JPH065100U - イオン源 - Google Patents

イオン源

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JPH065100U
JPH065100U JP4428292U JP4428292U JPH065100U JP H065100 U JPH065100 U JP H065100U JP 4428292 U JP4428292 U JP 4428292U JP 4428292 U JP4428292 U JP 4428292U JP H065100 U JPH065100 U JP H065100U
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 イオン源は質量分析装置の前段に設けられて
おり、質量分析装置からは所望の単一のイオンから成る
イオンビームが出射される。イオン源は、プラズマ生成
室7内を加熱するヒータ線14を備えている。プラズマ
生成室7内で生成される複数種類のイオンの構成比は、
室内温度により変化する。例えば、BF3がプラズマ生
成室7内に導入された場合、温度が高くなる程、B+
構成比がBF2 + のそれに比べて大きくなるので、質量
分析装置からB+ を取り出す場合、ヒータ線14により
プラズマ生成室16内を加熱することにより、効率よく
+を取り出すことができる。 【効果】 質量分析装置において効率よく所望のイオン
を取り出すことができるので、所望イオンのビーム量を
増加させることができ、且つイオン源の負担を軽減でき
る。

Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、イオン注入装置等において使用される、イオンを生成してイオンビ ームとして引き出すイオン源に関し、特に、所望のイオンを選択的に取り出す質 量分析手段の前段に設けられるイオン源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イオン源には、例えばマイクロ波型や高周波型、PIG(Penning Ionization Gauge)型等の多くの種類が存在しており、これらの各種のイオン源は、必要と されるイオン種やエネルギー、電流等に応じて最適の機種が使い分けられるよう になっている。
【0003】 例えばマイクロ波型のイオン源は、図7に示すように、マイクロ波を出力する マグネトロン51と、このマグネトロン51に導波管52を介して接続されたプ ラズマチャンバー53とを有しており、プラズマチャンバー53の導波管52側 の壁面には、プラズマチャンバー53によって形成されたプラズマ生成室56と 導波管52とを隔離するウインドウ54が設けられている。そして、このイオン 源は、マグネトロン51から出力されたマイクロ波を導波管52およびウインド ウ54を介してプラズマ生成室56に導入させ、プラズマ生成室56内に導入さ れているBF3 等のガスをマイクロ波放電によりプラズマ化させるようになって いる。これにより、導入ガスに応じた複数種類のイオン(例えば、導入ガスがB F3 の場合、B+ 、BF2 + 等)がプラズマ生成室56内に生成される。
【0004】 また、上記プラズマ生成室56にプラズマが生成された後、上記プラズマチャ ンバー53と引出し電極57との間に高電圧を印加して所定の電位差を生じさせ ることにより、上記プラズマ生成室56内から複数種類の同極性のイオンを引出 してイオンビームを形成するようになっている。
【0005】 上記のようなイオン源が、例えばイオン注入装置に用いられる場合、プラズマ 生成室56内から引出された複数種類のイオンから成るイオンビームは、図示し ない質量分析装置において所望のイオンのみが選別され、この選別された所望の イオンのみが図示しないターゲットに照射されるようになっている。
【0006】 そして、ターゲット上におけるイオンビーム(所望の単一イオンから成るイオ ンビーム)の電流量を調整するには、マグネトロン51から出力されるマイクロ 波電力を変化させ、プラズマ生成室56内に生成されるブラズマ密度(即ち、イ オンの密度)を調整することにより行われている。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
ここで、例えば、プラズマ生成室56内にBF3 を導入してB+ 、BF2 + を 含む複数種類のイオンを生成し、質量分析部においてB+ あるいはBF2 + のみ を選択的に取り出してB+ あるいはBF2 + から成るイオンビームを得ようとす る場合を考えてみる。例えば、大電流のイオンビーム(B+ またはBF2 + の単 一イオンから成るイオンビーム)を得ようとする場合、所望のイオンがB+ であ っても、BF2 + であっても、従来では、単にマグネトロン51から出力される マイクロ波電力をアップし、プラズマ生成室56内に生成されるブラズマ密度( 即ち、イオンの密度)を高めることのみしか行われていない。したがって、例え ばB+ のイオンビームを得ようとするとき、B+ 以外の不要イオン(BF2 + 等 )を生成するためにも多量のマイクロ波電力が消費されるため、効率が悪く大電 流のイオンビームが得られないと共に、それだけイオン源の負担も大きくなる。
【0008】 本考案は上記に鑑みなされたものであり、その目的は、プラズマ生成室内に生 成されるプラズマを構成する複数のイオンの構成比を調整することにより、所望 イオンのビーム形成を効率的に行い、所望イオンのビーム量の増大を図り、イオ ン源の負担を軽減することができるイオン源を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】 請求項1の本考案のイオン源は、上記の課題を解決するために、所望のイオン を選択的に取り出す質量分析手段の前段に設けられるものであり、導入されたイ オン源物質を電離させて複数種類のイオンを含むプラズマを生成するプラズマ生 成室を有し、このプラズマ生成室からイオンを引き出してイオンビームを形成す るイオン源であって、以下の手段を講じている。
【0010】 即ち、上記質量分析手段により取り出されるイオンに応じて、上記プラズマ生 成室内を加熱する加熱手段を備えている。
【0011】 請求項2の本考案のイオン源は、上記の課題を解決するために、所望のイオン を選択的に取り出す質量分析手段の前段に設けられるものであり、導入されたイ オン源物質を電離させて複数種類のイオンを含むプラズマを生成するプラズマ生 成室を有し、このプラズマ生成室からイオンを引き出してイオンビームを形成す るイオン源であって、以下の手段を講じている。
【0012】 即ち、上記質量分析手段により取り出されるイオンに応じて、上記プラズマ生 成室内を冷却する冷却手段を備えている。
【0013】 請求項3の本考案のイオン源は、上記の課題を解決するために、所望のイオン を選択的に取り出す質量分析手段の前段に設けられるものであり、導入されたイ オン源物質を電離させて複数種類のイオンを含むプラズマを生成するプラズマ生 成室を有し、このプラズマ生成室からイオンを引き出してイオンビームを形成す るイオン源であって、以下の手段を講じている。
【0014】 即ち、上記プラズマ生成室内を加熱する加熱手段と、上記プラズマ生成室内を 冷却する冷却手段とを有する温度調整手段を備え、上記温度調整手段は、上記質 量分析手段により取り出されるイオンに応じてプラズマ生成室内の温度を調整す るようになっている。
【0015】
【作用】
上記請求項1の構成によれば、イオン源は質量分析手段の前段に設けられてお り、イオン源において生成された複数種類のイオンを含むイオンビームは、質量 分析手段において所望のイオンのみが選択的に取り出され、単一のイオンから成 るイオンビームになる。
【0016】 ところで、プラズマ生成室内で生成される複数種類のイオンの構成比は、プラ ズマ生成室内の温度により変化する。例えば、イオン源物質としてBF3 が用い られた場合、プラズマ生成室内温度が高くなる程、B+ の構成比がBF2 + のそ れに比べて大きくなる。
【0017】 本イオン源は、プラズマ生成室内を加熱する加熱手段を有しているので、質量 分析手段により取り出されるイオンが、温度が高い方がプラズマ生成室内での構 成比が大きくなるようなイオン(例えば上記B+ 等)である場合、上記加熱手段 によりプラズマ生成室内を加熱することにより、そのイオンのイオン源から引き 出されたイオンビーム中の構成比も大きくなる。したがって、質量分析手段によ り取り出されるイオンのビーム量が増加する。即ち、質量分析手段において効率 よく所望のイオンを取り出すことができ、イオン源の負担が軽減される。
【0018】 上記請求項2の構成によれば、プラズマ生成室内を冷却する冷却手段を有して いるので、質量分析手段により取り出されるイオンが、温度が低い方がプラズマ 生成室内での構成比が大きくなるようなイオン(例えば上記BF2 + 等)である 場合、上記冷却手段によりプラズマ生成室内を冷却することにより、そのイオン のイオン源から引き出されたイオンビーム中の構成比も大きくなる。したがって 、質量分析手段により取り出されるイオンのビーム量が増加する。即ち、質量分 析手段において効率よく所望のイオンを取り出すことができ、イオン源の負担が 軽減される。
【0019】 上記請求項3の構成によれば、上記プラズマ生成室内を加熱する加熱手段と、 上記プラズマ生成室内を冷却する冷却手段とを有する温度調整手段を備えている ので、質量分析手段により取り出されるイオンに応じて、プラズマ生成室内での 構成比が大きくなるように、上記加熱手段または冷却手段によりプラズマ生成室 内の温度を調整すれば、質量分析手段において効率よく所望のイオンを取り出す ことができ、質量分析手段により取り出されるイオンのビーム量を増加させるこ とができると共に、イオン源の負担が軽減される。
【0020】
【実施例】
〔実施例1〕 本考案の一実施例について図1に基づいて説明すれば、以下の通りである。
【0021】 本実施例のイオン源は、電子サイクロトロン共鳴(ECR:Electron Cyclotr on Resonance)条件の磁界中でマイクロ波放電を生じさせてプラズマを生成し、 このプラズマからイオンをビームとして引き出すマイクロ波型のイオン源(EC Rイオン源)であり、例えばイオン注入装置に搭載されるようになっている。
【0022】 上記イオン源は、図1に示すように、例えば2.45GHzのマイクロ波を出力 するマグネトロン1と、このマグネトロン1を作動させるマグネトロン電源2と を有しており、マグネトロン1は、導波管3を介してプラズマチャンバ4に接続 されている。
【0023】 上記のプラズマチャンバ4は、プラズマ生成室7を形成しており、このプラズ マ生成室7には、BF3 等のイオン源物質が導入されるようになっている。また 、プラズマチャンバ4の導波管3側の内壁面には、ウインドウ5が配設されてお り、このウインドウ5は、導波管3とプラズマ生成室7とを隔離するようになっ ていると共に、マグネトロン1から導波管3を介して出力されたマイクロ波をプ ラズマ生成室7に導入させるようになっている。
【0024】 また、プラズマチャンバー4の他の内壁面には、BF3 等のガスに対して耐蝕 性を有した、例えばBN等から成るライナー13…が設けられている。これらの 各ライナー13…のプラズマチャンバー4側の一方面には、溝部が刻み込まれて おり、この溝部に加熱手段としてのヒータ線14(例えばニクロム線、Ta線等 )が嵌合されている(即ち、ヒータ線14が各ライナー13…に巻回されている )。上記ヒータ線14は、図示しない加熱電源(加熱手段)から電力が供給され ることによって発熱し、プラズマ生成室7内の温度を上昇させる。
【0025】 また、プラズマチャンバー4の一部位には、プラズマ生成室7内の温度を測定 するための熱電対15が設けられている。上記熱電対15は、図示しない制御装 置に接続されており、この制御装置は、熱電対15からの温度情報に基づいて、 プラズマ生成室7内が設定温度になるように加熱電源(加熱手段)の出力を調整 するようになっている。尚、プラズマ生成室7内の温度を測定する温度測定手段 として、上記熱電対15以外のものが使用されてもよい。
【0026】 上記のプラズマチャンバ4は、後述の引出電極8および減速電極9等と共に、 気密状態にされたイオン源チャンバ12に内蔵されており、このイオン源チャン バ12は、図示しない真空排気手段によって高真空状態にされるようになってい る。
【0027】 また、プラズマチャンバ4の周囲には、ソレノイドコイル6a・6bを備えた ソースマグネット6が配設されており、このソースマグネット6は、プラズマ生 成室7内に、ビーム引き出し方向と平行な磁界を形成するようになっている。上 記ソレノイドコイル6a・6bには、図示しないソースマグネット電源が接続さ れており、ソースマグネット電源よりソースマグネット電流が供給されるように なっている。
【0028】 また、プラズマチャンバ4のウインドウ5と対向する壁面には、外部にイオン を放出させるイオン引出スリット4aが形成されている。このイオン引出スリッ ト4aからイオンの放出方向には、ビーム通過孔8aが形成された引出電極8お よびビーム通過孔9aが形成された減速電極9がこの順に配設されている。
【0029】 上記減速電極9は接地されて大地電位に、そして、引出電極8は減速電極9よ りも負電位になるように、減速電源10より負電圧が印加されている。そして、 プラズマチャンバ4には、引出電源11の正極端子が接続されており、この引出 電源11より高電圧の引出電圧が印加されるようになっている。これにより、プ ラズマチャンバ4と引出電極8との間に所定の電位差が生じ、プラズマ生成室7 に強い外部電界が形成され、この外部電界により、プラズマ生成室7内のプラズ マからイオンが引き出され、イオンビームが形成されるようになっている。また 、上記のように、引出電極8を減速電極9よりも負電位にすることにより、引出 電極8よりも下流で発生した電子の逆流を防ぐことができるようになっている。
【0030】 上記引出電極8によりプラズマ生成室7から引き出されたイオンビームの進行 方向には、図示しない質量分析装置(質量分析手段)が配設されている。この質 量分析装置は、特定質量のイオンのみを選択的に取り出すようになっている。し たがって、プラズマ生成室7から引き出されたイオンビームは、この質量分析装 置を通過することにより、単一イオンから成るイオンビームとなる。例えば、イ オン注入装置の場合、質量分析装置を通過後の単一イオンから成るイオンビーム が、必要により加速、偏向、整形、走査され、ターゲットに照射される。
【0031】 上記の構成において、イオン源の動作について説明する。
【0032】 先ず、イオン源チャンバ12が図示しない真空排気手段によって排気され、高 真空状態にされる。また、図示しない加熱電源の電力がヒータ線14に供給され ることによって、ヒータ線14が発熱を開始し、このヒータ線14がライナー1 3…を介してプラズマ生成室7内の温度を、プラズマによる加熱で平衡となる温 度付近まで上昇させる。次に、プラズマ生成室7内にイオン源物質が導入される 。ここでは、イオン源物質としてBF3 を用いて説明する。そして、ソースマグ ネット6のソレノイドコイル6a・6bにソースマグネット電源よりソースマグ ネット電流が供給され、プラズマ生成室7にビーム引き出し方向と略平行な磁界 が形成される。この後、マグネトロン1が作動され、マイクロ波電力の出力が開 始されることになる。
【0033】 このマイクロ波は、導波管3を介してウインドウ8に到達し、このウインドウ 8を通過してプラズマ生成室7に導入されることになる。そして、ECR現象に よるマイクロ波放電によって、プラズマ生成室7に導入されているBF3 がプラ ズマ化され、B+ 、BF2 + を含む複数種類のイオンが生成される。
【0034】 ところで、プラズマを構成するB+ およびBF2 + の構成比は、温度により変 化する。具体的には、温度が高くなる程、B+ の構成比がBF2 + のそれに比べ て大きくなる。したがって、プラズマ生成室7内の温度を調整すれば、プラズマ を構成するB+ およびBF2 + の構成比を調整することができる。
【0035】 そこで、本実施例では、B+ からなるイオンビームを形成しようとする場合、 ヒータ線14の発熱量を多くし、プラズマ生成室7内の温度を強制的に高くする 。即ち、制御装置は、熱電対15からの温度情報に基づいて、プラズマ生成室7 内が設定温度になるように加熱電源の出力を調整する。これにより、マイクロ波 電力が従来と同じでも、プラズマ生成室7内のB+ の構成比が従来よりも大きく なる。一方、BF2 + からなるイオンビームを形成しようとする場合、ヒータ線 14の発熱をゼロにし(または、少なくし)、プラズマ生成室7内の温度を強制 的に高めたりせず、プラズマ生成室7内のBF2 + の構成比を比較的高い状態に する。
【0036】 上記のように、得ようとするイオンビームに応じてプラズマ生成室7内のB+ 、BF2 + の構成比がコントロールされた状態で、引出電源11が投入されるこ とにより、上記プラズマチャンバ4と引出電極8との間に所定の電位差が生じ、 プラズマ生成室7に強い外部電界が形成され、この外部電界により、プラズマ生 成室7内のプラズマからB+ およびBF2 + を含む正のイオンが引き出され、イ オンビームが形成される。
【0037】 上記イオンビームは、引出電極8のビーム通過孔8a、および減速電極9のビ ーム通過孔9aを通過した後、質量分析装置へと移送される。そして、この質量 分析装置において所望のイオンが選別され、所望の単一イオンからなるイオンビ ームが形成される。
【0038】 このように、本実施例のイオン源は、プラズマ生成室7内を加熱するヒータ線 14を有し、このヒータ線14によってプラズマ生成室7内の温度を得ようとす るイオンビームに応じて調整することにより、プラズマ生成室7に生成されるプ ラズマを構成する複数のイオンの構成比を、所望イオンの構成比が大きくなるよ うに調整するようになっている。したがって、所望イオンのビーム形成を効率的 に行うことができるので、マイクロ波電力が従来と同じでも、所望イオンのビー ム量の増大が図れる。また、これにより、イオン源の負担を軽減することができ る。
【0039】 尚、本実施例では、イオン源物質としてBF3 を用いた場合について説明した が、これに限定されるものではない。即ち、本実施例のイオン源は、その他のイ オン源物質を用いた場合でも、温度が高い方がプラズマ生成室内での構成比が大 きくなるようなイオンのビームを発生させるときには非常に有効である。
【0040】 また、本実施例のイオン源は、マイクロ波によってイオン源物質を加熱する前 に、ヒータ線14によりイオン源物質を加熱しているため、立ち上げ時のビーム 引出電流安定待ち時間を短縮することも可能になっている。
【0041】 また、本実施例ではライナー13に直接溝部を刻んでこの溝部にヒータ線14 を嵌合させているため、ライナー13全体がヒータの役割を果たし、プラズマ生 成室7内の温度が上昇し易いと共に、構造が簡単でスペース的にも余裕が大きく なる。
【0042】 また、ベーパライザーを備え、イオン源物質としてAs等の金属イオン種を使 用できるイオン源の場合、上記ヒータ線14によってプラズマ生成室7内を金属 イオン種の蒸発温度以上に加熱することにより、金属イオン種の凝固(ライナー への付着)が防止される。これにより、プラズマ生成室7内におけるプラズマの 生成が安定し、安定なビームを得ることができる。
【0043】 尚、本実施例では加熱手段としてヒータ線14が用いられているが、これに限 定されるものではない。例えば、各ライナー13…のプラズマチャンバー4側の 一方面に、セラミック系の板状の発熱部材を設けてもよい。また、本実施例では 加熱手段(ヒータ線14)がライナー13に設けられているが、これに限定され ることはない。即ち、加熱手段は、プラズマチャンバー4の隔壁の外面または内 面の少なくとも一方に設け、このプラズマチャンバー4の隔壁を介してプラズマ 生成室7を加熱するようになっていれば良い。
【0044】 〔実施例2〕 次に、本考案の他の実施例について図2に基づいて説明すれば、以下の通りで ある。尚、便宜上、前記実施例1と同一の構成を有する部材には同一の参照番号 を付してその説明を省略する。
【0045】 本実施例のイオン源は、前記実施例1におけるヒータ線14(図1)および加 熱電源が設けられていない代わりに、図2に示すように、冷却水が通る冷却パイ プ(冷却手段)16がプラズマチャンバー4の周囲に巻き付けられている以外は 、図1に示す前記実施例1と同様の構成であり、質量分析装置の前段に設けられ ている。
【0046】 上記の構成において、本実施例のイオン源においても、ヒータ線14による加 熱を行わない以外は前記実施例1と同様にプラズマ生成室内にプラズマを発生さ せ、イオンビームを形成する。このとき、例えば、プラズマ生成室内に導入され るイオン源物質としてBF3 を用い、BF2 + から成るイオンビームを得ようと する場合、上記冷却パイプ16に常に冷却水を流し、プラズマ生成室内の温度を 強制的に下げる。これにより、マイクロ波電力が従来と同じでも、プラズマ生成 室7内のBF2 + の構成比が従来よりも大きくなり、BF2 + からなるイオンビ ームの形成を効率的に行うことができ、ビーム量の増大が図れると共に、イオン 源の負担を軽減することができる。
【0047】 尚、本実施例では、イオン源物質としてBF3 を用いてBF2 + からなるイオ ンビームを形成する場合について説明したが、これに限定されるものではない。 即ち、本実施例のイオン源は、その他のイオン源物質を用いた場合でも、温度が 低い方がプラズマ生成室内での構成比が大きくなるようなイオンのビームを発生 させる(質量分析装置により取り出す)ときには非常に有効である。
【0048】 〔実施例3〕 次に、本考案の他の実施例について図3ないし図6に基づいて説明すれば、以 下の通りである。尚、便宜上、前記実施例1および実施例2と同一の構成を有す る部材には同一の参照番号を付してその説明を省略する。
【0049】 本実施例のイオン源には、図3に示すように、前記実施例2における冷却パイ プ16(図2)と同様に、冷却水が通る冷却パイプ(温度調整手段、冷却手段) 16′がプラズマチャンバー4の周囲に巻き付けられている。また、上記冷却パ イプ16′の内部には、ヒータ線(温度調整手段、加熱手段)17が設けられて おり、このヒータ線17とこれにに電力を供給する図示しない加熱電源(温度調 整手段、加熱手段)を有する以外は、前記実施例2と同様の構成となっている。 また、本イオン源は、質量分析装置の前段に設けられている。
【0050】 上記ヒータ線17は、図4に示すように、ヒータ芯線17aと、このヒータ芯 線17aを覆う絶縁体17bと、この絶縁体17bを覆うヒータ被覆17cとか ら構成されている。このヒータ線17は、冷却パイプ16′のプラズマチャンバ ー4への巻き付け開始部分付近(図3中のAで示す)において、図5に示すよう に、気密溶接により冷却パイプ16′内から外部に取り出され、その端部が図示 しない加熱電源に接続されている。また、このヒータ線17の他端は、冷却パイ プ16′のプラズマチャンバー4への巻き付け終了部分付近(図3中のBで示す )において、図6に示すように、ヒータ芯線17aが冷却パイプ16′の内壁に 接続されている(電気的に短絡されている)。
【0051】 尚、上記冷却パイプ16′は、所定の基準電位(高電位)に保持されたプラズ マチャンバー4に接触しており、また、上記加熱電源のヒータ線17と接続され ている側と反対側の端子も基準電位(プラズマチャンバー4と同電位)に接続さ れている。上記構成により、上記ヒータ線17は、上記加熱電源から電力が供給 されることによって発熱し、冷却パイプ16′およびプラズマチャンバー4の隔 壁を介してプラズマ生成室内の温度を上昇させる。
【0052】 上記の構成において、本実施例のイオン源においても、前記実施例2と同様に プラズマ生成室内にプラズマを発生させ、イオンビームを形成する。このとき、 例えば、プラズマ生成室内に導入されるイオン源物質としてBF3 を用い、BF2 + から成るイオンビームを得ようとする場合、前記実施例2と同様に上記冷却 パイプ16′に常に冷却水を流し、プラズマ生成室内の温度を強制的に下げる。 これにより、マイクロ波電力が従来と同じでも、プラズマ生成室7内のBF2 + の構成比が従来よりも大きくなり、BF2 + からなるイオンビームの形成を効率 的に行うことができる。
【0053】 一方、イオン源物質としてBF3 を用いた場合でも、B+ から成るイオンビー ムを得ようとする場合は、冷却パイプ16′内に入っている冷却水をオートパー ジシステムにより抜き、加熱電源より上記ヒータ線17に電力を供給してプラズ マ生成室内の温度を強制的に上げる。これにより、マイクロ波電力が従来と同じ でも、プラズマ生成室7内のB+ の構成比が従来よりも大きくなり、B+ からな るイオンビームの形成を効率的に行うことができる。
【0054】 また、ベーパライザーを備え、イオン源物質としてAs等の金属イオン種を使 用できるイオン源の場合、上記ヒータ線17によってプラズマ生成室内を金属イ オン種の蒸発温度以上に加熱することにより、金属イオン種の凝固(ライナーへ の付着)が防止され、プラズマ生成室内におけるプラズマの生成が安定し、安定 なビームを得ることができる。
【0055】 以上のように、本実施例のイオン源は、プラズマチャンバー4の冷却・加熱機 能を備えたものであり、前記実施例1および実施例2の両方の効果を得ることが できる。
【0056】 また、本実施例ではヒータ線17を冷却パイプ16′内に設けたことにより、 スペース的に有利である。勿論、ヒータ線17を冷却パイプ16′内に設けるこ とには限定されず、前記実施例1同様に、プラズマチャンバー4の隔壁の内面側 に設けてもよい。また、加熱手段も上記ヒータ線17に限定されず、例えばセラ ミック系の板状の発熱部材であってもよい。
【0057】 尚、上記各実施例においては、マイクロ波型のイオン源について説明している が、これに限定されるものではなく、例えばフリーマン型イオン源等、他の方式 のイオン源にも適応できる。
【0058】
【考案の効果】
請求項1の本考案のイオン源は、以上のように、所望のイオンを選択的に取り 出す質量分析手段の前段に設けられるものであり、上記質量分析手段により取り 出されるイオンに応じて、プラズマ生成室内を加熱する加熱手段を備えている構 成である。
【0059】 それゆえ、上記加熱手段によりプラズマ生成室内を加熱することにより、温度 が高い方がプラズマ生成室内での構成比が大きくなるようなイオン(例えばBF3 をイオン源物質としたときのB+ 等)を質量分析手段において取り出す場合に 、質量分析手段において効率よくそのイオンを取り出すことができる。したがっ て、質量分析手段により取り出されるイオンのビーム量を増加させることができ ると共に、イオン源の負担を軽減することができるという効果を奏する。
【0060】 請求項2の本考案のイオン源は、以上のように、所望のイオンを選択的に取り 出す質量分析手段の前段に設けられるものであり、上記質量分析手段により取り 出されるイオンに応じて、プラズマ生成室内を冷却する冷却手段を備えている構 成である。
【0061】 それゆえ、上記冷却手段によりプラズマ生成室内を冷却することにより、温度 が低い方がプラズマ生成室内での構成比が大きくなるようなイオン(例えばBF3 をイオン源物質としたときのBF2 + 等)を質量分析手段において取り出す場 合に、質量分析手段において効率よくそのイオンを取り出すことができる。した がって、質量分析手段により取り出されるイオンのビーム量を増加させることが できると共に、イオン源の負担を軽減することができるという効果を奏する。
【0062】 請求項3の本考案のイオン源は、以上のように、所望のイオンを選択的に取り 出す質量分析手段の前段に設けられるものであり、プラズマ生成室内を加熱する 加熱手段と、上記プラズマ生成室内を冷却する冷却手段とを有する温度調整手段 を備え、上記温度調整手段は、上記質量分析手段により取り出されるイオンに応 じてプラズマ生成室内の温度を調整するような構成である。
【0063】 それゆえ、質量分析手段により取り出されるイオンに応じて、プラズマ生成室 内での構成比が大きくなるように、上記加熱手段または冷却手段によりプラズマ 生成室内の温度を調整すれば、質量分析手段において効率よく所望のイオンを取 り出すことができる。したがって、質量分析手段により取り出されるイオンのビ ーム量を増加させることができると共に、イオン源の負担を軽減することができ るという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の一実施例を示すものであり、マイクロ
波型イオン源の要部構成を示す概略の横断面図である。
【図2】本考案の他の実施例を示すものであり、マイク
ロ波型イオン源の要部構成を示す概略の説明図である。
【図3】本考案のさらに他の実施例を示すものであり、
マイクロ波型イオン源の要部構成を示す概略の説明図で
ある。
【図4】図3のイオン源に備えられている冷却パイプ内
に設けられているヒータ線を示す横断面図である。
【図5】図3のイオン源に備えられている冷却パイプの
プラズマチャンバーへの巻き付け開始部分付近を示す概
略の縦断面図である。
【図6】図3のイオン源に備えられている冷却パイプの
プラズマチャンバーへの巻き付け終了部分付近を示す概
略の縦断面図である。
【図7】従来例を示すものであり、マイクロ波型イオン
源の要部構成を示す概略の横断面図である。
【符号の説明】
4 プラズマチャンバー 7 プラズマ生成室 13 ライナー 14 ヒータ線(加熱手段) 15 熱電対 16 冷却パイプ(冷却手段) 16′ 冷却パイプ(温度調整手段、冷却手段) 17 ヒータ線(温度調整手段、加熱手段)

Claims (3)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】所望のイオンを選択的に取り出す質量分析
    手段の前段に設けられるものであり、導入されたイオン
    源物質を電離させて複数種類のイオンを含むプラズマを
    生成するプラズマ生成室を有し、このプラズマ生成室か
    らイオンを引き出してイオンビームを形成するイオン源
    であって、 上記質量分析手段により取り出されるイオンに応じて、
    上記プラズマ生成室内を加熱する加熱手段を備えている
    ことを特徴とするイオン源。
  2. 【請求項2】所望のイオンを選択的に取り出す質量分析
    手段の前段に設けられるものであり、導入されたイオン
    源物質を電離させて複数種類のイオンを含むプラズマを
    生成するプラズマ生成室を有し、このプラズマ生成室か
    らイオンを引き出してイオンビームを形成するイオン源
    であって、 上記質量分析手段により取り出されるイオンに応じて、
    上記プラズマ生成室内を冷却する冷却手段を備えている
    ことを特徴とするイオン源。
  3. 【請求項3】所望のイオンを選択的に取り出す質量分析
    手段の前段に設けられるものであり、導入されたイオン
    源物質を電離させて複数種類のイオンを含むプラズマを
    生成するプラズマ生成室を有し、このプラズマ生成室か
    らイオンを引き出してイオンビームを形成するイオン源
    であって、 上記プラズマ生成室内を加熱する加熱手段と、上記プラ
    ズマ生成室内を冷却する冷却手段とを有する温度調整手
    段を備え、上記温度調整手段は、上記質量分析手段によ
    り取り出されるイオンに応じてプラズマ生成室内の温度
    を調整することを特徴とするイオン源。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007115704A (ja) * 1999-12-13 2007-05-10 Semequip Inc イオン注入イオン源、システム、および方法
JP2013211232A (ja) * 2012-03-30 2013-10-10 Sumitomo Heavy Ind Ltd マイクロ波イオン源

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