JPH0638784A - シアル酸を構成要素とする糖鎖の製造方法 - Google Patents

シアル酸を構成要素とする糖鎖の製造方法

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JPH0638784A
JPH0638784A JP6731793A JP6731793A JPH0638784A JP H0638784 A JPH0638784 A JP H0638784A JP 6731793 A JP6731793 A JP 6731793A JP 6731793 A JP6731793 A JP 6731793A JP H0638784 A JPH0638784 A JP H0638784A
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reaction
sialidase
sugar chain
sialyl
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JP6731793A
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Katsumi Ajisaka
坂 勝 美 鯵
Tsutomu Takayanagi
柳 勉 高
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Meiji Dairies Corp
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Meiji Milk Products Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 本発明は、シアリル基供与体とシアリル基受
容体とをシアリダーゼの存在下で転移反応を行わせてシ
アル酸を構成要素とする糖鎖を製造する方法である。 【効果】 生体中と重要な役割を担っているシアル酸を
含む糖鎖の新規合成法を提供するものである。本発明に
よれば、α2−6結合したシアリルオリゴ糖及びα2−
3結合したシアリルオリゴ糖が安価な原料により効率的
に製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、シアル酸を構成要素と
する糖鎖の製造方法に関するものである。
【0002】本発明は、シアル酸を構成要素とする糖鎖
の新規な製造方法を提供するもので、シアル酸及びこれ
を含む糖鎖の研究に大いに役立つものである。
【0003】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】シアル
酸とはノイラミン酸のアシル誘導体の総称であって、種
々の糖蛋白質や糖脂質の構成成分として植物を除く生物
界に広く存在している。
【0004】シアル酸は天然には殆ど遊離の形では存在
せず、αグリコシド結合で結合しており、一般に糖蛋白
質やガングリオシドのヘテロオリゴ糖の非還元末端を占
めている。また、コロミン酸などの形でオリゴ糖又は多
糖としても天然界に存在している。シアル酸は、気道、
消化管、尿道、膣などの分泌液中の糖蛋白質に存在して
高い粘度を賦与している。また、シアル酸は、複合糖質
が分解酵素による分解を阻害することから、糖蛋白質の
生体内滞留時間に重要な役割を果たしていることが知ら
れている。このため、糖蛋白質の血中寿命を調節するに
は、目的の糖蛋白質糖鎖にシアル酸残基を自由に結合す
る技術が必要とされている。更に最近、炎症で刺激され
た血管内皮細胞の接着蛋白(セクレチン)と結合するリ
ンパ球側のリガンドは、シアリルルイスXと呼ばれる糖
鎖であることが分かり、好中球の血管透過を抑制する物
質を求めて、シアル酸を含む糖鎖の合成が試みられてい
る。また糖脂質においては、細胞の認識に関与している
といわれており、やはりシアル酸を持たない糖脂質にシ
アル酸を結合する技術が要望されている。
【0005】しかしながら、シアル酸を含む糖鎖の合成
は、一部のものが化学合成法あるいは酵素法によりなさ
れているに過ぎないのが現状である。
【0006】すなわち、まず化学合成法においては、シ
アル酸を他の糖鎖に結合する技術自体については報告さ
れているものの、シアリル基をα結合で他の糖に結合す
ることは困難であって、それには保護基の結合及び脱離
をくり返し行う必要があり、その結果、行程が極めて長
くなり、したがって、化学合成法は特に工業的な大量生
産には不利であり、既に、工業的な大量生産に結びつく
方法は未だに報告されていない。
【0007】一方、酵素を用いた合成法としては、2種
類の方法が知られている。一つは転移酵素を用いる方法
であって、CMP−ノイラミン酸を基質として、シアル
酸転移酵素(シアリルトランスフェラーゼ)により、シ
アリル基を他の糖鎖に転移させる反応である。しかしな
がら、転移酵素は動物臓器に含まれているものであっ
て、これを大量に取得するには遺伝子工学的手法で微生
物あるいは動物細胞等で発現させる必要がある。また、
この反応における基質であるCMP−ノイラミン酸は、
化学合成法あるいは酵素合成法で製造されるが、いずれ
も容易な反応ではないために高価である。
【0008】また、酵素法のもう一つの反応とは、加水
分解酵素であるシアリダーゼの逆反応である脱水縮合反
応によってシアル酸含有糖鎖を合成しようとする試みで
あるが、現在発表されているシアル酸とラクトースの脱
水縮合反応によるシアリルラクトース合成の反応収率は
1%以下であり、実用化にはほど遠い。つまり、この方
法では、選択性が低いために、目的の結合の化合物以外
の物質が、しかも多量に副生してしまうからである。
【0009】以上のように、生体内の糖蛋白質や糖脂質
中の糖鎖において、シアル酸残基は生理活性に重要な役
割を占めており、また糖鎖と生理活性の関連の研究のた
めに簡便な合成法が求められているにも拘らず、未だに
確立された方法がないのが現状である。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこのような
現状に鑑みて鋭意研究を行った結果、加水分解酵素であ
るシアリダーゼの示す転移活性を利用して、シアル酸2
量体の非還元末端のシアル酸を他の糖鎖に転移させるこ
とにより、シアル酸が結合した糖鎖を合成することがで
きることを見い出し、この新知見に基づいて本発明を完
成させた。
【0011】従来行われてきたシアリダーゼ加水分解の
逆反応である脱水縮合反応が、基質としてシアル酸
(X)とシアリル基受容体(Y)とから、 X+Y→X−Y+H2O の形でシアル酸を有する糖鎖を生成するのに対して、本
発明ではシアリル基供与体(X−Z)とシアリル基受容
体とからシアリダーゼの転移反応によって、すなわち、 X−Z+Y→X−Y+Z の形でシアル酸を有する糖鎖を生成するのであって、前
者とは全く異なる反応である。これから判るように、本
発明方法によるシアル酸を有する糖鎖の製造法は新規な
ものである。
【0012】なお、シアル酸は15種類以上のものが天
然に知られており、本発明においては、それらのうちで
最も広く生物界に見出されるN−アセチルノイラミン酸
を転移させる反応を記載しているが、シアリダーゼの基
質となるシアル酸であれば、N−アセチルノイラミン酸
以外のシアル酸も転移させることが可能である。
【0013】シアリル基の供与体としては、シアル酸2
量体、シアル酸のポリマーであるコロミン酸、あるいは
その他合成基質等のシアル酸グリコシド、ノイラミン酸
誘導体が使用されるが、これらに限定されるものではな
く、他のもの例えば、ポリシアル酸の加水分解物あるい
はシアル酸を含有する他の糖鎖、例えば赤血球膜の糖脂
質であっても差し支えない。
【0014】また、シアリル基の受容体として実施例に
は、ラクトース、ガラクトースおよびN−アセチルラク
トサミンなどの、ガラクトースを非還元末端に有する糖
鎖が用いられているが、これは天然においてはシアル酸
は必ずガラクトースに結合しているからである。しかし
ながら、天然に存在しない糖鎖を合成するためには、ガ
ラクトースを非還元末端に有しない糖鎖もシアリル基の
受容体として用いることができる。
【0015】更に、加水分解酵素であるシアリダーゼの
由来にも特に限定はない。本実施例に記載されているよ
うに、Clostridium perfringen
s由来及びArthrobacter ureafac
iens由来の酵素を用いた場合には、シアリル基が受
容体の糖残基の6位にα2−6結合で結合するが、他の
生物由来のシアリダーゼを適宜選択して用いることによ
り、シアリル基が受容体の糖残基の3位にα2−3結合
した糖鎖を合成することも可能である。
【0016】すなわち、例えばウイルス由来のシアリダ
ーゼ(具体例としては、ニューキャッスル病ウイルス由
来のシアリダーゼが挙げられる)を用いて酵素反応を行
うと、α2−3結合したシアリルオリゴ糖を位置選択的
に得ることができる。しかもその際、上記したシアリル
基の供与体としてどのようなものを使用しても、α2−
3結合の位置選択性が損われることはない。
【0017】したがって、本発明によれば、使用酵素を
変えるだけで、α2−6結合の糖鎖及びα2−3結合の
糖鎖を位置選択的に自由に且つ効率的に合成することが
可能となる。すなわち、本発明によれば、上記したよう
に、例えば細菌起源の酵素を用いることによって、天然
に存在し有用な生理的性質を有するシアル酸を含む糖鎖
の内、α2−6結合の糖鎖を位置選択的に自由に合成す
ることが可能となった。しかしながら、天然にはα2−
6結合のほかにα2−3結合で結合するシアル酸含有糖
鎖もあり、そのようなシアル酸を含有する糖蛋白質ある
いは糖脂質も、生体内では重要な役割をしていることが
知られている。このため、α2−6結合のシアリルオリ
ゴ糖のみでなくα2−3結合したシアリルオリゴ糖の選
択的合成法の確立も同様に望まれていたが、この点も、
上記したように可能となった。
【0018】したがって、本発明によれば、α2−3結
合したシアリルオリゴ糖とα2−6結合したシアリルオ
リゴ糖を自由に合成することができる。しかも本発明に
よれば、安価な加水分解酵素であるシアリダーゼと同じ
く安価なシアリル基供与体であるシアル酸2量体からシ
アル酸含有オリゴ糖を各種合成することができ、その工
程の簡素性と相まって、本発明に係る方法は工業的方法
として好適である。
【0019】転移反応は、使用するシアリダーゼの至適
温度及び至適pHの下で、反応液の成分をHPLC等で
モニターしながら行い、目的とする反応生成物の量が最
大に達した時点で加熱等により反応を停止させる。反応
停止後に酵素を除去し、HPLC等により目的物質を分
取する。
【0020】なお、反応溶液にジメチルホルムアミドや
アセトニトリル等の有機溶剤を混合すると収率が向上す
るため、有機溶剤の添加が好ましいが、本発明の必須要
件ではない。
【0021】以下に本発明の実施例を記載する。
【0022】
【実施例1】 Clostridium perfri
ngens由来のシアリダーゼによるシアリルラクトー
スの合成 シアリル基受容体としてラクトース1水和物36mg
を、30%のジメチルホルムアミドを含む0.2M酢酸
緩衝液(pH5.0)100μlに溶解した。この溶液
にシアリル基供与体として10mgのシアル酸2量体お
よびシアリダーゼ(Clostridium perf
ringens由来、シグマ社製)10mg(3uni
t)を加えて37℃で1時間混合した。1時間後に反応
液を100℃に加熱してシアリダーゼを失活させて反応
を停止した。変性した酵素を濾過により除去した後、反
応液をMono Qカラム(Pharmacia社製)
を接続したHPLCで分画した。結果を図1に示す。
【0023】α2−6シアリルラクトースの標品と同じ
保持時間(8.82分)に溶出されるフラクション(ピ
ークA)を集めて濃縮したところ、3.1mgの固形物
が得られた。この物質は、サルモネラ菌由来のシアリダ
ーゼ(シグマ社製)により加水分解されて、シアル酸と
ラクトースを遊離することから、シアル酸がラクトース
にαグリコシド結合していることが判明した。更に、こ
の物質の400MHz1H NMRスペクトルを測定し
(図2)、α2−6シアリルラクトースの標品の400
MHz 1H NMRスペクトルと比較したところ、一
致した。以上の結果から、本発明方法で得られた本物質
はα2−6結合したシアリルラクトースであることが同
定された。
【0024】なお、1H NMRスペクトルは、重水に
溶解したサンプルについて、バリアン社製のXL−40
0 NMRスペクトロメーターを用いて測定したもので
ある。
【0025】
【実施例2】 Arthrobacter ureaf
aciens由来のシアリダーゼによるシアリルラクト
ースの合成 シアリル基受容体としてラクトース36mgを、30%
のアセトニトリルを含む0.2M燐酸緩衝液(pH7.
0)100μlに溶解した。この溶液にシアリル基供与
体として10mgのシアル酸2量体およびシアリダーゼ
(Arthrobacter ureafaciens
由来、シグマ社製)0.1ml(1unit)を加えて
37℃で混合した。3時間後に反応液を100℃に加熱
してシアリダーゼを失活させて反応を停止した。反応液
をMono Qカラム(Pharmacia社製)を接
続したHPLCを測定したところ、α2−6シアリルラ
クトース標品と同じ溶出位置(ピークA;5.54分)
に、フリーのシアル酸のピーク(ピークB;9.05
分)の面積の約3%の面積を有する生成物のピークが観
測された(図3)。この結果から、シアル酸がラクトー
スにαグリコシド結合したα2−6シアリルラクトース
が合成されたことが判明した。
【0026】
【実施例3】 シアリルガラクトースの合成 シアリル基受容体として72mgのガラクトースと、シ
アリル基供与体として10mgのシアル酸2量体を、7
0μlの0.1M酢酸緩衝液(pH5.0)に溶解し、
これに30μlのアセトニトリルを添加した。この溶液
にシアリダーゼ(Clostridium perfr
ingens由来、シグマ社製)7mgを加えて37℃
で2時間反応させた。反応終了後に反応液を100℃に
加熱してシアリダーゼを失活させて反応を停止し、変性
した酵素を濾過により除去した。その後反応液をMon
o Qカラムを接続したHPLCで分画したところ、シ
アル酸2量体の面積強度の2.1%の面積強度に相当す
る生成物のピークが見られた。このピークに相当する画
分を取り、濃縮して得られた固形物の400MHz1
NMRスペクトルを測定したところ(図4;測定条件
及び機器は実施例1と同じ)、α2−6結合に特有のピ
ークが現れた。この結果から、α2−6結合したシアリ
ルガラクトースが生成されたことが確認した。
【0027】
【実施例4】 シアリルN−アセチルラクトサミンの合
成 シアリル基受容体とし110mgのN−アセチルラクト
サミンと、シアリル基供与体として50mgのシアル酸
2量体を、150μlの0.1M酢酸緩衝液(pH5.
0)に溶解し、これに50μlのアセトニトリルを添加
した。この溶液にシアリダーゼ(Clostridiu
m perfringens由来、シグマ社製)20m
gを加えて37℃で2時間反応させた。反応終了後に反
応液を100℃に加熱してシアリダーゼを失活させて反
応を停止し、変性した酵素を濾過により除去した。その
後反応液をMono Qカラムを接続したHPLCで分
画したところ、シアル酸2量体の面積強度の7.7%の
面積強度に相当する生成物のピークが見られた。このピ
ークに相当する画分を取り、濃縮して得られた固形物の
400MHz 1H NMRスペクトルを測定したとこ
ろ(図5;測定条件及び機器は実施例1と同じ)、α2
−6結合に特有のピークが現れた。この結果から、α2
−6結合したシアリルN−アセチルラクトサミンが生成
されたことが確認された。
【0028】
【実施例5】 ラクトースを受容体としたα2−3結合
したシアリルラクトースの合成 シアル酸2量体100mgとラクトース250mgを、
500μlの0.1M燐酸緩衝液(pH7.0)に溶解
し、この溶液にニューキャッスル病ウィルス由来のシア
リダーゼ(Oxford Glyco System
社)0.1ユニットを加えて37℃で回転混合して3日
間反応を行った。反応液を沸騰水中に5分間置き酵素を
失活させたのち、45μmのメンブランをとおして濾過
し、HiLoad Qカラム(ファルマシア社)を接続
したHPLCにより分取して目的物を得た。HPLCの
条件は0から20mMの食塩水を240分の直線グラデ
ィエントで流した。α2−3結合シアリルラクトース
は、125〜135分の部分に溶出した。得られた3糖
成分をゲル濾過により脱塩したのち凍結乾燥して重量を
測定したところ、1.5mgであった。これは、反応し
たシアル酸2量体をもとにして計算した理論収率の9%
であった。本化合物の500MHz 1H NMRスペ
クトルを図6に示す。
【0029】
【実施例6】 N−アセチルラクトサミンを受容体とし
た反応例 シアル酸2量体100mgとN−アセチルラクトサミン
350mgを、400μlの0.1M燐酸緩衝液(pH
7.0)に溶解し、この溶液にニューキャッスル病ウィ
ルス由来のシアリダーゼ(Oxford Glyco
System社)0.1ユニットを加えて37℃で回転
混合して3日間反応を行った。反応液を沸騰水中に5分
間置き酵素を失活させたのち、45μmのメンブランを
とおして濾過し、HiLoad Qカラム(ファルマシ
ア社)を接続したHPLCにより分取して目的物を得
た。HPLCの条件は0から20mMの食塩水を240
分の直線グラディエントで流した。α2−3結合シアリ
ルラクトースは、130〜140分の部分に溶出した。
得られた3糖成分をゲル濾過により脱塩したのち凍結乾
燥して重量を測定したところ、1.2mgであった。こ
れは、反応したシアル酸2量体をもとにして計算した理
論収率の6%であった。本化合物の500MHz 1
NMRスペクトルを図7に示す。
【0030】
【実施例7】 コロミン酸を供与体とした反応例 コロミン酸20mgとラクトース50mgを、100μ
lの0.1M燐酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、この
溶液にニューキャッスル病ウィルス由来のシアリダーゼ
(Oxford Glyco System社)20ミ
リユニットを加えて37℃で回転混合して3日間反応を
行った。反応液を沸騰水中に5分間置き酵素を失活させ
たのち、45μmのメンブランをとおして濾過し、Mo
no Qカラム(ファルマシア社)を接続したHPLC
により分析した。HPLCの条件は0から20mMの食
塩水を20分の直線グラディエントで流した。標品のα
2−3結合シアリルラクトースは7.0分のあたりに溶
出されるが、本反応液を測定した場合も同様に7.0分
にピークが検出された(図8)。加水分解されて生成し
たシアル酸の面積をもとにして計算した理論収率の3%
であった。
【0031】
【実施例8】 合成基質を供与体とした反応例 2−O−(p−ニトロフェニル)−N−アセチル−α−
D−ノイラミン酸ナトリウム塩(生化学工業(株)製)
10mgとN−アセチルラクトサミン30mgを、ジメ
チルスルホキシドと0.2M燐酸緩衝液(pH6.5)
の混合溶媒(2:8)1mlに溶解し、この溶液にニュ
ーキャッスル病ウィルス由来のシアリダーゼ(Oxfo
rd Glyco System社)40ミリユニット
を加えて37℃で回転混合して48時間反応を行った。
反応液を沸騰水中に5分間置き酵素を失活させたのち、
45μmのメンブランをとおして濾過し、Mono Q
カラム(ファルマシア社)を接続したHPLCにより分
析した。HPLCの条件は0から10mMの食塩水を2
0分の直線グラディエントで流した。10.67分にピ
ークが検出され(図9)、このピークを分取して1
NMRを測定することにより、α2−3結合シアリル
N−アセチルラクトサミンと同定された。加水分解され
て生成したシアル酸の面積をもとにして計算した理論収
率の5%であった。
【0032】
【発明の効果】本発明は、加水分解酵素であるシアリダ
ーゼを用いて、シアリル基を含む基質のシアリル基を他
の糖鎖に転移させて、シアル酸含有糖鎖を合成すること
ができるものである。即ち、生体中の糖蛋白質や糖脂質
中の糖鎖において重要な役割を担っているシアル酸を含
むオリゴ糖の簡便な合成法が本発明により確立された。
【0033】本発明によれば、α2−6結合したシアリ
ルオリゴ糖はもとより、生体内でも重要な役割を果たし
ているといわれているα2−3結合したシアリルオリゴ
糖も、位置選択的にしかも他の方法に比較して簡便かつ
安価に合成することが工業的に可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】Clostridium perfringe
ns由来のシアリダーゼを用いて反応を行った後の反応
生成物の、Mono QカラムによるHPLCチャート
を示す。測定条件は、0分から3分まではNaCl濃度
0mMで、3分から12分まではNaCl濃度10mM
で、それ以後はNaCl濃度で溶出を行った。検出は2
20nmの吸光度で行った。ピークAはα2−6シアリ
ルラクトースである。
【図2】Clostridium perfringe
ns由来のシアリダーゼを用いて反応を行った後、Mo
no QカラムによるHPLCでα2−6シアリルラク
トースの標品と同じ保持時間に溶出されるフラクション
を濃縮・固形化して得られた物質を400MHz 1
NMRにかけた時のスペクトルを示す。試料は重水に
溶解して測定した。化学シフトは内部標準としてTSP
(Sodium3−(trimethylsilyl)
tetradeutero propionate)を
用いて測定した。
【図3】Arthrobacter ureafaci
ens由来シアリダーゼを用いて反応を行った後の反応
生成物のHPLCチャートを示す。0分から18分まで
は8mM NaCl濃度で、それ以後は50mMのNa
Cl濃度で溶出させた。検出方法は図1の場合と同じで
ある。ピークAはα2−6シアリルラクトース、ピーク
Bはフリーのシアル酸である。
【図4】シアリル基受容体としてガラクトースを、シア
リル基供与体としてシアル酸2量体を用いて反応を行っ
た後、Mono QカラムによるHPLCで溶出される
生成物の画分を濃縮・固形化して得られた物質を400
MHz 1H NMRにかけた時のスペクトルを示す。
【図5】シアリル基受容体としてN−アセチルラクトサ
ミンを、シアリル基供与体としてシアル酸2量体を用い
て反応を行った後、Mono QカラムによるHPLC
で溶出される生成物の画分を濃縮・固形化して得られた
物質を400MHz 1H NMRにかけた時のスペク
トルを示す。
【図6】標品(シグマ社製品、10%程度のα2−6結
合シアリルラクトースを含む)(上)および酵素合成さ
れたα2−3シアリルラクトース(下)の500MHz
1H NMRスペクトルを示す。試料はそれぞれ重水に
溶解して測定した。化学シフトはTSP(Sodium
3−(trimethylsilyl)tetrad
eutero propionate)を基準とした。
次のピークはプレサチュレーション法により消去した。
【図7】酵素合成されたα2−3結合のシアリルN−ア
セチルラクトサミンの500MHz 1H NMRスペ
クトルを示す。測定条件は、バリアン社製 UNITY
−500 NMR装置を用いた以外は、図1と同じであ
る。
【図8】コロミン酸とラクトースとの反応液のMono
Qカラムを用いたHPLCチャートを示す。測定条件
は、0分から20分まで食塩濃度を0から10mMまで
グラディエント変化させて行った。検出は220nmの
吸光度で行った。7.00のピークが生成物、10.3
5のピークがシアル酸である。
【図9】合成基質とN−アセチルラクトサミンとの反応
液のHPLCチャートを示す。測定条件は図3と同じ。
10.67のピークが生成物、14.96のピークがシ
アル酸である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シアリル基供与体とシアリル基受容体と
    をシアリダーゼの存在下で転移反応を行わせることを特
    徴とするシアル酸を構成要素とする糖鎖の製造方法。
  2. 【請求項2】 シアリル基供与体が、シアル酸2量体、
    コロミン酸、シアル酸グリコシド、及び/又はノイラミ
    ン酸誘導体である、請求項1のシアル酸を構成要素とす
    る糖鎖の製造方法。
  3. 【請求項3】 シアリダーゼが微生物又はウイルス由来
    の酵素である、請求項1又は請求項2のシアル酸を構成
    要素とする糖鎖の製造方法。
  4. 【請求項4】 該糖鎖がα2−6結合又はα2−3結合
    したシアル酸を構成要素とする糖鎖である、請求項1〜
    請求項3のいずれか1項に記載のシアル酸を構成要素と
    する糖鎖の製造方法。
JP6731793A 1992-03-30 1993-03-04 シアル酸を構成要素とする糖鎖の製造方法 Pending JPH0638784A (ja)

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