JPH0711474A - 錫イオンの鉄イオンによる酸化の抑制法 - Google Patents

錫イオンの鉄イオンによる酸化の抑制法

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JPH0711474A
JPH0711474A JP15760793A JP15760793A JPH0711474A JP H0711474 A JPH0711474 A JP H0711474A JP 15760793 A JP15760793 A JP 15760793A JP 15760793 A JP15760793 A JP 15760793A JP H0711474 A JPH0711474 A JP H0711474A
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tin
ion
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sulfuric acid
iron
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JP15760793A
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Hiromitsu Date
博充 伊達
Chuichi Kato
忠一 加藤
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ぶりき、薄錫めっき鋼板等電気錫めっき鋼板
の製造に関し、不溶性電極を用い、高電流密度で錫めっ
きする場合の浴中の鉄イオンによる錫イオンの酸化防止
方法の提供を目的とする。 【構成】 不溶性電極を用いる錫めっき製造において、
硫酸5〜50g/l、錫(II) 40〜100g/lを含
む高電流密度錫めっき硫酸浴中に、二つ以上の電子供与
性置換基を有し、その内の少なくとも一つがヒドロキシ
基であり、かつそのベンゼン環へ配位がオルト位または
パラ位である芳香族化合物を0.01〜2g/l添加す
ることを特徴とする錫イオンの鉄イオンによる酸化の抑
制法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気めっきブリキおよ
び薄錫めっき鋼板の製造に関し、不溶性電極を用い、高
電流密度で錫めっきする場合の浴中の鉄イオンによる錫
イオンの酸化防止方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ブリキ等の錫めっき鋼板の製造は、現在
は主としてめっき浴としてフェロスタン浴(フェノール
スルホン酸浴)を用い、20A/dm2 程度の低電流密
度で、行われている。また、この場合の電極は、溶解性
の錫電極からコストメリットの大きい白金めっきを施し
たチタン等の不溶性電極へと変わってきている。
【0003】したがって、現在のぶりき製造技術は、生
産性の点と環境性の点の2点において工業的に必ずしも
満足出来ない点がある。すなわち、第1点目の高生産性
化を図るには、高電流密度化し、高速でかつ低コストで
めっきできる技術が必要であるが、フェノールスルホン
酸浴では高電流密度でめっきを行うと、いわゆるめっき
焼けが生じてしまい実用性がない。第2点目の環境性に
おいては、多量のフェノールスルホン酸を含むため排水
処理が困難であり、また近年開発されたアルキルスルホ
ン酸を酸成分とするめっき浴は廃液処理が簡便ではある
が、有機スルホン酸の多量の使用はCOD上昇につなが
り、処理なしで排出することが環境への影響がないとは
考え難い。上述の如く、高速化が可能な高電流密度でめ
っきができ、かつ良環境性で、低コストな錫めっき製造
は、従来技術では困難であるといえる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、上述の
従来技術を超える高電流密度、良環境性のめっき技術の
完成を目指し、硫酸浴に着目した。しかしながら、硫酸
浴は、従来バッチでのめっきには硫酸濃度を100g/
l以上の高濃度にして用いられているが、ぶりき製造の
ラインでのめっきには装置の腐食を引き起こすためにこ
の濃度では使用できず、さらに、硫酸濃度を低くし、か
つ不溶性電極を使用するとスラッジの発生が極めて多く
なるという大きな問題を有している。
【0005】このスラッジは錫酸化物であり、詳細に後
述するが、めっき液中に溶解した鉄(III)イオンによっ
て錫(II)イオンが酸化されて生成する。電極に溶解性
の錫電極を用いる場合は、錫によって鉄(III)イオンが
還元されるのでスラッジ発生が抑制されるが、不溶性電
極を用いる場合は、この作用が働かない。したがって、
不溶性電極を用いる高電流密度での錫めっきの実現のた
めには、めっき性の点での浴組成、めっき条件の検討が
必要であるとともに、錫イオンの鉄イオンによる酸化の
大幅抑制という解決すべき課題がある。そこで、本発明
は、不溶性電極を用い、高電流密度で錫めっきする場合
の硫酸浴中の鉄イオンによる錫イオンの酸化防止方法の
提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、硫酸浴に
おける錫イオンの酸化の原因は鋼ストリップの溶解によ
って生じる鉄(II)イオンが酸化して生じた鉄(III)イ
オンにあることに着目し、この鉄(III)イオンの還元性
と芳香族化合物との関係を詳細に検討し、還元効果のあ
る芳香族化合物の選定に成功し、本発明に至ったもので
ある。
【0007】すなわち、本発明は、不溶性電極を用いる
錫めっき製造において、5〜50g/lの硫酸、40〜
100g/lの錫(II) を含む高電流密度錫めっき硫酸
浴中に、二つ以上の電子供与性置換基を有し、その内の
少なくとも一つがヒドロキシ基であり、かつそのベンゼ
ン環への配置がオルト位またはパラ位である芳香族化合
物を0.01〜2g/l添加することを特徴とする錫イ
オンの酸化抑制法である。
【0008】
【作用】以下に、本発明について詳細に説明する。硫酸
浴における錫イオン、鉄イオンおよび電極金属としての
金属錫、めっき鋼板としての金属鉄との化学反応上の関
係は、下記の式に従うと考えられる。 錫電極の溶解: Sn →Sn2++2e (1) 鋼ストリップの溶解: Fe →Fe2++2e (2) 鉄(II) イオンの空気酸化: Fe2++O2→Fe3+ (3) 鉄(III)イオンによる錫イオンの酸化: 2Fe3+ +Sn2+→2Fe2+ + Sn(IV) (4) スラッジの生成: Sn(IV)+O2→ SnO2 (5) 鉄(III) イオンの錫電極での還元: 2Fe3++Sn→2Fe2+ +Sn2+ (6) 錫(IV) イオンの錫電極での還元: Sn(IV)+Sn→2Sn2+ (7)
【0009】(4)式に示されている錫(II) イオン
は、主にめっき浴として添加されたものであるが、この
イオンが(4)に従って、鉄(III)イオンによって酸化
され錫(IV)イオンさらに錫酸化物となってスラッジを
形成する。この場合、溶解性錫電極を使用している場合
にスラッジ発生が少ないのは、(6),(7)に従っ
て、それぞれ鉄(III)イオン、錫(IV) イオンが還元さ
れるためであり、不溶性電極の場合は、この反応が生じ
ないので、発生が多くなる。不溶性電極使用下でスラッ
ジ生成を抑制するには、(3)の鉄(II)イオンの空気
酸化を抑制するか、錫電極を使用している時の(6)式
の反応に準じた鉄(III)イオンの還元を起こして、鉄
(III)イオン量を少なくしてやればよい。
【0010】本発明者らは、還元の視点で分子構造を考
え、還元力の強いヒドロキシ基を有する化合物がよいと
考え、かつ鉄イオンのプラスイオンと結びつき易くする
ために、電子過剰になり易い分子構造の化合物が適して
いると考えた。すなわち、二つ以上の電子供与性置換基
を有し、その内の少なくとも一つがヒドロキシ基であ
り、かつそのベンゼン環への配置がオルト位またはパラ
位である芳香族化合物である。
【0011】二つ以上の電子供与性置換基を有した芳香
族化合物のベンゼン環は、その置換基からの電子供与を
受けて電子過剰になっているので、鉄(III)イオンと結
びつき易い。また、置換基の配位位置をオルト位、パラ
位に限定するのは、この位置であればベンゼン環への電
子供与が起きやすいためである。電子供与性置換基の内
の少なくとも一つをヒドロキシ基とするのは、還元性を
持たせるためであり、好ましくは二つ以上がよい。
【0012】このような基本的考えに基づき種々化合物
を検討した結果、具体的にはo−ヒドロキシアニソー
ル、o−アミノフェノール、2,3−ジヒドロキシ安息
香酸、ピロガロール等が適当であることが判った。上述
の芳香族化合物の添加量は、0.01〜2g/lとす
る。すなわち、0.01g/l未満では酸化防止効果が
十分でなく、2g/lを超えると効果が飽和することに
加え、浴中有機物の減少により良環境性化を狙った本発
明の主旨に反するからである。
【0013】本発明の錫めっき浴は硫酸浴であるが、そ
の硫酸量、錫(II) 量はめっき性と錫イオンの酸化抑制
の観点とから決めた。まず、硫酸は、若干のミストが出
るものの、本質的に不揮発性で作業環境や大気の汚染が
少ない上、廃液処理上の問題が、従来の有機スルホン酸
を用いる浴と比較して少なく、低価格である点も工業的
に有利であるが、硫酸濃度は5〜50g/lとする。硫
酸濃度5g/lで電解液のpHは約1.2で錫(II) イ
オンは安定であるが、これより低い濃度では、電解時に
陰極近傍でpHが高くなるために錫(II)イオンが不安定
となって沈殿が生じやすい。また、電析した錫の光沢が
優れない。一方、50g/lより濃いと鋼ストリップの
溶解による浴中の鉄濃度の上昇による浴の劣化促進、装
置類の腐食促進等、さまざまな弊害が生じる。
【0014】錫(II) 濃度は40〜100g/lとす
る。40g/l未満では高電流密度でめっきを行うとい
わゆるめっき焼けを生じ、高品質のブリキが得難い。1
00g/lを超えるとストリップの持ち出す錫(II) イ
オンが多くなることに加え、前述の芳香族化合物添加で
は錫イオンの酸化抑制の限界を超え、スラッジが多量に
生成するようになるため経済的に不利である。
【0015】次に、本発明のめっき浴を用いた場合のめ
っき条件は、高電流密度でのめっきに必要なめっき条件
とすればよく、基本的にはそれ以外は特段考慮すべき点
はない。すなわち、めっき液の流速は100m/min
以上の高速とすることが望ましく、前処理は、通常の電
解アルカリ脱脂、硫酸酸洗あるいはさらにニッケルフラ
ッシュめっき等の下地めっきを施すこともできる。ま
た、浴温は30〜70℃でよい。陰極電流密度は、陰極
電流効率が高く、良好なめっきが得られる範囲であれば
高いほど好ましい。その理由は、生産性の向上による経
済性の利点ばかりでなく、電析において細かいめっき析
出核が多く発生し、緻密なめっきとなり耐食性が向上す
ることにある。本発明では、従来最も多く使用されてき
たフェロスタン浴で実現困難であった50A/dm2
上の高電流密度でめっきを行う。
【0016】錫めっき後の鋼板は用途によってはリフロ
ー処理を施す。従来のフェロスタン浴などではめっき液
の希釈液がそのままフラックスになり得たので、通常ド
ラッグアウト槽をストリップが通過するだけでフラック
ス塗布の目的は達せられた。しかし、本発明のめっき浴
は希釈してもフラックスとして作用しないので、極めて
平滑で光沢の優れたブリキを必要とする場合は、めっ
き、水洗後にフラックスを塗布する工程を入れることが
望ましい。しかし、フラックスを塗布しないでリフロー
しても、実用上十分な光沢を有するブリキを得ることが
できる。化成処理は、用途により通常の方法で行えばよ
い。
【0017】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。下記に示す組成のめっき液に、鉄(III)イオン
を硫酸鉄として添加し、表1に示す芳香族化合物の効果
を試験した。 めっき液:硫酸錫(II) 108.6g/l(錫として
60g/l) 硫酸 16.7g/l ENSA 4.0g/l 鉄(III)イオン 10.0g/l
【0018】試験は、内径105mm、高さ800mm
の錫溶解槽に粒径2.8mm錫粒を5kg充填し、80
リットルのめっき液を60リットル/分で循環させ、
1.5リットル/分の酸素を吹き込んだ。溶解槽内圧力
は2kgf/cm2 とした。酸素吹き込み2時間後のめ
っき液2リットルを濾過しスラッジの重量を測定した。
試験結果を表1に示すように、芳香族化合物を含む場
合、鉄イオンによる錫イオンの酸化は大幅に抑制され、
スラッジ生成は極めて少ない。
【0019】
【表1】
【0020】次に、電解中のスラッジ生成抑制とめっき
性の確認のため、液流速200m/minの横型循環セ
ルを用いて下記2試験液を循環させて電流密度150A
/dm2 、50クーロン/dm2 の錫めっきを行った。
電極はチタンに白金めっきした不溶性電極を使用した。
めっき性は、陰極電流効率、めっき光沢、耐食性(AT
C試験)で評価しスラッジ生成抑制効果はめっき後の液
中の量から判断した。
【0021】試験液1 硫酸錫(II) 108.6g
/l(錫として60g/l) 硫酸 16.7g/l ENSA 4.0g/l 鉄(III)イオン 10.0g/l 2,3−ジヒドロキシアニソール 1.2g/l 試験液2 硫酸錫(II) 108.6g/l(錫とし
て60g/l) 硫酸 16.7g/l ENSA 4.0g/l 鉄(III)イオン 20.0g/l ピロガロール 0.5g/l 結果を表2に示すが、本発明に関わる実施例は、全て良
好なめっき性とスラッジ生成抑制効果を示した。
【0022】
【表2】
【0023】
【発明の効果】以上の実施例から明かなように、本発明
によれば、不溶性電極を用いる場合にも、鉄イオンによ
る錫イオンの酸化を抑制できるので、高電流密度での錫
めっきが可能になり、しかも、良環境性を保てるため、
ぶりき等の製造面での工業的価値が極めて大きい。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不溶性電極を用いる錫めっき製造におい
    て、5〜50g/lの硫酸、40〜100g/lの錫
    (II) を含む高電流密度錫めっき硫酸浴中に、二つ以上
    の電子供与性置換基を有し、その内の少なくとも一つが
    ヒドロキシ基であり、かつそのベンゼン環への配位がオ
    ルト位またはパラ位である芳香族化合物を0.01〜2
    g/l添加することを特徴とする錫イオンの鉄イオンに
    よる酸化の抑制法。
JP15760793A 1993-06-28 1993-06-28 錫イオンの鉄イオンによる酸化の抑制法 Pending JPH0711474A (ja)

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