JPH07117084A - 熱可塑性樹脂の射出成形方法及び射出成形用金型 - Google Patents

熱可塑性樹脂の射出成形方法及び射出成形用金型

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JPH07117084A
JPH07117084A JP28584093A JP28584093A JPH07117084A JP H07117084 A JPH07117084 A JP H07117084A JP 28584093 A JP28584093 A JP 28584093A JP 28584093 A JP28584093 A JP 28584093A JP H07117084 A JPH07117084 A JP H07117084A
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mold
molded product
injection molding
thermoplastic resin
thin film
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JP28584093A
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Hiroshi Aida
宏 相田
Takamitsu Hosoyama
孝光 細山
Haruhiko Yoshizaki
東彦 吉崎
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Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
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Nippon Steel Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 射出成形品の外観面となる表面にヒケが発生
するのを防止する。 【構成】 固定型および可動型を相対させて金型キャビ
ティを形成し、成形品の非外観面に対応する金型キャビ
ティの型表面を、成形樹脂材料より高い接触角を有する
断熱薄膜で被覆して、溶融樹脂の冷却に起因する体積収
縮分を該被覆層側に集中して発生させ、相対する外観面
のヒケの発生を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、熱可塑性樹脂の射出成
形による成形品の外観面となる表面にヒケが発生するの
を防止する射出成形法および射出成形用金型に関し、家
電、電子機器、機械などのハウジング、カバ−等におい
て表面外観の優れた製品を提供することができるもので
ある。
【0002】
【従来の技術】射出成形による熱可塑性樹脂成形品(以
下成形品と略す)の製法は、生産性の良いこと、複雑な
形状のものが容易に成形できることなどの利点があるた
め、工業製品から日用雑貨品にまで広い範囲で使用され
ている。成形品の機械的強度を増加させる等の目的で形
成させるリブ,ボス等や厚肉部が存在する成形品にあっ
ては、通常の射出成形法では、体積収縮を原因とするヒ
ケがこれらの部分に集中して発生する場合が多い。一般
にリブ、ボス等の付根の部分は他の部分よりも厚肉にな
るので特にヒケを生じ易い。しかも外観面となる面は平
面状の場合が多いのでスキン層自体が面方向に収縮して
キャビティ表面から剥離し易いのに対し、特にリブ,ボ
ス等の存在する反対面は複雑形状となりキャビティ表面
から剥離し難いので、外観面のスキン層の方が内部の負
圧に引き込まれて、外観面にヒケを生じ易くなる。
【0003】そのヒケの深さは、リブ厚さおよびボス径
が大きくなるにつれて増加し、また樹脂温度が高いほど
大きくなる。即ち、収縮する体積が大きい程、また凝固
するまでの温度差が大きい程収縮量が蓄積されるので、
ヒケは大きくなる。かかるヒケが成形品の外観面に生じ
ることは、成形品の商品価値を著しく損なうので、最も
避けるべき欠陥の一つとされている。
【0004】かかるヒケ発生を防止するために、従来か
ら種々の方法が提案されている。例えば、特公昭61−
53208号公報、特開昭63−268611号公報、
特開昭64−63122号公報等では、高圧ガスを補助
として使用する方法が紹介されている。これらの方法で
は、成形品にエアートラップや激しいフローマーク等の
表面欠陥が生じ易い。また、高圧ガスを使用することに
伴う危険性とガス取扱の困難性および制御設備への過大
な投資という重大な問題をもつ。また、特開昭60−1
51015公報には、若干開いた型キャビティ内に溶融
樹脂を射出充填した後に型締めをおこない、溶融樹脂を
加圧圧縮して樹脂の体積収縮分を相殺し、成形品全体の
ヒケを防止する方法が、特開昭60−92813号公報
には、射出成形後、厚肉部のみを溶融状態にしてヒケに
応じて圧縮することにより樹脂の体積収縮分を相殺し、
厚肉部のヒケを防止する方法が提案されている。これら
の方法でヒケを解消することはできるが、加熱装置や圧
縮装置を備える必要がありコストが高くつくとともに、
圧縮方向が制限され製品設計が制約されるという欠点を
有する。
【0005】一方、特開昭56−167410号公報に
は、ヒケの発生箇所の裏面を金型温度以上に加熱器で局
部加熱してその箇所の冷却速度を他の箇所より遅らすこ
とにより、表面にヒケの生じない成形品を得る方法が、
特公昭61ー9126号公報には、成形品のヒケが発生
しやすい部分の背面に多孔部材の貫通孔を設け、その貫
通孔から圧縮空気を導入して成形品の背面を押圧するこ
とにより、表面にヒケの生じない成形品を得る方法が紹
介されている。これらの方法は、ヒケを成形品の外観と
なる面には生じさせず、その背面に生成させて成形品の
欠陥となるのを防ぐという点で、本発明と思想を同じく
するが、前者は金型温度を局部的に一時高温にしたり冷
却したりする必要があるので、成形サイクルが長くなる
という欠点を持ち、後者は金型内に多孔部材の貫通孔を
設け、更に圧縮空気を供給するための特殊な金型構造や
付帯設備が必要でコストが高くつく等の問題を持ってい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に型キャビティに
導入された溶融樹脂は、型キャビティを形成する金属型
面に接する瞬間から冷却されて表面スキン層を形成し、
次第に内部に向けてスキン層を成長させながら固化して
いく。この時ガラス転位温度で起きる急激な体積収縮で
負圧が樹脂層内部に生じ、表面スキン層を内部に引き込
む力として作用する。この力がスキン層の自己保形性を
上回った瞬間に、スキン層はキャビティ接触面から剥離
して内部方向に引き込まれ、ヒケ発生の端著となるとさ
れている。本発明は、かかるヒケ発生の端著となる現象
を逆に活用することによって、上記した従来方法の様々
な問題を解決したものである。従って本発明の課題は、
特に射出成形時に発生し易い成形品のリブ,ボス等や厚
肉部が存在する成形品外観面へのヒケ発生を、容易にか
つ経済的方法で解消させる射出成形方法を提供すること
を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は成形品の非
外観面に対応する金型キャビティ面が成形樹脂材料より
も水に対する接触角が高い断熱材料で被覆されている
と、金型キャビティ内に射出された溶融樹脂の該断熱材
料面に接して形成されるスキン層は、相対する金型キャ
ビティ面に接するスキン層よりも、スキン層形成が遅れ
ると同時に剥離性が高められ、体積収縮分を該被覆面側
にヒケの形で誘起発生し易くなって、相対する外観面へ
のヒケ発生を防止できることを見出し本発明を完成し
た。即ち本発明は、射出成形用金型キャビティ内の成形
品の非外観面に対応する固定側又は可動側の金型内表面
の一部または全面に、充填される熱可塑性樹脂よりも水
に対する接触角が高い断熱性薄膜を形成した状態で,所
定量の溶融熱可塑性樹脂を当該金型キャビティ内へ射出
充填し冷却することによって、溶融熱可塑性樹脂の固化
収縮に伴う体積収縮分を非外観面側に集中して発生さ
せ、相対する外観面へのヒケ発生を防止する熱可塑性樹
脂の射出成形方法である。特に前記断熱性薄膜が、水に
対する接触角100度以上でかつ薄膜の厚さ0.5μm
〜1000μmの範囲であることを特徴とする熱可塑性
樹脂の射出成形方法である。又前記断熱性薄膜がフッ素
系樹脂からなることを特徴とする熱可塑性樹脂の射出成
形方法である。更に又射出成形用金型キャビティであっ
て、成形品外観面に対応する固定側又は可動側金型内表
面の一部または全面に、水に対する接触角が100度以
上でかつ薄膜の厚さ0.5μm〜1000μmの範囲の
フッ素系樹脂からなる断熱性薄膜が形成されていること
を特徴とする熱可塑性樹脂の射出成形用金型である。
【0008】以下本発明について詳細に説明する。先ず
ヒケの発生する現象を時間的に見ると、溶融された樹脂
が金型キャビティに充填され固化していく過程で、最も
ヒケ発生に関与する時期は、樹脂材料がそのガラス転位
点に到達する時点である。このガラス転位による急激な
体積収縮は冷却固化工程のかなり早い時期に生じ、時間
的にも瞬時の出来事である。この時ガラス転位により起
きる急激な体積収縮で負圧が樹脂層内部に生じ、スキン
層を内部に引き込む力として作用する。この力がスキン
層の自己保形性を上回った瞬間に、スキン層はキャビテ
ィ接触面から剥離して内部方向に引き込まれ、ヒケ発生
の端著となるとされている。従って、ヒケ現象はスキン
層の成長が遅れて固化が不十分な自己保形性に劣る側の
スキン層に起こることになる。
【0009】ところが、スキン層の成長が遅れ固化が不
十分で自己保形性に劣る側が必ずしも先に剥離するとは
いえない。例えば、最もヒケの発生しやすいリブ、ボス
等が存在する個所にあっては、ヒケは平面に近い単純面
で構成される外観面に例外なく発生し、リブ、ボス等が
設置される背面には発生しないことが知られている。リ
ブ、ボス等が設置される背面は、形状が複雑となるので
冷却効率が悪くなりスキン層の成長が遅れて自己保形性
に劣るのに対し、単純面で構成される外観面はスキン層
の自己保形性が早期に確保されるので、この現象は上述
した従来の発生理論だけでは説明しきれない。冷却工程
では表面層から冷却されるので、溶融した樹脂がガラス
転位する際に急激な体積収縮を生じる部分は表面層から
内部に向かって移動するとともに、体積収縮による応力
は内部の溶融樹脂層に伝達されて溶融樹脂層内部に負圧
として蓄積されていくが、固化してスキン層を形成した
表面部にもその後の熱収縮により面方向の応力が生じ
る。即ち、ヒケ現象は体積収縮で樹脂層内部に生じる負
圧がスキン層を内部に引き込む力と、型キャビティ面と
スキン層との密着力との力関係で決まると考えられる
が、一般的には後者の影響の方が大きい。
【0010】一般に単純形状の厚肉部では、キャビティ
を形成する固定型と可動型の表面鋼材には樹脂との密着
力に著しい差がないので、スキン層の成長とその結果生
じる自己保形性の度合いによりヒケの発生する面が決ま
ってくる。そこで本発明では、成形品の外観面に対応す
る金型キャビティ面は従来の金属面のままにしておき、
相対する成形品の非外観面に対応する金型キャビティの
型表面の一部または全体を、成形樹脂材料よりも水に対
する接触角が高い断熱性薄膜で被覆することにより、形
成される樹脂スキン層と該被覆表面との剥離性を高め、
溶融樹脂の冷却過程で生じる体積収縮分をこの部分に吸
収させる。すなわち、高接触角の被覆表面と樹脂スキン
層の間の高剥離性の作用で成形品表面を型キャビティ面
から剥離させることにより成形品表面が動きやすくな
り、収縮に伴う変形量を引き込んでヒケの形で吸収する
ものであり、そのことによって相対する外観面のヒケが
減少する。これは、成形樹脂が溶融体から固体へ相変化
するときの収縮分は樹脂の注入口であるゲートが閉じた
後であれば、型キャビティ容積に対して一定であるの
で、非外観側で発生したヒケ相当量が相対する型非被覆
面から消失し成形品の外観面となる表面にヒケが発生す
るのを防止することになる。
【0011】本発明に使用される金型は、成形品の非外
観面に対応する金型キャビティの表面の一部または全体
が、水に対する接触角が100度以上好ましくは100
〜110度で、厚さ0.5μm〜1000μmの範囲の
断熱性薄膜で形成されていることを特徴としている。こ
のような水に対する接触角を持つ型被覆表面は、一般の
熱可塑性樹脂の持つ水に対する接触角70〜90度より
大きいため、成形樹脂材料に対し反発性を示し、界面が
剥離しやすくなる。
【0012】本発明に従って熱可塑性樹脂の射出成形を
行うと、成形品の非外観面に対応する金型キャビティの
型被覆面の、水に対する接触角が100度以上であるの
で、上記した理由により型被覆面にヒケが集中して発生
し、相対する外観面にはほとんどヒケは発生しない。断
熱性薄膜の接触角が100度未満では成形樹脂材料との
剥離性が小さく、被覆型面と非被覆型面との剥離性に差
がなくなり効果が発揮されない。又本発明では、水に対
する接触角が100度以上である断熱性薄膜は非外観面
だけに形成させるべきであって、相対する外観面側にも
形成させた場合は、ヒケは逆に外観面側に発生すること
になって好ましくない。なおかかる原理からは、相対す
る外観面側には水に対する接触角が100度以下好まし
くは成形樹脂と近い70〜90度のポリイミド系樹脂等
の断熱性薄膜を形成することによって、ヒケ発生を防止
することは可能である。
【0013】従って上述の条件を満たして断熱性薄膜を
形成でき、かつ一般の熱可塑性樹脂の射出成形温度に耐
え得る耐熱性を保持した材料としては、ポリテトラフル
オロエチレン〔(−CF2 −CF2 −)n〕、テトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体
〔−CF2 −CF2 −)n−(−CF2 −C(CF3
−)Fm〕、ポリクロロトリフルオロエチレン〔(−C
F2 −CClF−)n〕、テトラフルオロエチレン−パ
ープルオロアルキルビニルエーテル共重合体〔(−CF
2 −CF2 −)n−(−CF2 −C(ORf)F−)
m〕、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体
〔(−CH2 −CH2 −CF2 −CF2 −)n〕、ポリ
ビニリデンフロライド〔(−CH2 −CF2 −)n〕、
エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体〔−C
H2 −CH2 −CF2 −CClF−)n〕、ポリビニル
フロライド〔−CH2 −CHF−)n〕等のようなフッ
素系樹脂が望ましく、これらフッ素系樹脂は単独でまた
はブレンドして用いてもよく、また他の無機質材料と複
合化して用いてもよい。
【0014】フッ素系樹脂を単独またはブレンドして金
型キャビティ表面に被覆する方法としては、上記フッ素
系樹脂の水系分散液又は溶剤系希釈液をスプレーまたは
刷毛塗りなどで塗布し、その後加熱処理を行って塗膜を
形成させることができる。フッ素系樹脂を他の無機質材
料と複合化して用いる方法としては、金型表面にニッケ
ル・燐、クロムおよびセラミックなどを多孔質になるよ
うに皮膜を形成させた後、上記フッ素系樹脂を該多孔質
皮膜に含浸させた後、加熱処理してフッ素系樹脂/無機
物の複合化断熱性薄膜を形成させることができる。な
お、上記無機物の多孔質皮膜を金属表面に形成させる方
法としては、例えばニッケル・燐などについては無電解
めっき法、およびクロムなどについては電気メッキ法、
またセラミックについては溶射法、プラズマジェット法
およびイオンプレーティングなどの方法が適用できる。
上記フッ素系樹脂塗膜およびフッ素系樹脂/無機物複合
化皮膜の厚さは0.5μm〜1000μmの範囲、より
好ましくは1〜500μmの範囲がよい。0.5μmよ
り薄いと薄膜強度が長時間の射出成形に耐えられない
し、1000μm より厚いとその断熱性のために成形サ
イクルが延びること、及び製品寸法と金型キャビティ寸
法とを調整する作業が困難になる場合がある。本発明の
射出成形法により、ヒケ防止効果を発揮する樹脂として
は、ポリスチレン、ゴム変性ポリスチレン、AS樹脂、
ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ビニ
ル樹脂、ポリカーボネイト樹脂などのほとんどの熱可塑
性樹脂、或は充填強化材を混入した樹脂などがある。
【0015】
【作用】上述したごとく、本発明では、成形品の非外観
面に対応する金型キャビティの型表面を、成形樹脂材料
より高い接触角を有する断熱性薄膜で被覆することで、
スキン層形成が遅れた状態で当該スキン層を選択的に優
先剥離させ、冷却の際の樹脂の体積収縮に起因するヒケ
現象を、キャビティ被覆面側のスキン層剥離部に選択的
に発生させて、キャビティ非被覆面に対応した成形品の
外観面となる表面にヒケが発生するのを防止する。すな
わち、成形品の外観面に相当する金型キャビティ面では
なく、成形品の非外観面に相当する金型キャビティのみ
を高剥離性にするだけで外観面のヒケが解消できるの
で、外観面に相当するキャビティには従来の金属型と同
様にシボ加工、めっき、機械加工などを施すことができ
る。また、該断熱性被膜は厚みが薄いので遮熱量が小さ
く成形サイクルへの影響がほとんどない。この様に本発
明の効果は、従来解決が困難とされてきた成形品外観面
のヒケ欠陥を容易に解決するものである。
【0016】
【実施例】以下、図面を参照しながら、実施例を説明す
る。なお断熱被膜材料の水に対する接触角は、自動接触
角計CA−Z型(協和界面科学製)を使用し室温23℃
で実測したものである。
【0017】実施例1 本実施例においては図1に示すように、60×150m
m、厚み2mmの平板部2の背面に厚み4mm、高さ5
mm、長さ90mmのリブ3、4、5を有する成形品1
を成形した。なお、平板1の側面には溶融状態の熱可塑
性樹脂を注入するためのゲート6が形成されている。リ
ブ3、4、5は平板1の板厚よりも格段に厚くなってい
る。この厚みのため、通常の射出成形法によるとき、リ
ブ3、4、5の位置に対応する成形品1の表面側3a、
4a及び5a部にはヒケが著しく発生する。本実施例に
おいて共通に使用した金型として図2に示すように、成
形品1の表側7aが固定側キャビティ7に対応し、成形
品1の裏側8aが可動側キャビティ8に対応するように
配置し、可動側キャビティは可動側入子9のように入子
型にして、種々な被覆加工を実施するときは入子を取り
外して行った。溶融樹脂はスプルー13、ランナー1
4、ゲート6を通りキャビティ12に充填される。金型
の鋼材はプレハードン鋼(大同製鋼製:NAK80)を
使用した。
【0018】成形品の非外観面となる裏面に対応する可
動側キャビティの表面をアセトンで洗浄してからサンド
ブラストで粗面化処理し、更にアセトンで洗浄した後、
ポリテトラフルオロエチレン系複合エナメル塗料(ダイ
キン工業(株)製・ポリフロンTFE・TC−710
0)をエアースプレーガンを使用して塗装して加熱処理
し、厚み40μmの皮膜を形成させた。得られた皮膜の
水に対する接触角は104度であった。上記金型を型締
め力75トンの射出成形機に取り付け金型温度を50℃
に保持し、金型キャビティに樹脂温度210℃のポリス
チレン樹脂(新日鐵化学(株)製エスチレンH−65;
水に対する接触角は77度)溶融体を充填時間1.5秒
で射出充填し、20秒間冷却してから金型を開き、成形
品を取り出した。得られた成形品1の表面状態を調べた
ところ、型非被覆表面側の成形品外観面については、本
来ヒケが発生しやすい位置3a、4a、5a部にはほと
んどヒケは見られなかった。これに対し型被覆側となる
成形品裏面では、リブ3、4、5の側面および周辺にヒ
ケが見られた。
【0019】実施例2 実施例1で用いた金型の成形品の非外観面となる裏面に
対応する可動型側キャビティの表面をサンドブラストで
荒した後、ガス溶射法によりアルミナ・酸化チタン系セ
ラミックを溶射し厚み100μmの皮膜を形成させ、粗
研削後にポリテトラフルオロエチレン微粒子水分散液
(ダイキン工業(株)製ポリフロンTFEディスパージ
ョン)を含浸させて加熱処理し、ポリテトラフルオロエ
チレン含浸セラミック層を形成させた。得られた皮膜の
水に対する接触角は106度であった。上記金型を型締
力75トンの射出成形機に取り付け金型温度を60℃に
保持し、型キャビティに実施例1で用いた樹脂温度21
0℃のポリスチレン樹脂溶融体を充填時間1.5秒で射
出充填し、20秒間冷却してから金型を開き、成形品を
取り出した。得られた成形品1の表面状態を調べたとこ
ろ、型非被覆表面側の成形品表面については、本来ヒケ
が発生しやすい位置3a、4a、5a部にはほとんどヒ
ケは見られなかった。これに対し型被覆側となる成形品
裏面では、リブ3、4、5の側面および周辺にヒケが見
られた。
【0020】比較例1 実施例1で用いた金型の可動側キャビティの表面を研磨
加工したまま被膜を形成せずに使用し、実施例1と同一
条件で成形したところ、得られた成形品1の表面には位
置3a、4a,5aに大きなヒケが発生した。
【0021】比較例2 実施例1で用いた金型の可動側キャビティに厚さ200
0μmのポリテトラフルオロエチレンのシートをネジ止
めして被覆層を形成させた。該ポリテトラフルオロエチ
レンシートの水に対する接触角は105度であった。上
記金型を型締力75トンの射出成形機に取り付け金型温
度を60℃に保持し、型キャビティに実施例1で用いた
樹脂温度210℃のポリスチレン樹脂溶融体を充填時間
1.5秒で射出充填し、40秒間冷却してから金型を開
き、成形品を取り出した。得られた成形品1の表面状態
を調べたところ、型非被覆表面側の成形品表面について
は、本来ヒケが発生しやすい位置3a、4a、5a部に
はほとんどヒケは見られなかったが、リブが変形した。
【0022】
【発明の効果】本発明の射出成形法は、成形品の非外観
面に対応する金型キャビティの型表面を成形樹脂材料よ
り高い接触角を有する断熱薄膜で被覆して、溶融樹脂の
冷却に起因する体積収縮分を該断熱被覆層側に集中して
発生させ、相対する外観面のヒケの発生を低減させ、成
形品欠陥である外観面のヒケの少ない成形品を製造する
ものである。そして、これらの効果を、特別な付帯設備
などを必要とせずに、非外観面となる金型キャビティの
薄膜の接触角と膜厚を特定した断熱薄膜で被覆された金
型を用い、成形することだけで実現している。また、一
般の成形条件や成形環境から逸脱しないで本発明の射出
成形法を実施できる等の経済的効果も大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】成形品1の斜視図である。
【図2】金型の縦断面図である。
【符号の説明】
1 成形品 2 平板 3、4、5 裏側リブ 6 ゲート 7 固定側キャビティ 8 可動側キャビティ 9 可動側入子 10 固定型 11 可動型 12 キャビティ 3a、4a、5a ヒケの発生し易い位置

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 射出成形用金型キャビティ内の成形品の
    非外観面に対応する固定側又は可動側の金型内表面の一
    部または全面に、充填される熱可塑性樹脂よりも水に対
    する接触角が高い断熱性薄膜を形成した状態で,所定量
    の溶融熱可塑性樹脂を当該金型キャビティ内へ射出充填
    し冷却することによって、溶融熱可塑性樹脂の固化収縮
    に伴う体積収縮分を非外観面側に集中して発生させ、相
    対する外観面へのヒケ発生を防止する熱可塑性樹脂の射
    出成形方法。
  2. 【請求項2】 前記断熱性薄膜が、水に対する接触角1
    00度以上でかつ薄膜の厚さ0.5μm〜1000μm
    の範囲であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性
    樹脂の射出成形方法。
  3. 【請求項3】 前記断熱性薄膜がフッ素系樹脂からなる
    ことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の熱可塑性
    樹脂の射出成形方法。
  4. 【請求項4】 射出成形用金型キャビティであって、成
    形品外観面に対応する固定側又は可動側金型内表面の一
    部または全面に、水に対する接触角が100度以上でか
    つ薄膜の厚さ0.5μm〜1000μmの範囲のフッ素
    系樹脂からなる断熱性薄膜が形成されていることを特徴
    とする熱可塑性樹脂の射出成形用金型。
JP28584093A 1993-10-21 1993-10-21 熱可塑性樹脂の射出成形方法及び射出成形用金型 Withdrawn JPH07117084A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008105229A (ja) * 2006-10-24 2008-05-08 Niles Co Ltd 樹脂製品の成形金型
JP2016150584A (ja) * 2015-02-19 2016-08-22 三井・デュポンフロロケミカル株式会社 撥水性表面に非晶性フッ素樹脂塗膜を形成させた多層積層体
WO2020130426A1 (ko) * 2018-12-17 2020-06-25 (주) 엘지화학 사출금형, 이를 포함하는 사출성형기 및 이를 이용한 사출 제품의 제조방법
US11981055B2 (en) 2018-12-17 2024-05-14 Lg Chem, Ltd. Injection mold, injection molding machine including injection mold, and method for manufacturing injection-molded product using injection molding machine

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