JPH07103190A

JPH07103190A - 軽量・低騒音型のターボファン用羽根車の構造。

Info

Publication number: JPH07103190A
Application number: JP5272934A
Authority: JP
Inventors: Takao Kobayashi; 崇男小林
Original assignee: Individual
Current assignee: Individual
Priority date: 1993-10-06
Filing date: 1993-10-06
Publication date: 1995-04-18
Also published as: US5558499A

Abstract

(57)【要約】【目的】ターボファンの軽量化及び低騒音化を図る。【構成】ディスク、翼形羽根、シュラウドからなるタ
ーボファンの羽根車において、翼形羽根を「流体機器と
しての機能を分担する翼形状部」と「高速回転体として
の機能を分担する翼形形状取付部」とに分ける事で設計
の自由度が増し、それぞれの機能に最適の素材及び形状
を選択出来る。その結果、ディスク、翼形状取付部、シ
ュラウドは金属材のビードを有した形状からなり、翼形
状部は非金属材からなる送風機の羽根車が得られ、軽量
化且つ低騒音化を実現した。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、排気或は換気装置を含
めた広義の空気調和装置等に使用される後向き羽根遠心
送風機（以下、ターボファンと呼ぶ）の翼形羽根車の構
造に関する。

【０００２】

【従来の技術】ターボファンの羽根車は、断面が翼形の
羽根を持った翼形羽根車が、高効率且つ低騒音である事
は良く知られている。この翼形羽根車は、シュラウド・
ディスク・羽根を主要構成部品とし、それぞれの材質・
加工方法・組立方法の差異によって、３種類に大別され
る。以下、それぞれのタイプの翼形羽根車をＡタイプ羽
根車、Ｂタイプ羽根車、Ｃタイプ羽根車と呼ぶ。

【０００３】Ａタイプ羽根車：鉄、又はアルミ板をプレ
ス加工して成形して得た翼形羽根を、同じ金属のシュラ
ウドとディスクにカシメ方法等で固着したものである。

【０００４】Ｂタイプ羽根車：アルミ材を押出し成形し
て得た翼形羽根を、アルミ材のシュラウドとディスクに
溶接方法等で固着したものである。

【０００５】Ｃタイプ羽根車：プラスチック材を射出成
形して得た翼形羽根を、ディスクとシュラウドに接着方
法等で固着したものである。

【０００６】これら３タイプの翼形羽根車から空調装置
用送風機羽根車を選択する場合、最初にＢタイプ羽根車
が選ばれる。正確な翼形形状が得られるので送風効率は
高いが、金属製の為に重いのが欠点である。次にＣタイ
プ羽根車が選ばれる。Ｂタイプに次いで送風効率が高
く、しかも騒音が低い。但し、熱によるクリープがある
のが欠点である。最後にＡタイプ羽根車が選ばれる。金
属板のプレス加工品の為、翼形状を正確に成形するのが
困難なので、送風効率が低く、乱流による騒音が高い。
物性的にも固有振動数が高いので、低騒音は望めない。
但し、最も軽量であり、回転体としての強度・剛性にも
優れている。このようにＡ、Ｂ、Ｃの３タイプとも一長
一短あり絶対優位の羽根車は無く、送風機の運転条件か
ら要求される諸要素を考慮して、ケースバイケースで次
善の羽根車を選択していた。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】近年、空調機器用送風
機は、より一層の高効率、低騒音が要求されて来た。
又、同時に一層の小型化が要求されるので、送風機の高
速運転を余儀なくされ、羽根車にも高速運転に耐える、
高い剛性、高いダイナミックバランスが要求されてき
た。また、床の有効利用の見地から、天井裏などに設置
される例も多くなり、軽量化が強く要求されて来てい
る。この事は、上述のＡタイプ羽根車の剛性・軽量と、
Ｂタイプ羽根車の送風効率と、Ｃタイプ羽根車の低騒音
が同時に要求されている事であり、従来の羽根車の構造
や製法では、到底解決出来るレベルでは無い。この課題
を解決するものとして実開平０１−４１６９７があり、
アルミ押し出し成形の翼形羽根の一部分にプラスチック
材を代替え採用して熱変形を防止しているが、軽量化、
低騒音の実現には改良の可能性が充分残されている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本来、送風機の羽根車に
は、二つの異なった機能が同時に要求される。一つは高
速回転体としての機能（剛性、動バランスなどの機械特
性）であり、もう一つは流体機器としての機能（送風効
率、低騒音と言う空力特性や騒音特性）であり、これら
は表１に示すように二律背反の関係にある。即ち、回転
体機能を高めるには鋼板にビード加工した構造が最適で
あるが、流体機器機能は低下する。また、流体機器機能
を高めようとするとプラスチック材が最適であるが、回
転体機能は低下する。従来の羽根車の設計においては、
これら二律背反の要求を同時に追及していたので、妥協
の産物である中途半端な結果しか得られなかった。本願
発明は、二つの機能の追及において、「理想的な高速回
転体である車」と「理想的な流体機器である羽根」を分
離して設計し、次に、この二つを結合させて、「理想的
な羽根・車」を得ると言う新規な設計思想に基づき、課
題を解決した。

【０００９】１．本願発明による設計手順では、まず、
「車」の設計から入る。三タイプの中で回転体として
最も優れたＡタイプ羽根車を「車」の基本構造として選
び、送風機の運転条件に対して最適の金属材を採用す
る。次に、従来二つの機能の「羽根」「車」を同時に
追及していた［翼形羽根］を、流体機器としての「羽
根」の構成要素である［翼形状部２］と、高速回転体と
しての「車」の構成要素である「翼形状取付部３」との
二つに分ける。そして「翼形状取付部３」は金属材を
採用し、「流体機器としての羽根」の構造に於いては厳
禁であるビードを入れて剛性を高め、その分だけ板厚を
減じて軽くする。「翼形状取付部３」の両端には複数の
タブを設ける。また、金属材の「翼形状取付部３」と非
金属材の「翼形状部２」との固着を完全にするため、数
箇所に孔を設ける。ディスクやシュラウドも金属材を
採用し、ビードやカーリングで剛性を高めて、その分、
板厚を減じ軽くする。ディスクとシュラウドには、取付
部の両端にあるタブが挿入され固着されるための長孔を
明ける。ディスクやシュラウドの長孔に翼形状取付部
３のタブを挿入し、溶接・カシメ・熱カシメ・蝋付け
等で固着すれば、理想的な高速回転体としての「車」が
得られる。

【００１０】２．次に、羽根の設計に入る。こ
の様に［翼形状取付部３］が「車」の機能を負担するの
で、［翼形状部２］は「羽根」の機能のみを追及すれば
良く、強度・剛性・クリープ性等は殆ど考慮に入れず
に、羽根車の使用条件に最適な材質（例えばプラスチッ
ク類、セラミック類等）を、最適な形状で設計し製作す
る事が可能になった。送風機の運転状況に応じて、翼
形状部３に最適の非金属材を採用する。非金属材として
は、プラスティック類・セラミック類等がある。羽根
車の生産量に応じて、翼形状部２の加工方法を選択して
生産設計をする。加工方法としては、押し出し・射出成
形・コンプレッション成形等がある。金属材からなる
「翼形状取付部３」と非金属材からなる「翼形状部２」
とでは熱膨張係数が異なるので接着面に剥離が起き易
い。これを防ぐため翼形状取付部３に数箇所の孔を明
け、「翼形状取付部３」に覆設した「翼形状部２」の母
材同士が完全に接着あるいは溶着あるい超音波溶接され
て、剥離が防止出来るようにする。「翼形状取付部３」
に、孔の代わりに突起を設け、物理的に剥離を防止する
事もある。

【００１１】３．「羽根」と「車」の組立手順は、
「翼形状取付部３」に「翼形状部」を取り付けて「羽
根」を作る。ディスクとシュラウドに設けた孔に「」
に設けたタブを挿入し、溶接・カシメ・熱カシメ・蝋付
け等で固着すれば羽根車の完成である。

【００１２】

【実施例１】本願の好ましい実施例１を、第５図の天井
埋め込み型空気調和装置の室内ユニットに使用する送風
機の羽根車２０について、説明する。羽根車２０に要求
される条件は、騒音源である送風機と室内居住者との
距離が短い為に極度の低騒音と、送風機羽根車の近く
に暖房用補助ヒーターが配置してある為に耐熱クリープ
特性と、天井埋め込み型ユニットの為に軽量である事
等である。条件にはＣタイプ羽根車が最適であるが、
条件の為に採用出来ない。条件にはＡタイプ羽根車
とＢタイプ羽根車が推薦される。条件にはＡタイプが
最適であるが、条件に適応しない。どのタイプの羽根
車も全ての条件を満たせる訳ではないので、次善のもの
としてＢタイプ羽根車が採用されていたが、軽量化の面
での改良が望まれ、前述の実開平０１−４１６９７号が
考案された。

【００１３】本願発明の設計・製作手法による羽根車を
図１及び図２に基づいて説明する。先ず「翼形状取付部
３」と、ディスク４と、シュラウド５の材料にアルミニ
ウム合金を採用する。軽量化と剛性度アップ及び剥離防
止の為に、「翼形状取付部３」にはビード１０と孔１１
を設ける。ディスク４とシュラウド５の端面にはカーリ
ング加工して剛性をアップし、その分、板厚を減らし減
量する。「翼形状取付部３」にはカシメ用のタブ８を片
側に少なくとも３箇所以上設け、ディスク４とシュラウ
ド５にはタブが挿入されカシメられる長穴９を設ける。
尚、図示していないが、ディスク４とシュラウド５に
「翼形状部」に沿ってビードを設け、そのビードを翼形
状部の座として利用すれば、剛性は一段とアップする。
次ぎに、「翼形状部２」の素材として耐熱性のプラスチ
ック材をアウトサート成形等により「翼形状取付部３」
に覆設し固着して、翼型羽根１を形成する。このように
して設計・製作した翼型羽根１のタブ８をディスク４お
よびシュラウド５の長穴９に挿入し、カシメて羽根車２
０を完成させる。羽根車の使用回転数がより高い時は熱
カシメを採用すれば良いし、更に高い破壊回転数が要求
されたらタブをカシメたあとたぶの周囲を溶接で固着す
れば良い。ここに、翼形状部２の翼形状取付部３への覆
設方法は、ハンドレイアップでも良いし、又はプラスチ
ックの押し出し成形材を切断して製作した「翼型形状部
２」に「翼型取付部３」を挿入し接着する方法もある。
「翼型形状部２」は、運転条件、生産数、許容原価によ
つて、最適のプラスチック材、最適の生産方法を選択す
れば良い。いずれの場合も、「翼形状取付部３」に明け
られた孔１１が有効に作用して「翼形状取付部３」と
「翼形状部２」の剥離を防止する。送風機の空力特性お
よび騒音特性は「翼形状部２」の形状及び材質によって
殆ど決定されるので、上述の構造だけでも、高効率・低
騒音の要求は満足されるが、尚、一層の向上の為には、
ディスク４およびシュラウド５の内側（風路側）にプラ
スチック材を覆設する事も効果がある。より一層の低騒
音の要求にたいしては、図４に示すように、翼型形状部
の外周側をギザギザ状に切り取る事により、気体が翼の
外縁部を離れる際に発生する騒音の位相をずらせ、騒音
の打ち消し合いを図る事も効果がある。この場合、翼形
状取付部はその外周部をギザギザ状にして、翼端ギリギ
リまで翼形状部の強度をバックアップする事が出来る。
又、より一層の軽量化には、図４に示す様に、翼形状部
の内側１２を発泡性のプラスチックで成形し、外側１３
を耐熱性のプラスチックで覆う事も効果がある。このよ
うに、本願の設計手法によれば、「翼形状取付部」は
「翼形状部」の末端近くまで補強出来るので、「翼形状
部」は強度・剛性を考慮する必要なく自由に空力特性・
騒音特性を追及すれば良い。この本実施例１において
は、従来のＢタイプ羽根車に比較して、風量風圧は同
等、騒音２デシベル以上の低下、１８％以上のの重
量削減７％以上の破壊回転数のアップ３０％以上
のコスト低減等の効果があった。

【００１４】

【実施例２】化学工場等、腐食性ガスが混在する場所の
排気用送風機には、全プラスティック製のＣタイプ羽根
車が使用されていたが、重く、高価格であった。本願の
設計手法によれば、取付部３とディスク４とシュラウド
５の素材にステンレス或は耐蝕性アルミ合金を採用し、
翼にプラスティック材を採用すれば、従来のＣタイプ羽
根車に比較して１５％以上の重量削減１５％以上の
破壊回転数のアップ３０％以上のコスト低減等の効果
があった。

【００１５】

【実施例３】高温の気体を送風する場合は、翼型取付部
３とディスク４とシュラウド５の素材に耐熱ステンレス
を採用し溶接にて固着する。、翼形状部にはセラミック
材を採用すれば効果がある。取付部にセラミックの翼を
射出成形でアウトサートにて固着するか、または分割し
たセラミックの翼をセラミックフリット法（一種の蝋付
け）にて固着する方法がある。これらの固着方法によれ
ば素材の熱膨張係数の差による破壊は防止できる。ボル
ト締め或はリベット止めでは、ゆるみ或は破壊は免れな
い。このようにして、従来の鋼板製のＡタイプ羽根車に
比較して、耐熱低騒音型のターボファンを得た。

【００１６】

【発明の効果】上述した様に本願発明によれば、送風機
羽根車を「高速回転体としての車」と「流体機器として
の羽根」との二つの機能を分離して追及する為に、材料
の選択や形状の設計に大きな自由度があるので、運転条
件に適応した高効率、低騒音、軽量且つ回転強度の高い
翼型羽根車が低コストで供給出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による翼型羽根の平面図及び断面図。

【図２】本発明による羽根車の、ディスク、翼型羽根、
シュラウドの断面図。

【図３】本発明による遠心送風機の羽根車の平面図。

【図４】本発明による翼型羽根の一応用例の平面図

【図５】天井埋め込み型空調装置の室内ユニットの断面
図。

【符号の説明】

１翼形羽根２翼形状部３翼形状取付部４ディスク５シュラウド８タブ９長穴１０ビード１１孔１２翼形状部の発泡性プラスチックからなる内側部１３翼形状部の耐熱性プラスチックからなる外側部２０翼形羽根車２１本体ケース２２熱交換器２３補助ヒーター２４モーター２５吸い込みグリル２６ベルマウス２７吹き出し口

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ディスク４と翼形羽根１とシュラウド５
を主構成要素とするターボファンの羽根車において、デ
ィスク４とシュラウド５は金属製で、翼形羽根１は非金
属製の翼形状部２と金属製の翼形状取付部３からなり、
翼形状取付部３はディスク４とシュラウド５に固着され
て回転体を形成し、翼形状部２は翼形状取付部３に覆設
して固着されて成る羽根車の構造。
【請求項２】翼形状取付部３にはビード１０が設けて
ある事を特徴とする請求項１に記載の羽根車の構造。
【請求項３】翼形状取付部３には孔１１が設けてある事
を特徴とする請求項１又は請求項２に記載の羽根車の構
造。
【請求項４】デイスク４とシュラウド５と翼形状取付
部３は金属板を素材とし、翼形状部２はプラスチック材
を素材とする請求項１又は請求項２又は請求項３に記載
の羽根車の構造。
【請求項５】翼形状取付部３は金属の押出加工材又は引
き抜き加工材を素材とし、翼形状部２はプラスチック材
を素材とする事を特徴とする請求項１又は請求項２又は
請求項３に記載の羽根車の構造。
【請求項６】ディスク４の外縁とシュラウド５の内縁と
外縁がカーリング加工されていることを特徴とする請求
項１又は請求項２又は請求項３又は請求項４又は請求項
５に記載の羽根車の構造。
【請求項７】ディスク４とシュラウド５の片方又は双方
にビードが設けてある事を請求項１又は請求項２又は請
求項３又は請求項４又は請求項５又は請求項６に記載の
羽根車の構造。
【請求項８】ディスク４とシュラウド５と翼形状取付部
３の全部又は一部に、制振鋼板又は制振ステンレス板又
は制振アルミ板を素材とした請求項１又は請求項２又は
請求項３又は請求項４又は請求項５又は請求項６又は請
求項７に記載の羽根車の構造。
【請求項９】翼形状部２がセラミック材を素材とする請
求項１又は請求項２又は請求項３又は請求項４又は請求
項５又は請求項６又は請求項７又は請求項８に記載の羽
根車の構造。