JPH0712012Y2 - サ−マルプリンタ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、キャリッジ上に支持されるサーマルヘッドを
印字用紙の印字行に沿って移動させつつ、印字リボンを
介して印字用紙上に印字するサーマルプリンタに関す
る。

［従来技術］ 上述のサーマルプリンタは、従来、キャリッジを駆動す
るための駆動手段により、同時にリボン送りも行ってい
た。また、印字リボンを送るためのリボン送り機構はキ
ャリッジ上に配置されていた。そのリボン送り機構にお
いて、印字リボンを巻取るための巻取スプールと同軸上
には、巻取部材が設けられていた。この巻取部材は印字
時に印字ヘッドにより供給スプールから引出された印字
リボンを巻取るためにキャリッジ駆動手段より伝達され
る回転力をすべり機構を介して巻取スプールに伝達する
ように構成されていた。前記すべり機構は巻取スプール
と巻取部材とを摩擦係合するためのもので、キャリッジ
駆動手段により巻取部材に所定値（すべり機構と巻取ス
プールとの間の摩擦力）以上の負荷がかかると巻取スプ
ールとの間にすべりを生じてその負荷を逃がすように構
成されていた。それにより、前記巻取スプールに安定し
た回転力を供給するためには、すべり機構と巻取スプー
ルとの間の摩擦力を常に一定に保つ必要があり、そのた
めに、すべり機構と巻取スプールとの接触面積を大きく
すること等が考えられていた。

［考案が解決しようとする問題点］ しかしながら、上述のように構成されるサーマルプリン
タでは、キャリッジ駆動手段の小型化、あるいはプリン
タ本体の小型化を計るためにキャリッジをなるべく小さ
く構成する要求があった。また、キャリッジ上に配置さ
れたすべり機構もできるだけ小さくすることが要求され
ていた。そのため、すべり機構と巻取スプールとの接触
面積が小さく、両者の間の摩擦力を常に一定に保つこと
が困難であり、巻取スプールは安定した回転力を得るこ
とができなかった。

［考案の目的］ 本考案は、前述したような従来のサーマルプリンタの問
題点を解決するためになされたもので、その目的とする
ところは、リボン送りの安定化を計るとともに、キャリ
ッジ本体，或いはキャリッジ駆動手段等を小さくするこ
とにより、サーマルプリンタの小型化，低コスト化を実
現することにある。

［問題点を解決するための手段］ 前述の目的を達成するために、本考案のサーマルプリン
タは、機枠に固定されたすべり機構と、プラテン上の印
字行に沿って配設されると共に、所定値以上に力が加わ
ったときに前記印字行方向に移動可能なように前記すべ
り機構を介して機枠上に支持されるスライド部材と、キ
ャリッジ上において、巻取スプールおよびスライド部材
と係合可能に設けられ、前記キャリッジとスライド部材
との相対移動により回転され、印字時にサーマルヘッド
により供給スプールから引出された印字リボンを巻き取
るべく前記巻取スプールに回転力を伝達する巻取部材と
を備えている。

［作用］ 上記構成によれば、本考案のサーマルプリンタは、印字
時に印字ヘッドにより供給スプールから引出された印字
リボンを巻取スプールがキャリッジとの相対移動により
スライド部材から巻取部材を介して伝達される回転力を
利用して順次巻取る。

［実施例］ 本考案の一実施例について図面を参照しながら以下に説
明する。

サーマルプリンタ本体１の両側に配置された一対のフレ
ーム（図示せず）間には平板状のプラテン２が横方向に
固定されている。このプラテン２は紙送り用モータ３に
駆動連結された紙送り用ローラ４の回転に伴って挿入さ
れた印字用紙５を支持するものである。また、前記フレ
ームには前記プラテン２と平行なキャリッジガイド６お
よびガイド軸７がそれぞれ固定されている。このキャリ
ッジガイド６及びガイド軸７にはキャリッジ８がプラテ
ン２の長手方向に沿って往復移動可能に支持されてい
る。キャリッジ８には、キャリッジ駆動モータ９に駆動
プーリ10を介して連結された駆動ワイヤ11が取付けら
れ、このキャリッジ８はキャリッジ駆動モータ９の回転
駆動に伴って往復移動される。前記キャリッジ８上には
リボンカセット12が着脱可能に載置されている。このリ
ボンカセット12内には供給スプール13aおよび巻取スプ
ール13bが回転可能に支持されており、両スプール上に
は熱溶融性インクがコーティングされた印字リボン14が
巻回されている。

次に第2,3,4図を使ってキャリッジ８の内部構造を説明
する。

前記キャリッジ８上の後部には支持アーム15が基端部に
おいて支持軸16により回動可能に支持され、この支持ア
ーム15の先端部にはサーマルヘッド17が支持固定されて
いる。このサーマルヘッド17は印字用紙５の列方向に配
列された多数の発熱素子を有し、印字データに基づいて
所用の発熱素子を選択的に発熱させる。これにより印字
用紙５に文字がドット形式で印字される。前記支持アー
ム15とキャリッジ８との間にはコイルバネ18が張設さ
れ、そのコイルバネ18により支持アーム15は支持軸16の
まわりに第２図で時計方向へ付勢されている。それによ
り支持アーム15の先端部のサーマルヘッド17は一定の圧
力でプラテン２に圧接される。前記支持アーム15の基端
部にはＬ字形のカムフォロワ21が前方へ突出形成されて
いる。カムフォロワ21の後方には第１図に示すプラテン
２と平行に駆動モータ22により回転駆動される横断面矩
形上のカム軸23が配設されている。このカム軸23上には
楕円状カム24が遊嵌状態で支持されている。このカム24
はキャリッジ８に形成された一対の突起（図示せず）に
挟まれてキャリッジ８の移動時にキャリッジ８と一体的
に移動できるように構成されている。カム24はその回転
によって支持アーム15を第３図に示すように、支持アー
ム15の先端部がコイルバネ18の作用に抗してプラテン２
から離隔した退避位置と、印字時において第２図に示す
ように、支持アーム15の先端部がコイルバネ18の作用に
よりプラテン２に当接した印字位置との間で移動させ
る。また、前記支持アーム15の中央部前面には、後述す
る支持レバー30を非印字時に時計方向に移動させるため
の作動アーム25が前方へ突出形成されている。

キャリッジ８上には、上方へ延びた巻取スプール軸26の
下端が回転可能に支持され、その右方には供給スプール
軸27が回転可能に支持されている。前記巻取スプール軸
26の中間部には駆動ギヤ28が固定され、その上方には
「へ」字形の支持レバー30が回動可能に支持されてい
る。支持レバー30の左端部下面には軸31が突設され、そ
の軸31上には前記駆動ギヤ28と噛合する中間歯車32が回
転可能に支持されている。その中間歯車32の下面にはピ
ニオン33が一体に形成されている。前記支持レバー30と
キャリッジ８には突起34,35が形成され、両者の間には
コイルバネ36が張設されている。そのコイルバネ36によ
り支持レバー30は反時計方向に付勢され、第２図に示す
印字時には支持レバー30上のピニオン33はスライド部材
37に係合している。前記スライド部材37は第２図に示す
ようにフレーム上に回転可能に支持される歯付プーリ38
と従動プーリ39との間にループ状に張設された歯付ベル
トであり、キャリッジ８の両側面に設けられた開口部40
よりキャリッジ８内を貫通している。前記歯付プーリ38
は、第５図に示すように下端部がフレーム41に固定され
た支持軸42上に上下動可能に挿嵌支持されている。ま
た、前記支持軸42上部には円板43が固定され、その円板
43と前記歯付プーリ38との間には、歯付プーリ38を下方
に付勢する圧縮バネ44が挿入されている。更に、歯付プ
ーリ38の下面には、前記圧縮バネ44の弾性力によりフレ
ーム41との間に生じる摩擦力を一定に保つためのフェル
ト45が固着されている。それにより、前記ピニオン33よ
りスライド部材37を介して歯付プーリ38に前記摩擦力以
上の力が伝達されたときには、歯付プーリ38はフレーム
41との間にすべりを生じるように構成されている。

次に本考案のサーマルプリンタの動作を説明する。

印字時に、駆動モータ22は所定量だけ回転し、カム軸23
を回転させてカム軸23上のカム24とカムフォロワ21との
係合を解除する。退避状態の支持アーム15はコイルバネ
18の復元力により第２図に示すように時計方向へ付勢さ
れ、サーマルヘッド17はプラテン２上の印字用紙５に圧
接される。キャリッジ８は、キャリッジ駆動モータ９の
回転駆動に伴って印字行方向に移動する。このキャリッ
ジ８の移動とともに、サーマルヘッド17には印字データ
に基づいて所要の発熱素子に通電が行なわれる。これに
より、サーマルヘッド17は印字用紙５上にドットマトリ
ックス形式で印字を行う。また、サーマルヘッド17の移
動によりリボンカセット10内の供給スプール13a上に巻
回される印字リボン14は順次引出される。スライド部材
37と係合するピニオン33には、スライド部材37とキャリ
ッジ８との相対移動に伴い時計方向に回転力が付与され
る。この回転力は中間歯車32を介して駆動ギヤ28に伝達
され巻取スプール軸26を反時計方向に回転させる。その
回転により、印字リボン14は巻取スプール13bに順次巻
取られる。印字リボン14の巻取量は、ピニオン33,中間
歯車32,駆動ギヤ28のギヤ比により、通常キャリッジ８
の移動量よりも大きくなるように設定されている。そし
て、巻取スプール13bとサーマルヘッド17との間の印字
リボン14部分に生じるテンションにより巻取スプール13
bに負荷がかかると、歯付プーリ38とフレーム41との間
にすべりが生じスライド部材37は時計方向に回転され
る。それにより、ピニオン33とスライド部材38は一体的
に同方向に移動するため、ピニオン33の回転力は減少す
る。

非印字時には、駆動モータ22が所定量だけ回転し、カム
軸23を回転させる。それによりカム軸23上のカム24はカ
ムフォロワ21を前方へ付勢し、支持アーム15の先端部を
コイルバネ18の作用に抗してプラテン２から退避させ
る。このとき作動アーム25は支持レバー30の右腕部を前
方へ付勢し、その支持レバー30上のピニオン33をスライ
ド部材37より離隔させる。

［考案の効果］ 以上詳述したことから明らかなように、本考案のサーマ
ルプリンタは、機枠に固定されたすべり機構と、そのす
べり機構を介して機枠上に支持されるスライド部材と、
そのスライド部材とキャリッジとの相対移動により回転
し、その回転力を巻取スプールに伝達する巻取部材とを
備えており、それにより安定したリボン送りを行うこと
ができるとともに、キャリッジ本体，キャリッジ駆動手
段等を小さくすることができ、サーマルプリンタの小型
化，低コスト化を実現することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の印字装置の内部構造を示す斜視図、第
２図は印字時におけるキャリッジの内部動作を示す図、
第３図は非印字時におけるキャリッジの内部動作を示す
図、第４図はキャリッジの断面図、第５図は歯付スプー
ルを示す図である。 1:サーマルプリンタ,2:プラテン,5:印字用紙,8:キャリ
ッジ,9:キャリッジ駆動手段としての駆動モータ,13a:供
給スプール,13b:巻取スプール,14:印字リボン,17:サー
マルヘッド,37:スライド部材

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】印字用紙を支持するプラテンと、 そのプラテン上の印字行に沿って往復移動可能に支持さ
   れるキャリッジと、そのキャリッジを駆動するキャリッ
   ジ駆動手段と、 前記キャリッジとの一体移動が可能に支持され、且つ、
   前記プラテンに圧接する印字位置と前記プラテンから離
   間するリリース位置とに選択移動可能なサーマルヘッド
   と、 前記キャリッジ上に回転可能に配置され、前記サーマル
   ヘッドとプラテンとの間に供給される印字リボンが巻回
   された供給スプールと、 前記キャリッジ上に回転可能に配置され、前記印字リボ
   ンを巻取る巻取スプールと、 機枠に固定されたすべり機構と、 前記印字行に沿って配設されると共に、所定値以上に力
   が加わったときに前記印字行方向に移動可能なように前
   記すべり機構を介して機枠上に支持されるスライド部材
   と、 前記キャリッジ上において、前記巻取スプールおよびス
   ライド部材と係合可能に設けられ、前記キャリッジとス
   ライド部材との相対移動により回転され、印字時にサー
   マルヘッドにより供給スプールから引出された印字リボ
   ンを巻取るべく前記巻取スプールに回転力を伝達する巻
   取部材とを備えたことを特徴とするサーマルプリンタ。