JPH068587U - 化粧板 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 住宅の床張り等に用いられる化粧板で、施工
時に雌実内部に接着剤を注入する作業を省略する。 【構成】 化粧が施された木質基板の相対する周縁部に
雄実と雌実の接合用加工が施された化粧板において、雌
実内部に接着剤が充填された複数個のカプセルが所定間
隔に埋め込まれた化粧板。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、住宅の床張りなどに用いられる化粧板に関する。

【０００２】

【従来技術】

従来、一般住宅、集合住宅の床張りに用いられる木質床材は、その周縁部が互 いに嵌着できるように雄実、雌実が加工されており、施工は床材同志を嵌着する さいに、あらかじめ雌実内部全体に木工用接着剤を流し込んでおいて、雄実を順 次嵌着させながら根太やコンクリート上にフロアーネイルと接着剤で固着してい く方法で施工されていた。

【０００３】 しかしながら、従来の施工方法では、嵌着にあたっての各雌実内部への接着剤 の注入作業は、嵌着直前に施工現場で行う必要があり、手間を要すため作業効率 が悪かった。また、各雌実内部に接着剤を注入するさいに、表面化粧を施した床 材の表面に接着剤が付着することがあり、あるいは、その接着剤を注入した床材 を嵌着したさい、注入した接着剤の量が多いと継ぎ目部分から接着剤がはみ出し てしまい、その都度、ウエス等で拭き取らなければならず、拭き取ったあとのは み出した部分が他の部分より艶が劣り仕上がりが悪くなっていた。

【０００４】 さらには、各雌実内部へ注入する接着剤は常に一定の量であることが好ましく 、部分的に接着剤の量が異なると、養生後、実同志が完全に密着している部分と 密着していない部分とができ、床の上を歩くと完全に密着していない部分の実が 擦れ合い、踏み鳴りが発生していた。

【０００５】

【考案が解決しようとする課題】

そこで本考案は、施工のさいに非常に面倒であった雌実内部への接着剤の注入 作業を必要としない化粧板の構成を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

以上の課題を解決するために、化粧が施された木質基板の相対する周縁部に雄 実、雌実が加工された化粧板において、雌実内部に接着剤が充填された複数個の カプセルが埋め込まれた化粧板を要旨とするものである。

【０００７】 以下、構成等について詳述する。

【０００８】 本考案における化粧板は、合板、ＭＤＦ、パーティクルボード、ウエハーボー ド、ＯＳＢ等を単体、または複合された厚さ９〜１５ｍｍの木質基板の表面に、 厚さ０．３〜３ｍｍの化粧単板、化粧紙、合成樹脂フィルム等を貼着した化粧基 板、あるいは板状に切削した厚さ９〜１５ｍｍの無垢材の表面を着色、または透 明塗装をし、相対する周縁部に雄実、雌実がそれぞれ加工されたものである。

【０００９】 雌実内部全体に所定間隔に接着剤が充填された複数個のカプセルが埋め込まれ ているのは、根太やコンクリート等の下地に固着するさいにフロアーネイルを打 ち込む隙間確保のためである。

【００１０】 接着剤が充填されたカプセルは、アクリル系、ビニル系、ゴム系等の接着剤を ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム等を 単層、または複合された厚さ０．００４〜０．２５ｍｍの合成樹脂フィルムで覆 ったものである。

【００１１】 接着剤が充填されたカプセルの作成方法は、鉄材等で製作された凸部と凹部が それぞれ嵌入できる形状を有する雄型、雌型をホットプレス等に取り付け、まず 、雌型上面に熱可塑性合成樹脂フィルムを載置し、その上面から雄型の凸部を雌 型の凹部に嵌入押圧し、雌型の凹部の形状に熱可塑性合成樹脂フィルムを形成す る。つぎに、雌型上面全面に接着剤を塗布後、ナイフコーター等で熱可塑性合成 樹脂フィルム凹部に接着剤を充填する。ついで、カプセルを形成するため接着剤 を充填した雌型上面に熱可塑性合成樹脂フィルムを熱融着させ、充填したカプセ ルの周辺部を打ち抜き機等で切り離す方法等で作成する。

【００１２】 接着剤が充填されたカプセルは、通常は破損することはないが、床材を施工す るために雄実と雌実を嵌着させたときに雄実の先端部の押圧により適当に破損し 、雌実内部全体に接着剤が行きわたることが必要である。接着剤が充填されたカ プセルの大きさは、雌実内部から容易に取れないよう雌実の高さより若干大きめ にする。また、形状はカプセル作成時の雄型と雌型の凹凸部の形状により任意に できるが、一般的には弾丸状が好ましい。

【００１３】 雌実内部に埋め込まれる数は床材の雌実の長さによって決定され、接着剤は雌 実内部全体に行きわたり、かつ継ぎ目部分から漏れない程度の充填量を考慮し、 ３０ｃｍにつき８〜１０個程度埋める。

【００１４】

【作用】

本考案の化粧板において、あらかじめ雌実内部に複数個の接着剤充填カプセル を所定間隔に埋め込んでおくのは、化粧板の実部を互いに嵌着させたときに、雌 実内部で接着剤が充填されたカプセルが雄実の先端部により押圧されて潰され、 中の接着剤が雌実内部全体に行きわたるようにするためである。

【００１５】 図１はこの考案の化粧板を示す平面図、正面図、図２はその化粧板同志の嵌着 時を示している。１、１’は化粧板であり、２は雌実、３は雄実、４は接着剤が 充填されたカプセル、５は接着剤、６は下地、７はフロアーネイルである。

【００１６】

【実施例】

厚さ１２ｍｍの５プライ合板を基板とし、表面に０．３ｍｍのナラ化粧単板を 接着剤を介して貼着し、ギャングソー、サイザー等の切断機で幅１０１ｍｍ、長 さ９０９ｍｍに切断し、相対する周縁部をテノーナー等の切削機で雄実３と雌実 ２を形成した。ついで、その化粧板の表面をロールコーター等の塗布機で着色ワ イピング塗装をし、その上面をカーテン・フローコーター等の塗布機で透明ウレ タン樹脂塗料を塗装して化粧板１を作成した。

【００１７】 上記化粧板１の雌実２内部に埋め込まれる接着剤が充填されたカプセル４には 、厚さが０．０８ｍｍのポリエチレンフィルムを用いた。大きさは雌実２奥部よ り直径１ｍｍ程度大きめで、形状は弾丸状とした。埋め込まれる数は、雌実２の サイド側が２４個、エンド側が３個、フロアーネイル７を打ち込み隙間を考慮し て約３ｍｍ間隔に埋めた。

【００１８】 施工に当たっては図２のように、まず最初に、下地６上に雌実２内部に接着剤 が充填されたカプセル４が埋め込まれた化粧板１をフロアーネイル７と接着剤で 固着した。ついで、次に嵌着する化粧板１’の雄実３の先端部を固着済の化粧板 １の雌実２内部に嵌入させ、当木とハンマー等で化粧板１の雌実２側からたたき 込んだ。これにより、化粧板１の雌実２内部の接着剤が充填されたカプセル４は 化粧板１’の雄実３の先端部の押圧により潰され、中の接着剤５が流れ出て実同 志の隙間に行き渡り双方が接着される。この作業を順次続け、床全体を張りあげ た。このような形態を採用したので、雌実２内部への接着剤５注入作業は省略で き、大幅な施工時間の短縮につながった。

【００１９】

【考案の効果】

以上詳述した通り、本考案は、雌実内部に接着剤が充填された複数個のカプセ ルを所定間隔に埋め込むことによって、化粧板の実部を嵌着したさいに雌実内部 の接着剤が充填されたカプセルが雄実の先端部の押圧により潰されて、カプセル 内の接着剤が雌実内部全体に行きわたり床材双方が接着される。それにより従来 、施工直前に雌実内部全体に接着剤を注入していた作業を省略することができ、 施工の簡易化につながる。

【００２０】 また、カプセル内の接着剤の量をあらかじめ調整できるから、嵌着したさいに 継ぎ目から接着剤がはみ出すことがなく化粧面へのしみ出しによる艶の違いが生 じないので仕上がりが美麗である。さらには、接着剤が充填されたカプセルは雌 実内部全体にまんべんなく適量に接着剤が行き渡るよう考慮して埋め込んでいる ため、養生後、床としてその上を歩いてもすべての実部同志は完全に密着してお り踏み鳴りも防止することができる。

【００２１】

【図面の簡単な説明】

【図１】図１は、本考案の実施例になる化粧板の平面
図、正面図、側面図。

【図２】図２は、その化粧板のＡ−Ａ’断面から見た施
工時の嵌着工程図。

【符号の説明】

１ 化粧板 １’ 化粧板 ２ 雌実 ３ 雄実 ４ 接着剤が充填されたカプセル ５ 接着剤 ６ 下地 ７ フロアーネイル

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 化粧が施された木質基板の相対する周縁
   部に雄実、雌実が施された化粧板において、雌実内部に
   接着剤が充填された複数個のカプセルが所定間隔に埋め
   込まれたことを特徴とする化粧板。