JPH0670448B2 - 内側ブロックブレーキのブレーキシュー調整装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、内側ブロックブレーキのブレーキシュー調
整装置、特に、隣接する端部を引張りばねで相互に結合
した２個のブレーキシューを備え、各々がこれらのブレ
ーキシューの各々の端部に結合する調節部材をキャリヤ
に設け、これら調整部材を作動部材によって共同して互
いに逆方向に移動可能にし、前記キャリヤ内で前記調整
部材の間をドラム軸に平行に伸びるねじ孔内に前記作動
部材を回転可能に配設し、この作動部材を円錐形の端部
で前記調整部材の間で保持する内側ブロックブレーキの
ブレーキシュー調整装置に関する。

［従来の技術］ 従来のこの種の調整装置は、例えば、西ドイツ特許第56
7716号により公知である。この公知例は、ブレーキシュ
ーを均等に設定又は調整出来るという利点がある。

この調整装置のキャリヤは、ブレーキキャリヤに取付け
られた案内ハウジングを構成し、この中に調整部材とし
て対向する２本の支持ピンを移動可能に設けている。こ
れらのピンは、外側の端部でブレーキシューウエブの端
部に関節接続されており、内端で作動部材の円錐状端部
の円周部に係合している。この構成では、案内ハウジン
グ内の支持ピン間を部レートドラムの軸に平行に延びて
いるねじ孔内にねじ棒を回転可能に設けている。この場
合、支持ピンの内端はくさび形に形成され、作動部材の
円錐形の端部の円周部にその母線に沿って等角距離で形
成された係合溝が形成されている。

ブレーキシューを設定し又は調整するために、これに応
じて作動部材を回動させなければならず、これによっ
て、ねじを操作して作動部材を軸方向に移動させ、これ
に対応して支持ピンをドラム軸を横切る方向に押圧離間
させている。この調整装置は、それがブレーキキャリヤ
に固定された案内ハウジングを有するために、ブレーキ
シューをブレーキキャリヤに枢動可能に設けたドラムブ
レーキ（Simplex-Bresen（シンプレックスブレーキ））
だけに適している。この場合、案内ハウジングには、支
持ピン用の特別の案内孔を設けなければならず、従っ
て、型体として製造加工されなければならないから、製
造技術上高く付く。最後に、装置の組み付けは複雑であ
り時間が掛かる上に、案内ハウジングをブレーキキャリ
ヤに取り付けなければならず、更に、支持ピンをブレー
キシューウエブに回動可能に接続しなければならない。

この発明の基になった西ドイツ特許第567716号に基づく
調整装置の他に、米国特許第3977500号の第５図に調整
装置が開示されている。これは、一端でブレーキシュー
ウエブの１つの縁を受けかつ他端で作動部材に保持され
た２個の調整レバーを有している。これは、ブレーキキ
ャリヤに固定された案内ハウジング内部に配設され、そ
こで外側から作動部材によって調整出来るようになって
いる。

それ故、この調整装置の適用はシンプレックスブレーキ
に限定される。

これと類似の調整装置が米国特許第2609066号に開示さ
れている。その装置の調整レバーは二股腕状に形成さ
れ、それの外側の端部はブレーキシューウエブの端部に
関節接続され、内側の端部は相互に関節接続されると共
にその中央部もブレーキキャリヤに関節接続されてい
る。相互に関節接続されたこれらの内側レバーの端部は
調整ねじと協同して作動する。

この公知例では、調整装置の組み付けが面倒であること
を別にしても、調整レバーをブレーキキャリヤに関節接
続するために、上記同様にデュオサーボブレーキに用い
ることが出来ない。

［発明が解決しようとする課題］ この発明は、隣接する端部を引張りばねで相互に結合し
た２個のブレーキシューを備え、各々がこれらのブレー
キシューの各々の端部に結合する調節部材をキャリヤに
設け、これら調整部材を作動部材によって共同して互い
に逆方向に移動可能にし、前記キャリヤ内で前記調整部
材の間をドラム軸に平行に延びるねじ孔内に前記作動部
材を回転可能に配設し、この作動部材を円錐形の端部で
前記調整部材の間で保持する内側ブロックブレーキのブ
レーキシュー調整装置を改良し、考えられる限り簡単な
構造を有し、シンプレクスブレーキにもデュオサーボブ
レーキにも組込める調整装置を提供することを課題とし
ている。

［課題を解決するための手段］ 上記の課題を解決するために、この発明に基づく内側ブ
ロックブレーキのブレーキシュー調整装置は、隣接する
端部を引張りばねで相互に結合した２個のブレーキシュ
ーを備え、各々がこれらのブレーキシューの各々の端部
に結合する調節部材をキャリヤに設け、これら調整部材
を作動部材によって共同して互いに逆方向に移動可能に
し、前記キャリヤ内で前記調整部材の間をドラム軸に平
行に延びるねじ孔内に前記作動部材を回転可能に配設
し、この作動部材を円錐形の端部で前記調整部材の間で
保持し、前記調整部材は、前記作動部材の軸に対して直
角な軸の周りに回動可能なレバーから成り、該レバーは
ブレーキシューウエブ各々の縁に受けられて保持される
ことを特徴として構成されている。

又、前記作動部材の円錐形端部を回転対称に形成するこ
とが出来る。これによりブレーキシューのブレーキ補強
運動を行なうことが出来、従って、西ドイツ特許第5677
16号と異なって、連続したブレーキシューの調整を行な
い得る。

更に、前記キャリヤは離間して保持されたプレートから
成り、前記レバーは当該プレートの端部によって形成さ
れたフォーク状の部分の間に設けられ、折れ曲った状態
で前記作動部材に支持されるようにすることも出来る。

更に又、前記レバーは前記作動部材に当接する凸状の縁
部を有するようにすることも出来る。

なお更に、前記キャリヤは、ブレーキドラムの底に向く
側でブレーキシューの端部に保持され、前記作動部材は
セルフロッキングねじとして車輪の外側から回転可能に
構成されるようにすることも出来る。

［実施例］ 第１図において、10はブレーキドラムのドラムケーシン
グを示す。ドラムケーシング10内に、２個のブレーキシ
ュー12及び14が配設され、図示しない作動装置によって
ブレーキライニング16を介してブレーキドラム10の内周
面18に押圧され、車輪にブレーキをかけるようになって
いる。20は調整装置全体を示し、図示しない引張りばね
によって結合された両ブレーキシュー12,14の隣接端に
取り付けられている。これによって、ブレーキライニン
グ16とドラムケーシング10の内周面18との間の遊び（Lu
eftspiel）が、両ブレーキシュー12,14のついて、均等
に定められかつ調整されられる。

このために、調整装置20は、ブレーキシューウエブ1
2′、及び14′の互いに向き合った端部で支持されてい
る。調節部材、例えば、止めねじ22をドラム軸に平行に
なるように調整装置20に設け、この止めねじ22を調整工
具、例えば、ねじ回しで車輪の前側から回転させて、ブ
レーキシューの調整を行なう。このために、調整装置20
は、止めねじ22を受けているねじ孔24が車輪のねじ孔の
ピッチ円上に来るように、ブレーキシュー12,14に設け
られている。

調整装置20はハウジングを成すキャリヤ26を有する。こ
のキャリヤ26は、例えば、２枚のプレート28,30から構
成されており、これらは、長手方向の縁部32の領域が長
手方向の中心に関して対称に成るように変形されてお
り、ねじ孔24を形成するために中央部に開口を設け、ま
た、両プレート28,30の対向面を溶接するために窪まさ
れて互いに接触する平面部34,36及び38,40を形成出来る
ように成っている。もっとも、キャリヤ26をＵ字形の板
金で形成し、そのＵの付根の結合ウエブの部分に前記調
整部材用の孔を形成することも考えられる。

両プレート28,30はキャリヤ26の端部に夫々フォーク状
の軸受腕部28′,30′が形成されており、それらの間に
回転レバー42,44の軸受突起42′,44′が枢軸46,48によ
って旋回可能に保持されている。両回転レバー42,44は
プレート28,30の間で部分的に互いに対称になるように
折り曲げられており、凸状に曲げられた縁部50,52で止
めねじ22の円錐台形の回転対称な端部54に係合してい
る。

回転レバー42,44の自由端に、突起部43,45が形成されて
おり、これらは、両プレート28,30から突出しており、
互いに逆方向へ延びている。これら突起部43,45は回転
レバー42,44の外縁の軸受突起42′,44′への変遷部に大
きなＶ字形の凹部56,58を形成している。従って、これ
らの部分は鍵の形状をしている。

調整装置20を固定するために、この調整装置20はその両
回転レバー42,44がブレーキシュー ウエブ12′,14′の内周部に形成された凹部64,66内に挿
入されている。これと共に、ブレーキシューウエブ1
2′,14′が回転レバー42,44の凹部56,58に受けられ、回
転レバー42,44が凹部56,58に嵌められるだけでブレーキ
シューウエブ12′,14′にしっかりと保持される。又、
ブレーキシューウエブ12′,14′の前縁部60,62にも回転
レバー42,44に係合する肩部を形成することが出来る。

そこで、調整装置20は、ブレーキドラムの中に浮ぶよう
に配列され、これによって当接しているブレーキシュー
を更に押圧するためにこの当接しているブレーキシュー
を自己補強をするための移動を行なう位置にあるよう
に、ウエブの凹部64,66内に回転レバー42,44で保持され
ている。これによって、装置の取付けが非常に容易に行
なわれる。ブレーキシュー12,14の取付け及び調整は、
止めねじ22をそれに応じて回転させることによって行な
われ、その円錐形の端部54が回転レバー42,44間の間隔
を広げようとする。止めねじ22自体は、セルフロッキン
グをするようにねじ孔24内に保持されている。調整装置
20は、取扱が容易で、軽く、体積の小さな調整ロックを
構成しており、この調整ロックはまたブレーキディスク
のディスクポット内に設けられたブレーキシューの取付
け及び調整を同様に適切に行なうという利点を有してい
る。

［作用及び効果］ この発明に基づく調整部材は、キャリヤに関節接続され
たレバーで構成されており、板金状部分としてのキャリ
ヤをコンパクトにかつ容易に製造するものである。レバ
ーはそれらの各々の前端でブレーキシューウエブの１つ
の縁に保持されており、この縁をも側面で受けているの
で、調整装置をただブレーキシューウエブに取り付ける
だけで内側ブロックブレーキに組込むことが出来る。こ
のため、この組み付けはブレーキキャリヤから全く独立
にかつ如何なる固定手段の助けをかりずに行なわれる。
従って、この組み付けによって、ブレーキシューはブレ
ーキ力を高める運動を行なうことになる。

【図面の簡単な説明】

第１図は、車輪の外側から見たドラムブレーキの一部の
正面図で、そのブレーキシューにこの発明の調整装置を
設けたもの、第1a図は、調整装置の正面拡大図、第２図
は、第１図のII-IIに沿う断面拡大図、第３図は、第２
図の線III-IIIに沿う断面図である。 12,14…ブレーキシュー、12′,14′…ブレーキシューウ
エブ、20…調整装置、22…止めねじ、24…ねじ孔、26…
キャリヤ、28,30…プレート、42,44…回転レバー、43,4
5…突起部、50,52…縁部、54…端部。

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】隣接する端部を引張りばねで相互に結合し
   た２個のブレーキシューを備え、各々がこれらのブレー
   キシューの各々の端部に結合する調節部材をキャリヤに
   設け、これら調整部材を作動部材によって共同して互い
   に逆方向に移動可能にし、前記キャリヤ内で前記調整部
   材の間をドラム軸に平行に延びるネジ孔内に前記作動部
   材を回転可能に配設し、この作動部材を円錐形の端部で
   前記調整部材の間で保持する内側ブロックブレーキのブ
   レーキシュー調整装置において、前記調整部材は各々の
   ブレーキシューウエブ（12′、14′）の縁を包囲するよ
   うにかつそれらの縁に対して直角なそれぞれの軸のまわ
   りに回動可能なレバー（42、44）から構成し、かつブレ
   ーキシュー調整装置は各々のブレーキシューウエブ（1
   2′、14′）と係合したレバー（42、44）を介して浮い
   た状態に保持されていることを特徴とする内側ブロック
   ブレーキのブレーキシュー調整装置。
2. 【請求項２】前記作動部材（22）の円錐形端部（54）は
   回転対称に形成されていることを特徴とする請求項第１
   項記載の内側ブロックブレーキのブレーキシュー調整装
   置。
3. 【請求項３】前記レバー（42、44）は、互いに離間して
   保持された２枚のプレート（28、30）から形成された前
   記キヤリア（26）のフオーク状の端部間に設けられ、か
   つ前記作動部材上に支持可能となるように上記プレート
   （28、30）間で部分的に折り曲げられていることを特徴
   とする請求項第１項または第２項に記載の内側ブロック
   ブレーキのブレーキシュー調整装置。
4. 【請求項４】前記レバー（42、44）は前記作動部材（2
   2）に当接する凸状の縁部（50、52）を有することを特
   徴とする請求項第１項乃至第３項の何れかの１に記載の
   内側ブロックブレーキのブレーキシュー調整装置。
5. 【請求項５】前記キャリヤ（26）は、ブレーキドラムの
   底に向く側でブレーキシューの端部に保持され、前記作
   動部材（22）はセルフロッキングねじとして車輪の外側
   から回転可能に構成されていることを特徴とする請求項
   第１項乃至第４項の何れかの１に記載の内側ブロックブ
   レーキのブレーキシュー調整装置。