JPH0681743A - 内燃機関の燃料噴射装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 エンジンの２流体噴射装置において水タンク
の水がなくなったり又は水供給系の故障で燃料弁へ水の
注入が正常に行われなくなったときに、警報を発すると
共に過負荷運転となってエンジントラブルの発生を自動
的に防止する内燃機関の燃料噴射装置を提供するにあ
る。 【構成】 燃料弁内油路に電極３５を設け電圧をかけ、
流れる電流を検知し、水注入時に電流値が規定値以下と
なった際には、警報を発すると共に、燃料噴射ポンプ２
３のラック位置を水を噴射しない場合（図４の破線）ま
で戻すようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は内燃機関特にディーゼル
機関の燃料噴射装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】図５は１個の燃料弁から燃料と水を噴射
する２流体燃料噴射装置の１例を示す構成図である。デ
ィーゼル機関は圧縮比が大きく熱効率が高いことから各
方面の原動機として用いられるが、その排気成分には有
害なＣＯ, ＣＯ₂ , ＨＣ, ＮＯ_X 等を多量に含むことか
ら、これらを低減することが大きな課題となっている。
ここではＮＯ_X の低減に効果のある燃焼室への水噴射を
行なう従来形２流体噴射装置について述べる。図は１つ
の燃料弁１１１により燃料と水を同時に噴射するように
発明されたシステムの１例を示す。

【０００３】図５において１は燃料弁本体、２はノズル
チップ、３は噴口、４は燃料入口金物、５は燃料弁内燃
料油路、６は押え金物内燃料油路、７はノズルチップ内
燃料油路、８は針弁サック部、９は針弁、１０は針弁ば
ね受、１１は針弁ばね、１２は針弁開弁圧調整金物、１
３は水注入金物、１４は注水逆止弁、１５は逆止弁ば
ね、１６は本体内水路、１７は押え金物内水路、１８は
ノズルチップ内水路、２２は燃料供給ポンプ、２３は燃
料噴射ポンプ、２４はバレル、２５はプランジャ、２６
は吐出弁、２７は等圧弁、２８は水タンク、２９は水供
給ポンプ、３０は水供給管、３１は電磁弁、３２は水注
入管、３３は電磁弁３１を制御するコントローラを示
す。

【０００４】次に従来例の作動について説明する。燃料
タンク２１から燃料供給ポンプ２２を介して燃料噴射ポ
ンプ２３に供給された燃料は、プランジャ２５で圧縮さ
れ、高圧となって吐出弁２６を押し開き、噴射管を経て
燃料弁へ送られる。燃料弁内油路５、押え金物内油路
６、ノズルチップ内油路７から針弁サック部８へ導かれ
た高圧の燃料は、針弁ばね１１の力に打ち勝ち針弁９を
押し開け噴孔３から噴射される。この燃料弁１１１では
燃料の外に、燃料の噴射時期以外の時期に水を針弁サッ
ク部８及び、ノズルチップ内油路７に混合させ、燃料と
水を同時に噴射させる。次に水の混入方法について述べ
ると、噴射の終了した針弁サック部８及びそれにつなが
る油路、噴射弁内の水路は燃料噴射ポンプ２３の等圧弁
２７を介して規定された残留圧力Ｐ_R に保持されてい
る。一方タンク２８内の水は、水供給ポンプ２９により
先述の残留圧力Ｐ_R より高い圧力に昇圧されており、燃
料噴射終了後から次の燃料噴射の時期までの間の所定の
時期に電磁弁３１がコントローラを介して開弁される。
また注水される水量は、電磁弁３１により開弁期間を変
えることにより可能である。そのとき適時適量に燃料弁
の針弁サック部８に圧送された水は、燃料噴射ポンプの
等圧弁２７を押し開き、燃料油路７、６、５を逆流して
燃料内に適時注入される。次に燃料噴射ポンプの圧送時
期になると針弁９を押し開け、ノズル噴孔３から噴射さ
れる。しかし該噴射時には逆止弁４は閉じ、燃料が水の
供給系へ逆流しないようになっている。更に、水注入時
には、図４に示すように必要負荷に相当する燃料の噴射
量を確保するため、水を注入するときにはラック駆動装
置３４により、燃料噴射ポンプのラックを注水量だけ押
し込みプランジャ２５の有効ストロークを増大するよう
に制御している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかし前記従来例で
は、次のような欠点がある。水注入運転を続け、水を消
費し切った場合、及び水注入用のポンプ２９あるいは、
電磁弁３１等の水供給系に作動不良が生じた場合等に
は、燃料弁１１１への水の供給が途絶えてしまうが、一
方燃料噴射ポンプ２３のラック位置は、水を注入してい
る位置にコントロールされているため有効ストロークが
大きく、所定の燃料量よりも、水注入分だけ多く（図４
の←→で示す）燃料を多く噴射してしまい、排気黒煙の
悪化等排ガス性能が悪化するだけでなく、高負荷運転時
には、過度の熱負荷によりエンジン自体が損傷を受ける
場合がある。

【０００６】本発明の目的は、２流体噴射装置におい
て、水タンクの水がなくなったり又は水供給系の故障で
燃料弁へ水の注入が正常に行われなくなったときに警報
を発すると共に、過負荷運転となってエンジントラブル
が発生するのを自動的に防止する内燃機関の燃料噴射装
置を提供するにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明に係る内燃機関の
燃料噴射装置は、等圧弁２７を有する燃料噴射ポンプ２
３と、燃料弁への給水を加圧する水供給ポンプ２９と、
該水ポンプ下流の給水路に設置されコントローラ３３を
介して適時開閉される電磁弁３１と、その下流に設けら
れた逆止弁１４とを用い、非燃料噴射時１個の燃料弁１
１１の前記逆止弁下流の水路１６, １８と該水路の下流
側に接続する燃料油路７, ６, ５へ前記等圧弁を押し開
き噴射燃料量に対応した加圧水が注水される水噴射ディ
ーゼル機関において；燃料弁内の燃料油路６に設けられ
た電極３５と、該電極を流れる電流の値が規定値以下と
なったときには前記コントローラを介して警報を発する
警報器３８と、さらに同コントローラを介して燃料噴射
ポンプラック位置を水を噴射しない時の設定位置まで戻
すラック駆動装置３４とを有してなることを特徴として
いる。

【０００８】

【実施例】次に本発明の一実施例について説明する。図
１を参照してまず従来と同様部分の燃料弁の構成につい
て説明する。図において、１１１は燃料弁、１は燃料弁
本体、２はノズルチップ、３は噴口、４は燃料入口金
物、５は本体内燃料油路、６は押え金物内燃料油路、７
はノズルチップ内燃料油路、８は針弁サック部、９は針
弁、１０は針弁ばね受、１１は針弁ばね、１２は開弁圧
力調整金物、１３は水注入金物、１４は注水逆止弁、１
５は逆止弁ばね、１６は本体内水路、１７は押え金物内
水路、１８はノズルチップ内水路であり、ノズルチップ
２内に穿設された燃料油路７と水路１８とは前記針弁サ
ック部８で合流している。

【０００９】次に前述した燃料弁１１１に対する燃料及
び水の供給システムの構成について説明する。燃料供給
システムでは、２１は燃料タンク、２２は燃料供給ポン
プ、２３は燃料噴射ポンプの本体、２４はバレル、２５
はプランジャ、２６は吐出弁、２７は等圧弁であり、燃
料噴射ポンプの吐出弁２６出口と燃料弁側の燃料入口金
物４は燃料噴射管で接続されている。水供給システムで
は、２８は水タンク、２９は水供給ポンプ、３０は水供
給管、３１は電磁弁、３２は水注入管で前記燃料弁側の
水注入金物１３に接続されており、３３はコントローラ
で図示しない機関のクランク軸の回転と同期した信号を
入力して前記電磁弁３１の開弁時期及び開弁期間が制御
される。

【００１０】次に前述した実施例の作用について説明す
る。燃料は燃料タンク２１から燃料供給ポンプ２２によ
り燃料噴射ポンプ２３に供給され、該噴射ポンプのバレ
ル２４内でプランジャ２５により高圧に圧縮され吐出弁
２６から吐出され噴射管を介して燃料弁１１１へ圧送さ
れる。高圧燃料は燃料弁１１１内に穿設された本体内油
路５と押え金物内油路６及びノズルチップ内油路７を経
て針弁サック部８に導かれ、その燃圧による力が針弁ば
ね１１のばね力に打勝つと針弁９が押上げられ噴口３か
ら燃料が噴射される。噴射終了後の針弁サック部８内及
び該部と連通する油路並びに水路は、前記燃料噴射ポン
プの吐出弁２６の側路に設けられた等圧弁２６によって
規定される残留圧力Ｐ_R となっている。

【００１１】次に燃料弁１１１の水の供給及び同燃料弁
内での燃料と水の混合について説明する。ここで示した
燃料弁においては、燃料の噴射時期以外の時期に、針弁
サック部８及びノズルチップ内油路７に水を送出して燃
料と水を混合させて噴射させる。水タンク２８内の水は
水供給ポンプ２９により前記残留圧力Ｐ_R より高圧の給
水圧力Ｐ_S に昇圧されて水供給管３０に吐出されてい
る。コントローラ３３の制御で電磁弁３１が開弁する
と、前述の給水圧力Ｐ_S の水は水注入管３２から水注入
金物１３を経て注水逆止弁１４を開弁して本体内水路１
６へ注入される。この際、注入される水量はコントロー
ラ３３により電磁弁３１の開弁時間を調整することによ
り最適に制御される。前述のようにして針弁サック部８
及びノズルチップ内油路７まで注入された水は前記燃料
油路を逆流し、燃料噴射時期に燃料噴射ポンプ２３から
吐出された燃料の高い燃圧により前記燃料及び水に伝え
られ、針弁９を押上げて噴口３からシリンダ内に噴射さ
れる。この際、注水逆止弁１４は閉弁され、燃料が水の
供給系へ逆流することはない。

【００１２】次に図１〜３を参照し本発明で特に追加さ
れた構成及び作用について説明する。燃料弁のノズルチ
ップ内の燃料油路７内に電極３５が設けられ、この電極
に電源３６と電流計３７が直列に配線され、電極３５を
流れる電流値が電流計３７を介してコントローラ３３に
伝えられる。機関が水注入運転を続け水を消費し切った
場合、又は水注入用ポンプ２９あるいは電磁弁３１等の
水供給系に作動不良が生じた場合には、燃料弁内燃料油
路に注入されるべき水がなくなる場合がある。

【００１３】そこで、ここに電極３５を設け電圧をかけ
ておくと水がある場合には電流が流れるが、水が途切れ
油のみの場合は電流量は小さくなるので、これにより水
注入状態を検知することができる。図１は本発明の全体
構成図を、図２はノズル付近の詳細図を示し、３５は電
極、３６は電源、３７は電流計、３８は警報装置（警告
灯またはブザー）を示す。

【００１４】前記構成において、水注入時には水の給水
圧力Ｐ_S は燃料の残留圧力Ｐ_R より高圧であるため、図
２（ａ）のように燃料路の破線の位置まで水が注入され
る。ところが何らかの要因により水が注入されなかった
場合は燃料油路は図２（ｂ）のように常に燃料のみとな
る。つまり水が注入されなくなると、電圧をかけても電
流はほとんど流れず、これにより水の供給状態をチェッ
クできる。水の供給が行われないと判断したときには、
ラック駆動装置３４により燃料噴射ポンプ２３のラック
位置を水の注入しない場合の位置（図４の破線）まで戻
すと共に、運転者に警告を発する。

【００１５】

【発明の効果】本発明は前記のとおり構成したので２流
体噴射装置において、水が水タンクになくなった場合又
は水供給系の作動不良により燃料弁１１１への水の注入
が正常に行われなくなった場合には警告を発して運転者
に以上のことを知らせると共に、過大な量の燃料の噴射
を自動的に防止することにより安定した良好な低ＮＯ_X
排ガスと低燃費を有する燃焼が得られ、エンジントラブ
ルを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例に関わる燃料噴射装置の構
成図

【図２】本発明の燃料弁ノズルチップ付近の詳細図

【図３】コントローラ３３の作用説明図

【図４】２流体噴射装置の負荷とラック位置の関係図

【図５】従来例の図１応当図

【符号の説明】

２…ノズルチップ、３…噴孔、８…針弁サック部、９…
針弁、３３…コントローラ、３４…ラック駆動装置、３
５…電極、３６…電源、３７…電流計。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中川 洋 長崎県長崎市深堀町５丁目717番１号 三 菱重工業株式会社長崎研究所内

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 等圧弁（２７）を有する燃料噴射ポンプ
   （２３）と、燃料弁への給水を加圧する水供給ポンプ
   （２９）と、該水ポンプ下流の給水路に設置されコント
   ローラ（３３）を介して適時開閉される電磁弁（３１）
   と、その下流に設けられた逆止弁（１４）とを用い、非
   燃料噴射時１個の燃料弁（１１１）の前記逆止弁下流の
   水路（１６）（１８）と該水路の下流側に接続する燃料
   油路（７）（６）（５）へ前記等圧弁を押し開き噴射燃
   料量に対応した加圧水が注水される水噴射ディーゼル機
   関において；燃料弁内の燃料油路（６）に設けられた電
   極（３５）と、該電極を流れる電流の値が規定値以下と
   なったときには前記コントローラを介して警報を発する
   警報器（３８）と、さらに同コントローラを介して燃料
   噴射ポンプラック位置を水を噴射しないときの設定位置
   まで戻すラック駆動装置（３４）とを有してなる内燃機
   関の燃料噴射装置。