JPH0671002U - 回転軸の支持装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】広い回転領域で回転軸の剛性を維持することが
でき、しかも、長期間保守作業を必要としない回転軸の
支持装置を提供する。 【構成】回転軸４に取付けられた転がり軸受５の外輪５
ｂと対向する位置に溝２ａが形成された軸受ハウジング
２と、つる巻きばねを環状に整形したリング６設け、前
記軸受ハウジング２の溝２ａに装着された前記リング６
により転がり軸受５の外輪５ｂを支持するようにした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、回転軸の支持装置にかかり、特に、高速回転する回転軸の支持に好 適な回転軸の支持装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】

アルミニウム製品の増加、生産性の向上等により、マシニングセンタなどの工 作機械の回転軸（主軸）に、重切削用の低速回転（数１０００ｒｐｍ）から軽切 削用の高速回転（数１００００ｒｐｍ）までの広い領域の回転を可能にすること が求められている。

【０００３】 回転軸を高速回転させると、その遠心力や、摩擦による発熱によって回転軸と 転がり軸受が膨張し、転がり軸受の予圧が異常に上昇し、転がり軸受の焼き付き などを起こす。このため、高速回転させる回転軸を転がり軸受で支持する場合に は、転がり軸受の予圧機構として定圧予圧機構を採用すると共に、転がり軸受の 外輪と軸受ハウジングとの間に間隙を設けている。

【０００４】 このような構成では、回転軸を予め設定された高速回転領域で回転させている とき、転がり軸受の外輪が軸受ハウジングに接触支持され、所定の剛性を発揮す ることができる。しかし、回転軸の回転速度が遅い場合には、転がり軸受の外輪 と軸受ハウジングとの間に間隙が残るため、剛性が低下するだけでなく、回転軸 に激しい振動が発生する。

【０００５】 このような現象を改善するため、軸受ハウジングの転がり軸受の外輪との対向 面に溝を形成し、この溝にＯリングを装着して、転がり軸受の外輪をＯリングの 弾性変形力で支持し、低速回転時の回転軸の剛性を維持することが提案されてい る。

【０００６】

【考案が解決しようとする課題】

回転軸を高速回転させる際、回転軸を支持する転がり軸受の潤滑を目的として 、オイルミストを吹き付けている。このオイルミストがＯリングに付着すると、 Ｏリングを膨潤させる。また、Ｏリング自身の経時変化等により、Ｏリングの特 性が劣化すると、Ｏリングの初期の特性が失われる。このため、Ｏリングを用い て低速回転時の回転軸の剛性を維持する場合には、比較的短期間で定期的にＯリ ングを交換しなければならず、その保守が煩雑になるだけでなく、機械の稼動率 を低下させることにもなる。

【０００７】 上記の事情に鑑み、本考案の目的は、広い回転領域で回転軸の剛性を維持する ことができ、しかも、長期間保守作業を必要としない回転軸の支持装置を提供す ることにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

上記の目的を達成するため、本考案においては、回転軸に取付けられた転がり 軸受の外輪と対向する位置に溝が形成された軸受ハウジングと、つる巻きばねを 環状に整形したリング設け、前記軸受ハウジングの溝に装着された前記リングに より転がり軸受の外輪を支持するようにした。

【０００９】

【作用】

つる巻きばね製のリングで転がり軸受の外輪を支持することにより、経時変化 や、潤滑油による膨潤等による特性の劣化をなくし、長期間保守を行なうことな く常に初期の特性を維持させることができる。

【００１０】

【実施例】

以下、本考案の一実施例を図に基づいて説明する。◆ 図１は、本考案をマシニングセンタの主軸頭に適用した一例を示すもので、同 図において、１はマシニングセンタの主軸頭。２は前部の軸受ハウジングで、そ の内周面の転がり軸受との対向面に溝２ａが形成され、主軸頭１に固定されてい る。３は後部の軸受ハウジングで、その内周面の転がり軸受との対向面に溝３ａ が形成され、主軸頭１に移動可能に支持されている。４は回転軸で、転がり軸受 ５を介して、軸受ハウジング２、３に回転可能に支持されている。この転がり軸 受５は、図２に示すように、内輪５ａと、外輪５ｂと、転動体５ｃおよびリテー ナ５ｄによって構成されている。そして、各軸受ハウジング２、３の内周面と、 転がり軸受５の外輪５ｂの外周面との間には、間隙Ｇが形成されている。６はつ る巻きばねを環状に整形したリング６が装着され、若干弾性変形した状態で転が り軸受５の外輪５ｂを支持している。

【００１１】 ７は内輪間座で、各転がり軸受５の内輪５ａの間に位置するように回転軸４に 装着されている。８は外輪間座で、各転がり軸受５の外輪５ｂの間に位置するよ うに装着されている。９はカラーで、軸受ハウジング３の内周に移動可能に支持 されている。１０は皿ばねで、軸受ハウジング３とカラー９の間に位置するよう に配置されている。１１はナットで、回転軸４の一端に形成されたねじに螺合し ている。

【００１２】 １２はドローバーで、回転軸４の軸心に移動可能に支持されている。１３はコ レットで、ドローバー１２の一端に固定されている。１４はプルスタッドで、工 具（図示せず）の一端に固定され、コレット１３に着脱可能に支持される。

【００１３】 このような構成で、回転軸４の低速回転時には、転がり軸受５の外輪５ｂは、 リング６によって支持される。回転軸４が高速回転すると、回転軸４、転がり軸 受５の内輪５ａの遠心力による膨張、および転がり軸受５内の摩擦による発熱に よる熱膨張等で膨張した外輪５ｂは、リング６を弾性変形させながら、軸受ハウ ジング２、３に接触し、軸受ハウジング２、３で直接支持される。

【００１４】 上記のように、回転軸４の低速回転時にはリング６で転がり軸受５の外輪５ａ を支持し、高速回転時には、転がり軸受５の外輪５ａを、軸受ハウジング２、３ で直接支持するようにしたので、広い回転範囲で回転軸４の剛性を維持すること ができる。リング６がつる巻きばねで構成されているので、転がり軸受５の潤滑 剤により膨潤することはなく、また、経時変化もないので、長期間にわたり初期 の特性を維持することができる。

【００１５】 なお、回転軸４の回転速度が上昇すると、転がり軸受５の予圧が上昇する。こ の時、軸受ハウジング３が回転軸４の後端方向に移動し、からー９が回転軸４の 先端方向に移動して、皿ばね１０を圧縮することにより、転がり軸受５の予圧を 低下させる。

【００１６】

【考案の効果】

以上述べた如く、本考案によれば、主軸に取付けられた転がり軸受の外輪と対 向する位置に溝が形成された軸受ハウジングと、つる巻きばねを環状に整形した リング設け、前記軸受ハウジングの溝に装着された前記リングにより転がり軸受 の外輪を支持するようにしたので、長期間にわたり初期の特性を維持することが でき、長期間保守を行なうことなく常に初期の特性を維持させることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案を適用したマシニングセンタの主軸頭を
示す正面断面図。

【図２】図１における本考案の要部を示す拡大図。

【符号の説明】

２、３ 軸受ハウジング ２ａ、３ａ 溝 ４ 回転軸 ５ 転がり軸受 ５ａ 外輪 ６ リング

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】高速回転する回転軸を転がり軸受で支持す
   るようにした回転軸の支持装置であって、主軸に取付け
   られた転がり軸受の外輪と対向する位置に溝が形成され
   た軸受ハウジングと、つる巻きばねを環状に整形したリ
   ング設け、前記軸受ハウジングの溝に装着された前記リ
   ングにより転がり軸受の外輪を支持するようにしたこと
   を特徴とする回転軸の支持装置。