JPH0712364Y2 - 板材振り分け装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この考案は、板材の振り分け装置に関する。

（従来の技術） 従来、プレス加工に供される板材は、帯板をプレス機に
より所定寸法に打ち抜くことによって得られ、この打ち
抜き機にコンベアで搬送され、コンベアの終端に配置さ
れた台に積み重ねられようになっている。そして、上記
台の積載量が限度を越えた時に、この台を移動して他の
台に置き換え、板材を積載した台をプレス加工ラインま
で搬送している。

（考案が解決しようとする問題点） しかしながら、上記板材は、規則的なプレス機の打ち抜
き運転に従って、比較的短い時間間隔でコンベアにより
搬送されてくるものであり、上記のように台を交換する
間に、板材を受け取ることができない。このため、上記
プレス機の打ち抜き運転の停止を余儀なくされ、作業能
率が悪かった。

（問題点を解決するための手段） この考案は上記問題点を解消するためになされたもの
で、その要旨は、板材を搬送するコンベアの搬送面より
上方に配置された互いに対向する左右一対の上部ローラ
と、この上部ローラの下方に配置された少なくとも左右
一対の下部ローラとを備え、左右の上部ローラは回転駆
動系によって互いに反対方向に回転し、左右の下部ロー
ラは、各々が昇降機構に垂直昇降自在に且つ回転自在に
個別に支持されていて上記コンベアの搬送面より下方に
位置するとともに、上記昇降機構により選択的にこの搬
送面より上方に突出し、搬送面より上方に突出した左右
いずれかの下部ローラとこれと垂直方向に対向する上部
ローラとで板材を挾み、この上部ローラの回転方向に板
材を振り分けるようにしたことを特徴とする板材振り分
け装置にある。

（作用） 左右の上部ローラは互いに反対方向に連続回転されてい
る。板材を左側に振り分ける場合には、左側の下部ロー
ラだけが垂直上昇して、この下部ローラと左側の上部ロ
ーラとで板材を挾持し、左側の上部ローラの回転によっ
て板材を左側に振り分ける。又、板材を右側に振り分け
る場合には、右側の下部ローラだけが垂直上昇して、こ
の下部ローラと右側の上部ローラとで板材を挾持し、右
側の上部ローラの回転によって板材を右側に振り分け
る。

（実施例） 以下、この考案の一実施例を第１図から第３図までの図
面に基づいて説明する。

図中１はコンベアであり、コンベア１の始端側には、帯
板を切断してプレス加工用ワークとなる板材を得るため
の図示しないプレス機が配置されており、終端側には振
り分け装置２が配置されている。

コンベア１の終端部と振り分け装置２はつぎの構成から
成るフレーム３に支持されている。

即ち、フレーム３はベース４を有し、ベース４の中央に
支持台５が立設され、支持台５を挾んでベース４の両端
に各一対の脚６が立設されている。更に、一対の横梁
７、７′が、支持台５の上方において上記コンベア１に
対し直交する方向に配置されるとともに、左右の脚６の
上端を連結している。そして、横梁７、７′の左右両端
はコンベア１と平行に配置された縦梁８によって連結さ
れ、又、支持台５の左右両端の上方において、横梁７、
７′は縦梁８′によって連結されている。

そして、第２図に示すように上記横梁７′には左右一対
のブラケット９が固定され、このブラケット９にはコン
ベア１のシャフト10が支持台５と横梁７′の間に位置す
るように回転自在に支持されている。このシャフト10に
は５つのプーリー11が等間隔に取り付けられており、こ
のプーリー11とコンベア１の始端側に設置されている図
示しないプーリーとの間には５本のベルト12が張り渡さ
れている。上記のようにしてコンベア１は支持台５の上
方に配置された状態でフレーム３に支持されている。
尚、プーリー11は図示しない駆動装置に連繋されて、連
続回転駆動される。

振り分け装置２は、中央のベルト12を境にして左側及び
右側にそれぞれ９個ずつ配置された上部ローラ14、14′
を有している。上部ローラ14、、14′はそれぞれ３本の
シャフト13、13′に等間隔で３個ずつ固定されている。
各シャフト13、13′は、コンベア１と平行になるように
して横梁７、７′に回転自在に支持されている。最も左
側のシャフト13は、最も左側のベルト12より外側に配置
され、最も右側のシャフト13′は、最も右側のベルト12
より外側に配置され、他のシャフト13、13′はベルト12
間に配置されている。上部ローラ14、14′はベルト12の
搬送面より上方に配置されている。上記最も左側及び最
も右側のシャフト13、13′の一端にはスプロケット15、
15′がそれぞれ取り付けられている。横梁７の上には回
転駆動系としての一対のモータ16、16′が設置されてお
り、このモータ16、16′の出力軸に固定されたスプロケ
ット16a、16a′と、上記スプロケット15、15′とはチェ
ーン17、17′を介して連結されている。又、各シャフト
13にはスプロケット18が取り付けられており、隣合うシ
ャフト13はチェーン19を介して連結されている。９個の
左側の上部ローラ14は、モータ16によって同時に第１図
上時計回りに連続回転し、９個の右側の上部ローラ14′
はモータ16′により同時に反時計回りに連続回転するよ
うになっている。

又、振り分け装置２は、中央のベルト12を境にして左側
及び右側にそれぞれ９個ずつ配置された互いに対向する
左右一対の下部ローラ21、21′を有している。各下部ロ
ーラ21、21′は上部ローラ14、、14′の真下にそれぞれ
配置されており、支持台５に設置された昇降機構として
のエアシリンダ20、20′の上端に、回動自在に支持され
ている。下部部ローラ21、21′は、エアシリンダ20、2
0′の非作動時にコンベア１のベルト12の搬送面よりも
下方に配置されている。そして、左側の９個のエアシリ
ンダ20は電気的に制御されて同時に作動し、これにより
左側の下部ローラ21が同時にベルト12の搬送面よりも上
方に突出するようになっている。右側のエアシリンダ2
0′も同様に作動して右側の下部ローラ21′が上方に突
出する。尚、左右の各エアシリンダ20、20′は、左右ど
ちらか一方が選択的に作動するように制御されている。

又、第２図に示すように、上記横梁７′には板材22に対
する４つのストッパローラ23が、各ベルト12の間に於い
てブラケット24を介し垂直方向に回動自在に支持されて
いる。

又、支持台５を挾みベース４の左右両側には、テーブル
25aを上下動させるためのパンタグラフ式のテーブルリ
フタ25が設置されており、テーブル25aの上にはローラ
コンベア26が配設され、更に板材22に対する受台27がロ
ーラコンベア26の上に載置されている。

振り分け装置２により左右に振り分けられる板材22はそ
れぞれ４枚のガイド板28、29、36、37によって案内され
るようになっている。詳述すると、上記支持台５の左右
両端にはガイド板28が立設されており、各板材22はこの
ガイド板28により右端、あるいは、左端を揃えられて受
台27に積載される。

上記ガイド板28に対向した外側にはガイド板29が配設さ
れており、ガイド板29は板材22の巾に合わせて左右に移
動自在にされている。即ち、前記縦梁８、８′の上には
一対のガイドロッド30により連結された一対の支持具3
1、31′が設置されており、支持具31、31′には、端部
にハンドル32を有する調整用のねじロッド33が回転自在
に支持されている。上記一対のガイドロッド30には、吊
り具34がスライド自在に挿通されている。吊り具34は調
整用ねじロッド33に螺合している。そして、上記ガイド
板29はその上部を吊り具34の所定位置に回動自在に片持
ち支持されて吊り下げられるとともに、下部をばね35を
介して該吊り具34に固定されている。板材22は振り分け
られてガイド板29に当たった際のショックを上記ばね35
によって和らげられる。支持台５の左右に於ける横梁
７′にはガイド板36が図示しないブラケットを介して下
向きに支持されており、各板材22はこのガイド板36によ
って前端を揃えられる。

上記ガイド板36に対向して、前後に調整可能なガイド板
37が配置されている。ガイド板37の調整機構（図示しな
い）は上記ガイド板29の調整機構と同様であり、横梁７
と図示しない他の横梁との間に架け渡されている。

上述構成において、予め、左右両側の各調整用のガイド
板29、37を搬送されてくる板材22のサイズに合わせて所
定の位置に調整しておき、又、左右のテーブルリフタ25
を板材22が積載できるような所定高さにセットしてお
く。更に、左右の各上部ローラ14、14′が互いに逆回転
されるようにモーター16、16′を連続駆動させておく。
尚、振り分け装置２の運転初期状態に於いては、左右の
各下部ローラ21、21′は共にコンベア５の搬送面よりも
下方に位置されている。

そして、プレス機で帯板を打ち抜くことにより得られた
板材22は、コンベア１により比較的短い時間間隔で搬送
されてきて、その前端がストッパローラ23に当接して停
止する。この時コンベア１の各ベルト12は板材22に対し
てスリップした状態で走行し続けている。又、板材22が
ストッパローラ23に当接した時に、図示しないセンサー
が作動して左側の各下部ローラ21だけが左側の各エアシ
リンダ20によってコンベア１の搬送面よりも上方に突出
する。尚、この時右側の各エアシリンダ20′は作動され
ず、その結果、右側の各下部ローラ21′はコンベア１の
搬送面よりも下方に位置した状態を維持している。する
と、板材22は持ち上げられてコンベア１から離反され、
第３図に示すように板材22の左側部分が各上部ローラ14
と各下部ローラ21に挾持され、各上部ローラ14の回転に
よって左側に振り分けられる。尚、この振り分け時に
も、右側の各上部ローラ14′は逆方向に連続回転駆動さ
れており、板材22は該上部ローラ14′に僅かに接触しな
がらもこの摩擦抵抗に打ち勝って振り分けられることに
なる。

更に、上記板材22はガイド板36、37により板材22の前後
方向に揃えられて案内されるとともに、ガイド板28、29
により板材22の左右方向を揃えられて案内され、各ガイ
ド板28、29、36、37に沿って落下し受台27の上に載置さ
れる。このように板材22を振り分けた後に、左側の各下
部ローラ21は各エアシリンダ20によって下降し原位置に
戻って、次の板材22の振り分け作業に準備される。

上述動作を繰り返して、設定数の板材22が受台27に積載
されたことを図示しないカウンタにより検出すると左側
への振り分け作業は終了し、右側への振り分け作業に切
り替えられる。

即ち、板材22が各ストッパローラ23に当接すると前記セ
ンサーが作動して、右側の各下部ローラ21′だけが右側
の各エアシリンダ20′によってコンベア１の搬送面より
も上方に突出し、板材22は持ち上げられてコンベア１か
ら離反され、該板材22の右側部分を各上部ローラ14′と
各下部ローラ21′に挾持されて、各上部ローラ14′の回
転によって右側に振り分けられる。

このように、左右の各上部ローラ14、14′は互いに逆方
向に常時連続回転されており、左右の各下部ローラ21、
21′のどちらか一方を選択的に垂直上昇させ、垂直上昇
した下部ローラ21（又は21′）とこれに対向する上部ロ
ーラ14（又は14′）によって板材22を挾持し振り分ける
ようにしているので、板材22の振り分け方向を変更する
際に上部ローラ14、14′の回転方向を切り替える必要が
なく、この回転方向の切り替えに伴う時間を浪費せずに
済む。換言すれば、単に左側のエアシリンダ20の駆動を
右側のエアシリンダ20′の駆動に切り替えることによ
り、板材22の振り分け方向の切り替えを行うことができ
る。この結果、振り分け方向の切り替えの際にコンベア
１、プレス機の運転を停止せずに済み、生産性を向上さ
せることができる。

尚、所定枚数の板材22が受台27に積載された後、テーブ
ルリフタ25は下降し、板材22は受台27に積載されたまま
ローラコンベア26上を移動し、取り出される。

この考案は上記実施例に制約されず種々の態様が可能で
ある。例えば、左右の上部ローラを１個のモータにより
ギヤ列を介して互いに逆方向に連続的に回転させてもよ
い。

更に、一対のモータを交互に間欠運転させることも可能
である。この場合、停止していたモータを振り替え方向
の切り替え時より前に時間的余裕をもって駆動開始させ
るほうが望ましい。

（考案の効果） 以上説明したように、この考案では、左右いずれかの下
部ローラとこれに垂直方向に対向する上部ローラとで板
材を直接挟み、この上部ローラの回転方向に板材を振り
分けるようにしたので、板材の左右への振り分け方向の
切り替えを短時間で行うことができ、生産性を向上させ
ることができる。

又、上部ローラは回転駆動系に連結されて板材を振り分
けるための回転駆動機能を付与されており、一方、下部
ローラは回動自在にされるとともに、板材を上部ローラ
とで挾持するために昇降機能を付与されており、したが
って、回転駆動機能と昇降機能の両機能が上下のローラ
に分離されているので、板材振り分け装置の構造は簡単
になり、故障を少なくすることができることは勿論のこ
と、左右の下部ローラは各々が昇降機能に垂直昇降自在
且つ回転自在に個々に支持されているので、下部ローラ
を個別且つ選択的に昇降動することで板材を左右に振り
分けることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図から第３図までの図面はこの考案の一実施例を示
すものであり、第１図は板材振り分け装置の部分断面正
面図、第２図は部分平面図、第３図は板材を左側に振り
分ける場合の要部拡大図である。 １…コンベア、２…板材振り分け装置、14、14′…上部
ローラ、16、16′…モータ（回転駆動系）、20、20′…
エアシリンダ（昇降機構）、21、21′…下部ローラ、22
…板材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】板材を搬送するコンベアの搬送面より上方
   に配置された少なくとも左右一対の上部ローラと、この
   上部ローラの下方に配置された互いに対向する左右一対
   の下部ローラとを備え、左右の上部ローラは回転駆動系
   によって互いに反対方向に回転し、左右の下部ローラ
   は、各々が昇降機構に垂直昇降自在且つ回転自在に個別
   に支持されていて上記コンベアの搬送面より下方に位置
   するとともに、上記昇降機構により選択的にこの搬送面
   より上方に突出し、搬送面より上方に突出した左右いず
   れかの下部ローラとこれと垂直方向に対向する上部ロー
   ラとで板材を挟み、この上部ローラの回転方向に板材を
   振り分けるようにしたことを特徴とする板材振り分け装
   置。