JPH0638987U - 介護老人用肛門洗浄装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 全体が手で持ち運べるようなコンパクトな大
きさと形状とに構成され、可搬式給水タンクによって適
温なシャワー水として供給する肛門洗浄水の補給が迅速
簡便に行えると共に、完全密封容器形の汚物吸引タンク
により、洗浄処理後の汚水および汚物の吸引貯留作業が
手軽に行えることを目的とする。 【構成】 手に持って持ち運ぶことの可能な大きさのフ
レーム内に着脱可能に装着される可搬式給水タンクと、
該給水タンクより供給される水を加熱するための加熱タ
ンクと、蓋板を開閉可能とした密閉形の汚物吸引タンク
とを備え、前記加熱タンクには先端からシャワー温水を
供給できる温水ホースが延出され、前記汚物吸引タンク
には先端の便器を備えた吸引ホースを延出して、便器か
ら吸引した汚水と汚物とを前記吸引タンク内に吸引して
貯留することを特徴とする。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

この考案は、老人ホーム、或いは一般家庭に在宅する寝たきり老人、病人の排 便後のおむつ交換に際して、肛門の周辺部を洗浄するための装置に関するもので ある。

【０００２】

【従来の技術】

特別養護老人ホーム等における寝たきり老人や病人は、排便におむつを使用す るのが一般的であり、このおむつの交換時には、肛門の周辺部を清潔に洗浄する 必要がある。従来において、この種の洗浄作業は、家庭用洗剤等の空きビン内に 収納した温水を使用して介護人が手作業で洗浄するか、市販の温水シャワーを室 内に持ち込んで洗浄するような方法がとられている。

【０００３】 また、従来では、おむつの交換作業と、肛門の洗浄作業とが相互に関連性なく 行われ、肛門洗浄作業の都度給湯室から温水容器を病室内に持ち込んで洗浄処理 を行うと共に、交換された使用済のおむつは、室内に臭気が発生するため室内に 貯留しておくことができないので、交換の都度処理室へ運ばなければならず、温 水の補給と使用済おむつの交換に際しては、その都度介護人が病室と給湯室およ び使用済おむつ処理室との間を往復しなければならないので、著しい労力を必要 とするという問題点があった。

【０００４】 一方、このような問題を少しでも解決するための手段として、台車上に配置し たタンク内に温水を貯留して、おむつの交換時にこの温水を使用して肛門をシャ ワー洗浄したのち、洗浄に使用された汚水や汚物を、真空ポンプによる負圧作用 を受ける汚物吸引タンク内に吸い込んで貯留する装置も既に提唱されている。

【０００５】

【考案が解決すべき課題】

しかしながら、前記の肛門洗浄装置は、使用する洗浄水として給湯室で加熱さ れた温水をタンク内に注ぎ込んで貯留しておき、この温水をタンク内に圧力を加 えてシャワー水として送り出す構成であるため、タンク内に移替えて貯留した温 水の適性温度を比較的長い時間にわたって維持するのが困難であること、また、 洗浄に使用された汚水や汚物を吸い込んで貯留しておくための汚物吸引タンクと して、市販のポリ缶を使用するため、汚物吸引タンク内に付着した汚物の洗浄が 具合よく行えず、臭気を適切に処理できない等の問題点があった。

【０００６】 更に、前記の肛門洗浄装置は、元々老人ホームのような施設の比較的多人数の 老人の肛門を洗浄することを目的として開発されたものであるために、洗浄用の 温水を多量に貯留できる大型のタンクを備える必要があり、この大型温水タンク の外に汚物吸引タンクなどの器具を一体に組み込むので、これらの器具を専用の 移動台車上に搭載することにより装置全体がどうしも大型化するという問題があ り、そのため、老人ホームのような施設内における多数の居室内を巡回して移動 するのには適しているとしても、比較的居室数が少ない小規模な施設であるとか 、個人住宅において使用するのには機体が大型すぎて使用に適さないという問題 点があった。

【０００７】

【課題を解決するための手段】

本考案は、従来における上記のようなこの種の洗浄作業における問題点を解決 するために、洗浄水が常に適温なシャワー水として供給できると共に、汚物吸引 タンクを耐圧形の完全密封容器とすることにより、臭気に対しても適切に対処で き、しかも居室数の少ない施設とか、個人住宅においても使用可能なように、全 体が手で持ち運べるようなコンパクトなフレーム内に収納されて、手軽に持ち運 べるように構成された軽便な肛門洗浄装置の提供を目的としたものである。

【０００８】 本考案の肛門洗浄装置は、上記の目的を達成するための具体的手段として、手 に持って持ち運ぶことの可能なコンパクトタイプの介護老人用肛門洗浄装置であ って、持ち運び可能な大きさのフレーム内にヒータを内蔵した加熱タンクと、こ の加熱タンクに給水流路を介して接続される前記フレームに対して着脱可能な可 搬式給水タンクと、内部がポンプ圧により負圧作用を受ける汚物吸引タンクとを 備え、前記加熱タンクには該タンク内の温水をポンプ圧によって送り出すための 先端にシャワーノズルを備えた温水ホースが前記フレーム外部に延出され、前記 汚物吸引タンクは、蓋板を開閉可能とした前記フレームに対して着脱可能な耐圧 密閉容器からなっていて、該吸引タンクには先端に便器を接続した吸引ホースが 前記フレーム外部に延出されていることを特徴とするものである。

【０００９】

【作用】

本考案に係る肛門洗浄装置では、フレーム内に設けられるシャワー水供給用の 給湯機構を、フレームに対して着脱可能に取り付けられる可搬式給水タンクと、 フレーム内に設置されるヒータ付加熱タンクとに分離して構成したので、洗浄に 必要な温水は着脱可能な可搬式給水タンクから加熱タンク内に注入され、きわめ て短い時間で加温されてシャワー水として供給される。前記の可搬式給水タンク は、フレームに対して着脱可能なので、内部の水がなくなった場合に、フレーム から取り外して必要とする水をこのタンクを利用して外部から補給すればよく、 従って、この肛門洗浄装置は装置自体がどこに置かれていても洗浄に必要な温水 を随時供給することができる。

【００１０】 また、汚物吸引タンクは、タンク外の吸引ポンプと接続されているので、該吸 引ポンプにより内部が負圧状態とされた該タンク内に吸引ホースを介して洗浄済 の汚水、汚物を吸引できると共に、この汚物吸引タンクは蓋板を開閉可能とした 着脱可能な耐圧形の密閉容器からなっているので、装置から取り外して内部を洗 浄することが可能であり、常に清潔な状態を維持することができる。

【００１１】

【実施例】

次に本考案に係る肛門洗浄装置を図面に示す実施例により説明すると、図１は この洗浄装置の全体の構成を説明する断面図、図２及び図３は斜視図であり、こ の洗浄装置の主要部は、長さ約５０cm，幅約４０cm，高さ約４０cm程度の手で持 ち運ぶことのできる大きさからなるフレーム１内に着脱可能に取り付けられるポ リタンクのような可搬式給水タンク２と、この給水タンク２から供給される水を 適温のシャワー水に加温するための加熱タンク３と、前記シャワー水によって洗 浄された後の汚水および汚物をフレーム１方向に吸引して貯留するための汚物吸 引タンク４とからなっている。

【００１２】 前記フレーム１は、一端にＡＣ電源コードの収納部６と、前記加熱タンク３お よび汚物吸引タンク４の電気回路用操作パネル７とを内蔵した壁状の箱部５を備 えると共に、他端には前記箱部５の内壁８とは所定の空間部９を隔てて仕切られ た内壁１０をもつ前記汚物吸引タンク４の収納部１１が設けられるように構成さ れている。

【００１３】 前記箱部５と汚物吸引タンク収納部１１との間の前記空間部９内には、前記可 搬式給水タンク２が着脱可能に配置され、更にこの空間部９を形成する底板１２ の下面には、容量のあまり大きくない前記加熱タンク３が配置されるようになっ ている。なお、図中１３はフレームの両端に設けられた把手、１４は汚物吸引タ ンク収納部１１の上部に着脱可能に取り付けられるタオル、ティシュペーパー等 を収納する小物入れを示す。

【００１４】 前記給水タンク２と加熱タンク３とは、着脱可能なパイプ等からなる給水流路 １５を介して接続されており、前記加熱タンク３内には前記給水タンク２から注 入される水を加熱するためのヒータ１６が内蔵されている。また、前記箱部５内 の下方部には前記加熱タンク３と接続管１８により接続されて、該タンク３内の 温水を外部へ送り出すための加圧ポンプ１７とが内蔵されていて、このポンプ１ ７には先端にシャワーノズル２０を有する所定の長さの温水ホース１９が接続さ れている。

【００１５】 前記汚物吸引タンク４は、ステンレス製の容器４ａと蓋板４ｂとからなり、常 時は蓋板４ｂが止め金２１によって容器４ａに密閉されて、内部の気密性が維持 されるようにして、前記フレームの収納部１１内に対し着脱可能に配置されてお り、必要に応じて収納部１１から取り出して蓋板４ｂを開放することにより内部 が清掃できるようになっている。

【００１６】 また、この汚物吸引タンク４の蓋板４ｂには、フレーム１内の一部に設けられ た吸引ポンプ２２との間に接続チューブ２３が着脱可能な接続具２４を介して連 結され、該タンク４内に負圧が作用するようになっている。また、該タンク蓋板 ４ｂの別の部分には、フレーム１内の一部との間に接続チューブ２５が着脱可能 な接続具２６を介して連結され、該接続チューブ２５には先端に便器２８を連結 した吸引ホース２７の後端が接続されることにより、前記加熱タンク３から温水 ホース１９を介して送られたのちの洗浄済み汚水および汚物が、前記吸引ホース ２７を介して内部の負圧状態とされた前記タンク４内に還流するようになってい る。

【００１７】 前記汚物吸引タンク蓋板４ｂの接続チューブ２３が接続される接続具２４の裏 面には、弁座３０上に保持される球状のフロート弁２９が設けられていて、タン ク４内の水位が低い時には、前記フロート弁２９が弁座３０上に保持された状態 でタンク４内の空気が接続チューブ２３を通して吸引ポンプ２２の方向に吸引さ れ、タンク４内の水位が弁座３０の高さ付近まで上昇した時には、フロート弁２ ９が浮上して接続具２４の孔を閉じ、汚水・汚物が吸引ポンプ２２の方向に吸い 込まれることを防止する。

【００１８】 図５は、前記加熱タンク３および汚物吸引タンク４における配管系の別の実施 例を示している。前記図１乃至図４に示した実施例では、加熱タンク３の温水を シャワー水として送り出すための加圧ポンプ１７と、洗浄済み汚水および汚物を 汚物吸引タンク４内へ吸い込むための吸引ポンプ２２とを、夫々別個に使用した が、図５の実施例ではこれらのポンプを１７および２２を一個の真空ポンプ３１ により兼用している。

【００１９】 図５の配管系では、真空ポンプ３１における吸気口３２と排気口３３とを利用 している。従って、前記汚物吸引タンク４における前記接続チューブ２３が該吸 引ポンプ３０の吸気口３２と接続されて、該汚物吸引タンク４内の空気を吸い込 むと同時に、この真空ポンプ３１内に吸い込まれた空気を排出するための排気口 ３３と前記加熱タンク３とが前記接続管１８により接続され、前記排気口３３か ら送り込まれた空気により加熱タンク３内の温水が温水ホース１９を介してシャ ワー水として送り出される。なお図中３４は圧力調整弁である。

【００２０】 本考案の肛門洗浄装置は、図６に示すように、手に抱えたり、或いは既存のキ ャスター付の荷物運搬用手押し台車に載置して寝たきり老人のベッドのある部屋 へ移送し、汚物吸引タンク４から延出する吸引ホース２７と、加熱タンク３から 延出する温水ホース１９とを夫々ベッド３５方向へ引き出し、老人の腰部から汚 れたおむつを取り外すと共に、吸引ホース２７の先端の便器２８を老人の肛門に 当てがって、温水ホース１９の先端のシャワーノズル２０より温水を供給しつつ 肛門を洗浄する。洗浄に使用したのちの汚水およびこれに含まれる汚物は、便器 ２８内から吸引ホース２７を介して汚物吸引タンク４内に吸引され、汚水および 汚物のみが該タンク４内に貯留されて、空気は吸引ポンプ２２もしくは真空ポン プ３１の方向に吸引排出される。

【００２１】

【考案の効果】

本考案に係る肛門洗浄装置は、フレーム内に設けられるシャワー水供給用の給 湯機構を、フレームに対して着脱可能に取り付けられる可搬式の給水タンクと、 フレーム内に設置される自動温度調節機能を有するヒータとポンプを設けた加熱 タンクとに分離するように構成したので、水をシャワー水としての温水に加熱す るための加熱タンクは、可搬式給水タンクから注入される水を順次瞬間的に加熱 して、必要量だけシャワーノズル付温水ホースに送り出せるような容量の小型の ものとすることができる。

【００２２】 また、前記加熱タンクの設置によって、水から温水に加熱されるまでの待ち時 間を大幅に短縮することができると共に、設定温度の変更に対しても迅速に追従 することができる。更に、この加熱タンクによれば、シャワー水として必要な量 の水だけを加熱するだけで足りるので省エネの面からも好適である。

【００２３】 従って、前記の加熱タンクは、従来のこの種の装置における温水タンクのよう に常時大量の水を貯留して加温しておくような大型なものとする必要がなく、加 熱タンクを小容量化することができる分だけ装置全体を手軽に持ち運べるような コンパクトなものに構成できるので、専用の移動台車を必要とすることなく、例 えば荷物運搬用の台車に乗せて移動したり、或いは一般家庭の寝室内に常時設置 しておいて手軽に使用できる汎用性のある肛門洗浄装置とすることができる。

【００２４】 また、前記の加熱タンクに接続される給水タンクは、フレームに対し着脱可能 に取り付けられる可搬式であるため、使用中に水がなくなっても装置は移動せず に給水タンクだけを取り外して水の補給を行うことができができ、取扱い易い装 置とすることができる。

【００２５】 更に、この肛門洗浄装置における汚物吸引タンクは、蓋板を容器に対し止め金 により密閉状態で開閉可能とすると共に、該蓋板と汚水・汚物を吸い込む吸引ホ ースおよび吸引ポンプとの間を、夫々着脱可能な接続チューブにより接続したの で、使用後は接続チューブとの接続を外すことにより、簡単にフレーム外へ取り 出して、タンク内を清掃して常に清潔に維持することができ、老人の肛門洗浄作 業に適切に対応することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案に係る肛門洗浄装置の構成を示す断面
図。

【図２】肛門洗浄装置の構成を示す斜視図。

【図３】同じく別の方向より見た斜視図。

【図４】本考案に係る肛門洗浄装置の配管系を示すブロ
ック図

【図５】別の実施例における配管系を示すブロック図

【図６】本考案に係る肛門洗浄装置の使用状態を示す側
面図。

【符号の説明】

１：フレーム ２：可搬式給水タンク ３：加熱タ
ンク ４：汚物吸引タンク ４ａ：汚物吸引タンク容器 ４
ｂ：同タンク蓋板 ５：箱部 ６：コード収納部 ７：操作パネル
８，１０：内壁 ９：給水タンク収納用空間部 １１：吸引タンク収納
部 １２：空間部底板 １３：把手 １４：小物入れ
１５：給水流路 １６：ヒータ １７：加圧ポンプ １８：接続管
１９：温水ホース ２０：シャワーノズル ２１：止め金 ２２：吸引
ポンプ ２３，２５：接続チューブ ２４，２６：接続具
２７：吸引ホース ２８：便器 ２９：フロート弁 ３０：弁座 ３
１：真空ポンプ ３２：吸気口 ３３：排気口 ３５：ベッド

Claims (3)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 手に持って持ち運ぶことの可能なコンパ
   クトタイプの介護老人用肛門洗浄装置であって、持ち運
   び可能な大きさのフレーム内にヒータを内蔵した加熱タ
   ンクと、この加熱タンクに給水流路を介して接続される
   前記フレームに対して着脱可能な可搬式給水タンクと、
   内部がポンプ圧により負圧作用を受ける汚物吸引タンク
   とを備え、前記加熱タンクには該タンク内の温水をポン
   プ圧によって送り出すための先端にシャワーノズルを備
   えた温水ホースが前記フレーム外部に延出され、前記汚
   物吸引タンクは、蓋板を開閉可能とした前記フレームに
   対して着脱可能な耐圧密閉容器からなっていて、該吸引
   タンクには先端に便器を接続した吸引ホースが前記フレ
   ーム外部に延出されていることを特徴とする介護老人用
   肛門洗浄装置。
2. 【請求項２】 フレーム内に、加熱タンク内の温水を温
   水ホースを介して送り出すための加圧ポンプと、汚物吸
   引タンク内を負圧状態として吸引ホースにより便器内の
   汚水・汚物を該汚物吸引タンク内に吸引するための吸引
   ポンプとを備えている請求項１に記載の介護老人用肛門
   洗浄装置。
3. 【請求項３】 汚物吸引タンクの負圧側回路がフレーム
   内に配置した真空ポンプの吸気側に接続され、加熱タン
   クの加圧側回路が前記真空ポンプの排気側回路に接続さ
   れている請求項１に記載の介護老人用肛門洗浄装置。