JPH064497U - 簡易管端封止具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 管端に取り付けてその端部開口を封止する簡
易封止具に関し、管内のガス圧力を受けた時にも管から
抜け落ちないようにすることを目的とする。 【構成】 管の内径側から管内周に強く押し当てられる
径方向に膨張可能な弾性封止部材（３５）に加え、管の
内径側から管内周を保持するコレット部材（４３）を設
けたことを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は例えばガス管の修理或いは敷設工事等の終了後にその管端に取り付け て配管内にガスを強制的に送り込み、配管内に残留している空気を抜く所謂エア パージ作業や、あるいは継手を介して樹脂枝管を樹脂本管に融着した後の気密性 の確認作業（気密試験）に用いられる封止具に関する。

【０００２】

【従来の技術】

このようなエアパージ作業や気密確認作業においては、封止ストッパを管端に 取り付けて管端を封止する必要がある。 従来の封止具は筒状本体の外周に取り付けた相対接近、離反可能な一対のフラ ンジ部材間にゴム材を挟持し、このフランジ部材を管の軸線方向に締め付けてい くことによりゴム材を圧縮し径方向に膨張させる。その結果、このゴム材の外周 部が樽状に広がり、管の内周に強く押し付けられ気密を確保する。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかるに、このような従来の封止具にあっては、封止具本体の管内周面への取 付けは径方向に膨張するゴム材のみにより行なわれているため、管に気密試験時 のエア内圧がかかると抜けてしまうという問題があった。即ち、ゴムは管の内周 に圧着されることにより、管との気密性を確保すると同時に管に対する内径チャ ックの役割も果たしていた。上記のエアパージ作業や気密試験では、封止具の外 端に取り付けられるエア供給管を介して所定圧力のエアを配管内部に送り込むこ とになるが、そのエア内圧がある程度の大きさ（例えば、１kg／cm² ）の場合に は、ゴムの保持力だけでは不十分となり、封止具が配管から抜けてしまう。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案の目的は上述の如き問題点を解決し、確実な気密保持と同時に抜け止め 防止可能な簡易封止具を提供することにある。 本考案の基本構想は、気密部材（上記のゴム材に相当）とは別個に管の内径保 持部材を設けることにより問題の解決を図ったことにある。 上記目的を達成するために、本考案にかかる封止具は、取り付けるべき管の内 径内に挿入される中心孔付き筒状本体と、上記筒状本体の外周上に取り付けられ る軸線方向に相対的に可動な一対のフランジ部材と、これらフランジ部材間に挿 着され両フランジ部材の相対接近により圧縮されて径方向に膨張し管の内周に押 し付けられる弾性封止部材と、上記筒状本体の外周上に取り付けられ、軸線方向 の押圧力を受けて径方向に拡開して管の内周に押し付けられる内径チャック用コ レット部材と、上記コレット部材及びフランジ部材に軸線方向の押圧力を加える 加圧部材とを有することを構成上の特徴とする。

【０００５】 好ましくは、上記加圧部材はナット部材により構成され、上記筒状本体の外周 には該ナット部材が螺合する外周ねじが形成される。 更に、上記筒状本体の一端にエア供給管を接続するための取付けねじ孔を形成 すれば、ここにエア供給管を簡単に接続することが出来る。

【０００６】

【作用】

本考案によれば、弾性封止部材に加え、弾性封止部材と同様に軸線方向の押圧 力を受けて径方向に拡開して管の内周に押し付けられる内径チャック用コレット 部材が設けられるので、管への保持力は弾性封止部材のみならずこのコレット部 材により確保され、従って、配管に大きな内圧が作用しても封止具が抜け落ちる 心配はない。管の気密性は従来と同様に弾性封止部材により確保される。 また、加圧部材をナット部材により構成すれば、このナット部材を相対回転さ せることによりナット部材が封止具本体に相対的に管軸線方向に動き、弾性封止 部材及びコレット部材を軸線方向に押圧することができる。その結果、弾性封止 部材及びコレット部材の管径方向への拡開が生じ、共に管内周に強く圧接せしめ られる。

【０００７】

【実施例】 以下、添付図面を用いて本考案の実施例を詳細に説明する。 図１〜３において、管端封止具は例えば、ガス管等の管Ｐの一端の開口内に挿 入される筒状の本体１１を有し、該本体１１にはその中心にガス通路を形成する 貫通孔１３が形成されている。本体１１の外端（図の右端）にはテーパねじ孔１ ５が形成され、そこにナット２１を有するカプラ１９がナット２１により着脱自 在に固定される。カプラ１９には外部から管Ｐ内に例えば気密試験用のエアを供 給するエア供給管（図示せず）が必要に応じて取り付けられる。

【０００８】 本体１１にはその外周の一部に外周ねじ２３が形成され、ここにナット部材２ ５が螺合せしめられる。ナット部材２５は後述の如く、弾性封止部材３５とコレ ット部材４３を管Ｐの軸線Ｘ方向に押圧する加圧手段を構成する。ナット部材２ ５の外周には好ましくはハンドルレバー２７が固設され、作業者がナット部材２ ５を回転させるときに小さな力で簡単に行なえるようにする。ナット部材２５の 一端面（図の左端面）側において、本体１１の外周上にはスラストワッシャ２９ が軸線Ｘ方向に可動に設けられ、ナット部材２５により図において左方に押され た時に同方向に動く。尚、スラストワッシャ２９は必ずしも必要ない。

【０００９】 スラストワッシャ２９の左方には本考案の特徴であるコレット部材４３が設け られる。コレット部材４３自体は公知のコレットチャックに用いられるものでよ く、例えば図に示す如く、滑らかな楔型接触面を有する一対のコレット素子４３ ａ、４３ｂ（内筒、外筒）からなるもの等が使用できる。その場合、例えばコレ ット素子４３ａが周方向に３つあるいは４つに分割され、軸線Ｘ方向の力を受け た時に管径方向に拡開する。図示実施例では、内側のコレット素子４３ｂがスラ ストワッシャ２９を介してナット部材２５により左方に押されるとコレット素子 ４３ａ、４３ｂ間の楔作用により外側のコレット素子４３ａが径方向に移動し、 図２に示す状態（圧縮前）から図３に示す状態（圧縮後）に移行する。即ち、図 ３の状態では、コレット部材４３は管Ｐの内周を内径側から強く保持する内径チ ャックとして作用する。コレット部材４３は軸線方向の力を受けた時に径方向に 拡開するものであれば特に特定のものに限定されない。

【００１０】 尚、４９はコレット素子４３ａがばらばらになるのを防止するＯリング４９で ある。外側コレット素子４３ａの外周面は滑り止めのためにローレット加工等を 施すことも可能である。前述の如く、スラストワッシャ２９を設けることなく、 ナット部材２５により内側コレット素子４３ｂを直接押圧することも可能である 。

【００１１】 コレット部材４３の更に左方には、本体１１の外周上に相対的に接近、離反可 能な一対のフランジ部材５１、５３が設けられ、その間に比較的軟いゴム等によ り形成した略樽状の弾性封止部材３５が配設される。図示実施例では第１フラン ジ部材５１が軸線Ｘ方向に可動であり、第２フランジ部材５３が固定である。尚 、両フランジ部材とも可動でもよい。但し、いずれの場合も、第２フランジ部材 ５３は図において、左方には動き得ない。即ち、第２フランジ部材５３は本体１ １の内端（図の左端）に例えばノックピン６１により固定されたストップカラー ６３により左方への動きを阻止される。

【００１２】 弾性封止部材３５はその自由状態において、図１では円筒体として描かれてい る（それでも一向に差し支えない）が、実際上は好ましくは図２に示す如く僅か に径方向外側に膨らんだ樽型をしている。 弾性封止部材３５は一対のフランジ部材５１、５３間に挟み込まれ、図２に示 す圧縮前の状態から両フランジ部材が接近する方向に締め付けられた時に、径方 向外側に膨張（弾性変形）し、図３に示す如く、その中央部が外方に大きく膨ら んだ顕著な樽形状を呈する。その結果、弾性封止部材３５は管Ｐの内周に内側か ら強く押し付けられ、管Ｐに対する気密性を確保する。

【００１３】 内側コレット素子４３ｂの先端面と第１フランジ部材５１との間には復帰圧縮 ばね６９が設けられ、内側コレット素子４３ｂを常に図において右方（初期位置 側）に付勢している。尚、ばね６９は第１フランジ部材５１に切欠きを設けて第 １フランジ部材５１の代わりに弾性封止部材３５に直接当接させたり、あるいは 本体１１と内側コレット素子４３ｂとの間に設けてもよい。また、圧縮ばねの代 わりに引張ばねとして内側コレット素子４３ｂを図において右方に引っ張るよう にすることも可能である。要は内側コレット素子４３ｂに図において右方の復帰 力を付与するものであればよい。また、弾性封止部材３５自身が弾性復原力を有 するので、復帰ばね６９等の特別な復帰手段を省略することも可能である。

【００１４】 弾性封止部材３５はナット部材２５による外力が解放された時に（即ち、ナッ ト部材２５を解放方向に回した時に）、その弾性復元力により図２に示す自由状 態に復帰し、この時、内側コレット素子４３ｂはばね６９の力により右方の初期 位置に向かって押し戻される。その結果、外側コレット素子４３ａも径方向に縮 み元の状態（図２）に戻る。 尚、図１において、２８は本体１１の適所に設けられるグリップであるが、ハ ンドルレバー２７を持ってナット部材２５を所定方向に回転する時に他方の手で このグリップ２８を掴めば作業がし易い。しかしながら、このグリップ２８は必 ずしも必要ない。

【００１５】 弾性封止部材３５の外径は図３に示す如く、管Ｐに挿入しない状態で軸線方向 に圧縮、径方向に膨張させたときにコレット部材４３の最大外径よりも僅かに大 きくなるような値である。そうすることにより、実際に管Ｐ内で弾性封止部材３ ５を圧縮、膨張させた時に管Ｐに弾性的に圧接され得る。

【００１６】 以上の如く構成した簡易管端封止具は次の如く作動する。 初めに、封止具全体を図１に示す如く管Ｐ内に挿入する。挿入深さは少なくと もコレット部材４３が管Ｐ内に没するまで入れる。そこで、ハンドルレバー２７ を持ってナット部材２５を所定方向に回す。その結果、図２に示す位置から内側 コレット素子４３ｂがばね６９のばね力に抗してスラストワッシャ２９を介して 左方に押され、その時外側コレット素子４３ａが径方向外側に拡開する。それと 同時に、ばね６９及び第フランジ部材５１を介して、弾性封止部材３５が軸線Ｘ 方向に圧縮され、その結果、径方向外側に膨張する。

【００１７】 コレット部材４３の外側コレット素子４３ａが管Ｐの内径に当接すると、コレ ット部材はもはやそれ以上動けない。即ち、ナット部材２５をそれ以上回転させ ることは出来ない。この時点では、弾性封止部材３５は管Ｐの内径に強く押し付 けられている。斯くして、管Ｐはコレット部材４３によりその内径側からしっか りと保持されると共に、弾性封止部材３５により気密保持される。尚、以上の説 明から明らかな如く、弾性封止部材３５は封止機能のみならず、従来技術と同様 に管Ｐの内径掴持手段としても機能する。他方、コレット部材４３は管Ｐの内径 掴持手段として機能する。

【００１８】 尚、以上の実施例ではナット部材２５を回転させて内側コレット素子４３ｂを 軸線方向に押す構成となっているが、逆にナット部材２５を固定側とし、本体１ １を回転させるようにしてもよい。その場合には、本体１１を回転させてナット 部材に対し右方に動かし、弾性封止部材３５を第２フランジ部材５３側から圧縮 することになる。即ち、図示実施例と作動が丁度逆になるだけで、作用、効果は 全く同一である。

【００１９】

【考案の効果】

以上に記載した通り、本考案によれば、弾性封止手段に気密作用と管内径保持 作用との双方を依存していた従来技術に比較し、弾性封止手段とは別個に管内径 保持手段を設けたので、気密性を損なうことなく保持機能を確実にし、従って、 内圧を受けた時の封止具の管からの抜けという問題は解消される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る簡易管端封止具の側面図である。

【図２】本考案に係る簡易管端封止具の圧縮前の状態を
示す長手断面図解図である。

【図３】本考案に係る簡易管端封止具の圧縮後の状態を
示す長手断面図解図である。

【符号の説明】

１１…本体 １３…中心孔 ２５…ナット部材 ３５…弾性封止部材 ４３…コレット部材 ５１、５３…フランジ部材 Ｐ…管

フロントページの続き (72)考案者 尾崎 洋一郎 大阪府大阪市中央区平野町四丁目１番２号 大阪瓦斯株式会社内 (72)考案者 清水 博 大阪府大阪市中央区平野町四丁目１番２号 大阪瓦斯株式会社内 (72)考案者 倉谷 純一 大阪府大阪市中央区平野町四丁目１番２号 大阪瓦斯株式会社内

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 管端に取り付けてその開口端を封止する
   用具であって、取り付けるべき管（Ｐ）の内径内に挿入
   される中心孔付き筒状本体（１１）と、上記筒状本体の
   外周上に取り付けられる軸線方向に相対的に可動な一対
   のフランジ部材（５１、５３）と、これらフランジ部材
   間に挿着され両フランジ部材の相対接近により圧縮され
   て径方向に膨張し管の内周に押し付けられる弾性封止部
   材（３５）と、上記筒状本体の外周上に取り付けられ、
   軸線方向の押圧力を受けて径方向に拡開して管の内周に
   押し付けられる内径チャック用コレット部材（４３）
   と、上記コレット部材及びフランジ部材に軸線方向の押
   圧力を加える加圧部材（２５）とを有する管端封止具。
2. 【請求項２】 上記加圧部材はナット部材（２５）によ
   り構成され、上記筒状本体の外周には該ナット部材が螺
   合する外周ねじ（２３）が形成されることを特徴とする
   請求項１に記載の管端封止具。
3. 【請求項３】 上記筒状本体の一端にはガス供給管を接
   続するための取付けねじ孔（１５）が形成されることを
   特徴とする請求項１に記載の管端封止具。