JPH07118294B2 - 光電子増倍管 - Google Patents

光電子増倍管

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JPH07118294B2
JPH07118294B2 JP62029659A JP2965987A JPH07118294B2 JP H07118294 B2 JPH07118294 B2 JP H07118294B2 JP 62029659 A JP62029659 A JP 62029659A JP 2965987 A JP2965987 A JP 2965987A JP H07118294 B2 JPH07118294 B2 JP H07118294B2
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electrons
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    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J43/00Secondary-emission tubes; Electron-multiplier tubes
    • H01J43/04Electron multipliers
    • H01J43/06Electrode arrangements
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01JELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
    • H01J43/00Secondary-emission tubes; Electron-multiplier tubes
    • H01J43/04Electron multipliers
    • H01J43/28Vessels, e.g. wall of the tube; Windows; Screens; Suppressing undesired discharges or currents

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  • Photometry And Measurement Of Optical Pulse Characteristics (AREA)
  • Measurement Of Radiation (AREA)
  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)
  • Image-Pickup Tubes, Image-Amplification Tubes, And Storage Tubes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、時間相関単一光子計数法等に基づいた螢光分
光分析装置などに用いられる光電子増倍管に関し、特
に、光電子放出面すなわち光電面に入射する螢光などの
微弱な光をそのエネルギーに対応した電流に変換する光
電子増倍管に関する。
〔従来の技術〕 一般に光電子増倍管は、カソード電極すなわち光電面に
入射した光により光電面から放出される光電子すなわち
一次電子をさらに複数のダイノードの二次電子放出面に
よって多数回増倍しアノード電極から電流として出力す
るようになっている。
第7図は、従来の光電子増倍管の概略断面図である。
第7図において、ヘッドオン型の従来の光電子増倍管51
は、円筒形状の外囲器2内に、カソード電極すなわち光
電面4と、第1集束電極52と、第2集束電極53と、平板
電極6と、二次電子放出面をそれぞれもつ第1ダイノー
ド7乃至第12ダイノード18と、アノード電極19とを備え
ている。
外囲器2の一方の端部は、透明の入光面3によって閉鎖
されており、また他方の端部はステム20によって閉鎖さ
れている。入光面3の内側は、例えば曲率半径55mmの小
さな曲率の曲面となっている。カソード電極すなわち光
電面4は、入光面3の内側の曲面に沿ってK-Sb-Csの組
成のバイアルカリあるいはNa-K-Sb-Cs(Sナンバー:2
0)などの周知の光電子放出材料で形成されている。一
方、第1ダイノード7乃至第12ダイノード18は、Ni材料
からなり、第1ダイノード7乃至第12ダイノード18の内
側表面には、SbCsで被膜されたK-Sb-Csの組成のアンチ
モン化アルカリ化合物材料の二次電子放出面が形成され
ている。なお第7図には、第1ダイノード7の二次電子
放出面22だけが示されている。
光電面4と第1ダイノードの7との間に設けられている
円筒形状の第1集束電極52および円筒形状の第2集束電
極53は、光電面4から放出された光電子すなわち一次電
子を第1ダイノード7に集束させるためのものである。
第1集束電極52および第2集束電極53の上部は開放され
ている一方、第1集束電極52の底部の中央には、第2集
束電極53を受入れるための開口54が設けられ、また第2
集束電極53の底部の中央には一次電子を通過させるため
の開口55が設けられている。
また平板電極6は、第1集束電極52および第2集束電極
53を支持すると同時に、カソード電極4と第1ダイノー
ド7乃至第12ダイノード18,アノード電極19とを電気的
に分離させるためのものであり、中央に一次電子を通過
させるための開口24を有している。なお、第1集束電極
52の開口54,第2集束電極53の開口55および平板電極6
の開口24は、互いに外囲器2の中心軸線を中心とした同
心円形のものである。
上述のようなカソード電極4,第1集束電極52,第2集束
電極53,平板電極6,第1ダイノード7乃至第12ダイノー
ド18,およびアノード電極19は、ステムピン、リード線
(図示せず)を介して各々に対応する接続用ピンK,G,G
1,DY1乃至DY12,Pに接続されている。
第8図は、このような光電子増倍管51の接続用ピンと外
部回路との接続状態を示すものである。
第8図において外部回路37は、光電子増倍管51の接続用
のピンK,G,DY1乃至DY12,Pのそれぞれに対応したソケッ
トS14,S15,S1乃至S12,S13を備えている。ソケットS14
は、電圧−HVを与える電源(図示せず)に接続されてい
る。またソケットS15,S1乃至S12はそれぞれ、電圧−HV
を与える上記電源からブリーダ抵抗R1乃至R16およびコ
ンデンサC1乃至C9により分割されて接続されている。な
お、ブリーダ抵抗R16の一方の端子は接地されている。
またブリーダ抵抗R10乃至R16と並列に接続されているコ
ンデンサC1乃至C9は、ソケットS7乃至S12の電圧を所定
の電位に保持するためのものである。
さらに、外部回路37のソケットS13は、同軸ケーブルCBL
に接続されている。本実施例の外部回路37は、入射する
光子数が少なく1個1個を分離して検出し得る微弱光の
検出を対象としているので、光電子増倍管51からの出力
信号を取出すソケットS13にはパルス状の出力信号を正
確に伝達する同軸ケーブルCBLが用いられている。
このような構成の外部回路37に光電子増倍管51を接続す
ると、光電子増倍管51のカソード電極4は、ピンKを介
して最も低い電位−HV(例えば−2500V)に保持され、
次いで第1集束電極52,第1ダイノード7乃至第12ダイ
ノード18は、ピンG,ピンDY1乃至DY12をそれぞれ介し
て、順次に電位が高くなり、アノード電極19はピンPを
介して接地電位に保持されるようになっている。なお、
第2集束電極53は、ピンG1を介して第7ダイノード13と
同じ電位となる。
ところで微弱でしかも寿命の短かい螢光などを測定する
方法として、時間相関単一光子計数法が螢光分光分析装
置などに良く用いらられる。螢光分光分析装置では、第
9図(a)に示すようなパルス幅の十分に狭い励起光パ
ルスEXを試料(例えば生体物質、半導体など)に照射し
て試料内物質の分子を励起光パルスEXのエネルギーに応
じて基底状態から励起状態に遷移させる。その後この励
起された分子は励起状態から基底状態に戻り、その際に
励起状態と基底状態とのエネルギーギャップに相応した
波長の螢光を発光する。
時間相関単一光子計数法では、このようにして発光され
る螢光の光子数が観測時間内に1個しか検出されないよ
うにすなわち単一光子SPしか検出されないように第9図
(a)に示す励起光パルスEXの強度を弱めておく。これ
によって、第9図(a)に示すように励起光パルスEXに
より時刻t1に試料(図示せず)を励起してからある時間
経過後、例えば第9図(c)に示すように時刻t2に単一
光子SPが放出される。単一光子SPが放出される確率は、
励起光パルスEXによって励起される時刻t1から僅かの時
間経過後が最も高く、時刻t1から時間が経過するにつれ
て、ほぼ指数関数的に減少する。時間相関単一光子計数
法では、第9図(a)に示すような励起光パルスEXを試
料に繰返し入射させ第9図(c)に示すような単一光子
SPを繰返し放出させてこの単一光子SPの放出される時刻
に対する単一光子SPの頻度αを求めるものである。その
結果、第9図(b)に示すような螢光の時間特性すなわ
ち螢光減衰曲線CV0(t)を得ることができる。なお、
後述のように、第10図の測定装置では、単一光子SPの発
生時刻は、確率的に変動するものではなく、予め定めら
れているので、単一光子SPを光電子増倍管51に繰返し入
射し、光電子増倍管51からの出力信号を繰返して測定し
た結果は、螢光減衰曲線とはならず理想的には一定の時
刻のところにだけ繰返し回数分の頻度をもつ分布となる
はずである。
第10図は、上述の時間相関単一光子計数法に基づく螢光
などの微弱光の測定装置の概略構成図、第11図(a)は
第10図に用いられる時間波高変換器への開始信号STTを
示す図、第11図(b)は光電子増倍管から出力される出
力信号を示す図、第12図(a)は光電子増倍管からの出
力信号に対する閾値を説明するための図、第12図(b)
は光電子増倍管からの出力信号から第12図(a)で定め
た閾値によって光パルス電流だけを検出する仕方を説明
するための図である。なお第10図の測定装置では、実際
の試料からの螢光を測定するのではなく、パルス発生器
62,光ファイバー63,フィルタ64によって螢光と同様な微
弱光を発生させており、従って、単一光子SPの発生する
時刻は、確率的に変動するものでなく、予め定められて
いるものである。
第10図において測定装置は、コンピュータ58によって制
御されるようになっている。コンピュータ58には、多重
チャンネル波高分析器(MCA)59が接続され、多重チャ
ンネル波高分析器59には時間波高変換器(TAC)60が接
続されている。時間波高変換器60には、第11図(a)に
示すような開始信号STTが入力し、この開始信号STTと後
述の停止信号STOPとの時間差を計数するようになってい
る。なお、後述のように1つの開始信号STTに対して光
電子増倍管51から2つの出力信号すなわちパルス電流が
出力されコンスタントフラクション弁別器66から2つの
停止信号STOPが出力されたとすると、時間波高変換器60
は、開始信号STTと最初の停止信号STOPとの時間差だけ
を計数し、2番目の停止信号を無視するようになってい
る。
遅延回路61は、パルス発生器62により光が出力される時
刻から所定の時間遅延した時刻に開始信号STTを時間波
高変換器60に入力させるためのものであり、例えば、20
0ナノ秒程度遅延して開始信号STTが時刻波高変換器60に
入力するように設定されている。
パルス発生器62は、410ナノmの波長の光を出力する発
光ダイオード(図示せず)を内部に備えており、この発
光ダイオードを発光させるようになっている。光ファイ
バ63は、パルス発生器62の発光ダイオードから出力され
た光をフィルタ64まで案内し、フィルタ64は、光ファイ
バ63からの光の光量を弱め、光電子増倍管51において光
子数が観測時間内に1個しか検出できないような単一光
子SPの状態(single photoelectron event;以下SPEの状
態という)の微弱光にして光電子増倍管51に入射させる
ためのものである。これにより、光電子増倍管51にはパ
ルス発生器62で光を出力した時刻から所定の時間経過
後、単一光子SPが入射する。
光電子増倍管51の各電極には、前述のように外部回路37
から所定の電圧が印加されており、これによって光電子
増倍管51に入射した微弱光は先づカソード電極すなわち
光電面4に入射して光電面4から光電子すなわち一次電
子を放出する。
光電面4から放出された一次電子は、第1集束電極52お
よび第2集束電極53によって集束され、第2集束電極53
の開口55および平板電極6の開口24を通過して第1ダイ
ノード7に到達する。
第1ダイノード7に入射した一次電子によって、第1ダ
イノード7の二次電子放出面22からは二次電子が放出さ
れ、二次電子はさらに第2ダイノード8乃至第12ダイノ
ード18の二次電子放出面(図示せず)に入射し、これら
の二次電子放出面によって増倍されて、アノード電極19
から出力信号すなわち電流として外部回路37に出力され
る。
光電面4に入射した光は、SPE状態の微弱光であるの
で、アノード電極19からの出力信号は、第11図(b)に
示すようなパルス電流PC1,PC2,PC3となる。第11図
(b)においてパルス電流PC1は、例えば後述の主パル
ス電流として示されており、パルス電流PC1は、光電子
増倍管51内の電子の走行時間分だけ単一光子SPの入射時
刻より遅れて出力される。
また第10図の測定装置では、実際の螢光が光電子増倍管
51の光電面4の直径10mmの範囲にだけ入射することに鑑
みて、光電子増倍管51の入光面3の直径10mmの範囲以外
の部分を黒テープなどで覆い、光電面4の直径10mmの範
囲以外の領域には発光ダイオードからの光が入射しない
ようにしている。
増幅器65は、外部回路37からの出力信号すなわちパルス
電流を増幅してコンスタントフラクション弁別器(CF
D)66に与えるものである。コンスタントフラクション
弁別器66は、増幅器65からのパルス電流のうちで所定の
閾値LLDよりも大きなパルス電流のみを出力するように
なっている。この閾値LLDは、例えば第12図(a)に示
すようにパルス波高分布が極小となるようなパルス波高
値のところに調節して設定される。このように閾値LLD
を設定すると、第12図(b)に示すように、閾値LLDよ
りも小さな波高値をもつパルス電流PC2,PC3は光電子増
倍管51の暗電流による雑音信号として取除かれ、閾値LL
Dよりも大きな波高値をもつパルス電流PC1のみが光パル
ス電流として検出される。
このようにして閾値LLDよりも大きな波高値をもつ光パ
ルス電流が検出されると、コンスタントフラクション弁
別器66は、時間波高変換器60に対して停止信号STOPを送
る。これにより時間波高変換器60は、これ以後の光パル
ス電流を受付けないようになっている。なおパルス発生
器62から遅延回路61を介しての開始信号STTは停止信号S
TOPよりも先に時間波高変換器60に入力するようになっ
ている。これにより時間波高変換器60は、1つの開始信
号STTに対して最初の光パルス電流が発生したことをコ
ンスタントフラクション弁別器66からの停止信号STOPに
よって認識し、開始信号STTから停止信号STOPが発生す
るまでの時間ttを計数する。
開始信号STTは、パルス発生器62から一定の時刻に時間
波高変換器60に入力するようになっており、停止信号ST
OPも理想的にはパルス発生器62から光が出力された時刻
から一定の時間経過後に出力されるはずであるので、時
間ttは一定となるはずである。しかしながら光電子増倍
管51内における一次電子、二次電子の軌道のばらつきに
よって、開始信号STTから停止信号STOPまでの時間ttに
はばらつきすなわち時間的ゆらぎが生ずる。
時間波高変換器60によって開始信号STTから1つの停止
信号STOPまでの時間ttが計数されると、その結果は1つ
の測定データとして多重チャンネル波高分析器59に送ら
れさらにコンピュータ58によって時間ttにおける単一光
子頻度αを“1"だけ増加させ更新させる。
このようにして、単一光子SPを光電子増倍管51に繰返し
(例えば10万回)入射させて、開始信号STTから停止信
号STOPまでの時間ttに対する光子頻度をプロッタ47に出
力すると、第13図に示すような光子計数データが作成さ
れる。なお第13図は、光子頻度の最も高い時刻ttを“0"
ナノ秒に換算して示されている。
光電子増倍管51内における一次電子、二次電子の軌道に
ばらつきがないとすれば、繰返し測定した光子計数デー
タは、第13図において“0"ナノ秒のところにだけ繰返し
回数分の頻度をもつ理想パルス電流IPとして検出される
はずである。しかしながら、光電子増倍管51内の一次電
子、二次電子の軌道にはばらつきがあるので、実際には
第13図に示すように半値幅FWHM1の時間的ゆらぎをもつ
主パルス電流MP1と、この主パルス電流MP1からいくらか
遅れて発生する残パルス電流AP1とが検出されることに
なる。
なお第13図の光子計数データからわかるように従来の光
電子増倍管51では、主パルス電流MP1となる単一光子の
頻度の半値幅FWHM1は、500乃至600ピコ秒であり、さら
に残パルス電流AP1は主パルス電流MP1から約15乃至20ナ
ノ秒遅れて3乃至4%の発生確率で検出された。なお残
パルス電流AP1の発生確率は、第13図に示すように主パ
ルス電流MP1となる単一光子の頻度総数AR1に対する残パ
ルス電流AP1となる単一光子の頻度総数AR2の割合として
算出された。
また第13図において主パルス電流MP1,残パルス電流AP1
となる単一光子の頻度分布は、前述のように単一光子SP
の発生時間が予め定められている場合の検出結果であ
り、実際の螢光の測定では、単一光子SPは、第9図
(b)に示すような時間特性すなわち螢光減衰曲線CV0
(t)に従って確率的に光電子増倍管51に入射するの
で、光電子増倍管51によって実際の検出される単一光子
頻度の時間的変化は、第9図(b)に示すような実際の
螢光の時間特性すなわち螢光減衰曲線CV0(t′)と主
パルス電流MP1,残パルス電流AP1の時間的ゆらぎ曲線g
(t′−t)との時間的コンボルーション: CV(t)=∫CV0(t′)× g(t′−t)dt′ ……(1) で予測される。この時間的コンボルーションは、コンピ
ュータ58内で計算されて、第13図において螢光減衰デー
タCV1(t)として同時にプロッタ47に出力されてい
る。
〔発明が解決しようとする問題点〕
このように第7図に示すような構造の従来の光電子増倍
管51では、主パルス電流MP1は約500乃至600ピコ秒の半
値幅FWHM1の時間的ゆらぎをもち、さらにこの主パルス
電流MP1の他にも残パルス電流AP1が3乃至4%の発生確
率で出力され測定される。
残パルス電流AP1は、従来第1ダイノード7で発光した
光がカソード電極4まで戻り再び第1ダイノード7に入
射する所謂光フィードバックによって生ずるものと考え
られていたが、本願の発明者等は残パルス電流AP1が、
カソード電極4から第1ダイノード7までの光電子すな
わち一次電子の走行時間の2倍の時間遅れで発生する規
則性を有していることを見出した。残パルス電流AP1
発生が光フィードバックによるものであるならば、カソ
ード電極4から第1ダイノード7までの光の走行時間は
数100ピコ秒となり電子の走行時間に比べて著しく小さ
くなるので、上述のような規則性は生じない。本願の発
明者等は、残パルス電流AP1がカソード電極4から第1
ダイノード7までの光電子の走行時間の2倍の時間遅れ
で発生するという事実に着目し、残パルス電流AP1が光
フィードバックによるものではなく、第7図に軌道G1乃
至G5で示すように第1ダイノード7の二次電子放出面22
から放出される二次電子がカソード電極4まで戻り再び
第1ダイノード7に入射することによって生ずることを
解明した。
第14図は、光電子すなわち一次電子が100eVのエネルギ
ーで第1ダイノード7の二次電子放出面22に入射したと
きに放出される二次電子のエネルギー分布を示す図であ
る。
第14図からわかるように、二次電子のエネルギー分布は
領域a,b,cに分類される。領域aのエネルギー分布に属
する二次電子は約2eVのエネルギーで放出され、また領
域cのエネルギー分布に属する二次電子は、一次電子よ
りも僅かに少ないエネルギーで放出される。
領域aのエネルギー分布の二次電子は、二次電子放出面
22から新たに放出された通常の二次電子である一方、領
域bのエネルギー分布の二次電子の一部は通常の二次電
子として新たに放出されたものであり、他の一部は一次
電子が二次電子放出面22内に浸入し、そこでエネルギー
の授受を行ないエネルギーの一部を失った後、二次電子
放出面22で非弾性的に反射されたものである。なお領域
bのエネルギー分布の二次電子のうちで一次電子が非弾
性的に反射されたものは、後方散乱電子(backscattere
d electron)と呼ばれている。また領域cのエネルギー
分布の二次電子は一次電子が二次電子放出面22で極く僅
かのエネルギーを失った後、ほぼ弾性的に反射されて放
出されたものである。なおこの弾性的に反射された電子
を弾性反射電子と呼ぶ。
領域aのエネルギー分布の二次電子は、第15図(a)に
示すように主パルス電流MP1として出力される一方、領
域bのエネルギー分布の二次電子は、第15図(b)に示
すように主パルス電流MP1′と主パルス電流MP1′から僅
かの時間経過後の残パルス電流AP1′として出力され
る。すなわち、領域bのエネルギー分布の二次電子のう
ちで、通常の二次電子として放出されるものは主パルス
電流MP1′として出力される一方、後方散乱電子として
放出されるものは残パルス電流AP1′として出力され
る。すなわち後方散乱電子は、カソード電極4までは戻
らずに向きを変えて第1ダイノード7に入射するので、
主パルス電流MP1′から僅かの時間遅れで残パルス電流A
P1′として出力されることになる。しかしながら、前述
のように測定装置の時間波高変換器60は、最初の出力信
号すなわち主パルス電流MP1′による停止信号STOPまで
の時間だけを測定するので、後方散乱電子による残パル
ス電流AP1′は実際には測定されない。
これに対して領域cのエネルギー分布の二次電子すなわ
ち弾性反射電子は第15図(c)に示すように残パルス電
流AP1として出力される。この弾性反射電子は、入射時
よりも僅かに小さなエネルギーで第1ダイノード7から
放出されるので、第7図に軌道G1,G2,G3,G4,G5で示すよ
うに、カソード電極4の近くまで戻り、そこで向きを変
えて再び第1ダイノード7に入射する。このために、弾
性反射電子によるパルス電流は、カソード電極4から第
1ダイノード7までの電子走行時間の約2倍の時間遅れ
でアノード電極19から出力され、これが第13図に示す残
パルス電流AP1として測定されることになる。すなわ
ち、弾性反射電子は、主パルス電流MP1を伴なわないの
で測定装置の時間波高変換器60において残パルス電流AP
1による停止信号STOPまでの時間ttが実際に測定される
ことになる。
なお第7図に示す弾性反射電子の軌道G1乃至G5は、コン
ピュータシミュレーションにより計算されたものであ
り、この計算において第1ダイノード7によって弾性的
に反射される弾性反射電子の角度分布は、カソード電極
4から第1ダイノード7に入射する一次電子の入射角度
に依存し、一次電子が入射した方向に反射される確率が
高いということを考慮している。
第16図は、第1ダイノード7によって弾性的に反射され
た弾性反射電子の角度分布を示す図であり、第16図から
わかるように、例えば角度θ=0°,30°,45°で入射し
た一次電子がそれぞれ弾性的に反射される角度分布AD0,
AD1,AD2は主に角度θ=0°,30°,45°の方向にある。
このようなメカニズムで発生し測定される残パルス電流
AP1は、主パルス電流MP1に基づく光子計数データの解析
精度を低下させ、第9図(b)に示すような実際の螢光
減衰曲線CV0(t)との時間的コンボルーションをとっ
た結果は、第13図に示すような螢光減衰データCV
1(t)となり、第9図(b)に示す実際の螢光減衰曲
線を正確に予測することができないので、取除かれるの
が望ましい。
しかしながら、第7図に示すような構造の光電子増倍管
51では、カソード電極4の近くまで戻った弾性反射電子
は何らその軌道を邪魔されることなく再び第1ダイノー
ド7に入射するようになっており、また弾性反射電子は
第1ダイノード7の二次電子放出面22の材料に依らずに
発生することから、残パルス電流AP1を有効に阻止する
のは困難であるという問題があった。
本発明は、残パルス電流を有効に阻止して、主パルス電
流に基づく螢光などの微弱光の光子計数データの解析精
度を向上させることの可能な光電子増倍管を提供するこ
とを目的としている。
〔問題点を解決するための手段〕
本発明は、一次電子を放出する一次電子を放出する光電
面と、前記一次電子の入射によって二次電子を放出する
ダイノードと、除去電極とを備え、前記除去電極は、前
記光電面と前記ダイノードとの間に位置決めされ、該除
去電極の光電面と対向する側には、上方開口が形成さ
れ、また、前記除去電極のダイノードと対向する側に
は、下方開口が形成され、さらに、前記除去電極の下方
開口の周縁には、前記ダイノードにより光電面に向けて
反射された二次電子を効率良く捕獲するための底部材が
設けられており、前記除去電極は、前期光電面から放出
される一次電子を前記上方開口,下方開口から前記ダイ
ノードに向けて通過させる一方、前記ダイノードから前
記光電面に向けて反射される二次電子を捕獲するように
なっていることを特徴とする光電子増倍管によって、上
記従来技術の問題点を改善するものである。
〔作用〕
本発明では、光電面に螢光のような微弱光が入射すると
光電子すなわち一次電子が放出される。この一次電子
は、除去電極の上方開口,下方開口を通過してダイノー
ドに入射する。ダイノードに一次電子が入射すると、ダ
イノードからは二次電子が放出されるが、この二次電子
のうちで一次電子が弾性的に反射されたものは光電面の
近くまで戻り、再びいま放出されたと同じダイノードに
入射する。この弾性的に反射された二次電子によって、
光子計数データの解析精度を低下させる要因となる残パ
ルス電流が測定装置で検出されることになる。ところで
本発明ではダイノードにより弾性的に反射された二次電
子を、光電面とダイノードとの間に設けられた除去電極
により反射、吸収することで捕獲するのでダイノードに
より弾性的に反射された二次電子が再びダイノードに入
射する確率を減少させることができる。特に、本発明で
は、除去電極の下方開口の周縁には、ダイノードにより
光電面に向けて反射された二次電子を効率良く捕獲する
ための底部材が設けられているので、ダイノードにより
弾性的に反射された二次電子が再びダイノードに入射す
る確率を著しく低減し、光子計数データの解析精度を著
しく高めることができる。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
第1図は、本発明に係る光電子増倍管の一実施例の概略
構成図、第2図は第1図に示す除去電極の拡大斜視図で
ある。第1図において第7図と同様の箇所には同じ符号
を付して説明を省略する。
第1図に示す光電子増倍管1は、カソード電極すなわち
光電面4と第1ダイノード7との間に、集束電極25と、
除去電極26と、平板電極6と、平板電極6上に設けられ
た絶縁部材31とを備えている。
集束電極25は、第7図に示す第1集束電極52と同様に、
光が入射したときにカソード電極すなわち光電面4から
放出される光電子すなわち一次電子を第1ダイノード7
に向けて集束させるためのものである。集束電極25の底
部39には、除去電極26を受け入れるための開口30が設け
られており、集束電極25はステムピン32によって絶縁部
材31および平板電極6から所定の間隔をへだてて位置決
めされている。
また除去電極26は、第1ダイノード7から反射される弾
性反射電子を第1ダイノード7に再び入射させないよう
にするためのものである。除去電極26は、第2図に詳細
に示すように、上方開口28を有する上部34と、一部が截
頭円錐形の形状をしている側部35と、下方開口29を有す
る底部36とからなっている。除去電極26の上部34および
底部36は円板状のものであり上方開口28,下方開口29は
それぞれ上部34,底部36に互いに同心の関係に設けられ
ている。
除去電極26は、その上方開口28を光電面4からの一次電
子が第1ダイノード7に向かって確実に通過し、第1ダ
イノード7から弾性的に反射される二次電子が上方開口
28から光電面4に戻らず除去電極26の内壁によって補獲
される位置に位置決めされる。すなわち第1図に示すよ
うに、除去電極26の上部34を第1ダイノード7よりも光
電面4に近い位置に位置決めする。また光電面4からの
一次電子が上方開口28を確実に通過するため、上部34す
なわち上方開口28は、集束電極25によって集束された一
次電子の軌道の断面が最も狭まる位置に位置決めされる
のが良い。このために除去電極26は側部35の截頭円錐形
状の部分の下縁が集束電極25の底部39とほぼ同一平面上
に位置し、除去電極26の上部34が集束電極25の側部38の
上縁よりも下方に位置するように位置決めされている。
なおこのように除去電極26を位置決めするため、第1図
の集束電極25の側部38の中心軸線方向の長さは、除去電
極26の截頭円錐形状の部分の中心軸線方向長さよりも長
く設計されている。
除去電極26の上部34の上方開口28の大きさすなわち直径
D1は、カソード電極すなわち光電面4のうちで実際に光
が入射する領域の有効面積を制限するものである。上方
開口28の直径D1が小さい場合には、弾性反射電子がカソ
ード電極4に戻る確率を減少させることができるが、光
が入射したときに光電面4から放出される光電子が第1
ダイノード7に到達する確率は低下し、これによって主
パルス電流を精度良くすなわち高感度に測定することは
できなくなる。これに対して、上方開口28の直径D1が大
きい場合には、光電面4から放出される光電子が第1ダ
イノード7に到達する確率は高くなり、主パルス電流も
大きくなるが、第1ダイノード7で反射された弾性反射
電子がカソード電極4に戻る確率が増大し、これにより
残パルス電流も大きくなるので、主パルス電流だけを精
度良く検出することはできない。
従って上方開口28の直径D1は、光電面4から放出される
光電子の経路を差程妨げずかつ弾性反射電子がカソード
電極4の近くまで戻るのを有効に阻止するような大きさ
にする必要がある。実際に光が入射する光電面4の領域
の直径すなわち有効面積の直径を約5mmに設定すると、
上方開口28の直径D1は、実際に光が入射する光電面4の
領域の直径の0.77倍乃至0.67倍の大きさに定められ、約
3.5mmの大きさに設定される。
一方、下方開口29の直径D3は、上方開口28を通過した光
電子が第1ダイノード7に到達ちするのを妨げない大き
さに定められる。例えば上方開口28の周縁と平板電極6
の開口24の周縁とを結ぶ截頭円錐形の曲面上に下方開口
29の周縁が位置するよう設定される。この場合には、下
方開口29の直径D3は、約8mmに設定される。
なお第2図に示す除去電極26の上部34,底部36の直径D2,
D4は、それぞれ約7mm、約31mmであり、側部35の截頭円
錐形の部分の高さH1は、約21.35mmである。
なお、第2図に示す除去電極26は一例にすぎず、除去電
極の形状はこれらのものに限定されない。
第2図に示す除去電極26,は金属、好ましくは仕事関数
の大きなすずまたは銅などの金属で形成されるのが良
く、また第1ダイノード7から反射された二次電子をよ
り効率良く補獲するため、内側表面は鏡面でなく例えば
多孔質のものであるのが良い。
除去電極26は、ステムピン33によって、集束電極25と同
様に、絶縁部材31および平板電極6から所定の間隔をへ
だてて配置されている。
平板電極6は、前述のように、集束電極25および除去電
極26をステムピン32,33によって支持すると同時に、カ
ソード電極4と第1ダイノード7乃至第12ダイノード1
8,アノード電極19とを電気的に分離させるためのもので
ある。
カソード電極4,集束電極25,第1ダイノード7乃至第12
ダイノード18,アノード電極19の各電極は、ステムピン
およびリード線(図示せず)を介して対応する接続用ピ
ンK,G,DY1,乃至DY12,Pにそれぞれ接続されている。なお
除去電極26は例えば第7ダイノードに接続されている接
続用ピンG1に接続され、平板電極6は第1ダイノード7
の接続用ピンDY1に接続されている。本実施例の光電子
増倍管1の各電極には、第8図に示す外部回路37と全く
同様の外部回路から第3図に示すような電圧が印加され
る。これにより、カソード電極4には−2500Vの電圧が
印加され、アノード電極19は接地電位に保持される。ま
た除去電極26は例えば第1ダイノード7と同電位にすな
わち−2035Vに保持され、カソード電極4に対して高い
電位に保持されているので、カソード電極すなわち光電
面4の付近の電界強度を高めることができる。なお第3
図は、各電極の印加電圧と、各電極の印加電圧とカソー
ド電極4との電位差とを具体的な値で示したものであ
る。また光電子増倍管1の接続用ピンK,G,G1,DY1乃至DY
12,Pと外部回路との接続の状態も第8図に示すものと同
じである。
第10図の測定装置において上述した構造の本実施例の光
電子増倍管1(なお、除去電極は第2図の構造のもので
あるとする。)を従来の光電子増倍管51のかわりに用い
て光子計数を行なう場合、パルス発生器62,光ファイバ6
3,フィルタ64から螢光と同様なSPE状態の微弱光を光電
子増倍管1のカソード電極すなわち光電面4に入射させ
る。光電面4からは光電子すなわち一次電子が放出さ
れ、この一次電子は、集束電極25によって集束されて、
除去電極26の上部34の上方開口28に確実に入り、上方開
口28から下部36の下方開口29を通過し、さらに平板電極
6の開口24を通って第1ダイノード7の二次電子放出面
22に達する。
第1ダイノード7の二次電子放出面22からは、二次電子
が放出されるが、この二次電子が第14図に示す領域aの
エネルギー分布をもつ通常の二次電子である場合には、
カソード電極4に向かうことなく第2ダイノード8に向
かい、第2ダイノード8乃至第12ダイノード18によって
増倍されて、アノード電極19から第15図(a)に示すと
同様な主パルス電流MP2として出力される。
また二次電子放出面22から放出される二次電子が第14図
に示す領域bのエネルギー分布をもつ二次電子である場
合には、一部のものは通常の二次電子であるので、第2
ダイノード8に向かいアノード電極19から第15図(b)
に示すと同様な主パルス電流として出力される一方、他
のものは後方散乱電子であるので、カソード電極4に向
かうが第1図に軌道L4,L5で示すように除去電極26の底
部36によって反射または吸収されて第1ダイノード7に
戻らないかあるいは第1図に軌道L1,L2で示すように除
去電極26の下方開口29を通過しても除去電極26の内壁に
よって反射または吸収され、除去電極26に補獲されるの
で第1ダイノード7には戻らない。また後方散乱電子は
第1ダイノード7に再び戻る場合があるとしてもこれに
よる残パルス電流は前述のように実際には測定されな
い。
さらに二次電子放出面22から放出される二次電子が弾性
反射電子である場合には、カソード電極4の近くまで戻
ろうとするが、後方散乱電子と同様、軌道L4,L5で示す
ように除去電極26の底部36で反射または吸収されて第1
ダイノード7に戻らないか、あるいは軌道L1,L2で示す
ように下方開口29を通った後、除去電極26の内壁によっ
て反射または吸収され第1ダイノード7には再び入射し
ない。また第1図に軌道L3で示すように除去電極26の下
方開口29および上方開口28を通過してカソード電極4の
近くまで戻った場合でも、再び除去電極26の上方開口28
を通って第1ダイノード7に入射することはできない。
弾性反射電子が第1ダイノード7に再び入射したときに
は、アノード電極19から第15図(c)に示すと同様の残
パルス電流AP2として出力されるが、本実施例では除去
電極26を設けることにより、カソード電極4に向かった
弾性反射電子を除去電極26により反射または吸収するこ
とで補獲するかあるいはカソード電極4の近くまで戻っ
た場合でも再び第1ダイノード7に入射することができ
ないようにしているので、アノード電極19からの残パル
ス電流AP2の発生確率は、かなり小さなものとなる。
なおカソード電極4の印加電圧に対して除去電極26に高
い電圧を印加しているので、二次電子が除去電極26に吸
収される確率は高まる。
光電子増倍管1からの出力信号すなわちパルス電流は増
幅器65で増幅されてコンスタントフラクション弁別器66
に出力される。コンスタントフラクション弁別器66で
は、前述のように所定の閾値LLDによってパルス電流か
ら暗電流などの雑音信号を除去し、光パルス電流だけを
検出する。コンスタントフラクション弁別器66は、所定
の閾値LLD以上のパルス電流が出力されたときには時間
波高変換器60に停止信号STOPを送り、時間波高変換器60
は、開始信号STTから停止信号STOPまでの時間ttを計数
し、この時間ttを多重チャンネル波高分析器59を介して
コンピュータ58に送る。コンピュータ58は、時間ttに対
する単一光子頻度αを光子計数データとして累積してお
り、従って、時間波高変換器60から1つのデータすなわ
ち時間ttが入力すると、この時間ttにおける単一光子頻
度αを“1"だけ増加する。
このようにして、光電子増倍管1に単一光子SPを繰返し
入射させ、その都度、開始信号STTから停止信号STOPま
での経過時間ttを計数して、コンピュータ58内で時間tt
に対する単一光子頻度αを求めプロッタ47に出力する。
第4図は、本実施例の光電子増倍管1を用いて測定され
た出力結果を示す図である。
第4図からわかるように、主パルス電流MP2となる単一
光子の頻度の半値幅FWHM2は、約200乃至300ピコ秒とな
り、また残パルス電流AP2は主パルス電流MP2から約8乃
至10ナノ秒遅れて0.13%の発生確率で検出された。
本実施例の光電子増倍管1による第4図の出力結果と、
従来の光電子増倍管51による第13図の出力結果を比較す
ると、本実施例の光電子増倍管1では、主パルス電流MP
2の頻度の半値幅FWHM2は、半値幅FWHM1の約1/2となり、
主パルス電流MP2に対する残パルス電流AP2の検出時間も
約1/2短縮された。また残パルス電流AP2の発生確率が約
1/30に低減した。
本実施例の光電子増倍管1では、集束電極25によって集
束された光電面4からの一次電子を第1ダイノード7に
向かって確実に通過させる一方、第1ダイノード7から
光電面4に向かって放出された弾性反射電子を反射また
は吸収して補獲するような位置に、所定の大きさの開口
をもつ除去電極26を設けているので、残パルス電流AP2
の発生確率を著しく低減することができる。さらにこの
除去電極26にカソード電極4と比べて高い電位(例えば
第7ダイノードの電位)を与えることで、カソード電極
4の付近の電界強度を従来の光電子増倍管51に比べて高
くすることができて、弾性反射電子が除去電極26に吸収
される確率を高め残パルス電流AP2の発生確率を一層低
減することができる。またカソード付近の電界強度が高
くなることによってカソード電極4と第1ダイノード7
間の電子の走行時間を、従来の光電子増倍管51における
約8ナノ秒の走行時間に比べ約4.5ナノ秒と約1/2早めて
いる。これによって、主パルス電流MP2に対する残パル
ス電流AP2の検出時間は従来の光電子増倍管51に比べて
約1/2短縮され、さらに主パルス電流MP2の時間的ばらつ
きすなわち時間的ゆらぎも少なくなり、その半値幅FWHM
2を従来の光電子増倍管51における半値幅FWHM1の約1/2
に減少させることができる。
第4図には、第9図(b)に示すような実際の螢光の時
間特性すなわち螢光減衰曲線CV0(t′)と本実施例の
光電子増倍管1を用いた光子計数データとしての主パル
ス電流MP2,残パルス電流AP2の時間的ゆらぎ曲線h
(t′−t)との時間的コンボルーションが螢光減衰デ
ータCV2(t)として示されている。
本実施例の光電子増倍管1では、時間的ゆらぎ曲線h
(t′−t)は時間的ゆらぎが少なくかつ残パルス電流
AP2の頻度が少ないものとなっているので、螢光減衰デ
ータCV2(t)は、第13図に示されている螢光減衰デー
タCV1(t)と比べて第9図(b)に示す実際の螢光減
衰曲線CV0(t)により近いものとなる。
このように本実施例によれば、除去電極26を設けること
によって残パルス電流AP2の発生を有効に防止し、さら
にこの除去電極26の電位をカソード電極4の電位に比べ
て高いものにすることによって残パルス電流AP2の発生
を一層有効に防止すると同時に主パルス電流MP2の時間
的なばらつきすなわち時間的ゆらぎを有効に防止するこ
とができるので、第9図(c)に示すような単一光子SP
の発生時刻を忠実に検出することが可能となり、光電子
増倍管1を試料からの実際の螢光の測定に用いる場合、
第9図(b)に示す螢光減衰曲線CV0(t)を正確に検
出し、螢光の寿命測定を正確に行なうことが可能とな
る。
第5図および第6図は、それぞれ本発明の光電子増倍管
の変形例の構成図である。
第5図に示す光電子増倍管40では、第1図に示す光電子
増倍管1の集束電極25のかわりに、集束電極41が設けら
れている。この集束電極41は、集束電極25に比べて側部
42の中心軸線方向の長さが短かくなっており、集束電極
42の底部43が除去電極26の上部34とほぼ同一平面上に位
置するよう配置されている。この集束電極41には、集束
電極25と同じ電位すなわち−2360Vが印加される。
第5図に示すような構造の光電子増倍管40では、カソー
ド電極すなわち光電面から放出される光電子すなわち一
次電子は光電子増倍管40の中心に向かって集束電極41に
より一層集束され一次電子の軌道の断面をより狭くする
ことができるので、光電面4から放出された光電子すな
わち一次電子を除去電極26の上方開口28から第1ダイノ
ード7へ確実に向かわせることができる。
これにより、第1図に示す構造の光電子増倍管1では、
直径5mmであった光電面4の有効面積を直径7mm程度まで
拡大することができて、一層高感度の出力信号を得るこ
とができる。
また第6図に示す光電子増倍管44では、第1図に示す光
電子増倍管1の入光面3およびカソード電極すなわち光
電面4のかわりに、異なる形状の入光面45およびカソー
ド電極すなわち光電面46が設けられている。入光面45
は、入光面3と内側の曲面の形状を異にし、入光面3に
比べて内側の曲面の曲率が大きくなっている。すなわち
入光面3では曲率半径55mmの曲面であったが、入光面45
では、曲面の曲率半径を25mmにしているので曲率は約2
倍になっている。
これに伴ない、入光面45の内側の曲面に沿って形成され
た光電面46の曲率半径も25mmとなり、光電面46の曲率は
光電面4の曲率に比べて約2倍の大きさになっている。
このように光電面46の曲率を大きくすることにより、光
電面46から放出される光電子すなわち一次電子の軌道を
さらに中央部に向かって集束させ一次電子の軌道断面を
より狭めて一次電子を除去電極26の上方開口28へ一層確
実に案内することができるので、光電面46の有効面積を
拡大することができて、より高感度の出力信号を得るこ
とができる。
なお第5図および第6図の構造の光電子増倍管40,44を
第10図に示す測定装置に用いて測定したところ、図示し
ないが、第1図の光電子増倍管1と同様に残パルス電流
の発生確率が少なくかつ時間的ゆらぎの小さな光子計数
データを得ることができた。
〔発明の効果〕
本発明では、一次電子を放出する光電面と、前記一次電
子の入射によって二次電子を放出するダイノードと、除
去電極とを備え、前記除去電極は、前記光電面と前記ダ
イノードとの間に位置決めされ、該除去電極の光電面と
対向する側には、上方開口が形成され、また、前記除去
電極のダイノードと対向する側には、下方開口が形成さ
れ、さらに、前記除去電極の下方開口の周縁には、前記
ダイノードにより光電面に向けて反射された二次電子を
効率良く捕獲するための底部材が設けられており、前記
除去電極は、前期光電面から放出される一次電子を前記
上方開口,下方開口から前記ダイノードに向けて通過さ
せる一方、前記ダイノードから前記光電面に向けて反射
される二次電子を捕獲するようになっているので、ダイ
ノードにより反射された二次電子が再びダイノードに入
射する確率を著しく低減し、残パルス電流の発生確率を
著く低減させることができて、光子計数データの解析精
度を著しく高めることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係る光電子増倍管の一実施例の概略構
成図、第2図は第1図に示す光電子増倍管に用いられる
種々の除去電極の拡大斜視図、第3図は第1図の光電子
増倍管の各電極の印加電圧の具体的な値を示す図、第4
図は第1図の光電子増倍管を用いて測定した光子計数デ
ータを示す図、第5図、第6図はそれぞれ本発明の光電
子増倍管の変形例の概略構成図、第7図は従来の光電子
増倍管の概略構成図、第8図は光電子増倍管と外部回路
との接続状態を示す図、第9図は試料から発生する実際
の螢光を説明するための図であり、第9図(a)は試料
への励起光パルスを示す図、第9図(b)は螢光減衰曲
線を示す図、第9図(c)は試料から発生する螢光を示
す図、第10図は光子計数データを作成する測定装置の構
成図、第11図(a)は第10図の測定装置における開始信
号を示す図、第11図(b)は光電子増倍管から出力され
る出力信号を示す図、第12図は光電子増倍管からの出力
信号の閾値の設定を説明するための図であり、第12図
(a)はパルス波高分布から閾値を定める仕方を示す
図、第12図(b)は光電子増倍管の出力信号から閾値に
よって光パルス電流だけを取出す仕方を示す図、第13図
は第7図に示す従来の光電子増倍管を用いて測定した光
子計数データを示す図、第14図は光電子増倍管の第1ダ
イノードから放出される二次電子のエネルギー分布を示
す図、第15図(a),(b),(c)はそれぞれ第14図
の領域a,b,cのエネルギー分布をもつ二次電子の光子計
数データを示す図、第16図は弾性反射電子の軌道を説明
するための図である。 1,40,44……光電子増倍管、4,46……カソード電極また
は光電面、7……第1ダイノード、25,41……集束電
極、26……除去電極、28……上方開口、29……下方開
口、34……上部、35……側部、36……底部

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一次電子を放出する光電面と、前記一次電
    子の入射によって二次電子を放出するダイノードと、除
    去電極とを備え、前記除去電極は、前記光電面と前記ダ
    イノードとの間に位置決めされ、該除去電極の光電面と
    対向する側には、上方開口が形成され、また、前記除去
    電極のダイノードと対向する側には、下方開口が形成さ
    れ、さらに、前記除去電極の下方開口の周縁には、前記
    ダイノードにより光電面に向けて反射された二次電子を
    効率良く捕獲するための底部材が設けられており、前記
    除去電極は、前期光電面から放出される一次電子を前記
    上方開口,下方開口から前記ダイノードに向けて通過さ
    せる一方、前記ダイノードから前記光電面に向けて反射
    される二次電子を捕獲するようになっていることを特徴
    とする光電子増倍管。
  2. 【請求項2】前記光電面は、放出される一次電子を集束
    させるのに必要な所定の曲率半径をもっていることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の光電子増倍管。
  3. 【請求項3】前記除去電極の上方開口は、前記ダイノー
    ドよりも前記光電面に近い位置に位置決めされているこ
    とを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の光電子増倍
    管。
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