JPH0637191U - クリーム状物注出容器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 非透過性を損なうことなく、それでいてシー
ル性が向上できる負圧化防止用中皿を内装した容器体を
備えたクリーム状物注出容器を得る。 【構成】 容器体１内に負圧化防止用の逆さ盆形の硬質
材による中皿２をスライド可能に内装したクリーム状物
注出容器において、前記中皿２を、頂板５周縁から段形
に下部４を上部３より拡径しかつ肉薄とした周壁を垂設
した形状とし、この中皿２の肉薄周壁４外面に、上部は
肉厚周壁３まわりの空所６部分まで突き出し延長させ、
この空所６部に位置する上部と下部外面に突条７, ８を
設けた軟質材による筒体９を外嵌固定した構成。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、容器体内に、クリーム状物の注出による吸上げに応じて上昇スライ ドして容器体内の負圧化を防止する中皿を内装したクリーム状物注出容器に関す る。

【０００２】

【従来の技術】

この種注出容器は極く周知であり、多種のものが従来から提供されている。図 ２はそれらの中の１例の手動ポンプ形の注出器本体を示したもので、この注出器 本体10は容器体１の口頸部11にねじキャップ12で取付けられている。

【０００３】 その動作を説明するに、常時は、図示のように筒状ピストン13、ステム14、ノ ズル管15付き押下げヘッド16の可動部は、筒状ピストン13を介して復帰ばね17に より上限位置、即ちステム14下部の上向き段部がねじキャップ12の頂板の開口周 縁に係止する位置まで押上げられている。

【０００４】 このとき、シリンダー18内軸芯部の棒部材19は、上端の拡開部を介しステム14 中間部内面の突条20により下限位置から僅かに上方に引き上げられ、従って棒部 材19の下端外周面はシリンダー18下部内周面から僅かに離れた状態、つまり吸込 み部が開の状態にある。

【０００５】 またこの棒部材19の引き上げ状態で、復帰ばね17下端は、同図ｂに示すように 、シリンダー18内面の周方向とびとびのばね受座21より僅かに上方に位置するこ とになった棒部材19下部のつば22上面に乗った状態にある。

【０００６】 ここで、クリーム状物注出のため押下げヘッド16を復帰ばね17に抗し押下げる とステム14、ピストン13が同体に下降するが、下降当初、前記したように復帰ば ね17下端がばね受座21より僅かに上方のつば22に乗った位置にあるので、この押 下げで棒部材19を押下げ、これにより棒部材19下部周面がシリンダー18下部内周 面に圧接して吸込み部を閉じる状態となり、結局前記押下げでシリンダー18内の クリーム状物が加圧され、この加圧されたクリーム状物は棒部材19の外面とピス トン13の上端内面との間の隙間、棒部材19の上部外面とステム14の内面との隙間 を経、吐出弁23を開弁してノズル管15から外部に注出される。

【０００７】 注出終了で押下げを停止すると、各部は復帰ばね17の復帰で原状態に戻り、こ の復帰でシリンダー18内が負圧化することから、このとき開放状態となっている 吸込み部から容器体１内のクリーム状物がシリンダー18内に吸上げられ、つぎの 注出に備える。

【０００８】 一方、この復帰時の吸上げで容器体１内が負圧化するが、この図２では示して いない中皿が大気圧との関係で容器体１内を上昇スライドし、容器体１の負圧化 を防止する。なお、図で24は可動部の昇降を安定化するための案内筒である。

【０００９】

【考案が解決しようとする課題】

前述した容器体１の負圧化防止用の中皿は、バランスよく安定してスライドで きるように逆さ盆形の形状とされ、通常硬質の合成樹脂材で形成されている。

【００１０】 この硬質材による中皿の場合、非透過性に優れているので内容液を変質させな い利点があるが、反面すべり抵抗が小さいことからややシール性に欠けるのが難 点であり、このため高精度の加工により容器体１に内装する高度の技術が要求さ れる。

【００１１】 またすべり抵抗が小さいため容器をうっかり落したりして衝撃を与えたりする と、中皿が下方に落下脱落することもある。

【００１２】 本考案は、非透過性を損なうことなく、それでいてシール性が向上できる負圧 化防止用中皿を内装した容器体を備えたクリーム状物注出容器を得るにある。

【００１３】

【課題を解決するための手段】

本考案は、容器体１内に負圧化防止用の逆さ盆形の硬質材による中皿２をスラ イド可能に内装したクリーム状物注出容器において、前記中皿２を、頂板５周縁 から段形に下部４を上部３より拡径しかつ肉薄とした周壁を垂設した形状とし、 この中皿２の肉薄周壁４外面に、上部は肉厚周壁３まわりの空所６部分まで突き 出し延長させ、この空所６部に位置する上部と下部外面に突条７, ８を設けた軟 質材による筒体９を外嵌固定した構成としている。

【００１４】

【作用】

中皿２を上記構成とすれば、この中皿２は肉薄周壁４外面の筒体９が上下部の 突条７, ８を介し容器体１の胴体内壁面に摺接することになる。

【００１５】 この筒体９は軟質材により形成してあるので、容器体１の胴体内壁面に適当に 圧接するようにしておくことにより高いシール性が得られ、また従来のような高 度の加工、組立ての技術を要しない。

【００１６】 また、この筒体９はすべり抵抗が大きいが、容器体１胴体内壁面に摺接するの は上下２筋の突条７, ８部分であって摺接面積は小さく、しかも内側の周壁４は 肉薄で曲げ可能であり、さらに上部突条７も空所６側に曲げ可能なので、下部突 条８の容器体１胴体内壁面への圧接度を適当とすることによりすべり抵抗を適当 値とすることができ、上昇スライドが停滞する等の問題を生じることなく、また 落下衝撃があっても中皿２が下方に脱落する等の懸念はなくなる。

【００１７】 さらに、筒体９の内側には硬質の周壁４があるので、非透過性を損なうことは なく、クリーム状物等の収納物を変質させるおそれはない。

【００１８】

【実施例】

以下図１ａ, ｂを参照して一実施例を説明する。

【００１９】 この実施例において、ポンプ形の注出器本体10は従来技術で説明した図２にお ける注出器本体10をそのまま適用しており、従ってこの注出器本体10はすでに説 明済みであり、しかも本考案要旨はこの注出器本体10とは直接係わりがないので 、図２と同符号を付しその説明は省略する。なお、25は注出器本体10を覆うカバ ーを示している。

【００２０】 容器体１も周知のものであるが、便宜上簡単に説明すると、この容器体１は直 筒状の胴体上端近くに前記カバー25を係嵌する係合凹溝26を凹設し、また胴体下 端を開放し、この開放底部に、中央に通気孔27を開け、周縁に２重の取付け周壁 28, 29を立設した底部材30を、取付け周壁28, 29を胴体下部に挾着固定すること で取付けている。

【００２１】 中皿２はポリプロピレン等の硬質の合成樹脂材からなる逆さ盆形の形状の本体 部の垂下周壁外面に、エラストマ等の軟質合成樹脂材による筒体９をインサート 成形等の手段で一体的に外嵌させて形成している。

【００２２】 中皿２の本体部は、頂板５周縁から周壁を垂下しているが、この場合周壁上部 ３より下方に垂下する下部周壁４を拡径して段形とし、かつこの周壁４を曲げ可 能な程度に肉薄とし、また下端に外向き突縁31を設けている。頂板５の中央部は 摺鉢形に大きく凹陷し、上方のシリンダー18の下部形状に対応させており、また この凹陷部32下面から支え筒33を垂設している。

【００２３】 軟質材による筒体９は、上下部外面に突条７, ８を設け、下端を前記外向き突 縁31に乗せ、上部を肉厚周壁３まわりの空所６部まで突き出し延長させて肉薄周 壁４外面に外嵌させてあり、また上部内面から内向きフランジ34を突出させ、こ のフランジ34を肉薄周壁４上端の上向き段部に乗せて空所６に入り込ませてある 。

【００２４】 この実施例構造とすれば、中皿２は軟質材による筒体９上下部の突条７, ８を 介し容器体１の胴体内壁面に摺接することになる。従って、突条７, ８の摺接を 適当としておくことにより高度の加工、組立て技術を要することなく組込むこと ができ、しかも高いシール性が得られる。

【００２５】 また筒体９はすべり抵抗が大きいが、容器体１の胴体内壁面に摺接するのは上 下２筋の突条７, ８部分であって摺接面積が小さく、しかも内側の周壁４は曲げ 可能な肉薄であり、さらに上部突条７も空所６側に曲げ可能なので、下部突条８ の胴体内壁面への圧接度を適当とすることにより適度のすべり抵抗とすることが でき、上昇スライドが停滞する等の問題を生じることなく、それでいて落下衝撃 等があったりしても中皿２が下方に脱落する事態が払拭できる。

【００２６】 なお、筒体９を取付ける中皿２本体は硬質材なので、非透過性を損なうことは なく、収納物を変質させるおそれはない。また本体と筒体９との２個の材料で形 成することから色分けできる利点もある。

【００２７】 上記実施例で、筒体９として軟質合成樹脂材を示したが、これはゴムでもよい 。

【００２８】

【考案の効果】

上記したように、本考案ではクリーム状物注出容器の容器体１内に負圧化防止 用としてスライド可能に内装する硬質材による逆さ盆形の中皿２として、垂下周 壁を下部４が上部３より拡開する段形とし、かつ下方の周壁４を肉薄とし、この 肉薄周壁４外面に、上部は肉厚周壁３まわりの空所６部分に突き出し延長させて この空所６部に位置する上部と下部外面に摺接用の突条７, ８を設けた軟質材に よる筒体９を一体的に外嵌させた構成としたので、非透過性を損なうことなく、 シール性が向上でき、しかも落下衝撃等があって脱落する不安のない実用上の効 果が得られる。

【図面の簡単な説明】

【図１】一実施例を示し、ａは全体の縦断側面図、ｂは
要部の一部拡大図である。

【図２】ポンプ形注出器本体の従来例を示し、ａは主要
部の縦断側面図、ｂは一部拡大図である。

【符号の説明】

１ 容器体 ２ 中皿 ７, ８ 突条 ９ 筒体 10 注出器本体

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 容器体１内に負圧化防止用の逆さ盆形の
   硬質材による中皿２をスライド可能に内装したクリーム
   状物注出容器において、前記中皿２を、頂板５周縁から
   段形に下部４を上部３より拡径しかつ肉薄とした周壁を
   垂設した形状とし、この中皿２の肉薄周壁４外面に、上
   部は肉厚周壁３まわりの空所６部分まで突き出し延長さ
   せ、この空所６部に位置する上部と下部外面に突条７,
   ８を設けた軟質材による筒体９を外嵌固定した構成とし
   たクリーム状物注出容器。