JPH0649760U - エアクリーナ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 本考案は、自動車用のエンジンその他の内燃
機関の吸気系において、取り込まれた空気中に含まれる
微細な塵埃を除去すると共に、その内燃機関から吸気に
伴って発生する吸気騒音のレベルを低下させるエアクリ
ーナに関し、吸気騒音の低減を効率化できることを目的
とする。 【構成】 エアクリーナ本体の下流側にエンジンに接続
する出口管が接続されたエアクリーナにおいて、上記出
口管が接続されたエアクリーナ本体の端部に出口管外周
とエアクリーナ本体とのエレメント端面によって囲繞さ
れた共鳴室を設け、共鳴室内に位置する出口管の位置に
任意寸法の共鳴管を取りつけて構成される。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、自動車用のエンジンその他の内燃機関の吸気系において、取り込ま れた空気中に含まれる微細な塵埃を除去すると共に、その内燃機関から吸気に伴 って発生する吸気騒音のレベルを低下させるエアクリーナに関する。

【０００２】

【従来の技術】

内燃機関の吸気系に配置されるエアクリーナには、例えば、過給機付きのエン ジンにおいて、過給機の吸気コンプレッサより上流側の吸気通路にヘルムホルツ 共鳴器を備えることにより吸気騒音の低減をはかり、かつ急激にエンジンの回転 数を上昇させたときの応答性を改善するもの（実開昭58−193016号公報）、吸気 路の途中にエンジンの回転数に応じて共鳴周波数がシフトするヘルムホルツ共鳴 器を備え、その共鳴周波数を吸気振動周波数とほぼ一致させることによりエンジ ンの回転数の広い可変範囲にわたって吸気騒音の低減をはかるもの（実開昭58− 193017号公報）、上述したヘルムホルツ共鳴器を備え、そのヘルムホルツ共鳴器 とその共鳴器の共鳴周波数に同調した共鳴周波数を有する共鳴過給通路を吸気路 との間に配置することにより、エンジンの回転数に応じて変化する騒音を効率的 に低下させるもの（実開昭58−193018号公報）、共鳴通路の長さを温度およびエ ンジンの回転数に応じてフィードフォワード制御して吸気振動に起因した気柱の 共振周波数に共鳴通路を同調させることにより、エンジンの回転数の可変範囲に わたって効率的に吸気騒音を低減し、かつその共鳴通路と共鳴室とをダクトの延 長上に直線的に配置することにより小型化をはかるもの（実開昭63−141870号公 報）、上述した騒音を低減する遮音カバーやレゾネートに吸気ダクト、ラジエー タリザーバタンク、バキュームタンクその他のエンジン周辺の部品を一体成形し 、エンジン周辺のスペースの拡大を拡大をはかりつつ部品点数の削減により低廉 化をはかるもの（実開平２−100858号公報、実開平４−59363 号公報）その他の 多様なものがある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

ところで、これらの従来のエアクリーナでは、エアフィルタより上流側（吸気 路を介する空気の流れについて）にヘルムホルツ共鳴器その他の吸気騒音を吸収 する手段（以下、単に「レゾネータ」という。）が配置されていた。すなわち、 レゾネータの配置点が加振源であるエンジンから遠く離れているために、そのレ ゾネータからエンジンの吸気バルブに至る吸気路の各部を介して吸気騒音の多く が外部に放射され、その騒音の低減が十分にはかられなかった。

【０００４】 また、このような吸気騒音はキャブレター内ではエンジンの吸気動作に付随す るこもり音となり、その騒音の周波数分布は周波数軸上で複数のピーク点を有す る。しかし、レゾネータが吸収可能な周波数域の数は単一であるために、これら のピーク点に個別に対応した成分を効果的に低減することはできなかった。

【０００５】 本考案は、吸気騒音の低減を効率化できるエアクリーナを提供することを目的 とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

本考案は、エアクリーナ本体の下流側にエンジンに接続する出口管が接続され たエアクリーナにおいて、上記出口管が接続されたエアクリーナ本体の端部に出 口管外周とエアクリーナ本体とのエレメント端面によって囲繞された共鳴室を設 け、共鳴室内に位置する出口管の位置に任意寸法の共鳴管を取りつけたことを特 徴とする。

【０００７】

【作用】

本考案にかかわるエアクリーナは、エアクリーナ本体の下流側のエンジン（加 振源）寄りに共鳴室を設けて吸音するので、特に構造伝搬音が低減される。また 、共鳴管の寸法を適宜選ぶことにより、複数の周波数域の吸気騒音が低減される 。

【０００８】

【実施例】

以下、図面に基づいて本考案の実施例について詳細に説明する。 図１は、本考案の一実施例を示す図である。

【０００９】 図において、外部から取り込まれた空気をエンジンの吸気バルブに与える吸気 路上には、その空気の流れの上流側から順に吸気管１１₁ 、エアクリーナ１２、 および吸気管１１₂ が直列に配置される。

【００１０】 エアクリーナ１２は、２つの端板によって挟まれた筒体内に各構成要素を配置 して形成され、かつその筒体の内部は単一の仕切り板によって軸に垂直な方向に 二分される。このような仕切り板と上述した端板の内の一方とで挟まれた領域に は、吸気管１１₁ を介して取り込まれた空気中に含まれる微細な塵埃を除去する （フィルタ）エレメント１３が配置され、同じ仕切り板と他方の端板とで挟まれ た領域には吸音部１４が形成される。

【００１１】 吸音部１４では、上述した仕切り板および他方の端板の中央部を挿通してエレ メント１３の出力を吸気管１１₂ に導く出口管１５が配置され、その出口管と上 述した筒体の内周面とで挟まれた空間は仕切り板１６₁ 、１６₂ によってその筒 体の軸の方向に二分されて共鳴室１７₁ 、１７₂ を形成する。出口管１５の外側 には、その出口管の内部と共鳴室１７₁ 、１７₂ との間を個別に連通する共鳴管 １８₁ 、１８₂ が配置される。

【００１２】 以下、本実施例の動作を説明する。 エンジン側から発生された吸気騒音は、そのエンジンに近接した点に吸気管１ １₂ を介して配置された共鳴管１８₁ 、１８₂ に到達する。共鳴管１８₁、１８₂ は、このような吸気騒音について予め取得された周波数スペクトラムに応じて長 さや太さが設定され、その周波数スプクトラムの主要な２つのピーク点とこれら のピーク点の両側の分布に応じた共鳴周波数および先鋭度を有する。また、共鳴 室１７₁ 、１７₂ の容積は、このような共鳴周波数に等しい周波数の音波に対し て音響的インピーダンスが十分小さな値となる値に設定される。

【００１３】 共鳴管１８₁ 、１８₂ は、吸気騒音のエネルギーの内、上述した２つのピーク 点に対応した周波数域の成分に共鳴し、これらの成分を個別に共鳴室１７₁ 、１ ７₂ 内に導く。共鳴室１７₁ 、１７₂ では、このようにして導かれた成分を音響 的に短絡することにより吸収する。

【００１４】 このように本実施例によれば、吸音部１４は、吸気路上でエンジン側に近い下 流側に配置され、かつ吸気騒音のエネルギーの大部分が分布する周波数域につい て吸音処理を施すので、反対に吸気路上でエンジンから隔たった上流側に吸音部 を配置した従来例に比べて、吸気管１１₁ の上流側の開口部（大気開口部）から 外部に放射される吸気騒音と、吸気管１１₁ 、１１₂ を外部から機械的に支持す る部材に機械的に伝搬する振動音とが低減される。

【００１５】 したがって、エンジンの吸気バルブから吸音部１４に至る吸気路上の各部から 大きなレベルの吸気騒音が外部に放射されることが未然に防止され、吸気騒音の 低減の効率化がはかられる。

【００１６】 また、本実施例では、吸音部１４がエレメント１３その他と同一の筒体内に一 体化され、本考案にかかわる小型のエアクリーナが実現される。 なお、本実施例では、共鳴管１８₁、１８₂が出口管１５に接合されているが、 本考案では、このような構成に限定されず、例えば、図１の点線枠内に拡大して 示すように、出口管１５の対応する開口に螺嵌（係合）する螺嵌（係合）部を設 けた音響管（ピース）を採用することにより、吸気騒音の周波数スペクトラムの バラツキに適合した微調整を行ったり、共鳴管の構造および種類の標準化をはか って組立作業を容易にすることも可能である。

【００１７】 また、本実施例では、仕切り板１６₁ 、１６₂ および共鳴管１８₁ 、１８₂ を 組み合わせて２つのレゾネータを形成しているが、本考案では、このような構成 に限定されず、吸気騒音の周波数スプクトラムの分布に適合した音響インピーダ ンスを有する共鳴室が実現できるならば、例えば、図２に示すように、所望の数 の仕切り板および共鳴管を適宜配置することにより単一あるいは３つ以上のレゾ ネータを形成してもよい。

【００１８】 さらに、本考案では、吸音部１４の構成要素の材質および寸法については、吸 気騒音の音響的な再放射が十分抑圧できるものであるならば、どのような組み合 わせも許容される。

【００１９】

【考案の効果】

以上説明したように、本考案は、エアクリーナ本体の下流側のエンジン寄りに 共鳴室を設けて吸音することにより構造伝搬音を低減し、かつ共鳴管の寸法を適 宜選ぶことにより複数の周波数域の吸気騒音を低減する。

【００２０】 すなわち、共鳴室がエアクリーナ本体の上流側に配置された従来例に比べて、 吸気騒音の周波数スプクトラムのバラツキに適応しつつ効率的にその騒音の低減 がはかられる。

【００２１】 したがって、本考案を適用した内燃機関が搭載された車両その他の装置では、 運転時の騒音に起因した問題の多くが解決され、性能が高められる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の一実施例を示す図である。

【図２】レゾネータの他の構成例を示す図である。

【符号の説明】

１１ 吸気管 １２ エアクリーナ １３ エレメント １４ 吸音部 １５ 出口管 １６ 仕切り板 １７ 共鳴室 １８ 共鳴管

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 エアクリーナ本体の下流側にエンジンに
   接続する出口管が接続されたエアクリーナにおいて、上
   記出口管が接続されたエアクリーナ本体の端部に出口管
   外周とエアクリーナ本体とのエレメント端面によって囲
   繞された共鳴室を設け、共鳴室内に位置する出口管の位
   置に任意寸法の共鳴管を取りつけたことを特徴とするエ
   アクリーナ。