JPH0643152A - 高分子体を固相中に固定化する固相アッセイシステム - Google Patents

高分子体を固相中に固定化する固相アッセイシステム

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JPH0643152A
JPH0643152A JP2413835A JP41383590A JPH0643152A JP H0643152 A JPH0643152 A JP H0643152A JP 2413835 A JP2413835 A JP 2413835A JP 41383590 A JP41383590 A JP 41383590A JP H0643152 A JPH0643152 A JP H0643152A
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JP
Japan
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membrane
charge
charge modifier
improved system
amine
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JP2413835A
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English (en)
Inventor
Jonathan M Giacioni
ジャーシオニ、ジョナサン・エム
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Yale University
Original Assignee
Yale University
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 その表面上に固定マトリックスを有するクロ
マトグラフ基質から核酸及び蛋白などの高分子体を固相
中に固定化する固相アッセイシステムにおいて、この固
相として、セルロース系等の公知の材料の有する欠点を
解消して、高分子体を一層効率良く固定化するような大
きな吸着能力と良好な保持性を有する固定マトリックス
を使用することにより、優れた固相アッセイシステムを
提供する。 【構成】 固定マトリックスとして、膜全体に亘って細
孔を有する親水性ミクロポ―ラスナイロン膜であって該
細孔表面がカチオン電荷修飾剤で修飾されて成るカチオ
ン電荷修飾ミクロポ―ラスナイロン膜を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は電荷修飾ミクロポーラス
膜を使用する高分子体のブロッティング、特に核酸及び
蛋白のブロッティングに関する。さらに詳しくは、本発
明は、その表面上に固定マトリックスとしてカチオン電
荷修飾ミクロポーラスナイロン膜を有するクロマトグラ
フ基質から高分子体を固相中に固定化する固相アッセイ
システムに関する。 【0002】 【従来の技術】「Smithies, Zone Electrophoresis in
StarchGels: Group Variations in the Serum Proteins
of Normal Human Adults」〔Biochem. J.61:629641
(1955)〕には、澱粉ゲルはモレキュラーシーブとして
役立ち、それを通してゾーン電気泳動が起こるという記
載がみられる。それ以来、ゲル電気泳動技術は常に確実
な進歩をとげてきた。アクリルアミドゲルや不連続緩衝
システムの導入、ゲル上で解像される蛋白複合体の解コ
ウ用のナトリウムドデシルサルフェート(SDS)の使
用、及びポリアクリルアミドゲル電気泳動用不連続緩衝
システムにおけるSDSの併用などは、近代生物学の分
析手段及び準備手段の発展に対して著しい貢献をしてき
た。これらの技術の主要な目的は、与えられた実験的処
置が行なわれる期間を通して、特殊“バンド”が出現も
しくは消滅することによって蛋白試料の等質性もしくは
複雑性を肉視できるようにすることである。一次元ゲル
はウイルス、バクテリオファージ、赤血球ゴーストメン
ブラン等のような比較的単純な蛋白試料だけを分析する
際に適することが判っている。もっと複雑なシステムで
は一層大きな解像力が要求されたので新しい二次元ゲル
システムが開発された。現在では、最も複雑な蛋白性試
料の一つである無数のポリペプチド類ですら、効果的に
解像されるようになった。 【0003】一つの“バンド”又は“スポット”を既知
の機能と正しく相関させる仕事は困難であることが多
く、かつこのことは蛋白類の解像が蛋白の変性に基づい
ている場合には特に困難である。それにもかかわらず、
ゲル中の特定酵素又はアンチゲン又は糖蛋白又はホルモ
ン受容体の確認を可能とする多くの手段が開発されてき
た。これらの方法は次の前提条件の少なくとも一つを維
持しうるという能力に依存している:(1) ポリペプチド
が電気泳動期間中、活性を保っていること; (2)変性ポ
リペプチドの変性解除;及び (3)電気泳動期間中、検知
可能なリガンドへの追求蛋白の共有結合による架橋。そ
のうえ、ゲルを実際に処理するには多くの操作と長期の
インキュベーション及び洗浄工程を伴う。このことは時
間の無駄であり、かつ湿ゲルの破損や引き裂け又は乾燥
期間中のゲルのクラッキングのような事故を起こす傾向
がしばしばみられる。ゲル分析における問題点を克服す
るために、新しい方法が開発された。 【0004】すなわちアガロース(agarose)ゲルからD
NAパターンをニトロセルロース膜に移動させるため
の、既に確立された方法である“Southern-blotting ”
法がポリアクリルアミドゲルの蛋白パターンにも適用す
ることが可能であることを明らかにした多類の文献が刊
行されている。未処理蛋白パターンがゲルから溶離さ
れ、基層上に固定化される。一方、該基層は“バンド”
もしくは“スポット”を確認するためにゲルに対して適
用されてきたと同様の操作にかけられる。しかし、エレ
クトロホレトグラムを固定マトリックスに移動すること
によって次のような利益が得られるはずである: 1)湿固定マトリックスは柔軟で取り扱い容易; 2)固定化蛋白は容易に均等に各種のリガンドに接近しや
すい(デファレンシャルポーラシティによってゲル中に
導入される各種の制約が解除されることに起因する); 3)一般的に移動分析は小量の試料で実施できる;4)処理
時間(インキュベーション及び洗い)が著しく低減でき
る; 5)多数のレプリカの作製が可能; 6)移動パターンは使用にさき立ち数ヶ月間貯蔵できる; 7)この蛋白トランスファーは複数の分析に耐えられる。
そのうえ、この移動された蛋白パターンは、通常ではゲ
ル上で遂行するには極めて困難か不可能に近い分析法を
受け入れ易い。 【0005】現在では“ブロッティング”なる用語は、
核酸や蛋白のような生物学的高分子体をゲルから固定マ
トリックスへ移動するための方法をいう。この表現は関
係する高分子体の名称と一緒にして、例えば蛋白ブロッ
ティング、DNAブロッティング及びRNAブロッティ
ングのように使われる。固定化された移動蛋白を含む生
成マトリックスは“ブロット”もしくは“トランスファ
ー”と呼ばれ、かつこのものはリガンドによってインキ
ュベーションされうる。この操作は“オーバーレイ”と
呼ばれる一方法である。例えば、免疫−オーバーレイ
(immuno-overlay)、レクチンオーバーレイ又はカルモ
ダリン(calmodulin)オーバーレイは、それぞれ抗体、
レクチン又はカルモダリンによるブロットのインキュベ
ーションを指す。核酸ブロッティングの一種であるDN
Aブロッティングは〔J. Mol. Biol. 98:503〜517(197
5)〕に「Detection of Specific Sequences among DNA
FragmentSeparated by Gel Erectrophoresis 」と題し
てSouthernらが寄稿した“Southern Transfer ”と呼ば
れる技術に基礎を置いている。 【0006】DNAフラグメントをクロマトグラフ分離
したのちに、このDNAをゲル中で変性し、次いで該ゲ
ルの中和を行なう。このゲルを、緩衝液貯槽と接触して
いるガーゼ心ペーパーの間に置き、ニトロセルロースを
該ゲルの頂部に置いて、乾燥したブロッティングペーパ
ーをこのニトロセルロースの頂部に設ける。ゲルを通過
する物質流がDNAを溶離するが、次いでDNAはニト
ロセルロースに結合する。かくして、電気泳動的に分離
されたDNAフラグメントパターンはニトロセルロース
上に移されて保存される。特定のラベル化した核酸を用
いて異種交配するとニトロセルロースに結合した相補フ
ラグメントの検出ができる。 【0007】シングルストランドRNA及びDNAは、
アミノベンジルオキシメチル基で置換したセルロース粉
の該アミンをジアゾ化してジアゾベンジルメチル(DB
M)−セルロースを形成させて活性化したセルロース粉
と共有結合させうることが、1976に発見された。DNA
はニトロセルロースと結合し難く、“Southern Transfe
r ”法の適用を困難もしくは不可能にしていたので、こ
の事実は異種交配技術の間隙を埋めることになった。19
77年には、〔Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 74:53
50〜5354(1977)〕において“Method for Detection
of Specific RNAs in Agarose Gels by Transfer to Di
azobenzyloxymethyl-Paper and Hybridization whih DN
A Probes”と題する論文がAlwineらによって発表され、
ここでは次の構造式化3 【化3】 で示されるDBM−ペーパーと呼ぶジアゾベンジルオキ
シメチル基で変性したセルロース性・繊維状シート(す
なわち、ブロッティングペーパー)が作られた。このD
BM−ペーパーは電気泳動的に分離されたRNAパター
ンをアガロースゲルから“Souther Transfer”法と類似
の方法で移動するのに使用できると発表された。ジアゾ
型(DPT−ペーパー)に活性化したアミノフェニルチ
オエーテルペーパーも同様に使用されている。いずれも
共有結合的に、また非可逆的にDNA,RNA及び蛋白
と結合する。 【0008】DBM−ペーパー及びDPT−ペーパーは
活性化が必要であってライフに限度があり、したがって
不安定であり、その結合能力は単にニトロセルロースに
匹敵しうる程度であり、非可逆的に高分子体と結合する
という欠点があるので、次の段階での溶離が阻害され、
かつ表面構造に起因する解像の困難性を伴うという問題
点をもっている。DBMペーパーの不便さを若干でも克
服する努力がThomas(1980)によってなされたが、高い
塩分濃度を使用してRNA及び小量のDNAフラグメン
トをニトロセルロースに移動する技術が開発された。R
NAの結合効率は、DBMペーパーの35ug/cm2 に比べ
て80ug/cm2 であることが分った。ポリアクリルアミド
ゲルからの高分子体の溶離は電気泳動によって効果的に
遂行できる。しかし、高い塩分濃度が必要なので高電流
を必要とし、実用的ではない。 【0009】DNA及びRNA研究との関連で最初に開
発されたSouthernによるブロッティング技術は、蛋白に
適用しうる可能性があることが認められるようになっ
た。この蛋白移動技術は最初にRenartによって開発され
て、〔Proc. Natl. Acad. Sci.U.S.A. 76:3116〜3120
(1979)〕に“Transfer of Proteins from Gels to Di
azobenzyloxymethyl-Paper and Detection With Antise
ra”と題して発表された。Renartは複合アガロース−ア
クリルアミドゲルを用いてDBMへの蛋白の移動を遂行
したが、ここでのアクリルアミド架橋は可逆性であっ
た。電気泳動したのち、この架橋結合を解いて低い%の
アガロースゲルを分離し、このゲルから蛋白が容易に移
動した。この直後に Bowenらが蛋白ブロッティング方法
を開発して、〔Nuc. Acids. Res. 8:1-20(1980)〕に
「The Detection of DNA-Binding Proteins by Protein
Blotting 」と題して発表された。ここではSDS−ポ
リアクリルアミドゲル上に分離されたDNA結合蛋白及
び他のリガンド結合蛋白の分離用にニトロセルロースが
用いられた。また移動は拡散によった。Towbinらは〔Pr
oc. Natl. Acad. Sci. USA 76:4350〜4354(1979)〕に
おいて、またBittner らは〔Anal. Biochem. 102: 459
〜471(1980)〕において、たとえ低い塩分濃度でも電気
泳動的に移動が可能であることを示した。 【0010】一般に、蛋白ブロッティングは二段の逐次
工程から成り、いわゆるゲルからのポリペプチドの溶離
と溶離物の固定マトリックスへの吸着から成る。高分子
体溶離のための3種類の起動力が開拓された。一つは拡
散である。ここでは、移動すべき高分子体を含有するゲ
ルを固定マトリックスをなす2枚のシート間にはさみ、
この固定マトリックスは一方で発泡パッドとステンレス
鋼スクリーン間にはさむ。次いでこの組み合わせ体を2
lの緩衝液中に沈めて、36〜48時間、放置する。このイ
ンキュベーションの結果として、二つの同じレプリカブ
ロットが得られた。移動効率は75%に達したが、この値
は二つのレプリカ間で分けなければならない。マトリッ
クス上に吸収された高分子体の量が所要の試験に十分で
あり、かつ移動時間が長くてもよい場合には拡散による
ブロッティングは有用である。 【0011】高分子体ブロッティングの第2の方法は、
Southernが述べている古い方法でDNAブロットが遂行
されたと同様に、ゲルを通して流れる液体のマスフロー
に基づいている。ゲルを緩衝液貯槽中に置く。マトリッ
クスをゲルにあてがい、紙タオルをマトリックス上に積
重ねる。このタオルはゲル及びマトリックスを通して貯
槽から緩衝液を吸収する。かかる流体の動きが蛋白をゲ
ルから溶離する起動力として働き、蛋白は次いでフィル
ター中にトラップされる。この方法は拡散法よりも短時
間で済み、かつ溶離効率が良好である。この方法の修正
法が提案されていて、ここでは両指向性のブロッティン
グができる。そのうえ、減圧法を採用することによって
溶離時間が画期的に短縮されることになった。 【0012】蛋白ブロッティングで最も広く用いられる
方法は、ゲルから蛋白を電気泳動させることに基づいて
いる。このことはDNAとは反対に、蛋白が低いイオン
強度の緩衝液においてさえもニトロセルロースを吸着す
るという事実によって可能なのである。そこで、非実用
的な高電流を用いなくても蛋白をゲルから電気泳動する
ことができる。ブロッティングの電気泳動という概念は
Cell. 11:363 〜370(1977)〕に「Heterogeneity of
the Ribosomal Genes in Mice and Men」と題して記載
がある。多数の装置デザインが報告されているが、今日
商業的に入手しうるものは稀である。要旨は湿マトリッ
クスをゲル上に置いて、このとき空気泡がフィルターも
しくはマトリックスとゲル間に連行されないように確認
する。次いでマトリックスとゲルとを“Scotch Brite”
洗浄パッド、フォームラバー又は湿ブロッティングペー
パーのようなポーラスな支持パッド間にはさむ。次いで
該組み立てを、通常は非導電性の固体グリッドで支持す
る。ゲルとマトリックスとが相互に強く保持されること
が非常に重要である。このようにして良好な移動を確立
し、かつ蛋白バンドの“ゆがみ”を防止する。 【0013】支持した“ゲル+マトリックスサンドイッ
チ”を緩衝液含有タンク中に挿入し、2本の電極の間に
置く。タンク壁に鋲留めされている2本の電極は移動さ
れるべきゲルの全領域に亘って均質な電界が生ずるよう
に配設する。電極としては、導電性連続シートを使うこ
とができ、理論的にも当該目的に適している。グラファ
イトスラブ及びステンレス鋼プレートも使用できる。し
かしかかる電極を有する運転ユニットは著しく高い電流
が必要であるために、通常は実用的ではない。極めて合
理的で、経済的かつ効率的なデザインは〔Ana. Bioche
m. 102: 459〜471 〕に「Electrophoretic Transfer of
Proteins and Nucleic Acids from SlabGels to Diazo
benzyl oxymethyl Cellulose or Nitrocellulose Sheet
s 」と題して発表されている。電界の均一性に影響する
因子は、ゲルと電極間の距離及び電極材料の密度、すな
わち使用ワイヤの各ストレッチ間の距離である。一般に
は、電極材料の存在量が多い程、システムの電気抵抗は
低下する。そこで、溶離工程をドライブするために必要
な合理的な電圧差を得るためには高電流が必要になる。 【0014】使用する移動用緩衝液は低いイオン強度の
もの、例えばリン酸塩緩衝液、トリス−ホウ酸塩緩衝液
又はトリス−グリシンのような、メタノール含有もしく
は非含有の緩衝液が用いられる。メタノールは蛋白に対
するニトロセルロースの結合能力を増加させる傾向があ
り、かつ移動されるゲルの幾何学形を安定させるが、S
DSゲルからの蛋白の溶離効率を低下させ、高分子体を
効率良く移動させるためには溶離を長時間、一般に12時
間以上に亘って行なわなければならない。メタノールが
存在しない場合には、アクリルアミドゲルは膨潤する傾
向があり、かつ蛋白移動間にそのまま放置するとゆがん
だバンドが生ずる。 【0015】移動条件自体はゲルのタイプ、固定マトリ
ックス及び使用する移動装置並びに高分子体の種類に依
存性がある。未変性ゲル、SDSゲル、ゲルを含むリチ
ウムドデシルサルフェート、イソ−エレクトロフォーカ
ス2Dゲル(iso-electro focusing 2D gels) 及びアガ
ロースゲルはすべて蛋白ブロッティング用に使用されて
いる。溶離される蛋白の電荷を決めて、マトリックスを
ゲルの適切な側に配設する必要がある。例えばSDS−
ゲルからの蛋白はアニオンとして溶離するから、このマ
トリックスはゲルのアノード側に置く必要がある。未変
性ゲルの場合にはその逆である。電気溶離が進行するに
つれて、ゲルからの電解質もまた溶離され、これが緩衝
液の導電性に寄与する結果、抵抗の減少が起こる。移動
を一定電圧にて実施する場合には、それに応じて電流が
増加し、1アンペア以上になり、実際には5アンペアに
達することもある。1〜5アンペアのような高電流の供
給は、電気ブロッティングにおいて現在では商業的に可
能である。他の便法としては12Vバッテリーチャージャ
ーが用いられるが、これは合理的と考えられる。しか
し、ゲル電気泳動に使用される通常の大部分の電力供給
装置では 200〜250 mAを越すことは不可能であって、し
たがって 200mAのような最高一定電流で操作して移動中
に電圧を徐々に低下してやるほうが有利であることが判
った。 【0016】低分子量又は中間的分子量の分離蛋白はゲ
ルから効率良く溶離しないことがある。これらの蛋白が
偶然に等電点上にあるために電界中に移動する傾向がな
い場合がそれである。かかる場合には、他の緩衝条件が
採用できる。現在では、多数の固定マトリックスが入手
できる。ニトロセルロースはマトリックスとして最も広
く用いられた材料であるが、ニトロセルロースと蛋白と
の相互作用は複雑で、充分に理解されていない。例えば
通常、蛋白の電気溶離を行なうpH8では、ニトロセルロ
ースは蛋白の吸着につれて負に帯電する。この相互作用
には親水性的影響が役割りを演じ、実際のところマトリ
ックスからの蛋白の溶離が非イオン性界面活性剤によっ
て行なわれる。ある種の蛋白、特に低分子量の蛋白はニ
トロセルロースとの結合が弱く、移動中又は次の工程間
で失なわれる可能性がある。かかる損失を防止するため
に、移動ポリペプチドをマトリックスに架橋することが
でき、これによって蛋白パターンを共有結合によって安
定化することが可能である。ニトロセルロース膜マトリ
ックス中にセルロースアセテートが存在すると、蛋白結
合能力が低下するようにみえる。しかし、セルロースア
セテートマトリックスは蛋白ブロッティング用に成功埋
に使用されている。 【0017】ニトロセルロースマトリックスの欠点を若
干でも改良するために、他の固定マトリックスが提案さ
れてきた。DBMペーパーへの移動は共有結合した安定
した蛋白パターンを生ずる。膜マトリックスに比べて本
質的に目があらいので、該材料上での解像は若干低い。
移動緩衝液として常用されるグリシンもまたDBMペー
パー蛋白ブロッティングを妨げる。そこでニトロセルロ
ース、DBMペーパー及びその他のマトリックス類のよ
うな、従来使用に供されている固定マトリックスの欠点
が改良された固定マトリックスを開発する必要がなお残
っている。もっと大きな移動能力をもつものの出現も望
まれている。各種の膜がクロマトグラフィーに、また特
殊なケースとして電気泳動技術に使用しうるということ
は公知である。これらについては次の文献に記載がみら
れる。 米国特許第 3,808,118号公報 同 第 3,829,370号公報 同 第 3,945,926号公報 同 第 3,957,651号公報 同 第 3,989,613号公報 同 第 4,043,895号公報 同 第 4,111,784号公報 同 第 4,158,683号公報 同 第 4,204,929号公報 同 第 4,243,507号公報 同 第 4,310,408号公報 同 第 4,311,574号公報 【0018】また、ポリアミド粉末がクロマトグラフ分
離に用いられうるということも公知である。 米国特許第 3,418,158号公報 同 第 3,523,350号公報 米国特許第 4,128,470号公報にはナイロン製ミクロポー
ラス膜類が、これを通してクロマトグラフィーが遂行さ
れうる媒体として電気泳動及びイソエレクトリック(等
電点)フォーカシング(isoelectric focusing)用に用
いられうることが開示されている。New Engl and Nucle
ar社では“Gene Screen ”と称する一連の電気泳動用材
料の一つとしてブロッティングに用いる非電荷ナイロン
膜を発売している。この材料は蛋白の結合能力について
はニトロセルロースに匹敵するようにみえる。 【0019】ユーティリティ 高分子物ブロットもしくはトランスファー類は、ゲルに
対して開発されてきたと同様に各種の試薬で“オーバー
レイ”することができる。フィルターマトリックス類の
操作は時間が掛らず、使用試薬の観点からも安価であっ
て、事故も少ない。さらに重要なことは、ゲルからマト
リックスへ蛋白移動すると拡散バリヤーが効果的に排除
されるということである。そのうえ、変性蛋白がこれら
からSDSを分離するに際して変性が解除されることが
しばしばあり、したがって該方法は恐らくさらに便利で
効果的なものになりうるとみられる。 【0020】現在、使用されているプローベの大部分は
高分子体であって、これらは特に検体としてのポリペプ
チドの一定ドメインによく結合する。レクチンは糖蛋白
及び抗体の検出に用いられ、またこれらの対応アンチゲ
ンの確認に使用されている。試験目的の如何にかかわら
ず、蛋白バンドを含まないマトリックス空所はオーバー
レイ工程間に不特定的にプローベを吸着するので、有害
なバックグラウンドの原因になる。そこで、マトリック
スの未結合位置はブロットをオーバーレイするのにさき
立ってクエンチングしてやらなければならない。通常、
該クエンチングは高濃度のウシ血清アルブミン(BS
A)又はヘモグロビン中でブロットを、25〜60℃で1〜
12時間、インキュベーションすることによって遂行され
ている。オーバルミン(ovalbumin)、ゼラチン及び各種
の動物血清類のような他の物質もまた使用されうる。温
度、蛋白の選択及びクエンチ時間はマトリックス材料と
使用プローベの種類の関数である。非イオン性界面活性
剤もまた不特定結合を低減させるためにクエンチもしく
は洗浄緩衝液中に含ませうる。 【0021】該ブロットをクエンチングしたのち、これ
をプローベと反応させる。一般に、すべての反応はクエ
ンチング蛋白の存在下で行なう。反応済みのブロット
は、次いで緩衝液(この場合は蛋白を含ませる必要はな
い)中で十分に洗浄する。もしプローベ自体が放射性で
あるか、又は酵素もしくは螢光性タッグと共役している
ならば、このブロットは直ちにオートラジオグラフィー
にかけたり、適切な基質と反応させたり、又はUV光下
で肉視することができる。 【0022】プローベ・バンド複合体の存在を検知する
ために、さらに第2もしくは第3試薬が必要である場合
には、次いで各試薬を該ブロットでインキュベーション
したのちに洗浄する。該オーバーレイ技術の感度は極め
て良好なので、自然界に存在する極めて微量のウイルス
アンチゲンでも検知が可能である。そのうえ、これらの
技術は各種の免疫障害患者のヒト血清の分析にも用いら
れている。ゲル上へのブロットの利点の一つは、再使用
したり、繰り返えして反応に掛けることができることで
ある。一度シグナルを得て記録したら、このブロットは
プローベを除いて消去できるが、最初の蛋白パターンは
マトリックス上に残留させておくことができる。該消去
フィルターは、該ゲルパターンの成分をさらに特徴づけ
るための追加的オーバーレイ分析に再使用ができる。
“消去”は抗体−抗原複合体を分解するためにpHを下げ
るか、又は尿素もしくはSDS中でこのブロットをイン
キュベーションしてプローベを変性してやることによっ
て達成できる。詳細仕様を調べるためにプローベ・バン
ド複合体を選択的に分解することもできる。カルモダリ
ン(calmodulin)は系からCa++を除くことによってカル
モダリン結合蛋白から分解することが可能である。これ
らの反応は、蛋白ブロットが最初のシグナルを得るため
にオートラジオグラフィーに掛けたあとでさえ実施でき
る。 【0023】蛋白ブロットの使用は通常は蛋白−蛋白も
しくは蛋白−リガンドの相互作用を調査するという目的
か又は免疫学的もしくは生化学的諸分析における中間段
階としての固定化ポリペプチドの生産を開拓しようとい
う目的をもっている。これらの試みのいずれもが蛋白ブ
ロットの貴重な用途を開発してきた。例えば次のようで
ある。 : 蛋白−リガンド結合体の分析 DNA−蛋白及びRNA−蛋白相互作用が蛋白ブロット
によって分析されている。H3 及びH4 を有するヒスト
ンH2 結合体もまた例証されている。表皮生長因子受容
体が、移動膜パターンをホルモンでオーバーレイするこ
とによって確認された。ヒト表皮状がん細胞(A−431)
からの細胞膜を調製し、SDS−ポリアクリルアミドゲ
ル上にランした、次いて該ゲルをDBMペーパー上にエ
レクトロブロットし、表皮生長因子に続いて放射ラベル
化抗体を用いて該ホルモンをクエンチングし、オーバー
レイした。 150KDにおける極めて特徴的なシグナルが
検出された。 : 酵素サブユニットの検出 蛋白ブロット上の不活性酵素の検出が行なわれた。例え
ば、ホスホジエステラーゼIを2%SDS中で5分間煮
沸してSDS−ポリアクリルアミドゲル上にランした。
蛋白は過剰のアンチ−ホスホジエステラーゼIと反応す
るニトロセルロースフィルター中にブロットされた。次
いで該マトリックスを活性酵素含有粗調合剤でインキュ
ベーションを行なった。抗体の空席部位を介して不活性
化され、分割されたサブユニットに結合している活性酵
素はこのマトリックス上に固定化された。次いでこのマ
トリックスを酵素活性のために反応させ、免疫複合体が
検出された。 【0024】:モノスペシフィック抗体の親和性的精
製 ブロット類はモノスペシフィック(monospecific)抗体
の精製に利用されている。ポリペプチドをSDS−ポリ
アミドゲル上に分割し、DBM又はCNBrペーパー上
にブロットした。このマトリックスを血清含有ポリクロ
ナール(polyclonal)抗体によってオーバーレイした。
次いで抗原−抗体複合体を含有する単一バンドを該マト
リックスから切り取ったが、該ストリップを低pH(2〜
3)緩衝液中でインキュベーションしたところ、モノス
ペシフィック抗体が溶離した。該溶離プローベは免疫細
胞化学的病巣研究に使用することができた。 :セル−蛋白相互作用の例証 特定の全細胞−ポリペプチド相互作用を例証するために
蛋白ブロットが使用されている。ヒトプラズマをSDS
−ポリアクリルアミドゲル上にランし、ニトロセルロー
スマトリックスに移した。該マトリックスをクエンチン
グしたのちに、通常のラットじん臓細胞(NRKセル)
でインキュベーションしたが、このNRKセルはおそら
くセルアタッチメント中に含まれる固定化ポリペプチド
に特異的に結合していた。この細胞をアミノブラックに
よって染色したところ、二つの明瞭に区別できるバンド
に位置していることが判った。これらのバンドはフィブ
ロネクチン及び新規発見の70K Dentityであることが
判った。 【0025】 【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、その
表面上に固定マトリックスとしてカチオン電荷修飾ミク
ロポーラスナイロン膜を有するクロマトグラフ基質から
核酸及び蛋白などの高分子体を固相中に固定化する固相
アッセイシステムに関するものであり、該固相として、
公知材料の有する上記のような種々の欠点を解消して、
高分子体を一層効率良く固定化するような固相を使用す
る固相アッセイシステムを提供することにある。また本
発明のその他の目的は電気泳動ゲルから蛋白を固定マト
リックスに電気泳動的に移動させる方法の提供にあり、
この固定マトリックスは公知のニトロセルロースよりも
良好な吸着能力と保持力とを有していて、緩衝液中に高
い塩分濃度を必要としないものである。さらになお本発
明の別の目的は、オーバーレイ操作が効率的に実施でき
るような高分子ブロッティング製品及びその方法を提供
することにある。 【0026】 【課題を解決するための手段】これらの本発明の諸目的
は固定マトリックスとして、膜の湿表面の実質的すべて
に亘って結合している電荷修飾可能量のカチオン電荷修
飾剤を有する親水性有機ミクロポーラス膜から成る電荷
修飾ミクロポーラス膜を使用することによって達成でき
る。好ましくは、このカオチン電荷修飾剤は分子量1000
以上の水溶性有機高分子体であって、これを構成する各
単量体が膜表面に結合しうるような少なくとも1個のエ
ポキシ基と、及び少なくとも1個の三級アミンもしくは
第四級アンモニウム基を有しているものである。最も好
ましくは、該有機高分子体のエポキシ基の一部が、少な
くとも1個の一級アミノ基もしくは少なくとも2個の二
級アミノ基を有する脂肪族アミンから成るか、又は少な
くとも1個の二級アミノ基及びカルボキシルもしくはヒ
ドロキシル置換基を有する脂肪族アミンから成る2次電
荷修飾剤と結合しているものである。 【0027】該電荷修飾剤はまた、分子量 500以下の脂
肪族ポリエポキシドから成る架橋剤を介して膜と結合し
ている脂肪族アミンもしくはポリアミンであってもよ
い。好ましいミクロポーラス膜はナイロンである。該電
荷修飾ミクロポーラス膜は強化ラミネート膜の形態で使
用してもよく、好ましくは高分子ミクロポーラス膜によ
って含浸したポーラスな強化ウェブの形態で使用しう
る。本発明の固定マトリックスは、膜の湿表面の実質的
全部に亘って結合しているカチオン電荷修飾剤を電荷修
飾に十分な量において保有している有機ミクロポーラス
膜から成る親水性の電荷修飾型ミクロポーラス膜から成
る。ミクロポーラス膜及びカチオン電荷修飾型膜は流
体、例えば液体の濾過の分野で公知である。流体濾過の
分野におけるカチオン電荷修飾型ミクロポーラス膜、こ
れらの作成方法及び用途についてはEPC公表第 00668
14号公報及びEPC公表第 0050864号公報に記載があ
る。ここでは電子産業において用いられる高純度水(18m
egohm-cm抵抗率)の濾過用に電荷修飾型膜を使用する記
載;及び非経口液もしくは体液の濾過用に電荷修飾型膜
を使用する記載がみられる。さらに、これらの濾過用膜
は各種の手段によって強化しうることも公知である。 【0028】さらに、市販のナイロン製ミクロポーラス
フィルター膜類はPall Corp., GlenCove, NY から「ULT
IPORN66」及び「N66POSIDYNE 」の商標名で提供されて
おり、後者はカチオン的に電荷修飾したフィルター膜で
ある。さらに、AMF Inc., Cuno Div.,ではカチオン的に
電荷修飾した型のナイロン製ミクロポーラスフィルター
膜を「ZETAPOR 」(商標名)として発売している。ここ
で用いる“ミクロポーラス膜”なる用語は、好ましくは
実質的に対象で等方性のポーラス膜であって、ポアサイ
ズが少なくとも0.05ミクロン又はそれ以上又はイニシャ
ルバブル点(IBP)が水中で120psi(8.37Kg/cm2
以下のポアサイズを有するポーラス膜を意味する。この
ポアサイズは約 1.2ミクロン以下、IBPとして約10ps
i(0.69Kg/cm2 )より大きくてもよい。“対象”なる用
語は、ポア構造が実質的に膜の両側で同じであることを
意味する。“等方性”なる用語は膜が膜の全般に亘って
均一なポア構造を有することを意味する。 【0029】膜は親水性であることが好ましい。ミクロ
ポーラス膜を記載するための“親水性”なる用語は、膜
が水を吸収もしくは吸着することを意味する。一般に、
かかる親水性は充分な量の−OH基、−COOH基、−
NH2 基及び/又は類似の官能基が膜の表面上に存在す
る場合に生ずる。かかる官能基は膜上への水の吸収及び
/又は吸着を助長する。固定マトリックスのかかる親水
性は本発明の必要な一要素である。膜自体の親水性がこ
のミクロポーラス膜への電荷修飾剤の好適な結合力を提
供する。好ましいミクロポーラス膜は「ナイロン」(商
標名)から作成したものである。“ナイロン”なる用語
はくり返えしのアミド基を含む共重合体及び三元共重合
体を包含するフィルム形成性ポリアミド樹脂を意味す
る。一般に、各種のナイロン又はポリアミド樹脂類はす
べてジアミン及びジカルボキシル酸の共重合体である
か、又はアミノ酸ラクタムのホモ重合体であって、その
結晶性又は固体構造、融点ならびに他の物理特性は広範
に変わっている。本発明において用いられるのに適した
ナイロン類はヘキサメチレンジアミンとアジピン酸との
共重合体(ナイロン66)、ヘキサメチレンジアミンとセ
バシン酸との共重合体(ナイロン610)及びポリ−O−カ
プロラクタムのホモ重合体(ナイロン6)である。 【0030】一方、これらの好適なポリアミド樹脂はメ
チレン(CH2 )対アミド(NHCO)基の比が約5:
1ないし約8:1以内、さらに好ましくは約5:1ない
し約7:1の範囲のものである。ナイロン6及びナイロ
ン66はそれぞれ6:1の比率、ナイロン610 は8:1の
比率である。ナイロン重合体の銘柄は多数が入手可能で
あって、分子量でいえば約 15000〜約42000 の範囲があ
り、他の諸特性も各種のものが市販されている。重合体
鎖を構成する単位の種類として最も好ましいものはポリ
ヘキサメチレンアジパミド、すなわちナイロン66であ
り、分子量は約 30000以上が好ましい。添加剤を含まな
い重合体が一般的には好ましいが、酸化防止剤又は類似
の添加剤の添加はある環境の下では好ましい。好適な膜
基質は米国特許第 3,876,738号公報に記載の方法で作成
される。他の作成方法はヨーロッパ特許出願第 0005536
号に記載されている。 さらに、例えばPall Corp.から
提供の「ULTIPORN66」(ナイロン、商標名)、Millipor
e 社から市販の「Durapore」(ポリビニリデンフルオラ
イド、商標名)、諸社から市販のセルロースアセテート
/ナイトレート膜のいかなるものでも本発明で使用する
ためのカチオン電荷修飾用に適している。 【0031】前記米国特許及びヨーロッパ特許出願に記
載のナイロン膜は等方性構造を有するのが特徴であっ
て、高度に有効な表面積と、狭いポアサイズ分布及び適
切なポア容積をもった制御された大きさのポアから成る
微細な内部ミクロ構造を有している。例えば、代表的な
0.22ミクロメータのナイロン66膜(ポリヘキサメチレン
アジパミド)は約45〜50psi(3〜3.5 Kg/cm2 )のIB
Pを示し、5psi(0.35Kg/cm2 )(47mm直径ディスク)
において70〜80ml/分の水流速を提供し、表面積(BE
T、窒素吸着)は約13m2/g であって、膜厚は約 4.5〜
4.75ミル( 114〜120 μ)である。電荷修飾剤はミクロ
ポーラス膜の実質的にすべての湿表面に亘って結合して
いる。“結合”なる用語は、電荷修飾剤(類)が膜及び
/又は相互に十分に結びついて、使用条件下では多量に
は抽出されないような状態にあることを意味する。“湿
表面の実質的すべて”なる用語は、外側面及び内部ポア
表面のすべてが、膜をくぐって流れる流体によるか又は
膜が流体中に浸漬される場合に湿されることを意味す
る。 【0032】本発明に使用できる一つの好適な電荷修飾
剤はOstericherらに記載があり、これら分子量が約1000
以上の水溶性有機高分子体であって、この単量体構造中
には膜表面に結合しうるような少なくとも1個のエポキ
シド置換基及びカチオン電荷サイトを提供しうるような
少なくとも1個の三級もしくは第四級アンモニウム基が
存在している。この電荷修飾剤はポリアミド−ポリアミ
ンエピクロロヒドリン型カチオン樹脂、特に次に列挙す
る米国特許公報中に記載の樹脂であることが好ましい:
米国特許第 2,926,116号公報 米国特許第 2,926,154号公報 米国特許第 3,224,986号公報 米国特許第 3,311,594号公報 米国特許第 3,332,901号公報 米国特許第 3,382,096号公報 米国特許第 3,761,350号公報 【0033】このポリアミド−ポリアミンエピクロロヒ
ドリン型カチオン樹脂は「Polycup172, 1884, 2002 又
はS2064 」(Hercules社商標名);Cascamide Resin p
R−420 」(Borden社商標名);又は「Nopcobond 35」
(Nopco社商標名)として市販されている。最適なものは
「Hercules R4308」(商標名)であって、ここでは荷
電窒素原子が異節環基の一部を形成していてメチレン部
位を介して反応性エポキシ基と結合している。 【0034】「R4308」樹脂を構成する各単量体は次の
一般式化4 【化4】 を有している。一方、「Polycup 172, 2002」及び「P
olycup1884」樹脂を構成する各単位量体は次の一般式化
5 【化5】〔式中、Rはメチル又は水素である(Polycup 172 及び
2002ではR=H;Polycup 1884ではR=CH3 〕を有し
ている。 【0035】最も好ましくは、分子量1000以上の水溶性
有機高分子体を電荷修飾剤として用いる場合に、この1
次電荷修飾剤のカチオン電荷を強化するか並びに/又は
この1次荷電修飾剤のミクロポーラス表面及び/又はそ
れ自体に対する結合力を強化するための2次電荷修飾剤
を使用することである。本発明に用いられるこの2次電
荷修飾剤は次のものから成る群から選択される; (1 )少なくとも1個の1級アミン又は少なくとも2個
の2級アミン部位を有する脂肪族アミン類;及び(2 )
少なくとも1個の2級アミン及びカルボキシルもしくは
ヒドロキシル置換基を有する脂肪族アミン類。好ましく
は、この2次電荷修飾剤は次の一般式化6 【化6】 〔式中、R1 およびR2 は炭素数1〜4のアルキル基、
x は0〜4の整数である。R1 及び R2 は両方ともエ
チルであることが好ましい。〕で示されるポリアミンで
ある。 【0036】好適なポリアミンは次のようである: エチレンジアミン H2 N−(CH22 −NH2 ジエチレントリアミン H2 N−(CH22 −NH−(CH22 −NH2 トリエチレンテトラミン H2 N−(CH2 −CH2 −NH)2 −CH2 −CH2
−NH2 テトラエチレンペンタミン H2 N−(CH2 −CH2 −NH)3 −CH2 −CH2
−NH2 最も好ましいポリアミンはテトラエチレンペンタミンで
ある。 【0037】代わりに、本発明で用いる脂肪族アミン類
は少なくとも1個の2級アミン部位及び1個のカルボキ
シルもしくはヒドロキシル置換基を有していてもよい。
かかる脂肪族アミンの例としてはγ−アミノ酪酸(H2
NCH2 CH2 CH2 COOH)及び2−アミノエタノ
ール(H2 NCH2 CH2 OH)が挙げられる。この2
次電荷修飾剤は高分子1次電荷修飾剤のエポキシ置換基
の一部分に結合することによってミクロポーラス膜と結
合される。使用する1次及び2次カチオン電荷修飾剤の
量はミクロポーラス膜の陽性捕獲ポテンシャルを強化す
るのに十分な量である。かかる量は使用した、そのとき
の電荷修飾剤の種類に大いに依存性がある。 【0038】広義には、前記1次及び2次のカチオン電
荷修飾剤は親水性有機高分子ミクロポーラス膜、例えば
ナイロンに結合されるものであって、エポキシ置換基を
介して膜構造に結合する1次カチオン電荷修飾剤の有効
量を該膜に施工することによって結合される。好ましく
は、該方法は (a)膜を1次カチオン電荷修飾剤の水溶液
と接触させ、かつ(b) 膜を2次荷電修飾剤の水溶液と接
触させる。接触工程は次の順序、すなわち工程 (a)に続
く工程(b) もしくはその逆である。しかし、まず膜を1
次カチオン電荷修飾剤と接触させ、次いで2次電荷修飾
剤と接触させることのほうが、抽出可能分が最小にな
り、最良の結果が得られる。 【0039】本発明の他の実施態様では、前記2次電荷
修飾剤を電荷修飾剤として用いて分子量 500以下の脂肪
族ポリエポキシド架橋剤を介して、このミクロポーラス
膜にそれが結合するようになされてもよい。好ましく
は、このポリエポキシドは分子量約146 〜約300 のジ−
もしくはトリ−エポキシドである。かかるポリエポキシ
ドは25℃において約200 センチポイズ以下の粘度(未希
釈時)を示す。架橋剤として作用させる目的からみて、
このエポキシドは、モノエポキシド類、例えばグリシジ
ルエーテル類のようなものは不適当である。同様に、三
つ以上のエポキシ基を提供するようなポリエポキシドは
なんらの利益がなく、実際のところ、立体障害に起因し
てこのポリエポキシドのカップリング反応が制約される
ことは理論的に明らかである。さらに、カチオン的に電
荷修飾したミクロポーラス膜中に未反応エポキシド基が
存在すると最終製品に悪影響を与えるおそれがある。 【0040】最も好適なポリエポキシド類は次式化7 【化7】〔式中、Rは炭素原子1〜6のアルキルであり、nは2
〜3である〕にて示されるものである。非エポキシ部分
--(R)--中の炭素原子数は6以下であり、したがって
該ポリエポキシドは水もしくはエタノール・水混合液、
例えば20%エタノール以下の混合液に可溶である。これ
らより炭素類の多いものは機能的には有用ではあるが、
使用に際して極性溶媒を用いる必要があり毒性、引火
性、環境汚染性の観点から注意が必要になる。 【0041】この脂肪族アミノポリアミン電荷修飾剤は
(a)このカチオン電荷修飾剤の水溶液を膜と接触させ、
かつ (b)ポリエポキシド架橋剤の水溶液を膜と接触させ
ることによってミクロポーラス膜と結合させる。接触工
程は工程(a) に続く工程(b)もしくはこの逆でありう
る。かかる接触工程はまた、膜を電荷修飾剤とポリエポ
キシド架橋剤との混合物の水溶液と接触させる方法を包
含する。しかし、膜をカチオン電荷修飾剤と接触させて
から、次いで処理膜をポリエポキシド架橋剤水溶液と接
触させた時のほうがフラッシュアウト時間を最小にしう
る観点から最も好ましい。しかし電荷修飾を最大にする
には、膜を電荷修飾剤とポリエポキシド架橋剤との混合
物の水溶液にて接触させるのがよい。 【0042】このミクロポーラス膜をこの水溶液と接触
させたのち、次いで収縮防止のために緊張状態で乾燥・
架橋するのがよい。 緊張状態下で膜を乾燥することは
米国特許出願第 201,086号に記載されている。一般的
に、どのような緊張手段を用いてもよく、例えば膜をし
っかりドラムのような乾燥表面に沿って巻いてもよい。
2軸制御が好ましく、ひろげたフレーム中に膜を引っ張
るのが最もよい。負荷した緊張は大きさを減少させない
ことが好ましい。最終的乾燥及び架橋温度は約 120℃〜
140 ℃で行なうことがよく、この温度では膜が劣化した
り、もろくならずに乾燥時間を最小限になしうる。仕上
がった膜はロール巻きして常温下で貯蔵する。 【0043】この電荷修飾ミクロポーラス膜はまた、強
化型及び/又はラミネート型膜として使用することが可
能であり、好ましくは実質的にカチオン的に荷電した高
分子ミクロポーラス膜で一つのポーラスな強化ウェブを
含浸させた形で使用できる。強化ラミネート膜及びポー
ラスな強化ウェブについては米国特許第 332,068号に記
載がある。このような含浸ウェブは十分な量の鋳込み液
をポーラスな強化ウェブ上に鋳込んでその上に鋳込み液
を保持したウェブを作ってからクエンチ液と接触させて
作るのがよい。 【0044】この強化ウェブは、鋳込みの間に鋳込み液
の含浸が最大になるように、鋳込み液によって湿潤さ
れ、かつ高分子膜、例えば「ナイロン」の沈澱に際して
ウェブに強固に接着するようになるような多孔性材料か
ら成る。しかし、このウェブは鋳込み液で湿潤されうる
ということは、必須条件ではない。非湿潤性ウェブであ
る場合には、この鋳込み液の塗膜はウェブのほとんど表
面だけに限定はされるが、しかしそれにもかかわらず、
ウェブ中への溶液の含浸及びウェブに対する膜の粘着性
によって膜に付着している。 【0045】例えば、かかる湿潤性及び非湿潤性強化ウ
ェブは、押出しプラスチックフィラメントネット、ペー
パー及び類似の材料が包含される各種タイプの不織布並
びにネット類から作りうる。鋳込み液には非湿潤性の強
化ウェブは、ポリプロピレンもしくはポリエチレンのよ
うな繊維から作られた微細穴性不織ウェブから成ること
ができる。好適な湿潤性強化ウェブのなかには、モノフ
ィラメントもしくはマルチフィラメントヤーンを用いた
織布ウェブもしくは不織布ウェブから成るポリエステル
製のものがあり、この際のモノフィラメントはオープン
ストラクチャーであって圧力損失の低いものが好まし
く;ポリアミド繊維織布ウェブ、芳香族ポリアミドやセ
ルロース、再生セルロース、セルロースエステル、セル
ロースエーテル、ガラス繊維その他のような他の比較的
極性のある繊維状製品から成る織布及び不織布ウェブな
どが包含される。セルロースや合成繊維フィルターペー
パーもまた、強化ウェブ並びに穴あきプラスチックシー
ト及びオープンメッシュエキスパンドプラスチックとし
て使用しうる。基質が比較的あら目で著しくオープン編
み構造の場合には、たとえ繊維が実質的に樹脂液によっ
て湿潤されなくても、この基質は膜材料によって含浸さ
れうるのである。ポリプロピレンやポリエチレンのよう
な非湿潤性材料は、これらが十分にオープン構造をとっ
ていれば、膜によって含浸されうるのである。 【0046】含浸強化ウェブ作成のための好ましい態様
は、ポーラスな強化ウェブ上に十分量の鋳込み液を鋳込
んで、その上に鋳込み液を保有しているウェブを作成す
る。次いでウェブ中にこの塗布液が滲透するのを助ける
ために液の粘度を十分に低下させ、かつ形成される塗布
ウェブ中のすべての連行空気を排除するために有効な温
度、圧力及び時間の条件下でウェブ中に該塗布液をカレ
ンダーロールによって滲透させる。かかる温度、圧力及
び時間条件は使用する強化ウェブ、鋳込み液ローラー等
のタイプに大きく依存する。かかる諸条件はウェブ中へ
の液の滲透具合、最終品中のピンホール及びバブルを観
察することによって、当業者であれば容易に決定するこ
とができる。次いで該塗布ウェブを、その上に十分量の
鋳込み液を鋳込み処理して追加の塗布液を保有する塗布
済みウェブを形成させる。次いでこのウェブをクエンチ
浴中でクエンチングして含浸ウェブを形成させ、次いで
このウェブに外側膜をラミネートする。 【0047】この強化膜を作成したのち、この発明に用
いるカチオン電荷修飾ミクロポーラス膜を形成させるた
めに前記した方法に従ってこれを処理することができ
る。このカチオン的に電荷修飾したミクロポーラス膜は
従来、ニトロセルロースやDBMペーパーが用いられて
きたと同じ態様で高分子ブロッティングにおける固定マ
トリックスとして使用される。しかし、本発明の電荷修
飾ミクロポーラス膜は従来の固定マトリックス類よりも
はるかに大きな能力を有する。例えば、本発明の電荷修
飾ミクロポーラス膜は少なくとも 480μg/cm2 の蛋白
結合能力を有しているが、ニトロセルロースのそれは約
80μg/cm2 にすぎない。また本発明における固定マト
リックスでは、ニトロセルロース使用の際に一般的であ
ったような移動緩衝液中のメタノールの使用は必須条件
ではない。そのうえ、DNAに関連して使用されるニト
ロセルロース固定マトリックスは緩衝液中に高濃度の塩
分が必要とされる結果、5アンペアまでの高電流が必要
であって、この際の発熱がDNAに悪影響を与える。本
発明の電荷修飾ミクロポーラス膜を用いる際には高い塩
分濃度は必要とされず、したがってミリアンペア程度の
電気泳動分析が可能である。 【0048】移動した電気泳動グラムのオーバーレイは
従来の他の固定マトリックスにおいてなされてきたと同
じように本発明の固定マトリックスでも実施することが
可能である。他のマトリックス同様に、このマトリック
ス上に残留する潜在結合サイトはクエンチングすること
によって非特定のバックグラウンドを最少にするように
しなければならない。本発明で使用する電荷修飾ミクロ
ポーラス膜は蛋白に対する高い親和性があるために、通
常のクエンチング方法だけでは十分ではない。本発明の
電荷修飾ミクロポーラス膜はリン酸塩緩衝塩水(PB
S)中の10%ウシ脳血清(BSA)中で一昼夜、45〜50
℃にてインキューベーション処理すれば効果的にクエン
チングすることが可能であることが判った。ヘモグロビ
ン(45〜50℃、PBS中1%)もまたクエンチングに有
効であることが判明した。 【0049】この発明はクロマトグラフ基質からマトリ
ックスへの電気泳動的移動に関連して使用すると特に効
果があるが、またクロマトグラフ基質からマトリックス
への高分子体の溶離に対する起動力としての液の物質移
動のような、運搬による移動及び拡散による移動のよう
なブロッティング技術にもまた適用される。この発明に
よれば、カチオン的に電荷修飾した該膜は単にポリアク
リルアミドもしくはアガロース(agarose) ゲルに由来す
る高分子体に対する固定マトリックスとして使用できる
だけでなく、また薄層クロマトグラフィーもしくは高電
圧ペーパー電気泳動の生成物のような他のクロマトグラ
フ物質や又は直接にスポッティングや固相分析に用いら
れる高分子体類を含有する溶液類に由来する高分子体に
対する固定マトリックスとしても使用することができ
る。 【0050】 【実施例】次に実施例によって本発明を詳述するが、本
発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。 【0051】[実施例 1] A.ミクロポーラス膜の作成 ノミナル表面積約13m2/g、イニシャルバブル点約47ps
i(3.3 Kg/cm2 )、及びFoam −All−Over −Pint
が約52psi(3.6 Kg/cm2 )を示すノミナルレート0.22ミ
クロメータの代表的ナイロン66(商標名)膜を米国特許
第 3,876,738号公報に記載の方法に従って、ナイロン66
(商標名、Monsanto Vydyne 66B)16重量%、メタノ
ール7.1 重量%及びギ酸76.9重量%からのドープ組成、
メタノール25容量%、水75容量%のクエンチ浴組成(必
要に応じて米国特許第 3,928,517号公報記載の方法によ
り再生)を用いて鋳込み速度61cm/分、クエンチ浴温20
℃において作成した。浴中で回転する鋳込みドラムに塗
布することによってクエンチ浴液面の直下で膜を鋳込ん
でから塗布地点から約90°の弧を描くようにドラムから
はく離した。この膜は取り上げると浅い懸垂線状をなす
自立状の膜であった。この均一不透明なフィルムの一部
分を80〜90℃の空気オーブン中で強制対流中で30分間、
収縮に抗するため押えつけた状態で乾燥した。 【0052】B.電荷修飾ミクロポーラス膜の作成 1. 膜試料(乾燥試料及び未乾燥試料)をポリアミド−
ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂(商標名、Herules
1884)の4重量%固形分溶液中に浸漬し、次いで吸収平
衡に達せしめた。過剰樹脂を除くために処理膜試料を洗
浄し、次いでドラム上にて押えつけながら 110℃、約3
分間乾燥した。 処理膜試料について次のようにフロー
及びバブル点特性を比較したが、処理及び未処理試料に
ついて完全に同一であることが分かり、ポア及び表面配
列が維持されているのが分った。結果を第1表に示し
た。 【0053】 【0054】FAOP( Foam −All−Over −Poin
t) はASTM D-2499-66T に従ってIBP( InitialBubb
le Point) を決め、次いで空気が湿潤膜試料を通して
流れるまで空気圧を高め、調節器と試料保持器間に配置
されたフローメータで読み取って100cc /min になるよ
うにした。FAOPは試料膜の平均ポア直径に直接比例
する。機械的シーブを制御する形態構造的及び液体力学
的パラメータに関し、処理膜の前記特性が本質的に未処
理ナイロン膜の特性と一致していることが第1表から分
かる。 【0055】2. 同様に作成した他の膜試料に対して同
様な特性値を比較したが、ここでは「Hercules R430
8」樹脂(商標名、ジアリル、窒素含有化合物を基本体
とする遊離ラジカル重合樹脂であってエピクロロヒドリ
ンと反応させたもの)を固形分として2重量%含むpH1
0.5の浴中で処理し、さらに 0.1重量%のテトラエチレ
ンペンタミンで上塗りし、乾燥、架橋、水洗い及び再乾
燥した。結果を第2表に示す。 【0056】 【0057】処理及び未処理試料膜の表面積は本質的に
不変であった;引張り強さは処理したものが増加してい
るが、伸びは若干減少していた。処理したシートは柔軟
性が向上した;未処理シートを折り曲げるとひび割れを
起こし、かつ引き裂けた。 【0058】[実施例 2]実施例1Aで作った湿潤ミ
クロポーラス膜2層を一緒にラミネートし、湿気20〜25
%になるように乾燥した。このように湿潤し、膨潤条件
下にある膜は完全乾燥した膜よりも、さらに効果的に電
荷修飾剤を吸収することが判明した。次いでこの2層膜
を「Hercules R4308」(商標名)樹脂の1.25重量%溶
液中に入れた。浴のpHは10.5であった。当該浴は「Her
cules R4308」樹脂 17.17Kgを初期の20重量%から5重
量%に希釈することによって調製した。次いで5N−N
aOHを添加してpHを10.5に上げた。次いでこの溶液を
150000ohm-cm抵抗以上を有するD.I.水で容量比 2.
5:1 に希釈した。浴溶液の全容量は60ガロン(227L )
であった。 【0059】膜は水平から30°の角度で「Hercules R
4308」の浴中に入れて、電荷修飾剤が膜中に浸透するの
をさまたげるようなバブルが膜中に包含されるのを防い
だ。この浴中で膜を76.2cm/min の速度で121.9 cm長さ
に亘って処理した。浴から取り出し、余分の水を除くた
めに底部面を拭きとった。膜を2次的電荷修飾剤浴中に
導入する前に、冷空気流中で3分間ソーキングした。該
浴は、D.I.水(少くとも150000ohm-cm抵抗) 227L
中に0.0513Kgのテトラエチレンペンタミンを加えること
によって調製した。pHは約9であった。浸漬条件は1次
電荷修飾剤の浴と同一であった。次いで膜を取り上げロ
ールの周りに巻き付けた。湿潤膜を有する取り上げロー
ルは少なくとも3時間貯蔵した。次いで該ロールを 121
℃で3分間、乾燥して電荷修飾剤の反応を完結させた。
次いで膜を洗い、抽出レベルをチェックした。 【0060】[実施例 3]実施例1Aに従って作成し
たミクロポーラス「ナイロン」(商標名)膜を「Hercu
les R4308」1次電荷修飾剤(NaOHにてpHを10に調
整)にて処理し、さらにポリアミン2次電荷修飾剤にて
処理した。第3表(表1)に示すとおり、それぞれの膜
のフロー特性間にはほとんど又は全然差異がみられなか
った。 【表1】【0061】[実施例 4]異なった電荷1次修飾剤、
特にポリアミド・ポリアミンエピクロロヒドリン樹脂候
補の性能を比較し、かつ塗布レベルとpHの最適化を行な
うために「Hercules resins R4308」「Polycup 17
2」(pH4.7にて市販)及び「Polycup 2002 」(固形分2
7重量%、pH3.0 にて市販)(以上いずれも商標名)を
用いて次の試験を行なった。結果を第4表に示す。 【0062】 【0063】[実施例 5]実施例1Aに従って作成し
た「ナイロン」(商標名)製ミクロポーラス膜であって
洗浄し、引張って乾燥した膜を、18 megohm-cmD.I.
水・高純度エタノールの80:20混合物(pHは 6.1〜6.4)
を用いて調製した 1,4−ブタンジオールジグリシダール
エーテル溶液(固形分2重量%)中に浸漬した。溶液か
ら膜を引き上げ、約1分間ドレンした。次いで18 megoh
m-cmD.I.水にて調製し、pH11.2〜11.4を示すテトラ
エチレンペンタミン溶液(固形分 0.5重量%)中に浸漬
した。膜を引き上げ、約1分間ドレンしたのちに拡げ乍
ら 130℃で5分間、乾燥した。 【0064】[実施例 6]「ナイロン66」(商標名)
16重量%、ギ酸 78.04重量%及びメタノール5.96重量%
から成る鋳込み溶液を用いてスパンボンドを行なった
「Reemay 2550 Polyester」(duPont Corporationの
商標名)から成る補強ウェブを用いて、見掛ポアサイズ
約0.65ミクロンのミクロポーラス膜を有するナイロン含
浸ウェブを作成した。このミクロポーラス膜の第1側面
を、この含浸ウェブと接触させて2層の接合部にソーキ
ング湿潤接触ラインを形成させ、同様にして含浸ウェブ
の反対側面上にミクロポーラス膜の第2側面を配置し
た。この3層ラミネート膜を、ラミネート膜の両サイド
上にある端縁押えつけベルトを具備した「Teflon」(商
標名)被覆鋼製ドラム上で乾燥した。該ドラムには周囲
に亘って間隔を置いて赤外線加熱器が配設されていた。
その後、この補強ラミネートをカチオン電荷修飾剤で実
施例1Bに従って処理した。 【0065】[実施例 7] A. 材料及び方法 蛋白試料の調製:赤血球ゴーストをFairbanks, G., Ste
ck, T. L.及びWallach, D. F. H. の〔(1971) Bioche
mistry 10:2606〜2617〕に準拠して麻酔CD1 マイス
の心臓パンクチャー(puncture)上の肋膜キャビティ中
に蓄積した血液から調製した。DeCamilli, P., Ueda,
T., Bloom, F. E., Battenerg, E., 及びGreengard, P.
(1979) Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. : 76, 5977
〜5981に記載の方法に従ってウシの脳皮膚ホモゲネート
を調製した。蛋白スタンダード、蛋白A及びconcanaval
in Aの放射性ヨウ素化はFraker, P. J.,及びSpeck, J.
C. (1978) 〔Biochem. Biophys, Res. Commun. :80, 84
9 〜857 に記載の方法に従って 1,3,4,6−テトラクロロ
−3a, 6a−ジフェニルグリコールウリルから調製した
が、ただし蛋白はPBS(1mg/ml)中に溶解した。5
−mlバイオゲルP−2(Bio−Gel,商品名)もしくは
0.4−mlAG−1−X8カラム上のいずれかの 125I−
ラベル化蛋白から遊離の 125Iが分離された。特殊な活
性が106 〜107 cpm ug-1蛋白から常時、得られた。 【0066】ポリアクリルアミドゲル電気泳動分析:
(最終濃度として)2%(w/v) SDS、2%(v/v) β−
メルカプトエタノール、10%(v/v) グリセロール、0.1
(w/v)ブロムフェノールブルー、及び 100mMトリス−H
Cl を含むpH6.8 を示す緩衝液で安定化した。試料を該
混合物中に3分間煮沸し、次いでLaemmli's システム
〔Laemmli, U. K. (1970) Nature (London): 227, 680
〜685 〕を用いて10%ポリアクリルアミドスラブゲル上
に解像(resolving)した。 【0067】電気泳動移動:電気泳動を完了した後、こ
のゲル(又はその一部分)をScotch −Brite湿潤パッ
ド上に置き、その表面を冷たい(8〜10℃)移動(トラ
ンスファー)緩衝液(15.6mMトリス−120mM グリシン、
pH8.3 、20%(v/v) メタノールを含有するか又は含有せ
ず)でリンスした。pH8.3 のトリス(41mM)−ホウ酸
(40mM)緩衝液もまた試験した。これら2種の緩衝シス
テム間ではなんらの差異も認められなかった。次いで実
施例2のカチオン電荷修飾ミクロポーラス膜(以下CM
MMと称す)又はニトロセルローズ(以下両方を一般的
に固定マトリックス“IM”と称す)を移動緩衝液上に
浮かべて湿潤させゲル上に置いて、IM内部もしくは後
者とゲル間になんらの空気泡が連行されていないことを
確認した。次いでこのIMをScotch −Brite第2パッ
ドでカバーした。Scotch −Briteパッド群によって分
けられた一群のこれらのゲル−IM集合体は同時移動用
として連続的に配設することができる。 【0068】この集合体をプラスチック製グリッド間に
置き、次いで該グリッドを4l 冷移動緩衝液を内蔵する
「Plexiglas」(商標名)製タンク中に…アノードに向
ったIM…でぴったりと挿入した。Anal. Biochem. (19
80) : 102, 459〜471 に記載のものと類似の配列をなす
白金電極をタンクの広い側壁に固定した。アノードとカ
ソード間隔は8−cmであり、電気泳動移動間に生じた電
界は平均化しているように観察された。移動操作間中、
塩類として変化した緩衝組成物ゲルから溶離され、かく
して電圧を一定に保つと電流は増加した。標準的入力を
使用(Buchler Model 3-1500)したので、一定の電流(2
00mA)で移動させ電圧を徐々に減少させやることが、も
っと実際的であるということが時々観察されて分かっ
た。典型的な2時間の移動では、電圧は例えば42から30
ボルトに降下した。この電圧降下は移動緩衝液とゲルと
の間の優先的平衡維持によって回避されうるものであ
る。この方法はまた、移動中のゲルの膨潤を回避でき、
この膨潤はアクリルアミド濃度が≧10%の場合には常に
存在するのである。IMs は移動後直ちに用いることも
でき、又は乾燥してWhatman 3MM クロマトグラフィーペ
ーパーのシート間に保存して用いることもできる。 125
I−ラベル化蛋白の移動が定量化された実験では、ゲル
及びIMs の両方共、Kodak XAR-5 及びDuPont Cronex
Lightning Plus強化スクリーン(−70℃での)を使用し
てポスト移動(post−transfer)をオートラジオグラフ
ィーにより測定した。この放射バンドはゲル及びIMs
から励発され、Beckman Biogmma 2カウンタにより検知
された。 【0069】抗体及びレクチンによるトランスファー処
理:不特定バックグラウンド結合を排除するために、I
Ms はクエンチングしなければならない。ニトロセルロ
ースの場合では、2%(w/v) BSAか、又は1%(w/v)
ヘモグロビンのいずれかを含む10mMPBS(pH7.4)中で
1時間、室温においてこのフィルターを培養すれば充分
である。CMMMのインキュベーションには10%BSA
又は1%ヘモグロビンのいずれかを内蔵するリン酸塩緩
衝液(PBS)中で45〜50℃、12時間CMMM,IMs
を培養すればクエンチングとしては充分であることが判
った。クエンチ済みのIMs は、2%BSA又は1%ヘ
モグロビンのいずれかを含有するPBS中で適切なリガ
ンド(例えば抗体、蛋白A、レクチン)と室温で1時
間、反応させ、次いで50〜100 mlPBSで少なくとも5
回洗浄した。上記操作に用いたすべての溶液はナトリウ
ムアジド(0.05%w/v)を含有していた。洗浄済みIMs
は前記のように−70℃でオートラジオグラフィーにかけ
た。 【0070】B.結 果 1.IMs への高分子体の結合 (a) IMS への 125I−ラベル化BSAの吸着を比較
するために接合試験を行なった。四角なIM材料を1時
間、種々の濃度の 125I−ラベル化BSA(0.01〜5%
w/v ,PBS中)溶液中でインキュベーションした。培
養媒体から成る各試料中には等しいトレーサ量(177000
±6100cpm ・ml-1;推定量 180ng・ml-1)の 125I−ラ
ベル化BSAが含まれていた。インキュベーション後
に、このIMs を5mlPBSで5回洗浄してカウントし
た。カウント数は結合BSA(ug・cm-2)に変換した。
BSAが結合するCMMMの能力はニトロセルローズの
能力を常に越えていた。このことはBSAの高濃度が使
用された時には特に顕著であって、例えば5%BSAで
はIMs は 480ug・cm-2に対してセルローズは80ug・cm
-2であった。このことは図1に示したが、ここでCMM
Mは●(黒丸)で、またニトロセルローズは○(白丸)
で表示した。 【0071】(b) 1cm2 のCMMM、ニトロセルロー
ズ、未修飾ナイロン及び実施例5の膜をヘモグロビン
(PBS中0〜5%)又はBSA(PBS中0〜10%)
の各種濃度においてインキュベーションした。各フィル
ター1mlを培養し、回転(2h、RT°c)した。次い
125I−ラベル化蛋白混合物の50μlをそれぞれのウ
ェル(well)中に添加した〔50l =5000cpm IgA; 5
000cpm Calmodulin ;5000cpm BSA〕。このようにし
てフィルターを25℃、1時間、インキュベーションして
から1mlPBSにて5回洗浄してカウントした。バック
グラウンド(85cpm)を結果から差し引き、図1a(BS
A)及び図1b(ヘモグロビン)に示した。例えば1%
BSAにおいては放射性結合蛋白のシグナルは、ニトロ
セルロースCMMM、未修飾ナイロン及び実施例5の膜
が用いられた場合に98%,48%,94%及び77%だけそれ
ぞれ減少した。次いでクエンチしないIMs を約2時
間、1%「Trition X−100 」(商標名、非イオン性
界面活性剤)中で洗浄し、どの程度の量の放射性蛋白が
除去されたかを測定した。その結果、CMMMからは40
%が、実施例5のIMからは約80%が、未修飾膜からは
92%が、またニトロセルローズからは92%が除去されて
いることが判明した。これらの結果は蛋白とIMsとの
相互作用に対して電荷修飾が寄与することを明示してい
る。 【0072】(c) IMs の2cm2 四角4個を使用して5
0000 cpm の〔32P〕にてラベル化して(in vitro)転
写したヒトβ−グロビンmRNA〔Nucleic Acid Resea
rch ,10:5429(1982)〕を使用してハン点実験を行なっ
た。次いで洗浄中のカウントがバックグラウンドに達す
るまでPBSにて洗浄した。次いでフィルターに結合し
ているラベル化mRNAの量を測定した。市販のニトロ
セルロース及びセルロースアセテートの四角物は100cpm
以下の結合量であったが、2個のCMMM(多孔度がそ
れぞれ0.45及び0.2)では約30000cpmの結合量であった。 【0073】2.ゲルからフィルターへの蛋白の電気泳
動的移動 Towbinらが記載したと類似の緩衝条件(すなわち15.6mM
トリス、 120mMグリシン、20%(v/v) メタノール、pH8.
3)を用いて、 125I−ラベル化BSA(〜200ng)の電気
泳動法による移動(30V、1時間)をIMs について試
験した。緩衝液からメタノールを省略したところ、CM
MM及びニトロセルロースのそれぞれの場合において溶
離がロードの30%〜>60%及び〜50%にそれぞれ増加し
た。しかしながらメタノールが存在しない場合には、C
MMM及びニトロセルロース使用のそれぞれに対応して
溶離が30〜>60%増加した。しかしメタノール不在の場
合には 125I−ラベル化BSAは少なくとも5層のニト
ロセルロース(この表面にロードの15〜8%の減少量が
検出された)を通過した;しかるに大部分の 125I−ラ
ベル化BSA(ロードの>60%)は最初のCMMMフィ
ルター上に残留していて、連続している各フィルター上
には<1%が検出された。他のプロテインスタンダード
(Phosphorylase b, fertin, ovalbumin, carbonic an
hydrase,及びsoybean trypsin inhibitor)についても同
様な結果が得られた。メタノール不在下で行なった 125
I−ラベル化BSAの移動に関する代表的な結果を図2
〜図4に示した。 【0074】図2は種々の変量の 125I−ラベル化BS
AのCMMM又はニトロセルロースへの移動を定量化し
た結果を示す。 125I−ラベルBSAの濃度を4種類増
加(150, 300, 514 および1400ngの見積り)させて10%
SDS−ポリアクリルアミドゲル上でランした。電気泳
動後、レーンの1シリーズを連続した八つのCMMM層
(●,■,×)に移動し、かつその他はニトロセルロー
スの連続した10個の層(○,□,△)に移動した。移動
完了後(一定の32V、メタノールなし、 pH8.3、トリス
−ホウ酸で2時間)、このゲル類及びIMs をカウント
した。各ゲルレーン(○,●)から溶離したBSA量は
対応するゲルポスト−トランスファーに残留している放
射活性とロードした放射活性間の差として算出した。未
カウントBSA(△,×)は各ゲルから溶離した放射活
性と対応するCMMM又はニトロセルロースフィルター
(□,■)上に回収された放射活性間の差として算出し
た。 【0075】図3は使用した最高ロードのBSA(1400
ng)から、八つのCMMMフィルター(●)上への、又
は10個のニトロセルロースフィルター(○)上への 125
I−ラベル化BSAを示してある。矢印1は八つのCM
MM層上へ回収された全量を示す。矢印2はニトロセル
ロース10層上に回収された全量を示す。 【0076】図4は最初のCMMMフィルター、最初の
ニトロセルロースフィルター及び10枚の連続ニトロセル
ロース層上に回収されたBSAの比較である。図2に示
した実験で得られた結果は、それぞれのBSA濃度に対
して、CMMMの全8層上に回収されたBSA量にノル
マライズした。該値は100 %回収とした。BSAの3種
のより低濃度に対しては、最初のCMMM層(ストリッ
プバー)はニトロセルロース(ハッチバー)の全10層と
同程度もしくはそれ以上を吸収した。いずれの場合でも
最初のCMMM層上に回収されたBSA量は最初のニト
ロセルロースフィルター(ストリップバー)上に回収さ
れたものより著しく大きかった(4倍)。 【0077】図2,図3及び図4は、(1) CMMMの1
層又は2層が用いられた場合にはゲル上にロードした蛋
白の80%以上をカウントすることができることを示す
(図2及び図3);(2 )IM結合BSAの80%(低ロー
ド)ないし50%(高ロード)がCMMMの最初の層上に
回収されたことを示す(図4);及び (3 ) CMMMの
3層以上を使用しても回収率の改善はみられなかった
(図3)ことを示す。ニトロセルロース10層を使用して
も同様の結果は得られなかった(図2〜図4)。ニトロ
セルロースを用いた場合には未カウント 125I−ラベル
化BSA(おそらく緩衝液中に失なわれた分)の量はロ
ードの>25%に達するが、CMMMの場合には≦15%程
度であった。 【0078】3.フィルター上の移動蛋白の保持 ひと度びCMMMに吸着されると、蛋白は極めて良好に
保持されることは次の実験によって証明された。SDS
−ポリアクリルアミド上にランされた 125I−ラベル化
BSAはCMMM又はニトロセルロースのいずれかに電
気泳動的に移動される。移動後、このIMs を次の条件
の一つを用いてインキュベーションした:(1) PBSの
0.5%グルタルアルデヒド中で15分間、(2 )25%イソプ
ロパノール−10%酢酸中で1時間、及び (3 )PBS単
味中で1時間。次いでIMs をPBS中で数回リンス
し、次いでPBS中の 0.1%「Triton X−100 」(商
標名)中で一昼夜放置して洗浄した。各IM上のラベル
量を、移動後と洗浄後の両方で測定した。ニトロセルロ
ースの場合では、 125I−ラベル化BSAの80%が非定
着IMs から流失した;グルタルアルデヒド又は酸性−
アルコール処理した後のIMs 上には少なくとも 1.5〜
2倍以上のカウントが保持された。CMMMを用いた場
合、元のカウントの>65%が定着剤なしでも保持され、
定着剤を増加するとこの値は>90%に達した。そのう
え、CMMMへの蛋白の保持は洗浄液のpH(2.0〜8.3)が
変動しても実際的に影響されないことが判った。 【0079】4.トランスファーのオーバーレイ 移動パターンをどのようなオーバーレイ技術に使用する
場合でもその前に、フィルター上の残留している潜在的
な結合サイトは、不特定バックグラウンドを最小にする
ためにクエンチングしなければならない。CMMMは45
〜50℃において、PBS中の10%BSA中に一昼夜、イ
ンキュベーションすれば効果的にクエンチされる。より
低温(例えば37℃)、BSAのより低濃度、又は50℃で
の上記溶液によるフィルターのより短時間でのインキュ
ベーションでは、これらのプロープが用いられるときに
オーバーレイ中に高いバックグラウンドが生ずるので好
ましくない。ヘモグロビン(45〜50℃、PBS中1%)
もまたCMMMトランスファーをクエンチングするのに
有効であることが判った。 【0080】蛋白パターンのオーバーレイは抗体もしく
はレクチンを有するCMMM又はニトロセルロースに移
動する。特に、ウシ脳皮質ホモジエネートの分別(各25
ug)を10%SDS−ポリアクリルアミドゲル上に移し、
次いで 200mAでトリス−グリセリン緩衝液中、2時間に
亘ってCMMM又はニトロセルロースのいずれかに電気
泳動的に移動した。BSAでクエンチングした後、この
IMs をanti-protein1(synapsin)を含む希釈(1:
300)ラビット血清にて1時間、オーバーレイした。次い
で洗浄し、 125I−ラベル化プロテインA(106 cpm
全)で1時間インキュベーションしてから再洗後オート
ラジオグラフィーに処した。同様の操作をネズミ赤血球
ゴーストの分別(各25ug)を用いて実施したが、ヘモグ
ロビンにてクエンチングしたフィルター及び 125I−ラ
ベル化concanavalinA(全5×105cpm) をプローブとし
て用いた。CMMMを用いると、ニトロセルロースより
も遥かに大きい結合能力によってこれらの技術の感度が
一層向上する。 【0081】レクチン結合の特性を適切なハプテン類を
用いて試験した。例えば 125I−ラベル化concanavalin
Aのオートラジオグラフの場合では、各々のIMs に結
合した正味の放射活性は全カウントからレーンの低部上
にて測定されたバックグラウンドを差引いて決めた。こ
の正味のCMMM上のシグナルはニトロセルロース上の
ものより 1.6倍も高かった。 100mMα−メチルグルコシ
ドを含むPBS中で最初に洗浄するとCMMMからのシ
グナルの82%が、ニトロセルロースからのシグナルの76
%が除かれた。100mA α−メチルマンノシドを含むPB
S中での2回目の洗浄ではCMMMで90%、ニトロセル
ロースで84%と除去率が増加した。 【0082】また、アセチルコリン受容体を蛋白ブロッ
ティングにより分析した。「Torpedo 」社製のElectric
organ膜を4℃において、リチウムドデシルサルフェー
ト含有のポリアクリルアミドゲル上にランした。このエ
レクトロホレトグラムをCMMMにエレクトロブロッテ
ィングし、次いでこれをヘモグロビンによってクエンチ
ングしてから、 125I−ラベル化α−bungarotoxinでオ
ーバーレイした。受容体のα−サブユニットだけがこの
トキシンと結合した。この結合は他のアセチルコリンア
ンタゴニストである非放射性α−bungarotoxin及びtubo
curarineに匹敵しうるものである。発明の精神と範囲か
ら逸脱することなしに、本発明の方法と製品は各種の変
更と修飾をなしうるものである。ここに開示の実施態様
は本発明を詳述する目的のものであって、これにのみ限
定されるものではない。 【0083】 【発明の効果】本発明は、その表面上に固定マトリック
スとしてカチオン電荷修飾ミクロポーラスナイロン膜を
有するクロマトグラフ基質から核酸及び蛋白などの高分
子体を固相中に固定化する固相アッセイシステムに関す
るものであり、該固相として、高分子体を一層効率良く
固定化するような大きな吸着能力と良好な保持性を有す
る新規固定ナイロンマトリックスを使用することによ
り、優れた固相アッセイシステムを提供することが可能
となった。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に用いる膜に対する 125I−ラベル化B
SAの結合を示す説明図である。 【図1a】IMsに対する 125I−ラベル化蛋白の結合
に対する種々のBSA濃度の影響を示す図である。 【図1b】IMs に対する125 I−ラベル化蛋白に対す
る種々の濃度のウシヘモグロビンの影響を示す図であ
る。 【図2】図1のマトリックスへの各種の変量の 125I−
ラベル化BSAの移動を定量化して示した図である。 【図3】図1のマトリックスを積層したものへの 125
−ラベル化BSAの回収を示す図である。 【図4】図1のマトリックスの層上へのBSA回収の比
較図である。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1) その表面上に固定マトリックスとしてカチオン
    電荷修飾ミクロポーラスナイロン膜を有するクロマトグ
    ラフ基質から高分子体を固相中に固定化する固相アッセ
    イシステムにおいて、該固相として、膜全体に亘って細
    孔を有する親水性膜であって該細孔表面がカチオン電荷
    修飾剤により飾剤されているような膜から成るカチオン
    電荷修飾ミクロポ―ラス膜を使用する改良システム。 (2) その表面上に固定マトリックスとしてカチオン
    電荷修飾ミクロポーラスナイロン膜を有するクロマトグ
    ラフ基質から高分子体を固相中に固定化する固相アッセ
    イシステムにおいて、該固相として、該膜全体に亘って
    微細構造を有する実質的に等方性であってスキンがなく
    ポ―ラスで親水性のナイロン製ミクロポ―ラス膜から成
    る親水性ミクロポ―ラス膜であって該ミクロポ―ラス膜
    が該膜の微細構造の実質的全てに結合しているカチオン
    電荷修飾剤の有効電荷修飾量を実質的にポアサイズの低
    下またはポアの破壊なしに含有して成るカチオン電荷修
    飾ミクロポ―ラス膜を使用することから成る改良システ
    ム。 (3) 電荷修飾剤がポリアミンとエピクロロヒドリン
    との反応生成物であり、該反応生成物が(i)第3アミ
    ン基または第4級アンモニウム基、および(ii)ポリ
    アミン鎖に沿ったエポキシド基を有し、該エポキシド基
    がこの膜に結合し得るものである特許請求の範囲第1項
    または第2項記載の改良システム。 (4) 電荷修飾剤がポリアミンとエピクロロヒドリン
    との反応生成物であり、該反応生成物が一つのポリマ―
    鎖を含み該鎖に沿って(i)第3アミン基または第4級
    アンモニウム基、および(ii)エポキシド基を有し、
    該エポキシド基がこの膜に結合し得るものである特許請
    求の範囲第1項または第2項記載の改良システム。 (5) 電荷修飾剤がポリアミド−ポリアミンエピクロ
    ロヒドリン樹脂である特許請求の範囲第1項または第2
    項記載の改良システム。 (6) 電荷修飾剤がポリアミン−エピクロロヒドリン
    樹脂である特許請求の範囲第1項または第2項記載の改
    良システム。 (7) 電荷修飾剤が、エピクロロヒドリンと反応した
    ジアリル窒素含有物質である特許請求の範囲第1項また
    は第2項記載の改良システム。 (8) 該ミクロポーラスナイロン膜の微細構造の実質
    的全てに結合している電荷修飾剤上のエポキシド基の一
    部が、次の(i)少なくとも一つの1級アミンまたは少
    なくとも二つの2級アミンを有するポリアミンである脂
    肪族アミン類;および(ii)少なくとも一つの2級ア
    ミンおよびカルボキシルもしくはヒドロキシル置換基を
    有する脂肪族アミン類から成る群から選択された第2次
    電荷修飾剤に結合して成る特許請求の範囲第4項記載の
    改良方法。 (9) 第2次電荷修飾剤が、次の一般式化1 【化1】 〔式中、R1 およびR2 は炭素数1〜4のアルキル基、
    x は0〜4の整数を示す〕にて表わされる脂肪族アミン
    である特許請求の範囲第8項記載の改良システム。 (10) 脂肪族アミンが次の一般式化2 【化2】 にて表わされるテトラエチレンペンタミンである特許請
    求の範囲第9項記載の改良システム。 (11) 膜が実質的に等方性でスキンがないものから
    成る特許請求の範囲第1項記載の改良方法。 (12) 細孔表面が、該電荷修飾剤により修飾され、
    そして次の(i)少なくとも一つの1級アミンまたは少
    なくとも二つの2級アミンを有するポリアミンである脂
    肪族アミン類;および(ii)少なくとも一つの2級ア
    ミンおよびカルボキシルもしくはヒドロキシル置換基を
    有する脂肪族アミン類から成る群から選択された第2次
    電荷修飾剤により修飾されて成る特許請求の範囲第2項
    記載の改良システム。 (13) 電荷修飾剤中のエポキシド基の一部が第2次
    電荷修飾剤に結合して成る特許請求の範囲第12項記載
    の改良システム。 (14) 該基質がゲル電気泳動技術で用いられる電気
    泳動ゲルである特許請求の範囲第1項または第2項記載
    の改良システム。 (15) 該ゲルがポリアクリルアミドである特許請求
    の範囲第14項記載の改良システム。 (16) 該電荷修飾剤が、次の(i)少なくとも一つ
    の1級アミノまたは少なくとも二つの2級アミノ基を有
    する脂肪族アミン類;および(ii)少なくとも一つの
    2級アミノおよびカルボキシルもしくはヒドロキシル置
    換基を有する脂肪族アミン類から成る群から選択され、
    かつ該電荷修飾剤が、約500以下の分子量を有する脂
    肪族ポリエポキシド架橋剤を通してミクロポ―ラス膜構
    造に結合して成る特許請求の範囲第1項または第2項記
    載の改良システム。 (17) ポリエポキシドが1,4−ブタンジオ―ルジ
    グリシダ―ルエ―テルから成る特許請求の範囲第16項
    記載の改良システム。 (18) 電荷修飾剤がテトラエチレンペンタミンから
    成る特許請求の範囲第17記載の改良システム。 (19) 該基質がゲル電気泳動技術で用いられる電気
    泳動ゲルから成る特許請求の範囲第16項記載の改良シ
    ステム。 (20) 膜のポアサイズが0.05〜1.2μである
    特許請求の範囲第1項または第2項記載の改良法システ
    ム。 (21) 電荷修飾ミクロポーラス膜の残存する結合サ
    イトが、非特定のバックグラウンドを最小にするため
    に、蛋白の移動後およびリガンドによるインキュベ−シ
    ョン前にクエンチされて成る特許請求の範囲第1項また
    は第2項記載の改良システム。 (22) 電荷修飾剤が分子量約1000以上の水溶性
    有機ポリマ―であり、該ポリマ―がその鎖に沿って、
    (i)3級アミンまたは第4級アンモニウム基、および
    (ii)エポキシド基を有するポリマ―鎖を持つポリマ
    ―から成る特許請求の範囲第1項または第2項記載のシ
    ステム。 (23) カチオン電荷修飾剤がポリアミンとエピクロ
    ロヒドリンとの反応生成物であり、該反応生成物が3級
    アミンまたは第4級アンモニウム基を有し、該剤が該膜
    ミクロ構造の実質的全てに結合されて成る特許請求の範
    囲第53項または第54項記載のシステム。 (24) 第2次電荷修飾剤が、(i)少なくとも一つ
    の1級アミンまたは少なくとも二つの2級アミン基を有
    する脂肪族アミン類;および(ii)少なくとも一つの
    2級アミンおよびカルボキシルもしくはヒドロキシル置
    換基を有する脂肪族アミン類から成る群から選択されて
    成る特許請求の範囲第23項記載のシステム。 (25) 第2次電荷修飾剤が、(i)少なくとも一つ
    の1級アミンまたは少なくとも二つの2級アミン基を有
    する脂肪族アミン類;および(ii)少なくとも一つの
    2級アミンおよびカルボキシルもしくはヒドロキシル置
    換基を有する脂肪族アミン類から成る群から選択されて
    成る特許請求の範囲第23項記載のシステム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR20210119280A (ko) 2019-02-19 2021-10-05 타이무 기켄 가부시키가이샤 유량 제어 밸브

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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5948081A (ja) * 1982-08-04 1984-03-19 ステイクテイング・カソリエケ・ユニベルシテイト Rnaブロツト紙

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