JPH0711148A - 難燃特性の優れた熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

難燃特性の優れた熱可塑性樹脂組成物

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JPH0711148A
JPH0711148A JP15897493A JP15897493A JPH0711148A JP H0711148 A JPH0711148 A JP H0711148A JP 15897493 A JP15897493 A JP 15897493A JP 15897493 A JP15897493 A JP 15897493A JP H0711148 A JPH0711148 A JP H0711148A
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resin
flame retardant
thermoplastic resin
flame
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JP15897493A
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Hajime Nishihara
一 西原
Katsuaki Maeda
勝昭 前田
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 難燃特性の優れた熱可塑性樹脂組成物を提
供すること。 【構成】 (A)熱可塑性樹脂、(B)有機ハロゲン
化合物及びヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルか
らなる難燃剤、及び(C)トリアジン骨格含有化合物、
金属酸化物、フッ素系樹脂、ポリジオルガノシロキサ
ン、シリカから選ばれる一種または二種以上の難燃助剤
を有する難燃特性の優れた熱可塑性樹脂組成物。 【効果】 従来の難燃剤を削減しても難燃性を飛躍的
に向上させることが可能である。この組成物は、高度な
難燃性の要求される、家電部品、OA機器部品等を始め
とする広い用途分野に好適である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は難燃性の優れた熱可塑性
樹脂組成物に関する。更に詳しくは、難燃性、耐熱性、
耐衝撃性、及び流動性の優れた熱可塑性樹脂組成物に関
する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂は、ガラス等の無機物に比
較して成形性に優れることに加え、耐衝撃性に優れてい
ることから、自動車部品、家電部品、OA機器部品を始
めとする多岐の分野で使用されているが、熱可塑性樹脂
の易燃性のためにその用途が制限されている。
【0003】熱可塑性樹脂の難燃化の方法としては、ハ
ロゲン系、リン系、無機系の難燃剤を熱可塑性樹脂に添
加することが知られており、それによりある程度難燃化
が達成されている。しかしながら、近年火災に対する安
全性の要求がとみにクローズアップされ、家電製品、O
A機器等に対する米国UL(アンダーライターズ・ラボ
ラトリー)垂直法燃焼試験の規制が年とともに厳しくな
ってきており、より高度の難燃化が要求されている。よ
り高度の難燃化技術としては難燃剤を増量する方法が知
られているが、元来高価な難燃剤を大量に使用すること
は経済的でないだけでなく有毒ガスの発生や機械的性質
の低下を助長するために好ましくない。この為、できる
限り少量の難燃剤を用いて樹脂を難燃化する手法の開発
が望まれていた。
【0004】従来、熱可塑性樹脂の難燃性を向上させる
方法として、ハロゲン系難燃剤とリン系難燃剤とを組み
合わせることが知られている。
【0005】例えば、ポリフェニレンエーテル、スチレ
ン系樹脂、芳香族ホスフェート及び芳香族ハロゲン化合
物からなる遅延剤重合体組成物(特公昭48−3876
8号公報)または、ポリカーボネート、ABS樹脂、有
機リン化合物、無機ホウ素化合物及びハロゲン系化合物
からなる難燃性樹脂組成物(特開平5−98144号公
報)が開示されている。しかしながら、上記公報の樹脂
組成物は、難燃性は優れているものの、成形加工流動性
が著しく低く、工業的使用が狭められる。
【0006】また、上記公報には、ヒドロキシル基含有
芳香族リン酸エステルとの組み合わせにより、難燃性の
向上だけではなく、耐熱性と衝撃強度を保持しつつ、成
形加工流動性が著しく向上することが開示されていない
し、暗示さえされていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
現状に鑑み、上記のような問題点のない、即ち難燃性、
耐熱性、耐衝撃性、及び流動性の優れた熱可塑性樹脂組
成物の提供を目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、熱可塑性
樹脂の難燃性の改良技術を鋭意検討した結果、(A)熱
可塑性樹脂に対して、特定の(B)難燃剤と特定の
(C)難燃助剤とを組み合わすことにより、驚くべきこ
とに耐熱性と耐衝撃性を保持しつつ、難燃性と流動性を
飛躍的に向上させることが可能になることを見出し、本
発明に到達した。
【0009】即ち、本発明は、(A)熱可塑性樹脂、
(B)有機ハロゲン化合物及びヒドロキシル基含有芳香
族リン酸エステルからなる難燃剤、及び(C)トリアジ
ン骨格含有化合物、金属酸化物、フッ素系樹脂、ポリジ
オルガノシロキサン、シリカから選ばれる一種または二
種以上の難燃助剤を有する難燃特性の優れた熱可塑性樹
脂組成物を提供するものである。
【0010】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の
樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂と特定の(B)難燃
剤と特定の(C)難燃助剤からなる。
【0011】上記(A)成分は、成形用樹脂組成物の主
成分をなし、成形品の強度保持の役割を担うための成分
であり、(B)成分は、(C)成分と共に(A)成分に
対して難燃性を付与するための成分である。
【0012】ここで、(B)難燃剤は、有機ハロゲン化
合物及びヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステルを含
有することが必須である。リンとハロゲンとの相乗作用
により、POX、PXn、HX(Xはハロゲンを示す)
等の化合物を生成させ、これが樹脂表面を重い蒸気とな
ってカバーすることにより酸素の遮断効果を発揮し、難
燃効果を促進する。
【0013】また、上記芳香族リン酸エステルは、ヒド
ロキシル基を含有することが重要である。ヒドロキシル
基を含有することにより、(A)熱可塑性樹脂として特
に芳香族ビニル系樹脂を用いた場合、両者の間に部分相
溶性が発現する。この部分相溶性の指標として(A)成
分と(B)成分中のヒドロキシル基含有リン酸エステル
との溶解性パラメーター(Solubility Pa
rameter:SP値)の差が1.0〜2.0(単
位:[cal/cm3]1/2)の範囲にあることが好
ましい。その結果、成形加工時には、上記リン酸エステ
ルが可塑化を促進し、流動性向上剤として作用し、一
方、成形体としての使用時には両者の部分相溶性のため
に上記リン酸エステルがやや相分離することにより耐熱
性が向上する。本発明者らは、この部分相溶性こそが、
耐熱性を保持しつつ、流動性を大幅に向上させる原理で
あることを見出した。
【0014】そして、(C)難燃助剤として、特にトリ
アジン骨格含有化合物を用いた場合には、上記リン酸エ
ステルがヒドロキシル基を含有することにより、トリア
ジン骨格含有化合物のアミノ基との間に水素結合等の相
互作用が発現する。その結果、トリアジン骨格含有化合
物の相溶性、分散性が向上し、衝撃強度が向上すること
を見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】本発明の上記(A)成分の熱可塑性樹脂と
しては、(B)、(C)成分と相溶もしくは均一分散し
得るものであれば特に制限はない。例えば、ポリスチレ
ン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリフェ
ニレンエーテル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポ
リフェニレンスルフィド系、ポリカーボネート系、ポリ
メタクリレート系等単独もしくは二種以上を混合したも
のを使用することができる。ここで特に熱可塑性樹脂と
してポリスチレン系、ポリフェニレン系、ポリカ−ボネ
−ト系の熱可塑性樹脂が好ましい。上記ポリスチレン系
樹脂は、ゴム変性スチレン系樹脂またはゴム非変性スチ
レン系樹脂である。
【0016】本発明の熱可塑性樹脂として最も好ましい
組合せは、ゴム変性スチレン系樹脂とポリフェニレンエ
ーテルとのポリマーブレンド体であり、ゴム変性スチレ
ン系樹脂が50重量%以上含有した熱可塑性樹脂であ
る。
【0017】本発明において上記(A)成分として使用
するゴム変性スチレン系樹脂は、ビニル芳香族系重合体
よりなるマトリックス中にゴム状重合体が粒子状に分散
してなる重合体をいい、ゴム状重合体の存在下に芳香族
ビニル単量体及び必要に応じ、これと共重合可能なビニ
ル単量体を加えて単量体混合物を公知の塊状重合、塊状
懸濁重合、溶液重合、または乳化重合することにより得
られる。
【0018】このような樹脂の例としては、耐衝撃性ポ
リスチレン、ABS樹脂(アクリロニトリル−ブタジエ
ン−スチレン共重合体)、AAS樹脂(アクリロニトリ
ル−アクリルゴム−スチレン共重合体)、AES樹脂
(アクリロニトリル−エチレンプロピレンゴム−スチレ
ン共重合体)等が挙げられる。
【0019】ここで前記ゴム状重合体は、ガラス転移温
度(Tg)が−30℃以下であることが必要であり、−
30℃を越えると耐衝撃性が低下する。
【0020】このようなゴム状重合体の例としては、ポ
リブタジエン、ポリ(スチレン−ブタジエン)、ポリ
(アクリロニトリル−ブタジエン)等のジエン系ゴム及
び上記ジエンゴムを水素添加した飽和ゴム、イソプレン
ゴム、クロロプレンゴム、ポリアクリル酸ブチル等のア
クリル系ゴム及びエチレン−プロピレン−ジエンモノマ
ー三元共重合体(EPDM)等を挙げることができ、特
にジエン系ゴムが好ましい。
【0021】上記のゴム状重合体の存在下に重合させる
グラフト重合可能な単量体混合物中の必須成分の芳香族
ビニル単量体は、例えばスチレン、α−メチルスチレ
ン、パラメチルスチレン、p−クロロスチレン、p−ブ
ロモスチレン、2,4,5−トリブロモスチレン等であ
り、スチレンが最も好ましいが、スチレンを主体に上記
他の芳香族ビニル単量体を共重合してもよい。
【0022】また、ゴム変性スチレン系樹脂の成分とし
て必要に応じ、芳香族ビニル単量体に共重合可能な単量
体成分を一種以上導入することができる。耐油性を高め
る必要のある場合は、アクリロニトリル、メタクリロニ
トリル等の不飽和ニトリル単量体を用いることができ
る。
【0023】そして、ブレンド時の溶融粘度を低下させ
る必要のある場合は、炭素数が1〜8のアルキル基から
なるアクリル酸エステルを用いることができる。また更
に樹脂組成物の耐熱性を更に高める必要のある場合は、
α−メチルスチレン、アクリル酸、メタクリル酸、無水
マレイン酸、N−置換マレイミド等の単量体を共重合し
てもよい。単量体混合物中に占める上記ビニル芳香族単
量体と共重合可能なビニル単量体の含量は、0〜40重
量%である。
【0024】本発明のゴム変性スチレン系樹脂における
ゴム状重合体は、好ましくは5〜80重量%、特に好ま
しくは10〜50重量%、グラフト重合可能な単量体混
合物は、好ましくは95〜20重量%、更に好ましくは
90〜50重量%の範囲にある。この範囲外では目的と
する重合体組成物の耐衝撃性と剛性のバランスが取れな
くなる。更にはスチレン系重合体のゴム粒子径は、0.
1〜5.0μmが好ましく、特に0.2〜3.0μmが
好適である。上記範囲内では特に耐衝撃性が向上する。
【0025】本発明のゴム変性スチレン系樹脂の分子量
の尺度である還元粘度ηSP/C(0.5g/dl、トルエ
ン溶液、30℃測定)は、0.30〜0.80dl/g
の範囲にあることが好ましく、0.40〜0.60dl
/gの範囲にあることがより好ましい。ゴム変性スチレ
ン系樹脂の還元粘度ηSP/Cに関する上記要件を満たすた
めの手段としては、重合開始剤量、重合温度、連鎖移動
剤量の調整等を挙げることができる。
【0026】本発明において(A)成分として使用する
ポリフェニレンエーテル(以下PPEと略称する)は、
下記式で示される結合単位からなる単独重合体及び/又
は共重合体である。
【0027】
【化1】
【0028】但し、R1,R2,R3,R4は、それぞれ水
素、炭化水素、または置換炭化水素基からなる群から選
択されるものであり、互いに同一でも異なっていてもよ
い。このPPEの具体的な例としては、ポリ(2,6−
ジメチル−1,4−フェニンエーテル、2,6−ジメチ
ルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの
共重合体等が好ましく、中でもポリ(2,6−ジメチル
−1,4−フェニレンエーテル)が好ましい。かかるP
PEの製造方法は特に限定されるものではなく、例えば
米国特許第3,306,874号明細書記載の方法によ
る第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用
い、例えば、2,6−キシレノールを酸化重合すること
により容易に製造でき、そのほかにも米国特許第3,3
06,875号明細書、米国特許第3,257,357
号明細書、米国特許第3,257,358号明細書及び
特公昭52−17880号公報、特開昭50−5119
7号公報に記載された方法で容易に製造できる。本発明
にて用いる上記PPEの還元粘度ηSP/C(0.5g/d
l、クロロフォルム溶液、30℃測定)は、0.20〜
0.70dl/gの範囲にあることが好ましく、0.3
0〜0.60dl/gの範囲にあることがより好まし
い。PPEの還元粘度に関する上記要件を満たすための
手段としては、前記PPEの製造の際の触媒量の調整な
どを挙げることができる。
【0029】本発明の(B)成分の難燃剤は、有機ハロ
ゲン化合物及びヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステ
ルからなり、両者の量比については、前者が20〜80
重量%、後者が80〜20重量%であることが好まし
い。
【0030】上記有機ハロゲン化合物としては、芳香族
ハロゲン化合物、ハロゲン化エポキシ樹脂、ハロゲン化
ポリカーボネート、ハロゲン化芳香族ビニル系重合体、
ハロゲン化シアヌレート樹脂、ハロゲン化ポリフェニレ
ンエーテル等が挙げられ、好ましくはデカブロモジフェ
ニルオキサイド、テトラブロムビスフェノールA、テト
ラブロムビスフェノールAのオリゴマー、ブロム化ビス
フェノール系エポキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系
フェノキシ樹脂、ブロム化ビスフェノール系ポリカーボ
ネート、ブロム化ポリスチレン、ブロム化架橋ポリスチ
レン、ブロム化ポリフェニレンオキサイド、ポリジブロ
ムフェニレンオキサイド、デカブロムジフェニルオキサ
イドビスフェノール縮合物及び含ハロゲンリン酸エステ
ル等である。
【0031】上記、ヒドロキシル基含有芳香族系リン酸
エステルとは、トリクレジルフォスフェートやトリフェ
ニルフォスフェートやそれらの縮合リン酸エステル等に
1個または2個以上のフェノール性水酸基を含有したリ
ン酸エステルであり、例えば下記の化合物である。
【0032】
【化2】
【0033】(但し、Ar1、Ar2、Ar3、Ar
4、Ar5、Ar6はフェニル基、キシレニル基、エチ
ルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ブチルフェニ
ル基から選ばれる芳香族基であり、リン酸エステル中に
少なくとも1個のヒドロキシル基が上記芳香族基に置換
されている。また、nは0〜3の整数を表わし、mは1
以上の整数を表わす。) 本発明のヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エステルの
中でも特に、下記式(3)のジフェニルレゾルシニルフ
ォスフェートまたは式(4)のジフェニルハイドロキノ
ニルフォスフェートが好ましく、その製造方法は、例え
ば特開平1−223158号公報に開示されており、フ
ェノール、ヒドロキシフェノール、塩化アルミニウム及
びオキシ塩化リンの反応により得られる。
【0034】
【化3】
【0035】本発明の(B)成分の難燃剤は、有機ハロ
ゲン化合物及びヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステ
ルを必須成分とし、必要に応じてヒドロキシル基を含
有しない有機リン化合物、赤リン、無機系リン酸
塩、無機系難燃剤を含有した難燃剤である。
【0036】上記ヒドロキシル基を含有しない有機リ
ン化合物は、例えば、ホスフィン、ホスフィンオキシ
ド、ビホスフィン、ホスホニウム塩、ホスフィン酸塩、
リン酸エステル、亜リン酸エステル等であり、具体的に
は、トリフェニルフォスフェート、メチルネオペンチル
フォスファイト、ペンタエリスリトールジエチルジフォ
スファイト、メチルネオペンチルフォスフォネート、フ
ェニルネオペンチルフォスフェート、ペンタエリスリト
ールジフェニルジフォスフェート、ジシクロペンチルハ
イポジフォスフェート、ジネオペンチルハイポフォスフ
ァイト、フェニルピロカテコールフォスファイト、エチ
ルピロカテコールフォスフェート、ジピロカテコールハ
イポジフォスフェート等である。
【0037】上記赤リンは、一般の赤リンの他に、そ
の表面をあらかじめ、水酸化アルミニウム、水酸化マグ
ネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる金属
水酸化物の皮膜で被覆処理されたもの、水酸化アルミニ
ウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタン
より選ばれる金属水酸化物及び熱硬化性樹脂よりなる皮
膜で被覆処理されたもの、水酸化アルミニウム、水酸化
マグネシウム、水酸化亜鉛、水酸化チタンより選ばれる
金属水酸化物の皮膜の上に熱硬化性樹脂の皮膜で二重に
被覆処理されたものなどである。
【0038】上記無機系リン酸塩は、ポリリン酸アン
モニウムが代表的である。
【0039】上記無機系難燃剤は、水酸化アルミニウ
ム、水酸化マグネシウム、ドロマイト、ハイドロタルサ
イト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、塩基性炭酸
マグネシウム、水酸化ジルコニウム、酸化スズの水和物
等の無機金属化合物の水和物、ホウ酸亜鉛、メタホウ酸
亜鉛、メタホウ酸バリウム、炭酸亜鉛、炭酸マグネシウ
ム、ム−カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等
である。これらは、一種でも二種以上を併用してもよ
い。この中で特に、水酸化マグネシウム、水酸化アルミ
ニウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト
からなる群から選ばれたものが難燃効果が良く、経済的
にも有利である。
【0040】本発明の(C)成分の難燃助剤は、トリア
ジン骨格含有化合物、金属酸化物、フッ素系樹脂、ポリ
ジオルガノシロキサン、シリカから選ばれる一種または
二種以上の難燃助剤である。
【0041】上記トリアジン骨格含有化合物は、(B)
成分中のヒドロキシル基含有リン酸エステルの難燃助剤
として一層の難燃性を向上させるための成分である。そ
の具体的例としては、メラミン、メラム、メレム、メロ
ン、メラミンシアヌレート、サクシノグアナミン、アジ
ポグアナミン、メチルグルタログアナミン、リン酸メラ
ミン、メラミン樹脂、BTレジン等を挙げることができ
るが、特にメラミンシアヌレートが好ましい。
【0042】上記金属酸化物は、三酸化アンチモン、酸
化銅、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化モリブデン、
酸化鉄、酸化マンガン、酸化アルミニウム、酸化スズ、
酸化チタン等である。
【0043】上記フッ素系樹脂は、更に一層、耐ドリッ
プ性を向上させるための成分であり、樹脂中にフッ素原
子を含有する樹脂である。その具体例として、ポリモノ
フルオロエチレン、ポリジフルオロエチレン、ポリトリ
フルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、テト
ラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合
体等を挙げることができる。また、耐ドリップ性を損わ
ない程度に必要に応じて上記含フッ素モノマーと共重合
体可能なモノマーとを併用してもよい。
【0044】これらのフッ素系樹脂の製造方法は、米国
特許第2,393,697号明細書及び米国特許第2,
534,058号明細書に開示され、例えばテトラフル
オロエチレンを水性媒体中で過硫酸アンモニウム、過硫
酸カリウム等のラジカル開始剤を用いて、7〜70kg
/cm2の加圧下、0〜200℃の温度で重合し、次い
で懸濁液、分散液または乳濁液から凝析により、または
沈殿によりポリテトラフルオロエチレン粉末が得られ
る。
【0045】ここで、フッ素系樹脂の融点以上で溶融混
練することが好ましい。例えば、ポリテトラフルオロエ
チレンの場合、300〜350℃の温度範囲で溶融する
ことが好ましい。せん断力下、融点以上での溶融によ
り、高度にフィブリル化し、配向結晶化する。そして、
フッ素系樹脂が幹繊維に対して、枝分かれした特種な高
次構造を有するフッ素系樹脂が得られる。その結果とし
て、三次元的に熱可塑性樹脂と絡み合い、成形体の溶融
滴下を抑制する。また、高せん断力を与えるために、ゴ
ム変性樹脂(例えば、ゴム変性ポリスチレン)より、ポ
リフェニレンエーテル等の溶融粘度の高い硬質樹脂中で
溶融することが好ましい。
【0046】上記特殊な高次構造を有するフッ素系樹脂
の製造方法は、フッ素系樹脂と熱可塑性樹脂と必要に応
じて分散剤を、フッ素系樹脂の融点以上で溶融混練して
マスターバッチを作製してから、熱可塑性樹脂、難燃剤
と溶融混練する二段プロセス法、または、サイドフィー
ド可能な二ゾーンからなる押出機を用い、前段で熱可塑
性樹脂とフッ素系樹脂と必要に応じて分散剤を、フッ素
系樹脂の融点以上で溶融混練し、後段で溶融温度を下げ
て難燃剤をフィード、溶融混練する一段プロセス法等が
ある。
【0047】上記ポリジオルガノシロキサンは、ポリジ
メチルシロキサン等の線状のシリコーンオイル、または
SiO2、RSiO3/2、R2SiO、R3SiO1/2、の
構造単位を組み合わせてできる三次元網状構造を有する
シリコーン樹脂である。ここで、Rはメチル基、エチル
基、プロピル基等のアルキル基、または、フェニル基、
ベンジル基等の芳香族基を示す。
【0048】このようなポリジメチルシロキサンは、上
記の構造単位に対応するオルガノハロシランを共加水分
解して重合することにより得られる。
【0049】上記シリカは、無定形の二酸化ケイ素であ
り、特にシリカ表面に炭化水素系化合物系のシランカッ
プリング剤で処理した炭化水素系化合物被覆シリカが好
ましい。
【0050】上記シランカップリング剤は、p−スチリ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニ
ルトリス(βメトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエ
トキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタク
リロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニル基含有
シラン、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチル
トリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメ
トキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシ
シラン等のエポキシシラン、及びN−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β
(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−
フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等の
アミノシランである。ここで、特に熱可塑性樹脂と構造
が類似した単位を有するシランカップリング剤が好まし
く、例えば、スチレン系樹脂に対しては、p−スチリル
トリメトキシシランが好適である。
【0051】シリカ表面へのシランカップリング剤の処
理は、湿式法と乾式法に大別される。湿式法は、シリカ
をシランカップリング剤溶液中で処理し、その後乾燥さ
せる方法であり、乾式法は、ヘンシェルミキサーのよう
な高速攪はん可能な機器の中にシリカを仕込み、攪はん
しながらシランカップリング剤液をゆっくり滴下し、そ
の後熱処理する方法である。
【0052】本発明の樹脂組成物に更に流動性を付与す
ることが必要な場合は、(D)流動性向上剤を配合する
ことができる。
【0053】上記(D)成分は、芳香族ビニル単位とア
クリル酸エステル単位からなる共重合樹脂、脂肪族炭化
水素、高級脂肪酸、高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸ア
ミド、高級脂肪族アルコール、金属石鹸から選ばれる一
種または二種以上の流動性向上剤である。
【0054】上記共重合樹脂の芳香族ビニル単位は、
(A)成分の説明において示した芳香族ビニル単位であ
り、アクリル酸エステル単位は、アクリル酸メチル、ア
クリル酸ブチル等の炭素数が1〜8のアルキル基からな
るアクリル酸エステルである。ここで、共重合樹脂中の
アクリル酸エステル単位の含量は、3〜40重量%が好
ましく、更には、5〜20重量%が好適である。また、
上記共重合樹脂の分子量の指標である溶液粘度(樹脂1
0重量%のMEK溶液、測定温度25℃)が、2〜10
cP(センチポアズ)であることが好ましい。溶液粘度
が2cP未満では、衝撃強度の低下が著しく、一方、1
0cPを越えると流動性の向上効果が低下する。
【0055】(D)成分中の脂肪族炭化水素系加工助剤
は、流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワック
ス、ポリオレフィンワックス、合成パラフィン、及びこ
れらの部分酸化物、あるいはフッ化物、塩化物等であ
る。
【0056】(D)成分中の高級脂肪酸は、カプロン
酸、ヘキサデカン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フ
ェニルステアリン酸、フェロン酸等の飽和脂肪酸、及び
リシノール酸、リシンベライジン酸、9−オキシ12オ
クタデセン酸等の不飽和脂肪酸等である。
【0057】(D)成分中の高級脂肪酸エステルは、フ
ェニルステアリン酸メチル、フェニルステアリン酸ブチ
ル等の脂肪酸の1価アルコールエステル、及びフタル酸
ジフェニルステアリルのフタル酸ジエステル等の多塩基
酸の1価アルコールエステルであり、さらに、ソルビタ
ンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソル
ビタンモノオレート、ソルビタンセスキオレート、ソル
ビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモ
ノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパル
ミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレ
ート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート等の
ソルビタンエステル、ステアリン酸モノグリセライド、
オレイン酸モノグリセライド、カプリン酸モノグリセラ
イド、ベヘニン酸モノグリセライド等のグリセリン単量
体の脂肪酸エステル、ポリグリセリンステアリン酸エス
テル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセ
リンラウリン酸エステル等のポリグリセリンの脂肪酸エ
ステル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキ
シエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノ
オレート等のポリアルキレンエーテルユニットを有する
脂肪酸エステル、及びネオペンチルポリオールジステア
リン酸エステル等のネオペンチルポリオール脂肪酸エス
テル等である。
【0058】(D)成分中の高級脂肪酸アミドは、フェ
ニルステアリン酸アミド、メチロールステアリン酸アミ
ド、メチロールベヘン酸アミド等の飽和脂肪酸のモノア
ミド、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ジ
エタノールアミド、及びヤシ油脂肪酸ジエタノールアミ
ド、オレイン酸ジエタノールアミド等のN,N´−2置
換モノアミド等であり、さらに、メチレンビス(12−
ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド、エチレンビ
スステアリン酸アミド、エチレンビス(12−ヒドロキ
シフェニル)ステアリン酸アミド、ヘキサメチレンビス
(12−ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の
飽和脂肪酸ビスアミド、及びm−キシリンビス(12−
ヒドロキシフェニル)ステアリン酸アミド等の芳香族系
ビスアミドである。
【0059】(D)成分中の高級脂肪族アルコールは、
ステアリルアルコールやセチルアルコール等の1価のア
ルコール、ソルビトールやマンニトール等の多価アルコ
ール、及びポリオキシエチレンドデシルアミン、ポリオ
キシエチレンボクタデシルアミン等であり、さらに、ポ
リオキシエチレンアリル化エーテル等のポリアルキレン
エーテルユニットを有するアリル化エーテル、及びポリ
オキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン
トリドデシルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエー
テル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオ
キシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレン
アルキルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニ
ルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテ
ル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、
ポリエピクロルヒドリンエーテル、ポリオキシエチレン
ビスフェノールAエーテル、ポリオキシエチレンエチレ
ングリコール、ポリオキシプロピレンビスフェノールA
エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレング
リコールエーテル等のポリアルキレンエーテルユニット
を有する2価アルコールである。
【0060】(D)成分中の金属石鹸は、上記ステアリ
ン酸等の高級脂肪酸の、バリウムやカルシウムや亜鉛や
アルミニウムやマグネシウム等の金属塩である。
【0061】本発明の樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹
脂100重量部に対して、(B)難燃剤が5〜40重量
部、(C)難燃助剤が5〜30重量部を配合し、更に必
要に応じて(D)流動性向上剤を0〜30重量部配合す
ることが好ましい。ここで上記範囲内では、難燃性、成
形加工性(流動性)、耐衝撃性及び耐熱性のバランス特
性が優れている。
【0062】本発明の樹脂組成物は、上記各成分を市販
の単軸押出機あるいは、二軸押出機などで例えば溶融混
練することにより得られるが、その際にヒンダードフェ
ノール等の酸化防止剤、ベンゾトリアゾールやヒンダー
ドアミン等の紫外線吸収剤、錫系熱安定剤、その他の無
機系やハロゲン系難燃剤、ステアリン酸やステアリン酸
亜鉛等の滑剤、充填剤、ガラス繊維等の補強剤、染料や
顔料等の着色剤等を必要に応じて添加することができ
る。
【0063】このようにして得られた本発明の組成物を
例えば、射出成形機又は押出成形することにより、成形
加工性(流動性)、難燃性、耐熱性及び耐衝撃性の優れ
た成形品が得られる。
【0064】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳細に説明
するが、本発明はこれにより何ら制限を受けるものでは
ない。なお、実施例、比較例における測定は、以下の方
法もしくは測定機器を用いて行った。
【0065】(1)ゴム重量平均粒子径:ゴム変性スチ
レン系樹脂の重量平均粒子径は、樹脂組成物の超薄切片
法により撮影した透過型電子顕微鏡写真中のブタジエン
系重合体粒子径を求め、次式により算出する。 重量平均粒子径=ΣNi・Di4/ΣNi・Di3 (ここにNiは、粒子径がDiであるブタジエン系重合
体粒子の個数である。) (2)還元粘土ηsp/c ゴム変性スチレン系樹脂1gにメチルエチルケトン18
mlとメタノール2mlの混合溶媒を加え、25℃で2
時間振盪し、5℃、18000rpmで30分間遠心分
離する。上澄液を取り出しメタノールで樹脂分を析出さ
せた後、乾燥した。このようにして得られた樹脂0.1
gをトルエンに溶解し、濃度0.5g/dlの溶液と
し、この溶液10mlをキャノン−フェンスケ型粘度計
に入れ、30℃でこの溶液流下秒数t1を測定した。一
方、別に同じ粘度計で純トルエンの流化秒数t0を測定
し、以下の数式により算出した。
【0066】
【数1】
【0067】一方、(A)成分のPPEの還元粘度ηs
p/cについては、0.1gをクロロホルムに溶解し、
濃度0.5g/dlの溶液とし、上記と同様に測定し
た。
【0068】(3)アイゾット衝撃強度:ASTM−D
256に準拠した方法で23℃で測定した(Vノッチ、
1/8インチ試験片)。
【0069】(4)ビカット軟化温度:ASTM−D1
525に準拠した方法で測定し、耐熱性の尺度とした。
【0070】(5)メルトフローレート(MFR):流
動性の指標でASTM−D−1238に準拠した方法で
測定した。荷重5kg、溶融温度200℃の条件で1分
間あたりの押出量(g/10分)から求めた。
【0071】(6)難燃性 UL−94に準拠したVB(Vertical Bur
ning)法により評価した(1/8インチ試験片での
評価)。
【0072】(7)各成分の溶解性パラメーター(So
lubility Parameter:SP値(δ) Polymer Engineering and S
cience,14,(2),147(1974)に記
載のFedors式により算出した。
【0073】
【数2】
【0074】(ここで、△el:各単位官能基当たりの
凝集エネルギー、△vl:各単位官能基当たりの分子容
を示す。δ[単位:(cal/cm3)1/2] なお、共重合体またはブレンド物のSP値は、加成則が
成立すると仮定し、単量体ユニットまたはブレンド物の
各成分のSP値の重量比の比例配分により算出した。
【0075】(8)発煙性 JIS−D1201に準拠した方法で測定した。即ち、
スガ試験機(株)製煙濃度測定器付酸素指数方式燃焼製
試験機 ON−1D型を用いて、酸素濃度26容量%
(L0I)の燃焼条件下の煙を、光路長(L)0.5m
の測煙筒に導入する。そして、ハロゲンランプで照射
し、受光部の光量から最小透過率(T)(%)を求め、
下記式により減光係数Csを算出する。
【0076】 Cs=(2.3/L)log10(100/T) 但し、サンプルサイズは、3.1mm(厚さ)*6.0
mm(巾)*127.0mm(長さ)である。
【0077】実施例、比較例で用いる各成分は以下のも
のを用いた。
【0078】(イ)熱可塑性樹脂(A成分) ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS) ポリブタジエン{(シス1,4結合/トランス1,4結
合/ビニル1,2結合重量比=95/2/3)(日本ゼ
オン(株)製、商品名Nipol 122 OSL)}
を、以下の混合液に溶解し、均一な溶液とした。
【0079】 ポリブタジエン 10.5重量% スチレン 74.2重量% エチルベンゼン 15.0重量% α−メチルスチレン2量体 0.27重量% 1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5− トリメチルシクロヘキサン 0.03重量% 次いで、上記混合液を撹拌機付の直列4段式反応機に連
続的に送液して、第1段は撹拌数190rpm、126
℃、第2段は50rpm、133℃、第3段は20rp
m、140℃、第4段は20rpm、155℃で重合を
行った。引き続きこの固形分73%の重合液を脱揮装置
に導き、未反応単量体及び溶媒を除去し、ゴム変性スチ
レン樹脂を得た(HIPS−1と称する)。得られたゴ
ム変性スチレン樹脂を分析した結果、ゴム含量は12.
3重量%、ゴムの重量平均粒子径は2.2μm、還元粘
度ηsp/cは0.52dl/gであった。
【0080】また、HIPSのSP値は10.3であ
り、ポリスチレンとポリブタジエンのSP値として、そ
れぞれ10.52、8.64を用い、上記成分の重量比
87.7/12.3の割合で比例配分することにより求
めた。
【0081】ゴム非変性芳香族ビニル樹脂(ポリスチ
レン(GPPS)) 市販のポリスチレン(重量平均分子量27万、数平均分
子量12万){(旭化成工業(株)製)(以後、GPP
Sと称する)}を用いた。また、SP値は10.52で
ある。
【0082】 ポリフェニレンエーテル(PPE)の製造 A)高分子量PPEの製造 酸素吹き込み口を反応機底部に有し、内部に冷却用コイ
ル、撹拌羽根を有するステンレス製反応機の内部を窒素
で充分置換したのち、臭化第2銅54.8g、ジ−n−
ブチルアミン1110g、及びトルエン20リットル、
n−ブタノール16リットル、メタノール4リットルの
混合溶媒に2,6−キシレノール8.75kgを溶解し
て反応機に仕込んだ。撹拌しながら反応機内部に酸素を
吹き込み続け、内温を30℃に制御しながら180分間
重合を行った。重合終了後、析出したポリマーを濾別し
た。これにメタノール/塩酸混合液を添加し、ポリマー
中の残存触媒を分解し、さらにメタノールを用いて充分
洗浄した後乾燥し、粉末状のポリフェニレンエーテルを
得た(PPE−1と称する)。還元粘度ηSPは0.55
dl/gであった。また、SP値は8.67である。
【0083】B)低分子量PPEの製造 上記高分子量PPE−1の製造において、重合時間を9
0分に短縮すること以外、PPE−1と同一の実験を繰
り返した。得られたポリフェニレンエーテルをPPE−
2と称する。還元粘度ηsp/Cは0.41dl/gで
あった。また、SP値は8.67である。
【0084】(ロ)難燃剤 有機ハロゲン化合物(テトラブロモビスフェノールA
エポキシオリゴマー(FR−X)) 市販の臭素系難燃剤(東都化成(株)製 分子量 16
00 商品名 YDB−408(臭素含量51重量%)
(FR−Xと称する)を用いた。
【0085】
【化4】
【0086】有機リン化合物 A)ヒドロキシル基含有芳香族系リン酸エステル(FR
−1)の製造 フェノール122.7重量部(モル比2.0)、塩化ア
ルミニウム0.87重量部(モル比0.01)をフラス
コに取り90℃でオキシ塩化リン100重量部(モル比
1.0)を1時間かけて滴下した。生成した中間体
(I)にレゾルシン71.7重量部(モル比1.0)を
加え、更に反応させた。反応を完結させるために、徐々
に昇温し最終的には180℃まで温度を上げてエステル
化を完了させた。次いで反応生成物を冷却し、水洗して
触媒及び塩素分を除去してリン酸エステル混合物(以下
FR−1と称する)を得た。この混合物をGPC(ゲル
パーミエーションクロマトグラフィー)により分析した
ところ、下記式(3)ジフェニルレゾルシニルホスフェ
ート(以下TPP−OHと称する)と、トリフェニルホ
スフェート(以下TPPと称する)と、下記式(5)の
芳香族縮合リン酸エステル(以下TPPダイマーと称す
る)からなり、重量比がそれぞれ54.2/18.3/
27.5であった。
【0087】
【化5】
【0088】B)ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸
エステル[トリフェニルホスフェート(TPP)] 市販の芳香族リン酸エステル[大八化学工業(株)製、
商品名TPP(TPPと称する)]を用いた。
【0089】C)ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸
エステル(FR−2) 市販の芳香族縮合リン酸エステル[大八化学工業(株)
製、商品名 CR733S(FR−2と称する)]を用
いた。
【0090】また、上記芳香族縮合リン酸エステルは、
GPC分析によると、下記式(6)で表わされるTPP
ダイマーとTPPオリゴマーからなり、重量比でそれぞ
れ65/35であった。
【0091】
【化6】
【0092】(但し、n=1:TPPダイマー n≧2:TPPオリゴマーと称する。) D)ヒドロキシル基非含有芳香族系リン酸エステル(F
R−3) 市販の、ビスフェノールA由来の芳香族縮合リン酸エス
テル[大八化学工業(株)製、商品名 CR741C
(FR−3と称する)]を用いた。
【0093】また、上記芳香族縮合リン酸エステルは、
GPC分析によると、下記式(7)で表わされるTCP
−A−ダイマーとTCP−A−オリゴマーとトリクレジ
ルフォスフェート(TCP)からなり、重量比でそれぞ
れ80.4/14.1/5.5であった。
【0094】
【化7】
【0095】(但し、n=1:TCP−A−ダイマー n≧2:TCP−A−オリゴマーと称する。) (ハ)難燃助剤 トリアジン骨格含有化合物 市販のメラミンシアヌレート[日産化学(株)製、商品
名 MC610(以後、MCと称する)]を用いた。
【0096】フッ素系樹脂(PTFE) 火種の滴下の抑制剤として、市販のポリテトラフルオロ
エチレン{三井デュポンフロロケミカル(株)製、商品
名 テフロン6J(PTFEと称する)}を用いた。P
TFEの添加方法については、PPE−1/GPPS/
PTFE/EBS(68.6/29.4/1/1(重量
比))のマスターバッチをPTFEの融点以上の330
℃で作製し、規定量になるように熱可塑性樹脂組成物に
配合する方法により行った。PTFEの融点以上で高せ
ん断力で混練することによりフィブリル化が促進され、
火種の滴下の抑制効果が向上する。
【0097】(ニ)流動性向上剤(EBS) 市販のエチレンビスステアリン酸アミド{下記式
(8)}{花王(株)製 商品名 カオーワックスEB
−FF(EBSと称する)}を用いた。
【0098】 [C1735CONH]2(CH22 (8) 実施例1、2 比較例1〜3 A成分[HIPS/GPPS/PPE−1/PPE−2
=63/11/22/4(重量比)]100重量部に対
して、表1記載の難燃剤(B成分)/MC/PTFE/
EBSを、それぞれX/14/0.04/4の重量比率
で、機械的に混合し、東洋精機製作所製ラボプラストミ
ルを用いて、溶融温度250℃、回転数50rpmで7
分間溶融した。但し、PPEの溶融温度が高いので、ま
ずGPPS/PPEを300℃で溶融した後、それを用
いて残りの成分を上記の条件で溶融した。
【0099】このようにして得られた樹脂組成物から加
熱プレスにより1/8インチ厚の試験片を作製し、ビカ
ット軟化温度、アイゾット衝撃強さ、MFR、発煙性及
び難燃性の評価を行った。表1及び図1にその結果を示
す。
【0100】表1及び図1によると、難燃剤として、有
機ハロゲン化合物とヒドロキシル基含有芳香族リン酸エ
ステルとを併用すると、相乗効果が発現し、難燃性が飛
躍的に向上することが分かる。
【0101】比較例4〜6 有機リン化合物の種類と難燃性及び物性との関係を検討
した。即ち、実施例1において、FR−1の代わりに表
2記載の有機リン化合物を用いること以外、実施例1と
同一の実験を繰り返した。表2及び図2にその結果を示
す。
【0102】表2によると、ヒドロキシル基を含有する
ことにより、難燃性、発煙性、流動性、衝撃強さ、及び
耐熱性のバランス特性が非常に優れていることが分か
る。
【0103】難燃助剤として、MC等のトリアジン骨格
含有化合物を用いた場合には、ヒドロキシル基とトリア
ジン骨格含有化合物のアミノ基との間に水素結合等の相
互作用により、トリアジン骨格含有化合物の相溶性、分
散性が向上し、衝撃強度が向上すると推察される。
【0104】また、ヒドロキシル基を含有することによ
り、(A)熱可塑性樹脂として特に芳香族ビニル系樹脂
を用いた場合、両者の間に部分相溶性が発現する。この
部分相溶性の指標として、(A)成分と(B)成分との
溶解性パラメーター(Solubility Para
meter:SP値)の差△SP値を用いた。即ち、
(A)成分(HIPS/GPPS/PPE−1/PPE
−2)のSP値が9.9であり、一方、(B)成分中の
ヒドロキシル基含有リン酸エステル(TPP−OH)、
TPP、TPPダイマー、TPPオリゴマー、TCP、
TCP−A−ダイマー、TCP−A−オリゴマーのSP
値が、それぞれ11.8、10.7、10.8、10.
8、8.8、9.3、9.4であり、△SP値はそれぞ
れ、1.9、0.8、0.9、0.9、1.1、0.
6、0.5である。(図2参照)ここで、△SP値が約
1以下の場合には、完全相溶性を呈し、流動性は向上す
るが、耐熱性は低下する。ところが、TPP−OHのよ
うに△SP値が1.5〜2.0の場合には、部分相溶性
を呈する。その結果、成形加工時には、可塑化を促進
し、流動性向上剤として作用し、一方、成形体としての
使用時には両者の部分相溶性のために上記リン酸エステ
ルがやや相分離することにより耐熱性が向上すると推察
される。
【0105】そして、図3には、本発明の樹脂組成物の
難燃化のメカニズムを記載した。
【0106】まず、固相での燃焼反応を説明する。含酸
素ポリマーの存在下で、含リン難燃剤が脱水剤として作
用し、炭化被膜(char)を生成し、断熱性の向上及
び酸素の遮断効果のために、難燃性が向上する。ここ
で、トリアジン骨格含有化合物が存在すると、中間体と
してリン酸アミドが生成し、フォスフォリレーションが
助長され、炭化被膜の形成が促進される。また、特殊な
高次構造のフッ素系樹脂は、燃焼時の増粘効果または絡
み合い効果により燃焼時の滴下を抑制する。
【0107】次に、気相では、リン酸エステル中のリン
ラジカル及びハロゲンラジカルが燃焼時に生成するOH
ラジカル等のラジカル捕捉剤(radical sca
venger)として作用する。また、リンとハロゲン
との相乗作用により、POX、PXn、HX(Xはハロ
ゲンを示す)等の化合物を生成させ、これが樹脂表面を
重い蒸気となってカバーすることにより酸素の遮断効果
を発揮し、難燃効果を促進する。
【0108】以上の固相と気相の二つの効果により難燃
性が飛躍的に向上すると考える。
【0109】
【表1】
【0110】
【表2】
【0111】
【発明の効果】本発明の組成物は、従来の難燃剤を削減
しても、高度な難燃性を有し、かつ、流動性、耐熱性、
及び耐衝撃性の優れた樹脂組成物である。
【0112】この組成物は、家電部品、OA機器部品等
に好適であり、これら産業界に果たす役割は大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】芳香族リン酸エステルと有機ハロゲン化合物の
難燃性に耐する相乗効果を、表1を基にして説明した図
である。縦軸は、UL−94VB法による燃焼試験の消
炎時間であり、横軸は芳香族リン酸エステルと有機ハロ
ゲン化合物の合計100重量%中の、各成分の重量比を
示す。ここで、点線は相乗効果のない場合を示し、実線
は、本発明の二成分の相乗効果を示す。
【図2】表2に記載の熱可塑性樹脂と有機リン化合物の
Fedors式により算出されたSP値(溶解性パラメ
ーター)を示した図である。
【図3】難燃剤の、気相と固相における難燃化のメカニ
ズムを示した図である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08K 5/521 KCB //(C08L 101/00 27:12 83:04)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)熱可塑性樹脂、(B)有機ハロゲ
    ン化合物及びヒドロキシル基含有芳香族リン酸エステル
    からなる難燃剤、及び(C)トリアジン骨格含有化合
    物、金属酸化物、フッ素系樹脂、ポリジオルガノシロキ
    サン、シリカから選ばれる一種または二種以上の難燃助
    剤を有する難燃特性の優れた熱可塑性樹脂組成物。
JP15897493A 1993-06-29 1993-06-29 難燃特性の優れた熱可塑性樹脂組成物 Withdrawn JPH0711148A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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US6256510B1 (en) 1997-09-02 2001-07-03 Nec Corporation Mobile radio communication apparatus capable of reducing power dissipation
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