JPH0641721A - 摺動部材およびその製造方法 - Google Patents

摺動部材およびその製造方法

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JPH0641721A
JPH0641721A JP19548592A JP19548592A JPH0641721A JP H0641721 A JPH0641721 A JP H0641721A JP 19548592 A JP19548592 A JP 19548592A JP 19548592 A JP19548592 A JP 19548592A JP H0641721 A JPH0641721 A JP H0641721A
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Takehiro Sugawara
原 丈 弘 菅
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 苛酷な摺動条件下においても十分な耐焼付性
および耐摩耗性を有する摺動部材を提供する。 【構成】 截頭凹凸形状をなす表面を有する摺動部材本
体1aの前記表面に気相蒸着による硬質皮膜2を形成し
ていると共に、前記硬質皮膜2の表面が中心線谷深さR
v表示で0.3〜1.8μmの截頭凹凸形状3をなして
いる摺動部材1。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、摺動部材およびその製
造方法に係わり、例えば、往復動する摺動態様や、高い
面圧が発生するため潤滑油が摺動面に供給しにくいよう
な摺動態様の場合に利用するのに適した摺動部材に係わ
り、さらに具体例を示せば、自動車用エンジンの動弁機
構においてカムシャフトの回転運動を吸排気弁に伝達す
るロッカーアームに利用することが可能であり、また、
車両搭載用空調機のコンプレッサとして用いられる可変
容量型片斜板式圧縮機において斜板自転防止のために使
用されるスライダー等の往復摺動が発生する摺動部材と
して利用することが可能である摺動部材、およびこの摺
動部材を製造するのに好適な摺動部材の製造方法に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、自動車用エンジンの動弁機構に
おいて使用されるロッカーアームや、可変容量型片斜板
式圧縮機において使用されるスライダーのように、往復
動の摺動が発生したり、高い面圧が発生したりするよう
な摺動部材においては、用途上から言って当然のことで
あるが耐焼付性および耐摩耗性に優れていることが要求
される。
【0003】一般に、この種の摺動部材においては、同
種金属の組み合わせではすぐに焼付が発生してしまうこ
とが多いことから、異種金属を組み合わせて使用するこ
とが多く、従来より、鋼,鋳鉄,アルミニウム合金,あ
るいは焼結合金等を組み合わせて使用することが多い。
さらに、これら摺動部材の摺動面に表面処理を施し、摺
動特性のより一層の向上を図ろうとする研究も幅広く行
われている。
【0004】ところで、最近の自動車では、車両寸法に
対してトランクルームスペースを犠牲にしないで居住空
間を大きくとる傾向にあり、必然的にエンジンルームの
小型化が進められている傾向にある。
【0005】それに伴い、エンジン自体やその他補機類
の小型化が必要となり、エンジンおよび各補機類の高回
転化をもって性能を維持しようとする要求が強い。ま
た、同時に、燃費向上の要求が強く、各部品間の摺動に
よって費やされる動力損を最小限に抑えるために、可動
部品の小型化が要求されている。
【0006】このような小型化の要求の例を挙げれば、
エンジンの動弁機構を構成する部品の一つであるロッカ
ーアームや、補機類の一つである空調用の圧縮機があ
る。このように、可動部品の小型化が進められた結果、
摺動部についても必然的に小型化が要求され、より小さ
な摺動面積で従来と同様ないしはそれ以上の荷重を受け
なければならない状況にある。さらに、高回転化によっ
て摺動部への潤滑油の供給がより困難となっており、摺
動部材の摩耗や焼付が発生しやすくなって、より苛酷な
摺動条件に曝される傾向にある。
【0007】図6に示すように、エンジンの動弁機構を
構成するロッカーアーム11は、一般に、エンジンヘッ
ドに配置されたロッカーシャフト12によって位置決め
され、図示しない動力伝達機構によりカムシャフト13
が回転することによって、カム13aの形状に沿ってロ
ッカーアーム11はロッカーシャフト12を支点として
揺動し、ロッカーシャフト12に対してカム13aとは
反対側に位置する吸排気弁14の上面軸端部を押し下げ
る。
【0008】ここで、吸排気弁14にはリテーナ15と
コッタ16を介してスプリング17による反発力が働く
ため、ロッカーアーム11はカム13aのプロフィール
に沿って常時摺動し、摺動方向としては往復動するよう
になる。
【0009】それにより、エンジン回転数と同調したカ
ムシャフト13の回転運動が吸排気弁14に伝えられ、
図示しない燃焼室の密閉、および吸排気のための燃焼室
の開放が行われる。そして、エンジンの高回転化が進む
と、ロッカーアーム11、吸排気弁14、リテーナ1
5、コッタ16といった動弁機構部品全体の慣性力が大
きくなっていくため、スプリング17による反発力が不
十分となり、ロッカーアーム11はカム13aのプロフ
ィールに常時倣うことができなくなり、プロフィールに
無関係な動きをするようになる。
【0010】そこで、このような事態を未然に防ぐた
め、スプリング17が強化されることとなるので、カム
13aとロッカーアーム11との摺動面にはより大きな
面圧が加わり、摺動条件がより厳しくなる傾向となる。
【0011】さらに、上述のように、現状でも常時厳し
い摺動条件に曝されているロッカーアーム11について
も、エンジンヘッド自体の小型化に伴い、各部品も小型
化されるようになり、より一層の高性能化に伴うエンジ
ンの高回転化によって、より小さな摺動面積においてさ
らに高い面圧でしかも高速の摺動に耐え得ることが要求
されるようになってきている。
【0012】さらにまた、エンジンルーム内の補機類に
ついても小型軽量化が強力に進められ、車両搭載用空調
機に用いられる圧縮機においても小型化が進められてい
る。そして、小型化による圧縮機容量の低下分は、高回
転化により吐出量を補う方向で検討されているため、空
調用圧縮機の摺動部についても、ロッカーアーム11と
同様により苛酷な摺動条件に曝されることとなる。
【0013】そのなかでも、可変容量型の片斜板式圧縮
機に用いられ、斜板の自転止めに用いられる図7に示す
スライダー21は、代表的な例である。このスライダー
21は、斜板の自転をスライダーガイド22の摺動面で
受けとめ、さらに矢印方向に往復の摺動運動をする。こ
のような部品についても、上記に示す通り小型化および
高速化が進められ、より苛酷な摺動条件に曝されるよう
になりつつある。
【0014】摺動部の特性を向上させるため、従来よ
り、摺動面にクロムめっきや窒化処理を施すことで対処
する例が多く、さらに摺動条件の過酷なものについて
は、気相蒸着法による硬質皮膜の採用が検討されてい
た。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
表面処理では、今後採用が予想される苛酷な摺動条件下
では十分とは言えず、例えば、クロムめっきや窒化処理
では耐焼付性および耐摩耗性が不十分であり、また、気
相蒸着法で得られる硬質皮膜では、相手材へのアタック
を考慮するあまり、超平滑な仕上げを実施しているた
め、オイルの保持力に劣り、耐焼付性が十分でないとい
う問題点があって、このような問題点をなくすことが課
題となっていた。
【0016】
【発明の目的】本発明は、上記した従来の課題にかんが
みてなされたものであって、より苛酷な摺動条件下にお
いても十分な耐焼付性および耐摩耗性を有する摺動部材
を提供することを目的としている。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明は、耐摩耗性にお
いては十分な特性を有する気相蒸着法による硬質皮膜に
着目し、摺動面に気相蒸着によって硬質皮膜を形成さ
せ、さらに硬質皮膜の表面を平坦部と凹部を有する截頭
凹凸形状に形成することによって、オイル溜りが生じや
すくなる状態を意図的につくり出すことで、摺動面にお
けるオイルの保持および供給を容昜にし、耐焼付性の向
上を図ったものである。
【0018】すなわち、本発明に係わる摺動部材は、截
頭凹凸形状をなす表面を有する摺動部材本体の前記表面
に気相蒸着による硬質皮膜を形成していると共に、前記
硬質皮膜の表面が中心線谷深さRv表示で0.3〜1.
8μmの截頭凹凸形状をなしている構成としたことを特
徴としており、実施態様においては、截頭凹凸形状をな
す硬質皮膜表面の平坦部と凹部との面積比率が、平坦
部:凹部=93:7〜55:45である構成としたこと
を特徴としている。
【0019】また、本発明に係わる摺動部材の製造方法
は、摺動部材本体の表面を截頭凹凸形状に形成したの
ち、前記表面に気相蒸着法によって硬質皮膜を設けて、
前記硬質皮膜の表面を中心線谷深さRv表示で0.3〜
1.8μmの截頭凹凸形状に形成する構成としたことを
特徴としている。
【0020】図1は、本発明に係わる摺動部材およびそ
の製造方法の実施態様を示すものであって、図1の
(a)に示すように、摺動部材本体1aの表面に、旋削
加工や研削加工などの機械加工を行うことによって、あ
らかじめ凹凸面1bに形成しておく。
【0021】次に、図1の(b)に示すように、凹凸面
1bに対してラッピングやポリッシングなどの研磨加工
を行うことによって、凸部分の除去を行い、残りの凹部
の深さが0.3〜1.8μm程度となるまで部分的に平
坦に研磨し、平坦部と凹部を有する截頭凹凸形状1cの
表面に形成する。
【0022】次に、図1の(c)に示すように、表面研
磨加工した摺動部材本体1aの表面に、気相蒸着法によ
って硬質皮膜2を形成する。
【0023】このように、気相蒸着法によって、金属窒
化物,金属炭化物,金属炭窒化物等の硬質皮膜2を形成
するが、摺動部材本体1aの表面に形成する硬質皮膜2
は、初期なじみにおける摩耗によって表面層が消失して
耐摩耗性が損われることを考慮して1μm以上の膜厚と
することが望ましく、また、表面に亀裂や欠けなどの不
具合が生じない良好な密着力を維持できるようにするた
めに10μm以下の膜厚とすることが望ましい。
【0024】また、硬質皮膜2を形成する前に、摺動部
材本体1aの表面にスパッタクリーニングを行うことに
よって処理面を十分に活性化させ、その後気相蒸着法に
よる成膜を行うことによって、密着力が大きい硬質皮膜
2を形成するようになすことも場合によっては望まし
い。
【0025】このように、表面を截頭凹凸形状1cに形
成した摺動部材本体1aの表面に、気相蒸着法により硬
質皮膜2を設けることによって、前記硬質皮膜2の表面
を中心線谷深さRv表示で0.3〜1.8μmの截頭凹
凸形状3に形成する。そして、このような截頭凹凸形状
3が油溜りとして作用する摺動部材1を得る。
【0026】
【発明の作用】本発明に係わる摺動部材は、截頭凹凸形
状をなす表面を有する摺動部材本体の前記表面に気相蒸
着による硬質皮膜を形成していると共に、前記硬質皮膜
の表面が中心線谷深さRv表示で0.3〜1.8μmの
截頭凹凸形状をなしている構成としたから、このような
截頭凹凸形状の存在によってオイルが溜りやすくなる状
態が形成されて摺動面におけるオイルの保持および供給
が良好になされることとなって、耐焼付性および耐摩耗
性が向上したものとなる。
【0027】
【実施例】図1に示したと同様の工程において、摺動部
材本体1aの素材としてSKD11を用い、摺動面を平
面研削盤で研削することによって深さ3.3〜6.3μ
mの凹凸面1bに形成し、続いて、凹凸面1bにポリッ
シュ盤を用いたポリッシングによる研磨加工を行うこと
によって凸部分の除去を行い、残りの凹部の深さが中心
線谷深さRv表示で2.0μm,1.8μm,1.0μ
m,0.5μm,0.3μm,0.01μm,0.05
μmの合計7種類となるまで部分的に平坦に研磨し、平
坦部と凹部を有する截頭凹凸形状1cの表面に形成し
た。
【0028】次いで、前記摺動部材本体1aの表面に、
PVD法によって皮膜硬度が1700Hmvであるクロ
ム窒化物よりなる硬質皮膜2を形成させることによっ
て、中心線谷深さRv表示で2.0μm,1.8μm,
1.0μm,0.5μm,0.3μm,0.1μm,
0.05μmの合計7種類の截頭凹凸形状3を有する摺
動部材1を得たのち、焼付試験および摩耗試験に供し
た。
【0029】また、比較例として、クロムめっきを施し
たもの、および窒化処理を施したもの2種類を用意し
て、同じく焼付試験および摩耗試験に供した。
【0030】これらのうち、焼付試験は、図2に示す焼
付試験装置を用いて行った。この焼付試験装置におい
て、ステータホルダー41には、直径80mmの円盤状
ステータ(相手材)42が取り外し可能に取り付けられ
ており、その中央には裏側から注油孔43を通して潤滑
油が注入されるようになっている。ここで、ステータホ
ルダー41には、図示しない油圧装置によって図中右方
向へ向けて所定圧力で面圧(P)がかかるようにしてあ
る。
【0031】また、円盤状ステータ42に対向するロー
タ44に取り付けられた試験片保持具45には、回転軸
と同心上の円周上に等間隔で3個の取付孔が刻設されて
おり、それぞれにテストピース(上記9種類の摺動部材
1から選んだもの)46が取り付けられる。
【0032】そして、テストピース46の5mm×5m
mの先端面が円盤状ステータ42の摺動面に接触し、図
示しない駆動装置によって所定の速度で回転すると共
に、試験時にはステータ42側の注油孔43から一定温
度の潤滑油を摺動面に供給しながら行う。
【0033】ロータ44を回転させるとテストピース4
6とステータ42との間に摩擦によって、ステータホル
ダー41にトルクが発生する。そのトルクを図示しない
スピンドルを介して同じく図示しないロードセルにより
検知し、面圧変化によるトルク変動を同じく図示しない
動歪計で読みとり、トルクが急激に立ち上がった時点で
焼付と判断し、その時の面圧を焼付発生面圧とした。
【0034】なお、ステータ42には、SCM420H
を用い、ロータ44にはSKD 11を使用した。
【0035】他方、摩耗試験は、図3に示す摩耗試験装
置を用いて行った。この摩耗試験装置において、ピンホ
ルダ51に、5mm×5mmの断面を持つ長さ15mm
のピン形テストピース(上記9種類の摺動部材1から選
んだもの)52をネジによって固定した。また、この際
に供されるピン形テストピース52の先端はR6とし
た。ここで、ピンホルダ51には、図示しない油圧装置
によって図中左方向へ向けて一定圧力で面圧がかかるよ
うにしてある。
【0036】また、ピン形テストピース52に対向する
ドラム(相手材)53は、シャフト54に嵌合締結され
ており、図示しない回転機構によって一定速度で回転す
る。
【0037】そして、摩耗試験は、注油ノズル55から
一定温度に保持された潤滑油を摺動面に供給しながら実
施した。ここで、試験に供した材料は、ドラム53側を
焼付試験のステータ42と同じ材料とし、ピンホルダ5
1側を焼付試験のロータ44と同じものとした。
【0038】焼付面圧試験 SCM420Hよりなるステータ42とロータ44に取
り付けたテストピース46との各組み合わせについて、
図2に示した焼付試験装置により焼付面圧試験を行っ
た。この焼付面圧試験において、ロータ44に取り付け
たテストピース46とステータ42の間の摩擦力が急激
に立ち上がった時の面圧をもって、焼付発生面圧とし
た。
【0039】試験条件は次の表1に示す通りである。
【0040】
【表1】
【0041】摩耗試験 SCM420Hよりなるドラム53とピン形テストピー
ス52との各組み合わせについて、図3に示した摩耗試
験装置を用いて摩耗試験を行った。この摩耗試験におい
て、耐摩耗性については、一定距離摺動後のピン形テス
トピース52の摩擦痕の幅およびドラム53の摩耗深さ
によって評価した。
【0042】試験条件は次の表2に示す通りである。
【0043】
【表2】
【0044】焼付面圧試験の結果を図4に示し、摩耗試
験の結果を図5に示す。
【0045】図4に示すように、焼付面圧試験では、比
較例Iの窒化処理品では約8〜12MPaの面圧で焼付
が発生しており、また、比較例Hのクロムめっき品では
約13〜20MPaで焼付が発生している。さらに、従
来品の中でも最も高い焼付発生面圧を示す中心線谷深さ
(Rv)が0.05μmのクロム窒化物硬質皮膜を形成
させた組み合わせとした比較例Gでは、28〜35MP
aで焼付が発生している。
【0046】これに対し、本発明例B,C,D,Eの場
合、焼付発生面圧は約20%向上しており、最大42M
Paに達した。そしてとくに、中心線谷深さ(Rv)が
0.3〜1.8μm、平坦部面積:凹部面積93:7〜
55〜45の間で明確な効果が認められ、それより小さ
い0.1μm(比較例F)とより粗い2.0μm(比較
例A)との組み合わせでは、従来品である比較例Gと比
較した場合に焼付発生面圧の向上は認められなかった。
【0047】他方、摩耗試験では、図5に示すように、
クロムめっきおよび窒化処理した比較例H,Iの場合
は、ピン自体の摩耗が多く、また、相手材を摩耗させる
傾向が認められる。これに対してクロム窒化物硬質皮膜
を形成させた試験片(比較例A,F,G,発明例B,
C,D,E)は、ピン自体の摩耗量が少なく、さらに中
心線谷深さが1.8μm以下(比較例F,G,発明例
B,C,D,E)については相手材をほとんど摩耗させ
ない。そして、中心線谷深さ(Rv)が2.0μm(比
較例A)と深くなると、ピン自体の摩耗量はそれほど多
くないが、クロムめっきの場合と同程度に相手材を摩耗
させる傾向が認められた。
【0048】また、ピン自体の摩耗量について詳細な比
較を実施すると、中心線谷深さ(Rv)が0.1〜1.
8μm、平坦部面積:凹部面積=93:7〜55:45
のピン摩耗は、従来品の中心線谷深さ(Rv)0.05
μmと比較して最小でも約15%ほど少なく、耐摩耗性
についても効果のあることが認められた。
【0049】そして、焼付面圧試験と摩耗試験の結果を
併せてみると、従来品と比較して耐焼付性および耐摩耗
性の両方に改善の効果が認められたのは、中心線谷深さ
(Rv)が0.3〜1.8μmの間のものであって、い
ままでで最も摺動特性の優れるものとなっていた平坦面
に気相蒸着法により硬質皮膜を形成させたものと比較し
て、耐焼付性は1.2倍、摩耗量は15%減となってい
た。
【0050】
【発明の効果】発明に係わる摺動部材は、截頭凹凸形状
をなす表面を有する摺動部材本体の前記表面に気相蒸着
による硬質皮膜を形成していると共に、前記硬質皮膜の
表面が中心線谷深さRv表示で0.3〜1.8μmの截
頭凹凸形状をなしている構成としたものであるから、従
来の摺動部材と比較して顕著な摺動特性の向上が認めら
れ、耐摩耗性および耐焼付性を向上させうることが確認
された。そして、このように優れた摺動特性を有するた
め、今後予想されるより厳しい潤滑条件下で使用される
ような摺動部材に最適なものであり、たとえば、より高
面圧高速摺動が要求されるロッカーアームや、より小型
化した片斜板式コンプレッサー用スライダー等が製作可
能になった。
【0051】また、本発明に係わる摺動部材の製造方法
では、上記耐摩耗性および耐焼付性に優れた摺動部材の
製造が可能であるという著しく優れた効果がもたらされ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる摺動部材の製造方法の工程を例
示する概略説明図である。
【図2】焼付試験装置の概略を示す説明図である。
【図3】摩耗試験装置の概略を示す説明図である。
【図4】焼付面圧試験結果を示すグラフである。
【図5】摩耗試験結果を示すグラフである。
【図6】内燃機関においてロッカーアームを用いた動弁
機構の概略説明図である。
【図7】車載用空調機に用いられる片斜板式圧縮機にお
いて斜板自転防止用機構の一般的な概略説明図である。
【符号の説明】
1 摺動部材 1a 摺動部材本体 2 硬質皮膜 3 截頭凹凸形状

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 截頭凹凸形状をなす表面を有する摺動部
    材本体の前記表面に気相蒸着による硬質皮膜を形成して
    いると共に、前記硬質皮膜の表面が中心線谷深さRv表
    示で0.3〜1.8μmの截頭凹凸形状をなしているこ
    とを特徴とする摺動部材。
  2. 【請求項2】 截頭凹凸形状をなす硬質皮膜表面の平坦
    部と凹部との面積比率が、平坦部:凹部=93:7〜5
    5:45である請求項1に記載の摺動部材。
  3. 【請求項3】 摺動部材本体の表面を截頭凹凸形状に形
    成したのち、前記表面に気相蒸着法によって硬質皮膜を
    設けて、前記硬質皮膜の表面を中心線谷深さRv表示で
    0.3〜1.8μmの截頭凹凸形状に形成することを特
    徴とする摺動部材の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5816207A (en) * 1994-09-05 1998-10-06 Nsk Ltd. Tappet roller bearing
US9034461B2 (en) 2012-03-23 2015-05-19 Hitachi, Ltd. Hard film sliding part and method of manufacturing the sliding part

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