JPH0648574U - 梳 鋏 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 梳刃の刃部を切れ味の優れた平刃型に形成し
て、かつ、平刃型の梳刃に生ずる毛髪の逃げを特に刃部
の手元側で抑制した梳鋏の製作を容易にして大量生産に
適するようにする。 【構成】 梳刃３の刃部４の手元側から中間までを刃先
６が一方に傾斜した傾斜型平刃８に形成して、切断刃１
の刃部２との摺れ合い角度を互いに平行に近付けるよう
にした。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、直刃形の刃部を具えた刃を切断刃とし、刃部をくし歯形に形成し た梳刃に対して開閉させて調髪用に用いられるようにした梳鋏に関する。

【０００２】

【従来の技術】

主として理容店等において、職業的に使用するこの種の梳鋏には、例えば本出 願人の先願に実願平３−１１４２９２号がある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

くし歯形に形成する梳刃の刃部に平刃型の刃を用いたものは、切断刃の直刃形 の刃部との摺れ合いに際して、刃先から毛髪が逃げ易い欠点がある。この欠点を 除去するために、刃先をＶ字形、あるいはＵ字形にカットしたＶ刃型のものとか Ｕ刃型のものが用いられているが、これらの従来品は、毛髪の逃げを少なくして 刃先内に捉えた髪を束状に片寄せて一度に切断するために、切断抵抗が大になり 、かつ、切り口で毛髪を傷め易くする欠点を生じた。

【０００４】 そこで本出願人は、前記の先願において、梳刃の刃部が形成する刃先線が湾曲 するように手元側で刃の長さを漸減させることにより、平刃型の梳刃における毛 髪の逃げを可及的に低く抑え、切断率を高めるようにした梳鋏を提案した。

【０００５】 上記の先願は、鋏の手元側では切断刃の刃部と梳刃の各刃との摺れ合い時の角 度、即ち摺れ合い角度が大になり、特に平刃型の梳刃にあっては、刃先から毛髪 の逃げる率が高いことに着目して、当該部分で形成される摺れ合い角度を小さく するために梳刃の各刃の長さを、鋏の手元側に最短にし、刃部の中間に向けて漸 次刃長を増すことによって、各刃の刃先と切断刃の刃部との摺れ合い角度を平均 して小さく形成し、それによって毛髪の逃げを低く抑えるようにした。

【０００６】 しかしながら、上記先願の梳刃には、鋏の手元側に刃長の短い刃を形成する場 合の成形加工が困難で量産に適さず、高価になるとともに、刃長の短い刃に切れ 味を出すことが難しいという技術的な問題を生じた。

【０００７】 このようなことから、梳刃の刃部を切れ味の良い平刃で形成し、かつ、平刃型 の梳刃において生ずる切先からの毛髪の逃げを低く抑えるとともに、容易に生産 できるようにすることが、この種の梳鋏において解決すべき課題として残った。

【０００８】

【課題を解決するための手段】

そこで本考案は、刃部を直刃形に形成した切断刃と、くし歯形に刃部を形成し た梳刃とを備えた梳鋏において、前記くし歯形を形成する梳刃の刃部は、少なく とも鋏の手元側から刃部の中間に達する部分にかけて刃長が鋏の手元側の側面で 短くなるように傾斜する傾斜型平刃を具え、各傾斜型平刃は、前記切断刃の刃部 との摺れ合い角度と平行に近付くように、該刃部の手元側では、その傾斜角を大 にし、刃部の中間に向けて漸次傾斜角を減小するように形成してなる梳鋏を提供 するものである。

【０００９】

【作用】

上記のように、鋏の手元側から刃部の中間に達する部分にかけて、手元側の側 面で短くなるように傾斜し、かつ、手元側ではその傾斜角が大になるようにした 傾斜型平刃を梳刃の刃部に具えた本考案梳鋏は、手元側において刃長を特別に短 くしなくても、従来の鋏に比べて切断刃側の刃部との摺れ合い角度の小さな鋭角 となり、切断すべき毛髪を捉え易い。

【００１０】 したがって、毛髪の切断に最適な平刃型の刃部の切れ味を保つことができ、か つ、通常の梳刃の形成と同等の成形加工が可能になり、生産し易くなる。 本考案は、以上のようにして前記課題を解決したものである。

【００１１】

【実施例】 以下に本考案の実施例を図面について説明する。 図において、１は刃部２を直刃形に形成した切断刃、３はくし歯形に刃部４を 形成した梳刃、５は切断刃１と梳刃３を開閉自在に枢着し、互いの刃部２、４を 摺れ合わせるように設けた枢支軸、Ｐ０は、切断刃１の刃先線Ｌ１と、梳刃側の 刃部４が形成する刃先線Ｌ３との交差角である。

【００１２】 梳刃３の刃部４は、図２に示すように、鋏の先端から中間までは前記刃先線 Ｌ３に刃先６を一致させた通常の平刃型の刃７によって形成され、中間から鋏の 手元側へ至るまでは、刃先６が一方へ傾斜した傾斜型平刃８によって形成されて いる。

【００１３】 各傾斜型平刃８は、それぞれ刃先６までの長さが手元側の側面で短くなるよう に傾斜した刃先６を有する。また、各刃先６の傾斜角ｐｎは、図３に示すように 、刃部４の手元側では角度を大にし、刃部４の中間に向けて漸次傾斜角ｐｎを減 小するように設けている。

【００１４】 上記のようにして設けた傾斜型平刃８の傾斜角ｐｎは、図４に示すように、各 刃先６毎に形成される切断刃１の刃先線Ｌ１との摺れ合い角度Ｌｎが互いにほぼ 平行に近付くようにする。 したがって、傾斜型平刃８を設けた手元側から中間に至るまでの梳刃３の刃部 ２に特に生じ易い毛髪の逃げが抑制され、平刃型刃部の切れ味を十分に発揮でき る。

【００１５】 なお、本考案の実施に際し、図示は省略するが、傾斜型平刃を梳刃の刃部の全 長にわたり設ける場合もある。

【００１６】

【考案の効果】

前記のようにして梳刃の刃部に傾斜型平刃を設けた本考案によれば、切断刃と 梳刃の刃部との摺れ合い角度が、鋏の手元側から先端に至るまで小さな角度の鋭 角を形成するので、刃部の長さの全長にわたって毛髪の切断量が平均化し、かつ 、切れ味に優れた梳鋏の使用ができる。

【００１７】 さらに本考案によれば、図示するように、通常の梳鋏とほぼ同様の刃長を有す る平刃型の梳刃を製作することができるので、加工技術が容易になり、大量生産 に好適するなど、多くの実用的効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例を示す正面図。

【図２】実施例をその要部と共に示す一部切欠拡大正面
図。

【図３】傾斜型平刃部分の作用状態を示す説明図。

【図４】同上説明図の拡大図。

【符号の説明】

１ 切断刃 ２ 直刃形の刃部 ３ 梳刃 ４ くし歯形の刃部 ５ 枢支軸 ６ 刃先 ７ 刃 ８ 傾斜型平刃 Ｌ１ 切断刃の刃先線 Ｌ３ 梳刃の刃先線 Ｐ０ 交差角 ｐｎ 傾斜角 Ｌｎ 摺れ合い角度

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 刃部２を直刃形に形成した切断刃１と、
   くし歯形に刃部４を形成した梳刃３とを備えた梳鋏にお
   いて、前記くし歯形を形成する梳刃３の刃部４は、少な
   くとも鋏の手元側から刃部の中間に達する部分にかけて
   刃長が鋏の手元側の側面で短くなるように傾斜する傾斜
   型平刃８を具え、各傾斜型平刃８は、前記切断刃１の刃
   部２との摺れ合い角度Ｌｎと平行に近付くように、該刃
   部４の手元側では、その傾斜角ｐｎを大にし、刃部４の
   中間に向けて漸次傾斜角ｐｎを減小するように形成して
   なる梳鋏。