JPH07122229B2 - 抄紙機のシート形成部用織物 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、互いに織り合わせた縦糸および横糸ならび
に、紙側に浮き出した追加の横糸からなる二重層織物か
らなる抄紙機のシート形成部用織物に関する。

従来技術 紙側に浮き出した追加の横糸をもつ抄紙機の織物は、米
国特許出願第4,182,381号および第4,281,688号およびヨ
ーロッパ特許出願第85,363号により公知である。米国特
許出願第4,182,381号によれば、追加の横糸によつて、
特に留め継ぎ目の領域における損耗を減少でき、米国特
許出願第4,281,688号によれば、紙側と駆動側に、同じ
長さの浮き出しがあり、これによつて縁の巻き込みを防
ぐことができる。

ヨーロツパ特許出願第85,636号によれば、追加の、紙側
に浮き出した横糸が、シートの取りはずしを改善し、斑
点のつく危険を減らし、透過性を向上させる。

発明の解決しようとする問題点 このような織物において、追加の横糸は、それができる
だけ少ししかウエーブがかからないように織り込まれ
る。しかし、それは紙側に突き出してシート形成を防げ
易く、また、高圧ジエツト水流によつて織物を洗浄する
際に、突き出した糸が、しばしば破壊されるという問題
がある。

本発明は、抄紙機のシート形成部のための冒頭に述べた
種類の織物を提供し、これによつて、高圧ジエツト水流
で洗浄したときの横糸の破壊の危険を少くすることを課
題とする。

問題を解決するための手段 この課題は、紙支持面側に浮き出した追加の横糸を、こ
の紙側の横糸により形成される平面の下方に織り込むこ
とによって解決課題され、本発明の抄紙機のシート形成
部用織物は、一方が他方の上に対をなして配置された上
層の横糸と下層の横糸、及び追加の横糸を含む３つの横
糸システムを有する二重層の織物からなり、前記追加の
横糸のそれぞれが、上側の横糸と同一の平面にて前記織
物の紙支持面に浮きを有し、かつ、下側の横糸の水平面
にて少なくとも１本の縦糸によって織り込まれているこ
とを特徴とする。

好ましくは、追加の、浮き出した横糸は、追加の横糸の
全断面が、その織込まれた点で、紙側の形成に関与して
いる通常の横糸の最も深い位置よりも、深いところに位
置するように深い所で織り合わせるのがよい。追加の横
糸を深く織込むための必要条件は、一般に、少なくとも
縦糸を追加の横糸と織り合わせる点が、それに隣接する
紙側の横糸の一方又は双方の下に広がるように、追加の
横糸を縦糸と織り合わせることである。また、追加の浮
き出した横糸は、軟かくて伸びやすい材料から成るのが
好ましい。

織物は、平坦またはエンドレスに織ることができる。通
常のように、糸は、合成樹脂モノフイラメントから成
り、この場合、一般に縦糸には、横糸よりも弾性モジユ
ラスの大きい材料が選ばれる。特にエンドレスに織られ
る織物の場合は、糸は、合成樹脂マルチフイラメントか
ら成つてもよい。追加の、浮き出した横糸は、好ましく
は、通常の横糸より小さい直径をもつのがよい。

次に、本発明の実施例を、図面に基づいて説明する。

第１図は、二重層の８軸の織物の断面図を示す。この場
合、二重層の織物とは、縦糸の単一のシステムに織り込
まれた二層の横糸を含む織物を意味する。織物の上側す
なわち紙側は、互いに織り合わせた縦糸（１）と、上方
の横糸（２）とで形成される。上方の横糸（２）のそれ
ぞれに対して下方の横糸（５）が、整合して配置され、
これらの横糸が、対をなすように配置される。縦糸
（１）は、また、下方の横糸（５）とも織り合わされ
る。下方の横糸（５）は、抄紙機の駆動側を形成する極
めて長い、下方に突出した浮き出しを有している。下方
の横糸（５）は、特に摩耗にさらされるので、上方の横
糸（２）よりも大きい直径をもち、部分的にたとえばポ
リアミドおよびポリエステルのような耐摩耗性材料で代
替したものであるのが目的に合う。縦糸（１）は、上方
の横糸（２）とも、また下方の横糸（５）とも結合して
いるため、それは、一部は、織物の紙側に、一部は、駆
動側に伸びる。縦糸（１）が、上方および下方の横糸
（２）および（５）と織り合わされている位置の間にお
いて、縦糸は、また、追加の横糸（３）とも結合されて
いる。横糸（３）は、縦糸（１）との結合位置から見
て、織物の紙側に伸びる。これによつて、横糸（３）
は、長い浮き出しを形成する。

第１図に示した実施例は、８軸結合をもち、この場合、
それぞれの結合パターンは、８本の縦糸、16本の通常の
横糸（２）、（５）および、８本の追加の横糸（３）を
含む。追加の横糸（３）の浮き出しは、この場合、６本
の縦糸（１）の上側に伸びる。

いくつかの織パターンにおいて、織物の内部の深い所で
結合した追加の横糸（３）は、結合の目の中心から横へ
突き出されるのが見られる。第２図の実施例では、これ
は、追加の横糸（３）を、二本の縦糸（１）でそれぞれ
の結合位置で抱きこませることによつて防止している。
この場合は、横糸（３）の浮き出しは、それぞれ５本の
縦糸（１）の上に伸びている。

第３図の実施例では、ベースの織物すなわち、縦糸
（１）および上方ならびに下方の横糸（２）、（５）の
結合パターンは、７軸構造を有している。しかし追加の
横糸（３）は、それぞれ14本目毎の縦糸（１）とだけ織
り合わされ、すなわち、それはベースの織物の二つ目毎
のパターンに結合している。

第４図の実施例は、ベースの織物について第３図のそれ
と同じである。しかし、追加の横糸（３）は、入れかわ
り４本および６本の縦糸の上に浮き出しを有する。追加
の横糸（３）の浮き出しの長さが一定でないことによつ
て、斑点の付着性は改善される。浮き出しの長さが一定
でないのは、追加の横糸（３）が、伸び方のちがう縦糸
（１）と入れかわり結合すること、たとえば、パターン
の一番目と二番目の縦糸と、入れかわり結合することの
結果である。

下記の実施例１および２は、縦糸が経、横糸が緯で形成
された、抄紙機のシート形成部のための平織りの織物に
関する。

実施例 １ ベースの織物は、８軸結合の二重層である。経の通り
方：経糸すなわち縦糸（１）は、二対の緯糸すなわち横
糸（２）、（５）の上を通り、つぎに二対の横糸
（２）、（５）の間、一対の横糸（２）、（５）の下、
最後に、三対の横糸（２）、（５）の間を通つて、もう
一度、紙側に出るというパターンを繰り返す（第６図参
照）。紙側の上の縦糸（１）の浮き出しは、８軸のサテ
ン（８枚朱子）分布を有する（第５図参照）。

織物は、38本/cmの経糸密度で織られている。セツト後
は、経糸数は、織物の横方向の収縮によつて、42本/cm
に増加する。経糸は、モノフイラメントのポリエステル
（0.30mm経）から成る。この材料は、長さが変らず、す
なわち、高い弾性モジユラスを有する。

上層の緯糸フイラメントは、成織後、14本/cmの密度を
有するが、セツト後は、13.5本経/cmの密度をもつ織物
となる。緯糸の直径は、0.30mmである。これは、トレビ
ラ900タイプのポリエステルモノフイラメント材料から
成り、27cN/texにおいて23.4％の伸びに相当する軟い糸
質を有する。

駆動側の緯フイラメントすなわち横糸（５）は、上層の
横糸（２）の下に正しく来るように織られる。これは、
交互に上層の横糸と同じタイプの0.32mm径のポリエステ
ルモノフイラメントおよびPa6.6タイプの同じく0.32mm
径のポリアミドモノフイラメントから成る。

メツシユの開口を細分化するために、他の横糸の同様に
ソフトなトレビラ900タイプの0.15mm径のポリエステル
モノフイラメントから成る追加の横糸を、上層に織り込
む。追加の横糸（３）の通り方は、第１図と同じ、すな
わち、追加の横糸は、それぞれ、６本の縦糸（１）の上
と、２本の縦糸（１）の下を通る。結合場所において、
追加の横糸（３）は、下方の横糸（５）の平面の中にあ
る。セットした織物は、100N/cmの負荷で、0.6％の伸び
および8000m³/m²/hの空気透過性を有する。紙側には、
縦糸の浮き出しと、通常の横糸（２）及び追加の横糸
（３）の浮き出しが、一平面上に存在する。駆動側で
は、縦糸のウエーブより15.5/100mm内側に横糸（５）が
位置している。これは、この織物が、横糸ランナーであ
ることを意味する。15.5/100mmの厚さをつかいはたした
後にだけ、縦糸の最下部が、抄紙機と接触する。すなわ
ち、縦糸の摩耗が、この時点で始まる。第１図に示すよ
うに、追加の横糸（３）の結合位置は、追加の横糸が、
摩耗を受けない程、スクリーンの内部に深く隠されてい
る。

この８軸二重層の織物は、ボール紙の製造に使用され
る。その高い保持性のために、この織物は、包装紙や、
包装の分野で使用される類似の重質タイプの紙の製造に
も同様に有利である。

実施例 ２ この織物は、14軸であり、縦糸（１）は、二対の横糸
（２）、（５）の上、一対の横糸（２）、（５）の間、
一対の横糸（２）、（５）の下および三対の横糸
（２）、（５）の間を通る。紙側には、縦糸の浮き出し
のサテン分布がある。成織後、縦糸（１）の密度は54本
/cmであり、熱セツト後のそれは60本/cmである。縦糸
は、0.17mm径のポリエステルモノフイラメントから成
り、高い弾性モジユラスをもつた、長さに安定なフイラ
メント性質をもつ。上層の横糸（２）は、トレビラ901
タイプの0.17mm径のポリエステルモノフイラメントから
成り、中程度の弾性モジユラス（27cN/texの負荷で、2
3.4％の伸び）を有する。成織後の織物は19本/cmの横糸
を含むが、最終的に仕上げた織物（スクリーン）は通常
の横糸を17.5本/cm含む。

織つたときに織物は、駆動側において、1cm当り19本の
0.20mm径の横糸（５）を有する。その半分はタイプ900
（27cN/texの負荷で23.4％の伸び）の品質をもつポリエ
ステル、あとの半分は6.6タイプのポリアミドである。

それぞれの対をなす通常の横糸の間に、追加の横糸が14
軸の織り方で第３図のように織り込まれている。追加の
横糸は、同じく、軟かい900タイプの0.12mm径のポリエ
ステルから成る。ベースの織物の構造は、実際に７軸で
あり、追加の横糸は、それぞれ７軸のパターンのあとで
縦糸と結合しているのでなくて、それぞれ14本目の縦糸
のあとに結合している。

紙側では、縦糸、横糸及び追加の横糸はすべて、同一の
平面内にあり、駆動側では横糸は、縦糸よりも9/100mm
内部に位置しており、すなわち、スクリーンは、横糸ラ
ンナーとなつている。

実施例２によるスクリーンは、微細構造の表面構造を有
し、斑点に敏感な筆記用紙および印刷用紙に、専ら使用
される。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は、本発明の種々の実施例の、追加
の構糸に沿つた断面図であり、第２図ないし第４図は、
追加の横糸の通り方だけを図示したものである。 第５図は、実施例１の組織図を示すものであり、矢印は
縦糸のコースを示し、黒に塗りつぶした面は、縦糸が紙
側に見えることを示し、紙側の残余の交差点では横糸
が、紙側に見えるもので、またＸ印の入つた面枠は、再
び、縦糸が駆動側に見える、すなわち、一対の横糸の下
を通ることを示している。 第６図は、実施例１の縦糸のコースを示す。 （１）……縦糸 （２）、（３）、（５）……横糸

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】抄紙機のシート形成部用織物であって、前
   記織物が、一方が他方の上に対をなして配置された上層
   の横糸と下層の横糸、及び追加の横糸を含む３つの横糸
   システムを有する二重層の織物からなり、前記追加の横
   糸のそれぞれが、上側の横糸と同一の平面にて前記織物
   の紙支持面に浮きを有し、かつ、下側の横糸の水平面に
   て少なくとも１本の縦糸によって織り込まれていること
   を特徴とする、抄紙機のシート形成部用織物。
2. 【請求項２】前記追加の横糸の全ての断面が、その織り
   込まれた箇所で、前記紙支持面の形成に関与している前
   記上層の横糸の最も深い位置よりも、前記織物において
   更に深いところに位置するような下側の水平面で、前記
   追加の横糸が、前記縦糸に織り込まれていることを特徴
   とする特許請求の範囲第（１）項記載の織物。
3. 【請求項３】前記追加の横糸が、前記上層及び下層の横
   糸よりも小さな直径を有することを特徴とする特許請求
   の範囲第（１）項記載の織物。
4. 【請求項４】前記追加の横糸が、前記上層及び下層の横
   糸の弾性モジュラスよりも大きくない弾性モジュラスを
   もつ材料から成ることを特徴とする特許請求の範囲第
   （１）項記載の織物。