加わったときに、前述の通常動作による
流体室Ｂから流体室Ａへの流体の移動に伴って流体通路
２５ａからプランジャ２６の短径部にそのときの流体圧
力が加えられる。流体圧力が加えられたプランジャ２６
は圧力センサ３を加圧する。圧力センサ３はその圧力を
電気信号として検出し出力する。

【００２５】また、図２に示す破線矢印の方向に力が加
わった場合には、通常動作による流体室Ａから流体室Ｂ
への流体の移動に伴って、流体通路２５ａからプランジ
ャ２６の短径部にそのときの流体圧力が加えられる。流
体圧力が加えられたプランジャ２６は、同様に、圧力セ
ンサ３を加圧し、圧力センサ３はその圧力を電気信号と
して検出し出力する。

【００２６】本発明の特徴とするところは、各圧力セン
サ３の出力値もしくはその変化値について閾値を設定し
ておき、その閾値に対してどのように変化したかを判断
し、特異な変化を示したときにタイヤ空気圧に異常があ
ることを警報することにある。

【００２７】図３（ａ）は本発明実施例における圧力セ
ンサによる比較的荒れた道路での検出波形を示す図であ
る。４輪のうち３輪が図３（ａ）の状態であるにもかか
わらず、１輪が図３（ｂ）に示す検出波形となったとき
にその１輪の空気圧に異常があることを示す。このよう
に、路面の変化による振動の変化を圧力センサ３が的確
に検出できる。

【００２８】図４は本発明実施例における制御動作の流
れを示す流れ図である。

【００２９】プログラム制御回路４は、メモリをクリア
して各タイヤの減衰力を入力し、一定距離走行したか否
かを判断する。一定距離走行していなければ同じ処理を
繰り返し、一定距離走行していれば、演算手段４ａが圧
力センサ３の出力値もしくは出力値の変化値について設
定された閾値を超えた回数が一つの車輪だけあるか否か
を判断し、一つの車輪だけ所定割合を超えて頻度が低い
ときには、空気圧が低下していて振動を吸収しているも
のとして、その車輪について警報を発生する。相対的に
極端に頻度の低いタイヤがなければ処理をもとに戻す。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、タ
イヤ空気圧を比較的安価な装置構成で振動に影響される
ことなく高い精度で検出することができる。また、走行
時においても常時検出することができるので、異常発生
に対しただちに対応することが可能となり、走行安定性
を向上させることができる効果がある。さらに、タイヤ
の空気圧が常時正常に維持されるので、燃費を低下させ
るとともに、タイヤ寿命をのばすことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明実施例の要部の構成を示す図。

【図２】本発明実施例における圧力センサが備えられた
流体圧力手段の構成を示す断面図。

【図３】（ａ）は本発明実施例における圧力センサによ
る比較的荒れた道路での検出波形を示す図、（ｂ）は比
較的平滑な道路での検出波形を示す図。

【図４】本発明実施例における制御動作の流れを示す流
れ図。

【符号の説明】

１ 車輪 ２ 流体圧力手段 ３ 圧力センサ ４ プログラム制御回路 ４ａ 演算手段 ５ 警報手段 ６ リード線 ２１ ワンウエイバルブ ２２ 内筒 ２３ 外筒 ２４ メインバルブ ２４ａ 第一オリフィス ２４ｂ 第二オリフィス ２４ｃ 第一バルブ ２４ｄ 第二バルブ ２５ 第一ピストンロッド ２５ａ 流体通路 ２６ プランジャ ２７ 第二ピストンロッド

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 各車輪の支持機構に設けられ衝撃を緩和
   する流体圧力手段の流体圧力をそれぞれ電気信号として
   検出する複数の圧力センサと、この複数の圧力センサの
   各出力を比較し特異な変化を示す車輪についてタイヤ空
   気圧異常を警報する演算手段とを備えたことを特徴とす
   るタイヤ空気圧警報装置。
2. 【請求項２】 前記演算手段は、各圧力センサの出力値
   もしくは出力値の変化値について閾値が設定され、一定
   走行距離毎にその閾値を越えた回数が一つの車輪だけ所
   定割合を越えて頻度が低いときに、その車輪について警
   報を発生する手段を備えた請求項１記載のタイヤ空気圧
   警報装置。
3. 【請求項３】 前記圧力センサは、流体圧力を制御する
   装置の入力信号用のセンサと共用される請求項１記載の
   タイヤ空気圧警報装置。