JPH0696518B2 - 口腔内製剤 - Google Patents

口腔内製剤

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JPH0696518B2
JPH0696518B2 JP61099030A JP9903086A JPH0696518B2 JP H0696518 B2 JPH0696518 B2 JP H0696518B2 JP 61099030 A JP61099030 A JP 61099030A JP 9903086 A JP9903086 A JP 9903086A JP H0696518 B2 JPH0696518 B2 JP H0696518B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は,口腔内の湿潤粘膜および歯面に貼付され、適
用部位に長時間にわたつて局所効果をおよぼす口腔内製
剤に関するものである。
〔従来の技術〕
従来より、歯科口腔領域においては歯槽膿漏や炎症など
の口腔内の疾患の予防と治療のために、種々の局所性薬
剤が軟膏剤や液剤として投与されている。このような、
口腔内粘膜への薬剤の投与に際して最大の障害となるの
は、唾液の分泌や飲食により、短時間のうちに薬剤が流
去されてしまい充分な薬物の発現が困難なことである。
また、口腔内の損傷部を被覆保護することは有効な口腔
内包帯が存在していないことから殆ど行われていない
が、口腔内には上記のように常時唾液が分泌されまた飲
食物も入るため、その被覆保護の実現には大きな障害が
ある。
最近、これらの障害を克服し口腔内の疾患に対して薬剤
を効果的に投与しようとして各種の提案がなされてい
る。それらのなかでも、本発明の口腔内製剤に比較的近
い思想のものは、水溶性高分子物質を付着性成分として
含んだ口腔内粘膜付着性の製剤がある。水溶性高分子物
質はその種類により程度の差はあるが、少量の水分を吸
収すると粘稠な水溶液あるいはゲルとなつて付着性を示
すようになる。この性質を利用して、ペースト状(特公
昭56-27491号公報)、スポンジ状(特公昭56-25211号公
報)、タブレツト状(特公昭58-7605号公報)、シート
状(特公昭44-16676号公報、特開昭59-186913号公報)
など様々な口腔内粘膜付着性の製剤が考案された。
〔発明が解決しようとする問題点〕
上記各種の製剤は、従来の液剤あるいは軟膏などに比較
すると、付着性等はかなり改善されてはいるもののいま
だ充分ではない。すなわち、ペースト状もしくはスポン
ジ状の製剤では、これらが充分な物理的強度を有してい
ないため、会話時における粘膜の伸縮または擦れなどに
よつて除去され、長時間の付着持続力を備えていない。
特に、ペースト状製剤においては、意図する薬剤量を正
確に投与することが困難である。また、タブレツト状製
剤は、製剤自体が剛直であるため、複雑な形状を有する
口腔内湿潤粘膜の全ての部位に適応することが困難であ
る。したがつて、所望の部位に薬剤を投与することが困
難であるという難点を有している。シート状の製剤は、
上記のようなタブレツト状製剤のような難点は有してい
ないが、薬剤の投与に足るだけの時間粘膜に付着してい
ないという難点を有しており、いまだ満足できるような
性能を備えていない。
一般に、口腔内製剤は、口腔内疾患部や損傷部に貼付し
て薬剤の投与およびそれらの部位に対する被覆保護を図
るものであり、損傷部等からの出血等で付着しにくい状
態になつている口腔内粘膜に対して、強力に付着しうる
付着力と長時間にわたつて付着する付着持続力とが要求
される。しかしながら、上記従来の口腔内製剤は、いず
れもそのような特性を備えておらず、充分な効果が得ら
れないのが実情である。無論、外皮に使用される絆創膏
などの粘着テープは口腔内粘膜のような湿潤面に対する
付着性を備えていないため、これを口腔内製剤に転用す
ることはできない。
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、強力
な付着力および長時間にわたる付着持続力ならびに口腔
内粘膜または歯面の任意の部位に貼付可能な柔軟性を備
え、しかもその部位に薬剤を充分に投与しうる口腔内製
剤の提供を目的とする。
〔問題点を解決するための手段〕
上記の目的を達成するため、本発明は、局所性薬剤を含
有するフイルム状付着体単独からなる製剤、もしくはフ
イルム状付着体と柔軟なフイルム状支持体との一体化物
からなり、上記フイルム状付着体およびフイルム状支持
体の少なくとも一方に局所性薬剤を含有する製剤であつ
て、上記フイルム状付着体がポリカルボン酸およびポリ
無水カルボン酸の少なくとも一方と酢酸ビニル重合体と
が相溶状態になつている柔軟なフイルム状体によつて構
成されている口腔内製剤を第1の要旨とし、ポリカルボ
ン酸およびポリ無水カルボン酸の少なくとも一方と酢酸
ビニル重合体とが相溶状態になつている柔軟なフイルム
状体に、中和作用を有する塩類を含有させた口腔内製剤
を第2の要旨とする。
ポリカルボン酸およびポリ無水カルボン酸のような水溶
性高分子物質は、それ自体保形性を有しており、少量の
水分を吸収した状態では強力な付着性を発明するが、す
ぐ過剰吸水状態となり粘度低下、崩壊を起し実質的に水
に溶解した状態となつて付着性を失う。そのうえ、溶解
ポリカルボン酸は酸性を呈するので、敏感な口腔内粘膜
の損傷部に接触した場合に強い刺激を与え損傷部の悪化
の原因となる。
本発明者らは、ポリカルボン酸、ポリ無水カルボン酸等
の水溶性高分子物質のこのような吸水時における強力な
付着力を生かし、これを口腔内製剤に有効に利用するた
め、その欠陥である過剰吸水時の付着性喪失の改善およ
び口腔内損傷部に対する刺激性の改善を目的として水溶
性高分子物質を水不溶性化すべく一連の研究を重ねた。
その結果、ポリカルボン酸,ポリ無水カルボン酸と、酢
酸ビニル重合体とは相溶性を有しており、両者を相溶状
態にすると、ポリカルボン酸,ポリ無水カルボン酸の実
質的な水不溶化が、吸水時の強力な付着性を損なうこと
なくむしろ増強した状態で実現され、両者の相溶物に局
所性薬剤を含有させて薄い柔軟なフイルム状に形成して
も湿潤状態で吸水崩壊せず長時間強力な付着力を発現す
るようになり、また、上記相溶物にポリカルボン酸ない
しポリ無水カルボン酸に対して中和作用を有する塩類
(塩または塩基)を含有させると、口腔内粘膜損傷部に
対する刺激を殆ど除くことができるようになることを見
いだした。したがつて、本発明の口腔内製剤は、柔軟で
あつて口腔内の任意の粘膜部位に対して貼付可能であ
り、その部位に薬剤を充分投与しうるだけでなく、損傷
部等に対して貼付しても損傷部に強い刺激を与えて損傷
部の悪化を招くことなく充分な量の薬剤を投与しうる。
しかも上記貼付状態が、極めて長時間持続するという特
性を有している。上記のような薬剤の投与は、上記相溶
物からなる柔軟なフイルム(フイルム状付着体)だけで
なく、それを支持するフイルム状支持体に対して局所性
薬剤を含有させても実現することができる。
上記のようなポリカルボン酸およびポリ無水カルボン酸
の少なくとも一方(以下、これらを「ポリカルボン酸
類」と総称する)と酢酸ビニル重合体との相溶物からな
る柔軟なフイルムは、乾燥時には付着性を有していない
が、吸水時に強力な付着性を発揮し、その状態は水中浸
漬時においても殆ど変化しないという画期的な特性を備
えている。このような特性はポリカルボン酸類と酢酸ビ
ニル重合体とが相溶状態になつていて初めて発現するも
のであり、相溶状態になつていないときには発現しな
い。
ここで相溶状態とは、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重
合体とが相分離して独立した小領域を形成することな
く、均一に溶解しあつた状態をいう。ポリカルボン酸類
と酢酸ビニル重合体は、相溶した状態になると、相分離
状態での混合物の特性から予測されない特性を示すよう
になる。すなわち、相分離状態のフイルムは白濁してい
るのに対し、相溶状態のフイルムは透明度が高く、光学
顕微鏡を用いた観察によつても独立した小領域を認める
ことができない。また、水中に浸漬した状態において、
相分離状態のフイルムはポリカルボン酸類が溶出し全体
が崩壊するが、相溶状態のフイルムは均質に膨潤するの
みであつてポリカルボン酸類の溶出は極めて少なく、ポ
リカルボン酸類は実質的に不溶化されている。このポリ
カルボン酸類の不溶化を利用してポリカルボン酸類と酢
酸ビニル重合体との相溶状態を調べることができる。
また、ポリカルボン酸類に対して中和作用を有する塩類
を添加した場合、その混合状態が上記付着性に殆ど影響
を与えない。したがつて、この塩類は相溶状態になつて
いても、粉末が分散しているような粗い混合状態になつ
ていてもよいのである。また、前記したようにポリカル
ボン酸類と酢酸ビニル重合体のみの混合物であれば、明
瞭に相溶状態を観察することが可能であるが、中和作用
を有する塩類を含む混合物においては、その差異は不明
瞭となる。すなわち、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重
合体のみの混合物であれば、相分離状態のフイルムは白
濁するのに対し、相溶状態のフイルムは透明度が高いも
のとなるのであるが、中和作用を有する塩類を含む混合
物においては、塩類の混合状態についての規制がないた
め、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体とが相溶状態
にあつても、塩類が粗い混合状態にあるならば、やはり
フイルムは白濁するものである。このように、目視ある
いは光学顕微鏡による観察によつては、必ずしもポリカ
ルボン酸類と酢酸ビニル重合体との混合状態を判別する
ことができない場合がある。
しかしながら、すでに述べたように、本発明者らは、ポ
リカルボン酸類と酢酸ビニル重合体とが相溶状態にある
時には、水溶性であるはずのポリカルボン酸の水溶性が
著しく制限され、たとえ水中にかなり長時間にわたつて
浸漬しても均質に膨潤し、崩壊を起こさないものである
ことを見いだしている。この性質は中和作用を有する塩
の有無にかかわらず観察された。
この性質を利用して、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重
合体との相溶状態を調べることができる。また、ポリカ
ルボン酸類の水溶性が制限されていることにより、本発
明の口腔内製剤が長時間にわたつて口腔内粘度に付着で
きることから考えても、この判別法は適当であるといえ
る。
本発明では、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体の相
溶状態をポリカルボン酸類の溶出量から調べるものであ
り、本発明における相溶状態とは、具体的には、下記の
溶出率測定法によつて求められたポリカルボン酸類の溶
出率が40重量%(以下、「%」と略す)以下である混合
状態の場合を云い、中和作用を有する塩類を含有する口
腔内製剤の場合では塩類の溶出も生じるので、下記測定
法によつて求められた溶出率が50%以下である混合状態
の場合をいう。
〈溶出率測定法:塩類を含有しない場合〉 ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体とからなるフイル
ム(フイルム状付着体)を0℃以下において粉砕し秤量
する。これをメツシユの袋に入れて該付着体の重量の30
0倍以上の20℃の精製水内に、静置状態で1時間浸漬し
たのち、袋ごと付着体を取り出し、精製水中に溶出した
ポリカルボン酸類の量を、中和滴定などの方法により求
める。これをフイルム中のポリカルボン酸類の配合量で
除算し溶出率を算出する。
〈溶出率測定法:塩類を含有する場合〉 中和作用を有する塩類を含有するフイルム(フイルム状
付着体)に対して上記と同様の操作を行う。この操作に
より精製水中に溶出したポリカルボン酸類と中和作用を
有する塩類の量を、浸漬による付着体の重量減少などに
より求める。これをフイルム中のポリカルボン酸類と中
和作用を有する塩類との配合量の和で除算して溶出率を
算出する。
本発明の口腔内製剤は、上記のような、乾燥時には付着
性を示さず吸水時にのみ付着力を発現する柔軟なフイル
ムをフイルム状付着体(母材)とするものであり、フイ
ルム状付着体が乾燥している状態では付着性を有しない
ため特別な保管態様をとることなくそのまま保管でき、
使用に際しては口腔内粘膜または歯面に押し付けるだけ
で粘膜上の唾液や粘膜の水分の如き湿分を吸収して速や
かに付着性を発現し粘膜または歯面に強力に付着する。
したがつて投与薬剤や出血等により付着しにくくなつて
いる口腔内疾患部位や損傷部の上に強力に付着して薬剤
の投与や傷の被覆保護作用を発現するのである。そし
て、この付着状態は著しく長時間持続するのであり、こ
れが本発明の大きな特徴である。このような長時間の付
着持続力は、すでに述べたようにフイルム状付着体にお
いてポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体とが相溶状態
になつていることにより初めて実現するものである。
この付着持続力の発生機構は明らかではないが、相溶状
態下においては、ポリカルボン酸類が湿潤粘膜に対する
付着性を、酢酸ビニル重合体が耐水性を付与し、両者が
うまく調和して長時間の付着持続力を発現するものと考
えられる。なお、ポリカルボン酸類に対して中和作用を
有する塩類は、その混合状態が付着性に影響を与えるこ
とはないが、それ自身の有する特性が上記付着性等に対
して微妙に影響する。例えば、酸化亜鉛や酸化カルシウ
ムのような多価な金属塩は、付着性を減じ耐水性を高め
る働きをするが、酢酸ナトリウム等の1価の金属塩や、
水酸化ナトリウムやトリエタノールアミン等の1価の塩
基は付着性を高め耐水性を減じる作用をする。
このように、本発明の口腔内製剤は、長時間に亘る付着
持続力を有しているため、口腔内疾患部位に対する投与
薬剤の吸収を長時間保持し、その吸収率を著しく高めて
治癒を早め、また口腔内損傷部位に対する被覆保護を長
時間持続し、その回復を早めうるのである。
また、口腔内粘膜の損傷部に貼付して使用する場合は、
上記の塩類によつて中和処理を施すことにより、溶出す
るポリカルボン酸類による刺激が阻止されるので、口腔
内製剤貼付により損傷部等が反つて悪化するというよう
な事態を回避することができる。そのうえ、上記フイル
ム状付着体は、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体と
が相溶状態になつている実質的に水不溶性の柔軟なフイ
ルムからなつていて、単に水溶性高分子物質をそのまま
用いたものではないため、非常に薄い状態において長時
間にわたる付着持続力を発現する。すなわち、水溶性高
分子物質をそのまま用いる場合には、それをあまり薄く
すると唾液によつて短時間の間に急速に溶解して付着性
が急速に失われるようになるから薄くできないのであ
り、かなりの厚みをもたせることとなる。しかし、この
ようにすると、今度は使用時の異物感が大きくなると同
時に口腔内製剤の柔軟性が損なわれるようになる。本発
明の口腔内製剤の母材となるフイルム状付着体は、非常
に薄い状態で長時間にわたり強力な付着力を発現するた
め、厚みを厚くする必要がなく、厚みの過大による異物
感等を感じさせないのである。このように、本発明の口
腔内製剤は、母材となるフイルム状付着体を薄い柔軟な
フイルムによつて構成されている。
本発明の口腔内製剤は、例えば、ポリカルボン酸類と酢
酸ビニル重合体とを、両者に共通の溶媒に溶解し、これ
に局所性薬剤を含有させたのち、迅速に流延し乾燥して
フイルム状付着体化することにより製造することができ
る。
一方、中和作用を有する塩類を含有する本発明の口腔内
製剤は、例えば、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体
とを、両者に共通の溶媒に溶解し、局所性薬剤を含有さ
せたのち、さらにポリカルボン酸類に対して中和作用を
有する塩類を配合し、これを迅速に流延し乾燥してフイ
ルム状付着体化することにより製造することができる。
上記塩類の配合は、上記溶液に塩類を溶解させることに
よつて行つてもよいし、また粉末状のものを分散させる
ことによつて行つてもよい。上記両製法によれば非常に
薄いフイルム状体を容易に形成しうるという利点があ
る。
上記口腔内製剤に含有される局所性薬剤は、ポリカルボ
ン酸類と酢酸ビニル重合体と上記口腔内製材に含有され
る局所性薬剤は、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体
とが相溶状態になつているフイルム状付着体およびこれ
を支持するフイルム状支持体のいずれに含有させてもよ
く、また含有方法に特に制限はない。例えば、先に述べ
たように共通溶媒に溶解したポリカルボン酸類と酢酸ビ
ニル重合体の溶液に局所性薬剤をそのまま、もしくは溶
液状態にして配合し、これを迅速に流延し乾燥して、フ
イルム状付着体とすることにより含有させることができ
る。また、フイルム状支持体に薬剤を含有させる場合に
は、支持体用樹脂と混練する方法や溶液状態で混合する
方法、もしくは吸着含浸させる方法などがあげられる。
上記ポリカルボン酸類の代表的なものを例示すると、ア
クリル酸重合体,メタクリル酸重合体,無水マレイン酸
重合体があげられ、単独でもしくは併せて使用すること
ができる。上記アクリル酸重合体の具体例として、アク
リル酸単独重合体の他に、アクリル酸ブチル、アクリル
酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル類や、メ
タクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル類ならびに
酢酸ビニルなどのビニルモノマーとの共重合体や、カル
ボキシビニルポリマーのような重合体があげられる。ま
た、メタクリル酸重合体の具体例としては、メタクリル
酸単独重合体の他に、アクリル酸重合体の場合と同様な
共重合体があげられ、無水マレイン酸重合体の具体例と
しては、メチルビニルエーテルなどとの共重合体があげ
られる。
なお、上記各具体例に例示した化合物は、単独使用だけ
でなく混合使用できることはいうまでもない。これらの
ポリカルボン酸類において、ポリカルボン酸中には、−
COOH基が20%以上、ポリ無水カルボン酸中には、−CO−
O−CO−基が16%以上含まれていることが効果の上で好
ましい。
上記酢酸ビニル重合体の代表的なものを例示すると、酢
酸ビニル単独重合体があげられ、それ以外にアクリル酸
エステル等のビニルモノマーと酢酸ビニルとの共重合体
および酢酸ビニル単独重合体を部分ケン化した部分ケン
化物もあげられる。これらは単独でもしくは併せて使用
することができる。これらは平均分子量(粘度平均分子
量)が60000以上であることが好ましい。平均分子量が6
0000未満のものを用いると、上記フイルム状付着体の耐
水性が低下し所期の効果が得られにくくなる。ただし、
分子間架橋等を施して見掛けの分子量が大きくなる場合
はこの限りでない。
ポリカルボン酸類に対して中和作用を有する塩類とは、
塩のみではなく、塩基も含むものであり、その代表例と
して、金属と弱酸との塩、金属の酸化物,金属の水酸化
物,アミン等およびそれらの混合物があげられる。金属
と弱酸との塩の具体例として、ナトリウム,カリウム,
カルシウム,マグネシウム等と、酢酸,乳酸,クエン酸
等のカルボン酸との塩があげられ、金属の酸化物の具体
例としては、酸化亜鉛,酸化カルシウム,酸化マグネシ
ウムがあげられる。また、金属の水酸化物の具体例とし
ては、水酸化ナトリウム,水酸化カリウム、水酸化カル
シウム,水酸化マグネシウム等があげられ、アミンの具
体例としては、トリエタノールアミン,ジイソプロパノ
ールアミン等があげられる。上記の具体的に例示した化
合物は単独でもしくは併用しうるものである。このよう
な塩類の好ましい配合量は、塩または塩基の種類によつ
て大幅に異なる。多価の金属塩を使用する場合には、フ
イルム状付着体中のポリカルボン酸類に対して、0.2〜
0.8当量配合するとが好ましく、その量が0.2当量を下回
ると、損傷部(損傷粘膜)に対する刺激性低減効果が不
充分となり、0.8当量を上回ると、充分な付着持続性が
得られにくくなる。また、1価の金属塩あるいは1価の
塩基を使用する場合には、フイルム状付着体中のポリカ
ルボン酸類に対して、0.03〜0.2当量配合することが好
ましく、その量が0.03当量を下回ると損傷部に対する刺
激性低減効果が不充分となり、0.2等量うりょうを上回
るとフイルム状付着体の耐水性が低下して充分な付着力
が得られにくくなるからである。
上記ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体の共通溶媒と
しては、メタノール,エタノール等の低級アルコー
ル、およびこれと可溶なアセトン,酢酸エチル等の有
機溶媒との混合物であつて低級アルコールを主成分とす
るもの、ならびに上記混合物または低級アルコールに
さらに水を添加混合したものがあげられる。上記の溶
媒に関しては、アセトン,酢酸エチル等の有機溶媒の含
有量を30%以下に制限することが好ましい。30%を超え
るとポリカルボン酸類の溶解が困難になるからである。
上記の溶媒に関しては、水の含有量を30%以下に制限
することが好ましい。水の含有量が30%を超えると酢酸
ビニル重合体の溶解が困難になる傾向がみられるからで
ある。
前記のようにして口腔内製剤を製造する場合において、
ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体との混合比率は、
下記の式で求められるA値が15〜45の範囲内になるよう
に規制することが好ましい。
A値が大きくなる程、フイルム状付着体の、粘膜または
歯面に対する付着力は大きくなるが、付着持続性は低下
する傾向を示し、逆にA値が小さくなる程付着力は小さ
くなるが、付着持続性は増加する傾向を示す。そして、
上記A値が15を下回ると、充分な付着力が得られにくく
なり、また、45を上回ると、充分な付着持続性が得られ
にくくなる。したがつて、A値が15〜45の範囲内になる
ようポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体の混合比率を
規制することが好ましいのである。ポリカルボン酸類と
してポリアクリル酸を使用した場合を例にとつて説明す
ると、フイルム状付着体中に占めるポリアクリル酸の割
合が24〜72%の範囲にあれば、A値が上記範囲内に入る
のであり、好ましい結果が得られるようになる。
また、上記ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体とを共
通溶媒に溶解する際、両者が充分溶解するように配慮す
ることが必要である。この場合、ポリカルボン酸類,酢
酸ビニル重合体等の高分子物質の濃度は特に制限を受け
るものではないが、高分子物質の濃度が高くなりすぎる
と、溶液粘度が大きくなり、これを流延フイルム状化す
る際、困難になる傾向がみられるため高分子物質の濃度
が40%を超えないように配慮することが好ましいのであ
る。
ポリカルボン酸類と酢酸ビニル重合体を溶解し、これに
局所性薬剤を配合した溶液、あるいはさらにこれに中和
用の塩類を配合した溶液の流延乾燥フイルム状付着体化
は、つぎのようにして行うことができる。すなわち、剥
離処理を行つたポリエチレンラミネート紙などの適当な
フイルム上に上記溶液を流延したのち、乾燥器あるいは
乾燥塔などの高温空気浴または減圧乾燥器を使用するこ
とによつて迅速に乾燥しフイルム状化することにより行
うことができる。適正な乾燥時間あるいは乾燥温度は、
共通溶媒の組成,溶液中の固形分濃度,流延厚み,乾燥
時の減圧度等によつて異なるが、一般に常圧下では60℃
から120℃の温度で、1分から20分程度乾燥することが
好ましい。
このようにして非常に薄いフイルム状付着体が得られ
る。このフイルム状付着体は、局所性薬剤を含有してお
り、そのまま本発明の口腔内製剤となりうるものであ
る。この場合、上記フイルム状付着体の厚みは流延量等
の制御により調整しうるものであり、5〜100μmの範
囲内に規制することが好ましい。厚みが5μm未満にな
ると充分な付着特性の発現が困難となり、100μmを超
えると使用に際して口中異物感を与え、またフイルム状
付着体の柔軟性が損なわれる傾向がみられるからであ
る。
このフイルム状付着体は、すでに述べたように、ポリカ
ルボン酸類と酢酸ビニル重合体とが単に混合しているの
でなく両者が相溶した状態になつており、実質的にポリ
カルボン酸類が不溶化されているため、上記のような非
常に薄い状態であつても吸水崩壊せず、強力な付着力を
長期に亘つて発揮し、その含有薬剤を長期間にわたつて
投与する。そして、このものは、柔軟であるため、口腔
内粘膜に押し付けるだけでその形状に沿つて簡単に変形
し付着するのである。
上記局所性薬剤としては、常温で固体であつても液体で
あつてもよく、前記フイルム状付着体およびこれを支持
するフイルム状支持体に溶解または分散させることがで
きるものであればよい。
口腔内製剤に含有させる局所性薬剤の配合量は、薬剤の
種類によつて異なるが、通常は薬効および粘膜への付着
性を考慮して製剤中0.0001〜35%、好ましくは0.0002〜
20%である。また、積極滴に薬剤を口腔粘膜に投与する
ためには薬剤をフイルム状付着体側に局在させることが
好ましく、口臭等の治療に際してはフイルム状支持体側
に局在させてもよい。
この発明に用いる局所性薬剤としては、 a)副腎皮質ホルモン トリアムシノロンアセトニド,デキサメタゾン,ベタメ
サゾン,プレドニゾロン,フルオシノロン,ハイドロコ
ルチゾン,ベクロメタゾンなど、およびそれらの塩。
b)消炎剤 フルルビプロフエン,イブプロフエン,ジクロフエナツ
ク,インドメサシン,ベンダザツク,フルフエナム酸,
ブフエキサマツク,サイクロスポリン,クリダナク,グ
リチルリチン,ケトプロフエン,ピロキシカム,プラノ
プロフエン,ベンジダミン,イブプロフエンピコノー
ル,エトフエナマート,リゾチーム,キモトリプシン,
エピジヒドロコレステリン,ヒノキチオール,α−アミ
ラーゼ,アズレン,クロロフイリン,クロモグリク酸,
トラニラスト,セラチオペプチダーゼ,プロナーゼ,グ
ルカナーゼ,シコンエキスなど、およびそれらの塩。
c)殺菌剤 アクリノール,セチルピリジニウム,クロルヘキシジ
ン,ドミフエン,ヨード,モネンシン,サンギナリン,
メトロニダゾール,デカリニウム,テトラサイクリン,
ミノサイクリン,オフロキサシン,ペニシリン,ドキシ
サイクリン,オキシテトラサイクリン,セフアトリジ
ン,ナイスタチン,クリングマイシン,硫酸フラジオマ
イシンなど、およびそれらの塩。
d)鎮痛剤 アミノ安息香酸エチル,カンフル,オイゲノール,ジブ
カイン,フエノール,メントール,クレオソート,ジフ
エンヒドラミン,リドカイン,テトラカイン,プロカイ
ン,コカイン,ピペロカイン,メピバカイン,プロモキ
シン、デイクロニン,グアヤコールなど、およびそれら
の塩。
e)止血剤 トラネキサム酸,ε−アミノカプロン酸,アルギン酸,
バイオフラボノイド、ビタミンC,トロンビン,酸化セル
ロース,セトラキサート,エピネフリン,塩化第2鉄,
フイブリノーゲン,カルバゾクロム,アドレノクロム,
など、およびそれらの塩。
f)血管拡張剤 イノシトールヘキサニコチネート,シクランデレート,
シンナリジン,トラゾリン,アセチルコリンなど、およ
びそれらの塩。
g)組織修復剤 ソルコセリン,プログルミド,スクラルフアート,ゲフ
アルナート,クエン酸ニカメタート,グルタミン,アセ
グルタミドアルミニウム、エチルシステイン,キチン,
ビタミンEニコチネート,ユビデカレノンなど、および
それらの塩。
h)抗ウイルス剤 アシクロビル,イドクスウリジン,ビタラビン,アマン
タジンなど、およびそれらの塩。
i)骨代謝剤 ビタミンD類,エンドトキシン,ハイドロキシアパタイ
ト,コラーゲン,カタボリン,2−クロロアデノシン,ノ
カルデイア,カルシトリオール,対歯槽骨プロスタグラ
ンジン類,対歯槽骨破骨細胞活性化因子,対歯槽骨副甲
状腺ホルモン,対歯槽骨カルシトニンなど、およびそれ
らの塩。
j)収れん剤 タンニン,タンニン酸,フツ化亜鉛,フツ化ナトリウ
ム,フツ化ストロンチウム,硝酸カリウム,フツ化ス
ズ,硫酸アルミニウムカリウム,ベルベリン,ビスマス
類,塩化ストロンチウム,乳酸アルミニウムなど、およ
びそれらの塩。
などがあげられる。
上記のように、本発明の口腔内製剤は、フイルム状付着
体だけでも構成されうるものであるが、これと柔軟なフ
イルム状支持体とを組み合わせても構成することができ
る。
この組合せ物の製法について説明すると、この組合せ物
は、前記のようにしてフイルム状付着体を製造し、これ
を、熱圧着,接着剤使用等の通常の方法で、別個に用意
した柔軟なフイルム状支持体に貼り合わせることにより
製造でき、またシート状付着体の製造に使用する配合物
を柔軟なフイルム状支持体の上に流延し、フイルム状付
着体の製造と柔軟なフイルム状支持体との貼り合わせを
同様に行うことによつても製造することができる。後者
のようにするときには熱圧着,接着作業が不要になり製
造の簡易化を実現しうるという利点がある。
上記柔軟なフイルム状支持体としては、実質的に水不透
過性のものを用いることが好ましい。その代表的なもの
を例示すると、ポリエチレン,酢酸ビニル樹脂,エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体,ポリ塩化ビニル,ポリウレタ
ンなどのプラスチツクフイルム、アルミ箔、すず箔など
の金属箔、布や紙とプラスチツクフイルムとのラミネー
トフイルムなどがあげられる。なかでも、安全性,使用
感の点で、ポリエチレン,酢酸ビニル樹脂,エチレン−
酢酸ビニル共重合体などのプラスチツクフイルムを用い
ることが好ましい。このようなフイルム状支持体は、厚
みが10〜100μmのものを用いることが、取扱い性や使
用時に異物感を与えないという点で好ましく、上記柔軟
なフイルム状支持体とフイルム状付着体との一体化物
は、厚みを30〜150μmの範囲内に規制することが好ま
しい。すなわち、厚みが30μm未満では取扱い性や操作
性が悪くなり、150μmを超えると使用時に異物感を与
える傾向がみられるからである。
上記のようにフイルム状付着体と柔軟なフイルム状支持
体とを一体化して得られる口腔内製剤は、フイルム状付
着体の作用により、口腔内粘膜に対して強力に付着し、
長時間の付着持続力を発現するのであるが、上記柔軟な
フイルム状支持体を一体化していることにより、製剤の
強度が増し使用しやすくなる,フイルム状支持体の作用
により背面に食物等の異物が付着することが防止される
等の効果がさらに得られる。そして、柔軟なフイルム状
体として実質的に水不透過性のものを用いることによ
り、背面からの水分の侵入を防ぎ付着持続時間の延長を
実現できる等の効果がさらに得られるようになるのであ
る。
なお、本発明の口腔内製剤のフイルム状付着体またはフ
イルム状支持体に、その付着性または薬理効果を妨げな
い範囲で着色料,香味料,軟化剤などを配合することは
自由である。例えば、上記付着体,支持体ともに無色で
ある場合には、その一方に着色料を配合すると、製剤の
表裏が明確になり使いやすいという利点が得られるよう
になる。
以上のように、本発明に用いるフイルム状支持体は、ポ
リカルボン酸類と酢酸ビニル重合体との相溶物を柔軟な
薄いフイルム状に形成しているため、フイルム状付着体
だけからなるもの、およびこれと柔軟なフイルム状支持
体とを一体化したものの双方とも、柔軟性に富んでいる
のであり、口腔内に貼付すると、口腔内の水分を吸収し
てさらに軟化する。したがつて口腔内のどの部分に対し
ても容易にフイツトし、強力な付着力と長時間の付着持
続力を発現する。この付着力は、水で膨潤させた架橋コ
ラーゲンフイルムを口腔内粘膜の代用にして測定(180
°剥離力)した結果、25〜2000g/25cm幅の値を示す。上
記付着力が25g/2.5cm幅を下回ると口腔内粘膜への長時
間の付着が困難となり、200g/2.5cm幅を上回ると口腔内
粘膜から剥離する際に粘膜に損傷を耐えやすくなる傾向
が認められる。したがつて、これらを勘案すると本発明
品は最適な付着力を発揮するといいうるのである。
ただし、上記付着力は、対象とする被着体の種類によつ
て異なり、粘膜、もしくは外皮,架橋コラーゲンフイル
ム等の粘膜類類似面または歯面に対しては付着力が充分
発現され、その付着力は被着体に本発明品を貼付したの
ち水中に投入しても何ら損なわれるものでない。しか
し、プラスチツク,セロフアン等に対しては殆ど付着力
を発揮せず、仮に付着力を発揮したとしても弱いもので
あり、水中に浸漬すると急速に消滅する。この性質は本
発明品の保管に極めて好都合であり、保管中吸水しても
包装材や保管ケース等に付着しないため特別な防湿包装
をする必要がない。また口腔内製剤を小片に切断して保
管する必要はなく、それをテープ状に形成しロールに巻
き取つた状態でも付着を生じさせることなく保管しうる
のである。また、そのままの裸の状態でも保管しうるの
であるが、汚染の心配がある場合には付着面に紙やプラ
スチツク保護フイルムを貼合わせて保管すればよいので
ある。
とりわけ、中和用の塩類をフイルム状付着体に含有する
本発明品は、口腔内損傷部位等に貼付したときに、損傷
部を溶出ポリカルボン酸類の酸で刺激して悪化させると
いうことのない安全性の高いものである。すなわち、こ
のようなフイルム状付着体から、中和用の塩類を除去し
ても、剃毛したモルモツトの皮膚、家兎の眼粘膜、また
健常人の口腔内粘膜等に対しては支障なく使用でき、刺
激性は殆ど認められない。しかしながら、これを、剃毛
したモルモツトの皮膚に粘着テープを用いて角質層を剥
離して生じさせた損傷皮膚に貼付した場合には、刺激性
が認められる。これに対し中和用の塩類を含有したもの
は上記損傷皮膚に貼付して殆ど刺激性が認められないの
である。なお、正常粘膜に対して刺激性が認められない
のはもちろんである。
さらに、本発明の口腔内製剤は、フイルム状付着体を構
成するポリカルボン酸類が実質的に不溶化されており、
たとえ水中に浸漬しても膨潤するのみで吸水崩壊するよ
うなことは全くなく、高度な耐水性を有している。した
がつて、上記製剤を口腔内粘膜に貼付したときに、長時
間(一般に3,4時間)の付着力を持続するものであり、
1昼夜にわたつて貼付することも可能である。
〔発明の効果〕
本発明の口腔内製剤は、ポリカルボン酸類と酢酸ビニル
重合体との相溶物であつて実質的に水不溶状態になつて
いる薄い柔軟なフイルムを用いて構成されており、この
フイルムの作用により強力な付着力を発現して口腔内粘
膜に強力に付着しその状態を長時間持続する。その結
果、口腔内疾患部位に対する投与薬剤の適正量の吸収や
損傷部位の被覆保護に顕著な効果が得られるようにな
る。しかも、上記口腔内製剤は柔軟であつて使用に際し
て軽く押し付けるだけで口腔内粘膜の膜面に沿つて変形
し付着するものであり、口腔内粘膜のあらゆる個所また
は歯面に貼付可能なものである。
とりわけ、中和用の塩類を含有する本発明の口腔内製剤
は、損傷部位に付着して使用する際に、ポリカルボン酸
類が微量溶出しようとしても、中和されているため、損
傷部位に刺激を与えて悪化させることがなく、安全に使
用できるという極めて実用的な効果を奏する。このよう
に、本発明の口腔内製剤は、口腔内粘膜に強力に付着
し、その状態を長時間持続するため、適用部位に局所性
薬剤を充分投与させることができ、充分な薬理効果を発
揮させることができる。しかも、先に述べたように、本
発明の口腔内製剤は、単に、患部の湿潤面に貼付するだ
けで長時間付着するため、極めて取扱いやすいという利
点を有している。
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。
〔実施例1〕 ポリカルボン酸類としてカルボキシビニルポリマーを用
い、これの5重量部(以下、「部」と略す)と酢酸ビニ
ル樹脂(1500)5部とを両者の共通溶媒であるメタ
ノール90部に投入混合し溶解して均一な溶液をつくり、
これに、溶液中の固形分の5%に相当するメピバカイン
を混合した。つぎに、この溶液を、紙セパレーター上に
流延乾燥し剥離して厚み30μmのフイルム状付着体をつ
くつた。このフイルム状付着体のA値は31.3であり、ま
た、相溶状態の指標となるポリカルボン酸類の溶出率は
9%であつて相溶状態にあることが伺えた。ついで上記
フイルム状付着体を厚み15μmのアルミ箔に熱圧着して
口腔内製剤を得た。
〔比較例1〕 酢酸ビニル樹脂(1500)5部をトルエン20部に溶解
し、これにトルエン不溶性のカルボキシビニルポリマー
粉末5部を添加し充分攪拌混合して均一に分散させ懸濁
液を得、これに上記と同様メピバカインを懸濁液の固形
分の5%相当混合した。つぎに、これを紙セパレーター
上に流延乾燥したのち熱圧着し剥離して厚み30μmのフ
イルム状付着体をつくつた。このもののA値は実施例1
と同様であつたが、ポリカルボン酸類の溶出率は67%で
あつて、カルボキシビニルポリマーと酢酸ビニル樹脂と
は相分離した状態にあることが伺えた。つぎに、上記フ
イルム状付着体を、実施例1と同様、厚み15μmのアル
ミ箔に熱圧着して口腔内製剤を得た。
〔比較例2〕 カルボキシビニルポリマー5部を精製水45部に溶解する
とともに、酢酸ビニル樹脂(1500)5部をトルエン
20部に溶解し、ついで、両液を混合した。つぎに、これ
を小形攪拌機(小形デイスパー)を用い5000rpmで3分
間攪拌して懸濁液を得、これにメピバカイン5%を混合
させた。得られた懸濁液を紙セパレーター上に流延乾燥
し剥離して厚み30μmのフイルム状付着体をつくつた。
このもののA値は実施例1と同様であつたが、ポリカル
ボン酸類の溶出率は79%であつて、カルボキシビニルポ
リマーと酢酸ビニル樹脂とは相分離した状態にあること
が伺えた。つぎに、上記フイルム状付着体を、実施例1
と同様、厚み15μmのアルミ箔に熱圧着して口腔内製剤
を得た。
つぎに、上記実施例および比較例で得られた口腔内製剤
について、そのフイルム状付着体の溶解性,ポリカルボ
ン酸類溶出率を測定した。その結果は第1表のとおりで
あつた。
第1表から明らかのように、実施例1のフイルム状付着
体は、比較例1,2のものとは異なりポリカルボン酸類
と、酢酸ビニル重合体とが良好な相溶状態にあることが
わかる。特にポリカルボン酸類溶出率の測定の結果、比
較例1,2は浸漬後1時間経過するまでに付着性成分であ
るポリカルボン酸類の大半が溶出してしまうのに対し、
実施例1では水中浸漬によりポリカルボン酸類の溶出は
ほとんど生じず、しかも浸漬後1時間経過した状態にお
ける溶出率が9%で、これが4時間経過した時点では12
%であつて僅か3%増加するにすぎない(ただし4h経過
後溶出率は増加せず横ばいとなる)。このことからポリ
カルボン酸類の溶出は、最初の1時間の間に全溶出量の
大半が溶出してしまい溶出がほぼ完了することがわか
る。これを図面に示した。
また、上記実施例および比較例で得られた口腔内製剤に
ついて付着性試験を行うとともに、180°剥離力を測定
した。その結果は第2表のとおりであつた。
第2表から明らかなように、比較例1,2のものは付着性
試験において早期に剥離し、また180°剥離試験におい
ても、水中浸漬30分の段階ではやくも測定不能状態にな
る。これに対して実施例の口腔内製剤は、付着性試験の
成績が極めて優れており、また180°剥離試験において
も、水中4時間浸漬後の剥離力はまだ初期の8割の値を
示し極めて長時間強力な付着力を持続しうることがわか
る。
〔実施例2〕 カルボキシビニルポリマー(CVP)の10%メタノール溶
液と酢酸ビニル樹脂(PVAc2500)の10%メタノール
溶液とを(CVP)/(PVAc)=5/5の割合に混合し、これ
を紙セパレーター上に流延乾燥し剥離して厚み20μmの
フイルム状付着体(A値は第3表参照)をつくつた。つ
ぎに、これを塩化セチルピリジウム2%およびl−メン
トール3%を含有させた酢酸ビニル樹脂(2500)の
50μm厚のフイルムと熱圧着して口腔内製剤を得た。
得られた口腔内製剤について、そのフイルム状付着体の
水中1時間浸漬後のポリカルボン酸の溶出率を実施例1
と同様にして測定するとともに、実施例1と同様にして
付着性試験(水中浸漬時間10分)を行つて付着性を測定
し、また実施例1と同様にして180°剥離力を測定し
た。その結果は第3表のとおりであつた。
〔実施例3〕 メチルビニルエーテル−無水マレイン酸交互共重合体4
部と酢酸ビニル樹脂(1000)6部とを90部のメタノ
ールに溶解し、つぎに、これに、固形分の0.3%に相当
するシコンエキスを添加した。これを紙セパレーター上
に流延し80℃で乾燥し剥離して厚み60μmのフイルム状
付着体を得た。つぎに、これを酢酸ビニル樹脂(20
00)の30μm厚のフイルムと熱圧着して、口腔内製剤を
得た。この場合、A値は23.0であり、また水中1時間浸
漬後における溶出率は12%であつた。
このようにして得られた口腔内製剤を直径10mmの円形に
切り取り、10名のパネラーの口蓋部粘膜に実際に貼付し
剥離するまでの時間を測定した。その結果、平均剥離時
間は4.0時間であつた。
〔実施例4〕 ポリアクリル酸(5000)6部と部分ケン化ポリ酢酸
ビニル(ケン化度:20モル%,1500)14部を80部の
メタノールに溶解し、これに塩酸クロルヘキシジンを固
形分の2%添加した。つぎに、これを紙セパレーター上
に流延し80℃で乾燥し剥離して厚み100μmのフイルム
状付着体のみからなる口腔内製剤を得た。このもののA
値は37.5であり、また水中1時間浸漬後におけるポリカ
ルボン酸類の溶出率は37%であつた。
このようにして得られた口腔内製剤を長径20mm,短径7mm
の長円形に切り取り、10名のパネラーの歯肉部粘膜に貼
付し剥離するまでの時間を測定した。その結果、平均剥
離時間は7.6時間であつた。
〔実施例5〕 カルボキシビニルポリマー4部と酢酸ビニル樹脂(
2000)6部をイソプロパノールに溶解し、これにプレド
ニソロンを固形分の0.2%添加し、さらに、着色剤とし
ての酸化チタン2部を添加して充分に攪拌混合し、これ
を紙セパレーター上に流延し90℃で乾燥し剥離して厚み
40μmのフイルム状付着体を得た。このもののA値は25
であり、また水中1時間浸漬後におけるポリカルボン酸
類の溶出率は6%であつた。他方、酢酸ビニル樹脂(
2000)の20%酢酸エチル溶液100部に食用赤色3号ア
ルミニウムレーキ0.1部を添加し充分に攪拌混合し、こ
れを紙セパレーター上に流延し180℃で乾燥し剥離して
厚み30μmのフイルム状付着体をつくつた。
このようにして得られた口腔内製剤を直径20mmの円形に
切り取り、10名のパネラーの頬粘膜に貼付し剥離するま
での時間を測定した。その結果、平均剥離時間は5.6時
間であつた。
〔実施例6〕 カルボキシビニルポリマー3部とメチルビニルエーテル
無水マレイン酸共重合体2部とポリ酢酸ビニル重合体
(2000)5部を90部のメタノールに溶解し、混合溶
液をつくり、これにアズレンスルホン酸ナトリウムを固
形分の0.5%添加した。つぎに、これを紙セパレーター
上に流延し60℃で乾燥し剥離して厚み20μmのフイルム
状付着体を得た。このもののA値は30.3であり、水中1
時間浸漬後におけるポリカルボン酸類の溶出率は10%で
あつた。
つぎに、上記フイルム状付着体を、フイルム状支持体で
ある厚み30μmのポリ酢酸ビニル(1500)フイルム
に100℃で熱圧着し口腔内製剤を得た。
このようにして得られた口腔内製剤を直径10mmの円形に
切り取り、パネラー10名の歯肉粘膜に貼付し剥離するま
での時間を測定した。その結果、剥離するまでの時間は
平均で5.4時間であつた。
〔実施例7〕 カルボキシビニルポリマー4.7部と酢酸ビニル樹脂(
1500)4.7部とを両者の共通溶媒であるメタノール90
部に投入し、さらにジイソプロパノールアミン0.6部を
投入し混合溶解して均一な溶液をつくり、これにトリア
ムシノロンアセトニドを固形分の0.05%添加した。つぎ
に、この溶媒をポリエチレンラミネート紙の上に流延
し、80℃の乾燥器中で8分間乾燥して厚み30μmのフイ
ルム状付着体をつくつた。このフイルム状付着体のA値
は31であり、また、相溶状態の指標となるポリカルボン
酸類の溶出率は12%であつて相溶状態にあることが伺え
た。ついで上記フイルム状付着体を厚み40μmの酢酸ビ
ニル樹脂(2000)のフイルムと100℃で熱圧着して
口腔内製剤を得た。
〔実施例8〕 トリアムシノロンアセトニドに代えてグリチルリチン酸
ジカリウムを固形分の1.0%添加した。それ以外は実施
例7と同様にして口腔内製剤を得た。
〔実施例9〕 トリアムシノロンアセトニドに代えて、硫酸フラジオマ
イシンを固形分の1.0%および酢酸ヒドロコルチゾンを
固形分の0.5%添加した。それ以外は実施例7と同様に
して口腔内製剤を得た。
〔実施例10〕 トリアムシノロンアセトニドに代えて、アミノ安息香酸
エチルを固形分の10.0%添加した。それ以外は実施例7
と同様にして口腔内製剤を得た。
〔実施例11〕 トリアムシノロンアセトニドに代えて、ニコチン酸トコ
フエロールを固形分の2.0%および塩化セチルピリジニ
ウムを固形分の0.2%添加した。それ以外は実施例7と
同様にして口腔内製剤を得た。
〔比較例3〕 酢酸ビニル樹脂(1500)4.7部およびジイソプロパ
ノールアミン0.6部をトルエン30部に溶解し、これにト
ルエン不溶性のカルボキシビニルポリマー粉末5部を添
加し充分攪拌混合して均一に分散させ懸濁液をつくり、
これにトリアムシノロンアセトニドを固形分の0.05%添
加した。つぎに、これをポリエチレンラミネート紙の上
に流延し、100℃の乾燥器中で10分間乾燥して厚み40μ
mのフイルム状付着体をつくつた。このもののA値は実
施例7と同様であつたが、相溶状態の指標となる溶出率
は72%であり、カルボキシビニルポリマーと酢酸ビニル
樹脂とは相分離した状態にあることが伺えた。つぎに、
上記フイルム状付着体を、実施例7と同様、厚み40μm
の酢酸ビニル樹脂フイルムに100℃で熱圧着して口腔内
製剤を得た。
〔比較例4〕 カルボキシビニルポリマー4.7部およびジイソプロパノ
ールアミン0.6部を精製水4.5部に溶解するとともに、酢
酸ビニル樹脂(1500)4.7部をトルエン30部に溶解
し、ついで、両液を混合し、これにトリアムシノロンア
セトニドを固形分の0.05%添加した。つぎに、これを小
形攪拌機(小形デイスパー)を用い5000rpmで5分間攪
拌して懸濁液を得た。得られた懸濁液を、ポリエチレン
ラミネート紙の上に流延し、100℃の乾燥器中で10分間
乾燥し剥離して厚み40μmのフイルム状付着体をつくつ
た。このもののA値は実施例7と同様であつたが、相溶
状態の指標となる溶出率は77%であり、カルボキシビニ
ルポリマーと酢酸ビニル樹脂とは相分離した状態にある
ことが伺えた。つぎに、上記フイルム状付着体を、実施
例7と同様、厚み40μmの酢酸ビニル樹脂フイルムに10
0℃で熱圧着して口腔内製剤を得た。
つぎに、上記実施例7および比較例3,4で得られた口腔
内製剤について、口腔内製剤の付着性,180°剥離力を測
定し、また実用試験を行つた。その結果は第4表のとお
りであつた。
第4表から明らかのように、実施例7のフイルム状付着
体は、比較例3,4のものとは異なりポリカルボン酸類
と、酢酸ビニル重合体とが良好な相溶状態にあることが
わかる。すなわち、比較例3,4のものは付着性試験にお
いて早期に剥離し、180°剥離力試験においても、水中
浸漬10分ではやくも付着力が激減する。実用化試験でも
早期に剥離する。これに対して実施例の口腔内製剤は、
付着性試験の成績が極めて優れており、また180°剥離
力試験においても、実用化試験においても優れた成績を
示し、長時間強力な付着力を持続しうることがわかる。
つぎに、中和用の塩類を含有する本発明の口腔内製剤の
高い安全性を明らかにするために、ジイソプロパノール
アミンを含まないフイルム状付着体を有する参考実施例
品を下記のようにしてつくつた。
カルボキシビニルポリマー 5.0部 酢酸ビニル樹脂(2000) 5.0部 メタノール 90.0部 上記の原料を攪拌混合し、均一な溶液をつくり、これに
アミノ安息香酸エチルを固形分の10%添加した。この溶
液を、ポリエチレンラミネート紙の上に流延し80℃の乾
燥中で8分間乾燥して厚み40μmのフイルム状付着体を
得た。これを40μmの酢酸ビニル樹脂(2000)フイ
ルムに100℃で熱圧着し口腔内製剤を得た。
実施例10で得られた口腔内製剤を上記のようにして得ら
れた参考実施例の口腔内製剤と対比してモルモツトの正
常皮膚および損傷皮膚に対する刺激性をつぎのようにし
て調べた。
Hartley系モルモツト雌(体重300g〜400g)の背部を電
動バリカンと電動シエーバーを用いて除毛し、正常皮膚
を露呈させた。また、正常皮膚に対して粘着テープの貼
付と剥離を7回繰返し角質層を除去し損傷皮膚を生成し
た。
つぎに、直径10mmの円形に切り取り水に浸したサンプル
を正常皮膚および損傷皮膚にそれぞれ貼付し、その上か
らカツト綿で被覆し、さらに粘着テープで被覆して閉塞
貼付行つた。貼付後6時間経過後サンプルを除去し、除
去1時間後と24時間後に刺激性の判定を行つた。
刺激性の判定は、以下の基準に従い4段階による判定を
行つた。
−:変化なし ……0 ±:軽度の紅斑 ……0.5 +:中程度の紅斑 ……1 ++:強度の紅斑・浮腫 ……2 そして、それぞれの段階に0、0.5、1、2の数値を割
り当て、これを平均して刺激性を求めた。その結果は第
5表のとおりであり、正常皮膚に対する貼付では差がな
いが、損傷皮膚に対する貼付では、実施例10品は正常皮
膚に対する貼付とほぼ同様、刺激を与えず安全であるこ
とがわかる。
〔実施例12〕 カルボキシビニルポリマー 8.0部 酢酸ビニル樹脂(1500) 2.0部 ZnO 3.6部 メタノール 26.4部 各原料を上記のように配合し、これを混練して均一な配
合物をつくり、これに塩酸テトラサイクリンを固形分の
3%添加した。この配合ぶうをポリエチレンラミネート
紙の上に流延し、70℃の乾燥器中で15分間乾燥して厚み
20μmのフイルム状付着体を得た。このもののA値は50
であつた。つぎに、これを、30μm厚の、酢酸ビニル樹
脂(800)・ポリブテン混合物(95:5)のフイルム
に100℃で熱圧着し口腔内製剤を得た。
このサンプルについて、実施例7と同じ方法で付着力測
定,実用試験(付着時間)を行うとともに、実施例10と
同じ方法で損傷皮膚に対する刺激性試験を行つた。測定
値はそれぞれ下記のとおりであり良好であつた。
付 着 力 60g/2.5cm幅 付着時間 186分 刺 激 値 0.6 〔実施例13〕 塩酸テトラサイクリンに代えて塩化ストロンチウムを固
形分の5%添加した。それ以外は実施例12と同様にして
口腔内製剤を得た。
〔実施例14〕 塩酸テトラサイクリンに代えてトラネキサム酸を固形分
の0.1%添加した。それ以外は実施例12と同様にして口
腔内製剤を得た。
上記実施例13および14で得られた口腔内製剤も実施例12
で得られた口腔内製剤と同様、付着力測定,実用試験
(付着時間),損傷皮膚に対する刺激性試験に関して良
好な性能を示した。
〔実施例15〕 カルボキシビニルポリマー 3.4部 酢酸ビニル樹脂(1000) 8.4部 クエン酸3Na 0.2部 メタノール 71.0部 精 製 水 17.0部 各原料を上記のように配合し、これを混合して均一な溶
液をつくり、これにデキサメタゾンを固形分の0.1%添
加した。この溶液をポリエチレンテレフタレートフイル
ムの上に流延し、80℃乾燥器中で15分間乾燥して厚み60
μmのフイルム状付着体を得た。このもののA値は18で
あつた。つぎに、これを、9μm厚の、アルミ箔に100
℃で熱圧着し口腔内製剤を得た。
このものについて、実施例12と同じ方法で、付着力測
定,実用試験(付着時間),損傷皮膚に対する刺激性試
験を行つた。測定値はそれぞれ下記のとおりであり良好
であつた。
付 着 力 25g/2.5cm幅 付着時間 258分 刺激値 0.3 〔実施例16〕 デキサメタゾンに代えて、フツ化ナトリウムを固形分の
5%添加した。それ以外は実施例15と同様にして口腔内
製剤を得た。
〔実施例17〕 デキサメタゾンに代えて、塩化リゾチームを固形分の0.
5%添加した。それ以外は実施例15と同様にして口腔内
製剤を得た。ただし、乾燥は常温,減圧下1時間行つ
た。
上記実施例16および17で得られた口腔内製剤も、付着力
測定,実用試験(付着時間),損傷皮膚に対する刺激性
試験結果は、実施例15のものとほぼ同様の優れた結果が
得られた。
〔実施例18〕 ポリアクリル酸 7.0部 20モル%ケン化ポリ酢酸ビニル 3.0部 ZnO 0.8部 メタノール 89.2部 各原料を上記のように配合し、これを混合して均一な溶
液をつくり、これにリドカインを固形分の5%添加し
た。この溶液を、エチレン−酢酸ビニル共重合体(酢ビ
含有量28%)のフイルム(厚み60μm)に流延し、80℃
の乾燥器中で10分間乾燥し、上記フイルムと一体化して
口腔内製剤を得た。このもののA値は44であつた。
このものについて、実施例12と同じ方法で、付着力測
定,実用試験(付着時間),損傷皮膚に対する刺激性試
験を行つた。測定値はそれぞれ下記のとおりであり良好
であつた。
付 着 力 70g/2.5cm幅 付着時間 166分 刺激値 0.5 〔実施例19〕 カルボキシビニルポリマー 4.0部 酢酸ビニル樹脂(2000) 6.0部 ジイソプロパノールアミン 0.7部 ZnO 1.4部 メタノール 87.9部 各原料を上記のように配合し、これを混合して均一な溶
液をつくり、これに乳酸アルミニウムを固形分の5%添
加した。この溶液をポリエチレンテレフタレートフイル
ムの上に流延し、80℃の乾燥器中で15分間乾燥し、厚み
60μmのフイルム状付着体を得た。このもののA値は25
であつた。
酢酸ビニル樹脂(2000) 80.0部 チタン白 19.5部 食用色素アルミニウムレーキ赤色3号 0.5部 他方、上記組成の配合物からなる厚み30μmの混合物フ
イルムを準備し、これと上記フイルム状付着体を100℃
で熱圧着し口腔内製剤を得た。
このものについて、実施例12と同じ方法で、付着力測
定、実用試験(付着時間),損傷皮膚に対する刺激性試
験を行つた。測定値はそれぞれ下記のとおりであり良好
であつた。
付 着 力 35g/2.5cm幅 付着時間 300分以上 刺 激 値 0.4 〔実施例20〕 カルボキシビニルポリマー 3.0部 メチルビニルエーテル−無水マレイン酸交互共重合体2.
0部 酢酸ビイニル樹脂(1500) 4.3部 トリエタノールアミン 0.7部 メタノール 80.0部 精 製 水 10.0部 各原料を上記のように配合し、これを混合して均一な溶
液をつくり、これに塩酸ジブカインを固形分の0.5%添
加した。この溶液を、ポリエチレンラミネート紙の上に
流延し、80℃の乾燥器中で10分間乾燥し厚み30μmのフ
イルム状付着体を得た。このもののA値は33であつた。
つぎに、これを塩酸ジブカインを0.5%含有する厚み30
μmの酢酸ビニル樹脂(1500)のフイルムに100℃
で熱圧着し口腔内製剤を得た。
このものについて、実施例12と同じ方法で、付着力測
定,実用試験(付着時間),損傷皮膚に対する刺激性試
験を行つた。測定値はそれぞれ下記のとおりであり良好
であつた。
付 着 力 42g/2.5cm幅 付着時間 190分 刺激値 0.4 〔実施例21〕 塩酸ジブカインに代えて、塩酸デカリニウムを固形分の
2%添加した。そして、フイルム状支持体としての酢酸
ビニル樹脂フイルムとして、塩酸デカリニウムを全体の
20%含有したものを用いた。それ以外は実施例20と同様
にして口腔内製剤を得た。
〔実施例22〕 塩酸ジブカインに代えて、1α,24(R)−(OH)2−ビタ
ミンD3を固形分の0.005%添加した。そして、フイルム
状付着体の厚みを40μmに増加すると同時に、フイルム
状付着体の支持体としての酢酸ビニル樹脂フイルムとし
て、局所性薬剤を含有しない厚み30μmのものを用い
た。それ以外は実施例20と同様にして口腔内製剤を得
た。
〔実施例23〕 1α,24(R)−(OH)2−ビタミンD3に代えて、1α,
(OH)−ビタミンD3を固形分の0.005%添加した。それ
以外は実施例22と同様にして口腔内製剤を得た。
〔実施例24〕 実施例22のビタミンD3に代えてカルシトリオールを固形
分の0.001%添加した。それ以外は実施例22と同様にし
て口腔内製剤を得た。
上記実施例21〜24で得られた口腔内製剤の付着力,実用
試験(付着時間),損傷皮膚に対する刺激試験の結果
は、実施例20のものと殆ど同じであり良好であつた。
つぎに、上記実施例1〜24で得られた口腔内製剤の効果
について代表的なものをとりあげて説明する。
〔症例1〕…口内炎に対する効果 初診時、頬粘膜に直径5mmの口内炎を有する患者(50
才,女性)に実施例7で作製した口腔内製剤を1日3回
貼付したところ、3日目で症状は消退した。
〔症例2〕…ブラツシングによる擦過傷に対する効果 歯肉に歯ブラシでのブラツシングによる損傷を有する患
者(8才,女性)に実施例8で作製した口腔内製剤を1
日3回貼付し、あわせてブラツシング指導を行つたとこ
ろ、2日目で症状は消退した。
〔症例3〕…口臭に対する効果 口臭を主訴して来院した患者(21才,女性)に実施例2
で作製した口腔内製剤を下顎歯頸部に1日2回貼付する
ように指示し、10枚投薬したところ、1週間後の再診時
には自覚症状はなかつた。
〔症例4〕…感染予防に対する効果 深い歯周ポケツトを有する成人性歯周炎患者(39才,男
性)の にフラツプオペレイシヨン(Flap Operation)を行い、
実施例9で作製した口腔内製剤を貼付し、その上にパツ
ク剤を施した。
3日後にパツク剤をを除去したところ、肉芽形成は正常
であつたので、さらに本口腔内製剤のみを1日2回、4
日間投薬したところ、予後は良好であつた。
〔症例5〕…歯槽膿漏に対する効果 深い歯周ポケツトを有する成人性歯周炎患者(45才,男
性)の に実施例11で作製した口腔内製剤を1日1回、4週間貼
付した。なお、 は対照として何も投薬しなかつた。その結果、実施例で
は歯肉炎症指数(Gingival Index)が2から1に、歯周
ポケツトの深さ(Pocket Depth)が5.5mmから4.0mmに顕
著に改善された。一方、対照側ではほとんど改善が認め
られなかつた。
〔症例6〕…知覚過敏症に対する効果 に激しい疼痛を伴う知覚過敏を主訴として来院した患者
(36才,女性)に実施例13で作製した口腔内製剤を1日
2回患部に貼付するように指示し、30枚投薬した。
3週間後に再診したところ、症状は完全に治癒してい
た。
〔症例7〕…局所麻酔効果(Local Ansthetic Effect) 増殖性歯肉炎(Proliferative gingivitis)の患者(41
才,女性)に実施例18で作製した口腔内製剤を、手術前
に歯肉(gingiva)に貼付した。その後、歯肉切除手術
(Gingivectomy)を行つたところ、術中に痛みはなく、
貼付部以外にしびれもなかつた。また、予後は良好であ
つた。
【図面の簡単な説明】
図面は(溶出量)/(全溶出量)特性曲線図である。
フロントページの続き (72)発明者 津吉 俊 大阪府高槻市朝日町3番1号 サンスター 株式会社内 (72)発明者 堀内 哲夫 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電気工業株式会社内 (72)発明者 井上 祐一 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電気工業株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】局所性薬剤を含有するフイルム状付着体単
    独からなる製剤、もしくはフイルム状付着体と柔軟なフ
    イルム状支持体との一体化物からなり、上記フイルム状
    付着体およびフイルム状支持体の少なくとも一方に局所
    性薬剤を含有する製剤であつて、上記フイルム状付着体
    がポリカルボン酸およびポリ無水カルボン酸の少なくと
    も一方と酢酸ビニル重合体とが相溶状態になつている柔
    軟なフイルム状体によつて構成されていることを特徴と
    する口腔内製剤。
  2. 【請求項2】ポリカルボン酸およびポリ無水カルボン酸
    の少なくとも一方と酢酸ビニル重合体との混合比率が下
    記式 において15〜45の範囲である特許請求の範囲第1項記載
    の口腔内製剤。
  3. 【請求項3】柔軟なフイルム状体がポリカルボン酸およ
    びポリ無水カルボン酸の少なくとも一方と酢酸ビニル重
    合体を、共通溶媒下で溶解せしめて相溶状態となしたフ
    イルムである特許請求の範囲第1項記載の口腔内製剤。
  4. 【請求項4】局所性薬剤を含有するフイルム状付着体単
    独からなる製剤、もしくはフイルム状付着体と柔軟なフ
    イルム状支持体との一体化物からなり、上記フイルム状
    付着体およびフイルム状支持体の少なくとも一方に局所
    性薬剤を含有する製剤であつて、上記フイルム状付着体
    がポリカルボン酸およびポリ無水カルボン酸の少なくと
    も一方と酢酸ビニル重合体とが相溶状態になつており、
    かつ上記ポリカルボン酸ないしポリ無水カルボン酸に対
    して中和作用を有する塩類が含有されている柔軟なフイ
    ルム状体によつて構成されていることを特徴とする口腔
    内製剤。
  5. 【請求項5】ポリカルボン酸およびポリ無水カルボン酸
    の少なくとも一方と酢酸ビニル重合体との混合比率が下
    記式 において15〜45の範囲である特許請求の範囲第4項記載
    の口腔内製剤。
  6. 【請求項6】塩類が、塩および塩基の少なくとも一方で
    ある特許請求の範囲第4項記載の口腔内製剤。
  7. 【請求項7】柔軟なフイルム状体がポリカルボン酸およ
    びポリ無水カルボン酸の少なくとも一方と酢酸ビニル重
    合体を、共通溶媒下で溶解せしめて相溶状態となしたフ
    イルムである特許請求の範囲第4項記載の口腔内製剤。
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