JPH0676613B2 - 高マンガン溶鉄の脱りん方法 - Google Patents

高マンガン溶鉄の脱りん方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、マンガン含有量〔Mn〕が5重量%以上の高
マンガン溶鉄を安価な脱りん剤を使用し、かつ〔Mn〕の
酸化損失を抑制しながら効率よく脱りんする方法に関す
る。
(従来の技術) 近年、鋼材の使用分野が多様化するなかで、多くの新鋼
種の開発がみられるが、マンガン含有量がおよそ5%
(以下、特に断らない限り「%」は「重量%」を意味す
る)以上の高マンガン鋼もその一つである。
非磁性鋼としての高マンガン鋼は、競合材料であるNiを
含有するオーステナイト系ステンレス鋼に比べて安価で
あるだけでなく、高強度、低透磁率であるという利点を
有しており、近年、磁気浮上鉄道用部材、核融合装置用
部材、消磁装置用部材、電気機器用部材等に非磁性鋼、
構造用鋼、耐摩耗鋼として用途が拡大している。
ところで、一般に高マンガン鋼中のりんは、熱間加工性
および耐溶接割れ性に悪影響を及ぼす有害物質であるか
ら、できるだけ低くすることが望まれる。高マンガン鋼
の溶製に当たって、Mn源として安価なフェロマンガンを
使用すると、それに含まれるPが溶鉄に移り、溶鉄のP
含有量〔P〕が高くなる。そこで、Mn源としてフェロマ
ンガンを〔P〕規格の許容する限り添加し、残りのMn分
を金属マンガンで補充して、〔P〕が高くならないよう
に配慮するのが常であった。
しかしながら、この方法では、高価な金属マンガンを多
量に使用するので溶製コストが高くなる。そこで、より
低コストの溶製技術として、大部分のMn分をフェロマン
ガンにより配合し、得られるりん含有量の高い高マンガ
ン溶鉄から低りん高マンガン溶鉄を製造する技術の確立
が不可欠となる。
かかる要請に応えて、高マンガン溶鉄の脱りん方法がこ
れまでにもいくつか提案されているが、実用化には至っ
ていない。
例えば、比較的安価なCaC2−CaF2系フラックスによる還
元脱りん法でさえ、以下の理由によりその実用化は難し
い。
この還元脱りん法では(1)式のような分解反応によ
り〔Ca〕が生成し、これが溶鉄中〔P〕と(2)式のご
とく結合することにより脱りんする。
(CaC2)→〔Ca〕+2〔C〕 …………(1) 3〔Ca〕+2〔P〕→(Ca3P2) …………(2) ここで(1)式に示す分解反応促進のためには溶鉄中の
〔C〕は低いほど有利であるため、事前の脱炭処理が不
可欠である。
〔Ca〕の空気酸化ロスを防ぐため、還元脱りんは非酸
化性雰囲気で行う必要があり、脱りん効率が雰囲気の影
響を受けやすい。
脱りん処理後、スラグは(3)式のように大気中で容
易に水分と反応して有害なフォスフィン(PH3)を発生
する。
(Ca3P2)+3H2O→3(CaO)+2PH3 ………(3) 一方、通常の炭素鋼や低合金鋼の脱りん法として実施さ
れている酸化脱りん法、即ち、転炉吹錬の際にCaO系ス
ラグを用いてO2吹きするような強酸化精錬、を高マンガ
ン溶鉄の脱りん法として適用しても〔Mn〕が優先的に酸
化されるのみで溶鉄の〔P〕は除去できない。
しかしながら、特開昭61−272312号公報、特開昭62−30
810号公報、特開昭62−227063号公報に提案されている
ように、〔Mn〕を過剰に酸化させない程度の弱い酸化力
で(4)式に示すように溶鉄中の〔P〕を酸化し、そし
て、(5)式に示すように脱りん生成物である酸性酸化
物P2O5を転炉スラグ中のCaOよりも著しく強い塩基性酸
化物であるBaOによりスラグ中で安定化させることによ
り溶鉄中の〔P〕を除去することができる。
2〔P〕+5〔O〕=(P2O5) …………(4) (P2O5)+3(BaO)=(3BaO・P2O5) …………(5) このBaO系スラグによる脱りん法は処理が容易で、しか
も脱りん処理後のスラグの問題もないが、BaO系スラグ
は非常に高価であるため脱りんのコストが嵩み大量処理
には採用し難い。
更に、高マンガン溶鉄の酸化脱りん法として、「鉄と
鋼」第74年(1988)第9号P.1778には、Na4SiO4(オル
トケイ酸ソーダ)、Na4SiO4−NaF2フラックスを用いたN
a2O系スラグによる脱りん方法が紹介される。
このNa2O系フラックスによる脱りん法によれば非常に
高い脱りん率が得られるが、Na4SiO4は高価である。
脱りん処理中に白煙が発生する。溶鉄中〔Mn〕の酸
化ロスが多い(14%Mn−5%C溶銑では0.9〜1.6%の
〔Mn〕ロスがある)などの理由でこの方法も実用化は困
難である。
上記のような従来の高マンガン溶鉄の脱りん方法の問題
点を解消すべく、本出願人は安価で入手容易なNa2CO3
SiO2を主成分とするフラックスを用いて、高マンガン溶
鉄を脱りんする方法を開発し、特願平1−306136号とし
て出願した。
上記先願発明の高マンガン溶鉄の脱りん方法では、Na2C
O3とSiO2を主成分とするフラックスを用いる。主成分の
Na2CO3は、高温下では(6)式のように分解する。
(Na2CO3)→(Na2O)+CO2 …………(6) 生成した強塩基性酸化物Na2Oは、溶鉄中の〔P〕が酸
化されて生成する酸性酸化物P2O5(前述(4)式の反
応)を、下記の(7)式に示すようにスラグ中に固定す
るので脱りんが達成される。
(P2O5)+3(Na2O)→(3Na2O・P2O5) …………
(7) 同時に発生するCO2の一部を(8)式に示す反応によ
り、〔P〕の酸化剤として働くMnOを生成させるのに利
用することができる。
CO2+〔Mn〕→CO+〔MnO〕 …………(8) 他の主成分であるSiO2は、高温において蒸発しやすいNa
2Oを高温下でスラグ中に保持するために適当量を配合
してある。Na2OとSiO2は、(Na2O)x・SiO2(x≧1)を
形成し、その一部が解離して(7)式によって脱りん反
応に与かると考えられる。
上記のとおり、本出願人が先に提案した上記高マンガン
溶鉄の脱りん方法によれば、安価なりん含有フェロマン
ガンを多量に配合しても、低りん高マンガン溶鉄を製造
すすことができる。
しかしながら、高マンガン溶鉄中の〔P〕を、上記の諸
反応で酸化脱りんする場合、前記(8)式によって溶鉄
中の〔Mn〕が同時に酸化する。これは溶鉄のMn歩留りを
低下させることになるので、これを防ぐ対策が必要にな
る。即ち、先願発明の方法によって脱りんを行うとき
に、Mnの酸化ロスを抑制することができれば、一層低い
コストで高マンガン溶鉄を製造することができることに
なる。
(発明が解決しようとする課題) 本発明の目的は、Na2CO3およびSiO2を主成分とするフラ
ックスを用いて、高マンガン溶鉄を脱りんする方法であ
って、溶鉄中のMnの酸化ロスの少ない高マンガン溶鉄の
脱りん方法を提供することにある。
(課題を解決するための手段) 本発明者は、Na2CO3−SiO2系フラックスによる高マンガ
ン溶鉄の脱りん処理に際し、溶鉄中Mnの酸化ロスを抑制
する手段について種々検討を重ねた。その結果、Na2CO3
−SiO2系フラックス中にマンガン酸化物を適当量配合す
ると、脱りん率は若干低下するが、溶鉄中Mnの酸化ロス
を大幅に低減できることがわかり、これが脱りん効果を
大きく阻害せずに高マンガン鋼の製造コストを下げる極
めて実用的な方法であることを確認した。
本発明は「Na2CO3−SiO2系のフラックスによる高マンガ
ン溶鉄の脱りん方法であって、主配合成分であるNa2CO3
およびSiO2と共にマンガン酸化物を配合したフラックス
を、マンガン含有量が5重量%以上の溶鉄に接触させる
ことを特徴とする高マンガン溶鉄の脱りん方法」を要旨
とする。
この方法においては、Na2CO3−SiO2系フラックス中にあ
らかじめマンガン酸化物を配合することにより、溶鉄中
の〔Mn〕(以下、溶鉄中成分を〔 〕記号で、スラグ中
成分を( )記号で示す)の酸化ロスを抑制するのであ
るが、マンガン酸化物がMnO2の場合、その配合量はフラ
ックスに配合したNa2CO3中のNa2Oとフラックス中に配
合量に〔Si〕の酸化生成量を加えたSiO2との合計100重
量部に対し、10〜25重量部とするのが望ましい。
配合するマンガン酸化物は、MnO2以外の例えばMnO、Mn2
O3、Mn3O4等であってもよい。
また、この脱りん方法においては、脱りん処理中に(Na2
O)x・SiO2(x≧1)を主体とするスラグを生成させる
ことにより脱りんを行うのであるが、スラグ中のNa2
とSiO2の比、即ち(Na2O)/(SiO2)が1.25〜1.5とな
るようなフラックスを使用するのが望ましい。(Na
2O)/(SiO2)は、フラックスに配合したNa2CO3中のN
a2O分と、フラックスに配合したSiO2および溶鉄中の
〔Si〕が酸化して生成するSiO2の和との比となる。
なお、溶鉄中の〔Si〕が酸化して生成するSiO2の量は、
〔Si〕が実質的に全てSiO2となるものとして計算すれば
よいので、処理対象溶鉄の〔Si〕含有量から簡単に求め
ることができる。
(作用) 第1図、第2図および第3図は、本発明方法の開発に当
たっての基礎試験(ルツボ実験)の結果を示すものであ
る。試験は、次の条件で行った。
(a)処理した溶鉄: 〔Mn〕≒13%、〔C〕≒4%、〔P〕≒0.06% の溶鉄2kg、処理温度=1300℃ (b)使用したフラックス: Na2CO3−SiO2−MnO2フラックス。ただし、溶鉄は実質的
に〔Si〕を含有しないものなので、ここでは脱りん処理
中に生成するSiO2を考慮する必要がない。そこで、フラ
ックスは(Na2O)/(SiO2)が約1.25になるように、
溶鉄1トン当たり(Na2CO3:95kg)+(SiO2:45kg)の割
合、即ち(Na2O:55kg)+(SiO2:45kg)=100kgの割合
でNa2CO3とSiO2を配合し、さらにMn酸化ロス防止のた
め、20kgのMnO2を配合した。
第1図は、処理時間の経過に伴う溶鉄の〔P〕および
〔Mn〕と、スラグ中の(MnO)および(Na2O)/(Si
O2)の変化を示したものである。〔P〕は当初0.060%
であったものが、30分の処理で0.018%まで低下してお
り、脱りん率は70%に達する。溶鉄中の〔Mn〕は、処理
中に約0.5%酸化ロスしているが、その理由は、前述の
(6)式に示したように、添加したNa2CO3中の過剰なCO
2により(8)式に示すようにMnが酸化されること、お
よびNa2O自身の酸化力により下記の(9)式に示すよ
うに〔Mn〕が酸化されること、にあると推定される。
Na2O+Mn→MnO+2Na …………(9) 従って、脱りん処理後のスラグ中(MnO)濃度は、20%
から30%近くまで上昇した。〔Mn〕の酸化ロスが(8)
式および(9)式の反応で進行する場合は、あらかじめ
フラックス中にMnO、MnO2などのマンガン酸化物を配合
しておけば〔Mn〕の酸化ロスを抑制できると考えられ
る。また、Na2Oは処理中に蒸発するため、(Na2O)/
(SiO2)は、処理前のフラックスの1.25から時間の経過
とともに低くなっていく。
第2図は、MnO2添加量を変えて(他の条件は第1図の場
合と同じ。ただし処理時間は30分)脱りん率、〔Mn〕酸
化ロスおよび処理後の(MnO)濃度を調べた結果を示す
ものである。
第2図に示すように、フラックス中にMnO2を配合するこ
とにより、〔Mn〕の酸化ロスは減少する。しかしながら
MnO2の配合量が25kg/Tを超えると逆に〔Mn〕の酸化ロス
は増加する。これはスラグの酸化力が大きくなりすぎる
ため〔Mn〕を酸化することによると考えられる。
脱りん率は、MnO2配合量が増加し、スラグ中の(MnO)
濃度が増加すると徐々に低下する。これは、スラグ中
の(Na2O)濃度がMnO2の配合に伴う希釈により低下す
ること、およびMnOがNa2Oに比べ弱い塩基性酸化物で
あるため、スラグ全体の塩基性が弱くなること、によ
る。
したがって、MnO2を添加しない場合と同様の脱りん率
(本実験条件下では65〜70%以上)を得るとともに〔M
n〕の酸化ロス量を、MnO2無添加の場合の1.3%に対し
て、0.5%以下に抑制するには、Na2CO3−SiO2系フラッ
クスの{(Na2O)+(SiO2)}100kg/Tに対しMnO2の配
合を10〜25kg/Tとするのが望ましい。
第3図は、フラックスの(Na2O)/(SiO2)の値を変
えて(他の条件は第1図の場合と同じ。ただし処理時間
は30分)、脱りん率、〔Mn〕酸化ロスを調べた結果をMn
O2を添加した場合と添加しない場合を対比して示したも
のである。
図示のとおり、フラックス中にマンガン酸化物を配合す
ると(第3図中の実線の曲線)、配合しない場合に比
べ、脱りん率は若干低下するが、〔Mn〕の酸化ロス量を
約0.5〜1.5%の低減できる。MnO2の配合の有無にかかわ
らず、(Na2O)/(SiO2)≧1.0で脱りん反応は進行
し、(Na2O)/(SiO2)の値が大きくなるほど脱りん
率は対数函数的に向上し、〔Mn〕の酸化ロス量は指数函
数的に増加する。
(Na2O)/(SiO2)<1.25では〔Mn〕の酸化ロス量は
低く抑制されているが、脱りん率の低下が著しい。(Na
2O)/(SiO2)が1.5〜2.0の範囲では、脱りん率が若
干向上し、上限値に到達するのに対し〔Mn〕の酸化ロス
量は急増するがフラックス中にMnO2を配合することによ
り、酸化ロス量を約0.5〜1.5%低くすることができる。
脱りん率を大きく阻害せずに〔Mn〕の酸化ロス量を下限
値に抑制するという実用的な観点からすると、フラック
スは1.25≦(Na2O)/(SiO2)≦1.5の条件を満足する
ようにNa2CO3とSiO2が配合されたものであるのが望まし
いことになる。但し前述のとおり、処理前の溶鉄にSiが
含有されている場合には(SiO2)はフラックス中の配合
量と溶鉄中〔Si〕の酸化によるSiO2生成量との合計量で
ある。
次に、溶鉄成分の条件について述べる。
溶鉄中の〔C〕は高いほど脱りんには望ましい。それは
次の2つの理由による。その1つは、〔C〕が高いほど
溶鉄の融点が低いので、低温で脱りん処理ができること
である。一般に酸化脱りん反応は発熱反応であるので、
低温であるほど脱りんには有利である。もう1つの理由
は、〔C〕が高いほどC−Pの相互作用によりPの溶鉄
中での熱力学的濃度(活量)が上昇するため、脱りんに
有利になることである。
しかしながら、脱りんの後工程である脱炭工程に負担を
かけないという意味では、実操業上の〔C〕の上限が存
在する。これらの点を総合すれば、2%≦〔C〕≦4%
が望ましい範囲と言える。
溶鉄中の〔Si〕は、CaO系、BaO系の塩基性スラグによる
酸化脱りんの場合は、スラグ量の増加とスラグ塩基度低
下の原因になるため、〔Si〕の上限に制約を設けるのが
一般である。しかしながら、本発明方法においては〔S
i〕の上限に関する厳しい制限はない。このことも本発
明方法の大きな特徴の一つである。すなわち、本発明方
法ではNa2O源としてNa2CO3を使用しているため、処理
中に生成するCO2により〔Si〕が酸化され、スラグ層にS
iO2として除去され、(Na2O)x・SiO2(x≧1)として脱
りんスラグとなる。従って、溶鉄中〔Si〕が高い場合
は、配合するSiO2量を減らすことにより対処でき、通常
の溶鉄の事前脱珪処理を必須としない。例えば、(Na2
O)+(SiO2)のフラックスを溶鉄1トン当たり100kg
使用して、(Na2O)/(SiO2)=1.5となるスラグを生
成させる場合、〔Si〕は最大約1.8%まで許容できる。
Na2CO3−SiO2系フラックスを用いて高マンガン溶鉄の脱
りん処理をした場合、溶鉄中の〔Mn〕が脱りん率および
〔Mn〕酸化ロス量におよぼす影響を第4図に示す。図示
のとおり、処理前の溶鉄中Mn濃度〔Mn〕iniが18%の方
が13%の場合に比べて、到達脱りん率の値は約5〜30%
低い。また、〔Mn〕酸化ロス量は、この〔Mn〕iniのレ
ベルではほぼ同じ値であった。
本発明方法によれば、フラックス中へのマンガン酸化物
の配合により〔Mn〕酸化ロスはさらに抑制されるので、
(Na2O)/(SiO2)の値を脱りん率の上限値が得られ
る1.5〜2.0とするNa2CO3−SiO2系のフラックスを用いて
もよい。
次に、脱りん処理温度について述べる。
脱りん処理温度は、前述した熱力学的理由から、また、
Na2Oの蒸発を抑え、耐火物の溶損を少なくするという
理由から、低温であるほどよい。
例えば、溶鉄融点より50〜100℃高い程度がよい。実操
業においては、フラックス添加による温度降下も考慮し
て、炉の容量にもよるが脱りん処理前の溶鉄温度は融点
より150〜450℃高い温度としておくのが望ましい。
次にフラックスの添加量について述べる。
フラックスの必要添加量は、処理する溶鉄の当初の
〔P〕量および目的とする脱りん率によって異なるが、
概ね溶鉄のトン当たり20kgから120kgの範囲で必要な量
を選定すればよい。
使用するフラックスの性状は、固体粒状あるいは粉末状
のもので、その添加方法は、上置き法または溶鉄中への
インジェクション法のいずれでもよいが、粉末状フラッ
クスのインジェクション法の場合に最も効果的に脱りん
が進行する。
フラックスを構成するNa2CO3とSiO2は、事前に混合して
から添加する方がよい。それは、Na2OとSiO2を迅速に
反応させ、Na2O分の蒸発を最小限にすることができる
からである。マンガン酸化物も粉末を事前にフラックス
に混合しておくのがよい。
なお、この発明方法を実施するための装置としては、AO
D炉がその他の炉底から攪拌ガスを導入できる炉があげ
られる。また、取鍋でArガスなどでのバブリング攪拌、
インペラー攪拌を行って処理することも可能である。
(実施例) 第1表に示す組成(処理前)の3種の高マンガン溶鉄を
それぞれ10トン電気炉で大気溶解し、AOD炉に注銑後、
同じく第1表に示す所定の温度に調整した。
そして、第2表に示すフラックスを溶鉄上に添加し、Ar
ガスで約10分間攪拌しながら、脱りん処理を行った。比
較例は第2表に示すフラックスでMnO2を配合しないもの
を用いた。
処理後の化学組成を第1表に併記する。なお、第2表の
(Na2O)/(SiO2)値は、処理中に〔Si〕が酸化され
て生成するSiO2量を考慮したものである。
第1表から明らかなように、〔Mn〕iniが約11%レベル
の実施例1および比較例1では脱りん率はそれぞれ76%
および79%、〔Mn〕酸化ロス量はそれぞれ0.5%および
1.2%であった。
〔Mn〕iniが約20%の実施例2および比較例2では脱り
ん率はそれぞれ64%および67%、〔Mn〕酸化ロス量はそ
れぞれ1.5%および2.4%であった。
〔Mn〕iniが約24%の実施例3および比較例3では脱り
ん率はそれぞれ60%および65%、〔Mn〕酸化ロス量はそ
れぞれ1.8%および3.6%であった。
以上の結果から、本発明の方法を実施することにより、
高マンガン溶鉄の脱りんを大きく阻害することなく〔M
n〕酸化ロス量を低減できることは明らかである。
(発明の効果) 本発明方法によれば、安価で入手容易なNa2CO3−SiO2
フラックスにマンガン酸化物を配合することにより、溶
鉄中のMnの酸化ロス量を低く抑制しながら高マンガン溶
鉄を効率よく脱りんすることができる。本発明方法は、
近年生産量の増加している高マンガン鋼を低コストで製
造するのに極めて有用なものである。
【図面の簡単な説明】
第1図、第2図および第3図は、Na2CO3−SiO2−MnO2
フラックスによる高マンガン溶鉄の脱りん実験結果を示
すもので、 第1図は、溶鉄中の〔P〕および〔Mn〕、スラグ中の
(MnO)および(Na2O)/(SiO2)の脱りん処理中の経
時変化を示す図、 第2図は、MnO2添加量と脱りん率、〔Mn〕酸化ロス量お
よびスラグ中の(MnO)との関係を示す図、 第3図は、(Na2O)/(SiO2)の値と脱りん率および
〔Mn〕酸化ロス量との関係を示す図、である。 第4図は、Na2CO3−SiO2系フラックスによる高マンガン
溶鉄の脱りん実験結果を示すもので、(Na2O)/(SiO
2)の値と脱りん率および〔Mn〕酸化ロス量との関係を
〔Mn〕iniが13%と18%の場合を対比して示す図であ
る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マンガン含有量が5重量%以上の溶鉄に、
    Na2CO3、SiO2およびマンガン酸化物を主成分とするフラ
    ックスを接触させることを特徴とする高マンガン溶鉄の
    脱りん方法。
  2. 【請求項2】フラックスに配合したNa2CO3中のNa2O分
    と、フラックス中に配合したSiO2および溶鉄中Siの酸化
    によって生成するSiO2の合計量100重量部に対して、MnO
    2を10〜25重量部含有させたフラックスを使用すること
    を特徴とする請求項(1)に記載の高マンガン溶鉄の脱
    りん方法。
  3. 【請求項3】フラックスに配合したNa2CO3中のNa2O分
    と、フラックス中の配合したSiO2および溶鉄中Siの酸化
    によって生成するSiO2の合計量との比、即ち、(Na2O)
    /(SiO2)が1.25〜1.5となるようにフラックスの配合
    比を定めることを特徴とする請求項(1)または(2)
    に記載の高マンガン溶鉄の脱りん方法。
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