JPH0652096B2 - 磁気歯車 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 利用産業分野 この発明は、無騒音、無塵を特徴とし、駆動側と被駆動
側の各歯車の歯面に着設した磁石の磁気吸引または反発
にてトルク伝達する磁気歯車の改良に係り、一対の磁気
歯車の噛み合い位置を順次ずらせて複数対の磁気歯車を
同軸に配置し、負荷変動時に安定したトルク伝達を可能
にした磁気歯車に関する。

背景技術 磁気歯車は、無接触歯車のため騒音がない、潤滑が不要
であり、粉塵の発生がない等の特徴を有することから、
クリーンルームや真空機器内において送風器、搬送器、
回転機器、バルブ等の動力伝達装置等に用いることがで
きる。

最も簡単な磁気歯車として、第５図に示す如く、多磁の
磁石(60)で外周面に多磁極配置した２つのリング(61)(6
2)の外周磁極面を対向させ、磁気吸引または反発させて
トルク伝達する構成が提案（実開昭53-150378号公報）
されている。しかし、上記構成の磁気歯車はトルク伝達
が弱く、同期ずれを生じ易い問題がある。

また、第４図に示す如く、歯面に複数の異なる磁極(52)
(53)面を設けた一対のインボリュート歯車(50)(51)を、
所要間隔を介して噛み合うが如く歯面同志を対向させて
磁気吸引または反発させてトルク伝達する構成が提案
（実開昭57-165844号公報）されている。しかし、上記
構成の磁気歯車はトルク伝達が弱く、噛み合う時に空隙
が変化して脈動を生じて、過負荷時に歯同志が直接接触
するなどの問題がある。

第３図に示す如く、伸開曲線を描く多数の磁石(42)(43)
を円盤面に周配設した大小の円盤(40)(41)を相対向さ
せ、ヘリカルギアが面接触するように磁石(42)(43)が空
隙を介して対向し、磁気吸引してトルク伝達する構成が
提案（日本応用磁気学会誌Vo1.13,No.2,1989 423〜426
頁）されている。

上記構成の磁気歯車は、伸開曲線を描く多数の磁石(42)
(43)を円盤面に配列するため製造加工が困難であるばか
りか、セッティングが容易でなく実用的ではない問題が
ある。

発明の目的 この発明は、平歯車を初め各種形状の歯車からなる磁気
歯車において、構造が簡単かつ製造が容易で、トルク伝
達が強く安定しており、歯面に着設された磁石間空隙の
変化が少なく過負荷時に歯同志が接触しない構成からな
る磁気歯車の提供を目的としている。

発明の概要 この発明は、 駆動側と被駆動側の各歯車の歯面に着設した磁石の磁気
吸引または反発にてトルク伝達する磁気歯車において、 一対の磁気歯車の磁気的噛み合い位置を順次ずらせて複
数対の磁気歯車を同軸に配置したことを特徴とする磁気
歯車である。

発明の構成 この発明において磁気歯車とは、所謂機械要素の歯車の
歯面に磁石を着設した一対の歯車であり、機械的に歯車
が噛み合うように相対する歯面に設けた磁石による磁気
吸引または反発により、すなわち、磁気的噛み合いによ
り、駆動側から被駆動側へと設定した所要の歯数比でト
ルク伝達する構成をいう。

この発明は、第１図に示す如く、磁気的噛み合い位置を
歯車の1/2歯ピッチだけずらせて、２対の磁気歯車を同
軸に配置したことを基本とし、かかる構成により、負荷
変動にかかわらず磁気的噛み合いの磁石間空隙が変化な
く、トルク伝達が強く安定した磁気歯車となる。

また、この発明の磁気歯車は、第１図の平歯車構成のほ
か、複数対の磁気歯車を同軸に配置したり、１つの歯車
に複数対の歯面を設け、磁気的噛み合い位置を順次ずら
せて設けたり、歯車の歯面及び磁石を回転軸に対して傾
斜させて設けたり、さらに隣接歯面及び磁石を接続して
条畝状、すなわちハスバ歯車、ヤマバ歯車、ネジ歯車状
（ヘリカルギア、ダブルヘリカルギア、クロズドヘリカ
ルギア状）とした構成でもよい。

この発明において、磁気歯車の歯面に着設する磁石に
は、フェライト磁石、アルニコ系磁石、希土類コバルト
系磁石が使用できるが、特に、ＲとしてNdやPr等の軽希
土類を用い、Ｂ、Feを主成分として30MGOe以上の極めて
高いエネルギー積を示す、Fe-B-R系焼結磁石を使用する
ことにより、著しく高いトルク伝達を可能にし、また小
型化することができる。

特に、磁石を湾曲させて用いる等の場合には、樹脂磁石
など成形容易な磁石を選定することも可能である。さら
に、これらの磁石の対向面には必要に応じて磁極片を配
置することが望ましい。

図面に基づく発明の開示 第１図a,bはこの発明による磁気歯車の正面説明図と側
面説明図である。第２図はこの発明による磁気歯車の他
の構成を示す斜視説明図である。

構成１ 第１図に示す磁気歯車(1)(2)は、各歯車(10)(14)(24)が
平歯車状で非磁性材の円盤外周面に放射状に突設したフ
ィンが歯面(11)(15)(25)となり、各歯面(11)(15)(25)の
一方面に永久磁石(12)(16)(26)を着設して所要の磁極面
を形成してある。

すなわち、第１図ａに示す如く、駆動側歯車(10)は歯面
(11)が８面で８極の磁極を配設し、被駆動側歯車(14)は
歯面(15)が12面で12極の磁極を配設して、減速比を１：
1.5に設定した駆動側歯車(10)と被駆動側歯車(14)とで
１対の磁気歯車(1)と、全く同様構成の磁気歯車(2)と
が、磁気的噛み合い位置を歯車の1/2歯ピッチだけずら
せて同軸に配置してある。

作用効果 磁気歯車(1)における駆動側歯車(10)と被駆動側歯車(1
4)との磁気的噛み合いは、各永久磁石(12)(16)が同磁極
を上にして着設してあるため、同磁極対向となり磁気反
発し、駆動側歯車(10)の回転により被駆動側歯車(14)が
逆方向に回転してトルク伝達される。

この際、磁気歯車(1)の駆動側軸(13)と被駆動側軸(17)
に、それぞれ同軸配置される同様構成の磁気歯車(2)
は、磁気歯車(1)の磁気的噛み合い位置と1/2歯ピッチだ
けずれているだけで、全く同じ作用効果を有する。

全く同じ作用効果を有する２対の磁気歯車(1)(2)を同軸
に配置したことことにより、磁気的噛み合い位置を歯車
の1/2歯ピッチだけずらせてあるため、負荷変動にかか
わらず磁気的噛み合いの磁石間空隙が変化なく、トルク
伝達が強く安定した磁気歯車となる。

構成２ 第２図に示す磁気歯車は、第１図に示す磁気歯車(1)(2)
と同様構成の磁気歯車が、磁気的噛み合い位置をそれぞ
れ歯車の1/3歯ピッチずつずらせて同軸に配置してあ
り、２対の磁気歯車(1)(2)を同軸に配置した第１図の構
成と全く同じ作用効果を有する。

詳述すると、永久磁石(38)を着設した３枚の駆動側歯車
(30)(32)(34)が駆動側軸(36)に同軸に配置され、同様に
被駆動側軸(37)に３枚の被駆動側歯車(31)(33)(35)が同
軸に配置され、各対の磁気歯車の磁気的噛み合い位置が
歯車の1/3歯ピッチずつずらせてある。

また、各永久磁石の着設に際して、所要角度の傾斜部材
を介することにより、３対の磁気歯車の各永久磁石をヘ
リカル状に並べることができる。

実施例 第１図に示す２対の磁気歯車を同軸に配置した構成にお
いて、永久磁石に11×７×2.5mm厚みの板状のFe-B-R系
磁石を用い、減速比を１：1.3に設定した駆動側歯車と
被駆動側歯車との間のトルク変動を測定したところ、最
大2000gr-cmのトルクが得られ、磁気的噛み合い位置の
磁石間空隙の変化が少なく、トルク伝達が強く安定した
磁気歯車であった。

これに対して１対の磁気歯車のみの場合、最大740gr-cm
のトルクしか得られず、また、磁気的噛み合い位置の磁
石間空隙が大きく変化して、一方の歯車の永久磁石のな
い歯面と他方の永久磁石とが接触して磁気吸引し、回転
が止まることがあった。

【図面の簡単な説明】

第１図a,bはこの発明による磁気歯車の正面説明図と側
面説明図である。 第２図はこの発明による磁気歯車の他の構成を示す斜視
説明図である。 第３図a,bは従来の磁気歯車を示す正面説明図とその磁
気歯車円盤の側面説明図である。第４図は従来の磁気歯
車を示す斜視説明図である。第５図は従来の磁気歯車を
示す正面説明図である。 1,2……磁気歯車、10,30,32,34……駆動側歯車、11,15,
25……歯面、12,16,26,38……永久磁石、13,17,36,37…
…軸、14,24,31,33,35……被駆動側歯車

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】駆動側と被駆動側の各歯車の歯面に着設し
   た磁石の磁気吸引または反発にてトルク伝達する磁気歯
   車において、 一対の磁気歯車の磁気的噛み合い位置を順次ずらせて複
   数対の磁気歯車を同軸に配置したことを特徴とする磁気
   歯車。