JPH07101874A - 骨修復治療剤 - Google Patents

骨修復治療剤

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JPH07101874A
JPH07101874A JP5280005A JP28000593A JPH07101874A JP H07101874 A JPH07101874 A JP H07101874A JP 5280005 A JP5280005 A JP 5280005A JP 28000593 A JP28000593 A JP 28000593A JP H07101874 A JPH07101874 A JP H07101874A
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bone
fibrin
bmp
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hbmp2
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JP5280005A
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Masashi Matsui
雅司 松井
Nobuhiro Ishida
信宏 石田
Hiroshi Nakazato
紘 中里
Sada Kanai
貞 金井
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Suntory Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 骨形成因子を有効成分とする骨修復治療剤を
提供する。 【構成】 骨形成因子を有効成分とし、フィブリンを担
体とする骨修復治療剤であって、骨形成蛋白質含量がフ
ィブリン糊ゲル1mlに対して4μg以上であることを
特徴とする治療剤。 【効果】 本発明により、骨形成因子を有効成分として
含有する骨修復治療剤の開発において、優れた骨形成能
を有する当該治療剤を提供することが可能となった。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、骨形成蛋白質の整形外
科又は歯科領域において有用な骨修復の治療への応用に
関する。即ち、本発明はバイオマテリアルとしての骨若
しくは歯の補強及び充填剤、又は骨折若しくは歯周病に
よる損傷骨の再生促進的機能を有する骨形成蛋白質を含
んだ骨の欠損部分若しくは骨折部位充填剤を提供するも
のである。
【0002】
【従来の技術】骨形成蛋白質はin vivoにおいて
異所性に骨形成を誘導しうる生理活性蛋白質であり、B
one morphogenetic protein
(以下、BMPと略す)とも称され、通常は骨に蓄えら
れていると推測される。その作用機作としてはBMPは
未分化な間葉系細胞に作用し、その細胞を骨芽細胞に分
化させ、その部位で新たな骨の形成を惹起すると考えら
れている。
【0003】骨は臓器のなかでも高い再生能力を有して
おり、そのため骨移植は組織移植のなかでも頻度の高い
もののひとつであるが、これは上記のようにBMPが通
常骨に蓄えられていることにも由来するものと思われ
る。臨床上、外傷に起因した骨の欠損、骨折の遷延治療
や偽関節置換術時及び骨腫瘍を切除したあとなどに施行
される。特に自家骨移植は組織生着率が高く、骨移植の
中でも望ましい方法のひとつである。しかしながら移植
骨を採取したあとには、骨の欠損部が生じるため人工材
料による填塞あるいは、止血を兼ねて生体材料(例えば
フィブリンなど)の利用が実用化されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】治療に適用される材料
としては、生体適合性が良く、且つ、生体分解性である
ことが望ましい。しかしながら、骨セメント、セラミッ
ク等の人工材料を使用した場合、これらは生体分解性を
持たないために代謝されることはなく、後年、生体適合
性等の問題が生じることが考えられる。
【0005】そこで、生体中に存在するBMPの手術部
位への適用が考えられるが、既に述べたようにBMP自
体が骨の形成を誘導しうる活性を有することが知られて
いても、実際に患部にBMPを適用する場合にはBMP
単独ではその骨形成能が十分に発揮されないという欠点
を有する。そこで、BMPを生体中に除々に放出する、
所謂除放性を有し、且つ、骨を形成する細胞の足場とな
る生体材料、即ち担体の存在があって初めてBMPの治
療への適用が実用的となる。
【0006】今までの動物実験においては、BMPの担
体としては骨基質由来の材料が用いられてきた。例え
ば、コラーゲンを主体とする脱灰骨基質または精製コラ
ーゲンが用いられてきたが、BMPを含むコラーゲンを
乾燥状態で用いるために複雑な形状の骨欠損部等の患部
への適用は困難であった。
【0007】一方、BMPの担体としてではなく、骨の
欠損部填塞材としてフィブリンを用いた場合、単独で十
分な骨形成能が得られるか否かについては議論が分れる
ところである(Arbes,H,Bosch,P.,e
t al.,Arch.Orthop.Traumat
Surg.,Vol.98,P183−188,19
81;Zilch,H and Wolff,R.,
Z.,Orthop.,Vol.125,p214−2
18,1987;Reck,R.and Bernal
−Sprekelsen,M.,HNO,Vol.3
7,p112−116,1989)。 特に骨代謝の低
下している高齢者への適用は難しいと考えられる。ま
た、他の方法として填塞剤の十分な強度と骨形成を再現
するためフィブリンと海綿骨を組み合わせる方法が試み
られているが、この方法をもってしても旺盛な骨形成は
認められていない(中村巧:日整会誌(J.Jan.O
rthop.Assoc.),Vol.66,p75
3.762,1992)。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
BMPとフィブリンとを組み合せることで上記の課題を
解決することを検討した。即ち、フィブリンが有する生
体適合性とBMPが有する骨形成能を組み合せることに
より、欠損骨の修復により適した治療剤を提供すること
ができると考えた。
【0009】BMPを含むと考えられる骨抽出画分とフ
ィブリンの組み合わせについてはこれまでも2−3報告
されている(中村巧:日整会誌(J.Jan.Orth
op.Assoc.),Vol.66,P753−76
2,1992)、服部寿門:日整会誌(J.Jan.O
rthop.Assoc.),Vol.64,p824
−834,1990)。
【0010】しかしながら、いずれも牛骨から抽出した
粗精製のBMP標品を用いているためBMP自体の至適
濃度については言及されておらず、例えば、フィブリン
0.08mlに対し、5mgの「蛋白」が必要であると
報告されているのみである(中村巧:日整会誌(J.J
an.Orthop.Assoc.),Vol.66,
p753−762,1992)。更に、上記BMP標品
中に存在する他のファクターが、それらが協調的に作用
しているにしろ又は抑制的に作用しているにしろ、関与
していることを完全に否定する証拠はない。
【0011】本発明者らは、既に遺伝子組換えBMPを
カイコ細胞を利用して発現する方法を確立することに成
功している。従って、高純度のBMPを得ることが可能
であるために当該蛋白質とフィブリンとの組み合わせを
検討することにより本発明を完成した。即ち、本発明は
BMPを有効成分とし、フィブリンを担体とする骨修復
治療剤であって、精製されたBMPがその活性を発現す
るのに必要な一定以上の含有量を含む骨修復治療剤であ
る。
【0012】本明細書において、骨形成蛋白質(BM
P)とはin vivoにおいて骨形成を誘導しうる生
理活性蛋白質を意味し、当該活性を有する蛋白質であれ
ば特に特定されることなく用いることができるが、好ま
しくはヒト由来のBMP(以下、hBMPと略す)、更
に好ましくはhBMP2(Proc.Natl.Aca
d.Sci.,Vol.87,p2220−2224,
1990)又はhBMP4(Molecular En
dcrinol.,Vo.5,p149−155,19
91)を用いることができる。
【0013】また、本明細書において記載されるフィブ
リンとは、既に医薬品として市販されている市販品と同
等の機能を有するものであればよく、遺伝子組換え型又
は天然型を問わず、フィブリノーゲンを酵素(通常はト
ロンビン)によりフィブリンに変換させ、止血・組織閉
塞の機能を有する材料をいう。
【0014】本発明の態様の一例を以下に示す。まず、
ヒトBMP2又はヒトBMP4を50mM HClに溶
解し、トロンビン(最終濃度1000単位/ml)・C
aCl溶液(最終濃度20−40mM)と混合する
(これをA液とする)。次にフィリノーゲン液(90m
g/mlフィブリノーゲン)を3000KIU/mlの
アプロチニン液に溶解する(これをB液とする)。これ
らを使用部位にて混合するか、または予めA液、B液を
混合して生じたゲル状のフィブリンを、充填部位に詰め
ることにより骨修復の治療に用いることができる。
【0015】本発明における重要な点は、フィブリンと
BMPの至適混合比を実験的に求めたことである。この
至適混合比が得られたのは、遺伝子組換え法によりBM
Pを発現させ、その機能を保持したまま、ポリアクリル
アミド電気泳動上ほとんど完全に単一標品にまで精製で
きたからであり、その標品を使用することにより本発明
を完成するに至った。
【0016】その結果、フィブリン50μlに対し20
0ngのhBMP2を混合したペレットに異所性の骨形
成反応を認め、800ng以上のhBMP2を含有させ
た場合、骨ペレット中のCa含量がプラトーになること
を確認した。このBMP/フィブリン比をフィブリン8
0μlの場合にあてはめるとBMP量は約1.28μg
であり、前述(BMP標品5mg)の約4000分の1
に当たる。
【0017】従って、本発明におけるBMPの有効な含
有量は、フィブリン1mlに対して少なくとも4μg以
上が含有されていればよく、16μg以上では骨中のC
a含量がプラトーになることから、好ましくは4μg以
上16μg以下の含有量であればよい。
【0018】また、前記のようにBMPの骨修復への適
用においては担体が必要であり、既に種々の担体が見い
だされている。従って、本発明におけるフィブリンの役
割もBMPの担体として働いている可能性が考えられる
が、フィブリン自体を担体として例示している先行技術
は調べられる限りにおいて見当たらない。例えば、特開
平2−500241においては、基質(明細書中では
「マトリックス」という文言を使用している)の例示が
あるが、具体例としてのフィブリンの記述は見当たらな
い。また、特開平4−505151においても基質物質
として「リン酸三石灰、ハイドロキシアパタイト、コラ
ーゲン、バリス可塑性樹脂の硬膏、ポリ乳酸、ポリグリ
コール酸」等が記載されており、同様に特開平4−50
5607においては「硫酸カルシウム、水酸化リン石
灰」等の記載があるが、何れもフィブリンを担体として
用いている例示はない。即ち、BMPを有効成分とする
骨修復の治療剤において、本発明の組み合わせのごとく
フィブリンを担体または基質として用いている先行技術
はなく、更にその至適混合比に関して記載した先行技術
もない。
【0019】従って、本発明において初めて精製された
BMPを有効成分とし、且つ、担体としてフィブリンを
用いた場合の骨修復治療剤における至適混合比が明らか
にされた。
【0020】フィブリンの機能に視点を移すと、フィブ
リン単独の異所性の骨誘導試験では全く骨の形成は認め
られず、むしろ移植されたフィブリン含有ペレットは2
週間後には吸収されていた。従って、フィブリンは骨欠
損部分に対して創傷面の閉鎖、填塞を確実にし、骨梁の
新生により創傷治癒を促進することが示唆されていた
が、本発明においてBMPの担体として用いることによ
り旺盛な骨形成が認められたということは、骨形成能と
いうBMP単独の機能を本質的に強化する機能をフィブ
リンが有していることが明らかとなった。
【0021】また、コラーゲン等の従来の担体を用いた
場合、その形状特性のために骨欠損部等の患部への適用
は困難であったが、それらの欠点を克服するためにポリ
マー等の使用が考えられる。
【0022】しかし、それらが合成品である場合には生
体への影響を無視することができない。この観点からす
れば、前記のフィブリンは非常に有用なBMPの担体と
なりうると考えられる。即ち、本来生体内に存在する物
質であり、溶液状態で患部に適用することができ、且
つ、生体分解性を有するからである。
【0023】更に、本発明におけるフィブリンは後述す
るようにその使用方法において2剤を混合することによ
り固化が開始されることから穿孔部の鋳型にあった形状
で適用することが可能である。
【0024】従って、本発明は、有効成分としてBMP
及び担体としてフィブリンを含有し、且つ、フィブリン
1mlに対して4μg以上のBMPを含有する骨修復治
療剤であり、当該治療剤を(1)骨欠損部分または骨折
部位に充填し、(2)当該部位でゲル状に固化させ、
(3)フィブリン内に含まれるBMPが徐放化され、周
囲の未分化な骨の前駆細胞に作用し細胞の遊走及び/又
は分化を促進し、(4)欠損部に新しい骨を形成させる
ことにより骨修復治療を行うことを目的とする治療剤で
ある。
【0025】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に詳細に説明
する。 実施例1 遺伝子組換え(以下、r−と示す)hBMP
2及びhBMP4の作製 分子生物学的手法を用いたr−hBMP2及びr−hB
MP4の発現については、特願平5−8519に詳しく
述べられているが、以下にその概要を説明する。
【0026】hBMP2cDNA及びhBMP4cDN
Aは、Wongら(Science,Vol.242,
p1528−1534,1988)の報告を基にプライ
マーを作製し、ヌードマウスを用いて継代増殖させたヒ
ト骨肉腫より調製したRNAをテンプレートとしてpo
lymerase chain reaction法
(以下、PCR法と略す)により調製した。当該hBM
P2cDNA及びhBMP4cDNAを各々pUCベク
ター(宝酒造(株))につなぎ、pUC−hBMP2及
びpUC−hBMP4を作製した。
【0027】次に、カイコ多角体ウイルス用転移ベクタ
ーであるpBm4(蚕糸・昆虫農業技術研究所より入手
可能)の遺伝子導入部位をNruIで消化して平滑末端
を生じさせた改変pBm4プラスミドに、それぞれpU
C−hBMP2及びpUC−hBMP4を導入し、pB
m4−hBMP2及びpBm4−hBMP4を得た。
【0028】続いて、カイコ多角ウィルス遺伝子DNA
(野生型ウイルスP6E株由来;蚕糸・昆虫農業技術研
究所より入手可能)とpBm4−hBMP2プラスミド
DNA、又はpBm4−hBMP4プラスミドDNAを
カイコ培養細胞BoMo15AIIc(蚕糸・昆虫農業
技術研究所より入手可能)にリン酸カルシウム共沈法を
用いて同時に導入することによってhBMP2及びhB
MP4遺伝子を組み込んだ組換えウイルスを作製した。
【0029】実施例2 カイコ体液の調製 カイコに接種するウィルス液を準備した。即ち、培養初
期濃度1x10細胞で2日間平面培養したBoMo1
5AIIc細胞に実施例1で得られた組換え体ウイルス
を含むBoMo15AIIc細胞の培養液10μlを添
加し、さらに25℃で14日間培養した。培養液を10
00rpmで5分間遠心分離して、得られた遠心上清を
接種用組換え体ウイルス液とした。
【0030】次に、5令1日目のカイコ幼虫に、組み換
え体ウイルスのウイルスを含む液を10倍希釈し1頭あ
たり50μl注射し、25℃で4日間、市販の人工飼育
(片倉工業製、モーラス)を与えて飼育後,体液を氷冷
したプラスチックチューブに採取し、遠心分離後の上清
を得た。1ロット当たり500頭のカイコを使用した。
【0031】実施例3 BMPの精製 (1)r−hBMP2の精製 上記実施例2で得たカイコ体液に最終濃度8Mになるよ
うに尿素を加え、遠心分離によって上清を得た。この試
料を6M尿素、20mM Tris−HCl(pH7.
4)で平衡化したHeparin−Sepharose
CL−6B(ファルマシア社)に添加した。初期緩衝
液にて非吸着画分を除いた後、6M尿素、20mM T
ris−HCl(pH7.4)−1.5M NaCl、
6M尿素、20mM Tris−HCl(pH7.4)
への直線濃度勾配法にて溶出を行った。
【0032】マウス頭蓋骨由来骨芽細胞MC−3T3E
1のアルカリフォスファターゼ上昇活性を指標として活
性を示す画分を集め(この測定法に関してはJ.Bio
chem.,Vol.84,p1127−1132,1
983を参照)、6M尿素、20mM Tris−HC
l(pH7.4)に対して透析を行った。この試料を6
M尿素、20mM Tris−HCl(pH7.4)で
平衡化したHeparin−Sepharose CL
−6Bに再び添加した。初期緩衝液にて非吸着画分を除
いた後、同様に1.5M NaClへの直線濃度勾配法
にて溶出を行った。
【0033】Heparin−Sepharose C
L−6B溶出画分を1N−HClにてpH2.6に調整
し、TSK−octadecyl 4PWカラム(東ソ
ー株式会社、直径7.5×15cm)に添加した。サン
プル添加後5分間は、24%アセトニトリル、0.1%
トリフルオロ酢酸(以下、TFAと略す)で洗浄し、以
後35分まで、24−48%アセトニトリル、0.1%
TFAの直線濃度勾配法で溶出した。得られたピークに
ついてマウスを用いて精製コラーゲンを担体とする異所
性骨誘導活性を測定した(この測定法に関してはcli
n.Orthop.,Vol.292,p329−33
6,1993を参照)。
【0034】以上のようにして精製されたr−hBMP
2は、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動により、ほ
とんど完全に単一標品にまで精製されていることが確認
された。
【0035】(2)r−hBMP4の精製 同様に上記実施例2で得たカイコ体液に最終濃度8Mに
なるように尿素を加え、遠心分離によって上清を得た。
この試料を6尿素、20mM Tris−HCl(pH
7.4)で平衡化したHeparin−Sepharo
se CL−6Bに添加した。初期緩衝液にて非吸着画
分を除いた後、1.5M NaClへの直線濃度勾配法
にて溶出を行った。
【0036】上記(1)と同様に活性を示す画分を集
め、6M尿素、20mM Tris−HCl(pH7.
4)に対して透析を行ったのち、Heparin−Se
pharose CL−6Bによる再クロマトグラフィ
ーを行った。
【0037】更に活性を示す画分を集め、6M尿素、2
0mM Tris−HCl(pH7.4)に対して透析
を行った。この試料に、30%飽和になるように硫安を
加え、6M尿素、20mM Tris−HCl(pH
7.4)硫安30%飽和の緩衝液にて平衡化したPhe
nyl−Sepharose CL−4Bに添加した。
初期緩衝液にて非吸着画分を除いた後、0%硫安、50
%エチレングリコールへの直線濃度勾配法にて溶出を行
った。活性画分については、r−hBMP2の場合と同
様の方法でHPLCによる精製を行なった。
【0038】以上のようにして精製されたr−hBMP
4は、SDS−ポリアクリルアミド電気泳動により、ほ
とんど完全に単一標品にまで精製されていることが確認
された。
【0039】
【実施例4】 フィブリンを担体としたr−hBMPに
よる異所性骨形成能の測定 フィブリンは市販の生体組織接着剤(例えば、商品名テ
ィシール、日本臓器製薬株式会社;商品名ベリプラス
ト、ベーリンガーヘキスト)を用いた。これらは組織の
接着、閉鎖を目的とする医薬品である。ここではティシ
ールの場合の例を以下に示す。
【0040】フイリノーゲン(90mg)を1mlのア
プロチニン溶液(3000KIU/ml)に溶解した。
r−hBMP2については、20μgの凍結乾燥標品を
100μlの50mM HClに溶解した標品を原液と
し、2倍希釈系列を作製した。トロンビンは500単位
/バイアルを0.5mlの40mM CaClに溶解
した。トロンビン溶解液50μlに対し、r−hBMP
2希釈液を各々32μl、滅菌した蒸留水15μlを加
えたのち、3μlの1M Trisを加え中和し、BM
P−トロンビン液100μlを作成した。
【0041】次に、25μlのBMP−トロンビン液と
25μlのフィブリノーゲン液を混ぜ、小試験管内でフ
ィブリンを完成させたのち、4−5週齢のBALB/c
−nu/nuマウス(日本エスエルシー株式会社)の背
部筋膜下に標品を移植し2週間後の骨形成能を軟X線写
真および組織標本により骨形成能を判定した。
【0042】その結果、フィブリン50μl中にr−h
BMP2を400ng含む移植ペレット(8μg r−
hBMP2/mlフィブリン)の全例に、また、200
ngr−hBMP2含有ペレット(4μg r−hBM
P2/mlフィブリン)の4例中3例(75%)に旺盛
な骨形成が認められ、100ng r−hBMP2含有
ペレット(2μg hBMP2/mlフィブリン)の7
5%に弱い骨形成が認められた。
【0043】特に、BMPを400ng含有するペレッ
トの場合、当該ペレットによる異所性骨形成能を拡大X
線写真像により確認したところ、移植ペレット全体に海
綿様の構造物が認められ誘導骨が生じていることが確認
された。一方、フィブリンだけではいずれも軟X線では
不透過像は得られなかった。
【0044】次に、骨ペレット中のCa含有量について
調べた。骨ペレットを磁性ルツボに入れ、900度、1
時間の灰化処理を行った。冷却後、灰化物を0.1N
HClに溶解しCa−Mgカウンター(平沼製作所)を
用いてキレート法にて測定した。結果を図1に示す。B
MPの含有量に比例してペレット内のCa含有量は増加
しr−hBMP2を800ng含む移植ペレット(16
μg r−hBMP2/mlフィブリン相当)において
プラトーになった。r−hBMP4を用いた場合でもほ
ぼ同様のCa含有量を示した。
【0045】実施例5 BMP−フィブリン複合体の骨
欠損部治療への応用 動物実験にはウィスター系ラット(♀)を用いた。ネン
ブタールによる腹腔麻酔下、左右大腿骨骨幹の皮質骨を
歯科用ラウンドバー(直径1.2mm)で穿孔し、骨欠
損部を作製した。種々濃度のBMPを含むトロンビン液
10μlとフィブリーゲン液10μlからなるフィブリ
ンを穿孔部に充填し、止血を目視により確認したのち皮
膚を縫合した。
【0046】3週間後に患部を観察すると、フィブリン
20μl当たり0.8μgのBMPを添加した群(40
μg r−hBMP2/mlフィブリン相当)では旺盛
な骨修復により外観上欠損部位は全く認められなかった
が、フィブリンだけを添加した群では穿孔部が残ってい
た。
【0047】次に、大腿骨を用い骨のねじり破壊抵抗性
に及ぼすBMP添加の効果を調べた。摘出大腿骨の両端
を歯科用レジンで固め、動物用骨破壊強度試験機(マル
トー株式会社)に供した。結果を第1表に示す。フィブ
リン単独に較べBMP添加群で骨強度の増加傾向を示し
た。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明により、有効成分としてBMP及
び担体としてフィブリンを含有する骨修復治療剤の開発
において、優れた骨形成能を有する当該治療剤を提供す
ることが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、異所性骨誘導アッセイにおける骨ペレ
ット中のCa含有量を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 金井 貞 大阪府三島郡島本町若山台1丁目1番1号 サントリー株式会社生物医学研究所内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 骨形成蛋白質を有効成分とし、フィブリ
    ンを担体として含有する骨修復治療剤であって、骨形成
    蛋白質含量がフィブリン1mlに対して4μg以上であ
    ることを特徴とする治療剤。
JP5280005A 1993-10-04 1993-10-04 骨修復治療剤 Pending JPH07101874A (ja)

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Cited By (11)

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