JPH0657629A - ケラチン繊維の酸化還元機能の活性化 - Google Patents
ケラチン繊維の酸化還元機能の活性化Info
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- JPH0657629A JPH0657629A JP25341292A JP25341292A JPH0657629A JP H0657629 A JPH0657629 A JP H0657629A JP 25341292 A JP25341292 A JP 25341292A JP 25341292 A JP25341292 A JP 25341292A JP H0657629 A JPH0657629 A JP H0657629A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】ケラチン繊維の特徴のシスチンは、強い反応性
に富むシステインに可逆的変化をし、電子授受の触媒機
能が存在する。この機能を活性化させる。 【構成】シスチンをねじると結合間の電子密度が高まる
形で開裂を阻み、電子移動媒体となる非ケラチンタンパ
ク質は銅錯体化となっている。 親電子触媒であり、か
つ銅の犠牲陽極となる金属イオンを含む水中で、ケラチ
ン繊維に歪みを加え、シスチンのシステインへの変換を
助長しておいて、酸化により表面のケラチン質部分を分
解除去すると、防護された電子移動媒体が表面に露出す
る。 【効果】外部条件に対応して酸化還元機構が良く働き、
抗酸化、老化防止、抗菌防臭などの耐久性のある機能
が、安全性をもって得られる。
に富むシステインに可逆的変化をし、電子授受の触媒機
能が存在する。この機能を活性化させる。 【構成】シスチンをねじると結合間の電子密度が高まる
形で開裂を阻み、電子移動媒体となる非ケラチンタンパ
ク質は銅錯体化となっている。 親電子触媒であり、か
つ銅の犠牲陽極となる金属イオンを含む水中で、ケラチ
ン繊維に歪みを加え、シスチンのシステインへの変換を
助長しておいて、酸化により表面のケラチン質部分を分
解除去すると、防護された電子移動媒体が表面に露出す
る。 【効果】外部条件に対応して酸化還元機構が良く働き、
抗酸化、老化防止、抗菌防臭などの耐久性のある機能
が、安全性をもって得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、天然のケラチン質繊維
に備わる酸化還元の化学機能を、活性化しながら損傷す
ることなく露出させて、酵素類似の酸化還元の電子移動
反応を触媒する機能を付与させる方法に関する。
に備わる酸化還元の化学機能を、活性化しながら損傷す
ることなく露出させて、酵素類似の酸化還元の電子移動
反応を触媒する機能を付与させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】環境、資源、エネルギー問題等を解決す
る手段として、動植物が、水を媒体とする自然の条件下
で、選択性の高い反応を無駄なく円滑、かつ高能率に行
っている。 この自然物の活性を高めながら損傷なく取
り出し利用することが必要である。 従来ケラチン繊維
は、衣料として物理的な用途のみであった。
る手段として、動植物が、水を媒体とする自然の条件下
で、選択性の高い反応を無駄なく円滑、かつ高能率に行
っている。 この自然物の活性を高めながら損傷なく取
り出し利用することが必要である。 従来ケラチン繊維
は、衣料として物理的な用途のみであった。
【0003】天然のケラチン繊維には酸化還元機能があ
ることが知られておりながら、機械的、化学的に丈夫な
ケラチン質を表側に持つ表皮細胞(2)に覆われて、機
能が遮蔽されており、これを除く目的で酸化すると、繊
維本体の皮質細胞(1)を接合する連続層で、電子移動
の媒体である非ケラチンタンパク質(3,24)の金属
部分も溶け出し、機能が失われる。
ることが知られておりながら、機械的、化学的に丈夫な
ケラチン質を表側に持つ表皮細胞(2)に覆われて、機
能が遮蔽されており、これを除く目的で酸化すると、繊
維本体の皮質細胞(1)を接合する連続層で、電子移動
の媒体である非ケラチンタンパク質(3,24)の金属
部分も溶け出し、機能が失われる。
【0004】防縮と共に高級化する改質技術として、発
明者は、遷移金属などの触媒作用を利用したスケール剥
離法を確立し、すでに提案した(特公昭62−1954
0)その方法は、動物質繊維を金属イオンを含有する水
溶液に浸漬し、繊維の表面に開口する親水性部分、すな
わちスケールの接合部分とこれに連なるエンドキュチク
ルの非ケラチンタンパク質部分(3,24)に金属を吸
着させ、ついで高濃度の酸化剤の水溶液で処理し、接触
的酸化分解を起こさせることにより、表皮細胞組織を内
側から崩壊剥離させることからなる。
明者は、遷移金属などの触媒作用を利用したスケール剥
離法を確立し、すでに提案した(特公昭62−1954
0)その方法は、動物質繊維を金属イオンを含有する水
溶液に浸漬し、繊維の表面に開口する親水性部分、すな
わちスケールの接合部分とこれに連なるエンドキュチク
ルの非ケラチンタンパク質部分(3,24)に金属を吸
着させ、ついで高濃度の酸化剤の水溶液で処理し、接触
的酸化分解を起こさせることにより、表皮細胞組織を内
側から崩壊剥離させることからなる。
【0005】上記の方法では、非ケラチンタンパク質部
分(3,24)に金属イオンが吸着して接触酸化が行わ
れるので、電子伝達の媒体ごとスケール機構も同時に崩
壊剥離して、化学機能の発現は期待出来ない。
分(3,24)に金属イオンが吸着して接触酸化が行わ
れるので、電子伝達の媒体ごとスケール機構も同時に崩
壊剥離して、化学機能の発現は期待出来ない。
【0006】又、単に金属イオンを含む水溶液中で、ケ
ラチン繊維に歪みを加えるだけの操作では、表面を被う
疎水性のケラチン質(22,23)が反応を阻み、化学
的活性は殆ど変化しない。
ラチン繊維に歪みを加えるだけの操作では、表面を被う
疎水性のケラチン質(22,23)が反応を阻み、化学
的活性は殆ど変化しない。
【0007】
【発明が解決しょうとする課題】本発明の目的は、上記
のような見地から、ケラチン繊維のケラチン質のシスチ
ン結合がシステインへの変換を容易にし、非ケラチンタ
ンパク質(3,24)の機能を防護しながら露出する処
理法を提供することにある。
のような見地から、ケラチン繊維のケラチン質のシスチ
ン結合がシステインへの変換を容易にし、非ケラチンタ
ンパク質(3,24)の機能を防護しながら露出する処
理法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の、ケラチン繊維
の酸化還元機能の活性化は、銅若しくは銅よりもイオン
化が大きい金属を溶解した水系浴中で、繰り返し屈伸又
はねじりなどの力を加えて繊維に歪みを生じさせ、硬質
タンパクであるケラチン質の高次構造を支えているシス
チン結合が、開裂して反応性に富むシステインとなる変
換を機械的に助けておいて、酸化処理を行うことで表皮
細胞(2)のケラチン質部分(22,23)を分解除去
し、内側の、錯体として銅を含み電子移動の媒体となる
非ケラチンタンパク質部分(3,24)を露出させるこ
とを特徴とする。
の酸化還元機能の活性化は、銅若しくは銅よりもイオン
化が大きい金属を溶解した水系浴中で、繰り返し屈伸又
はねじりなどの力を加えて繊維に歪みを生じさせ、硬質
タンパクであるケラチン質の高次構造を支えているシス
チン結合が、開裂して反応性に富むシステインとなる変
換を機械的に助けておいて、酸化処理を行うことで表皮
細胞(2)のケラチン質部分(22,23)を分解除去
し、内側の、錯体として銅を含み電子移動の媒体となる
非ケラチンタンパク質部分(3,24)を露出させるこ
とを特徴とする。
【0009】ここで「ケラチン繊維」とは、羊毛、ラ
マ、アルパカなどからヒトの毛髪に至るまでの哺乳動物
の体毛すべてを指し、実施の態様は問わない。
マ、アルパカなどからヒトの毛髪に至るまでの哺乳動物
の体毛すべてを指し、実施の態様は問わない。
【0010】
【作用】よく知られるように、ケラチン繊維の構造は、
図1及び図2に示すように、ほぼ紡錘形をしたケラチン
質の「皮質細胞」(1)、の多数の集合体である繊維本
体、その外側をうろこ状に取り囲む「表皮細胞」
(2)、および皮質細胞間や表皮細胞と繊維本体との間
を埋める導水路となりそれぞれの細胞を接合している非
ケラチンタンパク質の細胞間接合物質(3)からなる。
図1及び図2に示すように、ほぼ紡錘形をしたケラチン
質の「皮質細胞」(1)、の多数の集合体である繊維本
体、その外側をうろこ状に取り囲む「表皮細胞」
(2)、および皮質細胞間や表皮細胞と繊維本体との間
を埋める導水路となりそれぞれの細胞を接合している非
ケラチンタンパク質の細胞間接合物質(3)からなる。
【0011】表皮細胞(2)は図3に示すような構造で
あって、外側から順にエピキュチクル(21)、エキソ
キュチクルA(22)、エキソキュチクルB(23)、
その内側にあるエンドキュチクル(24)とからなる。
エキソキュチクルAは35%のシスチンを含有し、エ
キソキュチクルBは15%のシスチンを含有するケラチ
ン質であるのに対して、エンドキュチクルは僅か3%の
シスチン含有の非ケラチンタンパク質であり、同じ質の
細胞間接合物質(3)に連なっている。
あって、外側から順にエピキュチクル(21)、エキソ
キュチクルA(22)、エキソキュチクルB(23)、
その内側にあるエンドキュチクル(24)とからなる。
エキソキュチクルAは35%のシスチンを含有し、エ
キソキュチクルBは15%のシスチンを含有するケラチ
ン質であるのに対して、エンドキュチクルは僅か3%の
シスチン含有の非ケラチンタンパク質であり、同じ質の
細胞間接合物質(3)に連なっている。
【0012】このようにケラチン繊維は主成分となって
いる硬質タンパク質で疎水性のケラチン質と、親水性で
柔軟なシスチン含有量の小さい非ケラチンタンパク質と
の、機械的、化学的に性質が異なる2つの成分から構成
されている。
いる硬質タンパク質で疎水性のケラチン質と、親水性で
柔軟なシスチン含有量の小さい非ケラチンタンパク質と
の、機械的、化学的に性質が異なる2つの成分から構成
されている。
【0013】タンパク質の高次構造は、かすがいのよう
な強い架橋のシスチン結合で支えられ、この結合の多い
ケラチン質を硬質としている。 結合の開裂によって反
応に富むシステインとなり、可逆的変化で電子の貯水池
となる。 また、この電子移動の媒体は、非ケラチンタ
ンパク質である。
な強い架橋のシスチン結合で支えられ、この結合の多い
ケラチン質を硬質としている。 結合の開裂によって反
応に富むシステインとなり、可逆的変化で電子の貯水池
となる。 また、この電子移動の媒体は、非ケラチンタ
ンパク質である。
【0014】一般にねじりなど、タンパク質のシスチン
結合を切る方向に力が作用すると、結合間の電子密度が
高まって結合を切れにくくしている。本発明に従い、タ
ンパク質の構造を支える他の弱い結合もゆるむ水系浴中
で、求電子触媒である金属イオンの働きで電子を奪いな
がらケラチン繊維に屈伸などの機械的歪みを加えると、
シスチン結合が切れ、電子供与性の大きなシステインに
開裂し、そこに酸化剤が作用すれば外側にある皮質細胞
のケラチン質成分(22,23)がまず酸化溶解され
る。
結合を切る方向に力が作用すると、結合間の電子密度が
高まって結合を切れにくくしている。本発明に従い、タ
ンパク質の構造を支える他の弱い結合もゆるむ水系浴中
で、求電子触媒である金属イオンの働きで電子を奪いな
がらケラチン繊維に屈伸などの機械的歪みを加えると、
シスチン結合が切れ、電子供与性の大きなシステインに
開裂し、そこに酸化剤が作用すれば外側にある皮質細胞
のケラチン質成分(22,23)がまず酸化溶解され
る。
【0015】更に本発明の、金属イオン中の処理で非ケ
ラチンタンパク質(3,24)に吸着された金属は、犠
牲陽極として同質中の銅錯体の機構を酸化処理から防護
し、この部分の電子移動の媒体機能を損傷なく露出する
ことを可能とする。
ラチンタンパク質(3,24)に吸着された金属は、犠
牲陽極として同質中の銅錯体の機構を酸化処理から防護
し、この部分の電子移動の媒体機能を損傷なく露出する
ことを可能とする。
【0016】すなわち本発明での金属イオンは、シスチ
ン結合を開裂させる求電子触媒として、また銅錯体とな
っている非ケラチンタンパク質を酸化から防護する身代
わりの犠牲陽極となって働くものである。
ン結合を開裂させる求電子触媒として、また銅錯体とな
っている非ケラチンタンパク質を酸化から防護する身代
わりの犠牲陽極となって働くものである。
【0017】上記のような効果を生じさせる機械的な歪
みを繊維に与える手段として、たとえば図4に示すよう
に、ゆるやかにかみ合う一対の歯車型ロール(5A,5
B)を使用し、その間に繊維の束(4)を通して曲げ応
力を加えたり、あるいはほかに、ボックス型捲縮装置も
この用途に使用できる。
みを繊維に与える手段として、たとえば図4に示すよう
に、ゆるやかにかみ合う一対の歯車型ロール(5A,5
B)を使用し、その間に繊維の束(4)を通して曲げ応
力を加えたり、あるいはほかに、ボックス型捲縮装置も
この用途に使用できる。
【0018】繊維に加える歪みは、ケラチン質部分の剥
離状態を観察しながら決定される。繊維の太さ、長さ、
それまでに加えられた前歴で異なるが、かみ合いの強
さ、装置を通す回数で調節する。
離状態を観察しながら決定される。繊維の太さ、長さ、
それまでに加えられた前歴で異なるが、かみ合いの強
さ、装置を通す回数で調節する。
【0019】
【実施例1】オーストラリア産メリノ種羊毛(平均繊度
22.0μm)のスリバー(30g/m)を、4回/m
程度の撚りを掛けて自然の捲縮を伸ばし、この羊毛をN
i2イオンを40ppm含有する水溶液に浸漬し、図4
に示した装置で30%の伸長と弛緩を繰り返し、水洗、
脱水後、6.0%owfの有効塩素を含む次亜塩素酸の
溶液中で塩素化を行い、酸性亜硫酸ナトリュウムを含む
脱塩素溶液中で処理して水洗乾燥した。このものは表皮
細胞のケラチン質部分が分解したことを顕微鏡下で確認
され、水中への拡散状態から、親水性の非ケラチンタン
パク質が表面となったことが判明した。
22.0μm)のスリバー(30g/m)を、4回/m
程度の撚りを掛けて自然の捲縮を伸ばし、この羊毛をN
i2イオンを40ppm含有する水溶液に浸漬し、図4
に示した装置で30%の伸長と弛緩を繰り返し、水洗、
脱水後、6.0%owfの有効塩素を含む次亜塩素酸の
溶液中で塩素化を行い、酸性亜硫酸ナトリュウムを含む
脱塩素溶液中で処理して水洗乾燥した。このものは表皮
細胞のケラチン質部分が分解したことを顕微鏡下で確認
され、水中への拡散状態から、親水性の非ケラチンタン
パク質が表面となったことが判明した。
【0020】加工前後の酸化還元力を、窒素気流中で、
チオグリコール酸の酸化量とその時の結合態のチオール
量を、ヂチオニトロ安息香酸を用い、生成するチオニト
ロベンゾエートを420nmの波長で比色するエルマン
法で調べたところ チオグリコール酸の消費量 チオール量 処理前の羊毛 68 26 本発明による処理後の羊毛 102 65 と酸化還元機能が大幅に増加した結果が確認された。
チオグリコール酸の酸化量とその時の結合態のチオール
量を、ヂチオニトロ安息香酸を用い、生成するチオニト
ロベンゾエートを420nmの波長で比色するエルマン
法で調べたところ チオグリコール酸の消費量 チオール量 処理前の羊毛 68 26 本発明による処理後の羊毛 102 65 と酸化還元機能が大幅に増加した結果が確認された。
【0021】実施例1、で得られたスリバーを、仏式梳
毛紡績で3/48の糸とし、これをチーズ染色機で、反
応染料を用いて濃グレーに染色し、この糸で、紳士用靴
下に編み上げた。 このものを繊維製品衛生加工協議会
が指定する公的機関で、同会制定の加工評価マニュア
ル、黄色ぶどう状球菌の菌数測定法によって判定したと
ころ、未加工品のナイロン布に比べて菌の増減値差(l
ogB/A−logC/A)が、そのままの製品で
3.1(協会合格値=1.6以上)と薬剤加工に劣
らない抗菌性を示した。
毛紡績で3/48の糸とし、これをチーズ染色機で、反
応染料を用いて濃グレーに染色し、この糸で、紳士用靴
下に編み上げた。 このものを繊維製品衛生加工協議会
が指定する公的機関で、同会制定の加工評価マニュア
ル、黄色ぶどう状球菌の菌数測定法によって判定したと
ころ、未加工品のナイロン布に比べて菌の増減値差(l
ogB/A−logC/A)が、そのままの製品で
3.1(協会合格値=1.6以上)と薬剤加工に劣
らない抗菌性を示した。
【0022】上記の製品を、更にJIS.L−021
7,103号による30回洗濯後、同様の菌数測定法に
より抗菌試験を行ったところ、菌の増殖値差 3.4
と、もとの製品よりも値が向上し、抗菌性は殆ど恒久
的なものであることが判明した。
7,103号による30回洗濯後、同様の菌数測定法に
より抗菌試験を行ったところ、菌の増殖値差 3.4
と、もとの製品よりも値が向上し、抗菌性は殆ど恒久
的なものであることが判明した。
【0023】
【実施例2】オーストラリア産メリノ種羊毛で綾織りに
織り上げた生織物を、硫酸銅を用いて銅の濃度45pp
mに調整された水溶液に浸漬して、図4で示すローラの
間を通す操作を7回繰り返した後に脱液し、ついで8.
0%owfの過酸化水素を含む酸化剤の浴中で処理し、
更に酸性亜硫酸ナトリユウムを含む浴に通して酸化停止
処置を行い、水洗乾燥した。 顕微鏡下での観察、及び
親水性テストで、繊維は、実施例1で得られたものと同
様の形及び性質であることが確認された。
織り上げた生織物を、硫酸銅を用いて銅の濃度45pp
mに調整された水溶液に浸漬して、図4で示すローラの
間を通す操作を7回繰り返した後に脱液し、ついで8.
0%owfの過酸化水素を含む酸化剤の浴中で処理し、
更に酸性亜硫酸ナトリユウムを含む浴に通して酸化停止
処置を行い、水洗乾燥した。 顕微鏡下での観察、及び
親水性テストで、繊維は、実施例1で得られたものと同
様の形及び性質であることが確認された。
【0024】上記の実施例で用い、または中間段階で得
られた、 a、生織物布 b、aに本発明の方法で、歪ませながら銅イオンを吸着
させた布 c、bの酸化により表皮細胞のケラチン質を除去した本
発明の改質布、の3点。 同時に、cの改質布上に、通常、抗菌防臭加工に使用さ
れている薬剤3種類を選び、メーカー指示の処方に従っ
て、加工を施し、未加工品(綿金巾)と比較して実施例
1でも行った、黄色ブドウ状球菌を用いて、菌数測定に
よる抗菌性のテストを行った。 18時間後菌数 菌の増減値差 a.生織物布 2.3×108 0.75 b.a+銅イオン吸着後 1.8×108 0.86 c.b+本発明ケラチン質除去布 8.1×104 4.21 d.c+変性脂肪酸エステル加工 2.6×104 4.70 e.c+アルキルアミン加工 1.3×103 6.00 f.c+シリコン系第四級 アンモニウム塩加工 <3 ×102 6.64 ブランク標準布(綿金巾) 1.3×109 (合格値1.6 以上)
られた、 a、生織物布 b、aに本発明の方法で、歪ませながら銅イオンを吸着
させた布 c、bの酸化により表皮細胞のケラチン質を除去した本
発明の改質布、の3点。 同時に、cの改質布上に、通常、抗菌防臭加工に使用さ
れている薬剤3種類を選び、メーカー指示の処方に従っ
て、加工を施し、未加工品(綿金巾)と比較して実施例
1でも行った、黄色ブドウ状球菌を用いて、菌数測定に
よる抗菌性のテストを行った。 18時間後菌数 菌の増減値差 a.生織物布 2.3×108 0.75 b.a+銅イオン吸着後 1.8×108 0.86 c.b+本発明ケラチン質除去布 8.1×104 4.21 d.c+変性脂肪酸エステル加工 2.6×104 4.70 e.c+アルキルアミン加工 1.3×103 6.00 f.c+シリコン系第四級 アンモニウム塩加工 <3 ×102 6.64 ブランク標準布(綿金巾) 1.3×109 (合格値1.6 以上)
【0025】この結果、処理前の生織物布はブランク標
準布と比較して抗菌性に効果ありとは言えず。また単に
布を歪ませながら銅イオンを吸着させた布は、微弱な上
昇であり、本発明による加工布は、抗菌防臭をうたう為
の薬剤処理を施した加工布と劣らない、菌の増殖を抑え
る効果を示した。
準布と比較して抗菌性に効果ありとは言えず。また単に
布を歪ませながら銅イオンを吸着させた布は、微弱な上
昇であり、本発明による加工布は、抗菌防臭をうたう為
の薬剤処理を施した加工布と劣らない、菌の増殖を抑え
る効果を示した。
【0026】
【発明の効果】本発明の活性化に従って羊毛などのケラ
チン繊維を処理すると、今まで衣料では薬剤加工でしか
得られなかった耐久性のある衛生加工が、安全で手軽に
得られる。
チン繊維を処理すると、今まで衣料では薬剤加工でしか
得られなかった耐久性のある衛生加工が、安全で手軽に
得られる。
【0027】システイン基を持つ薬剤は、グルタチオ
ン、シスタミンなど医療に多く用いられており、様々な
態様のケラチン繊維が、本発明で得られた機能で、医療
用途への展開もはかれる。
ン、シスタミンなど医療に多く用いられており、様々な
態様のケラチン繊維が、本発明で得られた機能で、医療
用途への展開もはかれる。
【0028】更に、本発明の、原料とするケラチン繊維
は、羊毛など、多量に、手軽に得られるものであり、酸
化防止の資材用途などにも拡大展開できる。
は、羊毛など、多量に、手軽に得られるものであり、酸
化防止の資材用途などにも拡大展開できる。
【図1】 ケラチン繊維の構造を説明するための縦断面
図。
図。
【図2】 ケラチン繊維の構造を説明するための横断面
図。
図。
【図3】 図2のケラチン繊維の表層近くの構造を模式
的に示した拡大断面図。
的に示した拡大断面図。
【図4】 本発明の活性化処理法を実施するため、ケラ
チン繊維の束に機械的な力を加える具体的手法の一例を
示す図
チン繊維の束に機械的な力を加える具体的手法の一例を
示す図
1 ・・・皮質細胞 2 ・・・表皮細胞 21 ・・・エピキュチクル 22 ・・・エキソキュチクルA 23 ・・・エキソキュチクルB 24 ・・・エンドキュチクル 3 ・・・細胞間接合物質 31 ・・・細胞間接合物質の開口部 4 ・・・ケラチン繊維の束 5A、5B・・・歯車型ロール
Claims (1)
- 【請求項1】 銅若しくは銅よりもイオン化が大きい金
属を溶解した水系浴中で、繰り返し屈伸又はねじりなど
の力を加えて繊維に歪みを生じさせ、硬質タンパクであ
るケラチン質の高次構造を支えているシスチン結合が、
開裂して反応性に富むシステインとなる変換を機械的に
助けておいて、酸化処理を行うことで表皮細胞(2)の
ケラチン質部分(22,23)を分解除去し、内側の、
錯体として銅を含み、電子移動の媒体となる非ケラチン
タンパク質部分(3,24)を露出させることを特徴と
するケラチン繊維の酸化還元機能の活性化
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25341292A JPH0657629A (ja) | 1992-08-07 | 1992-08-07 | ケラチン繊維の酸化還元機能の活性化 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP25341292A JPH0657629A (ja) | 1992-08-07 | 1992-08-07 | ケラチン繊維の酸化還元機能の活性化 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0657629A true JPH0657629A (ja) | 1994-03-01 |
Family
ID=17251031
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP25341292A Pending JPH0657629A (ja) | 1992-08-07 | 1992-08-07 | ケラチン繊維の酸化還元機能の活性化 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0657629A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6190474B1 (en) | 1995-11-14 | 2001-02-20 | Daicel Chemical Industries, Ltd. | Gas generating composition |
US6540256B2 (en) | 1997-12-26 | 2003-04-01 | Daicel Chemical Industries, Ltd. | Airbag gas generator and an airbag apparatus |
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1992
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