JPH0684880B2 - 金属燃焼器の噴射ノズル保護装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、水中航走体の推進用等の金属燃焼器の噴射ノ
ズル保護装置に関する。

〔従来の技術〕 従来、水中航走体に用いられるアルカリ金属燃料〔例え
ばリチウム（Li）〕と六弗化硫黄（SF₆）の反応熱を利
用する金属燃焼器は、第２図に示すように、円筒状に密
に巻かれ同軸に配置された内外のボイラチューブ1a,1b
間の空間に、リチウム２を収容し、同リチウム２に埋め
込まれた予熱剤３及び金属燃焼器の両側を覆うステンレ
ス製のフランジ８の面に設けられたSF₆噴射ノズル４を
備えている。

この金属燃焼器では、発熱源であるリチウム２の燃焼は
以下の通り行なわれる。

即ち、第２図おいて、 （１） ボイラチューブ1a,1b内に貯蔵されているリチ
ウム２（常温にて固体）を予熱剤３にて加熱溶融させ
る。

（２） SF₆噴射ノズル４より予熱剤３の点火と前後の
タイミングにてSF₆ガスを噴射させ、リチウムとSF₆の化
学反応（燃焼）させ、その発生熱が熱源となる。

ここで、リチウム２をボイラチューブ1a,1b間に充填す
る方法は、ボイラチューブ1a,1bのＢ側を下側（Ｂ側のS
F₆噴射ノズルはダミー盲ノズルを使用）にして、Ａ側の
SF₆噴射ノズル４をはずし、溶融させたリチウムを流し
込む方法を採用している。そのため、冷却後（常温に
て）リチウムは、第２図に示すように、ボイラチューブ
1a,1bのＡ側は空間が存在することになる。

なお、この空間は、予熱剤２の点火時に発生するガスの
しめる空間（ボイラチューブ1a,1bの内圧に対する強度
により定まる）に割り当てられる。

上記の金属燃焼器では、予熱剤３の点火時に飛び散るリ
チウム２がＡ側のSF₆噴射ノズル４の穴につまるおそれ
がある。リチウム２がＡ側のノズル４の穴につまると、
初期SF₆噴射流量が設定値より低下するという不具合が
生ずる（なお、反対側であるＢ側はリチウム層があるた
めSF₆ノズルのつまりは生じない）。

そのため、従来は、第２図及び第３図に示すように、ボ
イラチューブ1a,1bのＡ側ステンレス製のフランジ８に
ステンレス製の足つきリング５を溶接し、そこに円筒型
リチウム10を打込み、SF₆ノズルの初期つまりを防止す
るようにしていた。

〔発明が解決しようとする問題点〕

上記の従来の技術では、第２図に示すＡ側ステンレス製
のリング５内の円筒型リチウム10は、予熱剤３の点火時
はSF₆ノズルのプロテクトとして作用すると共にSF₆の噴
射の初期にSF₆と反応して溶融し、SF₆噴射を阻害しない
が、ステンレス製のリング５はリチウム燃料とSF₆の反
応中も存在しA,B側SF₆ノズルの噴射の非対称となる。

このことはリチウムとSF₆の反応率低下の一因となり、
水中航走体のエネルギ源として適用した場合、所定のSF
₆量での航走距離が低下することになる。

本発明は、上記従来の技術の問題点を解決しようとする
ものである。

〔問題を解決するための手段〕

本発明の金属燃焼器の噴射ノズル保護装置は、アルカリ
金属を燃料とし、その両側から六弗化硫黄を噴射してア
ルカリ金属と反応させて発熱源とする金属燃焼器におい
て、燃焼器側端のフランジ面とアルカリ金属との間に空
間が形成される一端側のフランジ面に取付けられた六弗
化硫黄の噴射ノズルの先端外周部に胴体に穴明された筒
形の弗素樹脂リングをフランジ面に取り付け、この弗素
樹脂リングの先端部に柱形のアルカリ金属を打込んだ。

〔作用〕

本発明では、六弗化硫黄の噴射ノズルから六弗化硫黄が
噴射されると、六弗化硫黄は柱形リチウムの後端に衝突
すると共に弗素樹脂リングの穴から柱形リチウムの側面
と先端に接触して流れ、柱形のリチウムと弗素樹脂リン
グが同時に短時間に溶融して消失し、以後ボイラチュー
ブ内で両側のアルカリ金属の左右対称噴射（燃焼）が行
なわれる。また、ボイラチューブ内のアルカリ金属の燃
焼に先立つ予熱剤による予熱時には、溶融されて飛び散
るアルカリ金属は上記リングに取付けられた柱状のアル
カリ金属によって六弗化硫黄の噴射ノズルにつまること
が防止される。

〔実施例〕

本発明の一実施例を第１図（ａ），（ｂ）によって説明
する。

本実施例は、第２図及び第３図に示すリチウムを用いる
金属燃焼器を以下説明するように改良したものである。

即ち、円筒形の樹脂リング６の側部の円周部に複数の円
形の穴6aをあけ、その先端に円柱形のリチウム10を打込
み、かつ同リングの後端を第２図のＡ側のフランジ８の
面に溶接されたステンレスリング７に取付ける。上記リ
ング６とステンレスリング７は、第１図（ａ）に示すよ
うに、それぞれの端部の円周上に設けられた環状突起6
b,7aの係合によって機械的に固定されている。４はフラ
ンジ８を貫通しステンレスリング７の内部において燃焼
器内に開口するSF₆ノズルである。

以上の構成をもつ本実施例では、先ず第２図に示す予熱
剤３を点火して内外のボイラチューブ1a,1b内に貯蔵さ
れているリチウム２を加熱溶融させるが、この時に飛び
散るリチウムは、弗素樹脂リング６の先端に打込ました
円柱形リチウム10によってSF₆ノズル４の穴につまるこ
とがない。

また、次いでSF₆ノズル４からSF₆を噴射するとSF₆は同
ノズル４から円柱形リチウム10の後端に衝突すると共
に、円形の穴6aを通って円柱形リチウム10の側面及び先
端にも接触して流れ、同円柱リチウム10が短時間にSF₆
と反応して溶融する。また、円柱形リチウム10の発熱に
よって、同時に弗素樹脂リング６も溶融する。

従って、以後SF₆ノズル４からSF₆が噴射される時には、
SF₆ノズル４まわりにはSF₆噴射を阻害するものが消失
し、第２図のA,B両側から対称的にSF₆が噴射されること
となり、ボイラチューブ1a,1b内に貯蔵されたリチウム
２は右A,B両側より対称にSF₆と反応して燃焼し、反応率
が向上する。

〔発明の効果〕

本発明は、アルカリ金属を燃料として六弗化硫黄をその
両側から噴射して反応させる金属燃焼器において、燃焼
器側端のフランジ面とアルカリ金属との間に空間が形成
される一端側のフランジ面に取付けられた六弗化硫黄の
噴射ノズルの先端外周部に胴体に穴明けされた筒形の弗
素樹脂リングをフランジ面に取付け、このリングの先端
部に柱形アルカリ金属を打込んでいるために、次の効果
を奏することができる。

（１） 予熱剤点火後の溶融して飛び散るアルカリ金属
燃料は、柱状アルカリ金属によって妨げられ、六弗化硫
黄の噴射ノズルにつまることが防止される。

（２） 柱形アルカリ金属及び筒形の弗素樹脂リング
は、六弗化硫黄の噴射の初期に溶融し、以後六弗化硫黄
の噴射時に噴射ノズルのまわりには噴射を阻害するもの
はなく、アルカリ金属は左右対称に燃焼し、反応率を向
上させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示し、同図（ａ）はその縦
断面図、同図（ｂ）はその斜視図、第２図は従来の金属
燃焼器の縦断面図、第３図（ａ）は第２図のＡ部の縦断
面図、第３図（ｂ）は同部の斜視図である。 1a,1b……ボイラチューブ、 ２……リチウム、３……予熱剤、 ４……六弗化硫黄（SF₆）噴射ノズル、 ６……弗素樹脂リング、6a……穴、 ７……ステンレスリング、８……フランジ、 10……円柱形リチウム。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡 敏秋 長崎県長崎市飽の浦町１番１号 三菱重工 業株式会社長崎造船所内 審査官 神崎 潔 (56)参考文献 特開 昭61−200359（ＪＰ，Ａ) 実開 昭59−65736（ＪＰ，Ｕ)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】アルカリ金属を燃料とし、その両側から六
   弗化硫黄を噴射してアルカリ金属と反応させて発熱源と
   する金属燃焼器において、燃焼器側端のフランジ面とア
   ルカリ金属との間に空間が形成される一端側のフランジ
   面に取付けられた六弗化硫黄の噴射ノズルの先端外周部
   に胴体に穴明された筒形の弗素樹脂リングをフランジ面
   に取付け、この弗素樹脂リングの先端部に柱形のアルカ
   リ金属を打込んだことを特徴とする金属燃焼器の噴射ノ
   ズル保護装置。