JPH07108263A - リン含有水の処理方法 - Google Patents

リン含有水の処理方法

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JPH07108263A
JPH07108263A JP25424193A JP25424193A JPH07108263A JP H07108263 A JPH07108263 A JP H07108263A JP 25424193 A JP25424193 A JP 25424193A JP 25424193 A JP25424193 A JP 25424193A JP H07108263 A JPH07108263 A JP H07108263A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 汚水処理装置から排出されるリン含有水を、
水酸化鉄を主体とする脱リン剤充填層に通水してリンを
吸着除去するリン含有水の処理方法において、脱リン剤
の逆洗排水を有効利用する。 【構成】 脱リン剤の逆洗により脱リン剤の表面部が剥
離して得られる剥離物を汚水処理装置に戻して脱リン処
理する。 【効果】 逆洗により得られた脱リン剤の剥離物には脱
リン性能が残されていると共に、水酸化鉄による汚泥凝
集効果及びその大きな比重による沈殿効果を備える。こ
のため、脱リン剤の剥離物を汚水処理装置に戻すことに
より、脱リン効率の向上、スカム発生防止などの効果が
得られる。リンを吸着した後の剥離物は汚水処理装置内
で容易に分離される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はリン含有水の処理方法に
係り、特に、汚水処理装置から排出されるリン含有水
を、水酸化鉄を主体とする脱リン剤充填層に通水してリ
ンを吸着除去するリン含有水の処理方法において、リン
含有水を処理して脱リン性能が低下した脱リン剤の機能
を回復させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、瀬戸内海や琵琶湖、霞ケ浦などの
閉鎖性水域では、富栄養化現象による水質悪化が一段と
すすみ、利水上の障害が増加して、大きな社会問題とな
っている。その原因物質は窒素及びリンと言われてお
り、特に、排水中のリン酸イオンの除去は早急に解決す
べき重要な課題となっている。
【0003】従来、水中のリンの除去方法として、水酸
化鉄(オキシ水和鉄)を主成分とする脱リン剤を利用す
る方法があり、脱リン剤として各種のものが提案されて
いる。この方法は、水酸化鉄が水中のリンを吸着する現
象を利用したものであり、一般に、粒状の脱リン剤を充
填した脱リン塔又は脱リン槽にリン含有水を通水するこ
とにより実施されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】脱リン剤はその使用に
より、経時的に脱リン性能が低下する。脱リン性能が低
下した脱リン剤は新しい脱リン剤と交換する必要があ
る。
【0005】しかして、従来、脱リン性能が低下した脱
リン剤の機能を回復させる方法についての提案はなされ
ていない。
【0006】本発明は上記従来の実情に鑑みてなされた
ものであって、リン含有水を処理して脱リン性能が低下
した脱リン剤を逆洗することにより脱リン剤の機能を回
復させ、このときに得られる逆洗排水を有効再利用する
ことにより、脱リン効率の向上、脱リンコストの低減を
図るリン含有水の処理方法を提供することを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1のリン含有水の
処理方法は、汚水処理装置から排出されるリン含有水
を、水酸化鉄を主体とする脱リン剤充填層に通水してリ
ンを吸着除去するリン含有水の処理方法において、リン
含有水を処理して脱リン性能が低下した脱リン剤を逆洗
することにより脱リン剤の機能を回復させ、該脱リン剤
の表面部の剥離物を前記汚水処理装置に戻して該汚水処
理装置内の汚水を脱リン処理することを特徴とする。
【0008】請求項2のリン含有水の処理方法は、請求
項1のリン含有水の処理方法において、脱リン剤を脱リ
ン処理水で逆洗し、前記剥離物を含む逆洗排水を、前記
汚水処理装置の原水槽、流量調整槽、接触曝気槽、曝気
槽、沈殿槽、汚泥濃縮槽、汚泥濃縮貯留槽のいずれかの
槽或いはその流入管に送給することを特徴とする。
【0009】即ち、本発明者は、脱リン剤の逆洗につい
て種々検討した結果、脱リン剤は逆洗時に加えられる機
械的衝撃によりその表面で微少量の剥離が生じることに
より、リン吸着能を有する表面が新たに表出し、リン吸
着性能を回復することと、このとき生じる剥離物はなお
若干の脱リン性能を有することを見出した。そして、こ
の逆洗による脱リン剤の機能回復とこの脱リン性能を有
する剥離物の有効利用について検討を重ね、本発明を完
成させた。
【0010】なお、本発明において脱リン剤として用い
る水酸化鉄を主体とする脱リン剤は、逆洗により表面の
一部が剥離する程度の強度であることが重要である。
【0011】このような脱リン剤としては特に制限はな
いが、好ましくは、先に本出願人が特願平5−1418
60号にて提案した方法により製造されたものを用いる
のが好ましい。
【0012】即ち、次の又はの方法で得られるもの
が好ましい。
【0013】 鉄イオンを含む水溶液を中和して得ら
れる水酸化鉄の沈殿を品温120℃以下で乾燥して含水
率20%未満にすることなく含水率20〜50%の半乾
燥物とし、この半乾燥物を造粒した後品温120℃以下
で乾燥する。
【0014】 鉄イオンを含む水溶液を中和して得ら
れる水酸化鉄の沈殿を品温120℃以下で乾燥して含水
率20%未満の乾燥物とし、この乾燥物にミスト径30
〜300μmの水を噴霧しながら遠心転動型又は遠心転
動流動型造粒機により造粒時間5分以上で造粒し、その
後この造粒物を品温120℃以下で乾燥する。
【0015】このような方法によれば、強度を確保する
ための副原料を用いることなく、水酸化鉄のみから、十
分な強度を有する造粒物を得ることができる。
【0016】このような脱リン剤の粒径は取り扱い性や
脱リン効率の面から、粒径0.3〜10mm程度である
ことが好ましく、また、その破壊強度は8〜40kgD
WL程度であることが取り扱い性及び逆洗効果の面から
好ましい。
【0017】なお、脱リン剤としては水酸化鉄を不飽和
ポリエステル樹脂又はポリウレタン樹脂等で硬化させて
得られるものを用いることもできるが、硬化剤の割合が
多く過度に強度の高いものは、逆洗により表面を剥離さ
せることができないため、本発明の効果を得ることがで
きないことから、表面が剥離し得る程度に硬化させたも
のを用いることが重要である。
【0018】このような脱リン剤充填層に汚水処理装置
から排出されるリン含有水を通水するには、例えば、脱
リン剤を充填層を形成した脱リン塔又は脱リン槽に、リ
ン含有水を上向流又は下向流で通水すれば良い。
【0019】また、リン含有水の処理により脱リン性能
が低下した脱リン剤を逆洗するには、例えば、脱リン剤
を充填した脱リン塔に上向流で洗浄水(通常の場合、脱
リン処理水を用いる。)を通水すれば良い。
【0020】なお、逆洗は、水による逆洗の他、空気に
よる逆洗或いは水と空気による逆洗とすることもでき
る。
【0021】
【作用】本発明者は、リン含有水を処理して脱リン性能
が低下した脱リン剤を逆洗して機械的衝撃で脱リン剤表
面を剥離させることにより、リン吸着能を有する表面が
新たに表出し、脱リン剤のリン吸着性能を回復させるこ
とができることと、このような脱リン剤の逆洗により得
られる脱リン剤の剥離物は、なお、吸着性能を有するこ
とを見出した。
【0022】従って、この脱リン剤の剥離物を汚水処理
装置の原水槽、流量調整槽、曝気槽、接触曝気槽、沈殿
槽、凝集処理槽、凝集沈殿槽等に送給することにより、
原水中のリンを吸着除去することができる。しかして、
リンを吸着した脱リン剤の剥離物は、汚泥中に取り込ま
れて効率的に系外に排出される。
【0023】また、汚泥濃縮槽、汚泥貯留槽に脱リン剤
の剥離物を返送した場合には、リンの吸着除去と共にス
カム発生の抑止効果も得られる。この、脱リン剤の剥離
物によるスカム発生の抑止効果のメカニズムは、脱リン
剤の主成分である水酸化鉄による汚泥の凝集作用と、そ
の大きな比重による沈殿作用によるものと推定される。
【0024】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例につい
て具体的に説明する。
【0025】第1図〜第3図は各々本発明のリン含有水
の処理方法の一実施例方法を示す系統図である。
【0026】第1図に示す方法は、汚水処理装置として
接触曝気法による生物学的汚水処理装置を用い、この汚
水処理装置から排出されるリン含有水を脱リン剤の充填
層を形成した脱リン塔で処理するものである。
【0027】即ち、原水は、配管11より流量調整槽1
に導入され、次いでポンプP1 を備える配管12より接
触曝気槽2に導入されて好気性生物処理される。接触曝
気槽2の流出水は配管13より沈殿槽3に導入され、上
澄水は配管14、脱リンポンプ槽4、ポンプP2 を備え
る配管15を経て脱リン塔5に通水され、脱リン処理水
は配管16、逆洗ポンプ槽6及び配管17を経て放流さ
れる。一方、沈殿槽3の分離汚泥は配管18より抜き出
され、汚泥濃縮貯留槽7にて脱離液が分離された後、配
管19より搬出される。この汚泥濃縮貯留槽7の脱離液
は配管20より流量調整槽1に返送される。なお、1
A,2Aは曝気管、2Bは生物膜、5Aは脱リン剤充填
層である。
【0028】本実施例においては、このような生物学的
汚水処理及び脱リン処理において、脱リン塔5内の脱リ
ン剤の脱リン性能が低下したら、ポンプP1 ,P2 を停
止し、ポンプP3 を作動させて、逆洗ポンプ槽6内の脱
リン処理水を、配管21より脱リン塔5に上向流にて通
水して脱リン剤の逆洗を行なう。そして、脱リン塔5よ
り排出される、逆洗により剥離した脱リン剤の剥離物を
含む逆洗排水を配管22より流量調整槽1に返送する。
【0029】前述の如く、脱リン剤の剥離物はなお脱リ
ン性能を有するものであるため、この流量調整槽1に返
送された逆洗排水中の脱リン剤の剥離物は、流量調整槽
1内の原水中のリンを吸着する。
【0030】この流量調整槽1内に導入された脱リン剤
の剥離物は微粒子状であり、沈降速度の遅いものである
が、原水と共に、接触曝気槽2及び沈殿槽3に順次流入
する過程で活性汚泥に取り込まれて除去され、汚泥とし
て系外に搬出されるため、原水のリン除去がなされる。
【0031】なお、本実施例方法において、逆洗排水は
流量調整槽1の他、接触曝気槽2や沈殿槽3に返送して
も同様の効果を得ることができる。また、汚泥濃縮貯留
槽7に返送することにより、汚泥濃縮貯留槽7において
汚泥から再放出されたリンの除去及びスカム発生抑制を
防止し、流量調整槽1に返送される脱離液のリン濃度及
びSS,BOD濃度を低減することができる。
【0032】第2図に示す方法は、汚水処理装置として
標準活性汚泥法による生物学的汚水処理装置を用い、こ
の汚水処理装置から排出されるリン含有水を脱リン剤の
充填層を形成した脱リン槽で処理するものである。
【0033】即ち、原水は、配管41より流量調整槽3
1に導入され、次いでポンプP4 を備える配管42より
曝気槽32に導入されて好気性生物処理される。曝気槽
32の流出水は配管43より沈殿槽33に導入され、上
澄水は配管44を経て脱リン槽34に通水され、脱リン
処理水は配管45、逆洗ポンプ槽35及び配管46を経
て放流される。一方、沈殿槽33の分離汚泥は配管47
より抜き出され、一部が配管48より曝気槽32に返送
され、残部は配管49より汚泥濃縮槽36に送給され
る。汚泥濃縮槽36にて分離された脱離液は配管50よ
り曝気槽32に返送され、分離汚泥は配管51、汚泥貯
留槽37、配管52を経て系外へ搬出される。なお、3
1A,32Aは曝気管、34Aは脱リン剤充填層であ
る。
【0034】本実施例においては、このような生物学的
汚水処理及び脱リン処理において、脱リン槽34内の脱
リン剤の脱リン性能が低下したら、ポンプP4 を停止
し、ポンプP5 を作動させて、逆洗ポンプ槽35内の脱
リン処理水を、配管53より脱リン槽34に上向流にて
通水して脱リン剤の逆洗を行なう。そして、脱リン槽3
4より排出される、逆洗により剥離した脱リン剤の剥離
物を含む逆洗排水を配管54より汚泥濃縮槽36に返送
する。
【0035】前述の如く、脱リン剤の剥離物はなお脱リ
ン性能を有するものであるため、この汚泥濃縮槽36に
返送された逆洗排水中の脱リン剤の剥離物は、汚泥濃縮
槽36内の液水中のリンを吸着して系内のリンの除去に
有効に作用する。
【0036】即ち、活性汚泥はわずかではあるがリンを
取り込む能力を有するが、このリンを取り込んだ活性汚
泥が汚泥濃縮槽36に流入して嫌気状態になると、取り
込んだリンを放出する。このため、脱離液のリン濃度が
上昇する。このリン濃度が上昇した脱離液が流量調整槽
31に返送されると、系内にリンが循環することとな
り、リンの除去はなされない。
【0037】しかし、本実施例の如く、脱リン剤の剥離
物を含む逆洗排水を汚泥濃縮槽に送給することにより、
脱リン剤の剥離物のリン吸着作用により、活性汚泥のリ
ンの放出による脱離液のリン濃度の上昇を防止すること
ができる。そして、リンを吸着した脱リン剤の剥離物
は、汚泥中に取り込まれて系外へ排出されるため、系内
のリンを効率的に除去することができる。
【0038】また、汚泥濃縮槽37では、通常、スカム
が発生し、このスカムが脱離液と共に流量調整槽31に
戻ることが、系内のSSやBODを増加させる原因とな
っているが、逆洗排水の添加により、比重の大きい水酸
化鉄を主体とする脱リン剤の剥離物の凝集効果及び沈殿
効果により、このようなスカムの発生も防止され、系内
のSSやBODも有効に低減される。
【0039】なお、本実施例において、汚泥濃縮槽は汚
泥濃縮貯留槽であっても良い。また、本実施例方法にお
いても、逆洗排水を流量調整槽31、曝気槽32、又は
沈殿槽33に返送することにより、第1図に示す実施例
におけると同様の脱リン効果を得ることができる。
【0040】第3図に示す方法は、汚水処理装置として
凝集沈殿処理装置を用い、この汚水処理装置から排出さ
れるリン含有水を脱リン剤の充填層を形成した脱リン塔
で処理するものである。
【0041】即ち、原水は配管61より第1凝集処理槽
62及び第2凝集処理槽63を経て凝集処理され、凝集
処理水は配管64より沈殿槽65にて沈殿分離され、上
澄水は配管66より脱リン塔67に通水されて処理され
る。この処理水は配管68より排出される。沈殿槽65
の分離汚泥は配管69より排出される。62A,63A
は攪拌機、67Aは脱リン剤充填層である。
【0042】本実施例においては、このような凝集沈殿
処理及び脱リン処理において、脱リン塔67内の脱リン
剤の脱リン性能が低下したら、原水の送給を停止して逆
洗水を配管69より脱リン塔67に上向流にて通水して
脱リン剤の逆洗を行なう。そして、脱リン塔67から排
出される、脱リン剤の剥離物を含む逆洗排水を配管70
より第1凝集処理槽62に返送する。
【0043】このように、脱リン塔67の逆洗排水を第
1凝集槽62に返送することにより、脱リン剤の剥離物
が原水中に含有されるリンを吸着し、リンを吸着した剥
離物は第2凝集槽63を経て沈殿槽65にて汚泥に取り
込まれて凝集沈殿分離されて系外へ排出されるため、原
水のリン除去がなされる。
【0044】本実施例においても、逆洗排水は、第1凝
集処理槽62の他、第2凝集処理槽又は沈殿槽65に送
給しても良く、同様にリン除去効果を得ることができ
る。
【0045】なお、第1図〜第3図に示す実施例はいず
れも本発明の一実施例であって、本発明はその要旨を超
えない限り、図示の実施例に限定されるものではない。
例えば、各汚水処理装置の槽構成等について特に制限は
なく、また、逆洗排水は、汚水処理装置のいずれの槽或
いはその流入管に返送しても良い。
【0046】以下に実験例を挙げて本発明をより詳細に
説明する。なお、実験例で用いた脱リン剤は、次のよう
にして製造したものである。
【0047】即ち、まず、10重量%硫酸鉄水溶液に苛
性ソーダを加えてpH7とし、得られた水酸化鉄の沈殿
をフィルタープレスで含水率61%に脱水後、脱水ケー
キを混合機内で混練しつつ90℃で減圧下含水率38%
となるように半乾燥させた。得られた半乾燥物を遠心転
動流動造粒機により、90%以上の粒子の粒径が1〜2
mmの範囲となるような大きさに造粒した。次いで造粒
物を2日間常温で風乾することにより含水率5%程度に
まで乾燥して、水酸化鉄よりなる破壊強度29kgDW
Lの脱リン剤を得た。
【0048】実験例1 リンを飽和吸着量まで吸着させてリン吸着性能を低下さ
せた脱リン剤を用い、逆洗によるリン吸着性能の回復度
を調べた。
【0049】まず、2本の透明塩化ビニル製カラム(直
径16mm)にそれぞれ脱リン剤を充填し(充填量26
ml、充填高さ130mm)、28mg−P/lのNa
2 HPO4 水溶液をSV=10hr-1で下向流にて6日
間通水した。6日間通水後、流出水のリン濃度は25m
g−P/lとなり、脱リン剤のリン吸着性能は殆ど失わ
れたことが確認された。
【0050】2本のカラムのうちの一方のカラム(N
o.1)については、水を上向流で流して逆洗した。こ
の水逆洗により、脱リン剤は相互に衝突してその表面が
剥離したため、得られる逆洗排水は、リンを吸着した脱
リン剤の表面の剥離物のために赤く着色していた。
【0051】他方のカラム(No.2)については、下
向流にて水を通水してカラム内のNa2 HPO4 水溶液
の押し出しを行なった。
【0052】各カラムに、上記と同様の条件でNa2
PO4 水溶液を再度通水し、流出水のリン濃度の経時変
化を調べ、結果を第4図に示した。
【0053】第4図より、逆洗により加えられる機械的
衝撃で、脱リン剤の表面を剥離させることにより、表面
が更新されて、リン吸着性能を有する表面が新たに表出
するため、脱リン剤の吸着性能が回復することがわか
る。
【0054】これに対して、逆洗を行なわず、水による
押し出しを行なったもの(No.2)では、脱リン剤の
機能は低下したままであるため流出水のリン濃度が高
い。
【0055】なお、このNo.1のカラムも含めて、N
o.2のカラムにおいて、通水初期において流出水のリ
ン濃度が低いのは、当初カラム中に含まれていた逆洗水
又は押し出し水が流出するためである。
【0056】実験例2 逆洗排水中に含まれる脱リン剤表面の剥離物が脱リン性
能を備えることを調べた。
【0057】表1に示す水質の住宅排水を原水とし、実
験例1で得られた逆洗排水の一部(水質は表1に示す通
りである。)を、原水:逆洗排水=9:1(体積比)の
割合で混合し、混合水の水質を調べ、結果を表1に示し
た。
【0058】
【表1】
【0059】表1より次のことが明らかである。
【0060】即ち、原水と逆洗排水との混合水のPO4
3- −P濃度は、その混合比から求めると約2.7mg
/l(≒3.0×0.9)であるはずであるが、実際に
は0.5mg/lと大幅に低減しており、脱リン剤の剥
離物によりリンの除去がなされていることがわかる。な
お、この混合水は沈殿の除去を行なっていないため、T
−P濃度は計算値(4.0×0.9+14×0.1=
5.0)と等しい値となっている。即ち、脱リン剤の剥
離物は微粒子状であり、沈降速度が遅いため、T−P濃
度に変化はみられない。
【0061】この結果から、脱リン剤の剥離物を含む逆
洗排水を汚水処理装置の原水側(原水槽、流量調整槽、
沈殿分離槽等)に戻すことにより、汚水処理装置内の汚
水の脱リン処理を行なえることがわかる。
【0062】実験例3 逆洗排水中に含まれる脱リン剤の剥離物が脱リン性能を
備えると共に、この剥離物は活性汚泥に取り込まれて除
去されることを調べた。
【0063】活性汚泥混合液(標準活性汚泥法の曝気槽
より採取したもの。60分間静置して得られる上澄水の
水質を表2に示す。)を原水とし、実験例1で得られた
逆洗排水の一部(60分間静置して得られる上澄水の水
質を表2に示す。)を、原水:逆洗排水=9:1(体積
比)の割合で十分に攪拌して混合し、その後60分間静
置し、得られた上澄水(以下「混合上澄水」という。)
の水質を調べ、結果を表2に示した。
【0064】
【表2】
【0065】表2より次のことが明らかである。
【0066】即ち、原水と逆洗排水との混合比から計算
により求めたT−P濃度及びPO4 3- −P濃度は、それ
ぞれ、T−P=4×0.1+2.8×0.9≒2.9m
g/l、PO4 3- −P≒2.5×0.9≒2.25mg
/lであるが、得られた混合上澄水は、T−P=0.3
mg/l、PO4 3- −P=0.1mg/lであり、逆洗
排水を混合することにより、リンが除去されることが明
らかである。
【0067】また、SSについては、計算値13.9m
g/l(=49×0.1+10×0.9)が、混合上澄
水ではSS=10mg/lとなっており、逆洗排水中の
SS(脱リン剤の剥離物)が活性汚泥混合液との混合に
より、活性汚泥中に取り込まれて除去されていることが
わかる。
【0068】この結果から、脱リン剤の剥離物を含む逆
洗排水を汚水処理装置の活性汚泥を含む槽(接触曝気
槽、曝気槽、沈殿槽等)に戻すことにより、汚水の脱リ
ンと共に、リンを含んだ逆洗排水中の脱リン剤の剥離物
の分離除去を行なえることがわかる。
【0069】実験例4 逆洗排水中に含まれる脱リン剤の剥離物が脱リン性能を
備えると共に、スカム発生抑止効果を有することを調べ
た。
【0070】余剰汚泥(活性汚泥法の余剰汚泥。2日間
静置するとスカムが浮上する。スカム下部の中間水の水
質は表3に示す通りである。)を原汚泥とし、実験例1
で得られた逆洗排水の一部(2日間静置した後の上澄水
の水質は表3に示す通りである。)を、原汚泥:逆洗排
水=1:1(体積比)の割合で混合し、混合液を2日間
静置して得られた上澄水(以下「混合上澄水」とい
う。)の水質を表3に示した。
【0071】
【表3】
【0072】表3より次のことが明らかである。
【0073】即ち、原汚泥(余剰汚泥)からはリンの放
出がおこるため、余剰汚泥を静置して得られる中間水の
リン濃度は相当に高い。そして、原汚泥と逆洗排水との
混合比から計算により求めたT−P濃度及びPO4 3-
P濃度は、それぞれ、T−P=54×0.5+2×0.
5=28mg/l、PO4 3- −P≒20×0.5=10
mg/lであるが、得られた混合上澄水はT−P=4m
g/l、PO4 3- −P=3mg/lであり、逆洗排水を
混合することにより、放出されたリンの再吸着除去がな
されることが明らかである。
【0074】また、原汚泥(余剰汚泥)の中間水ではス
カムの浮上によりSS=100mg/l、BOD=20
0mg/lと、著しく高いものとなっているが、混合上
澄水では逆洗排水を混合することにより、SS,BOD
はともに著しく低減され、スカムの発生が抑止されてい
ることがわかる。
【0075】この結果から、脱リン剤の剥離物を含む逆
洗排水を汚水処理装置の汚泥濃縮槽、汚泥濃縮貯留槽等
に戻すことにより、スカムの発生及びリン放出によるリ
ン濃度の上昇を防止することができることがわかる。
【0076】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明のリン含有水
の処理方法によれば、汚水処理装置から排出されるリン
含有水を、水酸化鉄を主体とする脱リン剤充填層に通水
してリンを吸着除去するリン含有水の処理方法におい
て、脱リン剤の逆洗により得られる脱リン剤の剥離物を
有効利用して、前段の汚水処理装置の処理効率を高め、
高水質の処理水を効率的にかつ安価に得ることが可能と
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリン含有水の処理方法の一実施例方法
を示す系統図である。
【図2】本発明のリン含有水の処理方法の別の実施例方
法を示す系統図である。
【図3】本発明のリン含有水の処理方法の他の実施例方
法を示す系統図である。
【図4】実験例1の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1,31 流量調整槽 2 接触曝気槽 3,33,65 沈殿槽 4 脱リンポンプ槽 5,67 脱リン塔 6,35 逆洗ポンプ槽 7 汚泥濃縮貯留槽 32 曝気槽 34 脱リン槽 36 汚泥濃縮槽 37 汚泥貯留槽 62 第1凝集処理槽 63 第2凝集処理槽

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 汚水処理装置から排出されるリン含有水
    を、水酸化鉄を主体とする脱リン剤充填層に通水してリ
    ンを吸着除去するリン含有水の処理方法において、 リン含有水を処理して脱リン性能が低下した脱リン剤を
    逆洗して該脱リン剤の表面部を剥離させることにより、
    脱リン剤の機能を回復させ、 該脱リン剤の表面部の剥離物を前記汚水処理装置に戻し
    て該汚水処理装置内の汚水を脱リン処理することを特徴
    とするリン含有水の処理方法。
  2. 【請求項2】 請求項1のリン含有水の処理方法におい
    て、脱リン剤を脱リン処理水で逆洗し、前記剥離物を含
    む逆洗排水を、前記汚水処理装置の原水槽、流量調整
    槽、接触曝気槽、曝気槽、沈殿槽、汚泥濃縮槽、汚泥濃
    縮貯留槽のいずれかの槽或いはその流入管に送給するこ
    とを特徴とするリン含有水の処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007222816A (ja) * 2006-02-24 2007-09-06 Sanyo Electric Co Ltd 水質改善装置
JP2014020806A (ja) * 2012-07-12 2014-02-03 Kobelco Eco-Solutions Co Ltd 放射性セシウム含有水の処理方法、飛灰の処理方法、放射性セシウム含有水の処理装置及び飛灰の処理装置

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