JPH0680172B2 - 鉄損の低い方向性けい素鋼板およびその製造方法 - Google Patents

鉄損の低い方向性けい素鋼板およびその製造方法

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JPH0680172B2
JPH0680172B2 JP59099701A JP9970184A JPH0680172B2 JP H0680172 B2 JPH0680172 B2 JP H0680172B2 JP 59099701 A JP59099701 A JP 59099701A JP 9970184 A JP9970184 A JP 9970184A JP H0680172 B2 JPH0680172 B2 JP H0680172B2
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Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 鉄損の低い方向性けい素鋼板およびその製造方法に関し
て、この明細書で述べる技術内容は、最終仕上げ焼鈍後
における2次再結晶粒の粒径さらにはその分布を調整す
ることにより、製品の磁束密度を低下させることなしに
鉄損特性の改善を図ることに関連している。
背景技術 方向性けい素鋼板は主として変圧器でその他の電気機器
の鉄心として利用され、その磁化特性が優れているこ
と、とくに鉄損(W17/50で代表される)が低いことが要
求されている。
このためには、第一に鋼板中の2次再結晶粒の<001>
粒方位を圧延方向に高度に揃えることが必要であり、第
二には、最終製品の鋼中に存在する不純物や析出物をで
きるだけ減少させる必要がある。かかる配慮の下に製造
される方向性けい素鋼板は、今日まで多くの改善努力に
よつて、その鉄損値も年を追つて改善され、最近では板
厚0.30mmの製品でW17/50の値が1.05W/kgの低鉄損のもの
が得られている。
しかし、数年前のエネルギー危機を境にして、電力損失
のより少ない電気機器を求める傾向が一段と強まり、そ
れらの鉄芯材料として、さらに鉄損の低い方向性けい素
鋼板が要請されるようになつている。
従来技術とその問題点 ところで、方向性けい素鋼板の鉄損を下げる手法として
は、Si含有量を高める、製品板厚を薄くする、2次再結
晶粒を細かくする、不純物含有量を低減する、そして
(110)〔001〕方位の2次再結晶粒をより高度に揃える
など、主に冶金学的方法が一般に知られているが、これ
らの手法は、現行の生産手段の上からはもはや限界に達
していて、これ以上の改善は極めて難しく、たとえ多少
の改善が認められたとしても、その努力の割には鉄損改
善の実効は僅かとなるに至つていた。
たとえば2次再結晶粒を(110)〔001〕方位に高度に揃
える方法においては、(110)〔001〕方位への集積度を
極力高めていくと、かかる集積度に依存する磁束密度
(磁化力1000A/mのときの最大磁束密度B10で代表され
る)は向上するけれども、2次再結晶粒が次第に粗大化
していくため、鉄損は逆に劣化していたのである。
ところで鉄損に対する2次再結晶粒の最適粒径について
は、これまでにも種々の研究がなされていて、平均粒径
1mm程度まで粒径を細かくすると効果があること、しか
しながらそれ以上細かくするとかえつて鉄損は劣化する
ことが知られている。
こうした2次再結晶粒の微細化技術としては、たとえば
特公昭54-23647号公報において、鋼板表面に2次再結晶
阻止領域を形成され、2次再結晶粒の成長をかかる阻止
領域で抑止することによつて、実質的に2次再結晶粒を
細粒化させる方法が提案されている。また特開昭54-710
28号公報には、溝付きロールを用いて冷間圧延をするこ
とによつて一次再結晶集合組織を制御し、もつて2次再
結晶粒を細粒化させる手法が開示されている。
しかしながらこれらの方法はいずれも、鋼板全体の2次
再結晶粒を上述した最適粒径である1mm程度の単に近づ
けるための手法であり、従つてかかる手法によつて2次
再結晶粒の細粒化は達成し得たとしても、一方で細粒化
に伴う磁束密度の低下は免れ得ず、このため時としては
鉄損そのものの劣化をも招来していたのである。
その他、方向性けい素鋼の製品板の適正な結晶粒経に関
する研究もなされていて、たとえば特開昭59-23822号公
報には、2次再結晶を完了したあとの鋼板表面の一部に
加工歪を付与してから再度焼鈍を施して、加工歪を加え
た領域に約200μm以下のサイズ(板厚0.40mm以下の場
合)の再結晶粒を配列させることによつて鉄損の低い方
向性けい素鋼板を得る手法が開示されている。
しかしながら上記の手法では、工程が複雑になる欠点に
加え、加工歪の導入によつて再結晶する200μm程度以
下の微細な粒は、本質的には1次再結晶粒であるため、
製品の方位としては好ましい方位である(110)〔001〕
からのずれが大きく、磁束密度の低下が避けられないと
ころにも問題を残していた。
発明の目的 この発明は、上記の問題を有利に解決するもので、磁束
密度を低下させることなしに鉄損特性の有利な改善を実
現した方向性けい素鋼板およびその製造方法を提案する
ことを目的とする。
発明の端緒 この発明は、上記の問題を解決すべく、磁気特性と結晶
粒径との関係につき鋭意研究を重ねた末新たに開発され
たもので、2次再結晶の粒径さらにはその配列に工夫を
加えることによつて所期した目的が有利に達成されるこ
との新規知見に立脚する。
発明の構成 すなわちこの発明は、最終仕上げ焼鈍を経た含けい素鋼
板の2次再結晶粒につき、その粒度分布を、粒径:1.0〜
2.5mmの結晶粒の個数比率が40〜80%,一方粒径:5.0〜1
0.0mmの結晶粒の個数比率が15%以上である混粒分布と
したことを特徴とする鉄損の低い方向性けい素鋼板であ
る。
またこの発明は、含けい素鋼スラブを熱間圧延して得ら
れた熱延板に、1回または中間焼鈍を挾む2回の冷間圧
延を施して最終板厚としたのち、脱炭・1次再結晶焼鈍
を施し、ついで鋼板表面にMgOを主成分とする焼鈍分離
剤を塗布してから最終仕上焼鈍および上塗りコーテイン
グ処理を施す一連の工程よりなる方向性けい素鋼板の製
造方法において、脱炭・1次再結晶焼鈍後、焼鈍分離剤
塗布前の鋼板表面に2次再結晶発現促進剤を離散的に付
着させることにより、2次再結晶粒の粒度分布を、粒
径:1.0〜2.5mmの個数比率が40〜80%、粒径:5.0〜10.0m
mの結晶粒の個数比率が15%以上とすることを特徴とす
る鉄損の低い方向性けい素鋼板の製造方法である。
この発明において、粒径1.0〜2.5mmの結晶粒の形成領域
としては、鋼板の圧延方向にほぼ直角の向きをなす連続
または非連続の帯状領域であつて、しかもその幅が1.0
〜4.0mmでかつ、圧延方向における繰返し間隔が5〜15m
mのものがとりわけ好都合である。
以下この発明の由来するに至つた実験結果に基き、この
発明を具体的に説明する。
さて方向性けい素鋼板の製造過程において、最終板厚に
冷間圧延された鋼板は有害な炭素を取除くため通常脱炭
焼鈍が施される。かかる焼鈍によつて鋼板は、脱炭され
ると同時に再結晶するので脱炭・1次再結晶焼鈍板と呼
ばれる。またこのとき得られる再結晶粒は、多種、多様
の方位からなつていて、正常粒と呼ばれたり、1次再結
晶粒と呼ばれる。ついで後続の2次再結晶焼鈍におい
て、多種、多様の方位の正常粒のなかから(110)〔00
1〕方位の粒が優先的にしかも爆発的に成長し、かくし
て鋼板中のすべての結晶粒が(110)〔001〕方位ないし
はこれに近い方位の粒となる。かかる異常な粒成長現象
は、正常粒つまり1次再結晶粒が再結晶するというい意
味で2次再結晶と呼ばれる。この2次再結晶において、
(110)〔001〕方位に近い粒を優先的に成長させるため
には、それ以外の方位の粒の成長を抑制する必要があ
り、そのために抑制剤と呼ばれる成分が鋼中に添加され
る。かような抑制剤としては、現在、各種硫化物,セレ
ン化物,窒化物,炭化物ならびにB,SbおよびTeなどが知
られている。
ところで抑制剤として添加された成分のうちSやSe,Nな
どが最終製品に残留していると、磁気特性への悪影響が
著しいため、2次再結晶処理に引続き、1200℃程度の高
温H2雰囲気中で焼鈍を施して、上記の如き残留不純物を
鋼中から除去する。それ故かかる焼鈍は純化焼鈍と呼ば
れる。また2次再結晶焼鈍と純化焼鈍とは通常連続して
行なわれるので、両者をまとめて最終仕上げ焼鈍と呼ぶ
こともある。
さて脱炭・1次再結晶焼鈍液の1次再結晶粒の粒径は、
通常20μm程度であるが、引続く2次再結晶焼鈍におい
て上記した抑制剤の抑制効果が不十分な場合には、正常
粒が粒成長を起こす結果、所期した2次再結晶を惹起し
得ず、このため最終仕上げ焼鈍後の鋼板は、数百μm程
度までの大きさのいわゆる正常粒で構成されることにな
り、製品の磁気特性が著しく劣化することになる。
発明者らは、上記のような状況を定量的に把握するた
め、Siを3.2重量%(以下単に%で示す)含有する方向
性けい素鋼板につき、その製造条件を種々に変化させ
て、板厚0.30mmの製品の結晶粒径を意図的に変え、得ら
れた結晶粒の平均粒径と磁気特性(磁束密度B10および
鉄損W17/50)との関係について調査した。その結果第1
図a,bに○印で示す。
第1図から明らかなように、平均結晶粒径の増加ととも
に、B10値は単純に増加するが、鉄損値W17/50は次第に
減少し、粒径1〜3mmで極小値を示したのち再び増加す
る傾向にある。従つて鉄損に対しては、平均粒径でいえ
ば、従来から知られているように1〜3mmが最適値とな
る。
ところで第1図によれば、平均粒径が0.5〜1.0mmの範囲
で、B10値ならびにW17/50値とも急激に変化している
が、この現象は、鋼板を構成する結晶粒につき、平均粒
径0.5〜1.0mmを境として、それより細粒側では正常粒,
一方粗粒側では2次再結晶粒が主体となつていることを
示している。すなわち平均粒径1.0mm以上では、2次再
結晶粒の発現によつて製品の(110)〔001〕方位への集
積度が高まり、B10値の急激な上昇と鉄損の急激な低減
がもたらされるわけである。
次に発明者らは、鋼板における結晶粒の粒度分布とその
配列とについて検討を加えた。実験は、上掲した3.2%S
i含有方向性けい素鋼板を用いて行ない、一つは、特開
昭56-130454号公報に開示された手法に従つて、第1図
中に○印で示した製品板に局部的に歪を加えたのち再焼
鈍を施すことにより、鋼板表面に平均粒径約0.1mmの大
きさの再結晶粒を圧延方向に対して直角方向に配列さ
せ、しかもこの配列を圧延方向に対する繰返しピツチ12
mmの間隔で繰返した。得られた結果を第1図に△印で示
す。また他の一つは、脱炭・1次再結晶焼鈍板の表面に
微細なSrO粉を付着させることによつて、製品板の2次
再結晶組織に粒径1.0〜2.5mmの大きさの2次再結晶粒群
からなる領域を設けた。この領域は、幅約3mmで、圧延
方向に対し直角方向に連続または断続して連なる帯状の
領域であつて、圧延方向に対して間隔を12mmの繰返しピ
ツチをもつ。得られた結果を、第1図に◎印で示す。な
お脱炭・1次再結晶焼鈍板の表面に微細なSrO粉を付着
させることによつて、製品板に粒径1.0〜2.5mmの細かい
2次再結晶粒が形成される理由は、かかるSrO粉に付着
させた個所は2次再結晶焼鈍において、2次再結晶粒の
発現が早められ、しかもその成長速度は大きくないの
で、結果的に細かい2次再結晶粒として鋼板中に残存す
ることになるためと考えられる。そして2次再結晶粒の
成長速度が遅いわけは、その方位が(110)〔001〕方位
から若干ずれているためではないかと推察される。
さて第1図に示した結果から明らかなように、従来法に
従い約100μmの大きさの再結晶粒を鋼板表面に配列さ
せた例(△印)では確かに、平均粒径7〜20mmの範囲に
おいて大きな鉄損低減効果が見られたが、その値は○印
の最適結晶粒径の製品と同程度にすぎず、一方その反面
で磁束密度(B10値)についてはかなりの低下を示し
た。
これに対し、1.0〜2.5mmの細かい2次再結晶群からなる
帯状領域を配置したもの(◎印)は、その鉄損改善効果
は極めて大きく、従来の最良値をさらに凌ぐ成果が得ら
れ、しかも磁束密度(B10値)の低下は図示したとおり
ほとんどなかつた。
すなわち結晶粒径の異なる2次再結晶粒を圧延方向に対
して交互に配列することによつて、磁束密度の劣化を招
くことなしに従来に比べてより一層低鉄損の方向性けい
素鋼板が得られることが判明したのである。ここに磁束
密度の劣化を招かない理由は、鋼板を構成する結晶粒
は、細粒であるとはいうものの、2次再結晶粒であるの
で(110)〔001〕方位からのずれは小さいためであると
考えられる。
第2図a,bに、第1図に◎印で示した製品のうち平均粒
径が3.98mmのものの、結晶粒径の度数分布とマクロ組織
をそれぞれ示す。第2図bにおいてAで示した領域(幅
3mm)では、1.0〜2.5mmの結晶粒の個数が約90%を占
め、一方それ以外のBで示した領域(幅9mm)では粒径
5.0〜7.5mmの結晶粒の個数が約60%を占めていた。なお
領域A,Bを区別しない場合は、粒径1.0〜2.5mmの結晶粒
の個数比率は約60%,5.0〜7.5mmの結晶粒のそれは約17
%であつた。
これに対し、第1図において○印で示した従来材のう
ち、平均粒径が3.89mmの製品について同様の調査を行つ
たところ、結晶粒径の度数分布は第3図aに示したよう
に粒径2.5〜5.0mmの結晶粒が最も多く個数にして全体の
約70%を占めていて、これにより細粒側になるに従い、
また粗粒側になるに従つて数はそれぞれ減少する傾向に
あつた。
このように従来製品では、2次再結晶粒の粒度分布は整
粒分布を呈していたのに対し、この発明に従う製品で
は、2次再結晶粒の粒度分布が混粒分布を呈していると
ころに大きな特徴がある。
ここで結晶粒径および平均粒径の計算方法について述べ
ると、第2および3図においては、どちらの結晶粒も2
次再結晶粒であるので、0.30mmの板厚の製品において
は、結晶粒が板厚を貫通している。したがつて、鋼板の
片面側についてのみ計算すれば十分である。いま、ひと
つの結晶粒の面積をScm2とすると、この結晶粒径Dmmは で計算できる。次に、多結晶粒の平均粒径は総面積をAm
m2とし、そこに含まれる結晶粒の個数をNとした時、平
均粒径mmは で計算される。
なお第2図bに示した領域内での粒度分布の算出方法
は、領域AとBに完全に含まれる粒はそれぞれ領域A,B
に属するとして数え、一方領域AとBにまたがる粒につ
いては、境界線によつて2分割された粒の2つの面積の
うち、大きな面積有する側の領域に属するものとして、
数えた。
次に、鉄損改善効果に関し、2次再結晶粒の粒度分布が
混粒タイプである点と粒径1.0〜2.5mmの2次再結晶粒が
帯状に配列されている点とで、どちらがより本質的であ
るを見極めるべく、以下に述べる実験を行つた。
すなわち脱炭・1次再結晶焼鈍板の表面に、微細粒を得
るべく微細なSrO粉の塗布を行うに際し、該SrO粉を斑点
状に散布し、その後の処理は前述の例と同様にして行な
い製品とした。得られた製品の2次再結晶粒の度数分布
およびマクロ組織を第4図a,bにそれぞれ示す。
第4図bから明らかなように、この製品板では粒径1.0
〜2.5mmの2次再結晶粒の領域が斑点状に点在し、その
粒度分布は1.0〜2.5mmの粒径の個数が一番多くて約64
%、一方5.0〜7.5mmの粒径の個数が二番目に多くて約20
%、そして他のものはいずれも10%以下であつて、前掲
第2図に示した例とほぼ同一の混粒タイプの製品が得ら
れた。
さてここで、上掲した第2〜4図に示した3種類の度数
分布ならびにマクロ組織になる製品板の磁気特性につい
ては、下表1に示したとおりであつた。
表1から明らかなように、微細な2次再結晶群を斑点状
に点在させた場合でも、圧延と直角方向に帯状に分布さ
せた第2図に示した例には及ばないにしても、鉄損低減
に関してかなりの効果があることが判明した。
ここに磁束密度の劣化に伴うことのない鉄損の改善につ
いては、微細な2次再結晶群の配置が本質的要因である
のではなく、その粒度分布に大きな意味があり、たとえ
ば第2図および第4図に示したような混粒タイプにする
ことが重要であることが究明されたのである。
さてこの発明における方向性けい素鋼板の成分について
は、Siを含有することが不可欠であるが、その量が2.0
%未満では鉄損の劣化が著しく、一方4.0%を超えると
冷間加工性が劣化するきらいにあるので、Si含有量は2.
0〜4.0%とするのが望ましい。またその他の成分につい
ては、通常方向性けい素鋼板の成分として用いられるも
のであれば、従来公知のいずれの成分をも使用できる。
また鋼板の板厚は、0.15〜0.5mm程度が好ましい。とい
うのは0.15mm未満では、2次再結晶が困難であり、一方
0.5mmを超えると鉄損の改善効果が乏しく実用的でない
からである。
さらに鋼板を構成する結晶粒は、そのほとんどが粒径1.
0mm以上で、しかも(110)〔001〕方位からのいずれが
小さい2次再結晶粒であることが必要である。粒径が1.
0mmに満たないと(110)〔001〕方位からのずれが大き
く、極端な場合は正常粒のまま残存して鋼板の磁束密度
ひいては鉄損を甚しく害することになるからである。
ここにおいて、鋼板を構成する結晶粒の粒度分布が、混
粒タイプであること、すなわち個数比率にして、1.0〜
2.5mmの粒径の2次再結晶粒が40〜80%好ましくは60〜7
0%でかつ、5.0〜10.0mmの粒径の2次再結晶粒が15%以
上であることが必要とされる。
というのは粒径1.0〜2.5mmの2次再結晶粒の個数比率が
40%未満では鉄損低減効果に乏しく、一方80%を超える
場合や、粒径5.0〜10.0mmの結晶粒の個数比率が15%に
満たない場合には、粗粒側の個数比率が小さくなつて磁
束密度の劣化を招くからである。
なお粒径が2.5mmを超え5.0mm未満の結晶粒の個数比率
は、5.0〜10.0mmの結晶粒のそれよりも小さい方が好ま
しい。
このように混粒タイプの粒度分布とすることによつて、
製品の磁束密度を低下させることなく、鉄損を低減する
ことが可能となるわけであるが、かかる混粒タイプの2
次再結晶組織とするためには、脱炭・1次再結晶焼鈍板
に、2次再結晶焼鈍に先立ち、2次再結晶の発現を促進
するようなものを付着させればよく、かような2次再結
晶発現促進剤としてはSrO粉の他に、MgO3やSnO、SnO2
がとりわけ有利に遊合する。
これらの薬剤により、2次再結晶の発現が促進される理
由は、2次再結晶焼鈍中に、これらの薬剤が、鋼板表層
地鉄中に分散しているSiO2粒子の存在形態を変えるた
め、2次再結晶粒の発現までの時間(潜伏時間と呼ばれ
る)が短縮されるからである。これらの薬剤により、早
期に発現した2次再結晶粒の成長速度は通常の2次再結
晶粒の成長速度に比して小さいため、結果的に1.0〜2.5
mmの細粒として鋼板に残存する。この成長速度が遅い理
由は、その方位が(110)〔001〕方位から若干ずれてい
るためではないかと推察される。
かかる2次再結晶発現促進剤を付着させた領域は、2次
再結晶の発現が早められる結果、1.0〜2.5mm程度の2次
再結晶粒を最終板厚後の鋼板にもたらし、一方2次再結
晶発現促進剤未付着領域では主に5.0〜10.0mmの結晶粒
が発現するので、所期した混粒タイプの2次再結晶組織
が得られることになるのである。
ところで上記した混粒タイプにおいて、1.0〜2.5mmの2
次再結晶粒群は、圧延方向に対し直角方向に帯状にそれ
も繰返して分布させることが、鉄損低減に関し一層の効
果が得られる。このとき粒径1.0〜2.5mmの結晶粒群の帯
状領域は、幅1.0〜4.0mmが好ましく、また繰返し間隔は
5〜15mmが望ましい。
そしてかかる鋼板の表面は、フオルステライト(MgO2Si
O4)からなるグラス被膜を有し、さらにその上には、層
間抵抗などの要請から必要により、上塗りコーテイング
膜をそなえる場合もある。上塗りコーテイング膜には、
通常の絶縁被膜のほか、鋼板に張力を付与するタイプの
コーテイング膜をも含む。
実施例 実施例1 Si:3.2%を含有するけい素鋼板素材を、常法に従つて厚
み0.30mmの冷延鋼板とし、ついで脱炭・1次再結晶焼鈍
したのち鋼板を2分割し、一方はそのままMgOを主成分
とする焼鈍分割剤を塗布し、2次再結晶焼鈍と1200℃,5
時間の純化焼鈍とからなる最終仕上げ焼鈍を施して比較
例とした。また他のひとつは鋼板表面に、平均粒径500
ÅのSrO粉を、付着幅2mmで圧延方向と直角方向に帯状
に、しかも圧延方向において、間隔7mmで繰返し付着さ
せたのち、焼鈍分離剤をその上から塗布してから比較例
と同じ要領で最終仕上げ焼鈍を施して製品とした。
その結果、後者の実施例においては、SrO粉を付着させ
た領域において粒径1.0〜2.5mmの細かい2次再結晶粒が
帯状に出現したが、比較例においては粒径2.5〜5.0mmの
2次再結晶粒が最も多かつた。これらの粒度分布を測定
した結果は、第5図に示したように、比較例では整粒分
布となつたが、実施例では、混粒分布を示し、粒径1.0
〜2.5mmの結晶粒の個数比率は、72.8%,一方5.0〜10.0
mmの粒径の個数比率は15.6%であつた。
そしてこれらの磁気特性は、実施例がB10=1.902T;W17/
50=0.985W/kgであるのに対し、比較例は、B10=1.908
T;W17/50=1.073W/kgであつた。
実施例2 Si:3.2%を含有するけい素鋼素材を、常法に従つて厚み
0.23mmの冷延鋼板としたのち、脱炭・1次再結晶焼鈍を
施し、ついで焼鈍分離剤を散布するに際し、塗布前に、
鋼板表面に平均粒径1000ÅのMoO3粉を径3mmの斑点状に
散布した後、焼鈍分離剤を塗布した。
しかるのち2次再結晶焼鈍ついで1200℃,5時間の純化焼
鈍を施した。
なお比較のため、常法に従いMoOを主成分とする焼鈍分
離剤のみを塗布し、2次再結晶焼鈍ついで1200℃,5時間
の純化焼鈍を施し、比較例とした。
この結果、実施例においては、Mo03粉を付着させた領域
において1.0〜2.5mmの細かい2次再結晶粒の群が斑点状
に出現したが、比較例においては2.5〜5.0mmの2次再結
晶粒が最も多かつた。これらの粒度分布を測定した結果
は、第6図に示したように比較例では整粒分布となつた
が、実施例では混粒分布を示し、1.0〜2.5mmの粒径の個
数比率は71.4%;5.0〜10.0mmの粒径の個数比率は19.7%
であつた。
そしてこれらの磁気特性は実施例がB10=1.885T;W17/50
=0.856W/kgであるのに対し、比較例はB10=1.889T,W17
/50=0.937W/kgであつた。
実施例3 Si:3.0%を含有するけい素鋼素材を、常法に従つて厚み
0.30mmの冷延鋼板としたのち、脱炭・1次再結晶焼鈍を
施し、ついで焼鈍分離剤を塗布するに際し、塗布前に、
鋼板表面に、SnO粉を径2mmの斑点状に散布した後、焼鈍
分離剤を塗布した。
しかるのち2次再結晶焼鈍ついで1200℃,5時間の純化焼
鈍を施した。
なお比較のため、常法に従いMgOを主成分とする焼鈍分
離剤のみを塗布し、2次再結晶焼鈍、ついで1200℃,5時
間の純化焼鈍を施し、比較例とした。
この結果、実施例においては、SnO粉を付着させた領域
において1.0〜2.5mmの細かい2次再結晶粒の群が斑点状
に出現したが、比較例においては2.5〜5.0mmの2次再結
晶粒が最も多かつた。粒度分布の個数比率を算出したと
ころ、実施例では、1.0〜2.5mmの粒径の個数比率は63.0
%;5.0〜10.0mmの粒径の個数比率は16.3%であつた。こ
れに対し、比較例では、個数比率は各々9.3%;18.5%で
あり、2.5〜5.0mmの粒径の個数比率は65%であつた。
そして、これらの磁気特性は実施例がB10=1.915T;W17/
50=0.997W/kgであるのに対し、比較例はB10=1.920T;W
17/50=1.062W/kgであつた。
発明の効果 かくしてこの発明によれば、磁束密度を劣化させること
なしに、従来に比べて鉄損特性が格段に優れた方向性け
い素鋼板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図a,bはそれぞれ、平均粒径とB10およびW17/50との
関係を示したグラフ、 第2図a,bはそれぞれ、この発明に従う方向性けい素鋼
板の粒度分布およびマクロ組織を示した模式図、 第3図a,bはそれぞれ、従来の方向性けい素鋼板の粒度
分布およびマクロ組織の模式図、 第4図a,bはそれぞれ、この発明の他の実施例の粒度分
布およびマクロ組織を示した模式図、 第5図および第6図はいずれも、この発明と従来例の粒
度分布をそれぞれ比較して示したグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 庸 千葉県千葉市川崎町1番地 川崎製鉄株式 会社技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】最終仕上げ焼鈍を経た含けい素鋼板の2次
    再結晶粒の粒度分布につき、粒径:1.0〜2.5mmの結晶粒
    の個数比率が40〜80%、一方粒径5.0〜10.0mmの結晶粒
    の個数比率が15%以上である混粒分布になることを特徴
    とする鉄損の低い方向性けい素鋼板。
  2. 【請求項2】粒径:1.0〜2.5mmの結晶粒の形成領域が、
    鋼板の圧延方向にほぼ直角の向きをなす連続または非連
    続の帯状領域であつて、しかもかかる帯状領域の幅が1.
    0〜4.0mmでかつ、圧延方向における繰返し間隔が5〜15
    mmの範囲である特許請求の範囲第1項記載の方向性けい
    素鋼板。
  3. 【請求項3】含けい素鋼スラブを熱間圧延して得られた
    熱延板に、1回または中間焼鈍を挾む2回の冷間圧延を
    施して最終板厚としたのち、脱炭・1次再結晶焼鈍を施
    し、ついで鋼板表面にMgOを主成分とする焼鈍分離剤を
    塗布してから最終仕上焼鈍および上塗りコーテイング処
    理を施す一連の工程よりなる方向性けい素鋼板の製造方
    法において、脱炭・1次再結晶焼鈍後、焼鈍分離剤塗布
    前の鋼板表面に2次再結晶発現促進剤を離散的に付着さ
    せることにより、2次再結晶粒の粒度分布を、粒径:1.0
    〜2.5mmの個数比率が40〜80%、粒径:5.0〜10.0mmの結
    晶粒の個数比率が15%以上とすることを特徴とする鉄損
    の低い方向性けい素鋼板の製造方法。
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