JPH0699965A - 合成樹脂製多層ブロー成形壜体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 多層ブロー成形壜体のピンチオフで形成され
る接合部に、内層の色が壜体の外観として視覚されない
ようにする。 【構成】 ピンチオフにより形成される接合部６を、パ
リソンの肉厚寸法に従って寸法設定される略台形形状の
横突条状に形成することにより、この接合部６におい
て、内層８の暗色が外層９の明色を透過して壜体１外部
から視覚されないようにし、もって壜体１の外観体裁の
劣化を防止する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、多層構造のパリソンか
らブロー成形される合成樹脂製多層ブロー成形壜体に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】合成樹脂製多層ブロー成形壜体の従来技
術として特公昭５３−１５４３２号公報が知られてい
る。この従来技術は、多層構造の管状パリソンからブロ
ー成形される壜体の底部にピンチオフにより付形される
接合部を、外方に突出する先細りの突条とすることによ
り、各層同志が接合部において実質的に連続するように
したものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
た従来技術にあっては、確かに接合部において、内層同
志および外層同志を連続させて、内層の外側を外層で覆
うことができるのであるが、この連続された内層を覆う
外層の層厚が極めて薄く、このため内層を内容物の遮光
を目的として不透明な黒等の暗色とし、外層を商品イメ
ージを良くするこめに不透明な白等の明色とした場合に
は、この接合部突出端面に内層の暗色が線状に視覚さ
れ、商品としての壜体の外観体裁を大幅に劣化させると
云う問題があった。

【０００４】そこで、本発明は、上記した従来技術にお
ける問題点を解消すべく創案されたもので、ピンチオフ
により形成される接合部において、外層に対して内層を
充分に内方に位置させることを技術的課題とし、もって
接合部の突出先端に、内層の暗色が外層の明色で形成さ
れる外表面に視覚されることによる外観体裁の劣化の発
生を防止することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記技術的課題を解決す
る本発明の手段は、内層を不透明暗色とすると共に、外
層を不透明明色とした管状パリソンからブロー成形され
た壜体であること、この壜体のピンチオフにより底部の
外表面に突条状に付形される接合部を、断面略台形形状
の突条とすること、この接合部の台形形状は、高さ幅を
を、パリソンの肉厚と略等しくすること、先端部厚み
を、パリソンの肉厚の略半分とすること、基端部厚み
を、パリソンの肉厚の略３分の２とすること、前後両面
の傾斜角度である逃がし角を、略８〜１５°の範囲とす
ること、にある。

【０００６】

【作用】壜体の底部の外表面に、ピンチオフにより突条
状に付形される接合部は、その厚みがパリソンの肉厚の
略３分の２以下、すなわち偏平に押し潰された状態のパ
リソンの肉厚の略３分の１以下に設定されているので、
この接合部成形時には、この接合部に成形されるパリソ
ン部分の軟化樹脂材料の略３分の２が、接合部に成形さ
れる部分から押し出されることになる。

【０００７】このように、ピンチオフにより突条状に押
圧成形される接合部は、この接合部に成形されるパリソ
ン部分の軟化樹脂材料の略３分の２が、接合部以外の隣
接した部分に押し出されるのであるが、接合部の前後両
面は略８〜１５°の逃がし角で基端部側に広がった断面
形状となっているので、押圧により発生する軟化樹脂材
料の逃げ方向、すなわち流動変位方向は、略接合部の基
端側方向に規制されることになる。

【０００８】この接合部押圧成形時における軟化樹脂材
料の流動変位は、冷却された金型の押圧により発生する
ものであるので、金型表面に接触する樹脂材料部分、す
なわち外層部分は、金型との接触による温度低下に伴う
流動性の低下、および金型その接触抵抗により、その流
動変位がし難く、反対に内側に位置している樹脂材料部
分、すなわち内層部分は、高い流動性を維持した状態の
まま押し出し力を受けることになる。

【０００９】このため、接合部においては、内層の略全
部が接合部の基端部側に押し出されることになり、内層
は接合部の先端面から大きく内側に位置することにな
る。

【００１０】接合部前後両面の逃がし角を８〜１５°に
設定したのは、この逃がし角が８°以下であると、軟化
樹脂材料に対する押圧による充分な流動移動力を与える
ことができないためであり、また逃がし角が１５°以上
であると、軟化樹脂材料の押圧による流動移動距離を充
分に得ることができないためである。

【００１１】また、接合部の高さ幅をパリソンの肉厚と
略等しくすることにより、上記した接合部の前後両面の
逃がし角の範囲内で、およびパリソンの肉厚に対する接
合部の肉厚の割合範囲内で、押圧による内層の後退移動
量を充分な値とすることができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の一実施例を、図面を参照しな
がら説明する。図１は、本発明による壜体１の正面図を
示すもので、壜体１は、上端に口筒を一体に連設した筒
形状をした胴部２の下端に底部３を連設して構成されて
おり、底部３は、胴部２内方に窪んで位置する底壁４
と、この底壁４の周囲に位置して“座”を形成する脚壁
５と、底壁４の外面（下面）中央に、横突条状にピンチ
オフにより形成される接合部６とから構成されている。

【００１３】壜体１は、その壁が内層８と外層９との多
層構造（図２参照）となっていて、内層８は、不透明黒
色に着色されたバージンＰＰ材料で成形されている内表
面内層８ａと、不透明黒色に着色された再生ＰＰ材料で
成形されている中内層８ｂとから構成され、外層９は、
壜体１の表面に優れた光沢を現出するために透明ＰＰ材
料で成形されている外表面外層９ａと、不透明白色に着
色されたＰＰ材料で成形されている中外層９ｂとから構
成されている。

【００１４】各層の内、中外層９ｂの層厚は０．５８４
mmと最も大きく、外表面外層９ａの層厚は、中外層９ｂ
の半分以下の０．２７mmであり、内層８の層厚は、内容
物の遮光を充分に得ることのできる値（具体的には６２
９mm程度）となっていて、パリソンの肉厚は１．４８３
mmとなっている。

【００１５】この各層の層厚寸法に対して、接合部６の
各部の寸法は、高さ幅ｈが、パリソンの肉厚よりもわず
かに大きい１．５mm、先端部厚みｗ１がパリソンの肉厚
の半分以下の０．７mm、基端部厚みｗ２が０．９mm、そ
して逃がし角θが１０°となっている。

【００１６】図４から明らかなように、接合部６におい
ては、内層８の外側への突出端は、接合部６の先端から
内側に充分な値（略接合部６の先端部厚みｗ１と同じ
値）で位置し、接合部６において、内層８の黒色が外層
９の白色を透過して壜体１外部から視覚されることが全
くない。

【００１７】なお、図２および図３に示すように、接合
部６の延長上に位置する脚壁５部分を除去して逃げ溝７
を成形したのは、接合部６の高さ幅ｈを、この接合部６
の全長にわたって等しく成形することができるようにす
るためである。

【００１８】

【発明の効果】本発明は、上記した構成となっているの
で、以下に示す効果を奏する。接合部における内層を充
分に内側に位置させることができるので、この内層の暗
色が外層を透過して接合部の先端面に視覚されることが
なく、これにより内層の色が壜体の外表面に視覚される
ことにより外観体裁の劣化を皆無とすることができる。

【００１９】接合部における内層の流動変位は、通常の
ブロー成形におけるピンチオフにより必然的に達成され
るので、特別な成形手法を採用することなしに、従来か
らの成形手法で正確にかつ確実に達成することができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示す全体正面図。

【図２】図１に示した実施例の一部拡大断面した底部側
面図。

【図３】図１に示した実施例の底面図。

【図４】図１に示した実施例における接合部の拡大縦断
側面図。

【符号の説明】

１ ； 壜体 ２ ； 胴部 ３
； 底部 ４ ； 底壁 ５ ； 脚壁 ６
； 接合部 ｗ１； 先端部厚み ｗ２； 基端部厚み ｈ
； 高さ幅 θ ； 逃がし角 ７ ； 逃げ溝 ８
； 内層 ８ａ； 内表面内層 ８ｂ； 中内層 ９
； 外層 ９ａ； 外表面外層 ９ｂ； 中外層

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内層(8) を不透明暗色とすると共に、外
   層(9) を不透明明色とした管状パリソンからブロー成形
   された壜体(1) において、ピンチオフにより底部(3) の
   外表面に突条状に付形される接合部(6) を、高さ幅(h)
   を前記パリソンの肉厚と略等しくし、先端部厚み(w1)を
   前記パリソンの肉厚の略半分とし、基端部厚み(w2)を前
   記パリソンの肉厚の略３分の２とし、そして前後両面の
   傾斜角度である逃がし角（θ）を略８〜１５°の範囲と
   した、断面略台形形状の突条とした合成樹脂製多層ブロ
   ー成形壜体。