JPH0640733A - ガラス板のカッタ装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 バックラッシュを低減し得て切りすじを正確
に迅速に形成し得るガラス板のカッタ装置を提供するこ
とにある。 【構成】 ガラス板のカッタ装置１は、カッタブロック
４を支持するカッタ支持軸６と、ガラス板支持台２に載
置されたガラス板７に、カッタブロック４に取り付けら
れたカッタ刃８を押圧するべく、カッタ支持軸６に連結
された空気圧シリンダ装置９と、カッタ刃８をＡ方向に
回動させるべく、出力回転軸１０がカッタ支持軸６に連
結された電動モータ１１と、基台３をガラス板支持台２
に載置されたガラス板７に対してＸ−Ｙ平面内で相対的
に移動させるＸ−Ｙ移動装置１２とを具備しており、電
動モータ１１の出力回転軸１０とカッタ支持軸６とはＺ
軸上に配されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ガラス板を折り割る際
に、予め折割すじ、すなわち切りすじを形成するガラス
板のカッタ装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば自動車の窓ガラス等は、素板ガラ
スに窓ガラス形状に対応して主切りすじを形成し、この
主切りすじの形成後、更に補助切りすじ（端切り線）を
形成し、その後に主切りすじに沿って素板ガラスを折割
り、その後折割り端面に、研削、研磨等が施されて製造
される。そして従来のガラス板のカッタ装置は、併置さ
れた空気圧シリンダ装置と電動モータとを具備してな
り、空気圧シリンダによりカッタ刃をガラス板の面に押
圧させ、電動モータによりカッタ刃を切りすじ形成方向
に向けるように回転させている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで上記の従来の
ガラス板のカッタ装置では、切りすじ形成用の空気圧シ
リンダ装置と電動モータとは併置され、モータの回転
は、歯車、タイミングベルト等を介してカッタ刃へ伝達
されている結果、歯車、タイミングベルト等に起因する
バックラッシュが多く、したがって正確に切りすじを迅
速に形成することが困難である。

【０００４】本発明は前記諸点に鑑みてなされたもので
あって、その目的とするところは、バックラッシュを低
減し得て切りすじを正確に迅速に形成し得るガラス板の
カッタ装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明によれば前記目的
は、ガラス板支持台上に配された基台と、カッタブロッ
クを支持するカッタ支持軸と、基台に取り付けられてお
り、ガラス板支持台に載置されたガラス板に、カッタブ
ロックに取り付けられたカッタ刃を押圧するべく、カッ
タ支持軸に連結された空気圧シリンダ装置と、カッタ刃
をＺ軸の周りで回動させるべく、出力回転軸がカッタ支
持軸に連結された電動モータと、基台に連結されてお
り、基台をガラス板支持台に載置されたガラス板に対し
てＸ−Ｙ平面内で相対的に移動させるＸ−Ｙ移動装置と
を具備しており、電動モータの出力回転軸とカッタ支持
軸とは同軸上に配されているガラス板のカッタ装置によ
って達成される。

【０００６】本発明の一つ例では、電動モータの出力回
転軸はスプライン機構を介してカッタ支持軸に連結され
ており、空気圧シリンダ装置は中空ピストンロッドを具
備しており、カッタ支持軸はこの中空のピストンロッド
の中空部を貫通して配されており、カッタ支持軸と中空
ピストンロッドとは互いに回転自在に連結されている。
本発明の他の例では、空気圧シリンダ装置のシリンダは
基台に回転自在に支持されており、カッタ支持軸は空気
圧シリンダ装置のピストンに連結されている。

【０００７】

【作用】本発明のガラス板のカッタ装置では、空気圧シ
リンダ装置が作動されると、カッタ支持軸に支持された
カッタブロックがガラス板支持台に向かって移動され、
これによりでカッタブロックのカッタ刃はガラス板支持
台に載置されたガラス板に空気弾性的に押圧される。こ
の押圧状態でＸ−Ｙ移動装置が動作されると、基台がガ
ラス板支持台に載置されたガラス板上でガラス板に対し
てＸ−Ｙ平面内で相対的に移動され、この移動と共にカ
ッタ刃はガラス板に切りすじを形成する。形成すべき切
りすじ方向が変わる場合には、電動モータが作動されて
カッタ支持軸がＺ軸の周りで所定角だけ回転され、カッ
タ刃の刃先が切りすじ方向に向けられる。

【０００８】次に本発明を、図に示す好ましい具体例に
基づいて更に詳細に説明する。なお、本発明はこれら具
体例に何等限定されないのである。

【０００９】

【具体例】図１から図４において本例のガラス板のカッ
タ装置１は、ガラス板支持台２上に配された基台３と、
カッタブロック４を支持するカッタ支持軸６と、基台３
に取り付けられており、ガラス板支持台２に載置された
ガラス板７に、カッタブロック４に取り付けられたカッ
タ刃８を押圧するべく、カッタ支持軸６に連結された空
気圧シリンダ装置９と、カッタ刃８をＺ軸の周りで回
動、すなわちＡ方向に回動させるべく、出力回転軸１０
がカッタ支持軸６に連結された電動モータ１１と、基台
３に連結されており、基台３をガラス板支持台２に載置
されたガラス板７に対してＸ−Ｙ平面内で相対的に移動
させるＸ−Ｙ移動装置１２とを具備しており、サーボモ
ータからなる電動モータ１１の出力回転軸１０とカッタ
支持軸６とは同軸上、すなわちＺ軸上に配されている。

【００１０】中空直方体状のガラス板支持台２はフレー
ム２１に支持されており、ガラス板７が載置されるその
上板部２２には多数の空気噴出孔２３が穿設されてお
り、その下板部２４の中央には孔２５が穿設されてお
り、孔２５を囲んでダクト接続具２６が取り付けられて
おり、接続具２６にはダクト２７の一端が螺着されてい
る。ダクト２７の他端は下フレーム２８に取り付けられ
た送風機２９の出口に接続されている。送風機２９の作
動でダクト２７を介してガラス板支持台２の中空部３０
に送り込まれた空気は、多数の空気噴出孔２３から吹き
出し、しかして上板部２２に載置されたガラス板７を浮
上させ、切りすじが形成された後のガラス板７の上板部
２２からの排除を容易に行うことができるようにする。

【００１１】空気圧シリンダ装置９は、基台３にボルト
３２を介して取り付けられたシリンダ３３と、シリンダ
３３内に配されたピストン３４と、ピストン３４に固着
された中空のピストンロッド３５とを具備しており、シ
リンダ３３には高圧空気給排用のホース３６及び３７を
接続するための接続具３８及び３９が取り付けられてお
り、ピストンロッド３５はシリンダ３３をＺ軸方向、す
なわち上下方向に摺動自在に貫通して配されている。ホ
ース３６及び３７を介してシリンダ３３内に高圧空気が
給排されることによりピストン３４が上昇、下降される
と、ピストンロッド３５もまた上昇、下降されるように
なっている。

【００１２】電動モータ１１は基台３にボルト５１を介
して取り付けられており、その出力回転軸１０は、スプ
ライン機構５２を介してカッタ支持軸６に連結されてい
る。スプライン機構５２は、内面に複数本の縦溝５３が
形成されており、出力回転軸１０が内部に挿着されて、
一端がねじ５４によって出力回転軸１０に固着された筒
体５５と、縦溝５３に対応してカッタ支持軸６の上部外
面に形成された縦溝５６と、対向する縦溝５３及び５６
間に配された複数の鋼球５７とを具備している。スプラ
イン機構５２は出力回転軸１０のＡ方向の回転をカッタ
支持軸６に伝達すると共に、カッタ支持軸６自体の上
昇、下降を許容する。

【００１３】カッタ支持軸６は、ピストンロッド３５の
中空部を貫通して配されており、ピストンロッド３５の
下部内部には軸受６１が挿着されており、カッタ支持軸
６はピストンロッド３５に軸受６１を介してＡ方向に回
転自在に支持されている。すなわちカッタ支持軸６とピ
ストンロッド３５とは軸受６１を介して互いに回転自在
に連結されている。軸受６１の外輪はピストンロッド３
５に、その内輪はカッタ支持軸６にそれぞれ固着されて
おり、したがってピストンロッド３５が上昇、下降され
ると、カッタ支持軸６もまた上昇、下降されるようにな
っている。

【００１４】Ｘ−Ｙ移動装置１２は、基台３をＸ方向に
移動させるＸ方向移動装置７１と、基台３をＹ方向に移
動させるＹ方向移動装置７２とを具備している。Ｘ方向
移動装置７１は、フレーム２１に取り付けられたサーボ
モータからなる電動モータ７５と、電動モータ７５の出
力回転軸に、プーリ７６、ベルト７７及びプーリ７８を
介して連結されており、フレーム２１に軸受７９、８０
及び８１を介して回転自在に支持された回転軸８２と、
方向転換用のギア機構８３及び８４を介して回転軸８２
にそれぞれ連結されており、軸受８５及び８６並びに８
７及び８８を介して回転自在に横フレーム８９及び９０
に支持されたねじ軸９１及び９２と、ねじ軸９１及び９
２に螺合したナット部材９３及び９４が両端下面に固着
された可動フレーム９５とを具備している。可動フレー
ム９５は横フレーム８９及び９０を橋絡して配されてお
り、可動フレーム９５の両端下面にはスライダ９６及び
９７が取り付けられており、スライダ９６及び９７は横
フレーム８９及び９０の上面に取り付けられた案内レー
ル９８及び９９にＸ方向に移動自在に嵌装されている。
Ｙ方向移動装置７２は、支持台１０１に取り付けられた
サーボモータからなる電動モータ１０２と、電動モータ
１０２の出力回転軸に取り付けられたピニオン１０３
と、ピニオン１０３が噛み合っており、可動フレーム９
５に取り付けられたラック１０４とを具備しており、支
持台１０１には基台３がボルト１０５を介して取り付け
られている。可動フレーム９５にはＹ方向に伸びる案内
レール１０６がボルト１０７により取り付けられてお
り、案内レール１０６には支持台１０１に取り付けられ
たスライダ１０８がベアリング１０９を介してＹ方向に
移動自在に嵌着されている。

【００１５】なお、電動モータ１１、７５及び１０２は
数値制御装置１１１に接続されており、また空気圧シリ
ンダ装置９への高圧空気の給排を司る制御弁機構（図示
せず）及び送風機２９も数値制御装置１１１に接続され
ており、数値制御装置１１１は予め記憶された制御プロ
グラムより電動モータ１１、７５及び１０２並びに制御
弁機構及び送風機２９の作動を制御して、ガラス板７に
対して所望の切りすじ形成を実行する。

【００１６】このように形成されたガラス板のカッタ装
置１は次のように動作する。数値制御装置１１１の制御
下で、電動モータ７５が作動されると、プーリ７６、ベ
ルト７７、プーリ７８、回転軸８２及びギア機構８３、
８４を介してねじ軸９１及び９２が回転され、これによ
り可動フレーム９５は案内レール９８及び９９に案内さ
れてＸ方向に移動される。同じく数値制御装置１１１の
制御下で、電動モータ１０２が作動されると、回転する
ピニオン１０３とラック１０４の噛み合いにより支持台
１０１が案内レール１０６に案内されてＹ方向に移動さ
れる。可動フレーム９５のＸ方向の移動と支持台１０１
のＹ方向の移動とにより基台３はガラス板７上のＸ−Ｙ
平面内で移動され、しかしてカッタ刃８は切りすじ形成
予定線１２０に沿って移動される。カッタ刃８の移動に
際して数値制御装置１１１の制御下で空気圧シリンダ装
置９もまた作動されてカッタ刃８がガラス板７に押圧さ
れるようにピストンロット３５が下降される。このよう
なカッタ刃８のガラス板７への空気弾性的な押圧により
ガラス板７に切りすじ形成予定線１２０に沿った切りす
じが形成されることとなる。また切りすじ形成に際して
数値制御装置１１１の制御下で電動モータ１１が作動さ
れて筒体５５がＡ方向に回転されると、カッタ支持軸６
もＡ方向に回転され、これにより切りすじ形成に際して
カッタ刃８の刃先が切りすじ形成方向に向けられること
となる。以上のようにしてガラス板７に切りすじ形成予
定線１２０に沿った切りすじが形成される。ガラス板７
への切りすじ形成が完了すると、送風機２９が作動され
て中空部３０に空気が送り込まれる。その後切りすじが
形成されたガラス板７がガラス板支持台２から除去さ
れ、新たに切りすじを形成すべきガラス板７がガラス板
支持台２に載置されて上記の作動が繰り返される。切り
すじが形成されたガラス板７は次に折割工程に配され
る。

【００１７】ところでガラス板のカッタ装置１では、電
動モータ１１の出力回転１０とカッタ支持軸６とが同軸
上に配されて、カッタ支持軸６にスプライン機構５２を
介して直接電動モータ１１の出力回転軸１０が連結され
ているため、バックラッシュ等を極めて少なくすること
ができ、より正確にカッタ刃８の刃先を切りすじ形成方
向に向けることができ、したがって切りすじ形成予定線
１２０に正確に対応して切りすじを形成することができ
る上に、ガラス板７に欠け等が生じる虞を低減し得る。
また本例のガラス板のカッタ装置１では、カッタ刃８の
周りが極めてコンパクトとなり、その上、カッタ支持軸
６に横方向からの不要な力が加わらないため、カッタ刃
８をガラス板７の面に対して正確に空気弾性的に押圧し
得る結果、これによっても切りすじ形成予定線１２０正
確に対応して切りすじを形成することができる上に、ガ
ラス板７に欠け等が生じる虞を低減し得る。

【００１８】ところで前記例では、電動モータ１１の出
力回転軸１０をスプライン機構５２を介してカッタ支持
軸６に連結し、空気圧シリンダ装置９を中空のピストン
ロッド３５をもつて形成し、カッタ支持軸６を中空のピ
ストンロッド３５の中空部を貫通して配し、カッタ支持
軸６と中空のピストンロッド３５とを互いに相対回転自
在に連結したが、本発明はこれに限定されず、例えば図
５に示すように、空気圧シリンダ装置１５０のシリンダ
１５１を基台３に回転自在に支持し、カッタ支持軸１５
６を空気圧シリンダ装置１５０のピストン１５７に連結
してもよい。すなわち図５において、カッタ刃８をガラ
ス板７に押圧する本例の空気圧シリンダ装置１５０のシ
リンダ１５１は、シリンダ本体１５２と、シリンダ本体
１５２に一体的に固着された連結軸１５３とを具備して
おり、連結軸１５３が軸受１５４を介して基台３にＡ方
向に回転自在に支持され、こうして本例の空気圧シリン
ダ装置１５０のシリンダ１５１は基台３に回転自在に支
持されており、またカッタブロック４を支持する本例の
カッタ支持軸１５６は空気圧シリンダ装置１５０のピス
トン１５７にねじ１５８等により直接取り付けられて連
結されている。なお、本例では連結軸１５３はねじ１５
９等により電動モータ１１の出力回転軸１０に連結され
ており、カッタブロック４はカッタ支持軸１５６の下端
にねじ１６０等により固定的に取り付けられている。図
５に示すように形成されたガラス板のカッタ装置でも、
上述の例と同様に、空気圧シリンダ装置１５０への高圧
空気の給排によるカッタ支持軸１５６の下降で、カッタ
刃８はガラス板７に空気弾性的に押圧され、電動モータ
１１の作動による空気圧シリンダ装置１５０のシリンダ
１５１のＡ方向の回転で、カッタ支持軸１５６もＡ方向
に回転されてカッタ刃８の刃先は切りすじ形成方向に向
けられる。そして本例でもバックラッシュ等を極めて少
なくすることができ、より正確にカッタ刃８の刃先を切
りすじ形成方向に向けることができ、したがって切りす
じ形成予定線どうりに切りすじを形成することができる
上に、ガラス板７に欠け等が生じる虞を低減し得る。更
にまた、カッタ刃８の周りが極めてコンパクトとなり、
その上、カッタ支持軸１５６に横方向からの不要な力が
加わらないため、カッタ刃８をガラス板７の面に対して
正確に空気弾性的に押圧し得る結果、これによっても切
りすじ形成予定線１２０どうりに切りすじを形成するこ
とができると共に、ガラス板７に欠け等が生じる虞を低
減し得る。

【００１９】なお、以上では主切りすじについて説明し
たが、上記のガラス板のカッタ装置でもって補助切りす
じを形成してもよいはもちろんである。

【００２０】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、カッタ支
持軸が、カッタ刃をガラス板に押圧する空気圧シリンダ
装置とカッタ刃をＺ軸の周りで回動させる電動モータの
出力回転軸とにそれぞれ連結されて、電動モータの出力
回転軸とカッタ支持軸とは同軸上に配されているいるた
め、所望にバックラッシュを低減し得て切りすじを正確
に迅速に形成し得る。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の好ましい一具体例の平面図である。

【図２】図１に示す具体例の一部破断側面図である。

【図３】図１に示す具体例の一部破断正面図である。

【図４】図１に示す具体例の一部詳細断面図である。

【図５】本発明の好ましい他の具体例の一部詳細断面図
である。

【符号の説明】

１ ガラス板のカッタ装置 ２ ガラス板支持台 ３ 基台 ４ カッタブロック ６ カッタ支持軸 ７ ガラス板 ８ カッタ刃 ９ 空気圧シリンダ装置 １０ 出力回転軸 １１ 電動モータ １２ Ｘ−Ｙ移動装置

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ガラス板支持台上に配された基台と、カ
   ッタブロックを支持するカッタ支持軸と、基台に取り付
   けられており、ガラス板支持台に載置されたガラス板
   に、カッタブロックに取り付けられたカッタ刃を押圧す
   るべく、カッタ支持軸に連結された空気圧シリンダ装置
   と、カッタ刃をＺ軸の周りで回動させるべく、出力回転
   軸がカッタ支持軸に連結された電動モータと、基台に連
   結されており、基台をガラス板支持台に載置されたガラ
   ス板に対してＸ−Ｙ平面内で相対的に移動させるＸ−Ｙ
   移動装置とを具備しており、電動モータの出力回転軸と
   カッタ支持軸とは同軸上に配されているガラス板のカッ
   タ装置。
2. 【請求項２】 電動モータの出力回転軸はスプライン機
   構を介してカッタ支持軸に連結されており、空気圧シリ
   ンダ装置は中空ピストンロッドを具備しており、カッタ
   支持軸はこの中空のピストンロッドの中空部を貫通して
   配されており、カッタ支持軸と中空ピストンロッドとは
   互いに相対回転自在に連結されている請求項１に記載の
   ガラス板のカッタ装置。
3. 【請求項３】 空気圧シリンダ装置のシリンダは基台に
   回転自在に支持されており、カッタ支持軸は空気圧シリ
   ンダ装置のピストンに連結されている請求項１に記載の
   ガラス板のカッタ装置。