JPH07114638A - 画像処理装置 - Google Patents

画像処理装置

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JPH07114638A
JPH07114638A JP5281827A JP28182793A JPH07114638A JP H07114638 A JPH07114638 A JP H07114638A JP 5281827 A JP5281827 A JP 5281827A JP 28182793 A JP28182793 A JP 28182793A JP H07114638 A JPH07114638 A JP H07114638A
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JP5281827A
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Michiyoshi Tachikawa
道義 立川
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 画像中の所定領域内の画素についてのみ処
理を行い、画像を高速にかつ高品質に修復,推定でき
る。 【構成】 画像処理部2は、処理対象領域内の特定の
未知画素の近傍画素のうちで既知の値をもつ既知画素の
個数が所定閾値よりも大きいときに既知画素の値を用い
て処理対象領域内の特定の未知画素の値を決定する一
方、既知画素の個数が所定閾値よりも小さいときには、
未知画素の値を決定せず未知画素のまま残し、処理対象
領域内の各画素について所定閾値で上記処理を行った
後、値の決定された未知画素を既知画素とし、また、閾
値を大きい値から小さい値に段階的に変更し、残されて
いる未知画素に対して同様の処理を繰返し行う。このよ
うな処理を行うに際し、閾値初期設定部5は、処理対象
領域の大きさ、および/または、処理対象領域の形状に
応じ、上記閾値の初期値を最適なものに設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、画像の修復などに用い
られる画像処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、パターン認識などの分野におい
て、例えば原稿上のしみや汚れ,あるいは損傷の影響を
除去するため、読み取った画像データに対して前処理が
施される。この種の前処理技術の代表的なものとして、
例えば著者「森 俊二」による文献「“画像認識の基礎
〔I〕”、オーム社、PP24〜35、1986年」に
示されているような、k最近傍法や、k最近傍法を発展
させた選択平均法,近傍加重平均法等がある。例えば、
k最近傍法は、着目する画素の近傍に所定の大きさのマ
スク(例えば3×3の大きさのマスク)を設定し、このマ
スクに含まれる近傍点(3×3の大きさのマスクでは8
個の近傍点)のうちから一定個数k(kは固定)の近傍点
を選択し、k個の近傍点の平均をとり、その平均値によ
って、着目する画素,すなわち近傍の中心の値を置き換
えるようになっており、これによって、画像上の孤立点
(原稿上のしみなどによる影響)を除去することができ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来で
は、画像の補正を行なうのに、例えば前述したマスクを
画像の左上から右下に向けて順次に移動し、画像中の欠
陥を生じていない画素についても、一率に平均化処理を
行なっていた。このため、相当の処理時間を要し、ま
た、補正を行なう必要のない画素についてまで処理がな
されてしまうので、全体の画像品質が低下してしまうな
どの問題があった。
【0004】さらに、従来では、画像中に生じた任意の
形状,大きさの欠陥について、これを良好に修復するこ
とができないという欠点があった。
【0005】本発明は、画像中の所定領域内の画素につ
いてのみ修復や推定などの処理を行なうことができ、画
像を高速にかつ高品質に修復,推定等することの可能な
画像処理装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段および作用】上記目的を達
成するために、請求項1乃至請求項7記載の発明は、処
理対象領域内の各画素が当初、完全に未知の値あるいは
不確かな値をもつ未知画素であるとし、処理対象領域内
の特定の未知画素に着目するとき、該未知画素の近傍画
素のうちで既知の値をもつ既知画素の個数が所定の閾値
よりも大きい場合に限り、近傍画素のうちの既知画素の
値を用いて未知画素の値を決定する一方、既知画素の個
数が所定の閾値よりも小さいときには、未知画素の値を
決定せず未知画素のまま残すようになっており、処理対
象領域内の各画素について所定の閾値での前記処理がな
された後、値の決定された未知画素を既知画素とし、ま
た、閾値を変更し、残されている未知画素に対して処理
を繰り返し行なう画像処理において、上記閾値の最適な
閾値を、処理対象領域の大きさに関する情報、および/
または、処理対象領域の形状に関する情報に基づいて決
定するようになっている。これにより、処理対象領域の
大きさ,形状に応じた最適な処理を行なうことができ、
画像を高速にかつ高品質に修復,推定等することができ
る。
【0007】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。図1は本発明に係る画像処理装置の構成例を示す
図である。図1を参照すると、この画像処理装置は、図
2に示すように、画像PC中において処理対象(例えば
修復対象)となる領域PCUを特定する領域特定部1
と、領域特定部1によって特定された処理対象領域PC
Uに含まれる画素に対して所定の画像処理を施す画像処
理部2とを備えている。
【0008】ここで、画像処理部2は、領域特定部1に
よって特定された処理対象領域PCUに含まれる各画素
が当初、完全に未知の値あるいは完全には未知でないが
不確かな値をもつ画素(以後、これを未知画素と称す)で
あり、この処理対象領域PCU外の画像PCの領域PC
Kの各画素が全て既知の値をもつ既知画素であるとし、
処理対象領域PCU内の未知画素の値を、既知領域PC
Kの既知画素の値を用いて既知の(確かな)ものに定める
ようになっている。すなわち、画像処理部2は、画像P
C中の全ての画素に対して処理を行なうのではなく、画
像PC中の処理対象領域PCU内の画素のみに着目し、
処理対象領域PCU内の画素のみに対して処理を行なう
ようになっている。
【0009】また、画像処理部2は、処理対象領域PC
U内の特定の未知画素に対する処理を行なうのに、該特
定の未知画素の近傍の画素に着目し、近傍画素のうちで
既知の値をもつ既知画素を用いて、該特定の未知画素の
値を定める(既知のものとする)ようになっている。この
際、画像処理部2は、処理対象領域PCU内の特定の未
知画素の近傍画素のうちで既知の値をもつ画素の個数を
計数し、既知の値をもつ画素の個数が所定の閾値よりも
大きい場合に限り、近傍画素のうちの既知の値をもつ既
知画素の値を用いて未知画素の値を決定する一方、既知
の値をもつ画素の個数が所定の閾値よりも小さいときに
は、未知画素の値を決定せずに未知画素のまま残すよう
にしている。そして、処理対象領域PCU内の各画素に
ついて所定の閾値で上記処理がなされた後、値の決定さ
れた未知画素を既知画素とし、また、閾値を大きい値か
ら小さい値に段階的に変更し、まだ値の定まっていない
残されている未知画素に対して同様の処理を繰り返し行
なうようになっている。
【0010】このような処理機能を実現するため、図1
の構成例では、画像処理部2には、処理全体の制御を行
なう制御部3と、近傍画素を定義するための近傍画素定
義部4と、閾値の初期値を設定するための閾値初期設定
部5と、演算の種類を設定するための演算種類設定部6
と、演算種類設定部6に設定された種類の演算を行なう
演算部7とが備わっている。
【0011】図3はこの画像処理部2の処理例を示すフ
ローチャートである。なお、以下では、説明を簡単にす
るため、一例として、処理対象領域PCU内の各画素に
対し、1画素単位に処理がなされ、また、演算部7で
は、処理対象領域PCU内の未知画素を完全に未知の値
のものと仮定し(未知画素が不確かな値をもっていても
これを一切考慮せずに)、近傍画素のうちの既知画素の
値だけに基づいて、未知画素の値を決定する処理がなさ
れるものとする。
【0012】画像処理部2が実際の処理を開始する前提
として、画像中において、未知画素からなる処理対象領
域PCUと、処理対象領域PCU以外の既知画素からな
る既知領域PCKとが、領域特定部1により特定されて
おり、各画素の存在する位置(例えばメモリ内位置)がわ
かっている必要がある。なお、このとき、処理対象領域
PCU内の各画素を特定するため、各画素に番号jが付
されているとし、また、処理対象領域PCU内の画素の
総数Nがわかっているとする。
【0013】また、近傍画素定義部4により、1つの未
知画素に対する近傍画素が予め定義されている必要があ
る(例えば、近傍の形状,大きさなど)。また、演算種類
設定部6により処理演算の種類(例えば近傍画素のうち
の既知画素の値の平均値をとるなどの演算の種類)が設
定されている必要がある。また、閾値初期設定部5によ
り閾値kの初期値が設定されている必要がある。
【0014】すなわち、近傍画素の定義,演算の種類,
閾値の初期値が、処理対象となる画像の種類(例えば、
画像が2値画像であるか多値画像であるか、あるいは、
画像が文書画像であるか、写真画像であるか、絵図画像
であるかなど)に応じて、あるいは、処理対象領域の種
類(処理対象領域の大きさ,形状など)に応じて、適切な
ものに設定されている必要がある。
【0015】このような前提が整った後(ステップS
1)、jを“1”に初期設定する(ステップS2)。次い
で、画像処理部2は、処理対象領域PCUからj番目の
画素を取り込み(ステップS3)、この画素の近傍画素の
うちで既知の値をもつ既知画素の個数を計数する(ステ
ップS4)。そして、その計数値CNTを閾値kと比較
し(ステップS5)、計数値CNTが閾値kと同じか閾値
kよりも大きいときには、演算部7は、j番目の画素の
近傍画素のうちで既知の値をもつ既知画素に基づき、j
番目の画素の値を定める(ステップS6)。演算の種類が
例えば“平均値”であるときには、既知画素の値の平均
値を求め、これをj番目の画素の値として決定する。こ
れに対し、ステップS5において、計数値CNTが閾値
kよりも小さいときには、演算を行なわず、j番目の画
素の値を未知のまま残す(ステップS7)。
【0016】j番目の画素についてステップS6または
ステップS7の処理を行なった後、jを“1”だけ歩進
して(ステップS8)、再びステップS3に戻り、処理対
象領域PCU内の次の画素について同様の処理を繰り返
し行なう。処理対象領域PCU内の各画素について順次
にこのような処理を繰り返し行ない、処理対象領域PC
U内の最後の画素についての処理を終了すると(ステッ
プS9)、各画素についての処理結果によって、処理対
象領域PCU内の未知画素の値を書き換える(ステップ
S10)。これにより、ステップS6の処理によって値
が決定された未知画素については、決定された値が既知
の値として設定され、この未知画素は、この時点で既知
画素となる。一方、ステップS7の処理によって値の決
定されなかった未知画素については、書き換えがなされ
ず、未知画素のまま残る。
【0017】次いで、ステップS10の書き換え処理に
よって、未知の画素がなくなったか否か(あるいは所定
個数以下となったか否か)、または、閾値kが最小の値
0になったか否かを判断する(ステップS11)。この
結果、閾値kが最小の値k0になっておらず、未知画素
がまだ残っているときには、これら未知画素に対する値
を決定するために、閾値kを小さくし(ステップS1
2)、再びステップS3に戻る。なお、この際、残って
いる未知画素について、新たに番号jを付す。このよう
にして、段階的に、未知画素に対する値を決定し、ステ
ップS11において、未知画素がなくなったか、あるい
は未知画素の個数が所定個以下となったときに、また
は、閾値kが最小の値k0になったときに、処理を終了
する。
【0018】図4(a)乃至(d)は、上記画像処理の具体
例を説明するための図である。この具体例では、近傍画
素として、図4(a)に示すような3×3の大きさのマス
クMijが定義されている。すなわち、このマスクMij
中心を未知画素に設定し、これにより、マスクの8個の
部分M11,M12,M13,M21,M23,M31,M32,M33
がマスクの中心M22に設定された未知画素の近傍画素と
なる。また、この場合、演算の種類が例えば“平均値”
に設定され、閾値kの初期値が例えば“7”に設定され
ているとする。いま、処理対象領域PCUが図4(b)の
ように特定されている場合、この処理対象領域PCU内
の各画素#1〜#5は、当初、未知の値のものとなって
いるので、マスクMの中心M22を各画素#1〜#5に順
次に設定し、処理を行なう。例えば、マスクMijの中心
22を画素#1に設定すると、M11,M12,M13
21,M31,M32,M33の7個の画素は、既知領域の画
素であり、既知の値をもっており、また、M23の部分の
画素は未知画素であるので、8個の近傍画素のうち、既
知の値をもっている既知画素は7個である。従って、閾
値k(=7)と同じであり、閾値k(=7)より小さくない
ので、未知画素#1については、7個の既知画素の値に
基づいて値が決定される。例えば、この値は、7個の既
知画素の値の平均値として決定される。
【0019】同様に、マスクの中心M22を画素#5に設
定すると、この場合も、8個の近傍画素のうち、7個が
既知の値をもっているので、未知画素#5の値が決定さ
れる。
【0020】これに対し、マスクの中心M22を画素#
2,#3,または#4に設定すると、M11,M12
13,M31,M32,M33の部分の画素は、既知の値をも
っており、M21,M23の部分の画素は未知画素であるの
で、8個の近傍画素のうち、既知の値をもっている画素
は6個である。従って、閾値k(=7)よりも小さいの
で、未知画素#2,#3,#4については、この段階で
は値が決定されない。
【0021】このようにして、閾値kを“7”として、
全ての未知画素#1〜#5についての処理を行なったと
き、2つの画素#1,#5について値が決定されたの
で、画素#1,#5については、決定された値が既知の
値として設定される。すなわち、このとき、画素#1,
#5は、既知の値をもつ既知画素となり、図4(c)に示
すように3つの画素#2,#3,#4が未知のまま残
る。
【0022】次の段階では、閾値kを“7”から“6”
に変更し、マスクMijの中心M22を未知の画素#2,#
3,#4に順次に設定し、処理を行なう。この場合、マ
スクの中心M22を画素#2,または#4に設定すると、
8個の近傍画素のうち、7個が既知の値をもっており、
閾値k(=6)よりも大きいので、画素#2,#4の値
が、7個の既知画素の値に基づいて決定される。同様
に、マスクの中心M22を画素#3に設定すると、8個の
近傍画素のうち、6個が既知の値をもっており、閾値k
(=6)と同じであり、閾値k(=6)よりも小さくないの
で、画素#3の値が、6個の既知画素の値に基づいて決
定される。
【0023】このようにして、閾値kを“6”として、
全ての未知画素#2〜#4についての処理を行なったと
き、全ての画素#2〜#4について、値が決定され、既
知の値として設定される。この例では、この段階で、図
4(d)に示すように、全ての画素が既知の値をもつ既知
画素となり、未知画素が残っていないので、処理を終了
する。
【0024】画像処理部2における上述した処理の第1
の特徴(利点)は、処理対象領域PCU内の画素の値のみ
を決定することにある。すなわち、画像PC中の全ての
画素に対する処理を行なうのではなく、画像PC中の一
部の領域の画素に対してだけ処理を行なうので、画像処
理時間を従来に比べ短縮することができ、また、処理を
行なう必要のない既知領域PCK内の画素については処
理を行なわないので、全体の画像品質を劣化させずに済
む。
【0025】また、上述した処理の第2の特徴(利点)
は、未知画素のうち、最も信頼性良く値が決定されうる
画素から順に、値を決定することである。すなわち、図
4(b)の例では、画素#1,#5は、既知の値をもつ近
傍画素数が画素#2〜#4に比べて多く、最も信頼性良
く値が決定されるものであるので、最初に値が決定され
る。
【0026】また、上述した処理の第3の特徴(利点)
は、未知画素の値が決定され、この未知画素が既知の値
をもつ既知画素となるとき、次の段階で、この画素を近
傍画素の既知の値をもつ画素の仲間に加えて、未知のま
ま残っている画素の値を決定することにある。すなわ
ち、図4(c)の例では、例えば、画素#2の値を決定す
るのに、前の段階で既知の値となった画素#1の値を加
味することにある。これにより、各画素の連続性を確保
することができる。
【0027】また、上述した処理の第4の特徴(利点)
は、画像の種類に依らず、全ての種類の画像を処理対象
とすることができることにある。すなわち、近傍画素の
定義,閾値の初期値,演算の種類を適宜設定することに
より、画像が文書画像のような2値画像であっても、ま
た、写真画像や絵図画像のような多値画像であっても、
画像の修復や推定を良好に行なうことができることにあ
る。なお、上述の具体例では、画像の種類について何ら
言及していないが、画像が多値画像である場合には、近
傍画像のうち既知の値をもつ画素の値の演算値(例えば
平均値)そのものを、未知画素の値として決定すること
ができる。また画像が2値画像である場合には、近傍画
像のうち既知の値をもつ画素の値の演算値(例えば平均
値)が“0.5”以下のときには“0”を未知画素に対
する値として決定し、また、演算値(例えば平均値)が
“0.5”以上のときには“1”を未知画素に対する値
として決定することができる。
【0028】ところで、閾値初期設定部5において、設
定される閾値kの初期値としては、例えば、前述のよう
に近傍画素数に応じた最も大きな値に設定することがで
きる。前述の例では、近傍画素数が“8”である場合、
閾値kの初期値を“7”に設定することができる。この
ように、閾値kの初期値を近傍画素数に応じた最も大き
な値に設定し、閾値kの最も大きいところから処理を開
始することで、処理対象領域PCU内の各画素の値を最
も信頼性のあるものから順に決定することができる。
【0029】しかしながら、処理対象となる領域の大き
さ,形状によっては、閾値kの初期値を最も大きな値に
設定せずとも、画像をある程度信頼性良く良好に処理
(例えば修復)することができる場合もある。例えば、処
理対象領域PCUの大きさが小さいとき、あるいは処理
対象領域PCUの形状が細長いものでないときには、領
域PCUの大きさが大きい場合、あるいは領域PCUの
形状が細長い場合に比べて、閾値kの初期値を低く設定
し、この領域PCUの画素に対する処理が最も信頼性高
くなされなくとも、画像全体の品質に対するこの領域P
CU内の画素の影響は少ないと考えられる。このような
場合にも、閾値kの初期値を常に近傍画素数に応じた最
も大きな値に設定し、閾値kの最も大きな値のところか
ら処理を開始すると、処理量が増加し、処理速度が低下
するという弊害がかえって生ずる。このような弊害を防
止するため、閾値初期設定部5は、処理対象領域PCU
の大きさ(すなわち処理対象領域PCU内の画素数)お
よび/または、処理対象領域PCUの形状に応じて、閾
値kの初期値を最適なものに設定するのが良い。
【0030】図5は閾値初期設定部5の構成例を示す図
である。図5を参照すると、閾値初期設定部5は、閾値
kの初期値を決定するための情報を保持するテーブルT
BLと、処理対象領域PCUの大きさに関する情報およ
び/または処理対象領域PCUの形状に関する情報を領
域情報として検出する領域情報検出部8と、領域情報検
出部8で検出された領域情報に対応する閾値kの初期値
をテーブルTBLを参照して自動的に決定する初期値決
定部9とを有している。
【0031】ここで、領域情報検出部8は、処理対象領
域PCUの大きさに関する情報として、画像PC全体の
大きさ(すなわち画像PC全体の画素数)に対する領域P
CU内の画素数Nの割合いf(%)を用いることができ
る。なお、処理対象領域PCU内の画素数Nは、前述の
ように領域特定部1によって処理対象領域PCUを特定
する際に得られたものを利用することができる。
【0032】また処理対象領域PCUの形状について
は、領域特定部1によって例えば図6(a)に示すような
処理対象領域PCUが特定されたとき、図6(b)のよう
にこの領域PCUを切り出し、切り出した矩形RCの例
えば縦方向iと横方向jの長さの比、すなわち縦横比ま
たは横縦比RTij(=dj/diまたはdi/dj)を求
め、この縦横比または横縦比RTijに基づき検出するこ
とができる。すなわち、領域PCUがどの程度の細長さ
の形状のものであるかを検知することができる。
【0033】また、テーブルTBLは、図7(a),図7
(b),または図7(c)のように構成することができる。
図7(a)の例では、テーブルTBLには、画像PC全体
の画素数に対する処理対象領域PCU内の画素数の割合
いf(%)と、割合いfに対応する閾値kの初期値とが設
定されている。また、図7(b)の例では、テーブルTB
Lには、領域PCUの縦横比または横縦比RTijと、R
ijに対応する閾値kの初期値とが設定されている。な
お、図7(b)において、RTijは、縦横比(dj/di)
または横縦比(di/dj)のいずれか大きい値のものと
し、従って、RTijは、“1”以上であるとする。ま
た、図7(c)の例では、テーブルTBLには、領域PC
U内の画素数の割合いfと、領域PCUの縦横比または
横縦比RTijと、fとRTijとに対応する閾値kの初期
値とが設定されている。
【0034】次に閾値初期設定部5が上記のような構成
になっているときの処理の具体例を説明する。いま、テ
ーブルTBLが例えば図7(c)に示すようなものとなっ
ている場合、画像PC中の処理対象領域PCUが例えば
図8のように特定されるときには、画像PC全体の画素
数に対する処理対象領域PCU内の画素数の割合いf
(%)がかなり大きいので、初期値決定部9は、閾値kの
初期値を例えば“7”に決定する。これにより、この大
きな領域PCU内の画素の値を極めて信頼性高く決定す
ることができる。
【0035】これに対し、画像PC中の処理対象領域P
CUが例えば図9のように特定されるときには、画像P
C全体の画素数に対する処理対象領域PCU内の画素数
の割合いf(%)が小さく、また、縦横比RTijも小さい
ので、初期値決定部9は、閾値kの初期値を例えば
“4”に決定する。これにより、演算部7は、この小さ
な領域PCU内の画素に対する処理を閾値kの小さな値
“4”のところから開始する。なお、閾値kの小さな値
“4”のところから開始する場合には、領域PCU内の
画素の値は差程信頼性良くは決定されないが、処理対象
領域PCUの大きさが小さいものでありまた、その形状
が細長いものではないので、領域PCU内の画素の値が
差程信頼性良くは決定されない場合でも、画像PC全体
の品質に対する影響は少なく、その反面、処理量を減ら
し、処理の高速化を図ることができる。
【0036】また、画像PC中の処理対象領域PCUが
例えば図10のように特定されるときには、画像PC全
体の画素数に対する処理対象領域PCU内の画素数の割
合いf(%)は図9と同様に小さいが、縦横比RTijが大
きくなるので、初期値決定部9は、閾値kの初期値を例
えば“5”に決定する。これにより、図10の領域PC
U内に対する処理を、図9の領域PCU内に対する処理
と比べ、閾値kのより大きい値“5”のところから開始
する。この結果、細長い形状の領域PCU内の画素の値
を図9の場合に比べてより信頼性良く決定することがで
きるとともに、図8の場合に比べて、処理量を減らし、
処理の高速化を図ることができる。
【0037】このように、本発明では、閾値kの初期値
を処理対象領域の大きさ,形状に応じた最適なものに自
動的に決定することにより、処理の最適化を図ることが
できる。
【0038】なお、上記の例では、1つの画像PC中に
1つの処理対象領域PCUが存在する場合について説明
したが、図11に示すように、1つの画像PC中に複数
の(例えば2つの)処理対象領域PCU1,PCU2が存
在する場合にも、各領域PCU1,PCU2について、
それぞれ、本発明を同様に適用することができる。この
際、画像PC全体の画素数をN0とし、領域PCU1内
の画素数をN1とし、領域PCU2内の画素数をN2とす
るとき、閾値kの初期値を決定するときに用いられる画
像PC全体の画素数N0に対する割合いf(%)として、
全ての処理対象画素数(N1+N2)の画像PC全体の画素
数N0に対する割合い(N1+N2)/N0を用いることが考
えられる。すなわち、領域PCU1内の各画素に対する
処理を行なうときと、領域PCU2内の各画素に対する
処理を行なうときとのいずれの場合にも、閾値kの初期
値としては、割合いf=(N1+N2)/N0により決定さ
れた同じものを用いることが考えられる。領域PCU1
と領域PCU2とが互いに同程度の大きさのものである
場合には、割合いf=(N1+N2)/N0によって決定さ
れた同じ閾値kの初期値を用いることも可能であるが、
図11の例のように、領域PCU1と領域PCU2とが
互いに異なる大きさである場合には、これらに一律に同
じ閾値kの初期値を用いることは好ましくない。
【0039】従って、1つの画像PC中に複数の(例え
ば2つの)処理対象領域PCU1,PCU2が存在する
場合、各領域PCU1,PCU2ごとに、割合いfを定
めるのが良い。すなわち、領域PCU1に対する閾値k
の初期値k1については、この領域PCU1内の画素数
1の画像PC全体の画素数N0に対する割合いf1=(N
1/N0に基づいて決定し、また、領域PCU2に対する
閾値kの初期値k2については、この領域PCU2内の
画素数N2の画像PC全体の画素数N0に対する割合いf
2=N2/N0に基づいて決定するのが良い。このよう
に、各領域PCU1,PCU2それぞれに最適な閾値k
の初期値k1,k2を決定することで、各領域PCU1,
PCU2の大きさ,形状が互いに異なっていても(より
具体的には、画像PC中において欠陥画素の分布が一様
でない場合にも)、各領域PCU1,PCU2の各画素
に対し最適な処理を行なうことができる。
【0040】また、上記各例では、領域PCU(あるい
はPCU1,PCU2)の大きさに関する情報として、
画像PC全体の画素数に対する領域PCU(あるいはP
CU1,PCU2)内の画素数の割合いf(%)(あるいは
1(%),f2(%))を用いたが、領域PCU(あるいはP
CU1,PCU2)の大きさに関する情報として、領域
PCU(あるいはPCU1,PCU2)内の画素数そのも
のを用いても良い。すなわち、画像PC全体が非常に大
きいものであって、例えば、領域PCUの大きさ(画素
数)が画像PC全体に比べればかなり小さいがそれ自体
でかなり大きい場合、領域PCU内の画素の値は、信頼
性高く決定されるのが望ましいが、画像PC全体の画素
数に対する領域PCU内の画素数の割合いfにより閾値
kの初期値を決定すると、この初期値は領域PCUが画
像PC全体と比べ小さな大きさのものであると判断され
て低く設定され、従って、領域PCU内の画素の値を信
頼性良く決定することができなくなる。このような場合
には、領域PCUの大きさに関する情報として、領域P
CU内の画素数そのものを用いるのが良い。
【0041】また、上述の例では、領域PCUの形状に
関する情報を、領域PCUの切出矩形RCの縦横比また
は縦横比RTijとして検出しており、このような検出の
仕方は、領域PCUが図12(a)または図12(b)のよ
うに、縦方向iに沿ってまたは横方向jに沿って細長い
形状である場合には有効である。しかしながら、領域P
CU例えば図12(c)に示すように斜めに細長いような
場合、上記の検出の仕方では、これが細長い形状である
と検出することができない。従って、この場合には、領
域PCUの形状に関する情報として、矩形RC内の画素
数NRに対する領域PCU内の画素数Nの比RT'を求
め、この比RT'に基づき、領域PCUが細長い形状で
あるか否かを検出することができる。すなわち、図12
(c)の場合に、比RT'が小さい程、領域PCUが細長
い形状であると検出できる。
【0042】また、図12(a),(b),(c)のいずれの
場合にも、領域PCUが細長い形状であると検出できる
ために、領域PCUの形状に関する情報として、矩形R
Cの縦横比または横縦比RTijとともに、矩形RC内の
画素数NRに対する領域PCU内の画素数Nの比RT'を
求め、比RTijと、比RT'との両方に基づき、領域P
CUが細長い形状であるか否かを検出するのが良い。こ
れによれば、例えば、図12(a),(b)の場合には、比
RT'は大きいが、比RTijが大きくなるので、細長い
形状と検出でき、また、図12(c)の場合には、比RT
ijは小さいが、比RT'が小さくなるので、領域PCU
が細長い形状であると検出することができる。
【0043】上述したような本発明の画像処理装置は、
処理対象となる領域が特定できるものであれば、種々の
用途に適用可能である。なお、適用される用途が異なる
ごとに、処理対象領域の特定の仕方も異なるので、画像
処理装置の領域特定部1は、適用される用途に適した構
成をとる必要がある。
【0044】本発明の画像処理装置の適用例として、フ
ァクシミリ,複写機あるいはイメージスキャナ等の画像
読取システムで読取った画像を修復する場合が考えられ
る。図13は本発明の画像処理装置が画像修復装置とし
て組み込まれた画像読取システムの構成例を示す図であ
る。図13を参照すると、この画像読取システムは、原
稿10が載置される原稿台11と、コンタクトガラス1
2と、原稿10に光を照射する光源13と、原稿10か
らの反射光を検知し、原稿10の読取画像を得るCCD
素子やラインセンサなどの画像読取デバイス14と、画
像読取デバイス14によって読取られた画像(例えば多
値画像,あるいは2値画像)を記憶する画像メモリ15
と、画像メモリ15に記憶された画像に対し修復処理を
施す画像修復装置16とを備えている。
【0045】このような画像読取システムにおいて、処
理対象,すなわち修復対象となるべき画像の欠陥は、例
えば、コンタクトガラス12(あるいは、図示しないが
フィルタ,レンズなどの光学部品)の一部に汚れや傷な
どがある場合、あるいは、CCD素子やラインセンサな
どの画像読取デバイス14に故障がある場合、あるいは
原稿10の一部に汚れや傷,しわなどがある場合に生ず
る。
【0046】ここで、コンタクトガラス12(あるい
は、フィルタ,レンズなどの光学部品)の一部に汚れや
傷などがある場合、これらの汚れや傷に対応した欠陥
は、これらが取り除かれない限り、画像メモリ15中の
一定領域(同じ領域)に常に現われる。コンタクトガラス
12(あるいは、フィルタ,レンズなどの光学部品)の一
部に存在する汚れや傷などに対応した画像の欠陥を画像
修復装置16により修復する場合、先ず、画像メモリ1
5中で画像の欠陥領域,すなわち修復対象領域(処理対
象領域)を領域特定部1によって特定する必要がある
が、この修復対象領域は、画像読取りを繰返し行なって
も、画像メモリ15中の常に同じ位置となるので、例え
ば、原稿台11に原稿10が載置されていない状態(例
えば白紙が載置されている状態)における画像を読取っ
て画像メモリ15にプリスキャン画像として記憶し、画
像メモリ15に記憶されたプリスキャン画像から欠陥領
域すなわち修復対象領域を特定するよう、領域特定部1
を構成することができる。
【0047】例えば、領域特定部1は、画像メモリ15
中にプリスキャン画像が多値で記憶されるとする場合、
所定濃度値以上の画素からなる領域を修復対象領域とし
て抽出し特定するよう構成することができる。また、画
像メモリ16中にプリスキャン画像が2値で記憶される
とする場合、“1”の値をもつ画素からなる領域を修復
対象領域として抽出し特定するよう構成することができ
る。図14は領域特定部1の具体例を示す図であり、図
14の例では、領域特定部1は、領域を抽出する領域抽
出部17と、抽出した領域内の各画素の位置情報が記憶
される領域メモリ18とを有している。
【0048】いま、プリスキャンを行なうことによっ
て、例えば図15(a)に示すようなプリスキャン画像が
得られる場合、領域特定部1の領域抽出部17は、図1
5(a)のプリスキャン画像から2つの修復対象領域PC
U1,PCU2を抽出し特定し、各領域PCU1,PC
U2内の画素の位置情報を領域メモリ18に格納する。
このとき、画像処理部2の閾値初期設定部5は、領域メ
モリ18に格納された位置情報を参照し、前述したよう
な仕方で、修復対象領域PCU1に対する閾値kの最適
な初期値k1を設定し、また、修復対象領域PCU2に
対する閾値kの最適な初期値k2を決定する。このよう
にしてプリスキャンにより、修復対象領域が抽出し特定
され、また、閾値kの最適な初期値k1,k2が決定され
た後、実際の原稿を読み取り、その画像を画像メモリ1
5に記憶する。図15(b)は実際の原稿画像の一例であ
り、図15(b)と図15(a)とを比べればわかるよう
に、図15(b)においても、図15(a)とほぼ同じ位置
に、コンタクトガラス12(あるいは、フィルタ,レン
ズなどの光学部品)の一部に存在する汚れや傷などに対
応した欠陥が生じている。画像修復装置の画像処理部2
は、領域メモリ18に格納に格納された領域PCU1,
PCU2の位置情報を参照し、図15(b)の原稿画像に
おいて、修復対象領域PCU1,PCU2内の各画素が
値をもっていても、この値を何ら考慮せずに、(すなわ
ちこれら各画素の値が完全に未知のものであると仮定し
た上で)、画像メモリ15に記憶されている原稿画像に
対し、前述したような処理を修復処理として行なうこと
ができる。例えば、最初、原稿画像において修復対象領
域PCU1の各画素に対して、閾値kの最適な初期値k
1のところから修復処理を行い、次いで、修復対象領域
PCU2内の各画素に対して、閾値kの最適な初期値k
2のところから修復処理を行なう。
【0049】このようにして、コンタクトガラス12
(あるいは、フィルタ,レンズなどの光学部品)の一部に
存在する汚れや傷などによって、画像の一部の領域に欠
陥が生じた場合にも、この領域に応じた最適の仕方で、
この領域を高品質の状態に迅速に修復することができ
る。
【0050】また、画像読取デバイス14の一部に故障
がある場合にも、コンタクトガラス12に汚れや傷など
がある場合と同様に、画像読取デバイス14の一部の故
障に対応した欠陥は、図16(a)あるいは図16(b)に
示すように、画像読取デバイス14が交換されない限
り、画像メモリ15中の一定領域(同じ領域)に常に現わ
れる。例えば、図16(a)に示すように白抜けとして現
われたり、図16(b)に示すように黒線として現われた
りする。なお、図16(a),(b)は、画像読取デバイス
14がCCDである場合の画像である。
【0051】従って、画像修復装置16の領域特定部1
を、コンタクトガラス12上の汚れや傷に対応した欠陥
領域を特定する図14に示したと同様の構成のものにす
ることで、画像読取デバイス14の一部に故障がある場
合の画像中の欠陥領域を特定することができ、特定した
欠陥領域の各画素を画像処理部2により修復することが
できる。換言すれば、画像修復装置16を図14の構成
とすることで、コンタクトガラス12,画像読取デバイ
ス14などを含む画像読取システム全体の欠陥に対応し
た画像の欠陥領域を同時に特定し、これらを1つの画像
修復装置16で修復することができる。
【0052】また、画像読取デバイス14の一部に故障
があるときに生ずる画像の欠陥領域だけを特定する場合
には、領域特定部1を図17に示したような構成のもの
にすることができる。すなわち、図17の構成では、領
域特定部1は、CCDやラインセンサなどの画像読取デ
バイス14の個々の素子から出力される信号レベルを検
出し、各素子が正常であるか異常であるかを判定する異
常検出部21と、異常と判定された素子に対応する画像
メモリ15上での画素の位置情報を記憶する領域メモリ
22とを有している。
【0053】一般に、画像読取デバイス14の一部の素
子が電気的に壊れると、この素子から出力される信号レ
ベルは、常時異常なレベルとなり、画像中に図16
(a),図16(b)に示したような欠陥が生ずる。従っ
て、領域特定部1が図17の構成となっている場合に
は、異常検出部21により信号レベルが異常であると検
出された素子に対応する画素からなる領域を修復対象領
域として特定し、その位置情報を領域メモリ22に格納
する。そして、画像処理部2は、領域メモリ22に格納
された位置情報を参照し、先ず、閾値kの初期値を最適
なものに決定し、しかる後、最適に決定された閾値kの
初期値のところから画像修復を行い、図16(a),図1
6(b)のような欠陥のある画像を、この欠陥に応じた最
適の仕方で、良好に修復することができる。
【0054】なお、画像修復装置16のもつ上記機能を
画像読取デバイス14自体にもたせることもできる。こ
の場合、画像読取デバイス14の一部が破損しても、画
像読取デバイス自体でこの破損した部分に対応する画像
を良好に修復でき、画像読取デバイス14からは、画像
読取デバイス14の一部が破損していないときと同様の
良好な品質の画像が出力されるので、素子の寿命を見か
け上延ばすことができる。
【0055】一方、原稿10の一部に汚れや傷,しわな
どがある場合、原稿10は、コンタクトガラス12や画
像読取デバイス13などのように、画像読取システムに
固定されたものでないので、原稿10を読取ったとき
に、原稿10上の汚れや傷,しわなどは、画像メモリ1
5中において常に同じ領域に現われる性質のものではな
い。
【0056】従って、原稿10上の汚れや傷,しわなど
による画像の欠陥を画像修復装置16により修復する場
合、画像修復装置16は、例えば図18のように構成さ
れる。すなわち、図18の画像修復装置16では、領域
特定部1は、画像メモリ15に記憶された画像を表示す
る表示部25と、表示部25に表示された画像のうち所
定の領域をオペレータに指示させるためのマウスなどの
ポインティングデバイス26と、ポインティングデバイ
ス26によって指示された領域内の各画素の位置情報が
記憶される領域メモリ27とを有している。
【0057】このような構成では、原稿10を読取った
とき、画像メモリ15に記憶された原稿画像が例えば図
19(a)のように表示部25に表示される。この表示を
見て、オペレータは、原稿10上の汚れや傷,しわなど
による部分を特定し、その部分を図19(b)に符号PC
Uで示すように、マウスなどのポインティングデバイス
26によって指示する(例えば囲む)。これにより、ポイ
ンティングデバイス26によって指示された(囲まれた)
領域PCU内の各画素の位置情報が領域メモリ27に格
納される。そして、画像処理部2は、領域メモリ27に
格納された位置情報を参照し、先ず、閾値kの初期値を
最適なものに決定し、しかる後、最適に決定された閾値
の初期値のところから領域PCU内の各画素に対し、前
述のような仕方で画像修復を行なうことができる。な
お、図18の例では、処理対象となる領域をオペレータ
に指示させるようになっているが、汚れや傷が一定の形
状,大きさのものである場合、処理対象となる領域も一
定の形状,大きさのものとなるので、この場合には、パ
ターン認識技術を用いてオペレータの指示によらずに領
域を特定することも可能である。
【0058】このように、本発明の画像処理装置は、画
像読取システムにおいて読取画像中に生ずるあらゆる種
類の欠陥に対し、この欠陥の大きさ,形状に応じた最適
の仕方で、これを良好に画像修復することができる。
【0059】上記適用例は、原稿の読取画像(2次元画
像)に対して画像の修復を行なう場合であるが、本発明
は、本願と同一の出願人により本願と同日付で出願され
た特許出願(整理番号9303862)に記載されている
と同様に、対象画像として、2次元画像のみならず、C
T画像や核磁気共鳴画像などの3次元画像あるいは動画
像、さらにそれ以上の高次元画像の修復や推定にも適用
可能である。
【0060】また、ファクシミリの画像伝送時に、例え
ば、回線等にノイズなどが混入するときに生ずるファク
シミリ受信画像の欠陥の修復などにも適用可能である。
【0061】また、上記各例では、演算部7において、
処理対象領域PCU内の未知の画素を完全に未知の値の
ものとし(未知画素が不確かな値をもっていても、この
値を何ら考慮せずに)、近傍画素のうちの既知画素の値
だけに基づいて、未知画素の値を決定するようにしてい
るが、未知画素が完全には未知でなく不確かな値をもっ
ている場合、この情報をも考慮した演算処理がなされる
ことによって、より高品質の画像に修復することができ
ることもある。
【0062】従って、演算部7として、未知画素が不確
かな値をもっている場合、前述の処理例のようにこの未
知画素の値が完全に未知であると仮定し近傍画素のうち
の既知画素の値だけによって決定し、しかる後、このよ
うに決定した値に、この未知画素が本来もっている不確
かな値を加味して、この未知画素の値を最終的に決定す
るよう構成することもできる。
【0063】すなわち、未知画素が本来もっている不確
かな値をp(x)とし(ここで、xは未知画素の位置を表
わし、pは例えば濃度値を表わしている)、また、この
未知画素が完全に未知であると仮定し近傍画素のうちの
既知画素の値だけによって決定した値をq(x)とすると
き、p(x)とq(x)との算術演算の結果r(x)を、この
未知画素の値として最終的に決定するようにすることも
できる。
【0064】p(x)とq(x)との算術演算の具体例とし
て、例えば次式のように、p(x)とq(x)の平均値〈p
(x)+q(x)〉をとることもできる。
【0065】
【数1】r(x)=〈p(x)+q(x)〉
【0066】あるいは、次式のように、処理対象領域P
CUの各画素について得られた値p(x)のうちで最小の
ものをp'(x)とするとき、p(x)とq(x)の平均値
〈p(x)+q(x)〉からp'(x)を減算した値{〈p
(x)+q(x)〉−p'(x)}をr(x)とすることもでき
る。
【0067】
【数2】
【0068】処理対象領域PCU内の未知画素が不確か
な値をもっている場合として、例えば、前述の第1の適
用例に示したような画像読取システムで読取った画像に
おける欠陥が挙げられる。すなわち、コンタクトガラス
12(あるいはフィルタ,レンズなどの光学部品)の一部
に汚れや傷がある場合、あるいは、画像読取デバイス1
4の一部の素子の感度が低い場合、あるいは、原稿の一
部に汚れや傷,しわなどがある場合のように、欠陥部分
の各画素の値が全く未知ではなく、その信頼性がいくら
か低い場合が挙げられる。このような場合に、未知画素
の値を完全に未知のものと仮定して、この未知画素の値
r(x)をp(x)として決定してしまうと、この未知画素
が本来もっている情報が何ら生かされない。これに対
し、上述のように、未知画素の値r(x)をp(x)とq
(x)との算術演算値とすることによって、より高品質に
画像を修復することができる。
【0069】さらに、上記変形例として、未知画素の本
来の値q(x)が信頼性の高いものか否かを判断し、信頼
性の高いときには、未知画素の値r(x)を数1または数
2のように決定する一方、信頼性の低いときには、未知
画素の本来の値が完全に未知であるとし、未知画素の値
r(x)をp(x)として決定するようにしても良い。
【0070】また、上述の各例では、処理対象領域PC
U内の画素に対して、1画素単位に処理がなされるとし
たが、処理を高速に行なうため、例えば図20に示すよ
うに、複数の画素の組を1つの画素とみなし、この画素
単位に処理を行なうようにすることもできる。なお、図
20の例では、複数の画素の組が2×2の画素からなっ
ているとしており、この場合、近傍画素も複数の画素の
組からなるものとして定義することができる。例えば、
近傍画素の1つの画素を領域PCU内の画素と同様に、
2×2の画素からなるものとして定義することができ
る。
【0071】このように、複数の画素の組を1つの画素
とみなし、この画素単位に処理がなされる場合には、1
画素単位に処理がなされる場合に比べて、処理対象とな
る画素数を低減することができ、処理を高速に行なうこ
とができる。例えば、2×2の画素を1つの画素とみな
し、この画素単位に処理がなされる場合には、処理速度
を4倍に向上させることができる。但し、このような処
理を行なうことによって、画像の解像度が劣化する。上
記例では、解像度は1/2に劣化する。従って、解像度
が劣化しても良いような用途に適用することができる。
【0072】その適用例として、例えば、送信側のファ
クシミリ装置が400dpiの解像度で画像信号を送る
能力を有しているのに対し、受信側のファクシミリ装置
が200dpiの解像度の再現能力しか有していない場
合である。この場合、受信側のファクシミリ装置では、
送信側のファクシミリ装置からの400dpiの画像に
対して、前述したような処理を行なう場合、送信側にお
ける400dpiの解像度を維持する必要はなく、20
0dpiの解像度があれば良い。従って、2×2の画素
を1つの画素とみなし、この画素単位に画像修復処理を
行なうことにより、処理速度を4倍に向上させ、かつ、
受信側に必要な解像度を満たすことができる。
【0073】
【発明の効果】以上に説明したように、請求項1乃至請
求項7記載の発明によれば、処理対象領域内の各画素が
当初、完全に未知の値あるいは不確かな値をもつ未知画
素であるとし、処理対象領域内の特定の未知画素に着目
するとき、該未知画素の近傍画素のうちで既知の値をも
つ既知画素の個数が所定の閾値よりも大きい場合に限
り、近傍画素のうちの既知画素の値を用いて未知画素の
値を決定する一方、既知画素の個数が所定の閾値よりも
小さいときには、未知画素の値を決定せず未知画素のま
ま残すようになっており、処理対象領域内の各画素につ
いて所定の閾値での前記処理がなされた後、値の決定さ
れた未知画素を既知画素とし、また、閾値を変更し、残
されている未知画素に対して処理を繰り返し行なう画像
処理において、上記閾値の最適な閾値を、処理対象領域
の大きさに関する情報、および/または、処理対象領域
の形状に関する情報に基づいて決定するようになってい
るので、処理対象領域の大きさ,形状に応じた最適な処
理を行なうことができ、画像を高速にかつ高品質に修
復,推定等することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像処理装置の構成例を示す図で
ある。
【図2】画像中の処理対象領域と既知領域とを説明する
ための図である。
【図3】図1の画像処理装置の動作を説明するためのフ
ローチャートである。
【図4】(a)乃至(d)は図1の画像処理装置の処理の具
体例を示す図である。
【図5】閾値初期設定部の構成例を示す図である。
【図6】(a),(b)は処理対象領域の形状を検出する仕
方を説明するための図である。
【図7】(a)乃至(c)はテーブルの構成例を示す図であ
る。
【図8】閾値初期設定部の処理の具体例を示す図であ
る。
【図9】閾値初期設定部の処理の具体例を示す図であ
る。
【図10】閾値初期設定部の処理の具体例を示す図であ
る。
【図11】1つの画像中に複数の処理対象領域が存在す
る場合を示す図である。
【図12】(a)乃至(c)は領域PCUの形状を説明する
ための図である。
【図13】本発明の画像処理装置が画像修復装置として
組み込まれた画像読取システムの構成例を示す図であ
る。
【図14】画像処理装置の具体的な構成例を示す図であ
る。
【図15】(a)はプリスキャン画像の一例を示す図、
(b)は実際の原稿画像の一例を示す図である。
【図16】(a),(b)は画像読取デバイスの一部の素子
に欠陥がある場合の画像の一例を示す図である。
【図17】画像処理装置の具体的な構成例を示す図であ
る。
【図18】画像処理装置の具体的な構成例を示す図であ
る。
【図19】(a),(b)は表示部上での処理対象領域の特
定の仕方を説明するための図である。
【図20】(a),(b)は処理対象領域内の画素に対し
て、複数の画素の組を1つの画素とみなして処理を行な
う場合の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 領域特定部 2 画像処理部 3 制御部 4 近傍画素定義部 5 閾値初期設定部 6 演算種類設定部 8 領域情報検出部 9 初期値決定部 10 原稿 11 原稿台 12 コンタクトガラス 13 光源 14 画像読取デバイス 15 画像メモリ 16 画像処理装置 17 領域抽出部 18,22,27 領域メモリ 21 異常検出部 25 表示部 26 ポインティングデバイス PC 画像 PCU 処理対象領域 PCK 既知領域 TBL テーブル

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 画像中の処理対象領域に含まれる画素に
    対して所定の画像処理を施す画像処理装置であって、前
    記画像処理装置は、前記処理対象領域の大きさに関する
    情報、および/または、処理対象領域の形状に関する情
    報に基づいて、閾値の最適な初期値を決定する閾値初期
    決定手段と、前記処理対象領域内の各画素が当初、完全
    に未知の値あるいは不確かな値をもつ未知画素であると
    し、処理対象領域内の特定の未知画素に着目するとき、
    該未知画素の近傍画素のうちで既知の値をもつ既知画素
    の個数が所定の閾値よりも大きい場合に限り、近傍画素
    のうちの既知画素の値を用いて未知画素の値を決定する
    一方、既知画素の個数が所定の閾値よりも小さいときに
    は、未知画素の値を決定せず未知画素のまま残すように
    演算処理を行なう演算処理手段と、処理対象領域内の各
    画素について、前記閾値初期決定手段によって決定され
    た閾値の最適な初期値のところから前記演算処理手段に
    よる演算処理を行なわせ、処理対象領域内の各画素につ
    いて演算処理がなされた後、値の決定された未知画素を
    既知画素とし、また、閾値を変更し、残されている未知
    画素に対して前記演算処理を繰り返し行なう制御手段と
    を備えていることを特徴とする画像処理装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の画像処理装置において、
    前記閾値初期決定手段は、前記処理対象領域の大きさに
    関する情報を、処理対象領域内の画素数として検出する
    ようになっていることを特徴とする画像処理装置。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の画像処理装置において、
    前記閾値初期決定手段は、前記処理対象領域の大きさに
    関する情報を、画像全体の画素数に対する処理対象領域
    内の画素数の割合として検出するようになっていること
    を特徴とする画像処理装置。
  4. 【請求項4】 請求項1記載の画像処理装置において、
    前記閾値初期決定手段は、前記処理対象領域の形状に関
    する情報を、処理対象領域を矩形状に切出し、切出した
    矩形の縦方向と横方向の長さの比に基づき、検出するよ
    うになっていることを特徴とする画像処理装置。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の画像処理装置において、
    前記閾値初期決定手段は、前記処理対象領域の形状に関
    する情報を、処理対象領域を矩形状に切出し、切出した
    矩形内の画素数と処理対象領域内の画素数との比に基づ
    き、検出するようになっていることを特徴とする画像処
    理装置。
  6. 【請求項6】 請求項1記載の画像処理装置において、
    前記閾値初期決定手段は、前記処理対象領域の形状に関
    する情報を、処理対象領域を矩形状に切出し、切出した
    矩形の縦方向と横方向の長さの比と、切出した矩形内の
    画素数と処理対象領域内の画素数との比とに基づき、検
    出するようになっていることを特徴とする画像処理装
    置。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の画像処理装置において、
    前記閾値初期決定手段は、前記処理対象領域の大きさが
    大きい程、閾値の初期値を大きく決定し、また、前記処
    理対象領域の形状が細長い程、閾値の初期値を大きく決
    定するようになっていることを特徴とする画像処理装
    置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7038810B1 (en) 1998-12-14 2006-05-02 Canon Kabushiki Kaisha Image processing method and apparatus, image processing system, and storage medium
JP2010074672A (ja) * 2008-09-19 2010-04-02 Canon Inc 画像処理装置、画像処理方法、及び、画像処理プログラム

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7038810B1 (en) 1998-12-14 2006-05-02 Canon Kabushiki Kaisha Image processing method and apparatus, image processing system, and storage medium
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