JPH0649386Y2 - パイプ接続用伸縮継手の成形加工装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、パイプ接続用継手の成形加工装置に関し、特
に比較的延性の小さい金属で伸縮継手を成形加工するの
に適した装置に関する。

〔従来の技術〕

従来、延性の小さい金属で伸縮継手を成形加工する場合
は、第１図に示すように、細い管ａを曲げ加工し半円形
に切断してから溶接によりドーナツ管ｂを作ることとも
に、リングｃから加工されたものｃ′をドーナツ管ｂに
溶接して、これに板材ｄから作った短管ｅを溶接し、さ
らに焼鈍スリット加工を行なうという極めて複雑な工程
を必要としており、このようにして得られた伸縮継手
は、スリット加工による誤差の発生を招くほか、第２図
に示すように多くの溶接個所f₁〜f₆を有して、溶接歪に
よる寸法精度の低下をきたすという問題点がある。

〔考案が解決しようとする課題〕

本考案は、このような問題点の解決をはかろうとするも
ので、延性の低い、したがって曲げ加工に長い加工時間
を必要とする金属製の板材を素材とした場合に、金型お
よび素材を加熱して、素材を長時間にわたる加工の期間
中適切な温度に保持することにより、素材の適切な温度
のもとでの熱間プレス加工を可能にし、例えばチタン厚
板のように、加工に長時間（約１時間）を必要とする素
材の曲げ加工を可能ならしめるとともに、簡素な工程
で、溶接個所を少なくしながら、効率よくパイプ接続用
伸縮継手を成形加工できるようにしたパイプ接続用伸縮
継手の成形加工装置を提供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

このため、本考案のパイプ接続用伸縮継手の成形加工装
置は、延性の低い金属製の穴あき円板を成形加工してパ
イプ接続用伸縮継手を構成する半割れオメガ型断面をも
つリング状部材を製造する成形加工装置において、同成
形加工装置が、金型としてのパンチと金型としてのダイ
スとをそなえたプレス装置を有し、上記ダイスの外周部
に溝が形成され同溝にヒーターが取付けられる一方、上
記パンチのほぼ中央部にヒーターが取付けられとともに
同パンチの温度制御のためのサーモスタットが同パンチ
に組込まれていることを特徴としている。

〔作用〕

上述の本考案のパイプ接続用伸縮継手の成形加工装置で
は、延性の低い金属製の穴あき円板からパイプ接続用伸
縮継手を構成する半割れオメガ型断面のリング状部材を
成形加工する装置において、金型としてのパンチとダイ
スとにそれぞれ取付けられたヒーターが、上記のパンチ
とダイスとを加熱して、上記穴あき円板が、長時間にわ
たる加工の期間中に温度低下を来すことのないように作
用する。

また、上記パンチに組込まれたサーモスタットが、上記
のパンチや金属製穴あき円板の温度制御作用を行なう。

〔実施例〕

以下、図面により本考案の一実施例としてのパイプ接続
用伸縮継手の成形加工装置について説明すると、第３図
はその成形加工装置による加工工程説明図、第４図はそ
の成形加工装置により製造された伸縮継手の一部を示す
断面図、第５図はその成形加工装置の要部を示す断面図
である。

この実施例のパイプ接続用伸縮継手の成形加工装置は、
第３図に示すように、例えばチタン板厚のような、延性
の低い材料の金属板材１についてそれぞれ切断加工と穴
あけとを行なって穴あき円板２を作り、この穴あき円板
２を素材（ブランク）としてこれからパイプ接続用伸縮
継手を構成する半割れオメガ型断面をもつリング状部材
を成形加工する装置である。

すなわち、第５図において、成形加工装置は金型として
のパンチ３と金型としてのダイス４とをそなえた公知の
プレス装置Ｐを有している。

そして、パンチ３内のほぼ中央部に溝11が形成されて、
溝11にヒーター3aが取付けられている。一方ダイス４の
側部にも溝12が形成されて溝12にヒーター4aが取付けら
れて、いわゆる熱間プレスを構成している。

符号７はプレス装置Ｐにそなえられたブランクホルダー
を示していて、ブランクホルダー７は成形加工の前には
ダイスクッションピン８でパンチ３と同じ高さに押し上
げられていて、その上に素材（穴あき円板２）を載せる
ことができるように構成されている。

また、符号９はガイドを示していて、素材の穴あき円板
２をパンチ３の中心にセットできるように、穴あき円板
２の穴と同じ大きさに作られていて、パンチ３の上部に
取付けられている。

さらに符号10は、ダイス４を保持するダイスホルダーを
示し、符号６はパンチ３の温度制御のためにパンチ３に
組込まれたサーモスタットを示している。

上述の構成により、穴あき円板２が、加熱されたパンチ
３とダイス４との間にセットされて、プレス装置Ｐによ
り加圧されると、この穴あき円板２は徐々にパンチ３と
ダイス４との隙間に沿って成形されてゆき、最終的に半
割れオメガ型断面をもつリング状部材５がつくられる。
この成形後、リング状部材５はダイスクッションピン８
およびブランクホルダー７により押し上げられて、パン
チ３から取外される。

ところで、この実施例の装置では、金型としてのパンチ
３およびダイス４に、上述のとおりそれぞれヒーター3
a,4aが組込まれていて、これらにより金属製穴あき円板
２の成形プレス加工が適切な温度で、例えば円板２を構
成する素材の伸びが増大したり、あるいは引張り強さが
低下する温度で行なわれるように構成されている。

すなわち、穴あき円板２が比較的延性の少ない金属材、
例えばチタン厚板で作られていて、加工に長時間（例え
ば約１時間）を必要としても、各ヒーター3a,4aの温度
がサーモスタット６により適切に制御されるようになっ
ており、パンチ３とダイス４との間に穴あき円板２がセ
ットされる際には、この穴あき円板２自体も加熱され
て、長時間の加工期間中穴あき円板２が温度低下を来す
おそれがなく、円板２について適切な温度のもとで熱間
成形加工により支障なく加工が行なわれ、その結果、成
形品に割れを生じるおそれがなくなる。

このようにして得られたリング状部材５の一対が、第３
図に示すように、開先加工後に相互に溶接されて、第４
図に示すようなオメガ型断面をもつ伸縮継手に仕上げら
れるのである。

なお、この溶接は、TIG（タングステン・イナートガ
ス）方式によることが望ましい。

〔考案の効果〕

以上詳述したように、本考案のパイプ接続用伸縮継手の
成形加工装置によれば、次のような効果ないし利点が得
られる。

（１）延性の低い金属製の穴あき円板を成形加工してパ
イプ接続用伸縮継手を構成する半割れオメガ型断面をも
つリング状部材を製造するに際し、金型としてのダイス
およびパンチに取付けられたヒーターがダイスおよびパ
ンチを加熱し、加工が長時間にわたってもその加工中上
記円板を適切な加工温度にもとに保持することができる
ので、同円板を適切な温度のもとでの熱間成形加工を行
なうことができて、延性の低い金属を材料とする場合で
も成形品に割れを生じるおそれがなくなる。

（２）ダイスの外周部に溝が形成されて同溝にヒーター
が取付けられているため、ダイスを効率よく高温に加熱
保持できる。

（３）熱間プレス装置のパンチに、温度制御用のサーモ
スタットが組込まれているので、上記のパンチや円板の
温度調節が可能となる。

（４）本装置により製造された半割れオメガ型断面をも
つリング状部材の一対を溶接により接合してオメガ型断
面をもつ伸縮継手に仕上げるという簡素な工程で、溶接
個所を少なくしながら、きわめて効率よく伸縮継手を製
造できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の伸縮継手の製造手順を示す工程図、第２
図は上記従来の製造手順により製造された伸縮継手の一
部を示す断面図であり、第３図は本考案の成形加工装置
による加工工程説明図、第４図は同成形加工装置により
製造された伸縮継手の一部を示す断面図、第５図は本考
案の一実施例としてのパイプ接続用伸縮継手の成形加工
装置の要部を示す断面図である。 １……金属板材、２……穴あき円板、３……金型として
のパンチ、3a……ヒーター、４……金型としてのダイ
ス、4a……ヒーター、５……半割れオメガ型断面をもつ
リング状部材、６……サーモスタット、７……ブランク
ホルダー、８……ダイスクッションピン、９……ガイ
ド、10……ダイスホルダー、11,12……溝、Ａ……伸縮
継手、Ｐ……プレス装置。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】延性の低い金属製の穴あき円板を成形加工
   してパイプ接続用伸縮継手を構成する半割れオメガ型断
   面をもつリング状部材を製造する成形加工装置におい
   て、同成形加工装置が、金型としてのパンチと金型とし
   てのダイスとをそなえたプレス装置を有し、上記ダイス
   の外周部に溝が形成され同溝にヒーターが取付けられる
   一方、上記パンチのほぼ中央部にヒーターが取付けられ
   とともに同パンチの温度制御のためのサーモスタットが
   同パンチに組込まれていることを特徴とする、パイプ接
   続用伸縮継手の成形加工装置。